JP3855543B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒成分として有用な遷移金属化合物、該遷移金属化合物を用いてなるオレフィン重合用触媒、該オレフィン重合用触媒を用いる高活性なオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既に、メタロセン錯体を用いるオレフィン重合体の製造法については多くの報告がなされている。例えば、特開昭58−19306号公報において、メタロセン錯体とアルミノキサンを用いたオレフィン重合体の製造方法に関して報告されている。そこで開示されているメタロセン錯体は1分子中に1個のみの遷移金属原子を有する錯体である。
特開平4−91095号公報には、1分子中に2個の遷移金属原子が含まれ、それぞれの遷移金属原子に2個のη5−シクロペンタジエニル基が配位した構造を持つメタロセン錯体をオレフィン重合用触媒成分として用いることが開示されている。
しかし、1個の遷移金属原子に2個のη5−シクロペンタジエニル基が配位した構造を有するこれらのメタロセン錯体は、オレフィン重合用触媒成分として用いた場合、得られるオレフィン重合体の分子量が低い、共重合性が低いという問題点があり、また、工業的観点から活性の更なる向上が望まれていた。
【0003】
特開平3−163088号公報および特開平3−188092号公報には、1分子中に2個の遷移金属原子を含みそれぞれの遷移金属原子に1個のみのη5−シクロペンタジエニル基が配位したメタロセン錯体が開示されているものの、遷移金属原子の価数に対して、過剰のアニオン性配位子が結合した独特な構造の錯体であり、重合性能も確認されていない。
【0004】
特開平7−126315号公報には、1分子中に2個の遷移金属原子を含みそれぞれの遷移金属原子に1個のみのη5−シクロペンタジエニル基が配位したメタロセン錯体が開示されているものの、それら2個のη5−シクロペンタジエニル基が連結した構造の錯体であり、それを触媒成分とするオレフィン重合用触媒は共重合性が低く、得られた共重合体の融点が高いという問題点があり、工業的観点から更なる活性の向上が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑み、工業的観点で重要な、オレフィン重合の工業プロセスにおいて効率的な反応温度で高活性なオレフィン重合用触媒成分として有用な遷移金属化合物を提供すること、並びに、該遷移金属化合物を用いてなる高活性なオレフィン重合用触媒、および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成するために、メタロセン系遷移金属化合物、中でもモノシクロペンタジエニル遷移金属化合物を触媒成分の一つとして使用するオレフィン重合体の製造方法について鋭意研究を続け、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は、下記一般式[I]または[II]で表される遷移金属化合物、該遷移金属化合物よりなるオレフィン重合用触媒成分、該遷移金属化合物と、下記(B)および/または下記(C)とを用いてなるオレフィン重合用触媒、該オレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
Figure 0003855543
(上記一般式[I]または[II]においてそれぞれ、M1は元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cp1はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X1、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X2は元素の周期律表の第16族の原子を示す。R1、R2、R3、R4、R5およびR6は任意に結合して環を形成してもよい。複数のM1、A、J、Cp1、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
(B):下記(B1)〜(B3)から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(B1)一般式 E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(B2)一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
(B3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(但し、E1、E2およびE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2および全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていても良い。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
(C):下記(C1)〜(C3)のいずれかのホウ素化合物
(C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物、
(C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物、
(C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。G+は無機または有機のカチオンであり、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、さらに詳しく説明する。
(A)遷移金属化合物
一般式[I]または[II]において、M1で示される遷移金属原子とは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第4族の遷移金属元素を示し、例えばチタニウム原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などが挙げられる。好ましくはチタニウム原子またはジルコニウム原子である。
【0008】
一般式[I]または[II]においてAとして示される元素の周期律表の第16族の原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、セレン原子などが挙げられ、好ましくは酸素原子である。
【0009】
一般式[I]または[II]においてJとして示される元素の周期律表の第14族の原子としては、例えば炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子などが挙げられ、好ましくは炭素原子またはケイ素原子である。
【0010】
