JP4043626B2 - 負荷駆動回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷に供給する負荷電流を直接ON/OFFする常用遮断スイッチと、常用遮断スイッチのON故障時に負荷電流を強制的に遮断する非常用遮断スイッチとを直列接続して構成される負荷駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、機械可動部を駆動制御する場合、作業者等の安全を考慮すると、停止すべき時に停止できる能力が重要視され冗長構成としている。例えば、機械可動部の通電を制御する場合、通電回路に直列に2つのスイッチを介装し、一方のスイッチにON故障が生じても他方のスイッチで通電路を強制遮断できる構成とする。かかる直列二重系の構成を用いた負荷駆動回路は、例えば国際公報WO98/10452等で公知である。
【0003】
図9に、このような直列二重系構成の従来の負荷駆動回路の一例を示す。
図9において、負荷(図示せず)の通電回路1に、各電磁リレー2,3のそれぞれの動作接点(励磁時ONとなる)2a,3aを直列に介装する。前記各電磁リレー2,3としては、前記動作接点2a,3aとON/OFF動作が互いに相補の関係にある復帰接点2b,3bを有する強制操作型電磁リレーを用いる。リレー制御回路4は、負荷駆動信号が入力すると、復帰接点2b,3bがONしていることを条件(動作接点2a,3aのOFFの確認で、バックチェックと呼ぶ)に出力(交流信号)を発生し、この出力を自己保持する自己保持機能及びこの自己保持回路の出力をオン・ディレーするオン・ディレー機能を備えたシーケンス回路5を有する。そして、1系として自己保持出力を直接受ける交流増幅器6A、トランス6B、整流回路6C及びオフ・ディレー回路6Dからなるリレー駆動回路6が設けられて電磁リレー2を駆動し、2系としてオン・ディレー出力を受けて電磁リレー3を駆動する半導体スイッチ回路7が設けられる。
【0004】
従って、負荷通電開始時は、1系の動作接点2aがONしてから2系の動作接点3aがONし、負荷通電終了時は、2系の動作接点3aがOFFしてから1系の動作接点2aがOFFする。
【0005】
負荷駆動信号IN、動作接点2a,3aのON/OFF動作及び負荷電流Iの関係は、図10のようになる。
即ち、1系の動作接点2aは、直接負荷電流を遮断せず非常用遮断スイッチの機能を有し、2系の動作接点3aは、直接負荷電流の遮断/通電を制御する常用遮断スイッチの機能を有する。この回路では、半導体スイッチのOFF機能正常の確認は、負荷通電中に負荷動作に影響を与えない時間で間欠的に半導体スイッチをOFFさせて確認できる。
【0006】
また、別の従来例として、図11に示すように、常用遮断スイッチ側を、2つの動作接点3a,3a′の並列回路による並列二重系で構成し、それぞれ半導体スイッチ回路7,7′で電磁リレー3,3′を駆動する。そして、図12のタイムチャートに示すように、負荷通電中に2つの電磁リレー3,3′を交互にON/OFF駆動する。図中、3b′は電磁リレー3′の復帰接点を示す。
【0007】
この回路では、常用遮断スイッチ側の電磁リレーのOFF機能正常確認は、負荷通電中に各電磁リレーの復帰接点がON/OFF動作を繰り返すことで確認できる。尚、図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の負荷駆動回路では、1系と2系の動作シーケンスを保証するために、フェールセーフなオフ・ディレー回路やオン・ディレー回路を必要とし、リレー制御回路の構成が煩雑である。