JP4031569B2 - 食品包装用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は食品包装用シートに関し、さらに詳しくはハンバーガーやパンなどの食品を包装したままで電子レンジなどで加熱処理するのに好適な食品包装用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、外食産業やコンビニエンスストアーなどにおいて、または家庭において、食品の調理や再加熱等を電子レンジを用いて行う機会が増大している。電子レンジによる加熱は、マイクロ波で食品内部の水分を振動させ、その際に発生する摩擦熱により加熱する内部加熱方式によるものであり、加熱時間が短い、栄養素の損失が少ない、消費電力が少ない等の長所を有するが、水分蒸発量が大きく、ドリップ発生量が多いため、加熱後の食品の味が低減する等の欠点があった。
また単身所帯の増加や偏食化傾向などの社会的な変化にともない、調理済み食品を利用する機会が増加し、現実に加熱済み調理冷凍食品の出荷比率や惣菜類の売上比率が増大している。このような調理済み食品を短時間で手軽に再加熱するには、電子レンジによるのが有効であるが、上記したように電子レンジで加熱した食品の食味に関しては通常の外部加熱によるものと比べて嗜好性に劣るというのが現状であった。
【0003】
また食品を電子レンジで加熱する場合には、揚げ物や焼き物のように外側の水分が少ない食品はそのまま加熱して水分を蒸発させ、その他の食品はラップで覆って加熱するのが適当であると言われている。しかし、食品によって加熱方法が異なるのは面倒であり、またそのまま加熱すると電子レンジ内部に汚れや臭気が付着するため、ラップで覆って加熱するのが一般的である。特に近年、コンビニエンスストアーやファーストフードショップではハンバーガー等の軽食が広く販売されているが、これらの食品の包装にも衛生面を考慮して樹脂製のフィルムやラップで包装したものが販売されている。
しかし、ポリ塩化ビニリデンやポリエチレンなどによるフィルム包装やラップは透湿性や吸水性がないため、フィルムの表面や包装容器の底面で食品から発生した水蒸気が結露し、食品に移行してベタついた食感となりやすい。従って、これらのフィルムで包装したパンやハンバーガー等をそのまま再加熱すると、加熱で発生したドリップ水によって食品表面が濡れてしまい、その食感が著しく損なわるという問題があった。
【0004】
上記問題点を改良するために不織布や通気性素材を使用した種々の提案がなされている。
例えば、特開昭56−32241号公報、実開平3−123871号公報、実開平3−117666号公報、実開平4−97068号公報、実開平4−3964号公報、実開平6−25141号公報、実開平6−35164号公報などには、食材が接する表面層に不織布等の素材を用いたシートまたは袋が提案されている。しかし、これらの不織布には汎用の不織布シートや紙類が用いられているにすぎないため、その効果は不十分なものであり、電子レンジ加熱で発生した水蒸気による結露水を保持する能力が低く、加熱後の食感を向上させるには至っていない。
【0005】
また実開平3−108671号公報、特開平7−132974号公報、特開平5−305978号公報、特開平8−324654号公報、実開平5−19171号公報などには、加熱後の結露水を十分に吸収させるために、食材が接する表面層を疎水性の通気性シートとし、その内層に吸水層として吸水性シートを内在させたシートまたは袋が提案されている。しかし、この吸水層の存在により加熱後の結露水が食材に濡れ戻する等の欠点は改善されるが、吸水層としてパルプ層など余分な層を設けなければならないため、コストが高くなり、また親水性のパルプ等を使うため、このシートを袋状に製袋加工する際にヒートシールしずらく生産速度が遅くなり、これを改善するためにさらに熱接着層を余分に設けなければならない等の欠点があった。さらにパルプ等を用いるためゴミが混入しやすくまた不衛生となりやすく食品包材としてしばしば問題が生じていた。
【0006】
さらに特開平9−40033号公報、特開平4−57768号公報、特開平3−289455号公報などには、食材と接する表面層の不織布としてメルトブロー不織布等の耐水圧の高い不織布を使用し、いったん結露した水分が食材に濡れ戻るのを防止し、またこの表面層にパルプ等の吸収層を内層に設ける方法が提案されている。このメルトブロー不織布は、これを構成する繊維が非常に細い繊維からなり、また不織布も緻密化されているため、発生した蒸気は通すが水は通し難いという特性を有する。従って、水蒸気として発生した水分が、食材と接しない側の層で結露した場合は、濡れ戻りが少ないため食品包装材として良好な結果が得られる。しかし、実際には水蒸気は食品包装袋の内部で結露する場合の方が圧倒的に多いため、結露した水分による食材の食感の低下を防止することはできない。
