JP3988065B2 - 直流モータ駆動装置および電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転方向が反転する直流モータの駆動技術分野に属する。本発明はまた、このような直流モータ駆動技術を利用した電動パワーステアリング装置の制御技術分野に属する。本発明の応用分野としては、たとえば、自動車の電動式後輪操舵装置や工作ロボットのアーム駆動装置などがあり、本発明は広い分野での適用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
通常の電動パワーステアリング装置におけるパワーアシストモータとしての直流モータは、Hブリッヂ回路と電流検出手段と電流制御手段とをもつ駆動装置によって駆動されている。ここで、Hブリッヂ回路は、四つのパワートランジスタをもち直流モータにパルス幅変調された駆動電流を流してパワーアシストモータとしての直流モータを駆動する回路である。また、電流検出手段は、この直流モータに流されている駆動電流の絶対値を検知して電流検出値とする検出手段であり、フィードバックのためのセンサないしセンサ回路に相当する。さらに、電流制御手段は、直流モータに流すべき電流を定める電流指令値の絶対値と電流検出値との差に基づきPIDなどのフィードバックを行って適正な駆動電流のデューティ比を設定し、Hブリッヂ回路を制御する電子回路等である。
【0003】
すなわち、図16に示すように、操舵トルク信号Tqおよび車速信号Vに基づいて、機能要素13,14,15,16からなる電流指令値演算手段により、直流モータとしてのパワーアシストモータ(図略)に流すべき電流を定める電流指令値Icが設定される。次に、通常の電流制御手段200は、この電流指令値Icと実際にパワーアシストモータに流れた駆動電流の検出値Imとに基づき、パルス幅変調(PWM)を行ってパワーアシストモータを駆動する駆動回路27を制御する。通常の電流制御手段200では、図17に示すように、電流指令値Icの絶対値と駆動電流検出値Imとの電流偏差Idに基づいてPI制御演算手段25によりPI(比例積分)フィードバック制御が行われ、デューティ比Dtが定められる。これと並行して、電流指令値Icの符号を判定する方向指令演算手段23により方向指令値Dirが算出されており、電流制御手段200からは方向指令値Dirおよびデューティ比Dtが駆動回路27に入力される。
【0004】
ところが、PIフィードバックなど積分補償項をもつフィードバックを行っていると、図18に示すように、積分補償項に蓄積がなされて積分補償項が無視できないほど大きくなってしまうことがある。このような状態で電流指令値の正負を反転させ、直流モータの回転方向を反転させようとすると、蓄積した積分補償項により過大なデューティ比Dtがいきなり生じる。それゆえ、直流モータには回転方向を反転させる方向に大きな駆動電流Imaがインパルス的に流れ、直流モータの回転軸に衝撃的な駆動作用が働く。その結果、直流モータが衝動的に反転し、直流モータおよびその周辺部材のバネ弾性によって振動が生じたりするなどの不都合が生じる。
【0005】
ここで、直流モータが電動パワーステアリング装置のパワーアシストモータである場合には、ステアリング系に小さな衝撃を生じ、コツンとした不自然な衝撃がハンドルを通して運転者に感知される。その結果、当該電動パワーステアリング装置の操舵感覚に違和感を生じ、その電動パワーステアリング装置に対する運転者の評価が低下してしまうという不都合が生じる。
【0006】
従来の技術としては、特開平10−203384号公報に、電流指令値と電流検出値との差に基づき、デジタル演算器によるフィードバック制御を基本的に行う電動パワーステアリング装置が開示されている。この装置の特徴は、デジタル演算器によって算出された駆動電流が過大であった場合には、駆動電流を所定の制限値内に制限するとともに、フィードフォワード的にデジタル演算器の内部変数を補正することである。それゆえ、この公報の技術によれば、駆動電流が過大にならないように制限されるとともに、操舵応答の応答速度が向上するという効果がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来技術では、パワーアシストモータである直流モータを反転させる際等に、デューティ比に制限が設けられているとはいえ、蓄積した積分補償項に相当する部分が多分に残っている。その結果、やはり直流モータの回転方向の反転時には、インパルス的に過大な駆動電流が直流モータに流れて、電流異常検知手段が作動したり、直流モータが衝撃的に作動して振動を生じたりする不都合が生じる。この不都合は、電動パワーステアリング装置においては、操舵角速度の反転時にコツンとした衝撃がハンドルに伝達され、操舵感覚が劣化するという形で発現する。
【0008】
