JP2004204174A - 透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置 - Google Patents

透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置 Download PDF

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Yuji Hiyouhaku
迫 祐 二 俵
Toshiharu Hirai
井 俊 晴 平
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Abstract

【課題】102〜108Ω/□程度の低い表面抵抗を有し、帯電防止性、反射防止性および電磁遮蔽性に優れるとともに、表面が平滑で基材とに密着性に優れ、加えてコントラストに優れた透明導電性被膜の形成に用いることのできる透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材、および該基材を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】導電性微粒子と着色剤と極性溶媒とを含み、
導電性微粒子が酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウムから選ばれる酸化インジウム系微粒子であり、
着色剤が正電荷を有する粒子であることを特徴とする透明導電性被膜形成用塗布液。 前記着色剤が、金属酸化物で被覆されて正電荷を有する有機顔料および/または無機顔料である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、新規な透明導電性被膜形成用塗布液に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、陰極線管、蛍光表示管、液晶表示板などの表示パネルのような透明基材の表面の帯電防止および反射防止を目的として、これらの表面に帯電防止機能および反射防止機能を有する透明被膜を形成することが行われていた。
また、陰極線管などから電磁波が放出されること知られており、従来の帯電防止、反射防止に加えてこれらの電磁波および電磁波の放出に伴って形成される電磁場を遮蔽することが望まれている。
【0003】
これらの電磁波などを遮蔽する方法の一つとして、陰極線管などの表示パネルの表面に電磁波遮断用の導電性被膜を形成する方法がある。帯電防止用導電性被膜であれば表面抵抗が少なくとも108Ω/□程度の表面抵抗を有していれば十分であるのに対し、電磁遮蔽用の導電性被膜では102〜104Ω/□のような低い表面抵抗を有することが必要であった。
【0004】
このように表面抵抗の低い導電性被膜を、従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ酸化インジウムのような導電性酸化物を含む塗布液を用いて形成しようとすると、従来の帯電防止性被膜の場合よりも膜厚を厚くする必要があった。しかしながら、導電性被膜の膜厚は、10〜200nm程度にしないと反射防止効果は発現しないため、従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ酸化インジウムのような導電性酸化物では、表面抵抗が低く、電磁波遮断性に優れるとともに、反射防止にも優れた導電性被膜を得ることが困難であるという問題があった。
【0005】
また、低表面抵抗の導電性被膜を形成する方法の一つとして、Agなどの金属微粒子を含む導電性被膜形成用塗布液を用いて基材の表面に金属微粒子含有被膜を形成する方法がある。この方法では、金属微粒子含有被膜形成用塗布液として、コロイド状の金属微粒子が極性溶媒に分散したものが用いられている。このような塗布液では、コロイド状金属微粒子の分散性を向上させるために、金属微粒子表面がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどの有機系安定剤で表面処理されている。しかしながら、このような金属微粒子含有被膜形成用塗布液を用いて形成された導電性被膜は、被膜中で金属微粒子同士が安定剤を介して接触するため、粒界抵抗が大きく、被膜の表面抵抗が低くならないことがあった。このため、製膜後、400℃程度の高温で焼成して安定剤を分解除去する必要があるが、安定剤の分解除去をするため高温で焼成すると、金属微粒子同士の融着や凝集が起こり、導電性被膜の透明性やへーズが低下するという問題があった。また、陰極線管などの場合は、高温に晒すと劣化してしまうという問題もあった。
【0006】
また、金属微粒子は前記導電性酸化物と異なり本来光を透過しないために金属微粒子を用いて形成された導電性被膜は導電性被膜中の金属微粒子の密度や膜厚等に依存して透明性が低下する問題もあった。
さらに従来のAg等の金属微粒子を含む透明導電性被膜では、耐塩水性や耐酸化性が低く、金属が酸化されたり、イオン化による粒子成長したり、また場合によっては腐食が発生することがあり、塗膜の導電性や光透過率が低下し、表示装置が信頼性を欠くという問題があった。
【0007】
また、前記した従来の透明導電性被膜を形成するために用いられる塗布液、なかでも電磁波遮蔽性能に優れた低表面抵抗の透明導電性被膜を形成するために金属微粒子などの導電性の高い微粒子を配合した塗布液は安定性が不充分で、得られる透明導電性被膜の被膜表面は必ずしも表面が平滑でなく、筋条あるいはスポット状の外観上の欠陥ができることがあり製品の歩留まりを低下させる問題があった。さらに従来の塗布液を用いた場合は基板の清浄度の影響を受けて外観上の欠陥が派生しやすく製造信頼性に欠ける問題があった。
【0008】
上記に加えて、透明導電性被膜にはカーボン微粒子等の着色剤を配合し透過率を制御してコントラストを向上させることが行われている。
通常導電性微粒子は、正電荷を有しており、着色剤によっては、導電性微粒子と反対の粒子表面電位を有している場合は導電性微粒子と着色剤粒子が互いに付着して凝集し、このため塗布液は安定性が不充分であり、実質的に塗布液として用いることができなかった。また、導電性被膜を形成したとしても導電性が大きく低下することがあった。