また、このような問題を解決するために部分ラミネートなどによりシートの張り合わせ条件を変えたり、積層条件を規定する方法が提案されているが、食材に接するシートの工夫がなされていないため、以前として食品の鮮度や食感の保持が不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、電子レンジ等で食品を調理、再加熱する際に発生する水分蒸発による食品の乾燥や硬化および水蒸気の結露やドリップによる食品のベタつきを防止することができ、種々の食品を包装したままで加熱等を施しても食感の低下が生じない食品包装用シートを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)外装シートと内層シートが積層接着されたシートであって、該内層シートが異形断面繊維および/または捲縮繊維を含む不織布からなり、該異形断面繊維の異形度が1.2〜2.5及び/または該捲縮繊維のクリンプ数が10〜50個/インチであり、該不織布の嵩密度が0.01〜0.2g/cm 3 であり、該内層シートが外装シートに接着されている面積が全積層面積の10〜60%であることを特徴とする食品包装用シート。
(2)前記不織布がオレフィン系長繊維不織布であることを特徴とする(1)記載の食品包装用シート。
【0009】
本発明の食品包装用シートによれば、食材と接する内層シートが異形断面繊維および/または捲縮繊維を含む不織布からなり、該不織布は嵩高な構造を有し、不織布内に形成された多数の空隙に、加熱時の食品から発生する余分な水や油分を吸着し、保持することができるため、この水分や油分が食材に濡れ戻って食材の食感を低下させるのを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の食品包装用シートは、外装シートと内層シートが積層されたシートである。
本発明に用いられる外装シートとしては、食品を包んで電子レンジで加熱した場合に内部で発生した余分な油や水分を著しく外部に出さないものであればどのようなものでもよく、例えば、紙類、紙類にポリプロピレンやポリプロピレン樹脂等を薄くコーティングしたシート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどの樹脂製フィルム、フラッシュ紡糸法等で得られた透湿防水性のある不織布などを用いることができる。
【0011】
外装シートの目付および厚みは、包装の外観、型くずれ、破れ、ゴミ等の混入等を考慮すると、目付は10〜100g/m2 が好ましく、厚みは0.02〜1mmが好ましい。
また外装シートは、透湿性があってもよく、またシートの一部に孔あけ加工を施したものでもよい。これらは電子レンジによる加熱時に生じた余分な水蒸気をシートや袋の外に追い出す目的を害さない範囲で、加熱により発生する水分量に応じて適宜選択するのが好ましい。
【0012】
本発明に用いられる内層シートは、異形断面繊維および/または捲縮繊維を含む不織布からなる。該シートは、食品から発生した余分な水分や油分をその内部に吸着し、保持する機能を有するとともに、食品に対して余分なドリップ水の濡れ戻りを最小限に抑える機能を有する。この機能は、不織布が異形断面繊維および/または捲縮繊維に起因する嵩高な構造と高い比表面積を有し、その内部に水分や油分を保持させることができる多数の空隙を有することにより得られる。
【0013】
本発明に用いられる異形断面繊維としては、真円でない異形断面の繊維であれば、不織布内の繊維の比表面積が高くなり、水分や油分を吸着する面積も多くなるため、特に制限はないが、水分等の吸着保持性能、繊維の製造のし易さ、安定生産性等の点から、異形断面繊維の好ましい異形度は1.2〜2.5であり、より好ましくは1.5〜2.5である。異形糸を含む不織布は、その糸構造によってより嵩高性が高く、空隙率の大きい構造を有する。該繊維の断面形状は、真円でない円形またはY型、V型、W型等の異形であってもよい。
本発明における異形度は、異形糸の断面と周長(周囲の長さ)を算出し、次に同じ断面積を持つ真円の半径を求めてその真円の周長を算出し、下式により求めたものである。
異形度=異形糸の周長/異形糸と同じ断面積の真円の周長
【0014】
