JP2004231775A - オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オレフィン重合用触媒を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とするオレフィン重合用触媒。
一般式(1)
(式中、Mは元素の周期律表の第10族の遷移金属原子を示し、Dは元素の周期律表の第16族の原子から選択される中性供与基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基等、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基等、R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等);
一般式(2)
(式中、Lは中性の配位子を示し、Yは陰イオンを示し、nは全体を中性にするのに適するYの電荷数に対応する数である。)
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とするオレフィン重合用触媒。
一般式(1)
(式中、Mは元素の周期律表の第10族の遷移金属原子を示し、Dは元素の周期律表の第16族の原子から選択される中性供与基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基等、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基等、R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等);
一般式(2)
(式中、Lは中性の配位子を示し、Yは陰イオンを示し、nは全体を中性にするのに適するYの電荷数に対応する数である。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒およびそれを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、周期律表の第10族の遷移金属原子を用いるオレフィン重合用触媒としては、例えば、α−ジイミンを配位子として用いるものが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、下記一般式(1)または(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とするオレフィン重合用触媒は知られていない。
【0003】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.1995,117,6414
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なオレフィン重合用触媒、およびこれを用いるオレフィン重合体の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)または(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とすることを特徴とするオレフィン重合用触媒を提供するものである。
一般式(1)
(式中、Mは元素の周期律表の第10族の遷移金属原子を示し、Dは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R6は炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
また、R1とR2 、およびR3 、R4 、R5において、隣接する基が任意に結合して環を形成していてもよい。);
一般式(2)
(式中、M、D、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ意味を表し、Lは中性の配位子を示し、Yは陰イオンを示し、nは全体を中性にするのに適するYの電荷数に対応する数である。)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)または(2)で示される遷移金属錯体において、Mで示される遷移金属原子とは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改定版1989)の第10族の遷移金属原子であり、例えばNi原子、Pd原子、Pt原子などが挙げられ、好ましくはPd原子が挙げられる。
【0007】
Dとして示される元素の周期律表の第16族の原子としては、例えば酸素原子、イオウ原子、セレン原子などが挙げられ、好ましくはイオウ原子が挙げられる。
【0008】
置換基X、R3、R4およびR5におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは、塩素原子が挙げられる。
【0009】
置換基X、R1 、R2 、R3 、R4 、R5およびR6 における炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が挙げられる。
【0010】
これらのアルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
【0011】
置換基X、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げら、好ましくはベンジル基が挙げられる。
これらのアラルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0012】
置換基X 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 における炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、好ましはフェニル基が挙げられる。
これらのアリール基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0013】
置換基R1 、R2 、R3 、R4およびR5の炭化水素基で置換されたシリル基において、炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。
かかる炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜20の3置換シリル基などが挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0014】
置換基X、R3 、R4およびR5 における炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
これらのアルコキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0015】
置換基X 、R3 、R4 およびR5 における炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
これらのアラルキルオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】
置換基X 、R3 、R4およびR5 におけるアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素数6〜20のアリールオキシ基などが挙げられる。
これらのアリールオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0017】
置換基X 、R3 、R4およびR5の炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基において、炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基などが挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基、 ジエチルアミノ基が挙げられる。
【0018】
また、一般式(1)で示される遷移金属錯体において、置換基R1とR2 、およびR3 、R4 、R5において、隣接する基が任意に結合して環を形成していてもよい。
【0019】
一般式(2)で示される遷移金属錯体において、Lは中性の配位子を示し、例えば、H2O(水)、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類が挙げられ、このましくはH2Oが挙げられる。
