JP4053305B2 - 光ファイバ用多孔質母材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ用多孔質母材の製造方法に関し、特に、火炎中でガラス原料ガスを反応させてガラス微粒子を合成し、これを回転する出発部材の外周部の径方向に堆積する外付け法に適用される光ファイバ用多孔質母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、光ファイバ母材を溶融線引きして製造される。
また、光ファイバ母材の製造方法としては、VAD法、OVD法、MCVD法、PCVD法などの方法がある。なかでも、OVD(Outside Vapor Phase Deposition)法(外付け法)は、酸水素バーナなどのガラス合成用バーナから四塩化ケイ素(SiCl4)などのガラス原料ガスを、酸素または水素などの添加ガス、水素などの可燃性ガス、酸素などの支燃性ガスとともに噴出し、ガラス原料ガスを酸水素炎中で加水分解反応または酸化反応させてガラス微粒子を合成し、その軸回りに回転するコアとなるガラス材を備えた円柱形の出発部材の外周部の径方向に、ガラス微粒子(スート)を堆積させて複数層からなる多孔質層を形成して光ファイバ用多孔質母材とし、これを電気炉中で脱水、焼結しながら透明ガラス化し、光ファイバ母材を製造する方法である。
このような光ファイバ母材を溶融線引きして製造される光ファイバは、伝送損失、その他の品質に優れたものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、光通信の需要の増加に伴なって、光ファイバの需要も年々増加している。そのため、光ファイバの価格を下げることが望まれている。そこで、これに対応するためには、光ファイバの製造を高速化し、光ファイバの製造を高効率化し、光ファイバを大量に製造して、製造コストを低減する必要がある。特に、光ファイバを一度に大量に製造して、製造コストを低減するために、光ファイバの紡糸に供される光ファイバ母材が大型化する傾向にある。
光ファイバ母材を大型化すると、OVD法による光ファイバ用多孔質母材の製造において、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する速度および効率を向上することが、非常に重要な課題となっている。
【0004】
単位時間当りにガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する速度(以下、「堆積速度」とする。)を上げる方法の1つとしては、例えば、ガラス合成用バーナから噴出させるガラス原料ガスの流量を増加する方法がある。しかしながら、単にガラス原料ガスの流量を増加しても、ガラス微粒子が出発部材の外周部に堆積する効率(以下、「堆積効率」とする。)が向上するとは限らない。なぜならば、ガラス微粒子が出発部材の外周部に堆積せずに拡散してしまったり、ガラス原料ガスが未反応のまま拡散してしまうことがあるからである。また、ガラス原料ガスの流量を増加するに伴なって、未反応のガラス原料ガスや、上述の加水分解反応または酸化反応により生成するガスを処理する量も増加する。したがって、ガラス微粒子の堆積速度を上げても、必ずしも製造コストを低減することはできない。
ゆえに、光ファイバの製造コストを低減するには、光ファイバ用多孔質母材の製造において、ガラス微粒子の堆積速度のみならず、ガラス微粒子の堆積効率を向上させなければならない。しかしながら、従来の光ファイバ用多孔質母材の製造方法のように、ガラス原料ガスの流量のみを変化させる方法では、ガラス微粒子の堆積効率を向上することが非常に困難であった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ用多孔質母材の製造において、ガラス微粒子の堆積速度および堆積効率を向上する光ファイバ用多孔質母材の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、ガラス原料ガスとこれに添加する添加ガスからなる混合ガスをガラス合成用バーナに導入して、該ガラス原料ガスを火炎中で加水分解反応または酸化反応させてガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子を出発部材の外周部の径方向に堆積して光ファイバ用多孔質母材を得る光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階における前記ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVsb、前記添加ガスの単位時間当りの流量をVcbとし、出発部材の外周部に堆積させる終了段階における前記ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVse、前記添加ガスの単位時間当りの流量をVceとすると、これらの関係をVcb/Vsb>Vce/Vseとし、前記ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVsとして、前記添加ガスの単位時間当りの流量をVcとすると、これらの関係を、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階においては0.5≦Vcb/Vsb≦3.0、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する終了段階においては0.2≦Vce/Vse≦1.0とする光ファイバ用多孔質母材の製造方法によって解決できる。