そこで本発明は、直流モータの回転方向を反転させる際にも、インパルス的な駆動電流を生じず、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止されている直流モータ駆動装置を提供することを解決すべき課題とする。また、かような直流モータ駆動装置を採用して、電動パワーステアリング装置の操舵角速度の反転時にも操舵感覚に違和感を生じることが防止されている電動パワーステアリング制御装置を提供することをも解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明した。
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載の直流モータ駆動装置である。
本手段では、電流制御手段は、補償項リセット演算手段により、直流モータの駆動状態の所定の切替え時に、フィードバックの各成分のうち少なくとも積分補償項を、適正なリセット値にリセットする。すなわち、フィードバック成分のうち積分補償項に蓄積がされて積分補償項が大きくなっていた場合にも、直流モータの反転時などの駆動状態所定の切替え時には、積分補償項の値が強制的にゼロ付近か負のリセット値にリセットされる。すると、直流モータが反転なり始動なりする際には、積分補償項が小さなリセット値または負のリセット値にリセットされているので、駆動電流のデューティ比も小さく抑制されており、インパルス的に大きな駆動電流を生じることがなくなる。その結果、駆動電流の電流指令値に対する追随性が向上し、直流モータの動作が滑らかになって、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止される。
【0010】
したがって本手段によれば、直流モータの駆動状態の所定の切替え時に当たっても、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止され、直流モータの動作が滑らかになるという効果がある。また、インパルス的に大きな駆動電流を生じることが防止されているので、異常電流を検知して直流モータの駆動を停止させるなどの安全機能を持つフェールセーフ手段の誤動作が防止されるという効果もある。さらに、インパルス的に生じる急激な電流変化が抑止されているので、周囲の器機に対するノイズ輻射による悪影響(EMI)が抑制されるという効果もある。
【0011】
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載の直流モータ駆動装置である。
本手段では、前記第1手段において、所定の切替え時とは、電流指令値の正負が切り替わったときであり、直流モータの回転方向を反転させようとするときである。それゆえ、このようなときにフィードバックのうち積分補償項がリセットされているので、駆動電流が突出することが防止され、デューティ比も小さく抑制されており、インパルス的に大きな駆動電流を生じることがない。その結果、駆動電流の電流指令値に対する追随性が向上し、直流モータの動作が滑らかになって、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが有効に防止される。
【0012】
したがって本手段によれば、直流モータの反転時に当たって、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止され、直流モータの動作が滑らかになるという効果がある。
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載の直流モータ駆動装置である。
【0013】
本手段では、前記第1手段において、所定の切替え時とは、電流指令値の正負が切り替わり、かつ、電流指令値の方向が直流モータの回転方向と異なるときである。すなわち、電流指令値の正負が切り替わって直流モータを反転させようとしていながら、新たな電流指令値の方向に対して依然として直流モータが従来の方向へと回転を続けているときである。
【0014】
このような場合は、急激な電流指令値の反転時に起こりやすく、積分補償項が過大に蓄積されている可能性が高いので、積分補償項のリセットなしには大きな衝撃を生じてしまう。そこで、本手段のように、大きな衝撃を生じる可能性が高い場合に限って積分補償項をリセットすることにすれば、最低限必要なときにだけしか積分補償項のリセットが行われないことになり、制御系の線形性が連続的に保たれることが多くなる。
【0015】
したがって本手段によれば、直流モータの急激な反転時に当たってのみ、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止され、通常の反転時も含めて直流モータの動作がより滑らかになるという効果がある。
(第4手段)
本発明の第4手段は、請求項4記載の直流モータ駆動装置である。
【0016】