また、電磁リレーの駆動にトランス結合を用いているため、大出力の場合、回路が大型化する等の問題がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、回路構成の簡素化及び小型化、が図れ、しかも、高い信頼性を備えた負荷駆動回路を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の請求項1では、負荷給電回路に、常用遮断スイッチと非常用遮断スイッチを直列に介装し、負荷駆動信号の入力で、非常用遮断スイッチ、常用遮断スイッチの順でON駆動して負荷に給電し、前記負荷駆動信号の停止で、常用遮断スイッチ、非常用遮断スイッチの順でOFF駆動して負荷の給電を停止する構成の負荷駆動回路において、励磁時にそれぞれONする第1動作接点と第2動作接点と、前記第1動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第1復帰接点と、前記第2動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第2復帰接点とを備え、第1動作接点の可動接点と固定接点間距離が第2動作接点の可動接点と固定接点間距離より短い構成の電磁リレーを設け、該電磁リレーの前記第1動作接点を前記非常用遮断スイッチとし、前記第2動作接点を前記常用遮断スイッチとすると共に、前記第1及び第2復帰接点が共にONしていることを条件に、前記負荷駆動信号の入力でリレー駆動信号を出力するリレー制御手段を備え、前記リレー制御手段を、トリガ端子に前記第1及び第2復帰接点が共にONした時にトリガ信号が入力し、ホールド端子に前記負荷駆動信号が入力して出力を発生し当該出力でトリガ信号を自己保持する自己保持回路と、該自己保持回路の出力に基づいてトランス結合を介して前記リレー駆動信号を発生するリレー駆動回路とを備える構成とした。
【0011】
かかる構成では、負荷駆動信号が入力すると、電磁リレーが励磁される。この場合、可動接点と固定接点間距離の短い第1動作接点が先にONとなり、その後に第2動作接点がONする。負荷駆動信号が停止して電磁リレーが非励磁になった時は、逆に、第2動作接点が先にOFFし、その後に第1動作接点がOFFするようになる。また、電磁リレーの第1及び第2復帰接点が共にONしている時、即ち、第1及び第2動作接点のOFF機能が正常の時のみ、負荷駆動信号の入力で電磁リレーが励磁されるようになる。更に、トランス結合により交流信号を用いて電磁リレーを駆動するので、フェールセーフなリレー駆動回路となる。
【0015】
請求項2の発明は、負荷給電回路に、常用遮断スイッチと非常用遮断スイッチを直列に介装し、負荷駆動信号の入力で、非常用遮断スイッチ、常用遮断スイッチの順でON駆動して負荷に給電し、前記負荷駆動信号の停止で、常用遮断スイッチ、非常用遮断スイッチの順でOFF駆動して負荷の給電を停止する構成の負荷駆動回路において、励磁時にそれぞれONする第1動作接点及び第2動作接点と、前記第1動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第1復帰接点と、前記第2動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第2復帰接点とを備え、第1動作接点の可動接点と固定接点間距離が第2動作接点の可動接点と固定接点間距離より短い構成の電磁リレーを複数個設け、これら電磁リレーの各第1動作接点を前記非常用遮断スイッチとし、各第2動作接点を前記常用遮断スイッチとすると共に、前記第1及び第2復帰接点が共にONしていることを条件に、前記負荷駆動信号の入力でリレー駆動信号を出力するリレー制御手段を備え、前記リレー制御手段を、トリガ端子に前記第1及び第2復帰接点が共にONした時にトリガ信号が入力し、ホールド端子に前記負荷駆動信号が入力して出力を発生し当該出力でトリガ信号を自己保持する自己保持回路と、前記複数個の電磁リレー毎に設けられ、前記自己保持回路の出力に基づいて対応する各電磁リレーにリレー駆動信号をそれぞれ出力する複数個の半導体スイッチ回路とを備えて構成した。
【0016】
かかる構成では、負荷の通電制御が多重系構成となり、全ての半導体スイッチ回路にON故障が発生しない限り、負荷の通電を遮断する機能が失われることはない。
【0017】
