JP3775042B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びオレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びオレフィン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、容易に合成することができ、かつ、オレフィンの重合において高い重合活性を示す非メタロセン系遷移金属化合物、それよりなるオレフィン重合用触媒成分、それを用いてなるオレフィン重合用触媒、および該オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィン系単独重合体や共重合体を効率良く製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2個のシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を配位子とする周期律表第4族の遷移金属化合物、いわゆるメタロセンと、メチルアルミノキサンとを用いてなる触媒が、オレフィン重合において高活性を示し、かつ、分子量分布および組成分布の狭いオレフィン重合体を生成するなど、工業的にも極めて有用な特徴を示すことから、近年多くの報告がなされている(例えば、特表平1−502036号公報,特表平6−157651号公報等)。メタロセンは、メタロセンが有する種々の配位子を設計することで、オレフィン重合における活性の向上、分子量の向上などが可能になることに加えて、2個の配位子を架橋することによっても、活性の向上やα−オレフィンの重合における立体規則性重合が可能になることなど、配位子の設計が触媒性能の向上に寄与することが知られている(例えば、特開昭−61130314号公報,特開昭61−264010号公報,特開平1−301704号公報,特開平2−414303号公報)。
【0003】
また、1個の置換シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を持ち、それと窒素原子とがケイ素基で架橋された配位子を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、いわゆる幾何拘束錯体と、メチルアルミノキサンまたは特定のホウ素化合物とを用いてなる重合用触媒においても、オレフィンの重合において高活性で、しかも高分子量重合体を与えることが知られている(特開平3−163088号公報,特開平3−188092号公報)。
しかしながら、これらの遷移金属化合物、特に架橋構造を有するものについては、その配位子の合成が困難かつ複数の工程を必要とするものであり、また錯体化の工程においても容易であるとは言い難いものであった。
【0004】
一方、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を持たない周期律表第4族の遷移金属化合物(いわゆる非メタロセン)と、アルキルアルミニウム、メチルアルミノキサンまたは特定のホウ素化合物とからなる重合用触媒を用いることによっても、オレフィン重合において活性を発現することも報告されている。
【0005】
例えば、特開平2−77412号公報、特表平6−510801号公報、特開平8−176224号公報、特開平8−176217号公報、Journal of Chemical Society, Chemical Communication 1996年1375ページには、チタン−アミド結合を有する遷移金属化合物を含有するオレフィン重合用触媒が記載されている。
また、米国特許第5318935号明細書や特開平8−245713号公報、Macromolecules第29巻5241ページ(1996年)、Organometallics第15巻5085ページ(1996年)、Journal of Chemical Society,Chemical Communication 1996年2623ページ、Journal of Organometallic Chemistry 第506巻343ページ(1996年)、Organometallics 第15巻2672ページには、架橋型のチタン−アミド化合物を含有するオレフィン重合用触媒が記載されている。しかしながら、これらの触媒系によるオレフィン重合においても、重合活性という点では、必ずしも満足のいくものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況下、本発明が解決しようとする課題は、容易に製造、単離が可能で、かつオレフィンの重合において高い重合活性を示し得る非メタロセンの遷移金属化合物、それよりなるオレフィン重合用触媒成分、それを用いてなる高活性のオレフィン重合用触媒、および該触媒の存在下、オレフィン系単独重合体や共重合体を効率良く製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物、それよりなるオレフィン重合用触媒成分、該遷移金属化合物(A)と下記化合物(B)および/または下記化合物(C)とを用いてなるオレフィン重合用触媒、ならびに該オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィン類を単独重合させる、またはオレフィン類と他のオレフィン類とを共重合させるオレフィン系重合体の製造方法にかかるものである。
Figure 0003775042
(式中、Mは周期表第4族の遷移金属原子を表し、XおよびYは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のスルホニルオキシ基または置換されていてもよい炭素原子数2〜24の2置換アミノ基を表す。XとYは任意に結合して環を形成していてもよい。R1およびR2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す。Nは窒素原子を表し、Naphは1位および8位でNと結合するナフタレン骨格を有する基を表す。)
(B)有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物
(C)下記化合物(C1)〜(C3)のいずれかのホウ素化合物
(C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物
(C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むシリル基、1〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
(1)遷移金属化合物(A)
本発明でオレフィン重合用触媒成分として用いられる遷移金属化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0003775042
(式中、Mは周期表第4族の遷移金属原子を表し、XおよびYは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のスルホニルオキシ基または置換されていてもよい炭素原子数2〜24の2置換アミノ基を表す。XとYは任意に結合して環を形成していてもよい。R1およびR2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す。Nは窒素原子を表し、Naphは1位および8位でNと結合するナフタレン骨格を有する基を表す。)
【0009】
前記一般式(1)において、Mは元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第4族の遷移金属原子を表し、好ましくはチタニウム原子,ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、さらに好ましくはチタニウム原子である。
【0010】
前記一般式(1)において、XおよびYは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のスルホニルオキシ基または置換されていてもよい炭素原子数2〜24の2置換アミノ基を表す。
【0011】
かかるハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくは、塩素原子または臭素原子である。
【0012】
炭素原子数1〜24のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、neo−ペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基またはアミル基である。
【0013】
これらのアルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基などで置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