【0020】
一般式(2)で示される遷移金属錯体において、Yは陰イオンであり、例えばフッ素イオン、酢酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンまたは硫酸イオンが挙げられ、好ましくは硫酸イオンが挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で示される遷移金属錯体としては、以下の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
さらにこれらの、イオウ原子を酸素原子、セレン原子に、Pd原子をNi原子、Pt原子に変更した化合物などが挙げられる。
【0022】
上記一般式(2)で示される遷移金属錯体としては、以下の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
さらにこれらの、イオウ原子を酸素原子、セレン原子に、Pd原子をNi原子、Pt原子に、水分子(OH2)をメタノール、ジエチルエーテル、トリエチルアミンに、硫酸イオンをフッ素イオン、酢酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンに変更した化合物などが挙げられる。
【0023】
本発明のオレフィン重合用触媒には、通常、化合物(B)が用いられ、かかる化合物としては、下記(B1)〜(B3)の公知の有機アルミニウム化合物であり、それらのいずれかまたはそれらの混合物が挙げられる。
(B1):一般式 (E1)a AlZ(3−a) で示される有機アルミニウム化合物、
(B2):一般式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン、および
(B3):一般式 E3 {−Al(E3 )−O−}c Al(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1 、E2 、およびE3 は同一または相異なり、炭素数1〜8の炭化水素基であり、Zは同一または相異なり、水素原子またはハロゲン原子を表し、aは1〜3の整数で、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)。
【0024】
一般式 (E1)a Al Z(3−a)で示される有機アルミニウム化合物(B1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが挙げられる。
【0025】
一般式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン(B2)、一般式 E3 {−Al(E3 )−O−}c Al(E3) 2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン(B3)における、E2 、E3 の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2 およびE3 はメチル基、イソブチル基が挙げられ、bは2〜40の整数、cは1〜40の整数である。
【0026】
上記のアルミノキサンは各種の方法で造られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて造ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて造る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて造る方法が例示できる。
【0027】
〔化合物C〕
本発明のオレフィン重合用触媒には、さらに化合物(C)を用いることができ、かかる化合物としては、(C1)一般式BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物、(C2)一般式Z+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物、(C3)一般式(L−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物のいずれか、または2種以上を用いることができる。
【0028】
一般式 BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物(C1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q3 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいQ1 〜Q3 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0029】
(C1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、より好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
【0030】
一般式Z+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物(C2)において、Z+ は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(C1)におけるQ1 〜Q3 と同様のものが挙げられる。
【0031】
一般式 Z+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表される化合物の具体例としては、無機のカチオンであるZ+ には、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるZ+ には、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BQ1 Q2 Q3 Q4 )− には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0032】
これらの具体的な組合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、より好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0033】
また、一般式(L−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物(C3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+ はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(C1)におけるQ1 〜Q3 と同様のものが挙げられる。
【0034】
一般式(L−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表される化合物の具体例としては、ブレンステッド酸である(L−H)+ には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1 Q2 Q3 Q4 )− には、前述と同様のものが挙げられる。
【0035】
これらの具体的な組合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、より好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0036】
本発明には、さらにハロゲン含有有機化合物を用いることができ、ハロゲン含有有機化合物に含まれるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられ、その具体例としては、例えば、CH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4、ClCH2CH3、ClCH(CH3)2、ClC(CH3)3、ClCH2CH2Clなどのハロゲン含有アルキル化合物、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有アリール化合物、ベンジルクロライド、1−クロロ−エチルベンゼンなどのハロゲン含有アラルキル化合物、α−クロロ−酢酸メチル、α−クロロプロピオン酸エチルなどのハロゲン含有エステル化合物、クロロアセトン、1,1−ジクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトンなどのハロゲン含有ケトン化合物、クロロアセトニトリル、2−クロロプロピオニトリルなどのハロゲン含有ニトリル化合物、メタンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライドなどのスルホニルハライド化合物、およびこれらの化合物の塩素原子をフッ素、臭素、ヨウ素で置換した化合物などが挙げられる。好ましくは、ハロゲン含有アルキル化合物、より好ましくは複数のハロゲンを含む化合物、さらに好ましくは、CH2Cl2が挙げられる。