本発明に用いられる捲縮繊維としては、上記した機能が得られれば特に制限はないが、不織布の嵩高性を増し、食品から生じた余分な水分や油分を保持する点から、捲縮数は10個/インチ以上が好ましく、より好ましくは20個/インチ以上である。捲縮数が10個/インチ未満では、不織布の部分接合間における各フィラメントの自由伸長距離が短くなり、不織布としての嵩高性が損なわれ、有効に働く繊維比表面積も小さくなり、水分や油分を保持する性能が低下する場合がある。また捲縮数の上限についての制約は特にないが、一般的には捲縮数を50個/インチ以上発現させることは、製造上困難である。
【0015】
捲縮繊維は、紡糸後の加熱、延伸、溶剤処理等により発現するいわゆる潜在捲縮繊維であっても、紡糸されてウェブコンベア等の捕集面上に堆積された状態で発現するいわゆる顕在捲縮繊維であってもよいが、加工工程中に寸法変化が起こり難く、シートの目付斑発生が少なく均質なシートが得られ易い点から、顕在捲縮繊維が好ましい。
不織布に用いられる繊維としては異形断面繊維、捲縮繊維のいずれでもよいが、異形断面繊維でかつ捲縮構造を有する繊維が好ましい。不織布を製造する観点からも異形糸に捲縮構造を発現させることは容易であり、また結果として比表面積が大きく、嵩高性の高い不織布が得られる。なお、不織布を構成する繊維には、本発明の目的を害さない範囲で上記異形断面繊維および捲縮繊維以外の繊維が併用されていてもよい。
【0016】
本発明において、不織布を構成する繊維の単糸の繊度は、0.3〜50デニールが好ましく、より好ましくは0.5〜20デニールである。繊維の比表面積は、繊維のデニールが細い方がより大きくなるが、繊維径が細すぎると、たとえ繊維が異形糸や捲縮糸であっても不織布の嵩高性が得られないことがある。すなわち、繊度が0.3デニール未満では、これによって構成される不織布の嵩高性が損なわれ、結果的に緻密化された不織布の内部には水分や油分が保持されにくくなる。また食材が内層シートである不織布と接触する面積が大きくなり、水分の濡れ戻りが多くなる場合がある。さらには不織布の強度が不足し、摩擦等でシートが破れたり、繊維が切れて脱落したりしてしまい、食材の汚染の元となりやすい。この点から繊度の低いメルトブロー法不織布やフラッシュ紡糸法不織布は好ましくない態様である。一方、繊度が50デニールを超えると、構造上嵩高性の高い不織布が得られるが、異形糸や捲縮糸が得られにくくなり、実質上製造が困難となる場合がある。
【0017】
本発明に用いられる不織布の目付は、8〜60g/m2 が好ましく、より好ましくは10〜60g/m2 、さらに好ましくは15〜40g/m2 である。目付が8g/m2 未満の場合は、水分や油分を保持する能力が低下し、また実用上や加工上で必要なシートの強力を得ることができない場合がある。一方、60g/m2 を超える場合は、シートが厚すぎて、製袋加工性が悪くなり、また製品コストが高くなるわりには、濡れ戻り性等の性能が向上しない場合がある。
また不織布の嵩密度は、余分な油や水分を不織布内に吸着や保持させる点から、0.01〜0.2g/cm3 が好ましく、より好ましくは0.05〜0.12g/cm3 である。嵩密度が0.2g/cm3 を超えると、不織布の嵩高性がなくなり、余分な水分や油分を保持できない場合がある。一方、0.01g/cm3 未満では実質上製造が困難な場合がある。
【0018】
不織布を構成する繊維の素材としては特に制限はなく、熱可塑性の合成樹脂、レーヨンやポリビニルアルコール等の化学繊維、パルプ繊維またはこれらの混合物を用いることができるが、熱成形性や製袋加工等の加工性の点から、熱可塑性樹脂からなる繊維が好ましい。熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン等のモノオレフィン重合体およびこれらの共重合体を主成分とするポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂等が用いられる。またはこれらの不織布を構成する繊維は単一成分でも混合成分でもよく、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリプロピレン/ポリエステル等を混合した複合繊維であってもよい。不織布を構成する繊維が複合繊維の場合、2種類以上の熱可塑性樹脂を複合紡糸した後に熱処理により捲縮を発現させてクリンプ不織布としてもよい。
【0019】