【0009】
たとえば、導電性微粒子が前記した酸化インジウム系微粒子の場合はカーボン微粒子を配合することができず、このためコントラストに優れた透明導電性被膜付基材を備えた表示装置を得ることができなかった。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、102〜108Ω/□程度の低い表面抵抗を有し、帯電防止性、反射防止性および電磁遮蔽性に優れるとともに、表面が平滑で基材とに密着性に優れ、加えてコントラストに優れた透明導電性被膜の形成に用いることのできる透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材、および該基材を備えた表示装置を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、
導電性微粒子と着色剤と極性溶媒とを含み、
導電性微粒子が酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウムから選ばれる酸化インジウム系微粒子であり、
着色剤が正電荷を有する粒子であることを特徴としている。
【0012】
前記着色剤が、金属酸化物で被覆されて正電荷を有する有機顔料および/または無機顔料であることが好ましい。
前記塗布液の固形分濃度が0.5〜5重量%の範囲にあり、固形分中の着色剤の含有量が1〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、
基材と、
基材上の前記導電性微粒子を含む透明導電性微粒子層と、
該透明導電性微粒子層上に設けられ、該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなる透明導電性被膜付基材であって、
透明導電性微粒子層が導電性微粒子と着色剤とを含み、導電性微粒子が酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウムから選ばれる酸化インジウム系微粒子であることを特徴としている。
【0013】
前記透明導電性被膜の波長550nmにおける透過率は55〜95%の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る表示装置は、前記透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
透明導電性被膜形成用塗布液
まず、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液について説明する。
導電性微粒子
導電性微粒子としては酸化インジウム系微粒子が用いられる。
【0015】
酸化インジウム系微粒子としては、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウムが挙げられる。
酸化インジウム系微粒子は酸化物系導電性微粒子の中でも導電性が高く、このため得られる透明導電性被膜は帯電防止性能、電磁波遮蔽性能に優れるとともに、金属微粒子を用いた透明導電性被膜と異なり透明性に優れている。
【0016】
酸化インジウム系微粒子は、平均粒子径が2〜200nm、さらには5〜150nmの範囲にあることが好ましい。
酸化インジウム系微粒子の平均粒子径が2nm未満の場合は、粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、本発明の目的を達成しうる程度の低抵抗値を有する被膜を得ることができないことがある。
【0017】
酸化インジウム系微粒子の平均粒子径が200nmを越えると、粒子が大きいために粒子同士の接点が減少し充分な導電性が得られないことがあり。また膜強度や基材との密着性が低下したり、得られる透明導電性被膜のヘーズが高くなることがある。
着色剤
着色剤としては、可視光透過率を抑制でき、正電荷を有する有機顔料および/または無機顔料を用いることができる。
【0018】
正電荷を有する着色剤としては、本来正電荷を有するものであればそのまま使用することも可能であるが、通常着色剤は負電荷を有しているので、本発明では、負電荷を有する有機顔料および/または無機顔料を金属酸化物で被覆して正電荷を付与したものが好適に用いられる。
負電荷を有する有機顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系レッド、アンスラキノンレッド、イソインドリノンイエロー、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
【0019】
負電荷を有する無機顔料としては、Ti、Cr、Co、Ni、Fe、Mn、Cuから選ばれる1種または2種以上の元素の酸化物、複合酸化物等が挙げられたとえばチタンブラック等は好適に用いることができる。
上記各顔料粒子は、平均粒子径が50〜200nm、さらには80〜150nmの範囲にあることが好ましい。
【0020】
顔料粒子の平均粒子径が前記範囲内にあると、被膜を充分に着色できるとともに、透過率も制御可能であり、また外観に優れるとともに、さらに強度も高い被膜を得ることができる。なお、顔料粒子の平均粒子径が小さくなると、着色力が低下して所望の透過率に制御できないことがあり、このため所望のコントラストが得られないことがある。顔料粒子の平均粒子径が大きくするとかえって、得られる膜の透明性が低下することがあり、また膜形成性が低下し、被膜の外観や膜の強度が低下したり、ヘーズが高くなることがある。
【0021】
また、前記顔料を被覆する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどが好適である。これらの金属酸化物で顔料を被覆すると得られる着色剤に正電荷を付与できるとともに、被覆された金属酸化物粒子の分散安定性が高くなり、長期安定性に優れた塗布液を得ることができるとともに、このような着色剤を含む透明導電性被膜は導電性の低下が小さい。
【0022】
なお、シリカで被覆してもシリカゾルのように負電荷を有することになるので、正電荷を有する導電性粒子と互いに付着して凝集し、このため塗布液は安定性が不充分であり、実質的に塗布液として用いることができない。