【0014】
炭素原子数6〜24のアリール基としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、neo−ペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基などで置換されていてもよい。
【0015】
炭素原子数7〜24のアラルキル基としては、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(iso−プロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(neo−ペンチルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基などで置換されていてもよい。
【0016】
炭素原子数1〜24のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基またはt−ブトキシ基である。
これらのアルコキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等で置換されていてもよい。
【0017】
炭素原子数6〜24のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが挙げられる。
これらのアリールオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等で置換されていてもよい。
【0018】
炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基である。
これらのアラルキルオキシル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等で置換されていてもよい。
【0019】
本発明におけるスルホニルオキシ基とは一般式R5SO3−で示される化合物を示し、具体的にはメタンスルホニルオキシ基やエタンスルホニルオキシ基、ドデシルスルホニルオキシ基などR5がアルキル基であるものや、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などのように一部がハロゲンなどで置換されているもの、p−トルエンスルホニルオキシ基などのようにR5がアリール基であるものなどである。
【0020】
本発明における2置換アミノ基とは2つの炭化水素基等で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜12のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数2〜24の2置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基などが挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。
【0021】
これらのXとYは任意に結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(1)におけるXおよびYとして好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基またはアラルキル基であり、さらに好ましくは塩素原子、メチル基またはベンジル基である。
【0022】
前記一般式(1)において、R1およびR2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す
【0023】
炭素原子数1〜24のシリル基とは炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜12のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜24のシリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜24の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜24の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜24の3置換シリル基などが挙げられ、好ましくは3置換シリル基であり、さらに好ましくは、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基またはトリフェニルシリル基である。
これらのシリル基はいずれもその炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等で置換されていてもよい。
【0024】
本発明におけるR1およびR2としては、特にシリル基が好ましい。
【0025】
前記一般式(1)において、Nは窒素原子を表し、Naphは1位および8位でNと結合するナフタレン骨格を有する基を表す。Naphは1位および8位でNと結合するナフタレン骨格を有する基であれば特に制限はなく、これまでに述べたアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、スルホニルオキシ基、2置換アミノ基、シリル基などで置換されていてもよいし、ナフタレン骨格よりも大きな多環式骨格を有する基であってもよい。
【0026】
Naphとして好ましくは、下記一般式(2)で表される基である。
Figure 0003775042
(式中、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々独立して、水素原子、置換されているもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基または置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基を表す。)
【0027】
前記一般式(2)のR3、R4、R5、R6、R7およびR8における炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリール基、炭素原子数7〜24のアラルキル基は、前記のXおよびYにおけるものと同様である。
3、R4、R5、R6、R7およびR8として好ましくは、水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基またはtert−ブチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0028】
前記一般式(1)で表される遷移金属化合物は容易に製造、単離が可能である。例えば下記(I)または(II)の製造法が挙げられる。
(I)下記一般式(3)で表されるジアミン化合物と、下記一般式(4)で表される遷移金属化合物とを反応させることにより製造する方法。
(II)下記一般式(3)で表されるジアミン化合物(但し、R9およびR10は水素原子である。)と、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属の水素化物または有機マグネシウム化合物(以降では「金属化合物」と略称することがある。)とを反応させて塩化合物とした後に、下記一般式(4)で表される遷移金属化合物と反応させることにより製造する方法。
【0029】
(II)の方法においては、塩化合物を単離してもしなくてもよい。また、(II)の方法においては、ジアミン化合物、金属化合物及び一般式(4)で表される遷移金属化合物とを、一緒に混合して反応させることも可能である。
【0030】
Figure 0003775042
(式中、R1およびR2は各々独立して水素原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基または置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す。Nは窒素原子を表す。Naphは1位および8位でNと結合するナフタレン骨格を有する基を表す。R9およびR10は、水素原子または置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す。)
【0031】
MZ1234 (4)
(式中、Mは周期律表第4族の遷移金属原子を表し、Z1、Z2、Z3およびZ4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のスルホニルオキシ基または置換されていてもよい炭素原子数2〜24の2置換アミノ基を表す。)
【0032】