さらには加工性や食品に対する鮮度保持の性能の点からはポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系繊維からなる不織布がより好ましい。ポリオレフィン系の素材を用いた場合は、性能的に見ると、パンやハンバーガー等の食品を電子レンジ加熱させた場合に食品が内層シートにくっつかず、剥離性に優れ、加工性の点で見れば、ヒートシール性、製袋性等の使用時の二次加工性に優れる。また捲縮糸の形成し易さ等の一次成形性の点でもポリオレフィン素材が好ましく、さらに柔軟である点からも、ポリプロピレン等からなる捲縮長繊維不織布が好ましい。
【0020】
不織布としては、カード法、抄造法等の短繊維不織布製造法やスパンボンド法等の長繊維不織布製造方法で得られるいずれでも使用可能である。また不織布の接合方法としては、接着剤による接合、超音波ウェルダー接合、部分熱風接合、ニードルパンチ接合等の方法を用いることができるが、食品用途的には、摩耗強度、ゴミやリントが発生しにくい点から、また余分なつなぎの樹脂や糊を用いない点から、部分熱圧着する方法がより好ましい。
不織布を形成する繊維は長繊維であっても、短繊維であってもよいが、短繊維の脱落による食品への異物の混入、シートの強度や摩耗耐久性の点から長繊維がより好ましい。
【0021】
このような不織布は、例えば、いわゆる溶融紡糸スパンボンドの製造方法、具体的には、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を溶融紡糸し、紡糸直後に繊維の非対称冷却を行い、捲縮を発現させ、得られた連続長繊維をウェブコンベア等の捕集面上に積層し、ウェブ状にした後、熱エンボスロールによる熱接合することにより製造することができる。
該不織布には、食品を簡単に剥がす為の食品用の剥離剤や離型剤を塗布しても、また食品の鮮度保持を目的とした抗菌性、防腐性を付与してもよい。また嵩高性を向上させるための孔あけ加工等、内部に包む食品の鮮度保持や食感保持のための加工を施してもよい。これらの加工は適宜目的に応じて行うことが好ましい。
【0022】
本発明における食品包装用シートは、外装シートと内層シートを積層させて得られるが、熱接着、ホットメルト樹脂や溶剤等を使用した接着剤による貼り合わせ、物理的に縫製する方法等を適宜選択することができる。例えば、フィルムや紙等の外装シートと内層の不織布をそのまま熱によりラミネートする方法、ポリエチレンやポリプロピレンなどの押し出し樹脂を中間に介在させて貼り合わせる方法等が挙げられる。余分なものを介在させることがなく、かつ生産性がよい点から、熱による接着法が好ましい。また紙を外装シートとして使用する場合は、熱によるヒートシールを容易にするためにポリオレフィン等の樹脂をあらかじめ薄くコーティングしてもよい。
【0023】
外装シートと内層シートを接着させる際には、食品から生じた余分な油や水分を吸着、保持する内層シートの機能を阻害しないようにするのが好ましい。内層シートとしての不織布内の空隙が積層工程時に潰されるとその嵩高性および高比表面積が低下して本発明の目的が達成できなくなる場合がある。従って、接着や積層時のラミネートロールの圧力を調整して過剰な圧力を不織布にかけないようにすることが好ましい。また同様の理由から接着用に用いる押し出し樹脂などの接着層の厚さは30ミクロン以下とするのが好ましく、より好ましくは15ミクロン以下である。
【0024】
外装シートと内層シートを貼り合わせる場合の貼り合わせ面積は、食品を出し入れする時や保管時等の使用時に支障を来さず、また内層シートが外装シートから剥がれ落ちない程度であれば、特に制限はなく、全面貼り合わせであっても、部分的貼り合わせであってもよく、不織布の嵩高性と比表面積を維持するのに最も効果的な貼り合わせ面積とするのが好ましい。本発明において、内層シートが外装シートに接着されている面積は、全積層面積の10〜60%である。さらに食品を出し入れするときの便宜上から食品を包装するシートの端部や袋状にしたときの出入り口部は、外装シートと内層シートがしっかり貼り合されていることが好ましい。
【0025】
本発明における食品包装用シートは、食品をシート状態のままで包んでも、またこれらのシートを袋状にして包んでもよく、最終的な使用形態は使用者が使用状況や目的によって形態を選択することができる。また袋状にしたものの密閉性を上げるために全面でヒートシールしても、ファスナー等を具備した形態にしてもよい。またシートや袋の一部分に余分な蒸気を外へ出す微小な孔や内容物を確認できる形態としてもよい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらにに詳細に説明する。
