JP4034059B2 - アルカン酸化脱水素用触媒およびオレフィンの製造方法 - Google Patents

アルカン酸化脱水素用触媒およびオレフィンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低級アルカン酸化脱水素用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの製造方法に関する。詳しくは、本発明は、炭素数2〜5の低級アルカン(以下単に「低級アルカン」という場合もある。)を分子状酸素の存在下に気相酸化脱水素して対応するオレフィンを製造するに好適な触媒、およびこの触媒を用いて低級アルカンを分子状酸素により気相酸化脱水素して高収率で対応するオレフィンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレンはエチレンオキシド、アセトアルデヒド、酢酸などの、プロピレンはアクロレイン、アクリル酸、プロピレンオキシド、ポリプロピレンなどの、またイソブテンはメタクロレイン、メタクリル酸、メチルターシャリーブチルエーテルなどの、それぞれ重要な工業製品の原料であるが、近年いずれも需要が伸びて、価格が上昇していることから、これら低級オレフィンの安価な製造方法が求められている。
【0003】
低級オレフィン、特にプロピレン又はイソブテンの製造方法として、近年低級アルカンの単純脱水素プロセスが工業化されている。しかし、このプロセスは、平衡の制約から、高転化率を得ることが困難で、なおかつ高温を要するという本質的な問題をかかえている。さらに、短時間での触媒の劣化が避けられず、スイッチコンバーターを用いるなどして、頻繁に触媒の再賦活を行う必要がある。このため、プラント建設費や、ユーティリティー費用が高くつき、立地条件によっては経済的になりたたず現時点での実用化は限られている。
【0004】
一方、平衡上の制約がない酸化脱水素により低級アルカンから低級オレフィンを製造する試みは、かなり以前から行われており、種々の触媒系が提案されている。例えば、Co―Mo酸化物系触媒(US4,131,631)、V−Mg酸化物系触媒(US4,777,319)、Ni−Mo酸化物系触媒(EP379,433A1)、CeO2/CeF3系触媒(CN1,073,893A)、Mg−Mo系触媒(Neftekhimiya(1990),30(2),207−10)、V25/Nb25系触媒(J.Chem.Commun.(1991),(8),558−9)、希土類バナデート系触媒(Catal.Lett.(1996),37,(3,4),241−6)、B23/Al23系触媒(ACS Symp.Ser.(1996),638(Heterogeneous Hydrocarbon Oxidation)155−169)などが知られている。しかし、これら公知の触媒は、酸化脱水素の性能がいずれも非常に低いレベルにあり、工業化にははるかに及ばない状況にある。また本発明者らも、CrあるいはMoとSbおよびWを必須とする触媒(特開2000−037624号公報)、及びMnを必須成分とする触媒(特開2000−037625号公報)を開示しているが、工業化にはさらに高いレベルが望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低級アルカンを分子状酸素により気相酸化脱水素して対応する低級オレフィンを高収率で製造できる新規な酸化脱水素用触媒を提供すること、およびこの触媒を用いて低級アルカンから高収率で対応するオレフィンを製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、Mnを必須成分として含んでいること、並びに、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°および65.8°であるときに(すなわち結晶固有の格子面間隔,d値,が2.72Å、1.66Å、3.84Å、2.35Åおよび1.42Åであるときに)X線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)に現われるピークによって同定される結晶相(すなわちMn23に対応する結晶相)を含んでいること、を特徴とする触媒によって達成される。炭素数2〜5の低級アルカンの気相酸化脱水素する際に、該触媒を用いることにより高収率で低級オレフィンを製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、炭素数2〜5の低級アルカンとは、具体的にはエタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタンおよびイソペンタンを意味する。これら低級アルカンは各々単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせた混合物として用いてもよい。