本手段では、所定の切替え時は、第2手段または第3手段のときに加え、電源投入後の直流モータの始動時と、電流異常時の駆動停止状態から正常状態への復帰に際しての直流モータの再始動時とのうち、少なくとも一方である。すなわち、通常の制御においては、電源投入後の直流モータの始動時にも、電流異常時の駆動停止状態から正常状態への復帰に際しての直流モータの再始動時にも、積分補償項が蓄積されて大きな値をとっている場合があり得る。すると、始動時ないし再始動時にいきなり大きな積分補償項が作用して、インパルス状に大きな駆動電流が直流モータに流れ、直流モータが衝撃的に始動したり振動を生じたりする不都合を生じる。そこで本手段では、始動時ないし再始動時に積分補償項をリセットして、いきなり大きな駆動電流が流れることを防止している。その結果、始動時ないし再始動時にも、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止され、直流モータの動作がより滑らかになる。
【0017】
したがって本手段によれば、前述の第2手段または第3手段の効果に加えて、始動時ないし再始動時にも、直流モータに衝撃的な作動や振動を生じることが防止され、直流モータの動作がより滑らかになるという効果がある。
(第5手段)
本発明の第5手段は、請求項5記載の直流モータ駆動装置である。
【0018】
本手段では、前記第1手段において、積分補償項等がリセットされるリセット値は、正の所定値以下である。すなわち、正の所定値が適正に小さく設定されていれば、積分補償項がリセットされて取りうるリセット値は、微少な駆動電流しか出さない小さな正の値か、ゼロか、あるいは負の値かである。
積分補償項等がリセットされるリセット値が、微少な駆動電流しか出さない小さな正の値であれば、リセット直後には直流モータは微少な駆動力しか出さないので、直流モータが衝動的に作動したり振動したりすることは防止される。また、積分補償項等がリセットされるリセット値がゼロであった場合にも、リセット直後には直流モータはほとんど駆動力を発揮しないので、直流モータが衝動的に作動したり振動したりすることは防止される。さらに、積分補償項等がリセットされるリセット値が負の値であった場合には、リセット直後にはデューティ比がゼロになっており、直流モータには駆動電流が流れないので、直流モータが衝動的に作動したり振動したりすることは防止される。
【0019】
したがって本手段によれば、積分補償項のリセット直後に直流モータが衝動的に作動したり振動したりすることは防止されるという効果がある。
なお、積分補償項がリセットされるリセット値の最適値は、モータの特性や電流指令値によって異なるので、最適値を定めることは設計事項に属する。また、本手段の直流モータ駆動装置は、適正な演算手段をもって自動的に最適値を定めるように構成されていてもよい。
【0020】
(第6手段)
本発明の第6手段は、請求項6記載の直流モータ駆動装置である。
本手段では、前記第1手段において、積分補償項等がリセットされるリセット値は、正の所定値以下であり、かつ、負の所定値以上である。すなわち、前述の第5手段の限定だけでは、負の大きな値に積分補償項がリセットされる可能性がある。このように積分補償項があまり大きく負の値にリセットされると、リセット後にしばらくデューティ比が立ち上がらず、直流モータの応答がやや遅れる可能性があるという不都合を生じる。それゆえ本手段では、積分補償項がリセットされるリセット値のとりうる範囲について、負の値の大きさにも適正な制限が加えられており、直流モータの応答速度にも配慮されている。
【0021】
したがって本手段によれば、前述の第5手段の効果に加えて、積分補償項のリセット直後にも直流モータが電流指令値に対する良好な追随性を発揮することができるという効果がある。
(第7手段)
本発明の第7手段は、請求項7記載の直流モータ駆動装置である。
【0022】
本手段では、前記第1手段において、積分補償項等がリセットされるリセット値は、直流モータに発生する誘起電圧に対抗する値である。すなわち、回転中の直流モータには誘起電圧が発生するので、この誘起電圧に対抗する値に積分補償項をリセットしてやれば、リセット直後の直流モータの駆動力はほとんどなくなり、直流モータの駆動状態の切替えがよりスムースに行われるようになる。
【0023】
したがって本手段によれば、直流モータの駆動状態の切替えがよりスムースに行われるようになるという効果がある。
(第8手段)
本発明の第8手段は、請求項8記載の電動パワーステアリング制御装置である。すなわち本手段は、ステアリングシャフトにかかる操舵トルクの検出値である操舵トルク信号と操舵車輪を持つ車両の速度の検出値である車速信号とに基づいて前記電流指令値を定める電流指令値演算手段と、前記第1手段ないし前記第7手段の直流モータ駆動装置とを有し、操舵力を高めるパワーアシストモータとしての直流モータを駆動する電動パワーステアリング制御装置である。
【0024】
本手段では、ハンドルの切り返し時や始動時および制御再始動時などの直流モータ(パワーアシストモータ)の駆動状態の所定の切替え時に、フィードバック成分のうち少なくとも積分補償項が適正な値にリセットされる。それゆえ、リセット直後に直流モータが衝動的に作動したり振動したりすることは防止されているので、ハンドルにコツンとした衝撃が加わるなどの不都合は防止されている。その結果、ハンドル操作における操舵感覚が改善される。