実施例1
ポリプロピレンをV型断面ノズルを有する紡口から溶融紡糸し、紡口直下で冷却装置により糸条を側方から冷却し、エアーサッカーで牽引して異形度1.6のくの字型で、2.5デニールのクリンプを有する連続長繊維を得た。この繊維のクリンプ数は平均25個/インチであった。該繊維を開繊分散してウェブコンベア上に堆積しウェブを製造し、該ウェブを圧着面積率8%でエンボス模様間隔4.5mmのエンボスロールとフラットロールの間で熱圧着し、目付20g/m2のクリンプ長繊維不織布を得た。得られた不織布の嵩密度は0.089g/cm3 であった。
この目付20g/m2のクリンプ長繊維不織布と目付40g/m2の紙とを押し出しラミネートで積層一体化して食品包装用シートとした。このときポリラミネート用樹脂はポリプロピレンとし、ラミネート厚は15ミクロンとした。またラミネート面積は全面積の40%で、格子状の部分ラミネート方法を採用した。
【0027】
参考例1
実施例1と同様の方法で得られた目付が25g/m2のクリンプ長繊維不織布(嵩密度は0.095g/cm3 )を用いて、実施例1と同様の方法で食品包装用シートとした。但し、このときラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0028】
実施例2
実施例1と同様の方法で得たクリンプ長繊維不織布と目付70g/m2のポリプロピレン一軸延伸フィルムとを熱エンボスラミネートで積層一体化して食品包装用シートとした。このとき、ラミネート面積は全面積の約20%で、点状の部分ラミネート方法を採用した。
【0029】
参考例2
実施例1と同様の方法で、異形のクリンプ長繊維不織布を得た。得られた不織布を構成する繊維は、繊維径1.8デニール、異形度1.5、平均18個/インチのクリンプ数を有した。また不織布を一体化する方法は実施例1と同様に行った。このとき得られた不織布の嵩密度は0.098g/cm3 で、目付は25g/m2のあった。この不織布を実施例1と同様に積層一体化して食品包装用シートとした。但し、このときラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0030】
実施例3
参考例2で用いた同じ不織布を用い、この不織布を実施例1と同様に積層一体化して食品包装用シートとした。但し、このときラミネート面積は全面積の50%で、スジ状態で接着したシートを採用した。
【0031】
参考例3
実施例1と同じ方法で、熱可塑性樹脂をポリエチレンテレフタレートとして異形クリンプ糸による不織布を作製した。得られた不織布を構成する繊維は、繊維径2.2デニール、異形度1.5、平均20個/インチのクリンプ数を有した。また不織布を一体化する方法は実施例1と同様に行った。このとき得られた不織布の嵩密度は0.103g/cm3 で、目付は25g/m2のあった。この不織布を実施例1と同様に積層一体化して食品包装用シートとした。但し、このときラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0032】
参考例4
ポリエチレンテレフタレートの異形短繊維をカード法によって開繊分散してウェブコンベア上に堆積しウェブを製造し、該ウェブを圧着面積率8%でエンボス模様間隔4.5mmのエンボスロールとフラットロールの間で熱圧着し、目付20g/m2のクリンプ長繊維不織布を得た。得られた不織布の嵩密度は0.110g/cm3 であった。また用いた短繊維は、繊維長約3cm、繊維径2.0デニール、異形度1.6の楕円形状で、平均20個/インチのクリンプ数を有した。
この不織布と目付40g/m2の紙とを押し出しラミネートで積層一体化して食品包装用シートとした。このときポリラミネート用樹脂はポリエチレンとし、ラミネート厚は15ミクロンとした。またラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0033】
参考例5
参考例4のポリエチレンテレフタレートの異形短繊維を80重量%とレーヨン短繊維20重量%をランダムに混合したものを、カード法によって開繊分散して、参考例4と同じ条件で熱エンボス圧着し、目付20g/m2のクリンプ長繊維不織布を得た。得られた不織布の嵩密度は0.113g/cm3 であった。用いたレーヨン短繊維は、繊維長約3.5cm、繊維径1.4デニール、真円形状のものを用いた。