【0037】
本発明においては、一般式(1)または(2)の化合物および化合物(B)、必要に応じ、化合物(C)、また同時にハロゲン含有有機化合物を、重合時に任意の順序で投入し使用することができるが、またそれらの任意の化合物の組合せを予め接触させて得られた反応物を用いてもよい。
【0038】
各触媒成分の使用量は、化合物(B)/一般式(1)または(2)の遷移金属化合物のモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、化合物(C)/一般式(1)または(2)の遷移金属化合物のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10、ハロゲン含有有機化合物/一般式(1)または(2)の遷移金属化合物のモル比が0.001〜1000で、好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは、0.05〜2程度の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
【0039】
次に、上記で得られた重合触媒を用いてモノマーを重合する方法について説明する。
重合に使用するモノマーは、炭素数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィンおよびカルボン酸、エステル、アミノ基、シアノ基、アミド基等の極性の置換基をもつオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。かかるモノマーを以下に例示するが、下記化合物に限定されるものではない。かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン、スチレン等が挙げられ、ジオレフィン化合物としては、炭化水素化合物の共役ジエン、非共役ジエンが挙げられ、かかる化合物の具体例としては、非共役ジエン化合物の具体例として、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン等が例示され、共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等を例示することができ、極性の置換基をもつオレフィンの具体例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルアミド等が例示される。好ましくは、エチレンが挙げられる。
共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、プロピレンとブテン−1、エチレンとアクリル酸メチル等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるものではない。
【0040】
重合方法も、特に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、また、スラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等も可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
【0041】
重合温度は、通常、−50℃〜300℃程度の範囲を採り得るが、特に、−20℃〜200℃程度の範囲が好ましく、重合圧力は、常圧〜60kg/cm2 G(6MPa)程度が好ましい。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間程度の範囲を採ることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の触媒は、優れた重合活性を示し、特にオレフィンの重合に有用である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで用いる錯体1は、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1980,2312に従い、錯体2は、Organometallics 2002,21(8),1674に従い合成した。
【0044】
実施例1
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、錯体1(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.055gが得られた。
【0045】
実施例2
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.129gが得られた。
【0046】
実施例3
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.108gが得られた(Mw=180000、Mw/Mn=1.5、Me分岐=3)。
【0047】
実施例4
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、CH2Cl2(0.01マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.043gが得られた(Mw=260000、Mw/Mn=1.9)。
【0048】
実施例5
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、CH2Cl2(0.02マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.057gが得られた(Mw=220000、Mw/Mn=1.6)。
【0049】
実施例6
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、CH2Cl2(0.1マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.075が得られた(Mw=200000、Mw/Mn=1.5)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒およびそれを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、周期律表の第10族の遷移金属原子を用いるオレフィン重合用触媒としては、例えば、α−ジイミンを配位子として用いるものが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、下記一般式(1)または(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とするオレフィン重合用触媒は知られていない。
【0003】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.1995,117,6414
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なオレフィン重合用触媒、およびこれを用いるオレフィン重合体の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)または(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とすることを特徴とするオレフィン重合用触媒を提供するものである。
一般式(1)
(式中、Mは元素の周期律表の第10族の遷移金属原子を示し、Dは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R6は炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
また、R1とR2 、およびR3 、R4 、R5において、隣接する基が任意に結合して環を形成していてもよい。);
一般式(2)