【0025】
したがって本手段によれば、ハンドル操作等による直流モータ(パワーアシストモータ)の駆動状態の所定の切替え時に、ハンドルにコツンとした衝撃が加わることは防止されており、その結果、操舵感覚が向上するという効果がある。また、直流モータに流れる駆動電流の異常を検知して直流モータの駆動を抑制するなどの機能を持ったフェールセーフ機能を持つ場合には、誤判定が少なくなり、やはり操舵感覚が向上するという効果がある。さらに、インパルス的に生じる急激な電流変化が防止されているので、周囲の器機に対するノイズ輻射による悪影響(EMI)が抑制されるという効果もある。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の直流モータ駆動装置および電動パワーステアリング制御装置の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
[実施例1]
(実施例1の構成および作用)
本発明の実施例1としての電動パワーステアリング制御装置は、図1に示すように、操舵トルクセンサ1からの信号と車速センサ2からの信号とに基づいて、直流モータであるパワーアシストモータ3を駆動するECU1000である。パワーアシストモータ3は、減速機を介して、ステアリングシャフトにかかる運転者の操舵力を補強し、操舵車輪の向きを変える(操舵する)作用を持つ。また、ECU1000のハードウェア上の構成は、図2に示すように、LPF(ローパスフィルタ)および波形整形器と、A/D変換器11およびCPU111とをもつマイクロコンピュータ100と、駆動回路27と、Hブリッヂ回路30とからなる。ECU1000は、運転者のハンドル操作に追随して操舵力を高めるパワーアシストモータ3を駆動する。すなわち、操舵トルクセンサ1の出力信号によって主に定まる電流指令値の正負が切り替わるので、この電流指令値に従って、ECU1000は、パワーアシストモータ3の回転方向を適宜切替える。
【0027】
本実施例の電動パワーステアリング制御装置であるECU1000の機能的な構成は、図3に示すように、電流指令値演算手段10、電流制御手段20、Hブリッヂ回路30および電流検出手段40からなる。ここで、電流制御手段20、Hブリッヂ回路30および電流検出手段40は、本発明の直流モータ駆動装置の一実施例を構成しており、ECU1000(図2参照)は、この直流モータ駆動装置の一実施例を構成要素として内蔵している。すなわち、ECU1000は、電流制御手段20、Hブリッヂ回路30および電流検出手段40からなる直流モータ駆動装置と、電流指令値演算手段10とを有する。
【0028】
電流指令値演算手段10は、ステアリングシャフト(図1参照)にかかる操舵トルクの検出値である操舵トルク信号Tqと、操舵車輪(図1参照)を持つ車両の速度の検出値である車速信号Vとに基づいて電流指令値を定める手段である。電流指令値演算手段10は、A/D変換器11およびパルス計測手段12と、CPU111(図2参照)に格納されたソフトウェアよって実現される位相補償演算手段13、電流マップ演算手段14、慣性補償演算手段15および加算手段16とからなる。
【0029】
操舵トルクセンサ1からの出力信号は、ローパスフィルタLPF(図2参照)を介してノイズ成分が除かれた後、A/D変換器11によってデジタル信号に変換され、操舵トルク信号Tqとして位相補償演算手段13および慣性補償演算手段15に入力される。
位相補償演算手段13に入力された操舵トルク信号Tqは、伝達関数H(s)=(τs+1)/(Aτs+1)に相当するデジタル演算により位相進み補償を受けて補償トルク信号Tpに変換され、電流マップ演算手段14に入力される。これと並行して、車速センサ2から波形整形回路(図2参照)を介してCPU111(図2参照)に車速パルスの割り込みがあると、パルス計測手段12が作動し、前回の車速パルスからの経過時間に基づいて車速信号Vが算出される。車速信号Vも、補償トルク信号Tpと共に電流マップ演算手段14に入力される。電流マップ演算手段14は、補償トルク信号Tpが大きくなるほど大きくなり、車速信号Vが大きくなるほど小さくなるように、操舵アシストの基本電流指令値Icbをマップの補間演算ないし関数演算により算出する。
【0030】
一方、慣性補償演算手段15に入力された操舵トルク信号Tqは、微分値に相当する差分値が取られたうえで適正なゲインをかけられ、慣性補償電流指令値Iciとして慣性補償演算手段15から出力される。そして、基本電流指令値Icbと慣性補償電流指令値Iciとは、加算手段16で加算され、電流指令値Ic=Icb+Iciが合成される。
【0031】
直流モータ駆動手段20は、電流指令値演算手段10によって算出された電流指令値Icと、電流検出手段40からフィードバックされる電流検出値Imaとに基づいて、Hブリッヂ回路30を制御する電子装置である。すなわち、直流モータ駆動手段20は、CPU111(図2参照)によりソフトウェア的に実現される各演算手段21〜26と、同演算手段によって算出される方向指令値Dirおよびデューティ比Dtに基づいて制御される駆動回路27とからなる。
