JPH051108A - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂の製造方法

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JPH051108A
JPH051108A JP15463891A JP15463891A JPH051108A JP H051108 A JPH051108 A JP H051108A JP 15463891 A JP15463891 A JP 15463891A JP 15463891 A JP15463891 A JP 15463891A JP H051108 A JPH051108 A JP H051108A
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reaction
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Minoru Nakajima
稔 中嶋
Minoru Kuwabara
実 桑原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂粒子の凝集や装置内壁へのスケールの付
着を防止し且つ溶解粘度の低下したポリビニルアセター
ル樹脂を得る。 【構成】 ガラスライニング管からなるループ状反応器
10内に、平均重合度1700、鹸化度99.0モル%のポリビニ
ルアルコール水溶液とアセトアルデヒドとブチルアルデ
ヒドの混合液を循環させ塩酸触媒の存在下で60℃で部分
反応させる。反応器10内を循環する混合液のレイノズル
数は7236である。反応物のアセトアセタール化度は12.9
モル%、ブチラール化度は29.6モル%である。この反応
物を順次慣用の釜状反応器2に入れ攪拌しながら65℃で
4時間反応、熟成し、粒子径5〜10μm の顆粒状のポリ
ビニルブチラール樹脂を得る。樹脂のアセトアセタール
化度は39.5モル%、ブチラール化度は31.0モル%であ
り、5%溶剤(エタノールとトルエンの等量混合溶剤)
による溶液粘度は60センチポイズで低粘度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、溶融粘度や溶液粘度
が低下したポリビニルアセタール樹脂の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルブチラールのようなポリビニ
ルアセタール樹脂は、合わせガラスの中間膜や接着剤や
塗料の原料として広く使用されている。
【0003】このような原料樹脂には、水媒体を用いる
沈澱法で製造されたポリビニルブチラール樹脂が専ら用
いられている。その理由は、この水媒体を用いる沈澱法
が、溶液法のように高価な溶剤の回収の必要がなく、工
業的に有利であるからである。
【0004】しかし、沈澱法では触媒を多く(例えば、
酸触媒を2〜4重量%)使用するため、その精製上の問
題から粒子を細かく(例えば、50μm 以下)する必要が
ある。この場合、粒子の凝集のない均一な粒子を得るた
めにアセタール化反応を比較的低温(0〜30℃)で行う
必要があった。
【0005】また、比較的低温で反応を行わなければ反
応装置の内壁にスケールが付着し、長時間の運転が不可
能になったり、内壁からスケールが脱落して樹脂中に混
入して樹脂の品質が低下することがあり、この点からも
アセタール化反応を比較的低温で行う必要があった。
【0006】しかし、アセタール化反応を比較的低温で
行う場合は、アセタール化反応の際にポリビニルアルコ
ールのゲル化が発生し、得られる樹脂の溶融粘度や溶解
粘度が高くなる。
【0007】このような樹脂を用いて曲率の大きい合わ
せガラスを製造する場合は、その溶融粘度の高さ故にガ
ラスの曲面に追随することが困難となり、そのためガラ
ス板と中間膜との間に空気が残留し、品質の良好な合わ
せガラスを効率良く製造することができない。また、接
着剤や塗料を製造する場合には、多量の溶剤を使用しな
ければ塗布作業性が悪くなり、コストの安い接着剤や塗
料を製造することができない。
【0008】ところで、米国特許第 2,720,501号明細書
には、ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒドとをル
ープ状反応器内で循環させながら50〜90℃で部分的に反
応させ、次いで釜状反応器内で攪拌しながら60〜100 ℃
で完全に反応させることにより、沈澱法でポリビニルア
セタール樹脂を製造する方法が開示されている。
【0009】この方法において、ループ状反応器内を循
環する流体の流速は、5フィート/秒(約1.5 m/秒)
以上に設定される。そして、実施例では、12フィート/
