JP4010073B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合触媒、及びオレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合触媒、及びオレフィン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合用触媒成分として有用な遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒、及びオレフィン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、容易に合成することができる新規な遷移金属化合物、該遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分、該遷移金属化合物を用いてなる高い重合活性を示すオレフィン重合用触媒、並びに該オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィン系単独重合体や共重合体を効率良く製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニッケルやパラジウム化合物を触媒の遷移金属成分とするエチレンやプロピレン等のオレフィン重合に関する報告は、例えば1)U. Klabunde, S.D. Ittel, Journal of Molecular Catalysis, 第41巻123ページ(19887年); U. Klabunde, R. Mulhaupt, A.H. Janowicz, J. Calabrese, S.D. Ittel, Journal of Polymer Science, A, Polymer Chemistry, 第25巻1989ページ(1987年);U. Klabunde, T.H. Tulip, D.C. Roe, and S.D. Ittel, Journal of Organometallic Chemistry, 第334巻141ページ(1987年)、及び2)W. Keim, R. Appel, A. Storeck, C. Kruger, R. Goddard, Angewandte Chemie International Edition in English, 第26巻1012ページ(1987年)、あるいは3)H. Nakazawa, S. Igai, and K. Imaoka, 特開平8−143623に報告されているホスフォラン化合物を配位子とした錯体による報告例、及び4)S.Y. Desjardins, K.J. Cavell, J.L. Hoare, B.W. Skelton, A.N. Sobolev, A.H. White, and W. Keim, Journal of Organometallic Chemistry, 第544巻163ページ(1997年)に報告されているキレート型N−O配位子を有するニッケル錯体による方法、及び5)L.K. Johnson, C.M. Killian, and M. Brookhart, Journal of American Chemical Society, 第117巻6414ページ(1995年); L.K. Johnson, S. Mecking, and M. Brookhart, Journal of American Chemical Society, 118巻267ページ(1996年); C.M. Killian, D.J. Tempel, L.K. Johnson, and M. Brookhart, Journal of American Chemical Society, 第118巻、11664ページ(1996年)及び国際出願公開WO96/2310号明細書にグリオキサ−ルやジケトンやアセナフテンキノンと各種の置換アニリン化合物より調製されるジイミン型の配位子を有する錯体による報告例が広く知られている。
国際出願公開WO96/2310号明細書の実施例205には、2,2-bis{2-[4(s)-methyl-1,3-oxazolinyl]}propaneNiBr2錯体及びメチルアルミノキサンを用いてなる触媒をエチレンと接触させることによりオリゴマーが生成することが記載されている。
【0003】
しかしながらこれらの触媒によるオレフィン重合においては、重合活性という観点から必ずしも満足のいくものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況に鑑み、本発明が解決しようとする課題、即ち本発明の目的は、高い重合活性を発現するオレフィン重合用触媒成分として有用な遷移金属化合物、該遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分、該遷移金属化合物を用いてなる高い重合活性を示すオレフィン重合用触媒、並びに該オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィン系単独重合体や共重合体を効率よく製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、下記(A)と(B)とを接触させて得られる遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分、下記一般式(2)で示される遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分、および、下記一般式(3)で示される遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分にかかるものである。また本発明は、これらのいずれかの遷移金属化合物と、下記(C)および/または(D)とを用いてなるオレフィン重合用触媒、下記(A)と、(B)と、(C)および/または(D)とを用いてなるオレフィン重合用触媒、並びに、それらのいずれかのオレフィン重合触媒を使用して、オレフィン類を単独重合あるいはオレフィン類と他のオレフィン類および/または他の重合性不飽和化合物とを共重合させるオレフィン系重合体の製造方法にかかるものである。
Figure 0004010073
(一般式(2)または(3)においてそれぞれ、Mはニッケル原子を示し、Jはオレフィン類化合物、ジエン類化合物、ニトリル類化合物、エステル類化合物、エーテル類化合物を示す。Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは1である。XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、スルホニルオキシ基、または置換シリル基を示す。XとYは結合して環を形成してもよい。)
(A)下記一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物
Figure 0004010073
(式中、Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは1である。)
(B)ニッケルの化合物
(C)下記(C1)〜(C3)から選ばれる1種類以上のアルミニウム化合物
(C1)一般式E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(C2)一般式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
(C3)一般式E3{―Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(但し、E1、E2及びE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2及び全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていてもよい。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の数を、cは1以上の整数を表す。)
(D)下記(D1)〜(D3)のいずれかのホウ素化合物
(D1)一般式BQ123で表されるホウ素化合物
(D2)一般式G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(D3)一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
上記一般式(2)または(3)におけるMは、ニッケル原子、パラジウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、またはルテニウム原子を示し、好ましくはニッケル原子またはパラジウム原子である。特に好ましくはニッケル原子である。
【0007】
上記一般式(3)におけるJは、配位性化合物を示し、遷移金属原子Mに配位可能な化合物である。かかるJとしては例えば、オレフィン類化合物、ジエン類化合物、二トリル類化合物、エステル類化合物、エーテル類化合物などが挙げられる。より具体的に例示すると、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなど及びこれらの異性体混合物といったオレフィン類化合物、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロオクテン、ノルボルネンなどのシクロアルケン類化合物、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、ノルボルナジエン、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン等及びこれらの異性体混合物といったジエン類化合物、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル類化合物、アクリロニトリル、プロピオニトリル、ジシアノエチレン、テトラシアノエチレン等のα−β不飽和ニトリル類化合物、アクリル酸メチル及びメチルをエチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、tert−ブチル等に変更した各種アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸メチル及びメチルをエチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、tert−ブチル等に変更した各種メタクリル酸エステル化合物などといったエステル類化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類化合物等が挙げられる。