上記一般式(3)におけるR1、R2およびNaphは、既に述べたものと同じである。R9およびR10は、水素原子または置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す。R9およびR10における置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基としては前述のものと同様であるが、特に好ましくはトリメチルシリル基である。
【0033】
また、上記一般式(4)におけるM、Z1、Z2、Z3およびZ4は、M、XおよびYについて既に述べたものと同様であり、具体的に例示すると、例えば四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどのハロゲン化チタン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)チタン、トリクロロ(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタンなどのチタンアミド、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジクロロジイソプロポキシチタン、トリクロロイソプロポキシチタンなどのアルコキシチタンおよび上記各化合物のチタンをジルコニウムまたはハフニウムに変更した化合物などが挙げられる。
【0034】
製造法(I)および(II)において、一般式(4)で表される遷移金属化合物の使用量は、一般式(3)で示されるジアミン化合物に対して通常0.5〜3モル倍、好ましくは0.7〜1.5モル倍の範囲で使用される。
【0035】
製造法(II)で使用する有機アルカリ金属化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム、アリルリチウムなどの有機リチウム化合物などが挙げられ、これらの化合物のリチウムを、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムに変更した化合物についても同様に例示できる。好ましくは、炭素原子数原子1〜10のアルキル基を有するアルカリ金属化合物が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基を有するリチウム、ナトリウムまたはカリウムの化合物である。さらに好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基を有するアルキルリチウムである。
【0036】
またアルカリ金属の水素化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水素化物があるが、好ましくは、ナトリウムヒドリド、カリウムヒドリドである。
【0037】
有機マグネシウム化合物としては、例えばジアルキルマグネシウム化合物もしくはアルキルマグネシウムハライドであり、具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、n−ブチルエチルマグネシウム、メチルマグネシウムヨージド、メチルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。好ましくはアルキルマグネシウムハライドである。
【0038】
金属化合物として好ましくは、有機アルカリ金属化合物またはアルカリ金属の水素化物であり、特に好ましくはアルキルリチウムである。
【0039】
また製造法(II)における金属化合物の使用量は、一般式(3)で示されるジアミン化合物に対して通常1〜5モル倍の範囲である。
【0040】
これらの反応は一般的に溶媒の存在下にて実施されるが、使用される溶媒としては例えばベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタンやヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒といった非プロトン性溶媒などが挙げられる。
かかる溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量は一般式(3)で示されるジアミン化合物に対して通常1〜200重量倍、好ましくは3〜50重量倍の範囲である。
【0041】
製造法(I)の反応温度は、通常−100℃から200℃の範囲にて実施され、好ましくは−80℃から150℃である。より好ましくは、R9およびR10が水素原子の場合−50℃から120℃の温度範囲であり、R9およびR10がシリル基の場合0℃から140℃の温度範囲である。
製造法(II)の反応温度は、通常−100℃以上溶媒の沸点以下であるが、有機アルカリ金属化合物を用いる場合は−78℃〜40℃の範囲、金属マグネシウムを用いる場合は10〜100℃の範囲であることがそれぞれ好ましい。
【0042】
上記の反応により一般式(1)で表される遷移金属化合物を含有する反応液より該遷移金属化合物を単離する方法としては、例えば、反応により副生した固体成分があれば所定の溶媒の存在下にろ過などにより分離し、さらに溶媒を加熱・濃縮した後に、あるいは他の単独溶媒または混合溶媒中にて、冷暗所などに静置することにより該遷移金属化合物の結晶を単離することが可能である。また、工業的には適度な濃度の溶媒の存在下に攪拌しながら例えば徐々に冷却し、目的とする遷移金属化合物を高純度にて効率よく析出させ、取り出すことが可能である。
【0043】
(2)化合物(B)
本発明で用いられる化合物(B)は、有機アルミニウム化合物(B1)および/または有機アルミニウムオキシ化合物(B2)である。
ここで、有機アルミニウム化合物(B1)は、少なくとも分子内に1個のAl−C結合を有するものである。
かかる有機アルミニウム化合物(B1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリt−ブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジノルマルプロピルアルミニウムクロライド、ジノルマルブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジt−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジペンチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、t−ブチルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、ペンチルアルミニウムジクロライド等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物のうち、トリアルキルアルミニウムが好ましく、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好適に使用される。
【0044】
有機アルミニウムオキシ化合物(B2)は、公知の化合物(アルミノキサン)を使用することができ、例えば一種類のトリアルキルアルミニウムと水との反応によって得られるもの(B2a)、および二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との縮合によって得られるもの(B2b)等が用いられる。二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との縮合によって得られるもの(B2b)が好ましく用いられる。具体的に化合物を挙げると、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が例示される。特に、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサンが好適に使用される。最も好ましくは、メチルイソブチルアルミノキサンである。
【0045】
(3)化合物(C)
本発明において、化合物(C)としては、(C1)一般式 BQ1 2 3 で表されるホウ素化合物、(C2)一般式 G+ (BQ1 2 3 4 - で表されるホウ素化合物、(C3)一般式 (L−H)+ (BQ1 2 3 4 - で表されるホウ素化合物のいずれかを用いる。
【0046】
一般式 BQ1 2 3 で表されるホウ素化合物(C1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q3 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいQ1 〜Q3 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基である。
【0047】
一般式 BQ1 2 3 で表されるホウ素化合物(C1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、最も好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0048】