請求項3では、前記各半導体スイッチ回路は、前記電磁リレーと直列接続され前記自己保持回路の出力に基づいて入力するパルス信号のON/OFFによりON/OFF動作して負荷電磁リレーへの電流の通電/遮断を制御するリレー通電用半導体スイッチと、電磁リレーに対して並列接続し前記パルス信号のON/OFFによりON/OFF動作して電磁リレーの両端を短絡するリレー短絡用半導体スイッチとを備え、前記リレー通電用半導体スイッチがON故障した時に過電流の発生で電磁リレーの通電経路が遮断されると共に、回路故障時に故障検出出力を発生する故障検出機能を有する構成とした。
【0018】
かかる構成では、リレー通電用半導体スイッチがON故障すると、リレー短絡用半導体スイッチがONした時に過電流が流れリレーの通電経路が遮断される。また、回路故障時には故障検出機能で故障検出ができるようになる。
【0019】
請求項4では、前記各半導体スイッチ回路は、前記リレー通電用半導体スイッチ及びリレー短絡用半導体スイッチをそれぞれ2個備え、一方のリレー通電用及びリレー短絡用の各半導体スイッチの直列回路と、他方のリレー通電用及びリレー短絡用の各半導体スイッチの直列回路とを、電源端子と接地端子との間に互いに並列接続してブリッジ回路を構成し、各直列回路の半導体スイッチ間を接続して電磁リレーを介装し、該電磁リレーに並列接続して回路故障検出用のフォトカプラを設ける構成とした。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の負荷駆動回路の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る負荷駆動回路の第1実施形態の構成図である。
【0021】
図1において、本実施形態の負荷駆動回路は、後述する電磁リレー20の2つの復帰接点b1,b2が共にON状態にあることを条件に負荷駆動信号INが入力した時にリレー駆動信号を出力するリレー制御手段としてのリレー制御回路10を備える。
【0022】
リレー制御回路10は、前記復帰接点b1,b2が共にONしている時に後述の動作接点a1,a2のOFF確認信号(電源電圧VCC)がトリガ端子Tにトリガ信号として入力し、ホールド端子Hに負荷駆動信号INが入力した時に交流出力を発生し、この交流出力をトリガ端子Tに帰還してトリガ信号を自己保持する自己保持回路11と、この自己保持回路11の交流出力に基づいてトランス結合を介して電磁リレー20を励磁するリレー駆動信号を出力するリレー駆動回路12とを備える。尚、自己保持回路としては、フェールセーフな論理積演算発振器を用いた国際公開WO94/23303号公報、国際公開WO94/23496号公報等で公知のフェールセーフな回路を用いることができる。
【0023】
前記リレー駆動回路12は、自己保持回路11の交流出力を増幅する交流増幅回路12Aと、1次側に入力する交流増幅回路12Aの増幅出力を2次側に伝達するトランス12Bと、トランス12Bの交流出力を整流して電磁リレー20にリレー駆動信号を出力する整流回路12Cとを備える。
【0024】
電磁リレー20の2つの動作接点a1,a2は、負荷(図示せず)に給電するための負荷給電回路14に直列に介装されて構成される。
図2に、本実施形態の電磁リレー20の接点構造を示す。
【0025】
図2において、本実施形態の電磁リレー20は、前述のように2つの第1及び第2動作接点a1,a2と、該第1及び第2動作接点a1,a2とそれぞれ相補の関係でON/OFF動作する第1及び第2復帰接点b1,b2を備えている。
【0026】
また、第1及び第2動作接点a1,a2は、それぞれ互いに向き合う可動接点a11,a21と固定接点a12,a22からなり、第1及び第2復帰接点b1,b2は、それぞれ互いに向き合う可動接点b11,b21と固定接点b12,b22からなる。
【0027】