秒に設定されている。このような条件で反応を行うこと
により、得られる樹脂粒子の凝集を防止している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この方法に
したがって比較的高温(50〜100 ℃)でアセタール化反
応を行う場合、条件によっては樹脂粒子の凝集はある程
度防止される。しかし、樹脂の粘着性のため反応装置の
内壁等にスケールが付着していき、長時間の運転が不可
能になったり、内壁からスケールが脱落して樹脂中に混
入して樹脂の品質不良が発生するという問題のあること
がわかった。
【0011】この発明は、このような問題を解決するも
のであり、その目的とするところは、溶剤溶解性が改善
され、溶液粘度や溶融粘度の低下した樹脂を得ることが
できるとともに、樹脂粒子の凝集が防止され、しかも反
応装置内壁にスケールが付着するのを防止することがで
きるポリビニルアセタール樹脂の製造方法を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明は、ポリビニルアルコール水溶液とアルデ
ヒドとをループ状反応器内で循環させながら30〜90℃で
部分的に反応させ、次いで釜状反応器内で攪拌しながら
30〜90℃で完全に反応させることにより、ポリビニルア
セタール樹脂を製造する方法において、ループ状反応器
内壁をガラスで形成し、アセタール化度が少なくとも40
モル%までの反応を、ループ状反応器内を循環する流体
のレイノズル数(Re)が5000以上となるような条件で行
うものである。
【0013】さらに、好ましくは、ループ状反応器内壁
のガラスの表面粗さがRz 値で0.5μm 以下(但し、Rz
値は触針式粗さ測定器を用い、ISO R468に準拠して測
定した10点平均粗さである)とするものである。
【0014】以下、図1に示す反応装置を参照しなが
ら、この発明を詳細に説明する。図1は、この発明に用
いる反応装置の一例を示す概略説明図である。この反応
装置は、ポリビニルアルコール溶解槽1と、アルデヒド
タンク3と、ループ状反応器10と、釜状反応器2とを備
えている。
【0015】ポリビニルアルコール溶解槽1とループ状
反応器10とは供給パイプ4で連結され、アルデヒドタン
ク3とループ状反応器10とは供給パイプ6で連結されて
いる。また、ループ状反応器10と釜状反応器2とは移送
パイプ5で連結されている。17は抜出しバルブである。
【0016】そして、ループ状反応器10には、循環ポン
プ7、圧力計8、流量計9が設けられ、供給パイプ4、
6には、それぞれ供給ポンプ14、16が設けられている。
また、釜状反応器2には、未反応アルデヒドの系外への
流出を防ぐために還流冷却器(図は省略)が設けられて
いる。
【0017】このような反応装置において、ポリビニル
アルコール溶解槽1には、ポリビニルアルコールの水溶
液が用意される。ポリビニルアルコールとしては、一般
に平均重合度が200 〜2600、鹸化度が90〜100 %のポリ
ビニルアルコールが用いられる。そして、一般に5〜12
重量%の水溶液とされる。或いは、20℃において4%水
溶液で測定した粘度が、一般に、4〜60センチポイズと
なるように調整される。
【0018】ポリビニルアルコールの水溶液には、酸触
媒が添加される。酸触媒としては、塩酸、蟻酸、燐酸、
硫酸、パラトルエンスルホン酸等が用いられる。これ等
の酸触媒は、例えば塩酸の場合は、一般に0.05〜1.0 重
量%含有される。或いは、水溶液のpHが、一般に1〜
2になるように調整される。
【0019】アルデヒドタンク3には、アルデヒド又は
その水溶液が用意される。アルデヒドとしては、一般に
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアル
デヒド、ブチルアルデヒド等の炭素数1〜6の脂肪族ア
ルデヒドの単独アルデヒド或いは二種以上の混合アルデ
ヒドが用いられる。ホルムアルデヒドにような低級アル
デヒドは樹脂の耐熱性を高め、ブチルアルデヒドのよう
な高級アルデヒドは樹脂の溶剤溶解性を高める。特に、
混合アルデヒドを用いると物性のバランスがとりやすく
なり好ましい。なお、アルデヒドには、上記のアルデヒ
ドに変換し得るパラホルムアルデヒドやパラアセトアル
デヒドなどのアルデヒド類も含むものとする。
【0020】先ず、酸触媒を含有するポリビニルアルコ
ールの水溶液が、供給ポンプ4によりループ状反応器10
に一定割合で供給されるとともに、アルデヒド又はその
水溶液が、供給ポンプ6によりループ状反応器10に一定
割合で供給される。ポリビニルアルコール量に対してア
ルデヒド量は理論量より一般に5〜40重量%過剰に供給
される。供給量は変動しないように正確に制御される。
【0021】ポリビニルアルコールの水溶液とアルデヒ