一般式 G+ (BQ1 2 3 4 - で表されるホウ素化合物(C2)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(C1)におけるQ1 〜Q3 と同様である。また、G+ は無機または有機のカチオンである。
【0049】
一般式 G+ (BQ1 2 3 4 - で表されるホウ素化合物(C2)の具体例としては、無機のカチオンであるG+ には、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるG+ には、トリフェニルカルベニウムカチオンなどが挙げられる。G+として好ましくはカルベニウムカチオンであり、特に好ましくはトリフェニルカルベニウムカチオンである。(BQ1 2 3 4 - には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0050】
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0051】
一般式 (L−H)+ (BQ1 2 3 4 - で表されるホウ素化合物(C3)において、Bは3価の原子価状態のホウ素であり、Q1 〜Q4 は上記のルイス酸(C1)におけるQ1 〜Q3 と同様である。また、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+ はブレンステッド酸である。
【0052】
一般式 (L−H)+ (BQ1 2 3 4 - で表されるホウ素化合物(C3)の具体例としては、ブレンステッド酸である(L−H)+ には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1 2 3 4 - には、前述と同様のものが挙げられる。
【0053】
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジ−iso−プロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0054】
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記の一般式[I]で表される遷移金属化合物(A)と、上記化合物(B)および/または(C)とを用いてなるものである。好ましくは、遷移金属化合物(A)、上記化合物(B1)および上記化合物(C)を用いてなるオレフィン重合用触媒、あるいは、遷移金属化合物(A)および上記化合物(B2b)を用いてなるオレフィン重合用触媒である。さらに好ましくは、遷移金属化合物(A)および上記化合物(B2b)を用いてなるオレフィン重合用触媒である。
【0055】
化合物(B)の使用量は通常、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子1モル当たりのアルミニウム原子のモル量として1〜10000モルのごとく広範囲に選ぶことができる。好ましくは、遷位金属原子1モル当たり1〜3000モルの範囲である。
【0056】
化合物(C)の使用量は通常、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子1モル当たりのモル量として0.01〜1000モルのごとく広範囲に選ぶことができる。好ましくは、遷位金属原子1モル当たり0.1〜50モルの範囲である。さらに好ましくは、0.1〜20モルである。
【0057】
各触媒成分を重合槽に供給する方法としては、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス中で水分のない状態で、モノマーの存在下に供給する。遷移金属化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)は個別に供給してもよいし、予め接触させて供給してもよい。
【0058】
重合温度は、通常−30〜300℃までにわたって実施することができるが、好ましくは0〜280℃、より好ましくは20〜250℃である。
重合圧力は特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で常圧〜150気圧程度が好ましい。重合時間は一般的に目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが5分から40時間の範囲を取り得る。
【0059】
重合プロセスは、連続式でもバッチ式でもいずれも可能である。またプロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのような不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合、溶媒重合、無溶媒による液相重合または気相重合もできる。
【0060】
本発明において、重合に使用するモノマーは、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。これらの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン等が例示されるが、本発明は上記化合物に限定されるべきものではない。共重合体として好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、プロピレンとブテン−1等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるべきものではない。
【0061】
また、本発明のオレフィン重合体の分子量を調整するために、水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0062】
【実施例】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0063】
(1)極限粘度([η]:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用い、テトラリン中、135℃で測定した。
【0064】
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。また、検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
機種 ミリポアウオーターズ社製 150CV型
カラム Shodex M/S 80
測定温度 145℃、溶媒 オルトジクロロベンゼン、
サンプル濃度 5mg/8ml
【0065】
(3)エチレンとα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィン単位含量の定量
得られたポリマー中のα−オレフィン単位含有量は、赤外吸収スペクトルから求めた。尚、測定並びに計算は、文献(赤外吸収スペクトルによるポリエチレンのキャラクタリゼーション、高山、宇佐美等著。又は、McRae,M.A.,Madams,W.F.,Die Makromoleculare Chemie,177,461(1976))記載の方法に準じ、α−オレフィン由来の特性吸収例えば、1375cm-1(プロピレン)、772cm-1を利用して実施した。赤外吸収スペクトルは、赤外分光光度系(日本分光工業社製 FT−IR7300)を用いて測定した。
なお、α−オレフィン含量は、短鎖分岐度((SCB)1000炭素あたりの短鎖分岐数)であらわした。
【0066】
(4)融点(Tm ℃ )の測定
パーキンエルマー社製 DSC−VII を用いて、以下の条件で測定した。
昇温:40℃から150℃(10℃/分)、5分保持
冷却:150℃から40℃(5℃/分)、10分保持
測定:40℃から160℃(5℃/分)
【0067】
(5)1H−NMRの測定
1H−NMRの測定には、日本電子JNM−EX270を用いた。実施例に記載した重水素化溶媒を用い、室温にて測定を行った。
【0068】
(6)錯体の質量分析及び元素分析
質量分析は JEOL JMS-700型質量分析計を用いて実施した。また、錯体の元素分析(炭素、水素及び窒素含量)はPerkin-Elmer PE2400元素分析計を使用して実施した。
【0069】
下記の実施例における重合時に使用した各化合物(B)、(C)は以下の通りである。
トリイソブチルアルミニウム:東ソー・アクゾ(株)製市販品、トリイソブチルアルミニウムを使用した。
アルミノキサン(PMAO):東ソー・アクゾ(株)製PMAO−S、(ポリ)メチルアルミノキサンのトルエン溶液
アルミノキサン(MMAO):東ソー・アクゾ(株)製(ポリ)メチルイソブチルアルミノキサンのヘキサン溶液を使用した。