金属酸化物で被覆した着色剤中の金属酸化物被覆量は、顔料粒子表面の被覆層の厚さが、少なくとも0.5nm以上、好ましくは1〜5nmの範囲の厚さとなるような量であればよい。このような範囲の厚さにあれば、表面全体に正電荷を付与することが可能であり、導電性粒子と配合して得られる透明導電性被膜形成用塗布液の安定性が非常に高くなる。なお、被覆層の厚さが薄いと、表面全体に正電荷を付与することができないことがあり、透明導電性被膜形成用塗布液の安定性が不充分となることがあり、また、被覆層の厚さを厚くしても、さらに正電荷が増すこともなく、また、顔料粒子の割合が低下するので透明導電性被膜の透過率を抑制する効果が低下し、着色顔料の使用量が増えたり、透明導電性被膜の強度等を低下したりすることがある。
【0023】
着色剤中の金属酸化物被覆層の割合は、顔料粒子の粒子径や比重によっても異なるが酸化物として概ね5〜50重量%、さらには10〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
なお、負電荷を有する顔料を界面活性剤等で処理して正電荷を有する顔料に変換する方法も知られているが、この方法では理由は明らかではないが、得られる透明導電性被膜の強度が低下したり、導電性が大きく低下することがある。
【0024】
このような金属酸化物で着色顔料を被覆する方法は、特に制限はなく、たとえば以下のような方法が例示される。
まず、上記した顔料粒子の分散液を調製する。分散媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、アセチルアセトン等が用いられる。分散液中の顔料粒子の濃度は固形分として1〜20重量%、さらには2〜10重量%の範囲にあることが好ましい。このような分散液濃度の範囲にあれば、顔料粒子が凝集することもなく安定に分散している。また分散液の温度は、金属化合物の種類によっても異なるが10〜60℃、さらには20〜30℃の範囲に保持しておくことが好ましい。
【0025】
ついで、金属酸化物被覆用の金属化合物の水溶液または有機溶媒溶液を添加して、金属化合物を加水分解することで被覆層が形成される。この際、必要に応じて金属化合物加水分解用の触媒を、金属化合物添加前、金属化合物と同時に、あるいは金属化合物添加後に加えることができる。
上記金属化合物としては、4塩化チタン、塩化ジルコニウム、硫酸アルミニウム、Zr(OC49)4、Ti(OC37)4、[(CH3)2CHO]2Al(O369)(アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート)等が挙げられる。
【0026】
また、有機溶媒としては、前記分散媒と同様のものを用いることができる。
触媒としては、酸またはアルカリを用いることができ、酸触媒としては、硝酸、塩酸、硫酸等が用いられ、アルカリ触媒としては、水酸化アンモニウムが好ましい。
触媒の使用量は、金属化合物を加水分解できれば特に限定されないが、概ね金属化合物1モル当たり0.01モル〜0.2モルの範囲である。
【0027】
金属化合物を添加し、加水分解を終了した後、必要に応じて熟成することがしてもよい。このときの温度は通常50〜100℃、時間は0.5〜24時間が好ましい。このような熟成を行うことによって、顔料粒子表面上にムラなく均一で緻密な金属酸化物被覆層を形成することができる。また、熟成の前または後で、洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法、遠心分離法等が挙げられる。洗浄、即ち金属化合物あるいは触媒に由来する塩、イオンを除去することによって、得られる着色剤粒子がより効率的に正に帯電し、正に帯電した導電性粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液は安定性に優れている。
【0028】
このようにして得られた着色剤(金属酸化物被覆顔料粒子)は正電荷を有し、ゼータ電位が0〜50mV、好ましくは5〜50mVの範囲にある。
なお、着色剤のゼータ電位が負の場合は、着色剤の配合量にもよるが導電性被膜形成用塗布液の安定性が不充分となり、得られる透明導電性被膜の表面は必ずしも平滑でなく、筋条あるいはスポット状の外観上の欠陥ができることがあり製品の歩留まりが低下し、着色剤の配合量を低減すれば所望のコントラストが得られない。
【0029】
また、着色剤のゼータ電位が50mVを越えるものは得ることが困難である。
なお、ゼータ電位の測定方法を以下に示す。
ゼータ電位測定装置(Malvern Instruments 社製:ZETASIZER 3000HSA)を用いる。着色剤粒子のアルコール分散液を所定の散乱強度になるまで蒸留水で希釈し、濃度0.1モル%の硝酸水溶液でpHを変化させ、pHは5〜3(本発明ではpH4)の範囲での電位をゼータ電位として求める。
【0030】
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、上記導電性微粒子と着色剤を極性溶媒に分散させるか、導電性微粒子の極性溶媒分散液と着色剤の極性溶媒分散液とを混合することによって得ることができる。
本発明で用いられる極性溶媒としては、
水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
【0031】
透明導電性被膜形成用塗布液中の導電性微粒子と着色剤の合計の含有量は固形分として15重量%以下、さらには0.5〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
この範囲にあれば、一回の塗布で所望の膜厚を形成することが可能であり(二度塗りが必要なく)、透明性も高く、塗工時に、また筋やムラが発生し外観不良も発生することもなく、平滑性に優れた被膜を形成することができる。
【0032】
なお、固形分濃度が薄いと、一回の塗布で得られる被膜の膜厚が薄くなることがあり、二度塗りが必要になったり、また被膜の導電性が不足することがあり、固形分濃度を多くすると膜厚も厚くなるので、光透過率が低下して透明性が低下したり、また固形分が多いので塗工時に筋やムラが発生し外観不良を伴うことがある。