置換基Cp1として示されるシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としては、例えばη5−(置換)シクロペンタジエニル基、η5−(置換)インデニル基、η5−(置換)フルオレニル基などである。具体的に例示すれば、例えばη5−シクロぺンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−ジメチルシクロペンタジエニル基、η5−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−エチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−プロピルシクロペンタジエニル基、η5−イソプロピルシクロペンタジエニル基、η5−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−sec−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、η5−ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、η5−n−オクチルシクロぺンタジエニル基、η5−フェニルシクロぺンタジエニル基、η5−ナフチルシクロぺンタジエニル基、η5−トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−インデニル基、η5−メチルインデニル基、η5−ジメチルインデニル基、η5−エチルインデニル基、η5−n−プロピルインデニル基、η5−イソプロピルインデニル基、η5−n−ブチルインデニル基、η5−sec−ブチルインデニル基、η5−tert−ブチルインデニル基、η5−n−ペンチルインデニル基、η5−ネオペンチルインデニル基、η5−n−ヘキシルインデニル基、η5−n−オクチルインデニル基、η5−n−デシルインデニル基、η5−フェニルインデニル基、η5−メチルフェニルインデニル基、η5−ナフチルインデニル基、η5−トリメチルシリルインデニル基、η5−トリエチルシリルインデニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルインデニル基、η5−テトラヒドロインデニル基、η5−フルオレニル基、η5−メチルフルオレニル基、η5−ジメチルフルオレニル基、η5−エチルフルオレニル基、η5−ジエチルフルオレニル基、η5−n−プロピルフルオレニル基、η5−ジ−n−プロピルフルオレニル基、η5−イソプロピルフルオレニル基、η5−ジイソプロピルフルオレニル基、η5−n−ブチルフルオレニル基、η5−sec−ブチルフルオレニル基、η5−tert−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−n−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−sec−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、η5−n−ペンチルフルオレニル基、η5−ネオペンチルフルオレニル基、η5−n−ヘキシルフルオレニル基、η5−n−オクチルフルオレニル基、η5−n−デシルフルオレニル基、η5−n−ドデシルフルオレニル基、η5−フェニルフルオレニル基、η5−ジ−フェニルフルオレニル基、η5−メチルフェニルフルオレニル基、η5−ナフチルフルオレニル基、η5−トリメチルシリルフルオレニル基、η5−ビス−トリメチルシリルフルオレニル基、η5−トリエチルシリルフルオレニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルフルオレニル基などが挙げられ、好ましくはη5−シクロペンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−インデニル基、またはη5−フルオレニル基である。
【0011】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0012】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはアミル基である。
【0013】
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
またこれらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0014】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられ、より好ましくはベンジル基である。
これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0015】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、より好ましくはフェニル基である。
これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0016】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6における置換シリル基とは炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜20の3置換シリル基などが挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、またはトリフェニルシリル基である。
これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0017】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、またはtert−ブトキシ基である。
これらのアルコキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0018】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基が好ましく、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、より好ましくはベンジルオキシ基である。
これらのアラルキルオキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0019】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6におけるアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが挙げられる。
これらのアリールオキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0020】
置換基X1、R1、R2、R3、R4、R5またはR6における2置換アミノ基とは2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などの炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜10のアラルキル基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換された2置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基などが挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。
