JP3953820B2 - 光ファイバ多孔質母材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ多孔質母材の製造方法に関し、特に、酸水素炎中でガラス原料ガスを反応させてガラス微粒子を合成し、これを回転する出発部材の外周部の径方向に堆積する外付け法に用いられる光ファイバ多孔質母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、光ファイバ母材を溶融線引きして製造される。
また、光ファイバ母材の製造方法としては、VAD法、OVD法、MCVD法、PCVD法などの方法がある。なかでも、OVD(Outside Vapor Phase Deposition)法は、四塩化ケイ素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)などのガラス原料ガスを、酸素、水素とともに火炎中で加水分解反応または酸化反応させてガラス微粒子を合成し、その軸回りに回転するコアとなるガラス材を備えた円柱形の出発部材の外周部の径方向に、ガラス微粒子(スート)を堆積させて複数層からなる多孔質層を形成して光ファイバ多孔質母材とし、これを電気炉中で脱水、焼結しながら透明ガラス化し、光ファイバ母材を製造する方法である。
このような光ファイバ母材を溶融線引きして製造される光ファイバは、純度、その他の品質に優れたものとなる。
【0003】
OVD法において用いられるガラス微粒子を合成するためのバーナは、一般的に、マルチノズルタイプのものが用いられており、例えば、図1に示すような構造のガラス合成用バーナが用いられている。
この例のガラス合成用バーナの端面において、その中心にノズル1a、1bからなる第1のノズル群1が設けられ、この第1のノズル群1の周囲に、第1のノズル群1と中心軸を同じくして、ノズル2a、2bからなる第2のノズル群2が設けられている。また、第1のノズル群1と第2のノズル群2の間で、第1のノズル群1の同心円上には、複数個の内径および外径の等しい小口径ノズル3、3、…が配列された円環状の小口径ノズルの列4a、4bからなる小口径ノズル群4が設けられている。
また、ノズル1aが第1の噴出口11をなし、ノズル1aとノズル1bの間の部分が第2の噴出口12をなし、ノズル1bとノズル2aの間の部分が第3の噴出口13をなし、ノズル2aとノズル2bの間の部分が第4の噴出口14をなし、小口径ノズルの列4aが第5の噴出口15をなし、小口径ノズルの列4bが第6の噴出口16をなしている。
【0004】
OVD法において、ガラス微粒子を合成するには、一般的に、第1の噴出口11からは、例えばSiCl4などのガラス原料ガス、および酸素または水素などの添加ガスを供給し、第3の噴出口13からは水素などの可燃性ガスを供給し、第5の噴出口15および第6の噴出口16からは酸素などの支燃性ガスを供給する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、高速通信の需要の増加に伴って、光ファイバの生産量も年々増加している。そのため、光ファイバの製造コストを低減するために、光ファイバの製造に供される光ファイバ母材が大型化する傾向にある。これに伴なって、使用するガラス原料ガスの量も増加し、光ファイバ母材の製造に要する時間が長くなるから、光ファイバ多孔質母材の製造におけるガラス微粒子の合成反応の効率や、ガラス微粒子の出発部材への堆積効率を上げることが、非常に重要な課題となっている。
【0006】
光ファイバ母材が大型化すると、光ファイバ多孔質母材の製造において、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階から終了段階までに、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材の外径が大きく変化していく。光ファイバ多孔質母材が細いときと、太いときでは、ガラス微粒子を堆積するのに最適な、ガラス合成用バーナの発する火炎の条件が異なる。したがって、ガラス微粒子の堆積中には、光ファイバ多孔質母材の外径に応じて流量を変更することが好ましい。
【0007】
ところが、従来のマルチノズルタイプのガラス合成用バーナにあっては、図4に示すように、第5の噴出口15および第6の噴出口16に支燃性ガスを導入するための支燃性ガス流入口25が1箇所だけ設けられていた。したがって、第5の噴出口15および第6の噴出口16を構成する複数の小口径ノズル3、3、…それぞれから噴出される支燃性ガスの流量は、第5の噴出口15および第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの全流量によって制御されていた。すなわち、支燃性ガス流入口25から流入した支燃性ガスの全流量を制御することにより、第5の噴出口15および第6の噴出口16から噴出される全ての支燃性ガスの流量を制御していた。
【0008】