なお、ここでガラス微粒子を堆積する初期段階とは、ガラス微粒子の外付工程における総堆積量の30%までを堆積した場合を示す。また、終了段階とは、総堆積量の75%分以上を堆積した場合とする。
上記光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、前記添加ガスを酸素または水素とすることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法に用いられるガラス合成用バーナの一例を示す概略構成図である。
このガラス合成用バーナ10の端面において、その中心に第1のノズル1が設けられ、この第1のノズル1の周囲に、第1のノズル1と中心軸を同じくして、第2のノズル2が設けられ、さらに、この第2のノズル2の周囲に、第1のノズル1と中心軸を同じくして、第3のノズル3が設けられている。また、第2のノズル2と第3のノズル3の間で、第1のノズル1の同心円上には、複数個の内径および外径の等しい小口径ノズル4、4、…が設けられている。
また、第1のノズル1が第1の噴出口11をなし、第1のノズル1と第2のノズル2の間の部分が第2の噴出口12をなし、第2のノズル2と第3のノズル3の間の部分が第3の噴出口13をなし、小口径ノズル4、4、…が第4の噴出口14をなしている。
【0008】
OVD法において、ガラス微粒子を合成するには、一般的に、第1の噴出口11からは例えばSiCl4などのガラス原料ガス、および酸素または水素などの添加ガスを供給し、第2の噴出口12からはアルゴンなどの不活性ガスを供給し、第3の噴出口13からは水素などの可燃性ガスを供給し、第4の噴出口14からは酸素などの支燃性ガスを供給する。
特に、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法にあっては、添加ガスとして酸素または水素を用いることにより、より効果的にガラス微粒子の堆積速度および堆積効率を向上することができる。
【0009】
また、ガラス合成用バーナ10は、外径35〜50mm程度の円筒形で、一般的には、石英ガラスで形成されている。
ガラス合成用バーナ10を構成する第1のノズル1の内径は3〜6mm程度、第2のノズル2の内径は4〜7mm程度、第3のノズル3の内径は30〜35mm程度となっている。また、小口径ノズル4の内径は1〜2mm程度となっている。
なお、図1には、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法に用いられるガラス合成用バーナの一例を示したが、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法に用いられるガラス合成用バーナは、これに限定されるものではない。本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法に用いられるガラス合成用バーナは、図1に示したガラス合成用バーナ10と類似の構造を有するものであればよい。
【0010】
以下、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法について説明する。
図2は、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法を示す概略説明図である。
本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法では、まず、石英ガラスなどからなる円柱形の出発部材21を用意する。次いで、出発部材21の両端部を把持具23、23で把持し、出発部材21を水平に配置する。次いで、この状態で、出発部材21を、その中心軸を中心にして回転させる。続いて、1個以上の酸水素バーナなどからなるガラス合成用バーナ10を用いて、ガラス合成用バーナ10の第1の噴出口11からガラス原料ガスおよび添加ガスを供給し、第2の噴出口12から不活性ガスを供給し、第3の噴出口13から可燃性ガスを供給し、第4の噴出口14から支燃性ガスを供給して、ガラス合成用バーナ10の酸水素炎中における加水分解反応により、ガラス微粒子を合成し、ガラス合成用バーナ10を出発部材の長手方向と平行に移動させながら、ガラス微粒子を回転する出発部材の半径方向に堆積して、光ファイバ用多孔質母材22を得る。
【0011】
本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法にあっては、ガラス微粒子を堆積する初期段階から終了段階において、ガラス微粒子の堆積時間の経過に伴なって増加する光ファイバ用多孔質母材の外径に応じて、ガラス合成用バーナ10の第1の噴出口11から噴出させるガラス原料ガスと添加ガスの流量の少なくとも一方を1回以上変化させる。これにより、ガラス原料ガスと添加ガスの流量の比率(以下、「流量比」と略す。)を変化させ、第1の噴出口11におけるガラス原料ガスの流速を変化させる。このようにすれば、ガラス微粒子の堆積速度および堆積効率を効果的に向上することができる。