これらの2置換アミノ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0021】
置換基R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、任意に結合して環を形成していてもよい。
【0022】
好ましくはR1は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基または置換シリル基である。
好ましくはX1はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基であり、さらに好ましくはアルコキシ基である。
【0023】
一般式[I]または[II]においてX2として示される元素の周期律表の第16族の原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、セレン原子などが挙げられ、好ましくは酸素原子である。
【0024】
かかる遷移金属化合物[I]としては、例えば
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
【0025】
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムクロライド}、
μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}、
などが挙げられる。
【0026】
かかる遷移金属化合物[II]としては、例えば
ジ−μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{イソプロピリデン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウム}、
【0027】
ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウム}、
ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}、
などが挙げられる。
【0028】
かかる一般式[I]または[II]で表される遷移金属化合物は、例えばWO97/03992号公開明細書に記載の方法で得られた遷移金属化合物を、0.5倍モル量または1モル倍量の水と反応させることにより製造される。その際、遷移金属化合物と必要量の水を直接反応させる方法、必要量の水を含んだ炭化水素等の溶媒中に遷移金属化合物を投入する方法、乾燥させた炭化水素等の溶媒に遷移金属化合物を投入し、さらに必要量の水を含んだ不活性ガス等を流通させる方法等を採用することができる。
【0029】
(B)アルミニウム化合物
本発明において用いるアルミニウム化合物(B)としては、下記(B1)〜(B3)から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物である。
(B1)一般式 E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
(B2)一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
(B3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(但し、E1、E2、およびE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2および全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていても良い。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
1、E2、またはE3における炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0030】
一般式 E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物(B1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、またはトリイソブチルアルミニウムである。
【0031】
一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン(B2)、一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン(B3)における、E2、E3の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2およびE3はメチル基、またはイソブチル基であり、bは2〜40、cは1〜40である。
【0032】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて作る方法が例示できる。
【0033】
(C)ホウ素化合物
本発明においてホウ素化合物(C)としては、(C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物、(C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物、(C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物のいずれかを用いることができる。
【0034】
一般式 BQ123で表されるホウ素化合物(C1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q3はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。Q1〜Q3は好ましくは、ハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含むアミノ基であり、より好ましいQ1〜Q3はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、または1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基である。さらに好ましくはQ1〜Q4は、それぞれ少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数1〜20のフッ素化炭化水素基であり、特に好ましくはQ1〜Q4は、それぞれ少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数6〜20のフッ素化アリール基である。
【0035】
化合物(C1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、最も好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0036】