小口径ノズルの列を2列以上に配列した場合、図1に示したガラス合成用バーナのように、例えば、小口径ノズル群4全体の支燃性ガスの流量を制御しても、内側に配列された小口径ノズルの列4aと、外側に配列された小口径ノズルの列4bとでは、小口径ノズル3、3、…内部と支燃性ガスとの抵抗が異なる。したがって、支燃性ガスの流量の制御条件によっては、小口径ノズルの列4aと小口径ノズルの列4bでは、支燃性ガスが同じように流れないという問題があった。また、内側に配列された小口径ノズルの列4aと、外側に配列された小口径ノズルの列4bとでは、これらの先端で発する火炎の強さや、ガラス原料ガスと支燃性ガスとの反応の状態が異なる。したがって、出発部材またはガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材の外径に応じて、各小口径ノズルの列には最適な支燃性ガスの流量がある。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ多孔質母材の製造において、ガラス微粒子の合成反応の効率およびガラス微粒子の堆積効率を向上する光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置およびこれを用いた光ファイバ多孔質母材の製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、中心軸を同じくして配列された1列または複数列のノズルからなる第1のノズル群と、該第1のノズル群の周囲に、該第1のノズル群と中心軸を同じくして配列された1列または複数列のノズルからなる第2のノズル群と、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群の間に、前記第1のノズル群の同心円上に、複数個の内径および外径の等しい小口径ノズルが配列されてなる複数列の小口径ノズル群とを備えたガラス合成用バーナと、該ガラス合成用バーナの後端部に設けられた複数のガス流入口と、前記ガラス合成用バーナにガラス原料ガス、添加ガス、支燃性ガス、可燃性ガスおよび不活性ガスを導入するガス供給源と、これらのガスの流量または流速を制御するガス制御部とを備えた光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置を用いて、ガラス原料ガスを火炎中で加水分解反応または酸化反応させてガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子を回転する出発部材の外周部の径方向に堆積して光ファイバ多孔質母材を得る光ファイバ多孔質母材の製造方法であって、前記小口径ノズル群の各列毎に、前記複数のガス流入口からそれぞれ独立にガスを導入し、前記小口径ノズル群から同一の支燃性ガスを噴出し、かつ前記小口径ノズル群の列の少なくとも2列から噴出するそれぞれの支燃性ガスの流量の比率を、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階と終了段階の間に1回以上変化させる光ファイバ多孔質母材の製造方法によって解決できる。
【0011】
前記小口径ノズル群から同一の支燃性ガスを噴出し、かつ前記小口径ノズル群の列の少なくとも1列から噴出する支燃性ガスの流量と、前記小口径ノズル群の他の列から噴出する支燃性ガスの流量とは、他のガスの流量などの条件にもよるが、異なるようにすると、なお好ましい。
上記光ファイバ多孔質母材の製造方法において、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階において、前記小口径ノズル群の内側の列から噴出する支燃性ガスの流量を、前記小口径ノズル群の外側の列から噴出する支燃性ガスの流速よりも多くし、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する終了段階において、前記小口径ノズル群の内側の列から噴出する支燃性ガスの流速を、前記小口径ノズル群の外側の列から噴出する支燃性ガスの流速よりも少なくすることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、光ファイバ多孔質母材の製造に用いられるガラス合成用バーナの一例を示す概略構成図である。
本発明の光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置は、この例のガラス合成用バーナと、このガラス合成用バーナにガラス原料ガス、酸素、水素、不活性ガスを導入するガス供給源(図示略)と、これらのガスの流量または流速を制御するガス制御部(図示略)とから概略構成されている。
【0013】
ガス供給源は、SiCl4などのガラス原料ガス、酸素、水素、不活性ガスなどが充填されたガスボンベ(図示略)などからなり、ガラス合成用バーナの後端部に、ガス供給管路(図示略)を介して接続されている。
また、ガス制御部は、電磁バルブ、流量制御装置などからなり、上述のガス供給管路の中途に設けられており、この流量制御装置により、ガスの流量または流速を制御するものである
【0014】
この例のガラス合成用バーナは、外径40〜60mm程度の円筒形で、一般的には、石英ガラスで形成されている。
この例のガラス合成用バーナを構成する第1のノズル群1のノズル1aの内径は2.5〜6mm程度、ノズル1bの内径は4〜10mm程度となっている。また、第2のノズル群2のノズル2aの内径は25〜45mm程度、ノズル2bの内径は35〜55mm程度となっている。また、小口径ノズル3の内径は1〜2mm程度となっており、小口径ノズルの列4aの直径は10〜30mm程度、小口径ノズルの列4bの直径は15〜40mm程度となっている。