【0033】
つぎに、透明導電性被膜形成用塗布液中の固形分濃度(導電性微粒子と着色剤の総量)は、液の流動性、塗布液中の導電性微粒子などの粒状成分の分散性などの点から、15重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%であることが好ましい。
また、固形分中の導電性微粒子の割合は50〜99重量%、さらには80〜99重量%の範囲にあることが好ましい。
【0034】
固形分中の導電性微粒子の割合前記範囲にあれば、導電性被膜の導電性が高く、このため十分な電磁波遮蔽効果を発現できる上、光透過率が55〜95%の範囲にコントロール可能であり、このためコントラストを向上することができる。なお、導電性粒子の割合が少ないと、得られる被膜の導電性が低くなり、導電性微粒子の割合が多くすると、光透過率が95%以上となりコントラストが不充分となる。
【0035】
固形分中の着色剤の割合は1〜50重量%、さらには1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、透明導電性被膜の導電性を大きく下げることなく透過率を調整することができ、コントラストを向上することができる。
本発明の透明導電性被膜形成用塗布液には前記酸化インジウム系微粒子以外に、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cu、Fe、Ni、Co、Sn、Ti、In、Al、Ta、Sbなどの金属から選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属微粒子が含まれていても良い。2種以上の金属からなる場合、合金であっても共晶体であってもよく、さらに混合物であってもよく、2種以上の金属の組合せとしては、Au-Cu、In-Sn、Ag-Pt、Ag-Pd、Au-Pd、Au-Rh、Pt-Pd、Pt-Rh、Fe-Ni、Ni-Pd、Fe-Co、Cu-Co、Ru-Ag、Au-Cu-Ag、Ag-Cu-Pt、Ag-Cu-Pd、Ag-Au-Pd、Au-Rh-Pd、Ag-Pt-Pd、Ag-Pt-Rh、Fe-Ni-Pd、Fe-Co-Pd、Cu-Co-Pd などが挙げられる。
【0036】
このような金属微粒子は前記酸化インジウム系微粒子の含有量が前記範囲を維持できる範囲で含まれていればよく、金属微粒子が含まれていると、導電性被膜の導電性が向上し電磁波遮蔽能が向上することに加えて、金属微粒子の使用による透過率の制御が可能であり、このためコントラストを向上することができる。また、本発明の塗布液は安定性に優れているので必ずしも必要はないが、前記したように酸化インジウム系微粒子に金属微粒子を混合して用いる場合には金属微粒子の分散性を向上させるため、透明導電性被膜形成用塗布液中に有機系安定剤が含まれていてもよい。このような有機系安定剤として具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。このような有機系安定剤は、金属微粒子1重量部に対し、0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部含まれていればよい。有機系安定剤の量が前記範囲にあれば、金属微粒子に高い分散性を付与できるとともに、導電性を阻害することもない。
【0037】
本発明の透明導電性被膜形成用塗布液では、同じ正電荷の表面電位を有する着色剤と酸化インジウム系の導電性微粒子とが均一に混合されているために粒子が凝集したり安定性が損なわれることが無く、該塗布液を用いると緻密で基材との密着性もよく、表面が平坦で外観上の欠陥のない透明導電性被膜が得られる。
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液には、被膜形成後の導電性微粒子のバインダーとして作用するマトリックス形成成分が含まれていてもよい。このようなマトリックス形成成分としては、シリカからなるものが好ましく、具体的には、アルコキシシランなどの有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物、あるいは塗料用樹脂などが挙げられる。このマトリックス形成成分は、固形分として導電性微粒子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.3重量部の量で含まれていればよい。
【0038】
上記したような透明導電性被膜形成用塗布液を用いれば、導電性微粒子が均一に分散しており、ポットライフが長く、得られる透明導電性被膜表面は平滑であり、筋条あるいはムラ等の外観上の欠陥が発生することがなく、透明導電性被膜付基材の製造信頼性に優れている。また、概ね102〜104Ω/□の表面抵抗を有する透明導電性微粒子層を形成することができるので、帯電を防止したり、電磁波および電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができる。さらに、得られる透明導電性被膜付基材の表面は平滑であり、筋条あるいはムラ等の外観上の欠陥がなくかつ耐塩水性や耐酸化性、透明性に優れている。
【0039】
透明導電性被膜付基材
次に、本発明に係る透明導電性被膜付基材について具体的に説明する。
本発明に係る透明導電性被膜付基材では、ガラス、プラスチック、セラミックなどからなるフィルム、シートあるいはその他の成形体などの基材上に、前記した平均粒子径が1〜200nm、好ましくは2〜150nmの導電性微粒子と前記した着色剤とからなる透明導電性微粒子層と、該透明導電性微粒子層上に透明被膜が形成されている。
【0040】
導電性微粒子および着色剤としては、前記と同様のものが挙げられる。
[透明導電性微粒子層]
透明導電性微粒子層の膜厚は、5〜200nm、好ましくは10〜150nmの範囲にあることが好ましく、この範囲の膜厚であれば帯電防止性、電磁遮蔽性に優れた透明導電性被膜付基材を得ることができる。
【0041】
このような透明導電性微粒子層には、必要に応じて、金属微粒子、マトリックス成分、有機系安定剤等を含んでいてもよく、具体的には、前記と同様のものが挙げられる。