一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物(C2)において、G+は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(C1)におけるQ1〜Q3と同様である。
【0037】
一般式 G+(BQ1234-で表される化合物における無機のカチオンであるG+の具体例としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるG+としては、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。G+として好ましくはカルベニウムカチオンであり、特に好ましくはトリフェニルメチルカチオンである。(BQ1234-としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0038】
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0039】
また、一般式(L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物(C3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記のルイス酸(C1)におけるQ1〜Q3と同様である。
【0040】
一般式(L−H)+(BQ1234-で表される化合物におけるブレンステッド酸である(L−H)+の具体例としては、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1234-としては、前述と同様のものが挙げられる。
【0041】
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0042】
[オレフィンの重合]
本発明においては、一般式[I]および/または[II]で表される遷移金属化合物(A)と、上記(B)および/または上記(C)とを用いてなるオレフィン重合用触媒を用いる。遷移金属化合物(A)と(B)よりなるオレフィン重合用触媒を用いる際は、(B)としては、前記の環状のアルミノキサン(B2)および/または線状のアルミノキサン(B3)が好ましい。また他に好ましいオレフィン重合用触媒の態様としては、遷移金属化合物(A)、(B)および(C)を用いてなるオレフィン重合用触媒が挙げられ、その際の該(B)としては前記の(B1)が使用しやすい。
【0043】
本発明においては、一般式[I]および/または[II]で表される遷移金属化合物(A)および(B)、あるいはさらに(C)を、重合時に任意の順序で投入し使用することができるが、またそれらの任意の化合物の組合わせを予め接触させて得られた反応物を用いても良い。
【0044】
各成分の使用量は通常、(B)/遷移金属化合物(A)のモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、(C)/遷移金属化合物(A)のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
【0045】
各成分を溶液状態または溶媒に懸濁もしくはスラリー化した状態で用いる場合の濃度は、重合反応器に各成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択されるが、一般に、遷移金属化合物(A)が、通常0.001〜200mmol/Lで、より好ましくは、0.001〜100mmol/L、さらに好ましくは、0.05〜50mmol/L、(B)が、Al原子換算で、通常0.01〜5000mmol/Lで、より好ましくは、0.1〜2500mmol/L、さらに好ましくは、0.1〜2000mmol/L、(C)は、通常0.001〜500mmol/Lで、より好ましくは、0.01〜250mmol/L、さらに好ましくは、0.05〜100mmol/Lの範囲にあるように各成分を用いることが望ましい。
【0046】
本発明において重合に適用できるオレフィンとしては、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン類、特にエチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィン、炭素原子数4〜20のジオレフィン類等を用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1等の直鎖状オレフィン類、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチル−ヘキセン−1等の分岐オレフィン類、ビニルシクロヘキサン等が例示されるが、本発明は上記化合物に限定されるべきものではない。共重合を行う時のモノマーの組み合わせの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、エチレンとオクテン−1、プロピレンとブテン−1等が例示されるが、本発明はこれらの組み合わせに限定されるべきものではない。
【0047】
本発明は、特にエチレンと他のα−オレフィン、特にプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のα−オレフィンとの共重合体の製造に有効に適用できる。
【0048】
重合方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、もしくはメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、またはスラリー重合、あるいは、高圧イオン重合法と呼ばれる方法であって、無溶媒で、高温高圧下で超臨界流体状態のオレフィンに生成したオレフィン重合体が溶融した状態で重合させる方法、さらには、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
【0049】
重合温度は−50℃〜350℃の範囲を取り得るが、好ましくは0℃〜300℃、特に好ましくは50℃〜300℃の範囲が好ましい。重合圧力は常圧〜350MPaの範囲を取り得るが、好ましくは常圧〜300MPa、特に好ましくは常圧から200MPaである。
【0050】
重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定され、特に制限すべき条件はないが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0051】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、特に高圧イオン重合法で好適に実施される。具体的には、30MPa以上の圧力および300℃以上の温度で、好適に実施される。さらに好適には、圧力は35〜350MPa、温度は135〜350℃で実施される。