【0015】
また、本発明の光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置に備えられるガラス合成用バーナは、図2に示すように、その後端部に、複数のガス流入口が設けられている。符号21は第1の噴出口11に原料ガスと、酸素または水素の添加ガスとを導入する原料ガス流入口を示し、符号22は第2の噴出口12にアルゴンなどの不活性ガスを導入する不活性ガス流入口を示し、符号23は第3の噴出口13に可燃性ガスを導入する可燃性ガス流入口を示し、符号24は第4の噴出口14に支燃性ガスを導入する第1の支燃性ガス流入口を示し、符号25aは第5の噴出口15に支燃性ガスを導入する第2の支燃性ガス流入口を示し、符号25bは第6の噴出口16に支燃性ガスを導入する第3の支燃性ガス流入口を示している。
このように、第5の噴出口15、第6の噴出口16に、それぞれ独立に第2の支燃性ガス流入口25a、第3の支燃性ガス流入口25bを設けることにより、第5の噴出口15、第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの流量および流速をそれぞれ独立に制御できるようになっている。
【0016】
なお、図2には、本発明の光ファイバ多孔質母材の製造装置に備えられるガラス合成用バーナの一例を示したが、本発明の光ファイバ多孔質母材の製造装置に備えられるガラス合成用バーナは、これに限定されるものではない。本発明の光ファイバ多孔質母材の製造装置に備えられるガラス合成用バーナは、図2に示したガラス合成用バーナと類似の構造を有するものであればよい。すなわち、1列または複数列に配列されてなる小口径ノズル群の各列毎に、それぞれ独立した支燃性ガス流入口が設けられていればよい。
【0017】
以下、本発明の光ファイバ多孔質母材の製造方法について説明する。
本発明の光ファイバ多孔質母材の製造方法では、例えば、その軸回りに回転するコアとなるガラス材を備えた円柱形の出発部材の表面に、図1および図2に示したガラス合成用バーナの第1の噴出口11からSiCl4などのガラス原料ガス、および酸素または水素などの添加ガスを供給し、第3の噴出口13から水素などの添加ガスを供給し、第5の噴出口15および第6の噴出口16から酸素などの支燃性ガスを供給して、ガラス合成用バーナの酸水素炎中における加水分解反応により、ガラス微粒子を合成し、このガラス微粒子を、出発部材の表面に半焼結状態で半径方向に堆積し、光ファイバ多孔質母材を得る。
このとき、第5の噴出口15、第6の噴出口16にはそれぞれ独立に、第2の支燃性ガス流入口25aまたは第3の支燃性ガス流入口25bから支燃性ガスが導入される。すなわち、第5の噴出口15には第2の支燃性ガス流入口25aから支燃性ガスが導入され、第6の噴出口16には第3の支燃性ガス流入口25bから支燃性ガスが導入される。また、第5の噴出口15、第6の噴出口16に導入される支燃性ガスの流量および流速をそれぞれ独立に制御する。これにより、ガラス微粒子を堆積するターゲットとなる出発部材またはガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材の外径に応じて、第5の噴出口15および第6の噴出口16に最適な支燃性ガスの流量および流速を設定することができる。
【0018】
また、本発明の光ファイバ多孔質母材の製造方法にあっては、第5の噴出口15および第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの組成を同一とし、第5の噴出口15から噴出される支燃性ガスの流量をV1、第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの流量をV2とすると、V1≠V2であるとなお好ましい場合が多く、また、支燃性ガスの流量V1と流量V2の比率を、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階と終了段階の間に1回以上変化させると、さらに好ましい。
すなわち、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階においては、第5の噴出口15から噴出される支燃性ガスの流量V1を、第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの流量V2よりも多くし、ガラス微粒子を堆積する終了段階においては、第5の噴出口15から噴出される支燃性ガスの流量V1を、第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの流量V2よりも少なくすることが好ましい。
【0019】
ガラス微粒子を堆積する初期段階では、ガラス微粒子が堆積されるターゲットとなる出発部材が細いため、ガラス合成用バーナの発する火炎が出発部材にあたる面積が小さい。したがって、ガラス合成用バーナの中心部近傍に設けられた第5の噴出口15から噴出される支燃性ガスの流量V1を、第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの流量V2よりも多くして、ガラス原料ガスをガラス合成用バーナの中心部近傍に集中させることが好ましい。これにより、ガラス微粒子の慣性力が大きくなるため、ガラス微粒子の堆積速度を上げることができる。