そして、各可動接点a11,a21,b11,b21は、励磁時に図の右方向(図中の矢印方向)に移動し、非励磁時に例えばバネの弾性復帰力により矢印方向とは逆方向に移動し元の位置に復帰する可動絶縁板21に可撓性を有する支持部材を介して図示のように固定される。また、各固定接点a12,a22,b12,b22は、可動絶縁板21に対面配置された固定絶縁板22に可撓性を有する支持部材を介して図示のように固定される。尚、可動絶縁板21の復帰力は、第2動作接点a2に溶着が生じても第1動作接点a1の引き離し距離x1を確保できる力を設定しておけばよい。
【0028】
そして、第1動作接点a1の可動接点a11と固定接点a12間距離x1と、第2動作接点a2の可動接点a21と固定接点a22間距離x2は、距離x1が距離x2より短く(x1<x2)設定されている。
【0029】
従って、本実施形態の電磁リレー20は、図3に示すように、励磁時は電磁力の増大に伴い第1動作接点a1がONした後で第2動作接点a2がONし、非励磁時は逆に電磁力の減少に伴い第2動作接点a2がOFFした後で第1動作接点a1がOFFする。ここで、第1動作接点a1が非常時に負荷給電回路14を遮断するための非常用遮断スイッチの機能を有し、第2動作接点a2が通常時に負荷給電回路14の電流を遮断するための常用遮断スイッチの機能を有する。
【0030】
次に第1実施形態の回路の動作を説明する。
負荷への給電開始時、電磁リレー20の第1及び第2動作接点a1,a2が正常にOFF状態にあれば、その第1及び第2復帰接点b1,b2はON状態にあり、電源電圧VCCがリレー制御回路10の自己保持回路11のトリガ端子Tに入力する。この状態で、負荷駆動信号INがホールド端子Hに入力すると自己保持回路11から交流出力が発生し、リレー駆動回路6の交流増幅回路12A、トランス12B及び整流回路12Cを介して電磁リレー20が励磁される。これにより、第1動作接点a1がONし、その後、第2動作接点a2がONして負荷給電回路14が閉路して負荷に給電される。第1動作接点a1がONした時点でその復帰接点b1はOFFになるが、自己保持回路11の自己保持機能によって自己保持回路11の出力が継続し負荷への通電は継続する。
【0031】
負荷駆動信号INが停止すると、自己保持回路11の出力が停止して電磁リレー20が非励磁となる。これにより、第2動作接点a2が先にOFFして負荷の給電が停止し、その後、第1動作接点a1がOFFする。第1及び第2動作接点a1,a2が正常にOFFすれば、第1及び第2復帰接点b1,b2がONとなり、第1及び第2動作接点a1,a2のOFF確認信号が自己保持回路11のトリガ端子Tに入力し、次の負荷給電動作に備える。
【0032】
第2動作接点a2に溶着故障が生じた場合、負荷駆動信号INの停止で第1動作接点a1がOFFして負荷の給電は停止できる。そして、次の給電動作時には、第2復帰接点b2がONせず、リレーのOFF確認信号が発生しないので、リレー制御回路10からリレー駆動信号が生成されず負荷への給電は行われない。
【0033】
かかる構成によれば、従来のように、オフ・ディレー回路やオン・ディレー回路等を用いる必要がなくリレー制御回路の構成を簡素化できる。また、トランス結合により交流信号を利用して電磁リレー20を駆動する構成としているので、フェールセーフな信号処理となり、安全性が低下することはない。
【0034】
図4は、本発明の第2実施形態の構成図である。
図4において、本実施形態の負荷駆動回路は、第1実施形態で説明した構造を有する2個の電磁リレー20A,20Bの動作接点a1A,a2Aとa1B,a2Bを負荷給電回路14に直列に介装する。また、電磁リレー20A,20Bの各復帰接点b1A,b2Aとb1B,b2Bも、電源電圧VCC端子とリレー制御回路30の自己保持回路31のトリガ端子Tとの間に直列に接続する。そして、本実施形態のリレー制御回路30は、図1に示す自己保持回路を備えた出力制御回路31と、自己保持回路の出力に基づく出力制御回路31の出力により電磁リレー20Aを駆動する半導体スイッチ回路32と、同じく出力制御回路31の出力に基づいて電磁リレー20Bを駆動する半導体スイッチ回路33とを備える構成である。
【0035】
図5に、前記各半導体スイッチ回路32,33の一例を示す。尚、各半導体スイッチ回路32,33は同一構成である。
