JP4031624B2 - 透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置 - Google Patents

透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および透明被膜付基材を備えた表示装置に関し、さらに詳しくは、反射防止性能、帯電防止性能、電磁波遮蔽性能等に優れるとともに、耐久性、耐水性、耐薬品性および膜強度、特に膜のスクラッチ強度に優れた透明被膜が形成された透明被膜付基材、および該透明被膜形成用に好適な被膜形成用塗布液、該透明被膜付基材で構成された前面板を備えた表示装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、ガラス、プラスチックシート等の基材表面の反射を防止するため、その表面に反射防止膜を形成することが知られていた。たとえば、蒸着法、CVD法等によって、フッ化マグネシウムのような低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの表面に形成することが行われてしている。しかしながら、これらの方法はコスト的に高価なものとなっている。
【0003】
また、シリカ微粒子を含む塗布液をガラス表面に塗布して、シリカ微粒子による微細で均一な凹凸をもった反射防止被膜を形成する方法も知られている。しかしながら、この方法は、シリカ微粒子により形成された凹凸面において、光の乱反射により正反射が低減されることを利用したり、微粒子間隙に生じる空気層を利用して反射防止を図るものであるが、基材表面への粒子の固定化や単層膜の形成が難しく、表面の反射率を制御することが容易ではないという問題点があった。
【0004】
このため、本願出願人は、多孔質微粒子の表面をシリカで被覆した低屈折率の複合酸化物微粒子とシリカ系被膜形成用マトリックスとからなる透明被膜は反射率が低く、低反射ガラスや低反射シートまたはフィルム等、低反射用基材の表面被膜の構成成分として利用可能であることを提案している(特開平7−133105号公報)。
さらにまた、特開平10−40834号公報には、銀または銀化合物の超微粒子などの導電性微粒子からなる導電層の直上に、SiO2を主成分としシリコーン類および/またはZrO2を含む層が設けられた陰極線管が開示され、また、SiO2を主成分としシリコーン類および/またはZrO2を含む層は、導電性微粒子層の直上に、SiO2を主成分としアルコキシシラン等を含む塗布層を形成し、上下塗布層を同時に焼成して形成することが記載されている。そして特開平10−40834号公報には、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン誘導体を使用することで、AEF防止に有効な高輝度で表面抵抗の低い上に、膜の耐水性や耐薬品性が向上し反射防止膜付陰極線管が開示されている。
【0005】
しかしながらこのような透明被膜では、必ずしも擦傷性が充分ではなく、表面に傷が付きやすく、これによって、被膜付基材の透明性や反射防止性が低下しまうという問題があった。
また、陰極線管、蛍光表示管、液晶表示板などの表示パネルに使用される透明基材では、透明基材表面の帯電防止を目的として、基材表面に帯電防止機能を有する被膜を形成することが行われており、この帯電防止被膜の表面に透明被膜を形成することも知られていた。
【0006】
たとえば、帯電防止機能を有する被膜としては、概ね102〜1010Ω/□程度の表面抵抗を有する導電性被膜を形成することが知られていた。このような陰極線管などの表示装置からは電磁波が放出されていることも知られており、このため、前記した帯電防止機能とは別に、これらの電磁波および電磁波の放出に伴って形成される電磁場を遮蔽するため、陰極線管などの表示パネルの表面に、特に102〜104Ω/□のような低表面抵抗を有する電磁波遮断用導電性被膜を形成することが知られていた。
【0007】
上記のような帯電防止機能を有する被膜を形成する方法としては、ITOなどの導電性金属酸化物微粒子を含む導電性被膜形成用塗布液を用いて基材の表面に導電性金属酸化物微粒子を含む導電性被膜を形成する方法が知られており、電磁波遮蔽用の低表面抵抗導電性被膜を形成する方法として、Agなどの金属微粒子を含む導電性被膜形成用塗布液を用いて基材の表面に金属微粒子含有被膜を形成する方法が知られていた。
【0008】
しかしながら、上記のように基材表面に形成された導電性被膜は、導電性被膜中に含まれる金属微粒子が酸化されたり、また金属のイオン化により金属微粒子が粒子成長したり、さらには金属微粒子の腐食が発生することがあり、これらによって、塗膜の導電性や光透過率が低下し、表示装置が信頼性を欠くという問題があった。また、導電性被膜に含まれる導電性酸化物粒子および金属微粒子は、屈折率が大きいので、照射した光を反射してしまうという問題点があった。
【0009】
このため、前記したように、導電性被膜上にさらに導電性被膜よりも屈折率の低い透明被膜を設けて反射防止を行うとともに、導電性被膜を保護することが行われていた。
しかしながら、従来の透明被膜では、ITOなどの導電性金属酸化物微粒子を含む導電性被膜表面に形成すると、可視光(波長域:400nm〜700nm)の中央波長域500〜600nm付近では反射率(ボトム反射率)が1%程度になるが、400nmおよび700nm付近の波長域になると反射率が高くなるという問題がありこのためボトム反射率(波長500nm付近における反射率)とともに視感反射率(可視光全域にわたる平均反射率)の低減が求められていた。
【0010】
ところで、従来のシリカ等のマトリックスを含む透明被膜では、導電性被膜表面に透明被膜を形成する場合には、透明被膜と導電性被膜との収縮率の差から、導電性被膜の密度が不均一となることがあり、このため導電性微粒子間に電気的接触のない部分が生じ、膜全体として充分な導電性が得られないことがあった。さらに、加熱処理の際に透明被膜が充分に緻密化せずに、多孔質となって、クラックやボイドが生じ、このようなクラックやボイドに、水分とともに酸やアルカリ等の薬品の進入を受けやすくなるという問題があった。
【0011】
また、このように透明被膜に進入した酸やアルカリが、基材表面と反応して屈折率を低下させたり、導電性被膜が形成されている場合には、導電性被膜中の金属等の微粒子と反応し、被膜の耐薬品性が低下して、帯電防止機能および電磁波遮蔽させる効果が低下してしまうという問題があった。
また、金属微粒子を含む導電性被膜表面に透明被膜を形成する場合では、ボトム反射が0.2%程度と低いものの、400nmおよび700nm付近の反射率が高く、また視感反射率も0.5〜1%程度の大きさであるため、目で感じる反射(映り込み)が強く感じられたり反射色の色付きを抑えることが困難なことがあり、このため透明被膜には、さらなる反射防止性能の向上が求められていた。
【0012】
そこで、本発明者等は、導電性被膜表面に形成する低屈折率膜について、さらに検討した結果、マトリックスがフルオロアルキル基を有する含フッ素シリコーン系物質からなり、かつ外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている無機化合物粒子を含む透明被膜が、極めて屈折率が低く、しかも低収縮性および疎水性を有し、さらにこのような透明被膜は、基材や透明導電性層との密着性が高く、膜強度、特にスクラッチ強度に優れることを見出した。そして、このような透明被膜が形成された透明被膜付基材は、耐久性、耐水性、耐薬品性、反射防止性能に優れ、導電性被膜表面に透明被膜が形成された場合には帯電防止性、電磁波遮蔽性に優れ、さらには視感反射率が低く、このため映り込みが少なく、反射色の色付きを抑えることができ、表示性能に優れた表示装置が形成可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
【発明の目的】
本発明は、特定の無機化合物粒子と特定の含フッ素シリコーン系物質を含むために屈折率が低く、かつ低収縮性および疎水性を有し、さらに透明導電層(透明導電性被膜)または基材との密着性、膜強度、耐水性、耐薬品性等にも優れた透明被膜が形成された透明被膜付基材を提供することを目的としている。また本発明は、このような透明被膜形成用に好適に使用される被膜形成用塗布液、および該透明被膜付基材を備えた帯電防止性、電磁遮蔽性に優れた表示装置を提供することを目的としている。
【0014】
【発明の概要】
本発明に係る透明被膜付基材は、
基材と、該基材表面に設けられた透明被膜とからなり、
該透明被膜が、(i)フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含むマトリックスと、(ii)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている無機化合物粒子とを含み、
かつ前記透明被膜中において、多孔質または空洞が維持されている
ことを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る透明被膜付基材は、基材と、該基材表面に設けられた導電層と、該導電層表面に設けられた透明被膜とからなり、
該透明被膜が、(i)フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含むマトリックスと、(ii)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている無機化合物粒子とを含み、
かつ前記透明被膜中において、多孔質または空洞が維持されている
ことを特徴としている。
【0016】
本発明に係る表示装置は、前記透明被膜付基材で構成された前面板を備え、透明被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴としている。
本発明に係る陰極線管は、前記透明被膜付基材で構成された前面板を備え、該前面板の外表面に透明被膜が形成されていることを特徴としている。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る透明被膜付基材は、
基材と、該基材表面に設けられた透明被膜または基材と、該基材表面に設けられた透明導電層と、該透明導電層表面に設けられた透明被膜とからなる。
【0018】
[基材]
本発明に用いる基材としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミックなどからなる平板、フィルム、シートあるいはその他の成形体、たとえばガラスビン、PETボトル、板ガラスなどの基材が挙げられる。
本発明では、このような基材表面に下記の導電層が設けられていてもよい。
【0019】
[導電層]
導電層としては、1012Ω/□以下の表面抵抗を有するものであれば、とくに、制限されるものではなく、公知の導電材料を使用することができる。導電層の厚さは、5〜200nm、好ましくは10〜150nmの範囲にあることが好ましく、この範囲の厚さであれば、電磁遮蔽効果、帯電防止効果に優れた基材を得ることができる。
【0020】
なお、帯電防止機能を有する導電層の場合、104〜1012Ω/□程度の表面抵抗を有し、電磁遮蔽用の導電層では102〜104Ω/□のような低い表面抵抗を有するものが形成される。なお、本発明のようにこの導電層表面に透明被膜が設けられていても、導電層の表面抵抗は、実質的に変動しない。導電層は、2層以上形成されていてもよい。
【0021】
透明導電材料としては、金属、導電性無機酸化物、導電性カーボンなどの無機系導電材料、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリイソチアナフテン、ポリアズレン、ポリフェニレン、ポリ-p-フェニレン、ポリ-p-フェニレンビニレン、ポリ-2,5-チエニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリペリナフタレンなどの導電性高分子が使用される。
【0022】
上記導電性高分子には、必要に応じてこれらにドーパントイオンがドーピングされていてもよい。
これらのうち、導電材料としては、金属、導電性無機酸化物、導電性カーボンなどの無機系導電材料が望ましい。通常、これらの導電材料から導電層を形成する場合は、微粒子状の金属(すなわち金属微粒子)または微粒子状の導電性無機酸化物(導電性無機酸化物微粒子)が使用される(本明細書では、これらを単に導電性微粒子ということもある)。
【0023】
本発明に用いられる「金属微粒子」としては、従来公知の金属微粒子を用いることができ、この金属微粒子は単一成分からなる金属微粒子であってもよく、2種以上の金属成分を含む複合金属微粒子であってもよい。