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:東ソー・アクゾ(株)製市販品、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを使用した。
【0070】
実施例1
1−1.N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミン[1,8-C10H6(NHSiiPr3)2]の合成
1,8−ナフタレンジアミン(5.00g,31.6mmol)をテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を200ml容量のシュレンク管中に入れ、ノルマルブチルリチウムのへキサン溶液(1.6M,39.7ml,63.5mmol)を30分かけて−78℃で滴下した。滴下終了後、反応液をゆっくりと室温まで昇温し、6時間攪拌を続けた。
得られた反応液を再び−78℃に冷却し、クロロトリイソプロピルシラン(12.49g、64.8mmol)をゆっくりと滴下し、徐々に温度を上昇させ室温にて12時間、ついで50℃で2時間攪拌を続けた。
上述の反応操作終了後、得られた反応液より溶媒を減圧留去し、次いでへキサン(200ml)にて目的物からなる反応生成物を抽出した。へキサン溶液を濃縮し、−25℃に冷却し、白色−淡紫色の固体(12.56g)を得た。収率84%。
1H-NMR(C6D6): d 1.16 (d, 36H, SiCH(CH 3)2), 1.32-1.43 (m, 6H, SiCHMe2), 5.08 (s, 2H, NH), 6.88 (dd, 2H, C10 H 6), 7.23 (t, 2H, C10 H 6), 7.33 (dd, 2H, C10 H 6)
13C-NMR (C6D6): d 13.4, 18.8, 113.9, 120.5, 125.9, 138.2, 145.1
【0071】
1−2.[N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミノ]ジリチウム[1,8-C10H6(NLiSiiPr3)2]の合成
N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミン([1,8-C10H6(NHSiiPr3)2],9.95g,21.13mmol)をへキサン(100ml)に溶解し、−78℃に冷却し、ノルマルブチルリチウム(1.6Mへキサン溶液,27.1ml,43.32mmol)を30分かけてゆっくりと滴下した。得られた反応液を室温までゆっくりと昇温し、終夜(10時間以上)攪拌を続けた。
得られた反応液を濃縮し、さらに−25℃に冷却し、生成した白色−淡緑色の目的物を単離した。収率は99%以上であった。(収量:10.2g)
1H-NMR(THF-d8): d 1.17 (d, 36H, SiCH(CH 3)2), 1.3-1.4 (m, 6H, SiCHMe2), 6.51 (dd, 2H, C10 H 6), 6.66 (dd, 2H, C10 H 6), 6.81 (t, 2H, C10 H 6)
【0072】
1−3.[N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド([1,8-C10H6(NSiiPr3)2]TiCl2)の合成
−25℃に冷却したジエチルエーテル(60ml)溶液中に、TiCl4(2.0g,10.54mmol)をゆっくりと滴下した。生成した黄色のスラリー溶液中に−25℃にて、[N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミノ]ジリチウム([1,8-C10H6(NLiSiiPr3)2],5.09g,10.54mmol)をゆっくりと添加した。得られた反応液をゆっくりと室温まで昇温し、終夜(10時間以上)攪拌を続けた。
反応終了後、溶媒を減圧留去し、得られた固体をトルエンにて抽出、濃縮ついで−25℃まで冷却すると濃茶色の結晶が生成した(収量:3.42g)。さらに母液を濃縮、次いで−25℃にて冷却し二次晶(460mg)を得た。収率63%。
1H-NMR(C6D6): d 1.08 (d, 36H, SiCH(CH 3)2), 1.66 (m, 6H, SiCHMe2), 6.93 (dd, 2H, C10 H 6), 7.13 (t, 2H, C10 H 6), 7.29 (dd, 2H, C10 H 6)
13C-NMR (C6D6): d 14.8, 19.1, 118.5, 125.2, 126.3, 135.9, 147.2
Anal. Calcd. for C28H48N2Cl2Si2Ti: C, 57.23; H, 8.23; N, 4.77. Found(1): C, 57.02; H, 8.50; N, 4.70. Found(2): C, 57.54; H, 8.68; N, 4.76.
Figure 0003775042
【0073】
実施例2
[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド([1,8-C10H6(NSiMe3)2]TiCl2 )の合成
−25℃に冷却したジエチルエーテル(30ml)溶液中に、TiCl4(600mg,3.16mmol)をゆっくりと滴下した。生成した黄色のスラリー溶液中に−25℃にて、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミノ]ジリチウム([1,8-C10H6(NLiSiMe3)2],994mg,3.16mmol)をゆっくりと添加した。得られた反応液をゆっくりと室温まで昇温し、終夜(10時間以上)攪拌を続けた。
反応終了後、反応液をセライトろ過し、セライト上の固体をジエチルエーテル(20ml)でさらに洗浄・抽出し、さらに得られたエーテル溶液中にジクロロメタンを少量滴下した。この反応液より溶媒を留去し、得られた濃茶色固体を少量のエーテルに溶解させ、−25℃にて数日冷却することにより目的錯体の一次晶(800mg)を得た。収率60%。
1H-NMR(C6D6): d 0.60 (s, 18H, Si(CH 3 ) 3), 6.66 (dd, 2H, C10 H 6), 7.15 (t, 2H, C10 H 6), 7.37 (dd, 2H, C10 H 6).
13C-NMR (C6D6): d 1.9, 110.9, 125.4, 126.8, 137.7, 148.5
MS: calcd for C16H24Cl2N2Si2Ti, 419.3; found (M-) 417.8.
Figure 0003775042
【0074】
実施例3
3−1. N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミン([1,8-C10H6(NHSitBuMe2)2])の合成
1,8−ナフタレンジアミン(4.00g,25.3mmol)をテトラヒドロフラン60mlに溶解した溶液を200ml容量のシュレンク管中に入れ、ノルマルブチルリチウムのへキサン溶液(1.6M,31.7ml,50.7mmol)を30分かけて−78℃で滴下した。滴下終了後、反応液をゆっくりと室温まで昇温し、6時間攪拌を続けた。
得られた反応液を再び−78℃に冷却し、tert−ブチルクロロジメチルシラン(7.66g、50.8mmol)をゆっくりと滴下し、徐々に温度を上昇させ室温にて12時間、ついで50℃で3時間攪拌を続けた。
上述の反応操作終了後、得られた反応液より溶媒を減圧留去し、次いでへキサン(100ml)にて目的物からなる反応生成物を抽出した。へキサン溶液を濃縮し、−25℃に冷却し、白色−淡紫色の固体(6.40g)を得た。収率65%。
1H-NMR(C6D6): d 0.23 (s, 12H, Si(CH 3)2 tBu), 0.99 (s, 18H, SiMe2 t Bu), 5.08 (s, 2H, NH), 6.88 (dd, 2H, C10 H 6), 7.22 (t, 2H, C10 H 6), 7.35 (dd, 2H, C10 H 6)
13C-NMR (C6D6): d -3.0, 19.5, 38.0, 116.4, 122.1, 122.2, 125.7, 138.0, 144.8
【0075】
3−2.[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミノ]ジリチウム([1,8-C10H6(NLiSitBuMe2)2])の合成
N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミン([1,8-C10H6(NHSitBuMe2)2],10.00g,25.79mmol)をへキサン(100ml)に溶解し、−78℃に冷却し、ノルマルブチルリチウム(1.6Mへキサン溶液,32.3ml,51.70mmol)を30分かけてゆっくりと滴下した。得られた反応液を室温までゆっくりと昇温し、終夜(10時間以上)攪拌を続けた。