図5において、電源電圧VCC端子とGND端子との間に、ヒューズF、抵抗R1,R2及びNPNトランジスタQ1が順次直列接続する。前記抵抗R1,R2とNPNトランジスタQ1の直列回路に対して並列に、PNPトランジスタQ2とNPNトランジスタQ3の直列回路が接続する。抵抗R1とR2の中間点を前記トランジスタQ2のベースに接続し、トランジスタQ1のコレクタ端子をトランジスタQ3のベースに接続する。トランジスタQ2とQ3の互いのコレクタ端子間に抵抗を介してコンデンサCが接続する。そして、トランジスタQ3に並列に、半導体スイッチ回路32では電磁リレー20Aが、半導体スイッチ回路33では電磁リレー20Bが接続する。ここで、トランジスタQ2がリレー通電用半導体スイッチの機能を有し、トランジスタQ3がリレー短絡用半導体スイッチの機能を有する。
【0036】
かかる半導体スイッチ回路32,33では、トランジスタQ1のベースに、図5に示すようなパルス波形の入力信号が入力すると、トランジスタQ1がONし、トランジスタQ2がON、トランジスタQ3がOFFとなって、電磁リレーが励磁される。入力信号がONからOFFになると、トランジスタQ1がOFFし、トランジスタQ2がOFF、トランジスタQ3がONとなって、電磁リレーは非励磁となる。前記入力信号のOFF時間は、電磁リレー20A,20Bの動作接点a1A,a2Aとa1B,a2BがON状態を維持できるように十分短く設定される。
【0037】
かかる半導体スイッチ回路32,33によれば、トランジスタQ2に短絡(ON側)故障を生じると、入力信号がOFFした時にトランジスタQ3がONし、電源電圧端子とGND端子間が短絡されて過電流が流れることにより、ヒューズFが溶断し、半導体スイッチ回路の出力を停止する。仮にヒューズFが溶断しない場合でも、トランジスタQ2の短絡故障時には図5のV1点に交流信号が発生するので、コンデンサCによる交流結合を介してその交流信号を整流して出力を取り出すことで、トランジスタQ2の短絡故障を検出することが可能である。前記コンデンサCが回路故障検出機能の役割を果たす。トランジスタQ2に断線(OFF側)故障が生じると、故障検出用のコンデンサCの充電時定数が長くなって、その交流出力信号の振幅が低下する。
【0038】
次に動作を説明する。
電磁リレー20A,20Bの正常時には、負荷駆動信号INの入力による自己保持回路の出力に基づいて、出力制御回路31から図5に示すような間欠的にOFFとなるパルス波形の入力信号が発生する。この入力信号により各半導体スイッチ回路32,33からリレー駆動信号がそれぞれ発生して各電磁リレー20A,20Bが駆動される。この場合、各電磁リレー20A,20Bの第1動作接点a 1A,a 1BがONし、その後、第2動作接点a 2A,a 2BがONして負荷給電回路14に負荷電流が流れる。負荷駆動信号INが停止すれば、第2動作接点a 2A,a 2BがOFFして負荷の給電が停止し、その後、第1動作接点a 1A,a 1BがOFFする。
【0039】
かかる構成によれば、半導体スイッチ回路32,33のどちらか一方に出力のON故障(出力が発生し続ける故障)が発生しても、負荷駆動信号INが停止すれば、正常側の半導体スイッチ回路により電磁リレーが駆動されて負荷の給電を停止できる。即ち、2つの電磁リレー20A,20Bで直列2重系を構成して冗長構成としている。これにより、トランス結合を利用することなく半導体スイッチ回路を用いても安全性を確保でき、負荷駆動回路の小型化が容易となる。
【0040】
ただし、図5の半導体スイッチ回路の構成では、トランジスタQ1に短絡故障が生じると、入力信号の有無に関係なくトランジスタQ2のON状態及びトランジスタQ3のOFF状態が継続して、リレー駆動信号の遮断能力が喪失し、電磁リレーが励磁され続けてしまう。従って、半導体スイッチ回路32,33の両方にトランジスタQ1の短絡故障が生じた場合、負荷の給電を遮断できなくなる。
【0041】
図6は、半導体スイッチ回路の別の構成例を示す。尚、図5と同一要素には同一符号を付してある。