【0032】
電流指令値演算手段10によって算出された電流指令値Icは、直流モータ駆動手段20の絶対値演算手段21および方向指令演算手段23に、それぞれ入力される。方向指令演算手段23は、電流指令値Icの正負に基づいて、電流指令値Icによりパワーアシストモータ3を回そうとする回転方向を示す方向指令値Dirを−1,0,1のうちいずれかに設定して、補償項リセット演算手段24と駆動回路27とに供給する。ここで、Dir=1は正転指令値を、Dir=0は非駆動指令値を、Dir=−1は逆転指令値をそれぞれ示す。
【0033】
一方、絶対値演算手段21は、電流指令値Icの絶対値|Ic|である電流指令値Icaを算出し、減算手段22に供給する。すると減算手段22は、電流指令値Icaから前述の電流検出値Ima(これも絶対値)を減算することにより電流偏差Idを算出し、PI制御演算手段25に供給する。
PI制御演算手段25は、電流偏差Id(=Ica−Ima)に基づいて比例積分フィードバック制御演算を行い、適正範囲に制限された制限駆動電圧Vdgを算出し、デューティ比演算手段26に供給する。この際、補償項リセット演算手段24は、方向指令値Dirを基に電流指令値Icの正負が切り替わったときにリセット指令信号を生成し、PI制御演算手段25に供給する。すると、PI制御演算手段25は、積算されていた積分項を含む比例積分項を強制的にゼロ(または小さな正負の値)に再設定(リセット)する。こうして適正に設定された制限駆動電圧Vdgに基づいて、デューティ比演算手段26は、0〜100%の範囲でデューティ比Dtを算出し、駆動回路27に提供する。
【0034】
駆動回路27は、方向指令演算手段23によって設定された方向指令値Dirと、PI制御演算手段25およびデューティ比演算手段26によって設定されたデューティ比Dtとに基づいて、Hブリッヂ回路30を適正に制御する。すなわち駆動回路27は、方向指令値Dirおよびデューティ比Dtに基づいてパルス幅変調(PWM)を行い、Hブリッヂ回路30の四つのパワートランジスタ31〜34のON/OFFを制御することによって、パワーアシストモータ3を駆動する。
【0035】
Hブリッヂ回路30は、パワーアシストモータ3の周囲にH字状に配設された四つのパワートランジスタ(MOS−FET)31〜34を回路要素とする回路である。Hブリッヂ回路30には、バッテリ4からリレー5を介して所定の電圧がかけられている。それゆえ、前述のように各パワートランジスタ31〜34が適正なPWMでON/OFFされれば、Hブリッヂ回路30は、直流モータであるパワーアシストモータ3を適正な電流をもって所望の方向に駆動する。
【0036】
電流検出手段40は、Hブリッヂ回路30の一端とアースとの間に設けられたシャント抵抗41と、シャント抵抗41の両端の間に生じる電圧差をもってパワーアシストモータ3に流れた電流を検出するオペアンプ42と、オペアンプ42の出力をデジタル化するA/D変換器43とからなる。A/D変換器43によってデジタル信号とされた電流検出値(モータ電流の絶対値)Imaは、フィードバック信号として、前述のように直流モータ駆動手段20の減算手段22に供給される。
【0037】
以上のように、本実施例の電動パワーステアリング制御装置は、電流指令値演算手段10と、直流モータ駆動装置とを有し、同直流モータ駆動装置は、直流モータ駆動手段20、Hブリッヂ回路30および電流検出手段40を有する。ここで、Hブリッヂ回路30は、四つのパワートランジスタ31〜34をもち、直流モータとしてのパワーアシストモータ3にパルス幅変調された駆動電流を流してパワーアシストモータ3を駆動する回路である。一方、電流検出手段40は、パワーアシストモータ3に流される駆動電流の絶対値を検知して電流検出値Imaとする電気電子回路である。
【0038】
直流モータ駆動手段20は、電流制御手段であって、パワーアシストモータ3に流すべき電流を定める電流指令値の絶対値Icaと電流検出値Imaとの差である電流偏差Id=Ica−Imaに基づいてPIフィードバックを行う。そして、パワーアシストモータ3に流すべき駆動電流に適正なデューティ比Dtと、同駆動電流の方向を示す方向指令値Dirとを設定してHブリッヂ回路30を制御する。この際、直流モータ駆動手段20は、パワーアシストモータ3の駆動状態の所定の切替え時に、PIフィードバックの積分比例補償項を、適正なリセット値Vrstにリセットする補償項リセット演算手段24をもっている。
【0039】
ここで、前述の所定の切替え時は、電流指令値Icの正負が切り替わったときであり、前記リセット値Vrstは、ゼロであって、正の所定値以下かつ負の所定値以上である。
(実施例1の制御ロジック)
本実施例の電動パワーステアリング制御装置は、以上の構成を持ち、その直流モータ駆動手段20の各機能要素21〜26は、図4に示すように、以下の制御ロジックに従って作用する。