[透明被膜]
本発明に係る透明導電性被膜付基材では、前記透明導電性微粒子層の上に、前記透明導電性微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜が形成されている。
【0042】
このときの透明被膜の膜厚は、50〜300nm、好ましくは80〜200nmの範囲にあることが好ましい。透明被膜の膜厚がこのような範囲にあれば、膜の強度が高く、反射防止性能にも優れた基材を得ることができる。透明被膜の膜厚が薄いと膜の強度が低く、このため導電性微粒子層が損傷したり、さらに反射防止性能が不足することがある。また透明被膜の膜厚を厚くしても、透明被膜にクラックが発生したり、膜の強度が低下することがあり、また膜が厚すぎて反射防止性能が不充分となることがある。
【0043】
このような透明被膜は、たとえば、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、およびこれらの複合酸化物などから形成される。本発明では、透明被膜として、特に下記式[1]で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物からなるシリカ系被膜が好ましい。このような透明被膜が形成された透明導電性被膜付基材は、反射防止性能に優れている。
【0044】
aSi(OR')4-a [1]
(式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子であり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系数1〜8のアルキル基、−C24OCn2n+1(n=1〜4)または水素 原子であり、aは0〜3の整数である。)
このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0045】
前記透明被膜には、さらに平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあり屈折率が1.28〜1.42の範囲、好ましくは1.28〜1.40の範囲にある低屈折率粒子を含むことが望ましい。
使用される低屈折率粒子の平均粒子径は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択される。
【0046】
低屈折率粒子の屈折率が1.42以下であれば、得られる透明導電性被膜付基材は、ボトム反射率および視感反射率が低く、優れた反射防止性能を発揮することができる。
透明被膜中の低屈折率粒子の含有量は酸化物に換算して、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲にあることが望ましい。
【0047】
本発明に用いる低屈折率粒子としては、平均粒子径および屈折率が上記範囲にあれば特に制限はなく従来公知の粒子を用いることができる。たとえば本願出願人の出願による特開平7−133105号公報に開示した複合酸化物ゾル、WO00/37359号公報に開示した被覆層を有する多孔質の複合酸化物粒子は好適に用いることができる。
【0048】
さらに、上記透明被膜中には、必要に応じて、フッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成された微粒子、染料、顔料などの添加剤が含まれていてもよい。
[透明導電性被膜付基材の製造方法]
次に、上記した透明導電性被膜付基材の製造方法について説明する。
上記透明導電性被膜付基材は、前記した導電性微粒子と着色剤とを含む透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布・乾燥して透明導電性微粒子層を形成し、次いで該微粒子層上に透明被膜形成用塗布液を塗布して前記透明導電性微粒子層上に該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成することによって製造することができる。
【0049】
透明導電性微粒子層の形成
まず、上記透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布・乾燥して、透明導電性微粒子層を基材上に形成する。
透明導電性微粒子層を形成する方法としては、たとえば、透明導電性被膜形成用塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの方法で、基材上に塗布したのち、常温〜約90℃の範囲の温度で乾燥する。
【0050】
透明導電性被膜形成用塗布液中に上記のようなマトリックス形成成分が含まれている場合には、マトリックス形成成分の硬化処理を行ってもよい。
たとえば、透明導電性被膜形成用塗布液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後に、150℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形成成分の硬化が促進され、得られる被膜の硬度が高くなる。
【0051】
透明被膜の形成
本発明では、上記のようにして形成された透明導電性微粒子層の上に、該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成する。
透明被膜の形成方法としては、特に制限はなく、この透明被膜の材質に応じて、真空蒸発法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式薄膜形成方法、あるいは上述したようなディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
【0052】
上記透明被膜を湿式薄膜形成方法で形成する場合、従来公知の透明被膜形成用塗布液を用いることができる。このような透明被膜形成用塗布液としては、具体的に、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、またはこれらの複合酸化物を透明被膜形成成分として含む塗布液が用いられる。