図6において、抵抗R3とトランジスタQ1のコレクタとの間とトランジスタQ2のベースとの間に、コンデンサC1,C2とダイオードD1,D2からなる倍電圧整流回路を設け、倍電圧整流回路の出力端V2(ダイオードD2とコンデンサC2の接続点)をトランジスタQ2のベースに接続する。トランジスタQ2は、出力端V2の電圧が電源電圧VCCより大きい時OFFし、電源電圧VCC以下の時ONする。また、出力端V2の出力電圧を分圧する抵抗R4,R5を設け、この分圧点をトランジスタQ3のベースに接続する。前記抵抗R4,R5は、出力端V2の出力電圧が電源電圧VCCより高い時にトランジスタQ3がONし、電源電圧VCC以下の時にトランジスタQ3がOFFするよう抵抗値を設定する。電磁リレー20A,20BはトランジスタQ2に並列接続され、トランジスタQ3に直列接続する。従って、この半導体スイッチ回路32′,33′では、トランジスタQ2がリレー短絡用半導体スイッチの機能を有し、トランジスタQ3がリレー通電用半導体スイッチの機能を有する。
【0042】
この半導体スイッチ回路32′,33′は、図6に示すように、間欠的にOFFとなる高周波の信号を入力信号に使用する。この入力信号と出力端V2の出力電圧との関係を図7に示す。
【0043】
かかる構成では、高周波信号がONの期間は、電源電圧VCCより高い倍電圧整流出力が出力端V2に発生する。この時、トランジスタQ2がOFF、トランジスタQ3がONとなり、電磁リレー20A,20Bは励磁される。高周波信号がOFFの期間は、出力端V2の電圧は電源電圧VCC以下となって、トランジスタQ2がON、トランジスタQ3がOFFとなって、電磁リレー20A,20Bは非励磁となる。
【0044】
この半導体スイッチ回路32′,33′の構成によれば、トランジスタQ1に短絡(ON側)故障が生じると、出力端V2には電源電圧VCCより高い電位は発生し得ない。従って、トランジスタQ3はONせず電磁リレー20A,20Bは非励磁となるので、図5の半導体スイッチ回路32,33のようにトランジスタQ1に短絡(ON側)故障でリレー駆動信号が発生し続けるという問題を解消できる。
【0045】
尚、図6の回路構成では、トランジスタQ2に断線(OFF側)故障を生じると、回路故障検出用のコンデンサCに充電された電荷は、電磁リレー20A,20Bを介して放電されることになるので、その交流出力信号の振幅が低下する。
【0046】
ところで、図5及び図6の半導体スイッチ回路の構成は、リレー通電用半導体スイッチ(図5ではトランジスタQ2、図6ではトランジスタQ3)とリレー短絡用半導体スイッチ(図5ではトランジスタQ3、図6ではトランジスタQ2)を設け、リレー通電用半導体スイッチに短絡故障が生じた場合、リレー短絡用半導体スイッチがONすることによりヒューズFを溶断し、電磁リレーを非励磁とする構成としている。リレー短絡用半導体スイッチの断線(OFF側)故障は、この機能の喪失を意味し、リレー短絡用半導体スイッチにOFF側故障が生じている状況で、リレー通電用半導体スイッチに短絡(ON側)故障を生じると電磁リレーが励磁され続け負荷の給電を停止できなくなる。このため、リレー短絡用半導体スイッチのOFF側故障の検出は極めて重要である。
【0047】
図8は、リレー短絡用半導体スイッチのOFF側故障の検出を一層確実にした半導体スイッチ回路の構成例を示す。尚、図5及び図6と同一要素には同一符号を付してある。
【0048】
図8において、この半導体スイッチ回路32”,33”は、4つのトランジスタQ2,Q2′,Q3,Q3′でブリッジ回路を構成している。トランジスタQ2とQ3′の互いのコレクタ接続点とトランジスタQ3とQ2′の互いのエミッタ接続点との間にダイオードDと電磁リレー20A(又は20B)の直列回路を接続する。また、この直列回路に、抵抗とフォトカプラPCの直列回路を並列接続する。
【0049】