【0012】
また、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法にあっては、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階におけるガラス原料ガスの流量をVsb、添加ガスの流量をVcbとし、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する終了段階におけるガラス原料ガスの流量をVse、添加ガスの流量をVceとすると、Vcb/Vsb>Vce/Vseとすることで、効果的にガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。ガラス微粒子を堆積する初期段階において、出発部材の外径が比較的細いときはガラス原料ガスの流量を少なくし、ガラス微粒子を堆積する終了段階において、出発部材の外径が比較的太いときにはガラス原料ガスの流量を増加させる方がよい。
また、初期段階においては、出発部材の外径が細いため、ガラス合成用バーナから発せられる火炎と光ファイバ用多孔質母材の接する部分が小さいため、ガラス原料ガスを多く流しても、ガラス微粒子と出発部材が接する部分が小さくなり、ガラス微粒子の堆積効率が低下する。
また、終了段階においては、出発部材の外径が太くなるため、ガラス合成用バーナから発せられる火炎と光ファイバ用多孔質母材の接する部分が大きくなり、ガラス微粒子と出発部材が接する面積が大きくなる。そのため、多くのガラス原料ガスを流すことで、多くのガラス微粒子が出発部材に堆積するようになるからである。
【0013】
ここで、ガラス原料ガスと添加ガスからなる混合ガス(以下、「混合ガス」と略す。)の流速と、ガラス微粒子の堆積速度との関係について説明する。
ガラス微粒子を堆積する初期段階において、出発部材の外径が比較的細いときには、ガラス微粒子の堆積の状態は、ガラス微粒子に作用する慣性力の効果により大きな影響を受け易い。
混合ガスの流速が遅いときには、ガラス微粒子が慣性力によって出発部材の表面に向う速度が低下するため、ガラス微粒子の堆積速度が低下する。また、混合ガスの流速が遅いときには、ガラス原料ガスが慣性力によって出発部材の表面に向う速度も低下し、ガラス原料ガスがガラス合成用バーナから発せされる火炎に沿って進行し易くなり、ガラス原料ガスが噴出口から噴出される角度が大きくなる。その結果として、ガラス原料ガスの加水分解反応により生成したガラス微粒子が出発部材から離れてしまうため、ガラス微粒子の堆積速度が低下する。
【0014】
また、ガラス微粒子の堆積が進み、光ファイバ用多孔質母材の外径が太くなると、ガラス微粒子の堆積の状態は、サーモフォレシス効果(温度勾配が場に形成されている場合、粒子は高温側と低温側の気体分子の運動量の差により、低温側へ移動するという効果)による大きな影響を受け易くなる。その結果として、ガラス微粒子は光ファイバ用多孔質母材側へ移動し易くなる。
混合ガスの流速が速いときにも、サーモフォレシス効果が発生する。しかしながら、混合ガスの流速が速いと、ガラス合成用バーナから発せされる火炎と光ファイバ用多孔質母材の接する部分を、生成したガラス微粒子が短時間で通り過ぎてしまう。したがって、サーモフォレシス効果によって、ガラス微粒子が光ファイバ用多孔質母材の表面に十分に堆積されずに、ガラス微粒子が光ファイバ用多孔質母材から離れてしまうため、ガラス微粒子の堆積速度が低下する。
【0015】
また、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法にあっては、ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVsとし、添加ガスの単位時間当りの流量をVcとすると、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階においては0.5≦Vc/Vs≦3.0とすることが好ましく、より好ましくは1.0≦Vc/Vs≦2.5とする。Vc/Vsが0.5未満では、ガラス原料ガスの加水分解反応により生成したガラス微粒子が十分な慣性力を得られずに、出発部材の表面に到達し難くなる。一方、Vc/Vsが3.0を超えると、わずかなサーモフォレシス効果も得られず、ガラス微粒子の堆積効率が低下する。
また、ガラス微粒子を光ファイバ用多孔質母材の外周部に堆積する終了段階においては0.2≦Vc/Vs≦1.0とすることが好ましく、より好ましくは0.2≦Vc/Vs≦0.6とする。Vc/Vsが0.2未満では、ガラス微粒子の慣性力が小さくなりすぎて、光ファイバ用多孔質母材の表面に到達し難くなり、また、添加ガスとして酸素などの化学反応に寄与するものを用いている場合は、その効果が小さくなり、ガラス微粒子の堆積効率が低下する。一方、Vc/Vsが1.0を超えると、サーモフォレシス効果が十分に得られず、ガラス微粒子の堆積効率が低下する。