前記複合金属微粒子を構成する2種以上の金属は、固溶状態にある合金であっても、固溶状態にない共晶体であってもよく、合金と共晶体が共存していてもよい。このような複合金属微粒子は、金属の酸化やイオン化が抑制されるため、複合金属微粒子の粒子成長等が抑制され、複合金属微粒子の耐腐食性が高く、導電性、光透過率の低下が小さいなど信頼性に優れている。
【0024】
このような金属微粒子としては、Au,Ag,Pd,Pt,Rh,Ru,Cu,Fe,Ni,Co,Sn,Ti,In,Al,Ta,Sbからなる群から選ばれる金属の微粒子が挙げられる。また、複合金属微粒子としては、Au,Ag,Pd,Pt,Rh,Ru,Cu,Fe,Ni,Co,Sn,Ti,In,Al,Ta,Sbからなる群から選ばれる2種以上の金属の複合金属微粒子が挙げられる。好ましい2種以上の金属の組合せとしては、Au-Cu,Ag-Pt,Ag-Pd,Au-Pd,Au-Rh,Pt-Pd,Pt-Rh,Fe-Ni,Ni-Pd,Fe-Co,Cu-Co,Ru-Ag,Au-Cu-Ag,Ag-Cu-Pt,Ag-Cu-Pd,Ag-Au-Pd,Au-Rh-Pd,Ag-Pt-Pd,Ag-Pt-Rh,Fe-Ni-Pd,Fe-Co-Pd,Cu-Co-Pd などが挙げられる。
【0025】
また、Au,Ag,Pd,Pt,Rh,Cu,Co,Sn,In,Taからなる群から選ばれる金属の粒子を用いる場合は、その一部が酸化状態にあってもよく、該金属の酸化物を含んでいてもよい。さらに、PやB原子が結合して含有されていてもよい。
このような金属微粒子は、たとえば以下のような公知の方法(特開平10−188681号公報参照)によって得ることができる。
【0026】
(i)たとえば、アルコール・水混合溶媒中で、1種の金属塩を、あるいは2種以上の金属塩を同時にあるいは別々に還元する方法が挙げられる。この方法では、必要に応じて還元剤を添加してもよい。還元剤としては、硫酸第1鉄、クエン酸3ナトリウム、酒石酸、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、圧力容器中で約100℃以上の温度で加熱処理してもよい。(ii)また、単一成分金属微粒子または合金微粒子の分散液に、金属微粒子または合金微粒子よりも標準水素電極電位が高い金属の微粒子またはイオンを存在させて、金属微粒子または/および合金微粒子上に標準水素電極電位が高い金属を析出させる方法も採用することができる。この方法では、得られた複合金属微粒子上に、さらに標準水素電極電位が高い金属を析出させてもよい。また、このような標準水素電極電位の最も高い金属は、複合金属微粒子表面層に多く存在していることが好ましい。このように、標準水素電極電位の最も高い金属が複合金属微粒子の表面層に多く存在すると、複合金属微粒子の酸化およびイオン化が抑えられ、イオンマイグレーション等による粒子成長の抑制が可能となる。さらに、このような複合金属微粒子は、耐腐食性が高いので、導電性、光透過率の低下を抑制することができる。
【0027】
使用される金属微粒子の平均粒径は、1〜200nm、好ましくは2〜70nmの範囲にあることが望ましい。このような粒径の範囲にあると、形成された導電層は透明となる。また、金属微粒子の平均粒径が200nmを越えると、金属による光の吸収が大きくなり、粒子層の光透過率が低下するとともにへーズが大きくなる。このため被膜付基材を、たとえば陰極線管の前面板として用いると、表示画像の解像度が低下することがある。また、金属微粒子の平均粒径が1nm未満の場合には粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、本発明の目的を達成しうる程度の低抵抗値を有する被膜を得ることができないこともある。
【0028】
また、導電性無機微粒子としては、公知の透明導電性無機酸化物微粒子あるいは微粒子カーボンなどを用いることができる。
透明導電性無機酸化物微粒子としては、たとえば酸化錫、Sb、FまたはPが ドーピングざれた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸 化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンなどが挙げられる。
【0029】
これらの導電性無機微粒子の平均粒径は、1〜200nm、好ましくは2〜150nmの範囲にあることが好ましい。
このような導電層は、導電性被膜形成用塗布液を使用して作製することができる。
導電性被膜形成用塗布液は、上記導電性微粒子と極性溶媒とを含んでいる。
【0030】
導電性被膜形成用塗布液に用いられる極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
【0031】
なお、金属微粒子を含む塗布液を使用すると、電磁波遮蔽効果が発現される102〜104Ω/□程度の表面抵抗を有する透明導電性層を形成することができる。金属微粒子を使用して電磁遮蔽用の導電層を形成する場合、金属微粒子は、導電性被膜形成用塗布液中の金属微粒子の濃度が0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0032】
導電性被膜形成用塗布液中の金属微粒子の量が、0.05重量%未満の場合は、得られる被膜の膜厚が薄くなり、このため充分な導電性が得られないことがある。また、金属微粒子が5重量%を越えると、膜厚が厚くなり、光透過率が低下して透明性が悪化するとともに外観も悪くなる。
また、導電性被膜形成用塗布液には、金属微粒子とともに、前記した導電性無機微粒子が含まれていてもよく、電磁波遮蔽効果が得られる102〜104Ω/□程度の表面抵抗を有する透明導電性層を得ようとする場合は、前記金属微粒子1重量部当たり、前記した導電性無機微粒子は4重量部以下の量で含まれていればよい。導電性無機微粒子が4重量部を超える場合は、導電性が低下し電磁波遮蔽効果が低下することがあるので好ましくない。
【0033】
このような金属微粒子とともに導電性無機微粒子を含有していると、金属微粒子のみで透明導電性微粒子層を形成した場合と比較して、より透明性に優れた透明導電性微粒子層を形成することができる。また導電性無機微粒子を含有することによって、安価に透明導電性層を形成することもできる。
さらに、導電層が、帯電防止機能を有する104〜1012Ω/□程度の表面抵抗を有するものの場合は、通常、導電性無機微粒子のみが導電性被膜形成用塗布液に含まれていればよい。導電性被膜形成用塗布液中には、導電性無機微粒子が、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量で含まれていることが望ましい。 導電性被膜形成用塗布液中の導電性無機微粒子の量が0.1重量%未満の場合は、得られる被膜の膜厚が薄く、このため充分な帯電防止性能が得られないことがある。また、導電性被膜形成用塗布液中の導電性微粒子の量が10重量%を越えると、膜厚が厚くなり、光透過率が低下して透明性が悪化するとともに外観も悪くなる。
【0034】
さらに、これらの導電性被膜形成用塗布液には、可視光の広い波長領域において可視光の透過率が一定になるように、染料、顔料などが添加されていてもよい。
本発明で用いられる導電性被膜形成用塗布液中の固形分濃度(金属微粒子および/または金属微粒子以外の導電性微粒子と、必要に応じて添加される染料、顔料などの添加剤の総量)は、液の流動性、塗布液中の金属微粒子などの粒状成分の分散性の点から、15重量%以下、好ましくは0.15〜5重量%であることが好ましい。
【0035】
本発明に用いる導電性被膜形成用塗布液には、被膜形成後の金属微粒子、金属微粒子以外の導電性微粒子のバインダーとして作用するマトリックス成分が含まれていてもよい。このようなマトリックス成分としては、従来公知のものを用いることができるが、本発明ではシリカ、シリカ系複合酸化物、ジルコニア、酸化アンチモンからなる群から選ばれる1種以上の酸化物の前駆体からなるものが好ましく、特に、アルコキシシランなどの有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸が好ましく用いられる。この他、塗料用樹脂などを用いることもできる。
【0036】
このようなマトリックス成分は、酸化物としてあるいは樹脂として、前記金属微粒子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.3重量部の量で含まれていればよい。
また、前記導電性微粒子の分散性を向上させるため、導電性被膜形成用塗布液中に有機系安定剤が含まれていてもよい。このような有機系安定剤として具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩、スルホン酸塩、有機スルホン酸塩、リン酸塩、有機リン酸塩、複素環化合物あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0037】
このような有機系安定剤は、有機系安定剤の種類、導電性微粒子の粒子径等によっても異なるが、微粒子1重量部に対し、0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部の量で含まれていればよい。有機系安定剤の量が0.005重量部未満の場合は充分な分散性が得られず、0.5重量部を超えて高い場合は導電性が阻害されることがある。
【0038】
導電層の形成
導電層は、前記導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥して、形成される。
具体的には、たとえば、前記導電性被膜形成用塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの方法で、基材上に塗布したのち、常温〜約90℃の範囲の温度で乾燥する。
【0039】
導電性被膜形成用塗布液中に上記のようなマトリックス形成成分が含まれている場合には、マトリックス成分を硬化させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱処理では、乾燥後の塗膜を加熱して、マトリックス成分を硬化させる。このときの加熱処理温度は、100℃以上、好ましくは150〜300℃であることが望ましい。100℃未満ではマトリックス成分が充分に硬化しないことがある。また加熱処理温度の上限は基材の種類によって異なるが、基材が分解、溶解、燃焼しない温度以下であればよい。
【0040】
また、マトリックス成分を硬化させる処理として、加熱処理の他に電磁波照射による硬化処理、硬化が促進されるガス雰囲気下での処理などを施すこともできる。
[透明被膜]
本発明では、前記基材表面または前記した導電層表面に、透明被膜が形成されている。透明被膜は、以下のような無機化合物粒子とマトリックスとを含む。
【0041】
無機化合物粒子
本発明で使用される無機化合物粒子は、
外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている粒子である。
無機化合物粒子内部の多孔質または空洞は、透明被膜中において、維持されている。
【0042】
このような無機化合物粒子の断面模式図を図1(a)〜(d)に示す。
図1(a)〜(d)中、添字1は外殻層であり、添字2は多孔質(の物質)であり、添字3は空洞を示す。
本発明で使用される無機化合物粒子は、図1(a)に示されるように、外殻層内部に多孔質となっているものであっても、図1(b)に示されるように、外殻層内が空洞となっているものであっても、さらに図1(c)および(d)のように外殻層内に、多孔質の物質および空洞が含まれていてもよい。
【0043】
空洞3内には、無機化合物粒子の調製時に使用した溶媒(後述)、気体などの内容物で充填されている。
このような無機化合物粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される無機化合物粒子の平均粒子径は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択される。
【0044】
外殻層の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。
外殻層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆するされていないことがあり、後述するマトリックスを形成するために使用されるフッ素含有シリコーン化合物モノマー、オリゴマーなどのフッ素含有マトリックス前駆体が容易に無機化合物子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が充分に得られないことがある。また、外殻層の厚さが20nmを越えると、フッ素含有シリコーン化合物モノマー、オリゴマーなどのフッ素含有マトリックス前駆体が内部に進入することはないが、外殻層の割合が高くなるために、粒子内部の多孔質物質の割合が低下し、低屈折率の効果が充分に得られなくなることがある。