トランジスタQ2とQ2′がONして図中矢印の向きに電流が流れる時、電磁リレーが励磁され、トランジスタQ3とQ3′がONして図中の矢印と逆向きに電流が流れる時、フォトカプラPCの投光素子がONして受光素子から出力が発生する。従って、トランジスタQ2,Q2′がリレー通電用半導体スイッチの機能を有し、トランジスタQ3,Q3′がリレー短絡用半導体スイッチの機能を有する。そして、トランジスタQ2,Q2′とトランジスタQ3,Q3′は互いに相補の関係でON/OFFする。このトランジスタQ2,Q2′,Q3,Q3′をON/OFF動作させるスイッチング回路40としては、本実施形態では図5の一点鎖線で囲んだ回路を用いるが、図6の一点鎖線で囲んだ回路を用いることも可能である。
【0050】
尚、ダイオードDが短絡しても図2の可動絶縁板21が図2の矢印方向と反対に移動するか或いは移動できず動作接点は閉じない構成としている。
この半導体スイッチ回路32”,33”では、図5に示すパルス波形の入力信号が入力すると、入力信号のON期間ではトランジスタQ2,Q2′がONし、トランジスタQ3,Q3′がOFFし、電磁リレーは励磁される。入力信号のOFF期間ではトランジスタQ2,Q2′がOFFし、トランジスタQ3,Q3′はONし、電磁リレーは非励磁となり、この時、フォトカプラPCに電流が流れて受光素子から出力が発生する。この動作が、入力信号のON/OFFに同期して繰り返される。
【0051】
かかる構成の半導体スイッチ回路32”,33”が正常に動作する場合、フォトカプラPCの受光側には交流信号が生成される。リレー通電用のトランジスタQ2,Q2′のいずれか一方にON側故障を生じると、リレー短絡用のトランジスタQ3,Q3′が正常であれば、ヒューズFが溶断する(尚、この時フォトカプラPCには交流信号が発生しない)。リレー短絡用のトランジスタQ3,Q3′のいずれか一方にOFF側故障を生じると、フォトカプラPCは通電されず交流信号が発生しない。従って、この半導体スイッチ回路32”,33”の回路故障は、フォトカプラPCの出力を監視することで確実に検出できる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、オフ・ディレー回路やオン・ディレー回路が不要となり、負荷駆動回路の構成を簡素化できる。
【0053】
また、電磁リレーの動作接点がOFF状態にない時には電磁リレーの駆動信号は発生しないので、高い安全性を有する。
【0054】
更に、トランス結合を用いてリレー駆動信号を生成しているので、フェールセーフな構成となり、高い安全性を有する。
請求項2〜4の発明によれば、電磁リレーにより2重系構成とし、且つトランス結合に代えて半導体スイッチ回路を用いたので、安全性を確保でき、且つ、負荷駆動回路の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の回路構成図
【図2】同上実施形態の電磁リレーの接点構造を示す図
【図3】図2の電磁リレーのON/OFF特性図
【図4】本発明の第2実施形態の回路構成図
【図5】図4の半導体スイッチ回路の構成図
【図6】半導体スイッチ回路の別の構成図
【図7】図6の入力信号と倍電圧整流回路の出力電圧の関係を示す図
【図8】半導体スイッチ回路の更に別の構成図
【図9】従来の負荷駆動回路の一例を示す回路構成図
【図10】図9のリレー動作接点動作のタイムチャート
【図11】従来の負荷駆動回路の別の例を示す回路構成図
【図12】図11のリレー動作接点動作のタイムチャート
【符号の説明】
10,30 リレー制御回路
11 自己保持回路
12 リレー駆動回路
20,20A,20B 電磁リレー
31 出力制御回路
32,32′,32”,33,33′,33” 半導体スイッチ回路
a1,a2,a1A,a2A,a1B,a2B 動作接点
b1,b2,b1A,b2A,b1B,b2B 復帰接点
Claims (4)
- 負荷給電回路に、常用遮断スイッチと非常用遮断スイッチを直列に介装し、負荷駆動信号の入力で、非常用遮断スイッチ、常用遮断スイッチの順でON駆動して負荷に給電し、前記負荷駆動信号の停止で、常用遮断スイッチ、非常用遮断スイッチの順でOFF駆動して負荷の給電を停止する構成の負荷駆動回路において、