特に本発明では、Jとして好ましくはπ電子を有する配位性化合物、より好ましくはオレフィン性二重結合を少なくとも一つ有する配位性化合物であり、中でも1,5−シクロオクタジエンや2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のジエン類化合物が、生成したゼロ価ニッケル錯体等を安定化するために有効である。
【0008】
上記一般式(2)または(3)におけるR1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、またはシアノ基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは任意に結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。
【0009】
かかるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0010】
1、R2、またはR3のアルキル基としては炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはアミル基である。
【0011】
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
またこれらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0012】
1、R2、またはR3のアリール基としては炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、より好ましくはフェニル基である。
これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0013】
1、R2、またはR3のアラルキル基としては炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられ、より好ましくはベンジル基である。
これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0014】
1、R2、またはR3のアルコキシ基としては炭素原子数1〜20のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、またはtert−ブトキシ基である。
これらのアルコキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0015】
1、R2、またはR3のアリールオキシ基としては炭素原子数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが挙げられる。
これらのアリールオキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0016】
1、R2、またはR3のアラルキルオキシ基としては炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基が好ましく、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、より好ましくはベンジルオキシ基である。
これらのアラルキルオキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0017】
1、R2、またはR3として好ましくは、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、特にR1としてアルキル基またはアリール基が好ましい。R1としてさらに好ましくはメチル基またはフェニル基である。
【0018】
上記一般式(2)または(3)におけるnは0≦n≦5を満足する整数を表し、好ましくはnは0≦n≦2を満足する整数であり、特に好ましくはnは1である。nが0のとき、上記一般式(2)または(3)で表される遷移金属化合物における2つのオキサゾリン環は、二重結合にかかる炭素原子同士が一本の結合で結ばれる。
【0019】
上記一般式(2)におけるXおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、スルホニルオキシ基、または置換シリル基を示す。XとYは任意に結合して環を形成してもよい。
XまたはYにおけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基はそれぞれ、前記R1、R2、またはR3におけると同様である。
【0020】
XまたはYにおけるスルホニルオキシ基とは一般式R'SO3−で示される化合物を示し、好ましくは炭素原子数1〜24のスルホニルオキシ基である。具体的にはメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、ドデカンスルホニルオキシ基などR'がアルキル基であるものや、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの様に一部がハロゲンで置換されているもの、p−トルエンスルホニルオキシ基などの様にR'がアリール基であるものである。
【0021】
XまたはYにおける置換シリル基とは炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜20の3置換シリル基などが挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、またはトリフェニルシリル基である。
これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0022】
一般式(2)のXまたはYとして好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基またはアラルキル基であり、さらに好ましくは臭素原子、メチル基、イソブチル基またはベンジル基である。
【0023】
本発明の遷移金属化合物として好ましくは、上記一般式(2)で示される遷移金属化合物である。
【0024】
かかる一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物は、(A)下記一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物と(B)ニッケル、パラジウム、コバルト、ロジウムまたはルテニウムの化合物とを接触させることにより得ることができる。
Figure 0004010073
(式中、Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、またはシアノ基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは任意に結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは0≦n≦5を満足する整数を表す。)
【0025】
上記一般式(1)におけるR1、R2、R3およびnはそれぞれ、前記の一般式(2)または(3)におけると同様である。
【0026】
かかるビスオキサゾリン化合物(A)には、不斉炭素原子が存在しこれらを不斉中心とする少なくとも2種類の光学活性体が存在することもあるが、本発明のビスオキサゾリン化合物(A)はいずれの光学活性体であってもよいし、また混合物であっても構わない。
【0027】
かかるビスオキサゾリン化合物(A)は文献未記載の化合物であって、例えばnが1でかつ2つのオキサゾリン環上の置換基が同一である場合には以下のような方法で合成することができる。
【0028】
一般式(4)
Figure 0004010073
(式中、R1およびR2は前記と同じ意味を表わす。)
で示される(光学活性な)2−アミノアルコール類と一般式(5)
Figure 0004010073
(式中、R3は前記と同じ意味を表わし、R4はアルコキシ基またはハロゲン原子を示す。)
で示されるマロン酸誘導体とを反応させ一般式(6)
Figure 0004010073
(式中、R1、R2、およびR3は前記と同じ意味を表わす。)
で示されるビスアミドアルコール化合物を得、次いでこの化合物をルイス酸触媒の存在下に反応させることによりビスオキサゾリン化合物(A)を得ることができる。
nが1以外のビスオキサゾリン化合物(A)は、上記の一般式(5)で示されるマロン酸誘導体を適宜、他の化合物(1,4−ジケト化合物など)に変更することにより、同様に得ることができる。
【0029】
ここで2−アミノアルコール類(4)としては、それらの塩酸塩、硫酸塩、または酢酸塩などの塩を用いることもできる。2−アミノアルコール類(4)の中でも広く購入可能化合物として、またはより幅広く入手可能なアミノ酸エステルから容易に合成可能な化合物としては、例えば2−アミノ−1,1−ジメチルプロパノール、2−アミノ−1,1−ジエチルプロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−n−プロピルプロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−i−プロピルプロパノール、2−アミノ−1,1−ジシクロヘキシルプロパノール、2−アミノ−1,1−ジメトキシプロパノール、2−アミノ−1,1−ジエトキシプロパノール、2−アミノ−1,1−ジフェニルプロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−(2−メチルフェニル)プロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−(3−メチルフェニル)プロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−(4−メチルフェニル)プロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−(2−メトキシフェニル)プロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−(3−メトキシフェニル)プロパノール、2−アミノ−1,1−ジ−(4−メトキシフェニル)プロパノール、1−(1−アミノエチル)シクロブタノール、1−(1−アミノエチル)シクロペンタノール、1−(1−アミノエチル)シクロヘキサノール、1−(1−アミノエチル)シクロヘプタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジメチルブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジエチルブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−n−プロピルブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−i−プロピルブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジシクロヘキシルブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジフェニルブタノール2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−(2−メチルフェニル)ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−(3−メチルフェニル)ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−(4−メチルフェニル)ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−(2−メトキシフェニル)ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−(3−メトキシフェニル)ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1,1−ジ−(4−メトキシフェニル)ブタノール、1−(1−アミノ−2−メチル−n−プロピル)シクロブタノール、1−(1−アミノ−2−メチル−n−プロピル)シクロペンタノール、1−(1−アミノ−2−メチル−n−プロピル)シクロヘキサノール、1−(1−アミノ−2−メチル−n−プロピル)シクロヘプタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジメチルペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジエチルペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−n−プロピルペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−i−プロピルペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジシクロヘキシルペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジフェニルペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−(2−メチルフェニル)ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−(3−メチルフェニル)ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−(4−メチルフェニル)ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−(2−メトキシフェニル)ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−(3−メトキシフェニル)ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1,1−ジ−(4−メトキシフェニル)ペンタノール、1−(1−アミノ−3−メチル−n−ブチル)シクロブタノール、1−(1−アミノ−3−メチル−n−ブチル)シクロペンタノール、1−(1−アミノ−3−メチル−n−ブチル)シクロヘキサノール、1−(1−アミノ−3−メチル−n−ブチル)シクロヘプタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジメチルブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジエチルブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−n−プロピルブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−i−プロピルブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジシクロヘキシルブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジフェニルブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−(2−メチルフェニル)ブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−(3−メチルフェニル)ブタノール2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−(4−メチルフェニル)ブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−(2−メトキシフェニル)ブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−(3−メトキシフェニル)ブタノール、2−アミノ−3,3−ジメチル−1,1−ジ−(4−メトキシフェニル)ブタノール、1−(1−アミノ−2,2−ジメチル−n−プロピル)シクロブタノール、1−(1−アミノ−2,2−ジメチル−n−プロピル)シクロペンタノール、1−(1−アミノ−2,2−ジメチル−n−プロピル)シクロヘキサノール、1−(1−アミノ−2,2−ジメチル−n−プロピル)シクロヘプタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジメチルエタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジエチルエタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−n−プロピルエタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−i−プロピルエタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジシクロヘキシルエタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジフェニルエタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−(2−メチルフェニル)エタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−(3−メチルフェニル)エタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−(4−メチルフェニル)エタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−(2−メトキシフェニル)エタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−(3−メトキシフェニル)エタノール、2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジ−(4−メトキシフェニル)エタノール、1−(アミノフェニルメチル)シクロブタノール、1−(アミノフェニルメチル)シクロペンタノール、1−(アミノフェニルメチル)シクロヘキサノール、1−(アミノフェニルメチル)シクロヘプタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジメチルエタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジエチルエタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−n−プロピルエタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−i−プロピルエタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジシクロヘキシルエタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジフェニルエタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−(2−メチルフェニル)エタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−(3−メチルフェニル)エタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−(4−メチルフェニル)エタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−(2−メトキシフェニル)エタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−(3−メトキシフェニル)エタノール、2−アミノ−2−ベンジル−1,1−ジ−(4−メトキシフェニル)エタノール、1−(1−アミノ−2−フェニル)シクロブタノール、1−(1−アミノ−2−フェニル)シクロペンタノール、1−(1−アミノ−2−フェニル)シクロヘキサノール、1−(1−アミノ−2−フェニル)シクロヘプタノールが挙げられる。上記の化合物は(R)または(S)の光学活性体を使用することも可能で、またある割合の混合物を使用することも可能である。
【0030】
また、上記2−アミノアルコール類(4)は、対応するアミノ酸エステル、またはその塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩などの塩と対応するグリニャール試剤とで容易に合成することができる。さらに光学活性なアミノアルコールを合成する際には光学活性なアミノ酸エステルまたはその塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等を使用すればよい。
【0031】
ここでいうアミノ酸エステルとしてはアラニンメチルエステル、バリンメチルエステル、ロイシンメチルエステル、(t)−ロイシンメチルエステル、フェニルグリシンメチルエステル、フェニルアラニンメチルエステル、およびこれら化合物名のメチルエステルが、エチルエステル、プロピルエステル、n-ブチルエステルに置き換わった化合物が挙げられる。
また、上記化合物の光学活性体である(R)または(S)である化合物であってもよいし、上記エステルの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩などの塩であってもよい。
【0032】