【0040】
この制御ロジックは、ECU1000のマイクロコンピュータ111(図2参照)に250μs毎に割り込みがかけられてスタートする。そして、電流指令値Icと電流検出値Imaとに基づいて、駆動電流の方向指令値Dirおよびデューティ比Dtを設定する。
先ず、ステップS1〜S5では、方向指令演算が行われ、電流指令値Icの値に基づいて方向指令値Dirが設定される。すなわち、Ic>0のときにはDir=1(正転指令)、Ic=0のときにはDir=0(停止指令)、Ic<0のときにはDir=−1(逆転指令)というように設定される。
【0041】
次に、処理ステップS6〜S10では、電流指令値Icおよび電流検出値Imaから、適正な範囲内で制限駆動電圧Vdgが算出される。すなわち、処理ステップS6では、絶対値演算手段21(図3参照)により電流指令値Icの絶対値Ica=|Ic|が算出され、処理ステップS7では電流検出値Imaが読み込まれる。次いで処理ステップS8では、減算手段22により、両者の差から電流偏差Id=Ica−Imaが算出される。そして、処理ステップS9では、PI制御演算手段25により、ガードのかけられた制限駆動電圧Vdgに基づいて、電流偏差Idによる離散時間でのPIフィードバック演算が行われ、次の数1に従って駆動電圧Vdが算出される。
【0042】
【数1】
Vd(n)=Vdg(n−1)+N・Id(n)−M・Id(n−1)
ここで、NおよびMは、後述するが、それぞれ離散時間PIフィードバック制御を行う際の比例積分係数である。また、(n)は今回値を示し、(n−1)は前回値を示す。
さらに、処理ステップS10では、同じくPI制御演算手段25により、駆動電圧Vd(n)の範囲が±Vlimの範囲に制限されて、制限駆動電圧Vdgが設定される。すなわち、Vd(n)<−VlimのときにはVdg(n)=−Vlim、Vd(n)>VlimのときにはVdg(n)=Vlimと置かれ、いずれでもない場合には、Vdg(n)=Vd(n)と制限駆動電圧Vdg(n)が設定される。
【0043】
しかる後、ステップS11,S12で、パワーアシストモータ3の駆動状態の所定の切替え時には、フィードバック補償項がリセットされる補償項リセット演算が行われる。すなわち、判断ステップS11で補償項リセット演算手段24による判定が行われ、Dir(n)≠Dir(n−1)かつDir(n)≠0である場合に限って処理ステップS12に進み、しからざる場合は処理ステップS12をスキップする。処理ステップS12に進んだ場合には、同ステップで、再びPI制御演算手段25により、制限駆動電圧Vdgが所定のリセット電圧値Vrst(本実施例ではゼロ)に設定される。この場合は、電流指令値Icの符号が反転した場合と、電流指令値Icがいったんゼロになりその後正負いずれかになった場合とだけである。このようにして、制限駆動電圧Vdgが適正に設定される。
【0044】
最後に、処理ステップS13〜S15で、デューティ比Dtが適正に設定され、方向指令値Dirおよびデューティ比Dtが出力される。すなわち、デューティ比演算手段26により、処理ステップS13では、適正に設定された制限駆動電圧Vdgに適正な正の係数Kdtがかけられて、仮のデューティ比Dtaが算出され、続いて処理ステップS14でデューティ比Dtが0〜100%の範囲に収まるように、Dtaに基づいてデューティ比Dtが適正に定められる。すなわち、Dta<0%のときにはDt=0%と置かれ,Dta>100%のときにはDt=100%と置かれ、いずれでもない場合には、Dt=Dtaとデューティ比Dtが設定される。そして最後に、処理ステップS15で、以上のようにして適正に定められた方向指令値Dirおよびデューティ比Dtが、方向指令演算手段23およびデューティ比演算手段26から、駆動回路27(図3参照)に出力される。
【0045】
以上のようにして、方向指令値Dirおよびデューティ比Dtの二信号が駆動回路27に入力されると、駆動回路27は両信号に基づいて各パワートランジスタ31〜34(図3参照)を制御する。すなわち、駆動回路27は、方向指令値Dirが1であれば、パワーアシストモータ3を正転させるように、二つのパワートランジスタ32,33をオフにしておいたうえで、パワートランジスタ31をオンにし、パワートランジスタ34をデューティ比Dtに応じたPWMでON/OFFする。逆に、方向指令値Dirが−1であれば、パワーアシストモータ3を逆転させるように、二つのパワートランジスタ31,34をオフにしておいたうえで、パワートランジスタ32をオンにし、パワートランジスタ33をデューティ比Dtに応じたPWMでON/OFFする。そして、方向指令値Dirがゼロの場合には、全てのパワートランジスタ31〜34をオフにして、パワーアシストモータ3への通電を停止する。このようにして、パワーアシストモータ3が駆動される。
【0046】