【0008】
本発明によれば、これら低級アルカンから対応するオレフィンを高収率で製造することができ、具体的には、エタンからエチレンを、プロパンからプロピレンを、n−ブタンからn−ブテンを、イソブタンからイソブテンを、n−ペンタンからn−ペンテンを、そしてイソペンタンからイソペンテンを製造することができる。中でもプロパン又はイソブタンから夫々プロピレン又はイソブテンを製造するに好適に用いられる。
【0009】
本発明の触媒は、Mnを含有すること、並びに、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°および65.8°であるときにX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)に現われるピークによって同定される結晶相を含有すること、を特徴とするものであり、中でも、特に、下記一般式(1)
Mnabcx (1)
で表される元素組成で実質的に構成されるものが好ましい。
【0010】
上記一般式(1)において、Mnはマンガンを表し、XはSb、WおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、YはRe、Fe、Co、Ni、Nb、Ta、Ce、Zn、Tl、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Oは酸素を表す。
【0011】
上記一般式(1)の触媒は、X成分としてSb,WおよびCrのうちの2種あるいは3種の元素を含有するものが好ましく、さらにY成分としてNi、Co、Nb、Ta、Ce、Li、NaおよびKからなる群より選ばれる1ないし4種の元素を含有するものが特に好ましい。
【0012】
上記一般式(1)において、a、b、cおよびxは各々Mn、X、Yおよび酸素の原子比を表し、aが1のとき、bは0.01〜2でcは0〜2であり、xは酸素以外の元素の酸化状態によって定まる数値である。特に好ましい触媒は、aが1のとき、bが0.05〜1でcが0〜1であるものである。
【0013】
本発明の酸化脱水素用触媒は、さらに活性向上および物理的耐久性向上を目的として、耐火性無機物質を含むこともできる。耐火性無機物質の量は、触媒活性成分を含む全触媒量の10〜90質量%が好ましい。耐火性無機物質としては、公知のものを用いることができ、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニアなどを挙げることができる。なかでも、シリカ、シリカ−アルミナおよびチタニアが目的物を高収率で与える点で好ましく、シリカ−アルミナとしては、シリカの割合が10質量%以上、100質量%未満のものが好適に使用される。
【0014】
本発明の触媒を製造する際、その調製法としては、最終的に上記結晶相を含有する触媒が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、用いるマンガン原料によっては、後の工程の加熱処理条件を変更する必要があるなど、工程の組み合わせには制約が加わる場合もある。しかし、工程それぞれについては特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、次のような工程に従うことによって、本発明の触媒を製造することができる:三酸化二マンガン[酸化マンガン(III)]粉末を含むスラリーに、三酸化アンチモン粉末、メタタングステン酸アンモニウム水溶液及び硝酸クロム水溶液の少なくとも1つを添加し、また必要に応じて、Ni、Co、Li、Na、K、Re、Fe、Nb、Ta、Ce、Zn、Tl、Rb、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素の化合物の水溶液または酸化物粉末を添加し、さらに、必要によりこれにシリカ、アルミナなどのような耐火性無機物質を加える。得られたスラリーを一定時間混合攪拌した後、加熱濃縮して得られたペーストを80℃〜300℃で乾燥する。これを、らいかいし、成型し、必要により破砕してサイズ調整したのち、80〜300℃で再乾燥し、あるいは必要に応じてさらに300℃〜800℃で焼成する。
【0015】