【0045】
また内部が空洞からなる粒子(図1(b))の場合、外殻層の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えると、外殻層の割合が高くなり、粒子内の空洞容積が低下し、低屈折率の効果が充分に得られなくなることがある。
本発明で使用される無機化合物粒子の空隙率は10体積%以上であることが望ましい。外殻層内部が多孔質となっている粒子の場合、空隙率は10体積%以上20体積%未満の範囲にある。また、外殻層内部が空洞となっている粒子の場合、空隙率は20体積%以上となる。
【0046】
前記無機化合物粒子の外殻層は、シリカを主成分とすることが好ましい。また無機化合物粒子の外殻層にはシリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P25、Sb23、Sb25、MoO3、ZnO、WO3からなる群から選ばれる酸化物が用いられる。
外殻層内部の多孔質を構成する化合物(以後、多孔質物質という)としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgFなどからなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなるものが好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P2O5、Sb23、Sb25、MoO3、ZnO、WO3からなる群から選ばれる1種以上を挙げることができる。このような多孔質を構成する化合物(多孔質物質)では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MOx)で表したときのモル比MOx/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.0001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質物質のモル比MOx/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしてもさらに屈折率が低いものを得ることはない。また、多孔質物質のモル比MOx/SiO2 が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が小さく、かつ屈折率の低い粒子を得られないことがある。
【0047】
外殻層がシリカを主成分とする場合、本発明で使用される無機化合物粒子の屈折率は1.41未満であることが望ましい。
このような無機化合物粒子の外殻層内部がシリカを主成分とする多孔質となっている場合には、屈折率は、1.41〜1.37の範囲にあり、このときの空隙率は10体積%以上20体積%未満の範囲にある。また、外殻層内部が空洞となっている場合(多孔質と空洞からなっている場合も含む)、屈折率は1.37未満好ましくは1.36未満であり、空隙率は20体積%以上好ましくは22体積%以上となる。
このような低屈折率の粒子を用いると、とくに反射性能に優れた被膜付基材が得られる。
【0048】
屈折率は、SiO2マトリックス形成成分液(M)と無機化合物粒子とを、酸化物換算の重量比(マトリックス(SiO2):無機化合物粒子(MOx+SiO2))が、それぞれ100:0、90:10、80:20、60:40、50:50、25:75となるように、混合した屈折率測定用塗布液を調製し、各塗布液を、表面を50℃に保ったシリコンウェハー上に300rpm、スピナー法で各々塗布し、次いで160℃で30分加熱処理した後、エリプソメーターで形成した屈折率測定用被膜の屈折率を測定し、次いで、得られた屈折率と粒子混合割合(粒子:(MOx+SiO2)/[粒子:(MOx+SiO2)+マトリックス:SiO2)をプロットし、外挿によって粒子が100%のときの屈折率を求め、これを無機化合物粒子の屈折率とした。
【0049】
また、空隙率は、上記方法で求めた屈折率を用いて、純粋なSiO2の屈折率(1.45)との差から、空気に換算して含まれている空隙を算出して求めた。
なお、外殻層内の空洞には、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質の一部などの内容物が充填されている。さらに、溶媒中には粒子を調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒などが含まれていてもよい。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
無機化合物粒子中のシリカとシリカ以外の無機化合物(MOX:酸化物換算)とのモル比MOx/SiO2は0.0001〜1.0、好ましくは0.0001〜0.3の範囲にあることが望ましい。
【0050】
このような無機化合物粒子の外殻層内部の多孔質または空洞は、上記したように透明被膜中においても維持されている。
図2は、外殻層内部が空洞となっている無機化合物粒子の断面TEM写真を示す。外殻層はシリカ(厚さ15nm、粒径96nm)からなり、屈折率1.31、空隙率31%の粒子である。内部を空気として、空洞の割合を計算すると空洞の割合は32%となり、外殻層内部は空洞が形成されていることが明らかである。
【0051】
また、図3は、後述するマトリックスとともに、透明被膜を形成したときに、透明被膜中での外殻層内部が空洞となっている無機化合物粒子の断面TEM写真を示す。図3から明らかなように、空洞内にマトリックス成分が侵入することがなく、空洞は透明被膜中でも維持されいる。
無機化合物粒子の調製
このような無機化合物粒子の製造方法としては、たとえば特開平7−133105号公報に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
【0052】
具体的に、無機化合物粒子が、シリカと、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程により製造される。
第1工程:多孔質物質前駆体粒子の調製
第1工程では、あらかじめ、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質物質の前駆体粒子(以後、多孔質物質前駆体粒子という)を調製する。
【0053】
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カリウムが用いられる。
有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物などを添加したアルカリ性溶液も含まれる。
【0054】
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物を用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、Wなどから選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、リン酸ナトリウムが適当である。
【0055】
以上のような原料の水溶液を混合すると同時に、混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類およびその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度にはとくに制限はない。
また、無機化合物粒子内部の多孔質物質が複合酸化物である場合、多孔質物質前駆体粒子を製造するに際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO2、Al23、TiO2またはZrO2等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。さらに前記の製造方法によって得られた多孔質物質前駆体粒子分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整したのち、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにして、シード粒子を用いると、調製する多孔質物質前駆体粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
【0056】
上記したシリカ原料および無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオンおよびアルミン酸イオンなどのオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、あるいは、シード粒子上に析出して粒子成長が起こる。したがって、粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
【0057】
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、無機化合物を酸化物(MOx)に換算し、MOx/SiO2のモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質物質の細孔容積が増大する。なお、MOx/SiO2のモル比が2.0を越えても、多孔質物質の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、MOx/SiO2のモル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。無機化合物の外殻層内に空洞を形成する場合、MOx/SiO2のモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。MOx/SiO2のモル比が、0.25未満であると、次の第2工程で空洞が形成されるまでに至らないことがある。
【0058】
第2工程:多孔質物質前駆体粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質物質前駆体粒子から、シリカ以外の無機化合物(ケイ素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質物質前駆体粒子中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、あるいは、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
【0059】
なお、第1工程で得られる多孔質物質前駆体粒子は、ケイ素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このような多孔質物質前駆体粒子から無機化合物(ケイ素と酸素以外の元素)を除去することにより、いっそう多孔質でかつ細孔容積の大きい多孔質粒子が得られ、この多孔質粒子が外殻層内部の多孔質を構成する。
【0060】
また、多孔質物質前駆体粒子からシリカ以外の無機化合物を除去する量を多くすれば、外殻層内部が空洞となっている粒子を調製することができる。
また、多孔質物質前駆体粒子からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質物質前駆体粒子分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られるケイ酸液あるいは加水分解性の有機ケイ素化合物を添加して、多孔質物質前駆体粒子表面にシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程で形成されるシリカ保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、多孔質物質前駆体粒子から、前記したシリカ以外の無機化合物を、除去することは可能である。
【0061】
このようにシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を多孔質物質前駆体粒子から除去することができる。
また、シリカ保護膜を形成することによって、後述するシリカ外殻層を形成する際に、多孔質粒子の細孔がシリカ外殻層形成成分である加水分解性の有機ケイ素化合物またはケイ酸液等によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ外殻層を形成することができる。
【0062】
なお、多孔質物質前駆体粒子から除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また外殻層内部が空洞となっている粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことがとくに望ましい。外殻層内部が空洞となっている粒子を調製する際には、無機化合物の除去によって、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解のため残存する前記多孔質物質の一部とからなる粒子前駆体が得られ、該粒子前駆体に後述のシリカ外殻層を形成すると、形成されたシリカ保護膜およびシリカ外殻層が、外殻層となり、内部に空洞が形成された無機化合物粒子が得られる。