得られた反応液を濃縮し、さらに−25℃に冷却し、生成した白色−淡黄色の目的物を単離した。収率96%(9.90g)。
1H-NMR(THF-d8): d 0.20 (s, 12H, Si(CH 3)2 tBu), 1.04 (s, 18H, SiMe2 t Bu), 6.45 (dd, 2H, C10 H 6), 6.63 (d, 2H, C10 H 6),6.81 (t, 2H, C10 H 6)
【0076】
3−3.[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド([1,8-C10H6(NSitBuMe2)2]TiCl2)の合成
−25℃に冷却したジエチルエーテル(50ml)溶液中に、TiCl4(1.11g,5.80mmol)をゆっくりと滴下した。生成した黄色のスラリー溶液中に−25℃にて、[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミノ]ジリチウム([1,8-C10H6(NLiSitBuMe2)2],2.36g,5.92mmol)をゆっくりと添加した。得られた反応液をゆっくりと室温まで昇温し、終夜(10時間以上)攪拌を続けた。
反応終了後、反応液をセライトろ過し、セライト上の固体をジエチルエーテル(20ml)でさらに洗浄・抽出し、さらに得られたエーテル溶液中にジクロロメタンを少量滴下した。この反応液より溶媒を留去し、得られた濃茶色固体を少量のエーテルに溶解させ、−25℃にて数日冷却することにより目的錯体の一次晶(1.82g)を得た。収率61%
1H-NMR(C6D6): d 0.37 (s, 12H, Si(CH 3)2 tBu), 0.97 (s, 18H, SiMe2 t Bu), 6.80 (dd, 2H, C10 H 6), 7.13 (t, 2H, C10 H 6), 7.26 (dd, 2H, C10 H 6)
13C-NMR (C6D6): d -0.5, 21, 29, 117.6, 125.6, 125.9, 136.4, 147.7
MS: calcd for C22H36Cl2N2Si2Ti, 503.5; found (M-) 502.0.
Anal. Calcd.: C, 52.48; H, 7.21; N, 5.57. Found: C, 52.40; H, 7.54; N, 5.41.
Figure 0003775042
【0077】
実施例4.[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジブロミド([1,8-C10H6(NSitBuMe2)2]TiBr2)の合成
−25℃に冷却したジエチルエーテル(50ml)溶液中に、TiBr4(1.11g,3.02mmol)をゆっくりと添加した。得られた溶液中に−25℃にて、[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミノ]ジリチウム([1,8-C10H6(NLiSitBuMe2)2],1.21g,3.03mmol)をゆっくりと添加した。得られた反応液をゆっくりと室温まで昇温し、5時間攪拌を続けた。
反応終了後、反応液より減圧条件下にて溶媒を留去し、次いで得られた濃茶色固体より生成物をへキサン抽出し、さらに加熱・濃縮した後に−25℃にて終夜静置・冷却することにより目的錯体の一次晶(1.12g)を得た。収率62%。
1H-NMR(CDCl3): d 0.50 (s, 12H, Si(CH 3)2 tBu), 0.99 (dd, 18H, SiMe2 t Bu), 6.88 (dd, 2H, C10 H 6), 7.42 (t, 2H, C10 H 6), 7.54 (dd, 2H, C10 H 6).
13C-NMR (CDCl3): d -0.1, 20.8, 28.3, 117.0, 125.5, 125.8, 136.0, 147.5.
Figure 0003775042
【0078】
実施例5
1リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、精製したトルエン300mlを仕込み、重合温度60℃まで昇温しながら4.0kgf/cm2のエチレンガスで飽和させ重合の準備をした。
一方、磁気撹拌子を備えた100mlのフラスコを窒素置換し、窒素雰囲気下、精製したトルエン10ml、PMAO4.8mmol、ついで実施例2で合成した[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド4.8×10-3mmolを加え、室温で5分間撹拌混合した。この触媒溶液をオートクレーブ内に圧入し、60℃で60分間重合を行った。この間、エチレンガスを4.0kgf/cm2でフィードし続けた。その後、エタノール15mlを圧入することにより重合を停止した。未反応エチレンガスをパージし、オートクレーブ内容物を約4倍のエタノール中に投入し、析出した重合体を濾別して60℃で約4時間乾燥を行った。その結果、0.35gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は974000であった。
【0079】
実施例6
実施例5において、PMAOを14.3mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを14.3×10-3mmol用い、重合を40℃で行った以外は、実施例5と同様に行った。その結果、0.92gのポリエチレンが得られた。
【0080】
実施例7
実施例5において、PMAOの代わりにMMAO(ヘキサン溶液)を9.1mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを9.1×10-3mmol用い、重合をヘプタン中で行った以外は、実施例5と同様に行った。その結果、1.5gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は36500であった。
【0081】
実施例8
1リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、精製したトルエン300mlを仕込み、重合温度60℃まで昇温しながら4.0kgf/cm2のエチレンガスで飽和させ重合の準備をした。
一方、磁気撹拌子を備えた100mlのフラスコを窒素置換し、窒素雰囲気下、精製したトルエン10ml、トリエチルアルミニウム7.3mmol、ついで実施例2で合成した[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド14.5×10-3mmolを加え、室温で5分間撹拌混合した。この触媒溶液をオートクレーブ内に圧入し、ついで、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート14.5×10-3mmolの少量のトルエン溶液を圧入し、60℃で60分間重合を行った。この間、エチレンガスを4.0kgf/cm2でフィードし続けた。その後、エタノール15mlを圧入することにより重合を停止した。未反応エチレンガスをパージし、オートクレーブ内容物を約4倍のエタノール中に投入し、析出した重合体を濾別して60℃で約4時間乾燥を行った。その結果、0.90gのポリエチレンが得られた。
【0082】
実施例9
実施例8において、トリエチルアルミニウムの代わりにトリイソブチルアルミニウム4.3mmolを用い、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを9.5×10-3mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを9.5×10-3mmol用いた以外は、実施例8と同様に行った。その結果、0.95gのポリエチレンが得られた。
【0083】
実施例10
実施例8において、トリエチルアルミニウムの代わりにトリイソブチルアルミニウム5.3mmolを用い、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを10.5×10-3mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを10.5×10-3mmol用い、1−ヘキセンを10ml加えた以外は、実施例8と同様に行った。その結果、0.75gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。得られた共重合体の融点(Tm)は119.7℃であった。
【0084】
実施例11
実施例5において、PMAOを10.4mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例1で合成した[N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを10.4×10-3mmol用いた以外は、実施例5と同様に行った。その結果、0.40gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は558000であった。