上記の乾燥及び焼成は、大気中、高酸素濃度雰囲気中、低酸素濃度雰囲気中、還元性雰囲気中、不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)雰囲気中あるいは真空中のいずれでも行うことができる。本発明の触媒は、高温、例えば上記300〜800℃、での焼成を行わず、300℃以下の温度、例えば上記80〜300℃、での乾燥処理後にそのままアルカンおよび酸素を含む反応ガスに接触させることもでき、その際、直接所定の反応温度で反応を開始しても、また所定の反応温度以上の温度で前処理を兼ねた反応をおこなってもよい。この場合、反応初期には活性の変化が観測されることがあるが、通常1時間以内に活性は安定する。このように直接反応ガスで処理を行う方が、反応ガス以外の雰囲気下で300℃以上、例えば300〜800℃、での高温焼成を行った場合に比べ、活性及び選択性が向上する傾向にあるので、特に好ましい。
【0016】
上記触媒の調製に用いられる原料には特に制限はなく、各金属の硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、酸素酸、酸素酸アンモニウム塩などを使用することができる。
【0017】
マンガン原料としては各種酸化物粉末又は成型品がそのまま使用できるほか、硝酸マンガン等の水溶液をアンモニア水溶液等で処理して得られる水酸化マンガンスラリー、マンガン化合物及び他の成分元素の化合物を含む、水溶液からの共沈物、など一般的手法により調製されるものはすべて使用できる。好ましいのはMn23含有物である。特に好ましいのは、実質的にMn23のみからなるマンガン酸化物である。このようなマンガン酸化物のX線回折スペクトルには、Mn23に対応する結晶相に帰属されるピークのみが現われる。
【0018】
最終的に得られる触媒は、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°および65.8°であるときに(すなわちd値が2.72Å、1.66Å、3.84Å、2.35Åおよび1.42Åであるときに)X線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)に現われるピークによって同定される結晶相(すなわちMn23に対応する結晶相)を含むものでなければならない。そのためには、Mn原料としてMn23を使用し、最終的にMn23相が維持される調製条件をとるか、あるいは原料にMn23を含まなくても、調製過程でMn23相が形成されるような調製条件をとればよい。より好ましくはMn23を原料として使用し、300℃以上の熱処理を行わない調製方法である。
【0019】
原料としてMn酸化物を使用する場合、その比表面積は0.5〜10m2/gのものが好ましい。この範囲を越えると、得られる触媒の完全酸化活性が強くなり、高い部分選択性が得られなくなる。またこの範囲を下回ると、活性が低いものとなる。
【0020】
Sb原料としては、Sb23、Sb24、Sb25などのような酸化物の粉末、Sb酸化物を酒石酸水溶液に溶解させたもの、アンチモン酸(五酸化アンチモン水和物)ゾルなどが好適に使用できる。このうちアンチモン酸ゾルまたはSb23粉末が触媒調製での均一性及び得られた触媒の性能面で好ましい。アンチモン酸ゾルは、市販のものもあるが、各種の安定化剤が添加されているため、触媒原料としては適さない物が多い。アンチモン(V)酸カリウム水溶液を強酸性陽イオン交換樹脂に通してイオン交換することによって得られるアンチモン酸ゾルが、不純物を含まない点で好ましい。
【0021】
また、他の元素の原料に関しては、一般的に水溶性原料を使用する事が好ましいが、元素の種類によっては酸化物などのような水不溶性の原料も使用できる。
【0022】
本発明において使用される耐火性無機物質は、その使用形態についても特に制限はなく、成型体、粉末、ゲル、ゾルなど、多様な形態のものを、触媒の使用形態にあわせて使い分けることができる。
【0023】
本発明の気相酸化脱水素反応を行う際の原料ガスとしては、低級アルカンおよび分子状酸素のほかに、必要に応じて、希釈ガスを用いることができる。分子状酸素源としては、空気または純酸素が使用される。希釈ガスとしては、窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどのような不活性ガスや水蒸気などが好適に用いられる。分子状酸素は、通常、アルカン1モルに対して、0.1〜5モルの割合で用いればよい。
【0024】
本発明の気相酸化脱水素反応を実施する際の反応条件には特に制限はなく、例えば、空間速度300〜30000hr-1及び反応温度250〜650℃の条件下に上記原料ガスを本発明の酸化脱水素用触媒に接触させればよい。
【0025】
上記反応は通常、常圧下で行うが、減圧下または加圧下でも実施することができる。反応方式についても特に制限はなく、固定床式、移動床式または流動床式のいずれでもよい。また、単流方式でもリサイクル方式でもよい。
【0026】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、転化率、単流収率、および選択率はそれぞれ以下のように定義される。