本発明では、透明被膜形成用塗布液として加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液を含むシリカ系透明被膜形成用塗布液が好ましく、特に前記記一般式[1]で表されるアルコキシシランの加水分解重縮合物を含有していることが好ましい。このような塗布液から形成されるシリカ系被膜は、導電性微粒子含有の導電性微粒子層よりも屈折率が小さく、得られる透明導電性被膜付基材は反射防止性に優れている。
【0053】
たとえば、前記アルコキシシランの1種以上を、水−アルコール混合溶媒中で酸触媒の存在下、加水分解すると、アルコキシシランの加水分解重縮合物を含む透明被膜形成用塗布液が得られる。このような塗布液中に含まれる被膜形成成分の濃度は、酸化物換算で0.5〜2.0重量%であることが望ましい。
本発明で使用される透明被膜形成用塗布液には、前記したような低屈折率粒子を含んでいてもよい。
【0054】
さらにまた、本発明で使用される透明被膜形成用塗布液には、フッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成された微粒子、透明被膜の透明度および反射防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子および/または染料または顔料などの添加剤が含まれていてもよい。
本発明では、このような透明被膜形成用塗布液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後に、150℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形成成分の硬化が促進され、得られる透明被膜の硬度を高くすることが可能となる。
【0055】
さらに、透明被膜形成用塗布液を塗布して被膜を形成する際に、透明導電性微粒子層を約40〜90℃に保持しながら透明被膜形成用塗布液を塗布して、前記のような処理を行うと、透明被膜の表面にリング状の凹凸が形成し、ギラツキの少ないアンチグレアの透明被膜付基材が得ることができる。
表示装置
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、帯電防止、電磁遮蔽に必要な概ね102〜104Ω/□の範囲の表面抵抗を有し、また透明性に優れるとともに可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有しているので表示装置の前面板として好適に用いられる。
【0056】
本発明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶用ディスプレイ(LCD)などのような電気的に画像を表示する装置であり、上記のような透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えている。
従来の前面板を備えた表示装置を作動させると、前面板に画像が表示されると同時に前面板が帯電したり、電磁波が前面板から放出されるが、本発明に係る表示装置では、前面板が前記した概ね102〜104Ω/□の表面抵抗を有する透明導電性被膜付基材で構成されているので、このような帯電を防止したり、電磁波およびこの電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができる。
【0057】
また、表示装置の前面板で反射光が生じると、この反射光によって表示画像が見にくくなるが、本発明に係る表示装置では、前面板が可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有する透明導電性被膜付基材で構成されているので、このような反射光を効果的に防止することができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、透明導電性被膜形成用塗布液には酸化インジウム系微粒子とこれと同じ正電荷を有する着色剤が均一に混合して分散しているのでポットライフが向上し、このため筋やムラ、光点等の外観上の欠陥が発生しないので透明導電性被膜付基材の歩留まりが高く製造信頼性に優れた透明導電性被膜形成用塗布液を提供することができる。また金属微粒子に比べて耐塩水性や耐酸化性にも優れることから耐久性に優れた被膜を形成できる。
【0059】
また、前記着色剤が含まれているので光透過率を調整することができ、コントラストに優れた透明導電性被膜付基材を提供することができる。また、帯電防止性能、電磁遮蔽性能、透明性、反射防止性能等に優れ、さらに耐塩水性や耐酸化性にも優れた透明導電性被膜付基材を提供することができる。
さらに、このような透明導電性被膜付基材を表示装置の前面板として用いれば、帯電防止性能、電磁遮蔽性能に優れるとともに外観、コントラスト、反射防止性能等に優れ、さらに耐塩水性や耐酸化性にも優れることから耐久性に優れた表示装置を提供することができる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0061】
【製造実施例】
a)導電性微粒子分散液の調製
n ドープ酸化インジウム (ITO) 微粒子 (P-1) 分散液の調製
硝酸インジウム79.9gを水686gに溶解して得られた溶液と、錫酸カリウム12.7gを濃度10重量%の水酸化カリウム溶液に溶解して得られた溶液とを調製し、これらの溶液を、50℃に保持された1000gの純水に2時間かけて添加した。この間、系内のpHを11に保持した。得られたSnドープ酸化インジウム水和物分散液からSnドープ酸化インジウム水和物を濾別・洗浄した後、再び水に分散させて固形分濃度10重量%の金属酸化物前駆体水酸化物分散液を調製した。この分散液を、温度100℃で噴霧乾燥して金属酸化物前駆体水酸化物粉体を調製した。上記粉体を、窒素ガス雰囲気下、550℃で2時間加熱処理した。
【0062】
これを濃度が30重量%となるようにエタノールに分散させ、さらに硝酸水溶液でpHを3.5に調製した後、この混合液を30℃に保持しながらサンドミルで0.5時間粉砕してゾルを調製した。ついで、エタノールを加えて濃度20重量%のSnドープ酸化インジウム微粒子(P-1)分散液を調製した。
得られた導電性金属酸化物粒子(P-1)については以下のように平均粒子径を測定し結果を表1に示した。