【0063】
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多すぎると、シリカ保護膜が厚くなりすぎるので、多孔質物質前駆体粒子からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。
シリカ保護膜の形成用に使用される加水分解性の有機ケイ素化合物としては、一般式RnSi(OR')4-n 〔R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0064】
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、およびアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質物質前駆体粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質物質前駆体粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
【0065】
多孔質物質前駆体粒子の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。
ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質物質前駆体粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
【0066】
以上のように、多孔質物質前駆体粒子からのシリカ以外の無機化合物を除去することによって多孔質粒子の分散液または外殻層内部が空洞となっている粒子の前駆体分散液が調製される。
第3工程:シリカ外殻層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞を形成する場合の粒子の前駆体分散液も含む)に加水分解性の有機ケイ素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、多孔質粒子(空洞を形成する場合の粒子前駆体)の表面を加水分解性有機ケイ素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ外殻層を形成する。
なお、加水分解性有機ケイ素化合物を単独で使用することが望ましい。またケイ酸液を使用する場合は、加水分解性有機ケイ素化合物と併用することが望ましく、ケイ酸の量は30重量%未満とすることが望ましい。
【0067】
シリカ外殻層形成用に使用される加水分解性の有機ケイ素化合物としては、前記したような一般式RnSi(OR')4-n 〔R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0068】
これらのアルコキシシラン、純水、およびアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子分散液に加え、アルコキシシランを加水分解することで生成したケイ酸重合物を多孔質粒子の表面に沈着させて、外殻層を形成する。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
【0069】
多孔質粒子(空洞を形成する場合では、粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて外殻層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
【0070】
ケイ酸液を用いる場合、ケイ酸液を多孔質粒子(空洞を形成する場合では、粒子の前駆体)分散液中に添加すると同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子表面に沈着させることによって、外殻層を形成する。なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して外殻層形成用に使用してもよい。
外殻層形成用に使用される有機ケイ素化合物またはケイ酸液の添加量は、多孔質粒子表面を充分に被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ外殻層の厚さが1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成している場合はシリカ保護膜とシリカ外殻層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機ケイ素化合物またはケイ酸液は添加される。
【0071】
次いで、必要に応じて外殻層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、形成されたシリカ外殻層が緻密化する。
このときの加熱処理温度は、シリカ外殻層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱温度が溶媒の沸点以上の場合、オートクレーブなどの耐圧容器を使用してもよい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ外殻層の微細孔を閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると、外殻層内部が多孔質となっている場合には、多孔質を構成する化合物(多孔質物質)物質が緻密化することがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
【0072】
このようにして得られた無機化合物粒子は、屈折率が1.41以下であり、低いものである。このため、このような無機化合物粒子は、内部に多孔質物質の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなる。
マトリックス
透明被膜は、マトリックスとして、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含んでいる。このフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分としては、下記式(1)〜(3)で表される構成単位を有するものが好適である。
【0073】
【化1】
Figure 0004031624
【0074】
式中、R1は炭素数1〜16のフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基を示し、R2は炭素数1〜16のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基、水素原子あるいはハロゲン原子を示す。
Xは−(Cabc)−を示し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなXとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。
【0075】
このような構成単位を形成するマトリックスは、通常、下記式(4)または(5)で表されるフルオロアルキル基を有する含フッ素シリコーン系化合物から誘導される。
【0076】
【化2】
Figure 0004031624
【0077】
式中R1は、炭素数1〜16、好ましくは3〜12のフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基を示し、R2〜R7は炭素数1〜16、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10のアリール基、炭素数7〜14、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、水素原子あるいはハロゲン原子を示す。
【0078】
Xは−(Cabc)−を示し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなXとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。
具体的に、このような含フッ素シリコーン系化合物としては、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、および化学式(MeO)3SiC2461224Si(MeO)3で表されるメトキシジシラン化合物等が挙げられる。
【0079】
マトリックスとして、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含んでいると、形成される透明被膜自体が疎水性を有しているので、透明被膜が充分緻密化しておらず、多孔質であったり、またクラックやボイドを有している場合であっても、水分や酸・アルカリ等の薬品による透明被膜への進入が抑制される。さらには、基板表面や下層である導電層中に含まれる金属等の微粒子と水分や酸・アルカリ等の薬品とが反応することもない。このため、このような透明被膜は、優れた耐薬品性を有している。
【0080】
また、マトリックスとして、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含んでいると、このような疎水性のみならず、滑り性がよく(接触抵抗が低く)、このためスクラッチ強度に優れた透明被膜を得ることができる。
さらに、マトリックスが、このような構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含んでいると、下層に導電層が形成されている場合には、マトリックスの収縮率が、導電層と同等か近いものであるため導電層と密着性に優れた透明被膜を形成することができる。さらに、透明被膜を加熱処理する際に、収縮率の違いから、導電層が剥離して、透明導電性層に電気的接触のない部分が生じることもない。このため、膜全体として充分な導電性を維持できる。
【0081】
フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分と前記無機化合物粒子とを含む透明被膜は、スクラッチ強度が高い上に、消しゴム強度あるいは爪強度で評価される膜強度が高く、および鉛筆硬度も高く、強度の上で優れた透明被膜を形成することができる。
本発明では、このようなマトリックス中には、上記フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分以外の他の成分が含まれていてもよい。
【0082】
他の成分としては、シリカ、ジルコニア、チタニアなどの無機酸化物、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、チタニア・ジルコニアなどの複合酸化物が挙げられる。これらのうちでもとくにシリカが望ましい。
マトリックス中における、上記式(1)〜(3)で表される構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分の量は、SiO2に換算して、マトリックス中に、0.1〜70重量%の割合にあることが好ましい。さらに好ましくは1〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0083】
マトリックス中の上記式(1)〜(3)で表される構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分の量が、0.1重量未満の場合は、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分が少ないため、形成される透明被膜表面の滑り性が充分に発現せず、スクラッチ強度に優れた透明被膜が得られないことがある。
他の成分は(無機酸化物の前駆体など)、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分より収縮率が大きいので、他の成分の量が多くなると、透明被膜自体の収縮率が大きくなり、透明被膜の加熱処理(硬化処理)を行う際に、透明被膜が基材を湾曲させたり、たとえば下層に導電層が形成されている場合には、透明被膜との間の収縮率の差が生じ、導電層が剥離したり、導電層内に電気的接触のない部分が生じ、基材全体として、充分な導電性が得られないことがある。また、収縮率が大きいために膜が緻密になりすぎてしまい、多孔性が得られないので透明被膜の屈折率を下げる効果が不充分となることがある。さらに、電子密度の低いフッ素化合物の含有量が少ないために、透明被膜の低屈折率化が不充分となる傾向がある。さらにまた、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分が少ないため透明被膜の疎水性が不充分となり、充分な耐薬品性が得られないことがある。