この不織布と目付40g/m2の紙を押し出しラミネートで積層一体化して食品包装用シートとした。このときポリラミネート用に樹脂はポリエチレンとし、ラミネート厚は15ミクロンとした。またラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0034】
参考例6
ポリプロピレンの異形短繊維を80重量%とレーヨン短繊維20重量%をランダムに混合したものを、カード法によって開繊分散して、参考例4と同様の条件でボンディングし、目付20g/m2のクリンプ長繊維不織布を得た。得られた不織布の嵩密度は0.099g/cm3 であった。用いたレーヨン短繊維は、参考例5と同じもので、一方のポリプロピレン短繊維は、繊維長約3cm、繊維径3.0デニール、異形度1.5の楕円形状で、平均18個/インチのクリンプ数を有した。
この不織布と目付40g/m2の紙を押し出しラミネートで積層一体化し食品包装用シートとした。このときポリラミネート用に樹脂はポリプロピレンとし、ラミネート厚は15ミクロンとした。またラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0035】
比較例1
市販のポリラップをそのまま使用し、試料とした。
比較例2
不織布の代わりに市販の紙(目付30g/m2、嵩密度0.633g/cm3 )を使用し、この紙と目付40g/m2の紙とを押し出しラミネートで積層一体化して食品包装用シートとした。このときポリラミネート用樹脂はポリプロピレンとし、ラミネート厚は15ミクロンとした。またラミネート面積は全面積の40%で、格子状の部分ラミネート方法を採用した。
【0036】
比較例3
不織布としてポリプロピレン性のメルトブロー法の不織布を使用し、この不織布を用いて実施例1と同様にシート状に加工して試料とした。このメルトブロー法の不織布は、目付30g/m2、嵩密度0.320g/cm3 であった。また繊維の繊維径は、平均0.11デニール、真円形状に近く、クリンプはなかった。
【0037】
比較例4
不織布として比較例3と同じ不織布を使用し、この不織布を用いて参考例1と同様にシート状に加工して試料とした。
比較例5
不織布としてポリエステル性のスパンボンド法の不織布(目付25g/m2)を使用し、この不織布を用いて参考例1と同様にシート状に加工して試料とした。この不織布は、目付25g/m2、嵩密度0.25g/cm3 であった。また繊維の繊維径は、平均2.2デニール、真円形状で、クリンプはなかった。
【0038】
比較例6
不織布としてポリプロピレン性のスパンボンド法の不織布(目付20g/m2)を使用し、この不織布を用いて参考例1と同様にシート状に加工して試料とした。この不織布は、目付25g/m2、嵩密度0.15g/cm3 であった。また繊維の繊維径は、平均2.5デニール、真円形状で、クリンプはなかった。
【0039】
比較例7
ポリエチレンテレフタレートの汎用繊維を80重量%とレーヨン短繊維を20重量%含んだランダムな繊維ウェッブを、参考例5と同様な方法で不織布を得た。得られた不織布の嵩密度は0.150g/cm3 、目付20g/m2であった。またポリエステル短繊維は、繊維長約3cm、繊維径2.0デニール、真円形状で、クリンプはなかった。またレーヨン糸は参考例5と同様のものを用いた。この不織布と目付40g/m2の紙とを押し出しラミネートで積層一体化して食品包装用シートとした。このときポリラミネート用に樹脂はポリエチレンとし、ラミネート厚は15ミクロンとした。またラミネート面積は全面積で接着したシートを採用した。
【0040】
実施例1〜3、参考例1〜6および比較例1〜7で得られた食品包装用シートを用いて(1) 電子レンジによるハンバーガーテスト、(2) ドリップ水の濡れ戻りおよび不織布内屁の水分保持テスト、(3) ハンバーガー用電子レンジ包装の摩耗による毛羽立ちおよびリントの発生状況および(4) 不織布の嵩密度を下記のようにして調べ、その結果をそれぞれ表1〜表3に示した。
【0041】
(1)電子レンジによるハンバーガーテスト
食品包装用シート(試料)で袋を作り、これに市販のハンバーガーを入れて600ワットの電子レンジで30秒間加熱し、その後取り出して食味して判定した。判定は3段階の評価をした。袋の形状は縦20cm、横15cmとし、電子レンジにかけるときは、上端部を5cm折り曲げて、折り曲げた口をテープでとめた。これ らを1試料につき5点行い、下記の判定基準で評価し、結果を表1にまとめた。
◎:水分が適度にあり、大変美味しかった。
○:パンの底部が少しぬれているが、大変美味しかった。
△:水分がパンの底部に集まりやや美味しくなかった。