転化率(モル%)=(反応したアルカンのモル数/供給したアルカンのモル数)×100
選択率(モル%)=(生成した各化合物のモル数/反応したアルカンのモル数)×100
単流収率(モル%)=(生成した各化合物のモル数/供給したアルカンのモル数)×100
図1は、全ての実施例でMn原料として使用した三酸化二マンガン[酸化マンガン(III)]粉末のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸は回折角2θであり、縦軸はピーク強度(cps)である。
【0027】
主要5ピークA、B、C、D及びE並びにその他の微小ピークもすべてMn23相に帰属されるピークである。
【0028】
図2は、実施例1で得られた触媒のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸および縦軸は図1と同じである。
【0029】
A、B、C、D及びEはMn23相の主要5ピークに帰属される。
【0030】
2θが14.8°、29.9°及び28.6°であるときに現われているピークはH14Sb1421(OH)42に帰属される。
【0031】
図3は、実施例16で得られた触媒のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸および縦軸は図1と同じである。
【0032】
A、B、C、D及びEはMn23相の主要5ピークに帰属される。
【0033】
2θが15.2°、30.6°及び29.3°であるときに現われているピークはSb25・4H2Oに帰属される。
【0034】
図4は、比較例1で得られた触媒のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸および縦軸は図1と同じである。
【0035】
Mn23相に帰属されるピークはなく、2θが21.8°、35.1°、36.8°、55.3°および38.4°であるときにMnO2相に帰属されるピークが現われ、2θが14.8°、29.9°及び28.6°であるときにH14Sb1421(OH)42に帰属されるピークが現われている。
実施例1
Mn原料として使用する三酸化二マンガン[酸化マンガン(III)]粉末を以下のように調製した。
【0036】
二酸化マンガン[酸化マンガン(IV)]粉末(比表面積41m2/g)100gを坩堝に入れ、大気下のマッフル炉で、600℃で3時間焼成した。得られた粉末のX線回折(対陰極Cu−Kα)を測定したところ、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°及び65.8°であるときに(すなわちd値が2.72Å、1.66Å、 3.84Å、2.35Å及び1.42Åであるとき)にMn23に対応する結晶相の存在を示す主要ピークが確認されたが、他の結晶相は確認できなかった(図1)。この三酸化二マンガン[酸化マンガン(III)]粉末の比表面積は5.0m2/gであった。
【0037】
Sb原料となるアンチモン酸ゾルを以下のように調製した:ヘキサヒドロキソアンチモン(V)酸カリウム43.8gを2リットルの水に加熱溶解し、不溶物をろ過した。このろ液を強酸性陽イオン交換樹脂(DOWEX 50W×4)500gを充填したカラムに15ml/分の速度で流通し、イオン交換処理を行った。得られた液はほぼ透明な溶液であったが、一日後、やや白濁したゾル状態となり、ゾル中のSb濃度をICP発光分析測定装置で求めると0.067mmol/gであった。イオン交換率は99.5%であり、ゾル中の残存K量は無視できる量であった。
【0038】
500mlビーカーに、上記の三酸化二マンガン[酸化マンガン(III)]粉末3.95g及びアンチモン酸ゾル223.9gを加え、加熱攪拌を開始した。約80℃に到達後、2時間のあいだにわたって液量を保ちながら攪拌を行った。この後、90℃の温度で加熱しながら攪拌を約4時間続けて水分を蒸発させることによって濃縮した。得られたペーストを120℃で14時間乾燥した後、らいかいし、成型し、さらに破砕することによって、9〜20メッシュに大きさを揃えた。
【0039】
得られた触媒の組成は、Mn1Sb0.3xであった。このもののX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)では、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°および65.8°であるときにMn23相に帰属される主要ピークが観測された。そのほかには、H14Sb1421(OH)42に帰属される結晶相のピークが観測されたのみであった(図2)。
【0040】
この触媒を通常の流通式反応装置に充填し、下記条件下で反応を行った。反応開始から1時間後の反応結果を表1に示す。