【0084】
マトリックス中の上記式(1)〜(3)で表される構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分の量が、SiO2に換算して70重量%を越えると、透明被膜が多孔質になりすぎて透明被膜の強度が低下したり、透明被膜消しゴム強度やスクラッチ強度などの膜強度が低下したり、さらには、基材や導電層との密着性が不充分となることがある。
【0085】
本発明で使用されるマトリックスとしては、屈折率が1.6以下のものが望ましい。なお、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分とともに、マトリックス中に他の成分が含まれている場合には、混合物の屈折率が1.6以下のものが望ましい。
本発明では、透明被膜中の上記マトリックスと前記した無機化合物粒子との重量比(マトリックス/無機化合物粒子、ともに酸化物換算)は、0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲にあることが望ましい。
【0086】
透明被膜形成用塗布液
前記透明被膜は、たとえばマトリックス前駆体と前記無機化合物粒子を含む透明被膜形成用塗布液を用いて形成される。
マトリックス前駆体
マトリックス前駆体としては、前記した式(4)または(5)で表される含フッ素シリコーン系化合物または該含フッ素系シリコーン系化合物の加水分解物、該加水分解物の重縮合物(以後、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体という)が使用される。
【0087】
このようなフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体は、分子量がポリスチレン換算の数平均分子量で500〜10000の範囲にあることが好ましく、特に好ましい範囲は700〜2500である。
またマトリックス前駆体には、必要に応じて、前記無機酸化物前駆体および/または無機複合酸化物の前駆体が含まれていてもよい。
【0088】
必要に応じて含まれてもよい無機酸化物の前駆体および/または複合酸化物の前駆体としては、シリカ前駆体が好ましく、とくに、加水分解性有機ケイ素化合物の部分加水分解物、加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液、特に下記一般式[A]で表されるアルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカ前駆体が好ましい。
【0089】
aSi(OR')4-a [A]
(式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子であり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系数1〜8のアルキル基、−C24OCn2n+1(n=〜4)または水素原子であり、aは〜3の整数である。)
このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0090】
さらに、前記シリカ前駆体は、分子量がポリスチレン換算の数平均分子量で500〜10000の範囲にあることが望ましい。
シリカ前駆体のポリスチレン換算の分子量で500未満の場合は、塗布液中に未加水分解物が存在することがあり、透明被膜形成用塗布液を導電層に均一に塗布できないことがあり、また仮に塗布できたとしても導電層と透明被膜との密着性に劣ることがある。シリカ前駆体のポリスチレン換算の分子量で10000を越えると被膜の強度が低下する傾向にある。
【0091】
上記において、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体と無機酸化物の前駆体および/または無機複合酸化物の前駆体の混合比率は、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体と無機酸化物の前駆体および/または無機複合酸化物の前駆体を酸化物に換算したとき、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体が、0.1〜70重量%の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1〜30重量%の範囲にあることが望ましい。
【0092】
フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体(酸化物換算)量が0.1重量%未満であると、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体量が少ないため、必要に応じて添加される他の成分(無機酸化物前駆体など)によって形成される透明被膜自体の収縮率が大きくなり、透明被膜の加熱処理(硬化処理)を行う際に、透明被膜が収縮して基材が湾曲したり、導電層が下層に設けられている場合には、透明被膜と導電層との間の収縮率の差が生じ、導電層が剥離したり、導電性微粒子間に電気的接触のない部分が生じ、基材全体として、充分な導電性が得られないことがある。また、透明被膜の収縮率が大きいために膜が緻密になりすぎてしまい、多孔性が得られず、透明被膜の屈折率を下げる効果が不充分となることがある。さらに、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体の量が少ないと、形成される透明被膜の疎水性が不充分となり、充分な耐薬品性が得られないことがある。
【0093】
フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体の量が70重量%を越えると、透明被膜が多孔質になりすぎて透明被膜の強度が低下したり、下層の導電層との密着性が不充分となることがある。
また、本発明のように、マトリックス前駆体としてフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体を含む透明被膜形成用塗布液を使用して導電層表面に透明被膜を形成すると、疎水性を有する前記フッ素置換アルキル基の一部が導電層の表層の金属微粒子を被覆し、導電層と透明被膜の境界域に疎水性のフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分からなる保護層が形成されるため、導電層の耐薬品性も向上される。
【0094】
さらに、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体は、2次元鎖状構造をとる傾向があり、このような2次元鎖状構造のフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体は、たとえばシリカマトリックス前駆体などの無機酸化物前駆体と比較して、無機化合物粒子に吸着あるいは結合しやすい。このため、透明被膜形成用塗布液中での無機化合物粒子の凝集が、2次元鎖状構造のフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体によって抑制されて、無機化合物粒子が透明被膜形成用塗布液中に均一に分散する。この透明被膜形成用塗布液を塗布して得られる透明被膜は、被膜中でも無機化合物粒子が均一に分散した状態が維持され、無機化合物粒子が均一に分散した透明被膜が得られる。したがって、このような透明被膜形成用塗布液を使用すると、より大きな基材であっても、無機化合物粒子が均一に分散し、かつ外観の優れた透明被膜を形成することができる。また、前記透明被膜形成用塗布液を用いる透明被膜の形成方法は工業的な製造信頼性(歩留まり)に優れている。
【0095】
このようにフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体と無機化合物粒子とを含む透明被膜形成用塗布液を塗布して乾燥する際には、溶媒の蒸発とともに透明被膜の上層部に無機化合物粒子およびフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体が多く存在するようになる。透明被膜中の2次元鎖状の含フッ素シリコーン系化合物は収縮が小さく、多孔質性を保持しているため、屈折率が低く、また無機化合物粒子自体は屈折率が低いので、透明被膜表層の屈折率は小さくなっている。また、上記したように透明被膜表層では、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体が選択性に存在しているため、透明被膜表層の滑り性がよく、このためスクラッチ強度の高い透明被膜が得られる。さらに、透明被膜下層ではフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体以外のシリカマトリックス前駆体などの無機酸化物前駆体が多く存在するようになり、この無機酸化物前駆体は、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体や前記無機化合物粒子よりも、屈折率が大きい。このため、透明被膜の下層部から上層部に向かって屈折率が低下する傾斜屈折率膜が得られ、反射率、特に視感反射率に優れた透明被膜が得られる。
【0096】
これらのマトリックス前駆体を含む塗布液から形成される透明被膜は、屈折率が小さく、得られる透明被膜付基材は反射防止性に優れている。
透明被膜形成用塗布液の調製
マトリックス前駆体が分散した分散液に前記無機化合物粒子が混合されて、透明被膜形成用塗布液が調製される。
【0097】
マトリックス前駆体分散液は、フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分前駆体と、必要に応じてシリカなどの酸化物の前駆体とを、水−アルコール混合溶媒に溶解ないし分散させることによって調製される。またマトリックス前駆体分散液は、フッ素系シリコーン系化合物と、必要に応じてシリカなどの酸化物の前駆体とを水−アルコール混合溶媒に溶解ないし分散させたのち、たとえばで酸触媒の存在下、加水分解して調製してもよい。
【0098】
透明被膜形成用塗布液中に含まれる前記無機化合物粒子の濃度は、酸化物換算で0.05〜3重量%の範囲にあることが好ましい。特に好ましくは0.2〜2重量%の範囲である。
透明被膜形成用塗布液に含まれる無機化合物粒子の濃度が0.05重量%未満の場合では、無機化合物粒子の量が少なすぎて、得られる透明被膜が反射防止性能に劣ることがあり、無機化合物粒子の濃度が3重量%を越えると得られる膜にクラックが生じたり、膜の強度が低下することがある。
【0099】
また、塗布液中に含まれるマトリックス前駆体の濃度は、酸化物に換算したときの濃度が0.05〜10重量%の範囲にあることが好ましい。特に好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲である。
塗布液に含まれるマトリックス前駆体の濃度が酸化物に換算して0.05重量%未満の場合は、得られる膜の膜厚が薄いために耐水性や反射防止性能に劣ることがあり、また1回の塗布で充分な膜厚の膜を得られないことがあり、塗布を繰り返して行った場合は均一な膜厚の膜が得られないことがある。
【0100】
マトリックス前駆体の濃度が酸化物に換算して10重量%を越えると得られる膜にクラックが生じたり、膜の強度が低下することがある。また膜が厚すぎて反射防止性能が不充分となることがある。
透明被膜形成用塗布液中の上記マトリックス前駆体と前記した無機化合物粒子との重量比(マトリックス前駆体/無機化合物粒子、ともに酸化物換算)は、0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲にあることが望ましい。
【0101】
さらにまた、透明被膜形成用塗布液には、フッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成された微粒子、透明被膜の透明度および反射防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子および/または染料または顔料などの添加剤が含まれていてもよい。
透明被膜の形成
透明被膜の形成方法としては、特に制限はなく、前記した塗布液を、基材等の材質に応じて、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法など方法で塗布した後、乾燥する湿式薄膜形成方法を採用することができる。
【0102】