ド又はその水溶液とは、ループ状反応器10の合流点を通
って混合され、その混合流体は循環ポンプ7によりルー
プ状反応器10内を循環する。この際、ループ状反応器10
の内壁をガラスで形成し且つループ状反応器11内を循環
する流体のレイノズル数(Re)が5000以上、好ましくは
7000〜10000 以上となるような条件で反応させることが
必要である。その理由は次の通りである。
【0022】スケールが反応装置の内壁へ付着するか否
かは、装置内壁への樹脂の付着力と、付着したスケール
を装置内壁から剥離させようとする力との関係によって
決まる。例えば、スケールの剥離力が付着力に比して強
ければ、樹脂は装置内壁へ付着しない。
【0023】ポリビニルブチラールのようなポリビニル
アセタール樹脂は、アセタール化度により性質が異な
る。水媒体を用いる沈澱法で製造されるポリビニルアセ
タール樹脂は、一般に、アセタール化度が40モル%まで
は粒子の形成が不完全なゲル化状態であり粘着性が強
く、反応装置の内壁や配管内にスケールとして付着しや
すいことが判明した。
【0024】そこで、ループ状反応器10の内壁をステン
レス鋼、ガラス、合成樹脂等の各種材料で形成し、アセ
タール化度が40モル%までの反応液について、各種材料
に対する付着性を調べると、水との接触角の小さい(つ
まり、水に濡れやすい)材料ほど付着しにくいことが判
明した。水との接触角が7°のガラスを用いて反応液の
付着性を確認した結果、ガラスに対して反応液は付着し
にくいことが判明した。この発明において、反応液は水
を媒体としているので、ガラスの表面が水で濡れること
によりガラスの表面に形成される水層が、樹脂の付着を
防いでいるものと推測される。
【0025】このようにループ状反応器10の内壁をガラ
スで形成すると、樹脂が付着しにくくなるが、スケール
の付着防止としては不充分である。そこで、アセタール
化度が40モル%までは粒子によるスケールの剥離力を増
大させるために、強い乱流を形成する流体のレイノズル
数(Re)に着目し、ループ状反応器10内を循環する流体
のレイノズル数(Re)を種々の値に変えてスケールの付
着を調べたところ、流体のレイノズル数(Re)が5000以
上であれば、樹脂粒子の凝集が防止されるとともにスケ
ールは装置内壁へ付着しないことが判明した。
【0026】ここで、流体のレイノズル数(Re)は、ル
ープ管の口径×流速×流体の密度/流体の粘度で与えら
れる。それゆえ、これ等の値を適当に設定することによ
り、流体のレイノズル数(Re)を5000以上にすることが
できる。なお、流体の流速は循環ポンプ33の調節によっ
て行うことができる。なお、ループ状反応器10内を循環
する流体の平均滞留時間は、一般に1〜10分とされる。
【0027】この場合、ループ状反応器10の内壁を形成
するガラスの表面粗さを、Rz 値で0.5 μm 以下(但
し、Rz 値は触針式粗さ測定器を用い、ISO R468に準拠
して測定した10点平均粗さである)とするのが好まし
い。これは、樹脂が付着するときのアンカーが減少する
ためと推測される。なお、ガラスとしては、ソーダ石灰
ガラス、カリガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石
英ガラス、琺瑯等が挙げられる。
【0028】前述のように、ポリビニルアルコール水溶
液とアルデヒドとをループ状反応器10内を循環させると
ともに、ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒドの供
給に見合う量を、抜出しバルブ32を操作して排出され、
この排出された部分反応のスラリー液は釜状反応器40に
入れられる。樹脂粒子の凝集やスケールの付着を防止す
るために、釜状反応器40に入れられる部分反応の樹脂の
アセタール化度は40モル%を越えるものでなければ、樹
脂粒子の凝集やスケールの付着は防止、55モル%以上の
ものが好ましい。
【0029】ここで、アセタール化度は、例えば、反応
液(スラリー液)を常法で中和、水洗、乾燥して得られ
る反応物を用い、この反応物の10〜20重量%ジメチルス
ルホキシド(DMSO−d6)溶液を作成し、共鳴種とし
て同位元素13Cを用いる13C核磁気共鳴スペクトル法で
測定することができる。ループ状反応器10内でアセター
ル化反応を行う場合、アセタール化度には分布があり、
この発明でいうアセタール化度とは、分布をもったアセ
タール化度の平均値である。なお、混合アルデヒドを用
いる場合は、各アルデヒドのアセタール化度の合計を意
味する。
【0030】釜状反応器40は、攪拌翼を備えた通常の釜
状反応器が使用される。釜状反応器10の内壁、その他の
配管部分は、ステンレス鋼、ガラスライニング材のいず
れの材質であってもよいが、好ましくはガラスライニン