(式中、M、D、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ意味を表し、Lは中性の配位子を示し、Yは陰イオンを示し、nは全体を中性にするのに適するYの電荷数に対応する数である。)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)または(2)で示される遷移金属錯体において、Mで示される遷移金属原子とは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改定版1989)の第10族の遷移金属原子であり、例えばNi原子、Pd原子、Pt原子などが挙げられ、好ましくはPd原子が挙げられる。
【0007】
Dとして示される元素の周期律表の第16族の原子としては、例えば酸素原子、イオウ原子、セレン原子などが挙げられ、好ましくはイオウ原子が挙げられる。
【0008】
置換基X、R3、R4およびR5におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは、塩素原子が挙げられる。
【0009】
置換基X、R1 、R2 、R3 、R4 、R5およびR6 における炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が挙げられる。
【0010】
これらのアルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
【0011】
置換基X、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げら、好ましくはベンジル基が挙げられる。
これらのアラルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0012】
置換基X 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 における炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、好ましはフェニル基が挙げられる。
これらのアリール基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0013】
置換基R1 、R2 、R3 、R4およびR5の炭化水素基で置換されたシリル基において、炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。
かかる炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜20の3置換シリル基などが挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0014】
置換基X、R3 、R4およびR5 における炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
これらのアルコキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0015】
置換基X 、R3 、R4 およびR5 における炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
これらのアラルキルオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】
置換基X 、R3 、R4およびR5 におけるアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素数6〜20のアリールオキシ基などが挙げられる。
これらのアリールオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0017】
置換基X 、R3 、R4およびR5の炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基において、炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基などが挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基、 ジエチルアミノ基が挙げられる。
【0018】
また、一般式(1)で示される遷移金属錯体において、置換基R1とR2 、およびR3 、R4 、R5において、隣接する基が任意に結合して環を形成していてもよい。
【0019】
一般式(2)で示される遷移金属錯体において、Lは中性の配位子を示し、例えば、H2O(水)、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類が挙げられ、このましくはH2Oが挙げられる。
【0020】
一般式(2)で示される遷移金属錯体において、Yは陰イオンであり、例えばフッ素イオン、酢酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンまたは硫酸イオンが挙げられ、好ましくは硫酸イオンが挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で示される遷移金属錯体としては、以下の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
さらにこれらの、イオウ原子を酸素原子、セレン原子に、Pd原子をNi原子、Pt原子に変更した化合物などが挙げられる。
【0022】
上記一般式(2)で示される遷移金属錯体としては、以下の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
さらにこれらの、イオウ原子を酸素原子、セレン原子に、Pd原子をNi原子、Pt原子に、水分子(OH2)をメタノール、ジエチルエーテル、トリエチルアミンに、硫酸イオンをフッ素イオン、酢酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンに変更した化合物などが挙げられる。
【0023】
本発明のオレフィン重合用触媒には、通常、化合物(B)が用いられ、かかる化合物としては、下記(B1)〜(B3)の公知の有機アルミニウム化合物であり、それらのいずれかまたはそれらの混合物が挙げられる。
(B1):一般式 (E1)a AlZ(3−a) で示される有機アルミニウム化合物、
(B2):一般式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン、および
(B3):一般式 E3 {−Al(E3 )−O−}c Al(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1 、E2 、およびE3 は同一または相異なり、炭素数1〜8の炭化水素基であり、Zは同一または相異なり、水素原子またはハロゲン原子を表し、aは1〜3の整数で、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)。
【0024】
一般式 (E1)a Al Z(3−a)で示される有機アルミニウム化合物(B1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが挙げられる。
【0025】
一般式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン(B2)、一般式 E3 {−Al(E3 )−O−}c Al(E3) 2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン(B3)における、E2 、E3 の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2 およびE3 はメチル基、イソブチル基が挙げられ、bは2〜40の整数、cは1〜40の整数である。
【0026】
上記のアルミノキサンは各種の方法で造られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて造ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて造る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて造る方法が例示できる。
【0027】
〔化合物C〕