このように、ガラス微粒子を堆積する初期段階から終了段階において、Vc/Vsの値を段階的に小さくしていくことによって、出発部材および光ファイバ用多孔質母材の外径に応じて、最適な条件でガラス微粒子の堆積を行なうことが可能となる。したがって、ガラス微粒子の堆積効率が向上する。
【0016】
さらに、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法にあっては、ガラス微粒子の堆積を開始したときの出発部材の外径をDbとし、このときの上記第1の噴出口11における混合ガスの流速をvbとし、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ用多孔質母材の外径をDとし、このときの上記第1の噴出口11における混合ガスの流速をvとすると、これらの関係を0.5≦(v/vb)×(D/Db)1/2≦2.0とすることが好ましく、より好ましくは0.7≦(v/vb)×(D/Db)1/2≦1.5とする。光ファイバ用多孔質母材の製造中において、ガラス原料ガスの流量が上記の関係を満たすようにすれば、より効果的にガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。(v/vb)×(D/Db)1/2が0.5未満では、ガラス微粒子の慣性力が小さくなり過ぎて、母材の表面に到達し難くなり、ガラス微粒子の堆積効率が低下する。一方、(v/vb)×(D/Db)1/2が2.0を超えると、わずかなサーモフォレシス効果も得られず、ガラス微粒子の堆積効率が低下する。
ここで、ガラス微粒子を堆積する初期段階から終了段階において、(v/vb)×(D/Db)1/2の値を段階的に大きくしていくことによって、出発部材および光ファイバ用多孔質母材の外径に応じて、最適な条件でガラス微粒子の堆積を行なうことが可能となる。したがって、ガラス微粒子の堆積効率が向上する。
【0017】
このように、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法によれば、ガラス微粒子を堆積する初期段階から終了段階において、出発部材および光ファイバ用多孔質母材の外径に応じて、最適な条件でガラス微粒子の堆積を行なうことが可能となるから、ガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。また、ガラス原料ガスなどの損失が少なくなるから、堆積速度も向上する。そして、これらの結果として、光ファイバ用多孔質母材の製造コストを低減することができる。
【0018】
ここで、ガラス微粒子の堆積効率とは、使用したガラス原料ガスが全て化学反応によってガラス微粒子に変化したと仮定したときのガラス微粒子の総量に対する、出発部材の表面に堆積されたガラス微粒子の総量の割合で定義するものである。また、堆積速度とは、単位時間当りに出発部材の表面に堆積されたガラス微粒子の重量で表されるものである。
【0019】
以下、図1および図2を用いて具体的な実施例を示し、本発明の効果を明らかにする。
(実施例)
図1に示したガラス合成用バーナを備えた光ファイバ用多孔質母材製造用バーナ装置を用意した。
次いで、外径30mm、長さ1500mmの石英系ガラスからなる円柱形の出発部材を用意した。
次いで、この出発部材の両端部を把持具で把持し、出発部材を水平に配置した。次いで、この出発部材を、その中心軸を中心にして回転させながら、上記のガラス合成用バーナを用いてガラス微粒子を合成し、ガラス合成用バーナを出発部材の長手方向と平行に移動させながら、ガラス微粒子を回転する出発部材の半径方向に堆積して、出発部材の周りにSiO2からなるガラス微粒子を12kg堆積させた円柱形の光ファイバ用多孔質母材を得た。
このとき、出発部材の回転速度を30rpmとした。
また、第1の噴出口11からはガラス原料ガスのSiCl4と添加ガスの酸素を、表1に示すように光ファイバ用多孔質母材の外径変動に応じて流量を変化させて噴出し、第2の噴出口12からはアルゴンを1l/分噴出し、第3の噴出口13からは水素を60〜70l/分噴出し、このときの水素の流量を、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ用多孔質母材表面の温度が、堆積の初期段階から終了段階まで略一定となるように調整し、第4の噴出口14からは酸素を20l/分噴出した。
光ファイバ用多孔質母材の外径の変化に伴なって、ガラス微粒子の堆積効率を調べた。結果を、表1と図3、図4、図5および図6に示す。
ここで、図3は、ガラス微粒子の堆積を開始してからの経過時間とガラス微粒子の堆積重量との関係を示している。
図4は、実施例において、光ファイバ用多孔質母材の外径の変動と、添加ガスの流量およびガラス原料ガスの流速との関係を示している。また、実線が混合ガスの流速を示し、破線が添加ガスの流量を示している。ここで、混合ガスの流速は、混合ガスの単位時間当りにおける流量を、第1の噴出口11の断面積で割ったものである。
図5は、Vc/Vsとガラス微粒子の堆積効率との関係を示している。