この場合の重合形式としてはバッチ式または連続式のいずれでも可能であるが、連続式で実施するほうが好ましい。反応器は通常、攪拌式槽型反応器または管型反応器が使用できる。重合は単一反応域でも行われるが、1つの反応器を複数の反応帯域に区切って行うか、または複数個の反応器を直列もしくは並列に連結して行うこともできる。複数個の反応器を使用する場合には、槽型−槽型または槽型−管型のいずれの組合わせでもよい。複数反応帯域または複数反応器で重合させる方法では、核反応帯域ごとに温度、圧力、ガス組成を変えることにより、特性の異なるオレフィン重合体を生産することも可能である。
【0052】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例における重合体の性質は、下記の方法によって測定した。
【0053】
(1)メルトインデックス(MFR)は、JIS K−6760に規定された方法に従い、190℃にて測定した。単位:g/10分
【0054】
(2)密度は、JIS K−6760に従って求めた。ただし、密度(アニール無)と記載した密度の値は、JIS K−6760においてアニーリング処理をせずに測定した値であり、密度(アニール有)と記載した密度の値はアニーリング処理をした測定値である。単位:g/cm3
【0055】
(3)共重合体の融点:Perkin−Elmer社製DSC7を用いて、以下の条件により求めた。
昇温:150℃まで昇温、熱量の変化が安定になるまで保持
冷却:150℃から10℃(5℃/分)、10分間保持
測定:10℃から160℃(5℃/分)
【0056】
(4)α−オレフィン含有量:赤外分光光度計(日本分光工業社製 FT−IR7300)を用いて、エチレンとα−オレフィンの特性吸収より求め、1000炭素当たりの短鎖分岐数(SCB)として表した。
【0057】
(5)分子量および分子量分布:ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフ(ウォーターズ社製 150,C)を用い、以下の条件により求めた。
カラム:TSK gel GMH−HT
測定温度:145℃ 設定
測定濃度:10mg/10ml−オルトジクロルベンゼン
重量平均分子量をMwと略記することがある。分子量分布は、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnを指す。
【0058】
(6)極限粘度[η]:得られた共重合体100mgを、135℃のテトラリン50mlに溶解させ、135℃に保持された湯浴中にセットされた、ウベローデ型粘度計を用い、当該サンプルが溶解したテトラリン溶液の落下速度から求めた。
【0059】
参考例1
(遷移金属化合物:ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジメトキシドの合成例)
シュレンク管中、無水エーテル10mlにメタノール0.131g(4.1mmol)を溶解させ、−78℃で濃度1.05mol/Lのメチルリチウムのエーテル溶液(3.9ml、4.1mmol)を滴下した。20℃に昇温し、ガスの発生の終了を確認することにより、リチウムメトキシドの生成を確認し、再度−78℃に冷却した。もう一つのシュレンク管に予め用意した、ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド0.919g(2.0mmol)の無水エーテル20ml懸濁液を、先の反応液に移送し、その後、徐々に室温まで昇温させた。反応液を濃縮後、トルエン20mlを加え、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジメトキシドを黄色結晶として取得した。(0.86g、95%)
1H NMR(270MHz,C66) δ7.26(m,2H),4.13(s,6H),2.33(s,3H),1.97(s,6H),1.89(s,6H),1.59(s,9H),0.55(s,6H)
【0060】
参考例2
(遷移金属化合物:μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}(化合物1)の合成例)
窒素雰囲気下、ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジメトキシド(参考例1と同様の方法で得られた化合物)10.00gをヘプタン50mlに溶かし、蒸留水0.30gを加え同温度で、12時間攪拌した。生成した固体をろ別し、ヘプタン5.0mlで洗浄した後、減圧下で乾燥することによりμ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}を黄色の固体として得た(5.51g、56%)。
マススペクトル(m/e)855 計算値:855
1H−NMR(C66) δ 7.25(d,J=2.0 Hz,2H),7.16(d,J=2.0 Hz,2H),3.99(s,6H),2.32(s,6H),2.30(s,6H),2.06(s,6H),1.86(s,6H),1.71(s,6H),1.27(s,18H),0.83(s,6H),0.63(s,6H)
Figure 0003855543
【0061】
参考例3
(遷移金属化合物:ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}(化合物2)の合成例)
シュレンク管中、トルエン20mlにジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジメトキシド1.50g(3.3mmol)を溶解させ、水10mlを加え、70℃で1時間攪拌させた。分液して得られた有機層を濃縮後、ヘプタン10mlから再結晶させ、ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}を黄色結晶として取得した(0.40g、33%)。
マススペクトル(m/e)808 計算値808
1H NMR (270MHz,C66)δ7.28(m,4H),2.32(s,12H),1.97(s,6H),1.78(s,6H),1.59(s,6H),1.53(s,18H),0.78(s,6H),0.58(s,6H)
Figure 0003855543
【0062】
実施例1
内容積1リットルの攪拌翼付オートクレーブ型反応装置を用いてエチレンとヘキセン−1を連続的に反応器内に供給し重合を行った。重合条件を全圧力を80MPaに、エチレンとヘキセン−1の合計に対するヘキセン−1濃度を28.8mol%に設定した。μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}(化合物1)とトリイソブチルアルミニウムが混合されたヘプタン溶液(化合物1の濃度は0.185μmol/g、トリイソブチルアルミニウムの濃度は18.5μmol/gで、 Al原子とTi原子のモル比を50に調整した。)と、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.90μmol/g)をそれぞれ別々の容器に準備し、それぞれを100g/時間、140g/時間の供給速度で、反応器に連続的に供給した。重合反応温度が222℃に、ホウ素原子とTi原子の比が3.4になるようにした。その結果、MFRが8.39、密度(アニール無)が0.883、SCBが36.0、分子量(Mw)が62000、分子量分布(Mw/Mn)が1.9であるエチレン−ヘキセン−1共重合体を1時間当たり2.72Kg、Ti原子1モル当たり74ton製造した。