また、ガラス微粒子を堆積する終了段階では、ターゲットとなるガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材が太くなるため、ガラス合成用バーナの発する火炎が光ファイバ多孔質母材にあたる面積が大きくなる。したがって、第5の噴出口15から噴出される支燃性ガスの流量V1を、第6の噴出口16から噴出される支燃性ガスの流量V2よりも少なくし、火炎を大きくすることでサーモフォレシス効果により、堆積するガラス微粒子の割合を増やすことが好ましい。このようにすれば、効果的にガラス微粒子の堆積を行うことができる。
【0020】
このように、本発明の光ファイバ多孔質母材の製造方法によれば、出発部材の表面にガラス微粒子を堆積する際に、堆積速度を上げることができるから、製造効率が良くなる。また、出発部材またはガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材の外径に応じて、小口径ノズル群の各列から噴出される支燃性ガスの流量および流速を最適な状態に設定することができる。したがって、ガラス微粒子の合成反応の効率を向上することができるから、結果として、ガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。
【0021】
ここで、ガラス微粒子の堆積効率とは、使用したガラス原料ガスが全て化学反応によってガラス微粒子に変化したと仮定したときのガラス微粒子の総量に対する、出発部材の表面に堆積されたガラス微粒子の総量の割合で定義するものである。また、堆積速度とは、単位時間当りに出発部材の表面に堆積されたガラス微粒子の重量で表されるものである。
【0022】
以下、図1および図2を用いて具体的な実施例を示し、本発明の効果を明らかにする。
(実施例)
図1および図2に示したガラス合成用バーナを備えた光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置を用意した。
次いで、外径30mm、長さ1200mmの石英系ガラスからなる円柱形の出発部材を用意した。
次いで、この出発部材の両端部を把持具で把持し、出発部材を水平に配置した。次いで、この出発部材を、その中心軸を中心にして回転させながら、上記のガラス合成用バーナを用いてガラス微粒子を合成し、ガラス合成用バーナを出発部材の長手方向と平行に移動させながら、ガラス微粒子を回転する出発部材の半径方向に堆積して、円柱形の光ファイバ多孔質母材を得た。
このとき、出発部材の回転速度を30rpmとした。
また、第1の噴出口11からはガラス原料ガスのSiCl4を5l/分と酸素を2l/分噴出し、第2の噴出口12からはアルゴンを1l/分噴出し、第3の噴出口13からは水素を噴出し、第5の噴出口15および第6の噴出口16からは酸素を合計30l/分噴出し、第4の噴出口14からは酸素を20l/分噴出した。
また、第3の噴出口13から噴出される水素の流量を、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材表面の温度が、堆積の初期段階から終了段階まで略一定となるように調整した。
さらに、第5の噴出口15から噴出される酸素の流量と、第6の噴出口16から噴出される酸素の流量をそれぞれ独立に設定し、ガラス微粒子を堆積中、光ファイバ多孔質母材の外径が大きくなるにしたがい、それぞれの噴出口から噴出される酸素の流量を表1のように変化させた。
光ファイバ多孔質母材の外径の変化に伴なって、ガラス微粒子の堆積効率を調べた。結果を図3に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
(比較例)
図1および図4に示したガラス合成用バーナを備えた光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置を用意した。
次いで、この出発部材の両端部を把持具で把持し、出発部材を水平に配置した。次いで、この出発部材を、その中心軸を中心にして回転させながら、上記のガラス合成用バーナを用いてガラス微粒子を合成し、ガラス合成用バーナを出発部材の長手方向と平行に移動させながら、ガラス微粒子を回転する出発部材の半径方向に堆積して、円柱形の光ファイバ多孔質母材を得た。
このとき、出発部材の回転速度を30rpmとした。
また、第1の噴出口11からはガラス原料ガスのSiCl4を5l/分と酸素を2l/分噴出し、第2の噴出口12からはアルゴンを1l/分噴出し、第3の噴出口13からは水素を噴出し、第5の噴出口15および第6の噴出口16からは酸素を合計30l/分噴出し、第4の噴出口14からは酸素を20l/分噴出した。
また、第3の噴出口13から噴出される水素の流量を、ガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材表面の温度が、堆積の初期段階から終了段階まで略一定となるように調整した。
さらに、第5の噴出口15から噴出される酸素の流量と、第6の噴出口16から噴出される酸素の流量の比率を、ガラス微粒子を堆積中一定とした。
光ファイバ多孔質母材の外径の変化に伴なって、ガラス微粒子の堆積効率を調べた。結果を図3に示す。