×:水分がパンの底部に集まりぐしゃぐしゃになって美味しくなかった。
【0042】
次に、これと同じ袋を用い、厚切り食パン1/2枚を袋に入れ、電子レンジで1分間加熱後、電子レンジから取り出して1時間放置後食パンと試料のくっつき具合を官能評価した。操作は3回行い、判定は以下の4段階の基準での評価をし、結果を表1にまとめた。
◎:食パンと試料がくっつかず、簡単に取り出せた
○:食パンと試料はくっつかなかったが、少し取り出しに苦労した。
△:食パンと試料がややくっついており、無理に取り出すとシートにパンが少し残った。
×:食パンと試料がくっつき、無理に取り出すとシートにパンがかなり残った。
【0043】
(2)ドリップ水の濡れ戻りおよび不織布内への水分保持テスト
300ccのビーカーにそれぞれ水10ccおよび食パン20gを入れてから、ビーカーの口(孔面積50cm2 )に、食品包装用シート(試料:14cm×14cm)を置き輪ゴムでセットする。その後600ワットの電子レンジで2分間加熱する。直ちに電子レンジから試料を取り出してはずし、天秤で重量を測定する。次に試料の上に濾紙(目付120g/m2、大きさ15×15cm)を置き、その上にガラス板とおもり(1kg)を置き、10秒経過後濾紙および試料の重量を測定し、下記の項目A、B、Cを求めた。測定は各試料5回行い、その平均をもとめ、表2にまと めた。算出方法は以下の通りである。
【0044】
▲1▼蒸気発生吸着量:A
W0 0 電子レンジ照射前の試料重量(mg)
W1 : 電子レンジ照射後の試料重量(mg)
蒸気発生吸着量:A(mg)=W1 −W0
▲2▼濡れ戻り量および濡れ戻り率:B
R0 :初めの濾紙の重量
R1 :試料と濾紙を重ねて10秒経過の濾紙の重量
濡れ戻り量:B1 (mg)=R1 −R0
濡れ戻り率:B2 (%) =〔R1 −R0 /A〕×100
▲3▼試料の保水量:C
W0 : 電子レンジ照射前の試料重量
W3 : 試料と濾紙を重ねて10秒経過の試料の重量
試料の残水量:C1 (mg)=W3 −W0
試料の残水率:C2 (%) =〔W3 −W0 /A〕×100
【0045】
(3)不織布からでる糸くず、リント、ゴミの量の測定
食品包装用シート(試料:16cm×22cm)を、そのまま使用したものと、摩耗耐久性のテストとして学振型摩耗機で4カ所摩耗した試料をクリーンルーム(20℃×65%RH)で24時間放置した試料を、各々の試料をクリーンルーム内でポリエチレン製袋(35×24cm)に入れて30秒間振った後、ポリエチレン製袋内の空気中の脱落物をパーテイ クルカウンターにて粒径ごとの粒子数および糸くず量を測定した。測定結果は表3にまとめた。
【0046】
(4)不織布の嵩密度の測定
JIS−1906に準じて目付、厚み(測定条件、ピーコック厚み型、加圧子直径30mm、荷重5g/ m2 )を測定し、次式にて求めた。
嵩密度(g/ cm3 )=目付/厚み
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
表1からは、本発明の食品包装用シートを用いた場合には、電子レンジで加熱した後もハンバーガーのおいしさが維持され、食感の低下がないことが示される。また食材がシートにくっつきにくく、剥がれやすいことが示される。
表2からは、本発明の食品包装用シートは保水性に優れ、かつ濡れ戻りが少ないことが示される。
表3からは、本発明の食品包装用シートは摩耗による毛羽立ち性に優れ、かつゴミの発生も少なく衛生的であることが示される。
【0051】
【発明の効果】
本発明の食品包装用シーとによれば、電子レンジで食品を再加熱する際に発生する余分な水分や油分を取り、水分蒸発による食品の乾燥や硬化を防ぎ、水蒸気の結露やドリップによる食品のベタつき等を防止して、種々の食品を美味しく加熱することができる。また食品への異物等の混入を低減させることができる。
Claims (2)
- 外装シートと内層シートが積層接着されたシートであって、該内層シートが異形断面繊維および/または捲縮繊維を含む不織布からなり、該異形断面繊維の異形度が1.2〜2.5及び/または該捲縮繊維のクリンプ数が10〜50個/インチであり、該不織布の嵩密度が0.01〜0.2g/cm 3 であり、該内層シートが外装シートに接着されている面積が全積層面積の10〜60%であることを特徴とする食品包装用シート。
- 前記不織布がオレフィン系長繊維不織布であることを特徴とする請求項1記載の食品包装用シート。
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