また、形成する透明被膜の膜厚は、50〜300nm、好ましくは80〜200nmの範囲であることが好ましく、このような範囲の膜厚であると優れた耐水性を発揮するとともにボトム反射率および視感反射率が低く、優れた反射防止性能を発揮する。
透明被膜の膜厚が50nm未満の場合は、膜の強度、耐水性、反射防止性能等が劣ることがある。
【0103】
透明被膜の膜厚が300nmを越えると、膜にクラックが発生したり膜の強度が低下することがあり、また膜が厚すぎて反射防止性能が不充分となることがある。
本発明では、このような透明被膜形成用塗布液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後に、100℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形成成分の硬化が促進され、得られる透明被膜の硬度が高くなる。
【0104】
さらに、透明被膜形成用塗布液を塗布して被膜を形成する際に、基材を約40〜90℃に保持しながら透明被膜形成用塗布液をスプレー法で塗布して、透明被膜を形成すると、透明被膜の表面にリング状の凹凸が形成され、ギラツキの少ないアンチグレアの透明被膜付基材が得られる。
透明被膜は、屈折率の異なる2種以上の被膜を積層形成してもよく、たとえば基材表面から順次屈折率の小さい透明被膜を形成すれば、極めて反射防止性に優れた透明被膜付基材を得ることができる。また下層に形成される透明被膜は、上記した無機化合物粒子とフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含んでいないものであってもよい。
【0105】
導電層表面に透明被膜を形成する場合は、導電層と透明被膜との屈折率の差は、通常、0.3以上あることが好ましい。屈折率の差が0.3未満の場合は反射防止性能が不充分となることがある。
[表示装置]
本発明に係る表示装置は、前記透明被膜付基材で構成された前面板を備え、透明被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴としている。
【0106】
本発明に係る透明被膜付基材のうち、特に、1012Ω/□以下の表面抵抗を有する導電層が形成された基材は、導電層の表面に可視光領域および近赤外領域で優れた反射防止性能を有しており、表示装置の前面板(たとえば、ブラウン管用パネルガラス)として好適に用いられる。
本発明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶用ディスプレイ(LCD)などのような電気的に画像を表示する装置であり、上記のような透明被膜付基材で構成された前面板を備えている。このときの前面板は、ディスプレイフェースパネルの表面に導電層と透明被膜が形成された前面板であってもよく、ディスプレイフェースパネルとは別の基材に導電層と透明被膜が形成された前面板であってもよい。
【0107】
従来の前面板を備えた表示装置を作動させると、前面板に埃等が付着したり、前面板に画像が表示されると同時に電磁波が前面板から放出されることがあるが、前面板に1012Ω/□以下の表面抵抗を有する導電層が形成されたものは、埃等が付着しにくく、特に、前面板に102〜104Ω/□の表面抵抗を有する導電層が形成されていると、このような電磁波、およびこの電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができる。
【0108】
また、表示装置の前面板で反射光が生じると、この反射光によって表示画像が見にくくなるが、本発明に係る表示装置では、前面板が低屈折率の透明被膜が形成された基材から構成されておりボトム反射率および視感反射率がともに低いので、このような反射光を可視光領域および近赤外領域にわたって効果的に防止することができる。
【0109】
このような表示装置では、高いスクラッチ強度を有する透明被膜が表面に形成されているので、擦り傷などが形成されず、このため鮮明な画像を長期にわたって維持できる。
さらに、ブラウン管の前面板が、本発明に係る透明被膜付基材で構成され、この透明導電性層または透明被膜の少なくとも一方に少量の染料または顔料が含まれている場合には、これらの染料または顔料がそれぞれ固有な波長の光を吸収し、これによりブラウン管から放映される表示画像のコントラストを向上させることができる。
【0110】
また、ブラウン管の前面板には、本発明に係る低屈折率の無機化合物粒子を含む透明被膜が形成されているので反射防止性能に優れ、可視光の散乱もなく鮮明な表示画像が得られる。この透明被膜は導電層との密着性に優れるため、保護膜としての性能も有し、優れた表示性能を長期にわたって維持することができる。このため、導電層の導電性を長期にわたって維持することができるので帯電防止性能、電磁波遮蔽性能が低下することもない。
【0111】
【発明の効果】
本発明に係る透明被膜付基材は、低屈折率の無機化合物粒子とフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分とを含む透明被膜が表面に形成されている。このような透明被膜付基材は、透明被膜と基材または導電層との密着性が高く、透明被膜自体が膜強度、特にスクラッチ強度が高い上に、耐水性、耐薬品性に優れている。さらにこのような透明被膜付基材は、耐水性、ボトム反射率および視感反射率が低く、このため可視光の広い波長域にわたって反射防止性能に優れている。
【0112】
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、上記優れた透明被膜付基の形成に好適に使用することができる。
本発明に係る表示装置は、反射防止性能にも優れるとともに耐水性に優れるため、可視光の散乱もなく鮮明な表示画像が得られ、また優れた表示性能を長期にわたって維持することができる。さらに導電層が形成されていても、耐薬品性が高いため、導電性を長期にわたって維持することができるので帯電防止性能、電磁波遮蔽性能が低下することもない。
【0113】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0114】
【調製例1】
無機化合物粒子( P-1 )の調製(外殻層内部が多孔質となっている粒子)
平均粒径5nm、SiO2濃度20重量%のシリカゾル100gと純水1900gとを混合して反応母液を調製し、80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは、ケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2・Al23多孔質物質前駆体粒子の分散液(A)を調製した。(第1工程)
この多孔質物質前駆体粒子の分散液(A)500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2 濃度3.5重量%)3,000gを添加して多孔質物質前駆体粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られた多孔質物質前駆体粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%に調整したのち、多孔質物質前駆体粒子の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5重量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。
【0115】
次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、一部のアルミニウムが除去されたSiO2・Al23 多孔質粒子の分散液(B)を調製した。(第2工程)
上記多孔質粒子の分散液(B)1500gと、純水500g、エタノール1,750gおよび28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2 28重量%)104gを添加し、多孔質粒子の表面にエチルシリケートの加水分解重縮合物のシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15重量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-1)の分散液を調製した。(第3工程)
この粒子(P-1)の平均粒径、粒子全体(積層した外殻層も含む)SiO2/MOx(モル比)、および屈折率を表1に示す。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定し、屈折率は以下の方法で測定した。
【0116】
粒子の屈折率の測定方法
(1)後述する調製例9で得られたマトリックス形成成分液(M)と無機化合物粒子とを、酸化物換算の重量比(マトリックス(SiO2):無機化合物粒子(MOx+SiO2))が、それぞれ100:0、90:10、80:20、60:40、50:50、25:75となるように、混合した屈折率測定用塗布液を調製した。
(2)各塗布液を、表面を50℃に保ったシリコンウェハー上に300rpm、スピナー法で各々塗布し、次いで160℃で30分加熱処理した後、エリプソメーターで形成した屈折率測定用被膜の屈折率を測定した。
(3)次いで、得られた屈折率と粒子混合割合(粒子:(MOx+SiO2)/[粒子:(MOx+SiO2)+マトリックス:SiO2})をプロットし、外挿によって粒子が100%のときの屈折率を求める。
(4)空隙率は、求めた屈折率を用いて、純粋なSiO2の屈折率(1.45)との差から、空気に換算して含まれている空隙を算出して求めた。
【0117】
【調製例2】
無機化合物粒子( P-2 )の調製(外殻層内部が多孔質となっている粒子)
上記で得られた多孔質物質前駆体粒子の分散液(A)100gに純水1,900gを加えて95℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2として1.5g重量%)27,000gおよびアルミン酸ナトリウム水溶液(Al23 として0.5重量%)27,000gを同時に徐々に添加し、多孔質物質前駆体粒子の分散液(A)の粒子をシード粒子として粒子成長を行った。添加終了後、室温まで冷却した後、限外濾過膜で洗浄、濃縮して、固形分濃度20重量%のSiO2 ・Al23多孔質物質前駆体粒子の分散液(C)を得た。(第1工程)
この多孔質物質前駆体粒子の分散液(C)500gを採り、調製例1と同様の方法により、第2工程のシリカ保護膜を形成したのち、脱アルミニウム処理を行い、さらに第3工程のエチルシリケートの加水分解物によるシリカ外殻層の形成処理等を行い、表1に示す無機化合物粒子(P-2)の分散液を調製した。
【0118】
【調製例3】
無機化合物粒子( P-3 )の調製(外殻層内部が多孔質となっている粒子)
上記で得られたSiO2・Al23多孔質物質前駆体粒子の分散液(C)100gに純水1,900gを加えて95℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2として1.5g重量%)7,000gおよびアルミン酸ナトリウム水溶液(Al23として0.5重量%)7,000gを同時に徐々に添加し、粒子成長を行わせた。添加終了後、室温まで冷却した後、限外濾過膜で洗浄、濃縮して、固形分濃度13重量%のSiO2・Al23多孔質物質前駆体粒子の分散液(D)を得た。
【0119】
この多孔質物質前駆体粒子分散液(D)500gを採り、これに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。
次いで、pH3の塩酸水溶液10リットルと純水5リットルを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、一部のアルミニウムが除去されたSiO2・Al23多孔質粒子の分散液(E)を調製した。
【0120】
上記多孔質粒子の分散液(E)1500gと、純水500g、エタノール1,750gおよび濃度28重量%のアンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2 28重量%)210gを添加し、多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆してシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15重量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して表1に示す無機化合物粒子(P-3)の分散液(固形分濃度20重量%)を調製した。
【0121】
【調製例4】
無機化合物粒子( P-4 )の調製(外殻層内部に空洞となっている粒子)