【0063】
導電性微粒子についてはSEM写真を撮影し20個の粒子について粒子径を測定し、平均値を平均粒子径として表1に示した。
F・S n ドープ酸化インジウム微粒子 (P-2) 分散液の調製
硝酸インジウム79.9gを水686gに溶解して得られた溶液と、フッ化錫2.7gを濃度10重量%の水酸化カリウム溶液に溶解して得られた溶液とを調製し、これらの溶液を、50℃に保持された1000gの純水に2時間かけて添加した。この間、系内のpHを11に保持した。得られたFドープ酸化イン ジウム水和物分散液からFドープ酸化インジウム水和物を濾別・洗浄した後、再び水に分散させて固形分濃度10重量%の金属酸化物前駆体水酸化物分散液を調製した。この分散液を、温度100℃で噴霧乾燥して金属酸化物前駆体水酸化物粉体を調製した。上記粉体を、窒素ガス雰囲気下、550℃で2時間加熱処理した。
【0064】
これを濃度が30重量%となるようにエタノールに分散させ、さらに硝酸水溶液でpHを3.5に調製した後、この混合液を30℃に保持しながらサンドミルで0.5時間粉砕してゾルを調製した。ついで、エタノールを加えて濃度20重量%のF・Snドープ酸化インジウム微粒子(P-2)分散液を調製した。平均粒子径を表1に示した。
b)着色剤粒子分散液の調製
着色剤粒子 (CP-1) 分散液の調製
カーボンブラック微粒子(三菱化学(株)製:MA230)41g、純水350g、KOH0.2gを混合し、混合液をサンドミルで2時間処理し、ついで純水410gを加え、イオン交換樹脂にてイオン除去し、固形分濃度5重量%の着色剤粒子(CP-1)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-1)の平均粒子径は40nmであった。
【0065】
着色剤粒子 (CP-2) 分散液の調製
カーボンブラック微粒子(三菱化学(株)製:MA230)33g、エチルアルコール268g、テトラブトキシジルコニウム(日本曹達(株)製:ZR-181、ZrO2濃度15重量%)40g、濃度63重量%の硝酸0.26gを混合し、混合液をサンドミルで1.5時間処理し、固形分濃度9.7重量%の着色剤粒子(CP-2)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-2)の平均粒子径は40nmであった。
【0066】
着色剤粒子 (CP-3) 分散液の調製
カーボンブラック微粒子(三菱化学(株)製:MA−7)33g、エチルアルコール268g、テトラブトキシジルコニウム(日本曹達(株)製:ZR-181、ZrO2濃度15重量%)40g、濃度63重量%の硝酸0.26gを混合し、混合液をサンドミルで1.5時間処理し、固形分濃度9.7重量%の着色剤粒子(CP-3)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-3)の平均粒子径は30nmであった。
【0067】
着色剤粒子 (CP-4) 分散液の調製
カーボンブラック微粒子(三菱化学(株)製:MA230)33g、エチルアルコール268g、テトラブトキシジルコニウム(日本曹達(株)製:ZR-181、ZrO2濃度15重量%)55g、濃度63重量%の硝酸0.26gを混合し、混合液をサンドミルで1.5時間処理し、固形分濃度9.3重量%の着色剤粒子(CP-4)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-4)の平均粒子径は40nmであった。
【0068】
着色剤粒子 (CP-5) 分散液の調製
カーボンブラック微粒子(三菱化学(株)製:MA230)33g、エチルアルコール268g、テトラブトキシジルコニウム(日本曹達(株)製:ZR-181、ZrO2濃度15重量%)18g、濃度63重量%の硝酸0.26gを混合し、混合液をサンドミルで1.5時間処理し、固形分濃度10.3重量%の着色剤粒子(CP-5)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-5)の平均粒子径は40nmであった。
【0069】
着色剤粒子 (CP-6) 分散液の調製
カーボンブラック微粒子(三菱化学(株)製:MA230)33g、エチルアルコール268g、テトライソプロピルチタネート(松本工業(株)製:オルガチックス TA-10、TiO2濃度17.3重量%)34g、濃度63重量%の硝酸0.26gを混合し、混合液をサンドミルで1.5時間処理し、固形分濃度9.8重量%の着色剤粒子(CP-6)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-6)の平均粒子径は40nmであった。
【0070】
着色剤粒子 (CP-7) 分散液の調製
チタンブラック微粒子(三菱マテリアル(株)製:チタンブラック 13M)180g、純水420g、KOH8gを混合し、混合液をサンドミルで5時間処理し、これに純水1200gを加え、イオン交換樹脂にてイオン除去し、固形分濃度10重量%の着色剤粒子(CP-7)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-7)の平均粒子径は90nmであった。
【0071】
着色剤粒子 (CP-8) 分散液の調製
上記と同様にして得た固形分濃度10重量%の着色剤粒子(CP-7)分散液100gに、エタノール233g、テトラブトキシジルコニウム(日本曹達(株)製:ZR-181、ZrO2濃度15重量%)12g、濃度63重量%の硝酸0.1gを混合し、1時間撹拌して固形分濃度2.9重量%の着色剤粒子(CP-8)分散液を調製した。着色剤粒子(CP-8)の平均粒子径は90nmであった。
【0072】
【実施例1〜7、比較例1〜3】
透明導電性被膜形成用塗布液 (C-1) (C-10) の調製
先ず、上記で得た微粒子(P-1)、(P-2)、(CP-1)〜(CP-6)分散液を表1に示す配合割合および濃度となるように酸化インジウム系微粒子分散液と着色剤分散液と極性溶媒(エタノール/イソプロピルグリコール/ジアセトンアルコール=重量比81/16/3)を混合し、透明導電性被膜形成用塗布液(C-1)〜(C-10)を調製した。