【0025】
図3の結果から、実施例で示したように、第5の噴出口15から噴出される酸素の流量と、第6の噴出口16から噴出される酸素の流量との比率を、光ファイバ多孔質母材の外径の変化に伴なって変化させることにより、ガラス微粒子の堆積効率を上昇させることができることが確認された。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置によれば、酸素などの支燃性ガスを噴出する小口径ノズル群の各列毎に、それぞれ独立に支燃性ガスの流量を制御することができる。したがって、光ファイバ多孔質母材の製造において、ガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。
また、本発明の光ファイバ多孔質母材の製造方法によれば、出発部材またはガラス微粒子を堆積中の光ファイバ多孔質母材の外径に応じて、小口径ノズル群の各列から噴出される支燃性ガスの流量および流速を最適な状態に設定することができるから、ガラス微粒子の合成反応の効率を向上することができるため、結果として、ガラス微粒子の堆積効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ファイバ多孔質母材の製造に用いられるガラス合成用バーナの一例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の光ファイバ多孔質母材の製造装置に備えられるガラス合成用バーナの一例を示す断面図である。
【図3】 光ファイバ多孔質母材の外径の変化と、ガラス微粒子の堆積効率との関係を示すグラフである。
【図4】 従来の光ファイバ多孔質母材の製造装置に備えられるガラス合成用バーナの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・第1のノズル群、1a,1b,2a,2b・・・ノズル、2・・・第2のノズル群、3・・・小口径ノズル、4・・・小口径ノズル群、4a,4b・・・小口径ノズルの列、11・・・第1の噴出口、12・・・第2の噴出口、13・・・第3の噴出口、14・・・第4の噴出口、15・・・第5の噴出口、16・・・第6の噴出口、21・・・原料ガス流入口、22・・・不活性ガス流入口、23・・・可燃性ガス流入口、24・・・第1の支燃性ガス流入口、25・・・支燃性ガス流入口、25a・・・第2の支燃性ガス流入口、25b・・・第3の支燃性ガス流入口
Claims (3)
- 中心軸を同じくして配列された1列または複数列のノズルからなる第1のノズル群と、該第1のノズル群の周囲に、該第1のノズル群と中心軸を同じくして配列された1列または複数列のノズルからなる第2のノズル群と、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群の間に、前記第1のノズル群の同心円上に、複数個の内径および外径の等しい小口径ノズルが配列されてなる複数列の小口径ノズル群とを備えたガラス合成用バーナと、該ガラス合成用バーナの後端部に設けられた複数のガス流入口と、前記ガラス合成用バーナにガラス原料ガス、添加ガス、支燃性ガス、可燃性ガスおよび不活性ガスを導入するガス供給源と、これらのガスの流量または流速を制御するガス制御部とを備えた光ファイバ多孔質母材製造用バーナ装置を用いて、ガラス原料ガスを火炎中で加水分解反応または酸化反応させてガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子を回転する出発部材の外周部の径方向に堆積して光ファイバ多孔質母材を得る光ファイバ多孔質母材の製造方法において、
前記小口径ノズル群の各列毎に、前記複数のガス流入口からそれぞれ独立にガスを導入し、
前記小口径ノズル群から同一の支燃性ガスを噴出し、かつ前記小口径ノズル群の列の少なくとも2列から噴出するそれぞれの支燃性ガスの流量の比率を、ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階と終了段階の間に1回以上変化させることを特徴とする光ファイバ多孔質母材の製造方法。 - 前記小口径ノズル群から同一の支燃性ガスを噴出し、かつ前記小口径ノズル群の列の少なくとも1列から噴出する支燃性ガスの流量と、前記小口径ノズル群の他の列から噴出する支燃性ガスの流量とを異なるようにすることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ多孔質母材の製造方法。
- 請求項1記載の光ファイバ多孔質母材の製造方法において、
ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する初期段階において、前記小口径ノズル群の内側の列から噴出する支燃性ガスの流量を、前記小口径ノズル群の外側の列から噴出する支燃性ガスの流量よりも多くし、
ガラス微粒子を出発部材の外周部に堆積する終了段階において、前記小口径ノズル群の内側の列から噴出する支燃性ガスの流量を、前記小口径ノズル群の外側の列から噴出する支燃性ガスの流量よりも少なくすることを特徴とする光ファイバ多孔質母材の製造方法。
Priority Applications (1)
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