【0085】
実施例12
実施例11において、PMAOの代わりにMMAO(ヘキサン溶液)を17.0mmol、[N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを17.0×10-3mmol用いた以外は、実施例11と同様に行った。その結果、0.71gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は283000であった。
【0086】
実施例13
実施例8において、トリエチルアルミニウムの代わりにトリイソブチルアルミニウム15.0mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例1で合成した[N,N’−ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを30.0×10-3mmol用いた以外は、実施例8と同様に行った。その結果、0.17gのポリエチレンが得られた。
【0087】
実施例14
実施例5において、PMAOを21.8mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例3で合成した[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを21.8×10-3mmol用いた以外は、実施例5と同様に行った。その結果、1.62gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は398000であった。
【0088】
実施例15
実施例14において、PMAOの代わりにMMAO(ヘキサン溶液)17.5mmolを用い、[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを17.5×10-3mmol用い、重合をヘプタン中で行った以外は、実施例14と同様に行った。その結果、12.4gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は214000であった。
【0089】
実施例16
実施例15において、MMAO(ヘキサン溶液)を4.4mmol、[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを4.4×10-3mmol用い、重合を40℃で行った以外は、実施例15と同様に行った。その結果、1.1gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は1160000であった。
【0090】
実施例17
実施例15において、MMAO(ヘキサン溶液)を8.5mmol、[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを8.5×10-3mmol用い、1−ヘキセンを10ml加えた以外は、実施例15と同様に行った。その結果、5.1gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は350000、 SCB/1000は32.4、融点(Tm)は121.4℃であった。
【0091】
実施例18
実施例8において、トリエチルアルミニウムの代わりにトリイソブチルアルミニウム5.0mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例3で合成した[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドを9.9×10-3mmol用いた以外は、実施例8と同様に行った。その結果、0.75gのポリエチレンが得られた。
【0092】
実施例19
実施例5において、PMAOを20.0mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例4で合成した[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジブロミドを20.0×10-3mmol用いた以外は、実施例5と同様に行った。その結果、0.98gのポリエチレンが得られた。
【0093】
実施例20
MMAO(ヘキサン溶液)を22.4mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例4で合成した[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジブロミドを22.4×10-3mmol用い、重合をヘプタン中で行った以外は、実施例5と同様に行った。その結果、1.9gのポリエチレンが得られた。
【0094】
実施例21
実施例8において、トリエチルアルミニウムの代わりにトリイソブチルアルミニウム11.1mmol、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、実施例4で合成した[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジブロミドを22.2×10-3mmol用いた以外は、実施例8と同様に行った。その結果、4.88gのポリエチレンが得られた。
【0095】
実施例22
400ml容量のかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブを窒素置換し、ヘプタン200ml、ブテン−1 20g及びMMAO11.1mmol、を仕込み、重合温度70℃まで昇温しながら6.0kgf/cm2のエチレンガスで飽和させ重合の準備をした。
次いで実施例3で合成した[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド11.1μmolのトルエン溶液を(触媒溶液の[Al]/[Ti]モル比は1000)をオートクレーブ内に圧入し、70℃で1時間重合を続けた。その後、エタノール15mlを圧入することにより重合を停止した。未反応エチレンガスをパージし、オートクレーブの内容物を約4倍のエタノールに投入し、析出した重合体を濾別して、60℃で約4時間乾燥を行なった。その結果、10.0gのエチレン/ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体の分子量(Mn)は27000であった。
【0096】
実施例23
ブテン−1を50g、MMAOを10.9mmol、及び[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド10.9μmol(触媒溶液の[Al]/[Ti]モル比は1000)使用した以外は実施例22に準拠して重合を行なった。
その結果、11.4gのエチレン/ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体の分子量(Mn)は33000であった。
【0097】
実施例24
ブテン−1を10g、MMAOを7.7mmol、エチレン圧力を2kgf/cm2、及び[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド7.7μmol(触媒溶液の[Al]/[Ti]モル比は1000)使用した以外は実施例22に準拠して重合を行なった。
その結果、2.4gのエチレン/ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体の分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は4.0であった。
【0098】
実施例25
ブテン−1を50g、MMAOを10.7mmol、エチレン圧力を2kgf/cm2、及び[N,N’−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリド10.7μmol(触媒溶液の[Al]/[Ti]モル比は1000)使用した以外は実施例22に準拠して重合を行なった。
その結果、3.3gのエチレン/ブテン−1共重合体が得られた。得られた共重合体の分子量(Mn)は7000であり、分子量分布(Mw/Mn)は4.6であった。
【0099】
比較例1
(1)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミンの合成
窒素置換した100ml(4口)フラスコに2,6−ジイソプロピルアニリン24.3g、テトラヒドロフラン100mlを入れ、−78℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウム(1.63Mヘキサン溶液)84.0mlを30分かけて徐々に滴下した。滴下終了後、徐々に室温まで昇温し、さらに1時間攪拌を行った。その後、0℃に冷却し、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン20.8mlを添加した後、1,3−ジブロモプロパン13.8gを10分間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、0℃にて1時間攪拌を行った後、室温まで徐々に昇温し、室温にて19時間攪拌を行った。0℃にて水100mlを徐々に滴下することにより反応を終了させ、塩化メチレン100mlにて3回抽出を行った。硫酸ナトリウム(約3g)を加えた後30分間攪拌を行い、硫酸ナトリウム由来の固体成分を濾過により除いた後、溶媒を留去することにより橙色オイル状粗成物を得た。
粗成物の精製を以下の通りにして行った。上記オイル状粗成物をジエチルエーテル100mlに溶解させ、水100ml、濃塩酸20mlを添加し水層を分取した後、ジエチルエーテル100mlにて洗浄を行った。その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液約100mlを添加し、塩化メチレン100mlにて3回抽出を行った。硫酸ナトリウム(約3g)を添加して30分間攪拌を行い、硫酸ナトリウム由来の固体成分を濾過により除いた後、溶媒を留去することによりN,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミンを得た。
1H−NMR(CDCl3):
7.14−7.02ppm(m,6H(Ar)),3.28(pent,4H((CH32−))),3.03(t,4H(NC 2−)),1.98(m,2H(−CH2 2CH2−)),1.17(d,24H((C 32CH−))
【0100】
(2)[N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミノ]ジリチウムの合成
窒素置換した500ml4口フラスコにN,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミン7.8g、ヘキサン40mlを入れ、−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.63Mヘキサン溶液)24.3mlを10分間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、徐々に室温まで昇温し、さらに1時間攪拌を行った。その後、再び−78℃に冷却し析出した白色固体をグラスフィルターにて濾過することにより除き、減圧下にて乾燥することにより、[N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミノ]ジリチウムを得た。
【0101】
(3)[N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタニウムジクロリドの合成
四塩化チタン1.06gを含むジエチルエーテル溶液(80ml)に別途調製した(N,N’−ビス(トリメチルシリル)−1,3−プロパンジアミノ)ジリチウム2.27gを−30℃にて添加し、徐々に室温まで昇温した後、室温にて終夜攪拌を続けた。反応液中の固体成分を濾過により除き、溶媒を留去し、得られた固体を所定量のジエチルエーテルに溶解させ、−30℃に冷却し、上記錯体を赤色の結晶として得た。また、同様の操作により二次晶を回収した。得られた遷移金属化合物の1H−NMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(C66):
6.98−7.16ppm(m,6H,(Ar))3.74(m,4H,(NC 2−)),3.49(sept,4H,((CH32−)),2.49(m,2H,(−CH2 2CH2−)),1.40(d,J=7.45Hz,6H,((C 32CH−)),1.17(d,J=7.45Hz,6H,((C 32CH−))
Figure 0003775042
【0102】
(4)重合
実施例5において、[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタニウムジクロリドの代わりに、[N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタニウムジクロリドを13.1mg、PMAO25.6mmol用いた以外は、実施例5と同様に行った。その結果、0.42gのポリエチレンが得られた。得られたポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は111000であった。
【0103】
【発明の効果】
本発明により、容易に合成することができ、かつ、オレフィンの重合において高い重合活性を示し得る非メタロセン系遷移金属化合物が提供される。該遷移金属化合物をオレフィン重合用触媒成分として使用するオレフィン重合用触媒は高活性であり、この重合用触媒を用いて、オレフィン系単独重合体や共重合体を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の理解を助けるためのフローチャート図である。本フローチャート図は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明は、何らこれに限定されるものではない。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする遷移金属化合物。
    Figure 0003775042
    (式中、Mは周期表第4族の遷移金属原子を表し、XおよびYは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜24のスルホニルオキシ基または置換されていてもよい炭素原子数2〜24の2置換アミノ基を表す。XとYは任意に結合して環を形成していてもよい。R1およびR2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数1〜24のシリル基を表す。Nは窒素原子を表し、Naphは1位および8位でNと結合するナフタレン骨格を有する基を表す。)
  2. Mがチタン原子である請求項1記載の遷移金属化合物。
  3. Naphが、下記一般式(2)で表される2価の基である請求項1または2記載の遷移金属化合物。
    Figure 0003775042
    (式中、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々独立して、水素原子、置換されていもよい炭素原子数1〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜24のアリール基または置換されていてもよい炭素原子数7〜24のアラルキル基を表す。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属化合物よりなることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属化合物(A)と、下記化合物(B)および/または下記化合物(C)とを用いてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    (B)有機アルミニウム化合物および/または有機アルミニウムオキシ化合物
    (C)下記化合物(C1)〜(C3)のいずれかのホウ素化合物
    (C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物
    (C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むシリル基、1〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。G+は無機または有機のカチオンである。Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
  6. 請求項4または5記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィン類を単独重合させる、またはオレフィン類と他のオレフィン類とを共重合させることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法。
  7. オレフィン系重合体が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である請求項6記載のオレフィン系重合体の製造方法。
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