グリニャール試剤としてはメチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムクロリド、ベンジルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、2−メチルフェニルマグネシウムクロリド、3−メチルフェニルマグネシウムクロリド、4−メチルフェニルマグネシウムクロリド、2−メトキシフェニルマグネシウムクロリド、3−メトキシマグネシウムクロリド、4−メトキシマグネシウムクロリド及び上記化合物名におけるクロリドをブロミドに変更した化合物が挙げられる。
【0033】
一般式(5)で示されるマロン酸誘導体としては、例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、ジメチルマロン酸ジメチルなどのマロン酸ジエステル化合物やマロン酸ジクロリド、ジメチルマロン酸ジクロリド、マロン酸ジブロミド、ジメチルマロン酸ジブロミドなどのマロン酸の酸ハロゲン化物が挙げられ、その使用量は2−アミノアルコール類(4)に対して通常0.5〜2モル倍程度、好ましくは0.5〜1モル倍程度である。
【0034】
ルイス酸としては例えば、チタンテトライソプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、二塩化ジメチルスズ、塩化スズ、塩化亜鉛などが挙げられる。これらのルイス酸はそれぞれ単独または二種以上を混合して用いられ、その使用量は2−アミノアルコール類(4)に対して通常は0.001〜5モル倍程度、好ましくは0.01〜1モル倍程度である。
【0035】
反応に際しては、通常は溶媒が用いられ、かかる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、クロルベンゼン、塩化メチレン、二塩化エチレンなどの溶媒が挙げられる。これらはそれぞれ単独または二種以上を混合して用いられ、その使用量は特に限定されるものではないが、2−アミノアルコール類(4)に対して通常、2〜200重量倍程度である。
【0036】
前記ビスオキサゾリン化合物(A)の製造に際しては、まず以下の方法でビスアミドアルコール化合物(6)を調製する。
2−アミノアルコール類(4)とマロン酸ジエステル類を反応させる場合は、上記した溶媒を用いて両者を反応させる。その反応温度は通常50〜250℃程度、好ましくは60〜180℃程度である。
【0037】
2−アミノアルコール類(4)とマロン酸ジクロリド類を反応させる場合は通常、適当な塩基の存在下で上記した溶媒を用いて両者を反応させる。塩基としては、トリエチルアミンなどが挙げられ、その使用量は、マロン酸ジクロリド類に対し、通常2倍モル以上用いられる。その反応温度は通常、-30〜100℃程度、好ましくは-10〜50℃程度である。
【0038】
なお、得られたビスアミドアルコール化合物(6)は、反応系から単離してもよいし、単離せずに、次の反応工程に用いてもよい。
ビスアミドアルコール化合物(6)からのビスオキサゾリン化合物(A)の製造法としては、単離したビスアミドアルコール化合物(6)を前述の溶媒に溶かした後、またはビスアミドアルコール化合物を含む反応液に、前述した量のルイス酸を添加して反応させる方法が挙げられる。
その反応温度は通常、50〜250℃程度、好ましくは60〜180℃程度である。
【0039】
反応終了後、例えば得られた反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を加え、析出する固体を濾別し、得られた濾液を濃縮し、これに水を加えて、トルエン、酢酸エチル、クロロホルムなどの有機溶媒を用いて抽出処理し、得られた有機層を濃縮することによって、用いた2−アミノアルコール類(4)に対応する一般式(7)に示されるビスオキサゾリン化合物を得ることができる。得られたビスオキサゾリン化合物はさらに通常の方法、たとえば、蒸留操作、カラムクロマトグラフィー処理などによって精製することもできる。または、反応終了後、反応液を濃縮してすぐに蒸留やカラムクロマトグラフィーなどの操作に付し、目的とするビスオキサゾリン化合物を得ることもできる。
【0040】
かくして得られるビスオキサゾリン化合物の一般式(1)における不斉炭素原子を中心とする立体配置は、用いた2−アミノアルコール類(4)の光学活性体における立体配置と同様である。
【0041】
本発明の一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物(A)の中でも、上記の方法によって得られる光学活性な2置換ビスオキサゾリン化合物としては、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジメトキシオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジエトキシオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、 メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、 メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]、メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]、メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]、メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−プロピル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−プロピルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−プロピルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−プロピルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−プロピルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]、2,2−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−i−ブチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−i−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−4−t−ブチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−t−ブチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−t−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−t−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−t−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−t−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(3−メチルフェニ)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジメチルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジエチルオキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−i−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]、 2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]、および上記各化合物における(4R)が(4S)に相当する化合物などが挙げられる。
【0042】
また、メソ型異性体としては、例えばビスオキサゾリン類の光学活性体として前記した各化合物における(4R)が、一つのオキサゾリン骨格が(4R)、他方のオキサゾリン骨格が(4S)に相当する化合物が挙げられる。
【0043】
前記のニッケル、パラジウム、コバルト、ロジウムまたはルテニウムの化合物(B)として好ましくは、これら遷移金属の無機酸もしくは有機酸の塩またはゼロ価の遷移金属原子に配位性化合物が配位した化合物である。具体的には、これら遷移金属の塩化物、弗化物、臭化物、よう化物、炭酸塩、シュウ酸塩、アセチルアセトナト塩、もしくは酢酸塩であり、それらにエーテル系溶媒、オレフィン、ジエン、二トリル化合物等が同時に配位していても良い。また、ニッケルやパラジウム等のゼロ価錯体の場合には、単にゼロ価の遷移金属原子にオレフィン、ジエン、または二トリル化合物等が配位した化合物が好ましく使用される。
【0044】
具体的には、ビス(1,8−シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニッケル、ヘキサアンミンニッケルジクロリド、ヘキサアンミンニッケルジヨージド、酢酸ニッケル、ビスアセチルアセトナートニッケル、臭化ニッケル、臭化ジメトキシエタンニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、塩化ジメトキシエタンニッケル、ニッケルビス(シクロへキサンブチレート)、ジメチルグリオキシムニッケル、ニッケルビス(2−エチルヘキサノエート)、弗化ニッケル、ヘキサフルオロアセチルアセトナートニッケル、ヨウ化ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、トリフルオロアセチルアセトナトニッケル、アリルパラジウムクロリド(二量体)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、trans−ジクロロジアミンパラジウム、酢酸パラジウム、ビスアセチルアセトナトパラジウム、臭化パラジウム、塩化パラジウム、ビスシアノパラジウム、ヨウ化パラジウム、パラジウムビストリフルオロアセテート、テトラキス(アセトニトリル)パラジウムテトラフルオロボレート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジアセチルアセトナトコバルト、トリスアセチルアセトナトコバルト、臭化コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、コバルトビス(シクロへキサンブチレート)、弗化コバルト、ヨウ化コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、アセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムトリフルオロメタンスルホネート、クロロビス(エチレン)ロジウム(二量体)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(二量体)、クロロノルボルナジエンロジウム(二量体)、酢酸ロジウム(二量体)、トリスアセチルアセトナトロジウム、塩化ロジウム、ヨウ化ロジウム、ロジウム(II)トリフルオロアセテート、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム、トリスアセチルアセトナトルテニウム、臭化ルテニウム、塩化ルテニウム、ヨウ化ルテニウムがあげられる。