触媒量:1.5g
反応ガス:C38/O2/N2=1/1/8(モル比)
反応ガス供給速度:112.5ml(標準状態)/min
反応温度:490℃
以下の実施例でも一部反応温度を変更した以外は同様の条件で反応を行った。それぞれの触媒の組成及び反応開始から1時間後の反応結果を表1に示す。
実施例2及び3
実施例1において、アンチモン酸ゾルの量を、それぞれ、373.2g及び74.6gに変更した以外は実施例1と同様に触媒を調製した。
実施例4及び5
実施例1において、アンチモン酸ゾルのかわりに、それぞれ、メタタングステン酸アンモニウム水溶液(WO3として50質量%含有)2.32gを200mlの水で希釈したもの、及び硫酸クロム四水和物1.11gを200mlの水で加熱溶解させたもの、を使用した以外は実施例1と同様に触媒を調製した。
実施例6
実施例1においてアンチモン酸ゾルを添加した後、さらに硝酸クロム九水和物4.00gを50mlの水で溶解させたもの、を添加した以外は実施例1と同様に触媒を調製した。
実施例7
実施例6においてアンチモン酸ゾルのかわりに、メタタングステン酸アンモニウム水溶液2.32gを50mlの水で希釈したもの、を添加した以外は実施例6と同様に触媒を調製した。
実施例8
実施例1においてアンチモン酸ゾルを添加した後、メタタングステン酸アンモニウム水溶液2.32gを50mlの水で希釈したもの、および硝酸クロム九水和物4.00gを50mlの水で溶解させたもの、を添加した以外は実施例1と同様に触媒を調製した。
実施例9
実施例8において、アンチモン酸ゾルに代えて三酸化アンチモン粉末2.19gを用い、かつ、硝酸クロム水溶液に代えて硫酸クロム四水和物2.22gを200mlの水で溶解させたものを用いた以外は、実施例8と同様に触媒を調製した。
実施例10−13
実施例8において、さらに硝酸ニッケル九水和物2.91gを50mlの水で溶解させたもの(実施例10)、硝酸コバルト九水和物2.92gを50mlの水で溶解させたもの(実施例11)、0.1mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液5ml(実施例12)、0.4mol/L濃度の水酸化リチウム水溶液2.5ml(実施例13)を夫々加えた以外は実施例8と同様に触媒を調製した。
実施例14
実施例8において、さらに0.4mol/L濃度の水酸化リチウム水溶液2.5mlおよび0.1mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液5mlを加えた以外は実施例8と同様に触媒を調製した。
実施例15
実施例14において、さらに硝酸ニッケル九水和物2.91gを50mlの水で溶解させたもの、を加えた以外は実施例14と同様に触媒を調製した。
実施例16
実施例15において、硝酸クロム水溶液に代えて硫酸クロム四水和物1.28gを50mlの水で溶解させたもの、を加えた以外は実施例15と同様に触媒を調製した。
実施例17
実施例16において、アンチモン酸ゾルのかわりに三酸化アンチモン粉末2.19g及び水200mlを添加した以外は実施例16と同様に触媒を調製した。
実施例18
0.1mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液の添加量を12.5mlに変更した以外は実施例17と同様に触媒を調製した。
実施例19、20及び21
実施例18において、五酸化ニオブ(Nb25)粉末1.00g(実施例19)、酸化タンタル(Ta25)粉末1.66g(実施例20)または酸化セリウム(CeO2)粉末1.29g(実施例21)を、それぞれ追加使用したこと以外は、実施例18と同様に触媒を調製した。
【0041】
以上すべての実施例の触媒は、反応に使用される前のX線回折(対陰極Cu−Kα)において、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°および65.8°であるときに(d値が2.72Å、1.66Å、3.84Å、2.35Åおよび1.42Åであるときに)Mn23相に相当するピークが観測された。それ以外のMn単独酸化物相は観測されなかった。
【0042】
実施例16で得られた触媒のX線回折スペクトルを図3に示す。
比較例1−9
三酸化二マンガン[酸化マンガン(III)]粉末のかわりに二酸化マンガン[酸化マンガン(IV)]粉末(比表面積41m2/g)4.35gを使用した以外はそれぞれ実施例1、4、5、8、9、10、14、16および19と同様に触媒を調製した。すべての比較例の触媒は、反応に使用される前のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)において、MnO2相が観測されたのみで、Mn23相が観測されなかった。