励磁時にそれぞれONする第1動作接点と第2動作接点と、前記第1動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第1復帰接点と、前記第2動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第2復帰接点とを備え、第1動作接点の可動接点と固定接点間距離が第2動作接点の可動接点と固定接点間距離より短い構成の電磁リレーを設け、該電磁リレーの前記第1動作接点を前記非常用遮断スイッチとし、前記第2動作接点を前記常用遮断スイッチとすると共に、前記第1及び第2復帰接点が共にONしていることを条件に、前記負荷駆動信号の入力でリレー駆動信号を出力するリレー制御手段を備え、前記リレー制御手段を、トリガ端子に前記第1及び第2復帰接点が共にONした時にトリガ信号が入力し、ホールド端子に前記負荷駆動信号が入力して出力を発生し当該出力でトリガ信号を自己保持する自己保持回路と、該自己保持回路の出力に基づいてトランス結合を介して前記リレー駆動信号を発生するリレー駆動回路とを備える構成としたことを特徴とする負荷駆動回路。 - 負荷給電回路に、常用遮断スイッチと非常用遮断スイッチを直列に介装し、負荷駆動信号の入力で、非常用遮断スイッチ、常用遮断スイッチの順でON駆動して負荷に給電し、前記負荷駆動信号の停止で、常用遮断スイッチ、非常用遮断スイッチの順でOFF駆動して負荷の給電を停止する構成の負荷駆動回路において、
励磁時にそれぞれONする第1動作接点と第2動作接点と、前記第1動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第1復帰接点と、前記第2動作接点と相補の関係でON/OFF動作する第2復帰接点とを備え、第1動作接点の可動接点と固定接点間距離が第2動作接点の可動接点と固定接点間距離より短い構成の電磁リレーを複数個設け、これら電磁リレーの各第1動作接点を前記非常用遮断スイッチとし、各第2動作接点を前記常用遮断スイッチとすると共に、前記第1及び第2復帰接点が共にONしていることを条件に、前記負荷駆動信号の入力でリレー駆動信号を出力するリレー制御手段を備え、前記リレー制御手段を、トリガ端子に前記第1及び第2復帰接点が共にONした時にトリガ信号が入力し、ホールド端子に前記負荷駆動信号が入力して出力を発生し当該出力でトリガ信号を自己保持する自己保持回路と、前記複数個の電磁リレー毎に設けられ、前記自己保持回路の出力に基づいて対応する各電磁リレーにリレー駆動信号をそれぞれ出力する複数個の半導体スイッチ回路とを備える構成としたことを特徴とする負荷駆動回路。 - 前記各半導体スイッチ回路は、前記電磁リレーと直列接続され前記自己保持回路の出力に基づいて入力するパルス信号のON/OFFによりON/OFF動作して負荷電磁リレーへの電流の通電/遮断を制御するリレー通電用半導体スイッチと、電磁リレーに対して並列接続し前記パルス信号のON/OFFによりON/OFF動作して電磁リレーの両端を短絡するリレー短絡用半導体スイッチとを備え、前記リレー通電用半導体スイッチがON故障した時に過電流の発生で電磁リレーの通電経路が遮断されると共に、回路故障時に故障検出出力を発生する故障検出機能を有する構成である請求項2に記載の負荷駆動回路。
- 前記各半導体スイッチ回路は、前記リレー通電用半導体スイッチ及びリレー短絡用半導体スイッチをそれぞれ2個備え、一方のリレー通電用及びリレー短絡用の各半導体スイッチの直列回路と、他方のリレー通電用及びリレー短絡用の各半導体スイッチの直列回路とを、電源端子と接地端子との間に互いに並列接続してブリッジ回路を構成し、各直列回路の半導体スイッチ間を接続して電磁リレーを介装し、該電磁リレーに並列接続して回路故障検出用のフォトカプラを設ける構成とした請求項3に記載の負荷駆動回路。
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