【0045】
この中でもとりわけ本発明においてはニッケル化合物及びパラジウム化合物が好ましく、特により好ましくはビス(1,8−シクロオクタジエン)ニッケル、酢酸ニッケル、ビスアセチルアセトナートニッケル、臭化ニッケル、臭化ジメトキシエタンニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、塩化ジメトキシエタンニッケル、ジメチルグリオキシムニッケル、弗化ニッケル、ヘキサフルオロアセチルアセトナートニッケル、ヨウ化ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、酢酸パラジウム、ビスアセチルアセトナトパラジウム、臭化パラジウム、塩化パラジウム、ヨウ化パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである。特に本発明では、使用するビスオキサゾリン化合物(A)と容易に錯形成が可能な遷移金属化合物としてビス(1,8−シクロオクタジエン)ニッケル、塩化ジメトキシエタンニッケル、臭化ジメトキシエタンニッケルがより好ましく使用される。
【0046】
上記の一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物はオレフィン重合用触媒成分として有用である。該遷移金属化合物をオレフィン重合用触媒成分として用いる際には通常、該遷移金属化合物を活性化させ得る助触媒成分をともに用いる。
【0047】
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記の一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物と、下記(C)および/または(D)とを用いてなるオレフィン重合用触媒である。
(C)下記(C1)〜(C3)から選ばれる1種類以上のアルミニウム化合物
(C1)一般式E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(C2)一般式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
(C3)一般式E3{―Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(但し、E1、E2及びE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2及び全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていてもよい。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の数を、cは1以上の整数を表す。)
(D)下記(D1)〜(D3)のいずれかのホウ素化合物
(D1)一般式BQ123で表されるホウ素化合物
(D2)一般式G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(D3)一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
【0048】
本発明のオレフィン重合用触媒は、一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物のかわりに、前記のビスオキサゾリン化合物(A)と前記化合物(B)とを用いてもよい。即ち本発明の他のオレフィン重合用触媒は、下記(A)と、(B)と、(C)および/または(D)とを用いてなるオレフィン重合用触媒である。
(A)下記一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物
Figure 0004010073
(式中、Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、またはシアノ基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは任意に結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは0≦n≦5を満足する整数を表す。)
(B)ニッケル、パラジウム、コバルト、ロジウムまたはルテニウムの化合物
(C)下記(C1)〜(C3)から選ばれる1種類以上のアルミニウム化合物
(C1)一般式E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(C2)一般式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
(C3)一般式E3{―Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(但し、E1、E2及びE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2及び全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていてもよい。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の数を、cは1以上の整数を表す。)
(D)下記(D1)〜(D3)のいずれかのホウ素化合物
(D1)一般式BQ123で表されるホウ素化合物
(D2)一般式G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(D3)一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
【0049】
(C)アルミニウム化合物
本発明において用いるアルミニウム化合物(C)としては、下記(C1)〜(C3)から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物である。
(C1)一般式 E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(C2)一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
(C3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(但し、E1、E2、およびE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2および全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていても良い。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
1、E2、またはE3における炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0050】
一般式 E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物(C1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、またはトリイソブチルアルミニウムである。
また、本発明の触媒においては使用するアルミニウム化合物の種類や反応条件(温度や圧力)によって、低重合体を生成することもある。
【0051】
一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン(C2)、一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン(C3)における、E2、E3の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2及びE3はメチル基、またはイソブチル基であり、bは2〜40、cは1〜40である。
【0052】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて作る方法が例示できる。
【0053】
(D)ホウ素化合物
本発明においてホウ素化合物(D)としては、(D1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物、(D2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物、(D3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物のいずれかを用いることができる。
【0054】
一般式 BQ123で表されるホウ素化合物(D1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q3はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。Q1〜Q3は好ましくは、ハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含むアミノ基であり、より好ましいQ1〜Q3はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、または1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基である。さらに好ましくはQ1〜Q4は、それぞれ少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数1〜20のフッ素化炭化水素基であり、特に好ましくはQ1〜Q4は、それぞれ少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数6〜20のフッ素化アリール基である。
【0055】
化合物(D1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、最も好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0056】