ところで、前述の数1は次のようにして導き出される。すなわち、PIフィードバック制御演算では、電流指令値Icaと電流検出値Imaとの差である電流偏差Idは、伝達関数G(s)=Kp+Ki/sを通して伝達され、図示しない内部値である駆動電圧Vd(s)=G(s)Id(s)が生成される。ここで、Kpは比例ゲインであり、Kiは積分ゲインであって、sはラプラス演算子である。
【0047】
ここでさらに、演算周期をtとして、伝達関数G(s)を双一次変換の式s=(2/t)・(z−1)/(z+1)によってz変換すると、次の数2のように、離散時間での伝達関数G(z)が得られる。
【0048】
【数2】
G(z) =
{(Kp+Ki・t/2)−(Kp+Ki・t/2)z-1}/(1−z-1)
そこで、駆動電圧Vdは、電流偏差Idが伝達関数G(z)を通して伝達されたものであるから、N=Kp+Ki・t/2,M=Kp−Ki・t/2と置くと、前述の数1で離散時間表記されるに至る。
【0049】
(実施例1の作用効果)
本実施例の電動パワーステアリング制御装置では、補償項リセット演算手段24の判定により、直流モータの駆動状態の所定の切替え時に、フィードバック制御値である制限駆動電圧Vdgが、リセット電圧値Vrstにリセットされる。ここで、リセット電圧値Vrstはゼロである。すなわち、積分フィードバック作用により積分補償成分が大きくなっていた場合にも、直流モータであるパワーアシストモータ3の反転時などには、制限駆動電圧Vdgが強制的にゼロにリセットされる。
【0050】
たとえば、図5に示すように、電流指令値Icの符号が正転側から逆転側に反転した場合には、方向指令値Dirが0を経て−1になった瞬間に、制限駆動電圧Vdgが強制的にゼロにリセットされる。すると、デューティ比Dtもゼロにリセットされ、Dt=0からパワーアシストモータ3のPWM制御が始まるので、パワーアシストモータ3に流れる駆動電流ないし電流検出値Imはゼロからスタートして徐々に逆転方向に増していく。この際、従来技術と異なり、フィードバック積分項などの蓄積がゼロにリセットされているので、大きな駆動電流Imがパルス的に発生することはない。その結果、駆動電流Imの電流指令値Icに対する追随性が向上し、パワーアシストモータ3の動作が滑らかになって、パワーアシストモータ3に衝撃的な作動や振動を生じることが防止される。
【0051】
すなわち、本実施例の電動パワーステアリング装置では、ハンドルの切り返し時に、パワーアシストモータ3にインパルス的な駆動電流Imが流れることがなくなる。それゆえ、ハンドルの切り返し時にパワーアシストモータ3が衝動的に作動したり振動したりすることは防止されているので、ハンドルにコツンとした衝撃が加わるなどの不都合は防止されている。その結果、ハンドル操作における操舵感覚が改善される。
【0052】
したがって、本実施例の電動パワーステアリング制御装置によれば、インパルス的に大きな駆動電流Imを生じることが防止されているから、ハンドル切り返し時にハンドルにコツンとした衝撃が加わることは防止されており、その結果、操舵感覚が向上するという効果がある。また、パワーアシストモータ3に流れる駆動電流Imの異常を検知してパワーアシストモータ3の駆動を抑制するなどの機能を持ったフェールセーフ機能を持つものとすると、同機能による誤判定が少なくなり、安全性と操舵感覚とが向上するという効果がある。さらに、インパルス的に生じる急激な電流変化が抑止されているので、本実施例の電動パワーステアリング制御装置と周囲の器機とに対するノイズ輻射による悪影響(EMI)が抑制されるという効果もある。
【0053】
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、図6のフローチャートに示すように、制御ロジックを変更した電動パワーステアリング制御装置の実施が可能である。この制御ロジックは、直流モータ駆動手段20(図3参照)のうちマイクロコンピュータ111(図2参照)によって実行されるデジタル演算であるから、ソフトウェアの変更によって実施例1の制御ロジックから容易に変更することができる。
【0054】
本変形態様では、実施例1と同様の方向指令演算(ステップS1〜S5)の直後に、絶対値での電流指令値Icaの値が、電流指令値Icの反転時などにリセット電流値Irstにリセットされる。ここで、リセット電流値Irstは、流しうる最大電流を目安にしてある程度大きな負の所定値、たとえば−20[A]などの負の所定値にあらかじめ設定されている。
【0055】
すなわち、方向指令値Dirがゼロでなく前回と異なる場合には、処理ステップS12’でIca=Irstと設定され、そうでない場合には、処理ステップS6でIca=|Ic|と設定される。つまり、ハンドルの切り返し時等にPIフィードバック制御の演算結果がゼロになるように、本来は絶対値としての内部変数である電流指令値Icaを負の所定値に強制的にリセットすることで、擬似的に積分補償項をリセットするわけである。
【0056】