グ材が用いられる。攪拌翼を回転させて攪拌しながら、
30〜90℃で一般に2〜5時間反応、熟成させて反応を完
結させた後冷却される。その後、常法により中和、水
洗、乾燥して、粉末状或いは顆粒状のポリビニルアセタ
ール樹脂が製造される。ポリビニルアセタール樹脂のア
セタール化度は、用途により異なるが、一般に全アセタ
ール化度で60〜75モル%とされる。
【0031】
【作用】上述のように、ループ状反応器内と釜状反応器
を用い、ループ状反応器内壁をガラスで形成し、アセタ
ール化度が少なくとも40モル%までの反応を、ループ状
反応器内を循環する流体のレイノズル数(Re)が5000以
上となるような条件で、水媒体を用いる沈澱法でポリビ
ニルアルコールとアルデヒドとの反応を行うと、ループ
状反応器内の部分反応物は強い乱流となり、その高い攪
拌作用によって、反応温度が30〜90℃と比較的高い温度
であっても、樹脂粒子の凝集が防止される。
【0032】しかも、上記の高い攪拌作用とガラス表面
に形成される水層の作用とが相まって、器壁へのスケー
ルの付着も防止される。特に、ループ状反応器内壁のガ
ラスの表面粗さをRz 値で0.5 μm 以下とすれば、ガラ
ス表面のアンカーの減少により、器壁へのスケールの付
着防止に一層の効果がある。
【0033】
【実施例】以下、この発明の実施例及び比較例を示す。実施例1 この実施例では図1に示す反応装置を用いた。
【0034】ポリビニルアルコール溶解槽1は、容積10
0 リットルのステンレス製からなり、アルデヒドタンク
3は、容積6リットルのステンレス製からなる。また、
ループ状反応器10は口径25mmの内面ガラスライニング配
管で形成し、その容量を10リットルとした。釜状反応器
2は、容積100 リットルの内面ガラスライニング材から
なる。上記のガラスライニングは、いずれも表面粗さは
Rz 値で0.3 μm である。
【0035】先ず、ポリビニルアルコール溶解槽1に純
水62リットルを入れ、これに平均重合度1700、鹸化度9
9.0モル%のポリビニルアルコール7500gを投入して分
散させた後、これを90℃に昇温してポリビニルアルコー
ルを完全に溶解した後、60℃まで冷却保持した。さら
に、触媒として濃度35%の塩酸 160gを投入した。ま
た、アルデヒドタンク3にアセトアルデヒド1700gとブ
チルアルデヒド2150gを入れよく混合した。
【0036】ループ状反応器10内に純水を充満させ、こ
れを60℃に加熱保持し循環ポンプ7を運転して循環させ
た。また、釜状反応器2には、純水11リットルと濃度35
%の塩酸25gを投入し攪拌して、これを60℃に加熱保持
した。
【0037】酸触媒を含有する上記のポリビニルアルコ
ール水溶液と上記の混合アルデヒドとを、ループ状反応
器10内へ供給した。両者は合流点を通って混合され、そ
の混合液は循環ポンプ7によりループ状反応器10内を循
環する。この際、ループ状反応器10内を循環する流体の
レイノズル数(Re)を7236(ループ管の口径0.025 m、
流速4m/秒、流体の密度1013 kg/m3 、流体の粘度
0.014kg/m・秒)に調節し、粒子の合着を防止しなが
ら反応を進めた。
【0038】ポリビニルアルコール水溶液と混合アルデ
ヒドの供給に見合う量を、抜出しバルブ17を調節して排
出し、これを釜状反応器2に入れる。ポリビニルアルコ
ール水溶液と混合アルデヒドの供給量は、60分で両者の
供給が終了するように供給ポンプ4、6を制御した。ル
ープ状反応器10の出口よりスラリー液をサンプリングし
て、その樹脂のアセタール化度を核磁気共鳴スペクトル
法により測定したところ、アセトアセタール化度は12.9
モル%、ブチラール化度は29.6モル%であった。
【0039】釜状反応器2の攪拌翼の回転数250rpm、攪
拌翼の周速2m/秒、使用効率10w/リットルに設定し
て攪拌しながら、65℃で4時間反応、熟成を行った後、
40℃まで冷却した。その後、常法で中和、水洗、乾燥し
て、粒子径5〜10μm の顆粒状のポリビニルブチラール
樹脂を製造した。
【0040】得られたポリビニルブチラール樹脂につい
て、核磁気共鳴スペクトル法によりアセタール化度を求
めたところ、アセトアセタール化度は39.5モル%、ブチ
ラール化度は31.0モル%であった。
【0041】また、B型粘度計を用いて、濃度5重量%
の混合溶剤(エタノールとトルエンの等量混合溶剤)に
よる溶液粘度を測定したところ、その溶液粘度は60セン
チポイズで低粘度であった。また、25mmΦのメンブレン
フィルター(孔径3μm )を用いて、上記溶液5cm3
500 g/cm2の荷重で濾過する時間を測定したところ、そ
の濾過時間は5秒以下で早かった。
【0042】実施例2 実施例1において、アセトアルデヒド1700gとブチルア