一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物(D2)において、G+は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(D1)におけるQ1〜Q3と同様である。
【0057】
一般式 G+(BQ1234-で表される化合物における無機のカチオンであるG+の具体例としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるG+としては、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。G+として好ましくはカルベニウムカチオンであり、特に好ましくはトリフェニルメチルカチオンである。(BQ1234-としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0058】
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0059】
また、一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物(D3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の化合物(D1)におけるQ1〜Q3と同様である。
【0060】
一般式(L−H)+(BQ1234-で表される化合物におけるブレンステッド酸である(L−H)+の具体例としては、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1234-としては、前述と同様のものが挙げられる。
【0061】
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0062】
本発明のオレフィン重合用触媒として好ましくは、上記の一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物と、上記(C1)と上記(D)を用いてなるオレフィン重合用触媒、あるいは、上記の一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物と上記(C2)および/または(C3)とを用いてなるオレフィン重合用触媒である。さらに好ましくは、上記の一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物と上記(C1)と上記(D)を用いてなるオレフィン重合用触媒である。
【0063】
化合物(C)の使用量は通常、一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物中あるいは化合物(B)中の遷移金属原子1モル当たりのアルミニウム原子のモル量として1〜10000モルのごとく広範囲に選ぶことができる。好ましくは、遷位金属原子1モル当たり1〜3000モルの範囲である。
【0064】
化合物(D)の使用量は通常、一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物中あるいは化合物(B)中の遷移金属原子1モル当たりのモル量として0.01〜1000モルのごとく広範囲に選ぶことができる。好ましくは、遷位金属原子1モル当たり0.1〜50モルの範囲である。さらに好ましくは、0.1〜20モルである。
【0065】
各成分を重合槽に供給する方法としては、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス中で水分のない状態で、モノマーの存在下に供給する。一般式(2)または(3)で示される遷移金属化合物、化合物(C)、化合物(D)、あるいは一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)、化合物(D)は個別に供給してもよいし、予め接触させて供給してもよい。
【0066】
重合温度は、通常−80〜300℃までにわたって実施することができるが、好ましくは0〜280℃、より好ましくは20〜250℃である。
重合圧力は特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で常圧〜150気圧程度が好ましい。重合時間は一般的に目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが5分から40時間の範囲を取り得る。
【0067】
重合プロセスは、連続式でもバッチ式でもいずれも可能である。またプロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのような不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合、溶媒重合、無溶媒による液相重合または気相重合もできる。
【0068】
本発明のオレフィン系重合体の製造方法は、既述のオレフィン重合用触媒を使用して、オレフィン類を単独重合あるいはオレフィン類と他のオレフィン類および/または他の重合性不飽和化合物とを共重合させるオレフィン系重合体の製造方法である。
【0069】
本発明において重合に適用できるオレフィン類としては、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン類、特にエチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィン、炭素原子数4〜20のジオレフィン類等を用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。オレフィン類の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1等の直鎖状オレフィン類、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチル−2−ペンテン−1等の分岐オレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が例示されるが、本発明は上記化合物に限定されるべきものではない。
【0070】
本発明のオレフィン系重合体の製造方法において使用する他の重合性不飽和化合物の具体例としては、アクリル酸エステル化合物およびメタクリル酸エステル化合物から選ばれる化合物が挙げられる。アクリル酸エステル化合物の具体例としては、アクリル酸メチルや、そのメチルをエチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、tert−ブチル等に変更した化合物を例示することができ、またメタクリル酸エステル化合物の具体例としては、メタクリル酸メチルや、そのメチルをエチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、tert−ブチル等とした化合物等を例示することができる。
【0071】
本発明のオレフィン系重合体の製造方法で製造する共重合体として好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、共重合体を構成するモノマーの組み合わせの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、エチレンとオクテン−1、プロピレンとブテン−1等が例示されるが、本発明はこれらの組み合わせに限定されるべきものではない。
【0072】
また、本発明のオレフィン重合体の分子量を調整するために、水素やシラン化合物等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0073】
【実施例】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0074】
(1)極限粘度([η]:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用い、テトラリン中、135℃で測定した。
【0075】
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。また、検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
機種 ミリポアウオーターズ社製 150CV型
カラム Shodex M/S 80
測定温度 145℃、溶媒 オルトジクロロベンゼン、
サンプル濃度 5mg/8ml
なお、分子量分布はMwとMnとの比(Mw/Mn)で評価した。
【0076】
(3)融点(Tm ℃ )の測定
パーキンエルマー社製 DSC−VII を用いて、以下の条件で測定した。
昇温:40℃から150℃(10℃/分)、5分保持
冷却:150℃から40℃(5℃/分)、10分保持
測定:40℃から160℃(5℃/分)
【0077】
(4)1H−NMRの測定
1H−NMRの測定には、日本電子JNM−EX270を用いた。実施例に記載した重水素化溶媒を用い、室温にて測定を行った。
【0078】
(5)錯体の質量分析
JEOL JMS−700型質量分析計を用いて実施した。
【0079】
下記の実施例における重合時に使用した各化合物(C)、(D)は以下の通りである。
トリイソブチルアルミニウム:東ソー・アクゾ(株)製市販品、トリイソブチルアルミニウムをトルエンで希釈し1Mの溶液として使用した。
トリエチルアルミニウム:東ソー・アクゾ(株)製市販品、トリエチルアルミニウムをトルエンで希釈し1Mの溶液として使用した。
PMAO:東ソー・アクゾ(株)製PMAO−S、3M (ポリ)メチルアルミノキサンのトルエン溶液を使用した。
MMAO:東ソー・アクゾ(株)製 2.25M (ポリ)メチルイソブチルアルミノキサンのヘキサン溶液を使用した。
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:東ソー・アクゾ(株)製市販品、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを希釈し0.001Mの溶液として使用した。
【0080】
[参考例1]
窒素雰囲気下、(R)−2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジフェニルエタノール3.0g(10.4mmol)、マロン酸ジメチル0.685g(5.183mmol)をキシレン150mlと混合し、120℃で5時間撹拌した。次いでチタンテトライソプロポキシド147mg(0.518mmol)を反応液に加え120℃、48時間撹拌した。
反応終了後、キシレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製(中性アルミナ/酢酸エチル:ヘキサン=3:2)することにより2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン] 2.35g( 収率 74.1%)が得られた。