【0063】
比較例1
内容積1リットルの攪拌翼付オートクレーブ型反応装置を用いてエチレンとヘキセン−1を連続的に反応器内に供給し重合を行った。重合条件を全圧力を80MPaに、エチレンとヘキセン−1の合計に対するヘキセン−1濃度を34mol%に設定した。ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドのヘキサン溶液(0.7μmol/g)を、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(33μmol/g)を、更にN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(1.2μmol/g)をそれぞれ別々の容器に準備し、それぞれを290g/時間、350g/時間、および、580g/時間の供給速度で、反応器に連続的に供給した。重合反応温度が215℃に、Al原子とTi原子のモル比が57に、ホウ素原子とTi原子の比が3.3になるようにした。その結果、MFRが4.2、密度(アニール無)が0.881、融点が67.3℃、SCBが40.4、分子量(Mw)が66000、分子量分布(Mw/Mn)が1.8であるエチレン−ヘキセン−1共重合体を1時間当たり2.84Kg、Ti原子1モル当たり14ton製造した。
【0064】
実施例2
内容積0.4リットルの攪拌翼付オートクレーブ型反応装置をアルゴン置換した後、溶媒としてシクロヘキサン185mlを、α−オレフィンとしてヘキセン−1を15ml仕込み、反応器を180℃まで昇温した。昇温後、エチレン圧を2.5Mpaに調節しながらフィードし、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウムを0.2mmol、μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}(化合物1)とトリイソブチルアルミニウムが混合されたヘプタン溶液(化合物1の濃度は1μmol/ml、トリイソブチルアルミニウムの濃度は50μmol/mlで、Al原子とTi原子のモル比を25に調整した。)を0.5ml(即ち、化合物1を0.5μmol、トリイソブチルアルミニウムを25μmol)投入し、続いてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.5μmolをヘプタンにスラリー化した液(スラリー濃度、1μmol/ml)として投入した。2分間重合を行った。重合の結果、[η]が0.85、SCBが31.4、融点が78.6℃、90.8℃であるエチレン−ヘキセン−1共重合体を2.53g得た。Ti原子1モル当たりの重合活性は2分間あたり、2.53×106g/Timolであった。
【0065】
実施例3
内容積0.4リットルの攪拌翼付オートクレーブ型反応装置をアルゴン置換した後、溶媒としてシクロヘキサン185mlを、α−オレフィンとしてヘキセン−1を15ml仕込み、反応器を180℃まで昇温した。昇温後、エチレン圧を2.5Mpaに調節しながらフィードし、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウムを0.2mmol、μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムメトキシド}(化合物1)とトリイソブチルアルミニウムが混合されたヘプタン溶液(化合物1の濃度は1μmol/ml、トリイソブチルアルミニウムの濃度は50μmol/mlで、Al原子とTi原子のモル比を25に調整した。)を0.5ml(即ち、化合物1を0.5μmol、トリイソブチルアルミニウムを25μmol)投入し、続いてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート3μmolをヘプタンにスラリー化した液(スラリー濃度、1μmol/ml)として投入した。2分間重合を行った。重合の結果、[η]が0.67、SCBが35.0、融点が74.2℃、88.6℃、分子量(Mw)が43000、分子量分布(Mw/Mn)が2.7であるエチレン−ヘキセン−1共重合体を5.33g得た。Ti原子1モル当たりの重合活性は2分間あたり、5.33×106g/Timolであった。
【0066】
実施例4
内容積0.4リットルの攪拌翼付オートクレーブ型反応装置をアルゴン置換した後、溶媒としてシクロヘキサン185mlを、α−オレフィンとしてヘキセン−1を15ml仕込み、反応器を180℃まで昇温した。昇温後、エチレン圧を2.5Mpaに調節しながらフィードし、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウムを0.2mmol、ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}(化合物2)とトリイソブチルアルミニウムが混合されたヘプタン溶液(化合物2の濃度は1μmol/ml、トリイソブチルアルミニウムの濃度は50μmol/mlで、Al原子とTi原子のモル比を25に調整した。)を0.5ml(即ち、化合物2を0.5μmol、トリイソブチルアルミニウムを25μmol)投入し、続いてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.5μmolをヘプタンにスラリー化した液(スラリー濃度、1μmol/ml)として投入した。2分間重合を行った。重合の結果、[η]が0.84、SCBが30.7、融点が80.2℃、93.0℃であるエチレン−ヘキセン−1共重合体を2.55g得た。Ti原子1モル当たりの重合活性は2分間あたり、2.55×106g/Timolであった。
【0067】
実施例5
内容積0.4リットルの攪拌翼付オートクレーブ型反応装置をアルゴン置換した後、溶媒としてシクロヘキサン185mlを、α−オレフィンとしてヘキセン−1を15ml仕込み、反応器を180℃まで昇温した。昇温後、エチレン圧を2.5Mpaに調節しながらフィードし、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウムを0.2mmol、ジ−μ−オキソビス{ジメチルシリレン(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウム}(化合物2)とトリイソブチルアルミニウムが混合されたヘプタン溶液(化合物2の濃度は1μmol/ml、トリイソブチルアルミニウムの濃度は50μmol/mlで、 Al原子とTi原子のモル比を25に調整した。)を0.5ml(即ち、化合物2を0.5μmol、トリイソブチルアルミニウムを25μmol)投入し、続いてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート3μmolをヘプタンにスラリー化した液(スラリー濃度、1μmol/ml)として投入した。