【0043】
比較例1で得られた触媒のX線回折スペクトルを図4に示す。
【0044】
実施例1−21及び比較例1〜9の各触媒を使用してプロパンの酸化脱水素反応を行なった。反応温度並びに反応開始から1時間後の反応結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004034059
【0046】
実施例22
実施例16においてプロパンのかわりにイソブタンを使用し且つ反応温度を530℃から490℃に変えた以外は実施例16と同様にイソブタンの酸化脱水素反応を行った。反応開始から1時間後の反応結果は、イソブタン転化率が35.7モル%、イソブテン選択率が32.5モル%、メタクロレイン選択率が1.0モル%、そしてイソブテン単流収率が11.6モル%であった。
比較例10
実施例22において比較例8と同じ触媒を使用した以外は実施例22と同様にイソブタンの酸化脱水素反応を行った。反応開始から1時間後の反応結果は、イソブタン転化率が28.3モル%、イソブテン選択率が27.6モル%、メタクロレイン選択率が0.8モル%、そしてイソブテン単流収率が7.8モル%であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の低級アルカン酸化脱水素用触媒は酸化脱水素能に優れ、低級アルカンから対応するオレフィンを高収率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全ての実施例でMn原料として使用した三酸化二マンガン粉末のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸は回折角2θであり、縦軸はピーク強度(cps)である。主要ピークA、B、C、D及びE並びにその他の微小ピークもすべてMn23相に帰属されるピークである。
【図2】実施例1で得られた触媒のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸および縦軸は図1と同じである。A、B、C、D及びEはMn23相の主要5ピークに帰属される。2θが14.8°、29.9°及び28.6°であるときに現われているピークはH14Sb1421(OH)42に帰属される。
【図3】実施例16で得られた触媒のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸および縦軸は図1と同じである。A、B、C、D及びEはMn23相の主要5ピークに帰属される。2θが15.2°、30.6°及び29.3°であるときに現われているピークはSb25・4H2Oに帰属される。
【図4】比較例1で得られた触媒のX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)である。横軸および縦軸は図1と同じである。Mn23相に帰属されるピークはなく、2θが21.8°、35.1°、36.8°、55.3°及び38.4°であるときにMnO2相に帰属されるピークが現われ、2θが14.8°、29.9°及び28.6°であるときにH14Sb1421(OH)42に帰属されるピークが現われている。

Claims (2)

  1. 炭素数2〜5の低級アルカンを分子状酸素の存在下に気相酸化脱水素して対応するオレフィンを製造するための触媒であって、下記一般式(1)
    Mn a b c x (1)
    (ここでMnはマンガンを表し、Oは酸素を表し、XはSb、WおよびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、YはRe、Fe、Co、Ni、Nb、Ta、Ce、Zn、Tl、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、a、b、cおよびxは各々Mn、X、Yおよび酸素の原子数を表し、aが1のときbは0.01〜2でcは0〜2であり、xは酸素以外の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
    により表される元素組成で構成されたものであること、並びに、回折角2θ(±0.3°)が32.9°、55.2°、23.1°、38.2°および65.8°であるときにX線回折スペクトル(対陰極Cu−Kα)に現れるピークによって同定される結晶相を含有していること、を特徴とする低級アルカンの酸化脱水素用触媒。
  2. 炭素数2〜5の低級アルカンを分子状酸素の存在下に気相酸化脱水素して対応するオレフィンを製造する際に、請求項1記載の触媒を用いることを特徴とするオレフィンの製造方法。
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