1H-NMR(CDCl3, TMS) δ3.91 (s, 2H), 6.82-7.14 (m, 18H), 7.33-7.43(m, 8H,7.68(d, 4H)
【0081】
[参考例2]
(R)−2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジフェニルエタノールに代えて(S)−2−アミノ−3−メチル−1,1−ジフェニルブタノール2.66g(10.4mmol)を用いる以外は実施例1と同様に操作して、2,2’−メチレンビス[(4S)−4−i−プロピル−5,5−ジフェニルオキサゾリン] 2.15g(淡黄色粉末、収率 76.5%)が得られた。
1H-NMR (CDCl3, TMS) δ0.64 (d 6H, J=6.9), 0.96 (d, 6H, J=6.9), 1.70-1.85 (m, 2H), 3.64 (s, 2H), 4.63 (d, 2H, J=4.9), 7.21-7.51 (m, 20H)
【0082】
[参考例3]
(R)−2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジフェニルエタノールに代えて(R)−2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジメチルエタノール1.72g(10.4mmol)を用いる以外は実施例1と同様に操作して、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン] 1.42g(淡黄色oil、収率 75.4%)が得られた。
1H-NMR (CDCl3, TMS) δ0.88 (s, 6H), 1.60 (s, 6H), 3.53 (s, 2H), 4.90 (s, 2H), 7.20-7.35 (m, 10H)
【0083】
[参考例4]
(R)−2−アミノ−2−フェニル−1,1−ジフェニルエタノールに代えて1−((R)−アミノフェニルメチル)シクロペンタノール1.99g(10.4mmol)を用いる以外は実施例1と同様に操作して、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}] 1.66g(淡黄色oil、収率 77.5%)が得られた。
1H-NMR (CDCl3, TMS) δ1.00-1.83 (m, 16H), 3.55 (s, 2H), 5.01 (s, 2H), 7.20-7.34 (m, 10H)
【0084】
[実施例1]
窒素雰囲気下、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]567mg(1.40mmol)、臭化ジメトキシエタンニッケル400mg(1.30mmol)をジクロロメタン25mlに混合し、室温で18時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた粉末をヘキサン(20ml)で4回洗浄した。減圧下で乾燥することにより、薄いピンク色の粉末として2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド700mg(収率 93%)が得られた。得られた遷移金属化合物のNMRスペクトルを以下に示す。
1H-NMR (CD2Cl2) δ-27.1 (s, 2H, CH2), 9.1 (s, 2H, Ph-Hm or Ho), 9.6 (s, 2H, Ph-Hp), 12.1 (s, 6H, CH3), 13.2 (s, 6H, CH3) 18.1 (s, 2H, Ph-Hm or Ho), 56.4 (s, 2H, CH)
【0085】
[実施例2]
窒素雰囲気下、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]323mg(529mmol)、臭化ジメトキシエタンニッケル163mg(529mmol)をジクロロメタン25mlに混合し、室温で18時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた粉末を(トルエン:ヘキサン=1:2、20ml)で4回洗浄した。減圧下で乾燥することにより、薄いピンク色の粉末として2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド180mg(収率 41%)が得られた。
【0086】
[実施例3]
窒素雰囲気下、攪拌子を備えた50mlナス型フラスコに参考例1で合成した2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]250mg(0.69mmol)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル190mg(0.69mmol)をトルエン23mlに混合し、室温で18時間攪拌した。セライトを敷いたグラスフィルターを用い反応液から析出物を濾別し、溶液を得た。
400mlの掻き混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、精製したm−キシレン200mlを仕込んだ。MMAO 11ml(2.5mmol)と先に調製した溶液1.7ml(50μmol)を加えた。このときの[Al]/[Ni]モル比は500であった。35kgf/cm2のエチレンガスをフィードし、室温で60分重合した。この間、系内の圧力が一定になるようにエチレンガスをフィードし続けた。その後、エタノール15mlを圧入することで重合を停止した。未反応エチレンガスをパージし、オートクレーブ内容物を2N 塩酸50mlが加えられたエタノール400mlに投入し、析出した重合体を濾別して60℃で約4時間乾燥を行った。その結果、2.23gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの数平均分子量(Mn)は9390、分子量分布(Mw/Mn)は52.4であった。
【0087】
[実施例4]
100mlの攪拌子を備えたシュレンク管をアルゴン置換し、実施例1で合成した2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド26mg(45μmol)を精製したトルエン47mlに溶解した。0℃に冷却し、PMAO 5ml(1.5mmol)を滴下し、10分間攪拌した。このときのこのときの[Al]/[Ni]モル比は333であった。
400mlの掻き混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、精製したトルエン150mlを仕込み、オートクレーブ内を30℃に調節した。PMAO 10ml(3mmol)と先に調製した溶液47ml(45μmol)を加えた。このときの系全体での[Al]/[Ni]モル比は1000であった。5分間攪拌後、35kgf/cm2のエチレンガスをフィードし、30℃で60分重合した。この間、系内の圧力が一定になるようにエチレンガスをフィードし続けた。その後、水15mlを圧入することで重合を停止した。エチレンの消費量は22.5g(TON 17800h-1)であった。オートクレーブをドライアイス/エタノールを用い−50℃以下に冷却し、未反応エチレンガスをパージした。オートクレーブ内容物のオリゴマーはドライアイス/エタノールで冷却したシュレンクチューブに抜き取り、GCを用い組成比を決めた。オリゴマーの組成はC4成分が90%、C6成分が3%だった。固体の重合体は2N 塩酸50mlが加えられたエタノール400mlに投入し、析出した重合体を濾別して60℃で約4時間乾燥を行った。その結果、460mgのポリエチレンが得られた。但し、TONは単位時間あたりにおける触媒モルあたりの反応したエチレンのモル数を意味する。
【0088】
[実施例5]
窒素雰囲気下、攪拌子を備えた50mlのナス型フラスコに実施例1で合成した2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド7mg(12μmol)を精製したトルエン12mlに溶解した。
400mlの掻き混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、精製したトルエン200mlを仕込み、オートクレーブ内を30℃に調節した。トリイソブチルアルミニウム0.5ml(0.5mmol)と先に調製した遷移金属化合物溶液1ml(1μmol)を加えた。このときの[Al]/[Ni]モル比は500であった。30℃で5分間攪拌後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート3ml(3μmol)を加え攪拌した。このときの[Ni]/[B]モル比は3であった。35kgf/cm2のエチレンガスをフィードし、30℃で60分重合した。この間、系内の圧力が一定になるようにエチレンガスをフィードし続けた。その後、エタノール15mlを圧入することで重合を停止した。未反応エチレンガスをパージし、オートクレーブ内容物を2N 塩酸50mlが加えられたエタノール400mlに投入し、析出した重合体を濾別して60℃で約4時間乾燥を行った。その結果、8.40gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの極限粘度([η])は1.88dl/gであり、数平均分子量(Mn)は110000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0089】
[実施例6]
実施例5において、トリイソブチルアルミニウムの量を1mmol(このときの[Al]/[Ni]モル比は1000であった。)に変更した以外は、実施例5と同一の装置および同じ手順で行った。その結果、1.5gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの極限粘度([η])は1.56dl/gであり、数平均分子量(Mn)は111000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0090】
[実施例7]
実施例5において、トリイソブチルアルミニウムをトリエチルアルミニウム0.5ml(0.5mmol)に変更した以外は、実施例5と同一の装置および同じ手順で行った。その結果、0.35gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの数平均分子量(Mn)は129000、分子量分布(Mw/Mn)は4.6であった。
【0091】
[実施例8]