2分間重合を行った。重合の結果、 [η]が0.73、SCBが33.0、融点が78.9℃、91.5℃、分子量(Mw)が48000、分子量分布(Mw/Mn)が2.5であるエチレン−ヘキセン−1共重合体を3.92g得た。Ti原子1モル当たりの重合活性は2分間あたり、3.92×106g/Timolであった。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、オレフィン重合の工業プロセスにおいて効率的な反応温度で高活性なオレフィン重合用触媒成分として有用な遷移金属化合物、並びに、該遷移金属化合物を用いてなる高活性なオレフィン重合用触媒、および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法が提供される。さらに本発明の遷移金属化合物は、共重合性に優れ、高分子量のオレフィン重合体を与えるオレフィン重合用触媒成分としても有効であり、その利用価値はすこぶる大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の理解を助けるためのフローチャート図である。本フローチャート図は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明は、何らこれに限定されるものではない。

Claims (15)

  1. 下記一般式[I]または[II]で表されることを特徴とする遷移金属化合物。
    Figure 0003855543
    (上記一般式[I]または[II]においてそれぞれ、M1は元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cp1はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X1、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X2は元素の周期律表の第16族の原子を示す。R1、R2、R3、R4、R5およびR6は任意に結合して環を形成してもよい。複数のM1、A、J、Cp1、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 一般式[I]または[II]におけるAが、酸素原子であることを特徴とする請求項1記載の遷移金属化合物。
  3. 一般式[I]または[II]におけるX2が、酸素原子であることを特徴とする請求項1または2記載の遷移金属化合物。
  4. 一般式[I]または[II]におけるR1が、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基または置換シリル基であることを特徴とする請求項1〜3記載の遷移金属化合物。
  5. 一般式[I]におけるX1が、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遷移金属化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属化合物よりなることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属化合物と、下記(B)および/または下記(C)とを用いてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    (B):下記(B1)〜(B3)から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
    (B1)一般式 E1 aAlZ3-aで示される有機アルミニウム化合物
    (B2)一般式 {−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン
    (B3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
    (但し、E1、E2およびE3は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1、全てのE2および全てのE3は同じであっても異なっていても良い。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのZは同じであっても異なっていても良い。aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
    (C):下記(C1)〜(C3)のいずれかのホウ素化合物
    (C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物、
    (C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物、
    (C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
    (但し、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。G+は無機または有機のカチオンであり、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)
  8. (B)が、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムまたはメチルアルミノキサンであることを特徴とする請求項7記載のオレフィン重合用触媒。
  9. (C)が、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることを特徴とする請求項7または8記載のオレフィン重合用触媒。
  10. オレフィン重合用触媒が、請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属化合物、請求項7記載の(B)および請求項7記載の(C)を用いてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  11. オレフィン重合用触媒が、請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属化合物と、請求項7記載の(B2)および/または請求項7記載の(B3)とを用いてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  13. オレフィン重合体が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項12記載のオレフィン重合体の製造方法。
  14. 高圧イオン重合法で実施することを特徴とする請求項12または13記載のオレフィン重合体の製造方法。
  15. 30MPa以上の圧力および130℃以上の温度で実施することを特徴とする請求項12または13記載のオレフィン重合体の製造方法。
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