図6は、(v/vb)×(D/Db)1/2とガラス微粒子の堆積効率との関係を示している。
【0020】
【表1】
【0021】
(比較例1)
第1の噴出口11からはガラス原料ガスのSiCl4と添加ガスの酸素を、表2に示すように、両者の流量比がVc/Vs=1.5で一定となるような条件(ガラス原料ガス:5l/分、添加ガス:7.5l/分)で噴出し、第2の噴出口12からはアルゴンを1l/分噴出し、第3の噴出口13からは水素を60〜70l/分噴出し、このときの水素の流量を、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ用多孔質母材表面の温度が、堆積の初期段階から終了段階まで略一定となるように調整し、第4の噴出口14からは酸素を20l/分噴出した以外は実施例と同様にして、出発部材の周りにSiO2からなるガラス微粒子を12kg堆積させた円柱形の光ファイバ用多孔質母材を得た。
光ファイバ用多孔質母材の外径の変化に伴なって、ガラス微粒子の堆積効率を調べた。結果を、表2と図3、図5および図6に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
(比較例2)
第1の噴出口11からはガラス原料ガスのSiCl4と添加ガスの酸素を、表3に示すように、両者の流量比がVc/Vs=0.3で一定となるような条件(ガラス原料ガス:5l/分、添加ガス:1.5l/分)で噴出し、第2の噴出口12からはアルゴンを1l/分噴出し、第3の噴出口13からは水素を60〜70l/分噴出し、このときの水素の流量を、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ用多孔質母材表面の温度が、堆積の初期段階から終了段階まで略一定となるように調整し、第4の噴出口14からは酸素を20l/分噴出した以外は実施例と同様にして、出発部材の周りにSiO2からなるガラス微粒子を12kg堆積させた円柱形の光ファイバ用多孔質母材を得た。
光ファイバ用多孔質母材の外径の変化に伴なって、ガラス微粒子の堆積効率を調べた。結果を、表3と図3、図5および図6に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
(比較例3)
第1の噴出口11からはガラス原料ガスのSiCl4と添加ガスの酸素を、表4に示すように光ファイバ用多孔質母材の外径変動に応じて流量を増加させて噴出し、第2の噴出口12からはアルゴンを1l/分噴出し、第3の噴出口13からは水素を60〜70l/分噴出し、このときの水素の流量を、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ用多孔質母材表面の温度が、堆積の初期段階から終了段階まで略一定となるように調整し、第4の噴出口14からは酸素を20l/分噴出した以外は実施例と同様にして、出発部材の周りにSiO2からなるガラス微粒子を12kg堆積させた円柱形の光ファイバ用多孔質母材を得た。
光ファイバ用多孔質母材の外径の変化に伴なって、ガラス微粒子の堆積効率を調べた。結果を、表4と図3、図5および図6に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
表1〜表4および図3〜図6の結果から、実施例におけるガラス微粒子の平均堆積速度は25.0g/分、ガラス微粒子の平均堆積効率は58%であった。
比較例1におけるガラス微粒子の平均堆積速度は22.0g/分、ガラス微粒子の平均堆積効率は55%であった。
比較例2におけるガラス微粒子の平均堆積速度は23.0g/分、ガラス微粒子の平均堆積効率は49%であった。
比較例3におけるガラス微粒子の平均堆積速度は19.0g/分、ガラス微粒子の平均堆積効率は45%であった。
【0028】
また、図5の結果から、実施例においては、ガラス原料ガスと添加ガスの流量比Vc/Vsが、ガラス微粒子の堆積の初期段階では、0.5≦Vc/Vs≦3.0の範囲(以下、「範囲(A)」とする。)内、ガラス微粒子の堆積の終了段階では、0.2≦Vc/Vs≦1.0の範囲(以下、「範囲(B)」とする。)内であり、効果的なガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上が見られた。
比較例1においては、流量比Vc/Vsが、ガラス微粒子の堆積の初期段階では、範囲(A)内であったが、ガラス微粒子の堆積の終了段階では、範囲(B)外となった。この場合、ガラス微粒子の堆積の初期段階では、実施例と同程度のガラス微粒子の堆積速度および堆積効率を示したが、光ファイバ用多孔質母材の外径が増加しても、ガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上は見られなかった。
比較例2においては、流量比Vc/Vsが、ガラス微粒子の堆積の初期段階では、範囲(A)外となり、ガラス微粒子の堆積の終了段階では、範囲(B)内であった。この場合、光ファイバ用多孔質母材の外径が増加するに伴なって、ガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上が見られたが、ガラス微粒子の堆積の初期段階におけるガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の低下が影響して、最終的にはガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上は見られなかった。