本発明のオレフィン重合用触媒には、さらに化合物(C)を用いることができ、かかる化合物としては、(C1)一般式BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物、(C2)一般式Z+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物、(C3)一般式(L−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物のいずれか、または2種以上を用いることができる。
【0028】
一般式 BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物(C1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q3 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいQ1 〜Q3 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0029】
(C1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、より好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
【0030】
一般式Z+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物(C2)において、Z+ は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(C1)におけるQ1 〜Q3 と同様のものが挙げられる。
【0031】
一般式 Z+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表される化合物の具体例としては、無機のカチオンであるZ+ には、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるZ+ には、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BQ1 Q2 Q3 Q4 )− には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0032】
これらの具体的な組合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、より好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0033】
また、一般式(L−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表されるホウ素化合物(C3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+ はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(C1)におけるQ1 〜Q3 と同様のものが挙げられる。
【0034】
一般式(L−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )− で表される化合物の具体例としては、ブレンステッド酸である(L−H)+ には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1 Q2 Q3 Q4 )− には、前述と同様のものが挙げられる。
【0035】
これらの具体的な組合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、より好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0036】
本発明には、さらにハロゲン含有有機化合物を用いることができ、ハロゲン含有有機化合物に含まれるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられ、その具体例としては、例えば、CH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4、ClCH2CH3、ClCH(CH3)2、ClC(CH3)3、ClCH2CH2Clなどのハロゲン含有アルキル化合物、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有アリール化合物、ベンジルクロライド、1−クロロ−エチルベンゼンなどのハロゲン含有アラルキル化合物、α−クロロ−酢酸メチル、α−クロロプロピオン酸エチルなどのハロゲン含有エステル化合物、クロロアセトン、1,1−ジクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトンなどのハロゲン含有ケトン化合物、クロロアセトニトリル、2−クロロプロピオニトリルなどのハロゲン含有ニトリル化合物、メタンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライドなどのスルホニルハライド化合物、およびこれらの化合物の塩素原子をフッ素、臭素、ヨウ素で置換した化合物などが挙げられる。好ましくは、ハロゲン含有アルキル化合物、より好ましくは複数のハロゲンを含む化合物、さらに好ましくは、CH2Cl2が挙げられる。
【0037】
本発明においては、一般式(1)または(2)の化合物および化合物(B)、必要に応じ、化合物(C)、また同時にハロゲン含有有機化合物を、重合時に任意の順序で投入し使用することができるが、またそれらの任意の化合物の組合せを予め接触させて得られた反応物を用いてもよい。
【0038】
各触媒成分の使用量は、化合物(B)/一般式(1)または(2)の遷移金属化合物のモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、化合物(C)/一般式(1)または(2)の遷移金属化合物のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10、ハロゲン含有有機化合物/一般式(1)または(2)の遷移金属化合物のモル比が0.001〜1000で、好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは、0.05〜2程度の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
【0039】
次に、上記で得られた重合触媒を用いてモノマーを重合する方法について説明する。
重合に使用するモノマーは、炭素数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィンおよびカルボン酸、エステル、アミノ基、シアノ基、アミド基等の極性の置換基をもつオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。かかるモノマーを以下に例示するが、下記化合物に限定されるものではない。かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン、スチレン等が挙げられ、ジオレフィン化合物としては、炭化水素化合物の共役ジエン、非共役ジエンが挙げられ、かかる化合物の具体例としては、非共役ジエン化合物の具体例として、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン等が例示され、共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等を例示することができ、極性の置換基をもつオレフィンの具体例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルアミド等が例示される。好ましくは、エチレンが挙げられる。
共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、プロピレンとブテン−1、エチレンとアクリル酸メチル等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるものではない。
【0040】
重合方法も、特に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、また、スラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等も可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
【0041】