透明導電性被膜付パネルガラスの製造
ブラウン管用パネルガラス(17")の表面を40℃で保持しながら、スピナー 法で100rpm、90秒の条件で上記透明導電性被膜形成用塗布液(C-1)〜(C-7)、(C-10)をそれぞれ塗布し乾燥した。このときの導電層の膜厚を測定し、結果を表に示した。なお、透明導電性被膜形成用塗布液(C-8)、(C-9)は安定性がなく、透明導電性被膜付パネルガラスの製造は実施しなかった。
【0073】
次いで、このようにして形成された透明導電性微粒子層上に、同じように、スピナー法で100rpm、90秒の条件で下記のように別途調製した透明被膜形成用塗布液(B)を透明被膜の厚さが100nmとなるように塗布・乾燥し、180℃で30分間焼成して透明導電性被膜付基材を得た。
d)透明被膜形成用塗布液 (B) の調製
エタノール42.9g、濃度35重量%の塩酸.2gおよび純水35.5gとを混合し、これに正珪酸メチル(SiO2濃度51重量%)21.4gを加えた後、60℃で2時間撹拌して正珪酸メチルの加水分解・熟成を行い、ついで、イソプロパノール118.3g、メタノール/エタノール/イソプロパノール/ジアセ トンアルコール(17:67:12:4重量混合比)873.1gを加えてSiO2濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(B)を調製した。
【0074】
これらの透明導電性被膜付基材の表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し、ヘーズをへーズコンピューター(日本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率は反射率計(大塚電子(株)製:MCPD-2000)を用いて測定し、波長400〜700nmの範囲で反射率が最も低い波長での反射率をボトム反射率とし、また波長400〜700nmの平均反射率を視感反射率として求め、結果を表に示した。透過率は分光光度計(日本分光(株)製:UBest55)にて波長550nmにおける透過率を測定した。微粒子の粒子径は、微粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、20個の粒子について粒子径を測定し、この平均値として示した。
【0075】
製造信頼性の評価として、筋条、ムラについてはシャウカッセンに透かして目し観察し、光点は直接目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表に示した。
筋条
○:パネルの表(おもて)面からの観察で筋条が観察されない。
△:パネルの表(おもて)面からの観察で観察されるが、裏面からは観察されない。
×:パネルの裏面からも観察される。
【0076】
ムラ
○:膜厚の不均一さに起因する色ムラがない。
△:色ムラが僅かに認められる。
×:色ムラが明瞭に認められる。
光点
○:パネル面に、直径0.5mm以上の光点ゼロ、0.1mm未満の数200未満
△:パネル面に、直径0.5mm以上の光点2以下、0.1mm未満の数200〜249個
×:パネル面に、直径0.5mm以上の光点3以上、0.1mm未満の数250個以上また信頼性評価として、下記の方法によって、耐塩水性および耐酸化性の試験を実施した。
【0077】
なお、粒子の安定性が低く凝集などした場合には屈折率にムラができ、粗大粒子が光点として視認されるようになる。○であれば、粗大粒子がない(あっても小さいものがわずかにある程度)。
[耐塩水性]
濃度5重量%の食塩水溶液に、前記実施例および比較例で得た透明導電性被膜付基材片を、一部が食塩水溶液中に浸漬するように浸漬させ、24時間および48時間放置した後これを取り出し、未浸漬部位との色調の変化を観察した。
【0078】
[耐酸化性]
濃度2重量%の過酸化水素水溶液に、上記実施例および比較例で得た透明導電性被膜付基材片を、一部が過酸化水素水溶液中に浸漬するように浸漬させ、24時間放置した後これを取り出し、未浸漬部位との色調の変化を観察した。
評価基準 ○:変化が観察されず
△:わずかに変化あり
×:明確に変化あり
【0079】
【表1】
Figure 2004204174

Claims (6)

  1. 導電性微粒子と着色剤と極性溶媒とを含み、
    導電性微粒子が酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウムから選ばれる酸化インジウム系微粒子であり、
    着色剤が正電荷を有する粒子であることを特徴とする透明導電性被膜形成用塗布液。
  2. 前記着色剤が、金属酸化物で被覆されて正電荷を有する有機顔料および/または無機顔料であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  3. 前記塗布液の固形分濃度が0.5〜5重量%の範囲にあり、固形分中の着色剤の含有量が1〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  4. 基材と、
    基材上の前記導電性微粒子を含む透明導電性微粒子層と、
    該透明導電性微粒子層上に設けられ、該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなる透明導電性被膜付基材であって、
    透明導電性微粒子層が導電性微粒子と着色剤とを含み、導電性微粒子が酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウムから選ばれる酸化インジウム系微粒子であることを特徴とする透明導電性被膜付基材。
  5. 前記透明導電性被膜の波長550nmにおける透過率が55〜95%の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の透明導電性被膜付基材。
  6. 請求項4または5に記載の透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴とする表示装置。
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