実施例5において、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイドを実施例2で合成した2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド(1μmol)に、エチレンガスのフィード量を10kgf/cm2に変更した以外は実施例5と同様に操作して重合した。その結果、7.50gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの極限粘度([η])は1.50dl/gであり、数平均分子量(Mn)は101000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
【0092】
[実施例9]
窒素雰囲気下、攪拌子を備えた50mlのナス型フラスコに実施例1で合成した2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド7mg(12μmol)を精製したトルエン12mlに溶解した。
400mlの掻き混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、精製したトルエン200mlを仕込み、オートクレーブ内を30℃に調節した。トリイソブチルアルミニウム0.5ml(0.5mmol)と先に調製した遷移金属化合物溶液1ml(1μmol)を加えた。このときの[Al]/[Ni]モル比は500であった。30℃で5分間攪拌後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート3ml(3μmol)を加え攪拌した。このときの[Ni]/[B]モル比は3であった。1−ヘキセン30mlを加え、20kgf/cm2のエチレンガスをフィードし、30℃で60分重合した。この間、系内の圧力が一定になるようにエチレンガスをフィードし続けた。その後、エタノール15mlを圧入することで重合を停止した。未反応エチレンガスをパージし、オートクレーブ内容物を2N 塩酸50mlが加えられたエタノール400mlに投入し、析出した重合体を濾別して60℃で約4時間乾燥を行った。その結果、4.00gのポリマーが得られた。得られたポリマーの極限粘度([η])は1.72dl/gであり、数平均分子量(Mn)は102000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7、融点(Tm)は118℃であった。
【0093】
[実施例10]
実施例9において、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイドを実施例2で合成した2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド(1μmol)に、1−ヘキセンの量を15mlに、エチレンガスのフィード量を5kgf/cm2に変更した以外は実施例9と同様に操作して重合した。その結果、6.40gのポリマーが得られた。得られたポリマーの極限粘度([η])は1.08dl/gであり、数平均分子量(Mn)は82000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、融点(Tm)は103℃であった。
【0094】
[実施例11]
実施例10において、1−ヘキセンを1−ブテン20gに変更した以外は、実施例10と同一の装置および同じ手順で行った。その結果、4.0gのポリマーが得られた。得られたポリマーの極限粘度([η])は0.99dl/gであり、数平均分子量(Mn)は89000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7、融点(Tm)は64℃であった。
【0095】
【発明の効果】
本発明により、高い重合活性を発現するオレフィン重合用触媒成分として有用な遷移金属化合物、該遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分、該遷移金属化合物を用いてなる高い重合活性を示すオレフィン重合用触媒、並びに該オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィン系単独重合体や共重合体を効率よく製造する方法が提供される。本発明の遷移金属化合物は容易に合成が可能であり、本発明の工業的価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の理解を助けるためのフローチャート図である。本フローチャート図は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明は、何らこれに限定されるものではない。

Claims (7)

  1. 下記(A)と(B)とを接触させて得られる遷移金属化合物よりなることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分
    (A)下記一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物
    Figure 0004010073
    (式中、Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは1である。)
    (B)ニッケルの化合物
  2. 下記一般式(2)で示される遷移金属化合物よりなることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分
    Figure 0004010073
    (一般式(2)において、Mはニッケル原子を示す。Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは1である。XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、スルホニルオキシ基、または置換シリル基を示す。XとYは結合して環を形成してもよい。)
  3. 下記一般式(3)で示される遷移金属化合物よりなることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分
    Figure 0004010073
    (一般式(3)において、Mはニッケル原子を示し、Jはオレフィン類化合物、ジエン類化合物、ニトリル類化合物、エステル類化合物、エーテル類化合物を示す。Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは1である。)
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の遷移金属化合物と、下記(C)および/または(D)とを用いてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    (C)下記(C1)〜(C3)から選ばれる1種類以上のアルミニウム化合物
    (C1)一般式E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
    (C2)一般式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
    (C3)一般式E3{―Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
    (但し、E1、E2及びE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2及び全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていてもよい。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の数を、cは1以上の整数を表す。)
    (D)下記(D1)〜(D3)のいずれかのホウ素化合物
    (D1)一般式BQ123で表されるホウ素化合物
    (D2)一般式G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (D3)一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
  5. 下記(A)と、(B)と、(C)および/または(D)とを用いてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    (A)下記一般式(1)で示されるビスオキサゾリン化合物
    Figure 0004010073
    (式中、Nは窒素原子を示し、Oは酸素原子を示す。R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を示し、全てのR1、全てのR2、および全てのR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それらは結合して環を形成してもよい。但し、全てのR1は同時に水素原子ではない。nは1である。)
    (B)ニッケルの化合物
    (C)下記(C1)〜(C3)から選ばれる1種類以上のアルミニウム化合物
    (C1)一般式E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
    (C2)一般式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
    (C3)一般式E3{―Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
    (但し、E1、E2及びE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2及び全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていてもよい。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の数を、cは1以上の整数を表す。)
    (D)下記(D1)〜(D3)のいずれかのホウ素化合物
    (D1)一般式BQ123で表されるホウ素化合物
    (D2)一般式G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (D3)一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
  6. 請求項4または5に記載のオレフィン重合用触媒を使用して、オレフィン類を単独重合あるいはオレフィン類と他のオレフィン類および/または他の重合性不飽和化合物とを共重合させることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法。
  7. オレフィン系重合体が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である請求項記載のオレフィン系重合体の製造方法。
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