ルデヒド2150gに替えて、35重量%のホルムアルデヒド
水溶液2200gとブチルアルデヒド3080gを用いた。それ
以外は、実施例1と同様に行った。
【0043】この場合、粒子径は5〜10μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のホルマール化度は2
2.9モル%、ブチラール化度は47.2モル%であった。溶
液粘度は65センチポイズで低粘度であった。また、溶液
の濾過時間は5秒以下で早かった。
【0044】実施例3 実施例1において、アセトアルデヒド1700gとブチルア
ルデヒド2150gに替えて、35重量%のホルムアルデヒド
水溶液2200gアセトアルデヒド750 gとブチルアルデヒ
ド1850gを用いた。それ以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【0045】この場合、粒子径は5〜10μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のホルマール化度は2
5.2モル%、アセトアセタール化度は17.2モル%、ブチ
ラール化度は27.5モル%であった。溶液粘度は62センチ
ポイズで低粘度であった。また、溶液の濾過時間は5秒
以下で早かった。
【0046】実施例4 実施例1において、アセトアルデヒド1700gとブチルア
ルデヒド2150gに替えて、プロピオンアルデヒド水溶液
2240gとブチルアルデヒド2150gを用いた。それ以外
は、実施例1と同様に行った。
【0047】この場合、粒子径は5〜10μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のプロピオンアセター
ル化度は39.4モル%、ブチラール化度は30.2モル%であ
った。溶液粘度は58センチポイズで低粘度であった。ま
た、溶液の濾過時間は5秒以下で早かった。
【0048】実施例5 実施例1において、流速を3m/秒に変更し、ループ状
反応器10内を循環する流体のレイノズル数(Re)を5426
に調節した。それ以外は、実施例1と同様に行った。
【0049】この場合、粒子径は5〜10μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール化
度は38.9モル%、ブチラール化度は30.5モル%であっ
た。溶液粘度は64.5センチポイズで低粘度であった。ま
た、溶液の濾過時間は5秒以下で早かった。
【0050】比較例1 実施例1において、流速を1.5 m/秒に変更し、ループ
状反応器10内を循環する流体のレイノズル数(Re)を27
15に調節した。それ以外は、実施例1と同様に行った。
【0051】この場合、粒子径は50〜150 μm である。
得られたポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール
化度は31.2モル%、ブチラール化度は30.5モル%であっ
た。溶液粘度は102.4センチポイズで高粘度であった。
また、溶液の濾過時間は5秒以下で早かった。
【0052】比較例2 5リットルのセパラブルフラスコに、純水3460gを入
れ、これに平均重合度1700、鹸化度99.0モル%のポリビ
ニルアルコール320 gを加えて完全に溶解させた。この
ポリビニルアルコール水溶液を50℃の加熱保持し、これ
に濃度35%の塩酸244 gを加えた。
【0053】これにパラアセトアルデヒド62gとブチル
アルデヒド80gを加えて反応を進めた。この操作中、温
度を50℃から2℃まで冷却した。その間の反応時間は13
時間であった。これを60℃に昇温し2時間加熱して反
応、熟成を行った後、40℃まで冷却した。その後、常法
で中和、水洗、乾燥して、顆粒状のポリビニルブチラー
ル樹脂を製造した。
【0054】この場合、粒子径は1〜5μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール化
度は41.5モル%、ブチラール化度は28.5モル%であっ
た。溶液粘度は88センチポイズで高粘度であった。ま
た、溶液の濾過時間は120 秒で遅かった。
【0055】比較例3 比較例2において、パラアセトアルデヒド62gとブチル
アルデヒド80gに替えて、35重量%のホルムアルデヒド
水溶液71gとブチルアルデヒド120 gとを用いた。ま
た、50℃から2℃までの反応時間を12時間に変更した。
それ以外は、比較例2と同様に行った。
【0056】この場合、粒子径は1〜5μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のホルマール化度は2
5.1モル%、ブチラール化度は43.9モル%であった。溶
液粘度は92センチポイズで高粘度であった。また、溶液
の濾過時間は360 秒で遅かった。