平均粒径5nm、SiO2濃度20重量%のシリカゾル10gと純水190gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al23として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を95℃に保持した。反応液のpHは、ケイ酸ナトリウムおよびアルミン酸ナトリウムの添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2・Al23多孔質物質前駆体粒子の分散液(F)を調製した。(第1工程)
次いで、この多孔質物質前駆体粒子の分散液(F)500gを採取し、純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2 濃度3.5重量%)3,000gを添加して多孔質物質前駆体粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られた多孔質物質前駆体粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%に調整したのち、多孔質物質前駆体粒子の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、粒子前駆体分散液を調製した。(第2工程)
上記粒子前駆体分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750gおよび28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2 28重量%)104gを添加し、粒子前駆体表面にエチルシリケートの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成することによって、外殻層内部に空洞を有する粒子を作製した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15重量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-4)の分散液を調製した。(第3工程)
得られた粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。その結果、図2に示されるような、外殻層内部に空洞が形成された粒子が得られた。
【0122】
【調製例5】
無機化合物粒子( P-5 )の調製(外殻層内部が多孔質となっている粒子)
前記無機化合物粒子(P-1)を調製する際のアルミン酸ナトリウムの代わりに、SnO2として0.5重量%の錫酸カリウム水溶液9,000gを用いた以外は、無機化合物粒子(P-1)と同様の方法で、固形分濃度20重量%のSiO2・SnO2多孔質物質前駆体粒子を得、さらに無機化合物粒子(P-1)と同様の方法で、シリカ保護膜を形成したのち、脱Sn処理(調製例1の脱アルミニウム処理と同じ処理)およびシリカ外殻層の形成を行い、表1に示す無機化合物粒子(P-5)の分散液を調製した。
【0123】
【調製例6】
無機化合物粒子( P-6 )の調製(比較例:外殻層形成せず)
無機化合物粒子(P-1)の調製と同様にして、平均粒径5nm、SiO2 濃度20重量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応液のpHは10.5であり、該反応液にSiO2 として1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23 として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄した後、溶媒をエタノールに置換して表1に示すSiO2・Al23 多孔質粒子(P-6)の分散液(固形分濃度20重量%)を調製した。
【0124】
【調製例7】
無機化合物粒子( P-7 )の調製(比較例:外殻層形成せず)
メチルシリケート(SiO2 :39重量%)100gとメタノール530gとの混合液に、濃度28重量%のアンモニア水を79g添加し、35℃で24時間攪拌した後、限外濾過膜を用いて洗浄した後、溶媒をエタノールに置換して表1に示す多孔質シリカ粒子(P-7)の分散液(固形分濃度20重量%)を調製した。
【0125】
【表1】
Figure 0004031624
【0126】
【調製例8】
導電性微粒子分散液の調製
▲1▼複合金属微粒子(Q-1、Q-2)の分散液(S-1、S-2)は、以下の方法で調製した。純水100gに、あらかじめクエン酸3ナトリウムを得られる複合金属微粒子1重量部当たり0.01重量部となるように加え、これに金属換算で濃度が10重量%となり、複合金属微粒子を構成する金属種が表2の重量比となるように硝酸銀および硝酸パラジウム水溶液を加え、さらに液中の硝酸銀および硝酸パラジウムの合計モル数と等モル数の硫酸第一鉄の水溶液を添加し、窒素雰囲気下で1時間攪拌して表2に示す組成の複合金属微粒子の分散液を得た。得られた分散液は遠心分離器により水洗して不純物を除去した後、水に分散させ、ついで表3に示した溶媒(1−エトキシ−2プロパノール)を混合した後ロータリーエバポレーターにて水分を除去するとともに濃縮して表2に示す固形分濃度の金属微粒子分散液(S-1、S-2)を調製した。
【0127】
▲2▼スズドープ酸化インジウム粒子(Q-3)の分散液(S-3)は以下のようにして調製した。
硝酸インジウム79.9gを水686gに溶解して得られた溶液と、錫酸カリ ウム12.7gを濃度10重量%の水酸化カリウム溶液に溶解して得られた溶液 とを調製し、これらの溶液を、50℃に保持された1000gの純水に2時間かけて添加した。この間、系内のpHを11に保持した。得られたスズドープ酸化インジウム水和物分散液からスズドープ酸化インジウム水和物を濾別・洗浄した後、乾燥し、次いで空気中で350℃の温度で3時間焼成し、さらに空気中で600℃の温度で2時間焼成することによりスズドープ酸化インジウム微粒子(Q-3)を得た。これを濃度が30重量%となるように純水に分散させ、さらに硝酸水溶液でpHを3.5に調製した後、この混合液を30℃に保持しながらサンドミルで、3時 間粉砕してゾルを調製した。次に、このゾルをイオン交換樹脂で処理して硝酸イオンを除去し、純水を加えて表2に示す濃度のスズをドープした酸化インジウム(ITO)微粒子の分散液(S-3)を調製した。
【0128】
▲3▼アンチモンドープ酸化スズ微粒子(Q-4)の分散液(S-4)は以下のようにして調製した。
塩化スズ57.7gと塩化アンチモン7.0gとをメタノール100g溶解して溶液を調製した。得られた溶液を4時間かけて、90℃、攪拌下の純水1000gに添加して加水分解を行い、生成した沈殿を濾別・洗浄し、乾燥空気中、500℃で2時間焼成してアンチモンドープの酸化スズ微粒子粉末を得た。この粉末30gを水酸化カリウム水溶液(KOHとして3.0g)70gに加え、混合液を30℃に保持しながらサンドミルで3時間粉砕してゾルを調製した。次いで、このゾルをイオン交換樹脂処理して、脱アルカリし、純水を加えて表2に示す濃度のアンチモンをドープした酸化スズ(ATO)微粒子(Q-4)の分散液(S-4)を調製した。
【0129】
【調製例9】
c)マトリックス形成成分液の調製
マトリックス形成成分液(M-1)の調製
正ケイ酸エチル(TEOS)(SiO2:28重量%)50g、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン9.52g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌し、SiO2に換算したときの濃度が5重量%のマトリックス形成成分を含む液(M-1)を調製した。
【0130】
マトリックス形成成分液 (M-2) の調製
正ケイ酸エチル(TEOS)(SiO2:28重量%)50g、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン47.5g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌し、SiO2に換算したときの濃度が5重量%のマトリックス形成成分を含む液(M-2)を調製した。
【0131】
マトリックス形成成分液 (M-3) の調製
正ケイ酸エチル(TEOS)(SiO2:28重量%)50g、(CH3O)3SiC2461224Si(CH3O)36.57g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌し、SiO2に換算したときの濃度が5重量%のマトリックス形成成分を含む液(M-3)を調製した。
【0132】
マトリックス形成成分液 (M-4) の調製
正ケイ酸エチル(TEOS)(SiO2:28重量%)50g、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン12.14g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌し、SiO2に換算したときの濃度が5重量%のマトリックス形成成分を含む液(M-4)を調製した。
【0133】
マトリックス形成成分液 (M-5) の調製
正ケイ酸エチル(TEOS)(SiO2:28重量%)50g、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン20.65g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌し、SiO2に換算したときの濃度が5重量%のマトリックス形成成分を含む液(M-5)を調製した。
【0134】
マトリックス形成成分液 (M-6) の調製
正ケイ酸エチル(TEOS)(SiO2:28重量%)50g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重量%のマトリックス形成成分を含む液(M-6)を調製した。
調製したマトリックス形成成分液の組成を表3に示す。
【0135】
【調製例10】
d)導電性被膜形成用塗布液の調製
以上のような(S-1)〜(S-3)の分散液と、マトリックス形成成分液(M-6)、エタノール、1-エトキシ-2-プロパノールから表4に示す組成となるように混合して、導電性被膜形成用塗布液(CS-1)〜(CS-3)を調製した。
【0136】
【表2】
Figure 0004031624
【0137】
【表3】
Figure 0004031624
【0138】
【表4】
Figure 0004031624
【0139】
【実施例1】
透明被膜形成用塗布液 (B-1) の調製
上記マトリックス形成成分を含む(M-1)液に、エタノール/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロピルアルコール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒を加え、上記で調製した無機化合物粒子(P-1)の分散液を添加して、無機化合物粒子の固形分としての濃度およびマトリックス形成成分のSiO2に換算したときの濃度がそれぞれ表5に示す濃度の透明被膜形成用塗布液(B-1)を調製した。
【0140】
透明被膜付ガラスの製造
ガラス基板の表面を40℃に保持しながら、スピナー法で100rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(B-1)を透明被膜の膜厚が100nmとなるように塗布したのち、乾燥し、160℃で30分焼成して透明被膜付ガラス(G-1)を作製した。
【0141】
上記で得た透明被膜付基材のヘーズをへーズコンピューター(日本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率は反射率計(大塚電子(株)製:MCPD-2000)を用いてJIS Z8727に準じて測定し、波長400〜700nmの範囲で反射率が最も低い波長での反射率としこれをボトム反射率として、また波長400〜700nmの範囲における平均反射率を視感反射率として表示した。微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分析計((株)日機装製)を使用した。
【0142】
また、膜強度は、以下のようにして、消しゴム強度およびスクラッチ強度により評価した。
消しゴム強度
また、上記で得た透明被膜付基材の透明被膜上に消しゴム(ライオン(株)製:1K)をセットし、1±0.1Kgの荷重をかけ、約25mmのストロークで25往復させた。このとき発生する削り屑は、その都度高圧エアーで除去した。
【0143】
消しゴムを25往復させた後、1000ルックスの照明下で、透明被膜表面から45cm離れて表面の目視観察を行った。
Figure 0004031624
【0144】
Figure 0004031624
スクラッチ強度