重合温度は、通常、−50℃〜300℃程度の範囲を採り得るが、特に、−20℃〜200℃程度の範囲が好ましく、重合圧力は、常圧〜60kg/cm2 G(6MPa)程度が好ましい。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間程度の範囲を採ることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の触媒は、優れた重合活性を示し、特にオレフィンの重合に有用である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで用いる錯体1は、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1980,2312に従い、錯体2は、Organometallics 2002,21(8),1674に従い合成した。
【0044】
実施例1
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、錯体1(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.055gが得られた。
【0045】
実施例2
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.129gが得られた。
【0046】
実施例3
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.108gが得られた(Mw=180000、Mw/Mn=1.5、Me分岐=3)。
【0047】
実施例4
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、CH2Cl2(0.01マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.043gが得られた(Mw=260000、Mw/Mn=1.9)。
【0048】
実施例5
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、CH2Cl2(0.02マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.057gが得られた(Mw=220000、Mw/Mn=1.6)。
【0049】
実施例6
オートクレーブに窒素下で、トルエン3mlおよび1−ヘキセン0.05mlを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40マイクロモル)、CH2Cl2(0.1マイクロモル)、錯体2(0.1マイクロモル)および、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.3マイクロモル)を加え、20分間攪拌した。その後、得られた反応溶液を、減圧下で乾燥し、ポリマー0.075が得られた(Mw=200000、Mw/Mn=1.5)。
Claims (9)
- 下記一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体を触媒成分とすることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
一般式(1)
(式中、Mは元素の周期律表の第10族の遷移金属原子を示し、Dは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい;R6は炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基を示し、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
また、R1とR2 、およびR3 、R4 、R5において、隣接する基が任意に結合して環を形成していてもよい。);
一般式(2)
(式中、M、D、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ意味を表し、Lは中性の配位子を示し、Yは陰イオンを示し、nは全体を中性にするのに適するYの電荷数に対応する数である。) - 一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体、と下記化合物(B)とを組合わせてなるオレフィン重合用触媒。
化合物(B)は、下記化合物(B1)〜(B3)のいずれか、あるいはそれらの2種以上の混合物。
(B1):一般式 (E1)aAlZ(3−a)で示される有機アルミニウム化合物;
(B2):一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される環状のアルミノキサン;
(B3):一般式 {−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される線状のアルミノキサン
(式中、E1〜E3は同一または相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、Zは同一または相異なり、水素原子またはハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは2以上の整数、cは1以上の整数を示す。) - 一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体と、前記化合物(B)および下記化合物(C)とを組合わせてなるオレフィン重合用触媒。
化合物(C)は下記化合物(C1)〜(C3)のいずれか、あるいはそれらの2種以上の混合物。
(C1):一般式 B(Q1)(Q2)(Q3)で示されるホウ素化合物;
(C2):一般式 Z+{B(Q1)(Q2)(Q3)(Q4)−}で示されるホウ素化合物;
(C3):一般式 (L−H)+{B(Q1)(Q2)(Q3)(Q4)−}で示されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は同一または相異なり、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基または炭素原子数2〜20の炭化水素で置換されたアミノ基を示す。) - 一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体、前記化合物(B)と、ハロゲン含有有機化合物とを組合わせてなるオレフィン重合用触媒。
- 一般式(1)または一般式(2)で示される遷移金属錯体、前記化合物(B)および化合物(C)と、ハロゲン含有有機化合物とを組合わせてなるオレフィン重合用触媒。
- 一般式(1)で示される遷移金属錯体におけるMがPd原子であり、Dがイオウ原子であり、Xがハロゲン原子である請求項1、2、3、4または5に記載のオレフィン重合用触媒。
- 一般式(2)で示される遷移金属錯体におけるMがPd原子であり、Dがイオウ原子であり、Lが水分子である請求項1、2、3、4または5に記載のオレフィン重合用触媒。
- 一般式(1)で示される遷移金属錯体におけるMがPd原子であり、Dがイオウ原子であり、Xがハロゲン原子であり、ハロゲン含有有機化合物がジクロロメタンである請求項1、2、3、4、5または6に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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US7648937B2 (en) | 2004-09-16 | 2010-01-19 | Lg Chem, Ltd. | Catalyst system for polymerizing cyclic olefin having polar functional group, polymerizing method using the catalyst system, olefin polymer produced by the method and optical anisotropic film comprising the olefin polymer |
CN113754819A (zh) * | 2020-06-05 | 2021-12-07 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种用于制备具有羧基的烯烃共聚物的方法 |
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