【0057】比較例4 比較例2において、パラアセトアルデヒド62gとブチル
アルデヒド80gに替えて、濃度35重量%のホルムアルデ
ヒド水溶液71gとパラアセトアルデヒド25gとブチルア
ルデヒド80gとを用いた。また、50℃から2℃までの反
応時間を16時間に変更した。それ以外は、比較例2と同
様に行った。
【0058】この場合、粒子径は1〜5μm である。得
られたポリビニルアセタール樹脂のホルマール化度は2
7.5モル%、アセトアセタール化度は16.0モル%、ブチ
ラール化度は26.6モル%であった。溶液粘度は85センチ
ポイズで高粘度であった。また、溶液の濾過時間は350
秒で遅かった。
【0059】比較例5 比較例2において、パラアセトアルデヒド62gとブチル
アルデヒド80gに替えて、アセトアルデヒド62gとブチ
ルアルデヒド80gとを用いた。また、濃度35重量%の塩
酸244 gを濃度35重量%の塩酸57gに変更した。さら
に、50℃から2℃までの反応時間を24時間に変更した。
それ以外は、比較例2と同様に行った。
【0060】この場合、粒子径は100 μm 以上である。
得られたポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール
化度は27.5モル%、アセトアセタール化度は18.4モル
%、ブチラール化度は34.4モル%であった。なお、溶液
粘度及び溶液の濾過時間を測定しょうとしたが、混合溶
剤(エタノールとトルエンの等量混合溶剤)には溶けな
かった。
【0061】
【発明の効果】上述の通り、この発明方法は、ポリビニ
ルアルコール水溶液とアルデヒドとをループ状反応器内
で循環させながら30〜90℃で部分的に反応させ、次いで
釜状反応器内で攪拌しながら30〜90℃で完全に反応させ
ることにより、ポリビニルアセタール樹脂を製造する方
法において、ループ状反応器内壁をガラスで形成し、ア
セタール化度が少なくとも40モル%までの反応を、ルー
プ状反応器内を循環する流体のレイノズル数(Re)が50
00以上となる条件で行うものであり、それにより得られ
るリビニルアセタール樹脂の粒子の凝集が防止される。
また、器壁へのスケールの付着も防止される。
【0062】それゆえ、比較的高温(30〜90℃)でのア
セタール化反応が可能となり、アセタール化反応の際に
ポリビニルアルコールのゲル化が防止され、それにより
得られるポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度或いは溶
融粘度を低下させることができる。また、長時間の運転
が可能となり、しかもスケールの混入もなく品質の良好
な樹脂を製造することができる。
【0063】したがって、この発明方法により得られる
ポリビニルアセタール樹脂は、曲率の大きい合わせガラ
スを製造する場合でも、溶融粘度の低下によりガラス板
と中間膜との間に空気が残留することが防止され、品質
の良好な合わせガラスを効率良く製造することができ
る。また、比較的少量の溶剤を使用して塗布作業性が良
好で且つコストの安い接着剤や塗料を製造することがで
きる。この発明方法は、以上のような利点をもってい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に用いる反応装置の一例を示す概略説
明図である。
【符号の説明】
1 ポリビニルアルコール溶解槽 2 釜状反応器 3 アルデヒドタンク 4 供給パイプ 5 移送パイプ 6 供給パイプ 7 循環ポンプ 10 ループ状反応器 14 供給ポンプ 16 供給ポンプ 17 抜出しバルブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒ
    ドとをループ状反応器内で循環させながら30〜90℃で部
    分的に反応させ、次いで釜状反応器内で攪拌しながら30
    〜90℃で完全に反応させることにより、ポリビニルアセ
    タール樹脂を製造する方法において、ループ状反応器内
    壁をガラスで形成し、アセタール化度が少なくとも40モ
    ル%までの反応を、ループ状反応器内を循環する流体の
    レイノズル数(Re)が5000以上となる条件で行うことを
    特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 ループ状反応器内壁のガラスの表面粗さ
    がRz 値で0.5 μm 以下(但し、Rz 値は触針式粗さ測
    定器を用い、ISO R468に準拠して測定した10点平均粗さ
    である)であることを特徴とする請求項1記載のポリビ
    ニルアセタール樹脂の製造方法。
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