透明被膜上に標準試験針((株)ロックウェル製:硬度HRC-60、φ0.5mm)をセットし、1±0.3Kgの荷重をかけ、30〜40mmのストロークで掃引した。掃引したのち、1000ルックス照明下、被膜表面から45cm離れて表面の目視観察を行った。
【0145】
Figure 0004031624
結果を表6に示す。
【0146】
【実施例2〜6】
透明被膜形成用塗布液 (B-2 B-6) の調製
上記マトリックス形成成分を含む(M-1)液〜(M-4)液と、エタノール/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロピルアルコール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒と、上記で調製した無機化合物粒子(P-2、P-3、P-5)または空洞粒子(P-4)の分散液を混合して各粒子の濃度およびマトリックス形成成分の固形分としての濃度が各々表5に示す濃度の透明被膜形成用塗布液(B-2〜B-6)を調製した。
【0147】
透明被膜付ガラスの製造
ガラス基板の表面を40℃に保持しながら、スピナー法で100rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(B-2)〜(B-6)を透明被膜の膜厚が100nmとなるように塗布したのち、乾燥し、160℃で30分焼成して透明被膜付ガラス(G-2)〜(G-6)を作製した。
【0148】
得られた透明被膜付ガラスについて、実施例1と同様に評価した。
結果を表6に示す。
【0149】
【比較例1〜5】
透明被膜形成用塗布液 (B-7 B-11) の調製
上記マトリックス形成成分を含む(M-1)液、(M-5)液、(M-6)液と、エタノール/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロピルアルコール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒と、上記で調製した無機化合物粒子(P-6、P-7、P-1)の分散液を混合して各粒子の濃度およびマトリックス形成成分の固形分としての濃度が各々表5に示す濃度の透明被膜形成用塗布液(B-7〜B-11)を調製した。
【0150】
透明被膜付ガラスの製造
ガラス基板の表面を40℃に保持しながら、スピナー法で100rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(B-7)〜(B-11)を透明被膜の膜厚が100nmとなるように塗布したのち、乾燥し、160℃で30分焼成して透明被膜付ガラス(G-7)〜(G-11)を作製した。
【0151】
得られた透明被膜付ガラスについて、実施例1と同様に評価した。
結果を表6に示す。
【0152】
【表5】
Figure 0004031624
【0153】
【表6】
Figure 0004031624
【0154】
【実施例7】
透明被膜付パネルガラスの製造
ブラウン管用パネルガラス(14")の表面を40℃で保持しながら、スピナー 法で100rpm、90秒の条件で上記導電性被膜形成用塗布液(CS-1)を導電層の厚さが20nmとなるように塗布し乾燥した。
【0155】
次いで、このようにして形成された導電層上に、同じように、スピナー法で100rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(B-1)を透明被膜の膜厚が100nmとなるように塗布・乾燥し、160℃で30分間焼成して透明被膜付基材を得た。
上記で得た透明被膜付基材のヘーズをへーズコンピューター(日本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率は反射率計(大塚電子(株)製:MCPD-2000)を用いてJIS Z8727に準じて測定し、波長400〜700nmの範囲で反射率が最も低い波長での反射率としこれをボトム反射率として、また波長400〜700nmの範囲における平均反射率を視感反射率として表示した。
【0156】
また、各透明被膜付基材の表面抵抗は、透明被膜を形成した基材上に2本の互いに平行で5cm離れたハンダ電極を、超音波ハンダ付け装置(旭硝子(株)製:SUNBONDER USM-III型、ハンダ:線径1.6Φ、溶融温度224℃)により形成したのち(このとき、ハンダ電極は表面の透明被膜を貫通し導電層と導通している)、電極の外部を切除し、デシケーター中、23±5℃、湿度40%以下の雰囲気下、テスター(HIOKI電気(株)製:ハイテスター3244)にて、電極間の抵抗値を測定することによって評価した。
【0157】
密着性は、透明被膜の表面にナイフで縦横それぞれ1mmの間隔で11本の傷を付け100個の升目を作り、これに粘着テープを接着し、次いで粘着テープを剥離したときに、被膜が剥離せず残存している升目の多少を以下の2段階で評価した。
残存升目の数95個以上:○
残存升目の数94個以下:×
また、上記で得た透明被膜付基材を用いて、表示装置を組立て、表示性能として画像および画像面から5mの距離にある蛍光灯の反射の程度(映り込み)および着色程度を観察し、以下の基準で評価した。
【0158】
反射(映り込み)および着色が弱く、画像が鮮明であるもの :◎
反射(映り込み)は弱いが着色が認められものの画像は鮮明であるもの :○
反射(映り込み)および着色が強く、画像の一部が不鮮明であるもの :△
反射(映り込み)および着色が強く、映り込みが画像より鮮明であるもの:×
さらに、上記で得た透明被膜付基材について以下の耐水性の評価を実施した。
【0159】
また、膜強度は、以下のようにして、消しゴム強度およびスクラッチ強度により評価した。
消しゴム強度
また、上記で得た透明被膜付基材の透明被膜上に消しゴム(ライオン(株)製:1K)をセットし、1±0.1Kgの荷重をかけ、約25mmのストロークで25往復させた。このとき発生する削り屑は、その都度高圧エアーで除去した。
【0160】
消しゴムを25往復させた後、1000ルックスの照明下で、透明被膜表面から45cm離れて表面の目視観察を行った。
Figure 0004031624
【0161】
Figure 0004031624
スクラッチ強度
透明被膜上に標準試験針((株)ロックウェル製:硬度HRC-60、ψ0.5mm)をセットし、1±0.3Kgの荷重をかけ、30〜40mmのストロークで掃引した。掃引したのち、1000ルックス照明下、被膜表面から45cm離れて表面の目視観察を行った。
【0162】
Figure 0004031624
また、膜強度は、前記した方法で、消しゴム強度およびスクラッチ強度により評価した。
【0163】
さらに以下のようにして耐水性、耐薬品性を評価した。
耐水性の評価
透明被膜付基材を、100℃の沸騰蒸留水に30分間浸漬した後、前記と同様に表面抵抗、反射率、ヘーズを測定した。
耐薬品性の評価(1)
透明被膜付基材を、濃度5重量%の塩酸水溶液に10時間浸漬した後、前記と同様に表面抵抗、反射率、ヘーズを測定した。
【0164】
耐薬品性の評価(2)
透明被膜付基材を、濃度5重量%の塩酸水溶液に200時間浸漬した後、前記と同様に表面抵抗、反射率、ヘーズを測定した。
結果を表7に示す。
【0165】
【実施例8〜14】
透明被膜付パネルガラスの製造
表7に示す導電性被膜形成用塗布液(CS-1〜CS-4)を使用して、実施例7と同様にして、表7に示す厚さとなるように導電層を形成したのち、上記透明被膜形成用塗布液(B-2〜B-6)を用い実施例7と同様にして透明被膜付基材を得た。
【0166】
得られた透明被膜付基材の表面抵抗、ヘーズ、反射率、密着性、膜強度および表示性能を評価し、結果を表7に示す。また、実施例7と同様に耐水性、耐薬品性(1)、耐薬品性(2)を評価した。なお、実施例12については耐薬品性(2)の評価は実施しなかった。
結果を表7に示す。
図4は、実施例13の透明被膜付基材の400〜700nmの波長における反射率曲線を示す。
【0167】
【比較例6〜12】
透明被膜付パネルガラスの製造
実施例7と同様にして導電性被膜形成用塗布液(CS-1)を用いて透明導電性層(厚さ20nm)を形成したのち、透明被膜形成用塗布液(B-7〜B-11)を用いた以外は実施例7と同様にして透明被膜付基材を得た(比較例6〜9、12)。
【0168】
また、実施例12と同様にして導電性被膜形成用塗布液(CS-3)を用いて透明導電性層(膜厚100nm)を形成したのち、透明被膜形成用塗布液(B-9)を用いた以外は実施例6と同様にして透明被膜付基材を得た(比較例10)。
また、実施例13と同様にして導電性被膜形成用塗布液(CS-4)を用いて透明導電性層(膜厚20nm)を形成したのち、透明被膜形成用塗布液(B-9)を用いた以外は実施例13と同様にして透明被膜付基材を得た(比較例11)。
【0169】
得られた透明被膜付基材の表面抵抗、ヘーズ、反射率、密着性および表示性能を評価し、結果を表7に示す。
また、実施例7と同様に耐水性、耐薬品性(1)、耐薬品性(2)を評価した。なお、比較例9については耐薬品性(2)の評価は実施しなかった。結果を表7に示す。
【0170】
【表7】
Figure 0004031624

【図面の簡単な説明】
【図1】無機化合物粒子および空洞粒子の断面模式図を示す。
【図2】無機化合物粒子(外殻層内に空洞を有する粒子)の断面のTEM写真を示す。
【図3】無機化合物粒子(外殻層内に空洞を有する粒子)を含む透明被膜の断面のTEM写真を示す。
【図4】実施例13の透明被膜付基材の400から700nmの波長域における反射曲線を示す。
【符号の説明】
1・・・・多孔質物質
2・・・・外殻層
3・・・・空洞

Claims (9)

  1. 基材と、該基材表面に設けられた透明被膜とからなり、
    該透明被膜が、(i)フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含むマトリックスと、(ii)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている無機化合物粒子とを含み、
    かつ前記透明被膜中において、多孔質または空洞が維持されている
    ことを特徴とする透明被膜付基材。
  2. 基材と、該基材表面に設けられた導電層と、該導電層表面に設けられた透明被膜とからなり、
    該透明被膜が、(i)フッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を含むマトリックスと、(ii)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている無機化合物粒子とを含み、
    かつ前記透明被膜中において、多孔質または空洞が維持されている
    ことを特徴とする透明被膜付基材。
  3. 前記無機化合物粒子の平均粒子径が5〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜付基材。
  4. 前記無機化合物粒子の外殻層の厚さが1〜20nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明被膜付基材。
  5. 前記無機化合物粒子の外殻層が、シリカを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明被膜付基材。
  6. 前記無機化合物粒子が、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなり、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MOx)で表したときのモル比MOx /SiO2が、0.0001〜1.0の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明被膜付基材。
  7. マトリックス前駆体と無機化合物粒子とを含み、
    (i)マトリックス前駆体が、
    含フッ素アルキル基を有するシリコーン系化合物および/またはこれらの加水分解物を含み、
    (ii)無機化合物粒子が、外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている粒子であることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の透明被膜付基材で構成された前面板を備え、該前面板の外表面に透明被膜が形成されていることを特徴とする表示装置。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の透明被膜付基材で構成された前面板を備え、該前面板の外表面に透明被膜が形成されていることを特徴とする陰極線管。
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