比較例3においては、流量比Vc/Vsが、ガラス微粒子の堆積の初期段階では、範囲(A)外であり、ガラス微粒子の堆積の終了段階では、範囲(B)外であった。この場合、ガラス微粒子の堆積の初期段階から終了段階にわたって、ガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上はあまり見られなかった。
【0029】
また、図6の結果から、実施例においては、式(v/vb)×(D/Db)1/2の値が、光ファイバ用多孔質母材の外径が増加しても、0.5≦(v/vb)×(D/Db)1/2≦2.0の範囲(以下、「範囲(C)」とする。)内であり、効果的なガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上が見られた。
一方、比較例1〜3においては、式(v/vb)×(D/Db)1/2の値が、光ファイバ用多孔質母材の外径が増加するに伴なって、範囲(C)外となり、効果的なガラス微粒子の堆積速度および堆積効率の向上が見られなかった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法によれば、ガラス微粒子を堆積する初期段階から終了段階にわたって、出発部材および光ファイバ用多孔質母材の外径の変化に応じて、最適な条件でガラス微粒子の堆積を行なうことが可能となるから、ガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。また、ガラス原料ガスなどの損失が少なくなるから、堆積速度も向上する。そして、これらの結果として、光ファイバ用多孔質母材の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法に用いられるガラス合成用バーナの一例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法を示す概略説明図である。
【図3】 ガラス微粒子の堆積を開始してからの経過時間とガラス微粒子の堆積重量との関係を示すグラフである。
【図4】 実施例において、光ファイバ用多孔質母材の外径の変動と、添加ガスの流量および混合ガスの流速との関係を示すグラフである。
【図5】 Vc/Vsとガラス微粒子の堆積効率との関係を示すグラフである。
【図6】 (v/vb)×(D/Db)1/2とガラス微粒子の堆積効率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・第1のノズル、2・・・第2のノズル、3・・・第3のノズル、4・・・小口径ノズル、10・・・ガラス合成用バーナ、11・・・第1の噴出口、12・・・第2の噴出口、13・・・第3の噴出口、14・・・第4の噴出口、21・・・出発部材、22・・・光ファイバ用多孔質母材、23・・・把持具
Claims (2)
- ガラス原料ガスとこれに添加する添加ガスからなる混合ガスをガラス合成用バーナに導入して、該ガラス原料ガスを火炎中で加水分解反応または酸化反応させてガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子を出発部材の外周部の径方向に堆積して光ファイバ用多孔質母材を得る光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、
ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階における前記ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVsb、前記添加ガスの単位時間当りの流量をVcbとし、出発部材の外周部に堆積させる終了段階における前記ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVse、前記添加ガスの単位時間当りの流量をVceとすると、これらの関係をVcb/Vsb>Vce/Vseとして、
前記ガラス原料ガスの単位時間当りの流量をVsとし、前記添加ガスの単位時間当りの流量をVcとすると、これらの関係を、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階においては0.5≦Vcb/Vsb≦3.0、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する終了段階においては0.2≦Vce/Vse≦1.0とすることを特徴とする光ファイバ用多孔質母材の製造方法。 - 請求項1に記載の光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、
前記添加ガスを酸素または水素とすることを特徴とする光ファイバ用多孔質母材の製造方法。
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