すると、リセット電流値Irstが。流しうる最大電流を目安にした負の所定値に設定されているので、次の処理ステップS8では、電流偏差Id=Ica−Imaは、リセット直後には通常はある程度絶対値の大きな負の値になる。これに伴い、処理ステップS9では前記数1によって定まる駆動電圧Vdも小さな値になる。今回演算された駆動電圧Vdは、次回の制限駆動電圧Vdgに反映されるので、結果として前述の実施例1のように制限駆動電圧Vdgをリセットすることと同様の作用が得られる。
【0057】
したがって本変形態様によっても、前述の実施例1と同様の効果が得られる。
(実施例1の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、図7に示すように、直流モータ駆動手段20の一部をアナログ回路で代替した構成の電動パワーステアリング制御装置を実施することが可能である。本変形態様では、実施例1のPI制御演算手段25はアナログ回路からなるPI制御演算回路25’によって置換され、実施例1のデューティ比演算手段26はやはりアナログ回路からなるデューティ比設定回路26’によって置換されている。
【0058】
先ず、電流検出手段40からアナログ信号(電圧)として絶対値の電流検出値Imaが、直流モータ駆動手段20のPI制御演算回路25’に供給される。PI制御演算回路25’は、リセットスイッチSW、入力抵抗R1,R1’、帰還抵抗R2、帰還容量Cおよびオペアンプ251からなる。通常はリセットスイッチSWは開いており、補償項リセット演算手段24によってリセット信号が供給された瞬間にだけリセットスイッチSWは閉じる。また、デューティ比設定回路26’は、入力抵抗R3,コンパレータ261および三角波発生回路261から構成されている。
【0059】
PI制御演算回路25’のリセットスイッチSWが開いている通常の場合には、次のようにしてPIフィードバック制御が行われる。すなわち、帰還抵抗R2と入力抵抗R1との比R2/R1が比例ゲインに相当し、帰還容量Cと入力抵抗R1との積の逆数1/(R1・C)が積分ゲインに相当して、PI制御のアナログ演算が行われる。そして、デューティ比設定回路26’では、オペアンプ251の出力電圧と三角波発生回路252の出力電流との大小を、コンパレータ261によって比較することにより、デューティ比Dtに相当するPWM信号が得られる。その結果、方向指令値DirとPWM信号とが駆動回路27’に供給されるので、駆動回路27’はHブリッヂ回路30を制御してパワーアシストモータ3を駆動する。
【0060】
逆に、電流指令値Icの符号が変わったりしてPI制御演算回路25’のリセットスイッチSWが閉じると、一時的に帰還抵抗R2および帰還容量Cが短絡し、帰還容量Cに蓄積された電荷である積分値はゼロクリヤされる。同時に、オペアンプ251のゲインもゼロになり、デューティ比設定回路26’の出力であるPWMのデューティ比Dtはゼロになるので、インパルス的な駆動電流Imの突発は防止される。その後、方向指令値Dirの値が一定であれば、リセットスイッチSWが開いた状態に保たれ、PI演算により徐々にデューティ比Dtが増大する。それゆえ、電流指令値Icに追随性のよい駆動電流Imによって、パワーアシストモータ3は滑らかに駆動される。
【0061】
したがって、本変形態様の電動パワーステアリング制御装置によっても、前述の実施例1と同様の効果が得られる。ただし、PI制御演算回路25’およびデューティ比設定回路26’がアナログ回路要素から構成されているので、部品コスト、組立コストおよび調整コストが実施例1よりも余計にかかる。逆に言えば、実施例1では、本変形態様の回路要素のうちデジタル化できるものは、マイクロコンピュータ111(図2参照)のソフトウェアに取り込まれているので、部品コスト、組立コストおよび調整コストが低減されている。
【0062】
[実施例2]
(実施例2の構成)
本発明の実施例2としての電動パワーステアリング制御装置は、要部を図8に示すように、方向指令値Dirに加えて、パワーアシストモータ3の回転方向にも基づいて補償項リセット演算手段24の判定が行われる。
【0063】
すなわち、本実施例の電動パワーステアリング装置は、実施例1の構成に加えて、オペアンプ28’、A/D変換器28、回転数演算手段29を有している。また、補償項リセット演算手段24’の制御ロジックも、図9に示すように、判断ステップS11’の部分が実施例1の制御ロジックと異なっている。すなわち、本実施例では、電流指令値Icの正負が切り替わり、かつ、電流指令値Icの方向Dirがパワーアシストモータ3の回転方向と異なるときが、補償項リセットすべきパワーアシストモータ3の駆動状態の切替え時である。
【0064】
(実施例2の作用効果)
再び図8に示すように、オペアンプ28’は、パワーアシストモータ3の端子間電圧検出用のものであって、その出力電圧はA/D変換器28によってデジタル信号の端子間電圧Vmとしてマイクロコンピュータ111(図2参照)に入力される。マイクロコンピュータ111は、回転数演算手段29によりパワーアシストモータ3の回転数を推算し、モータ回転数θm’を算出して補償項リセット演算手段24’に提供する。この際、回転数演算手段29は、端子間電圧Vmおよび電流検出値Imaに基づき、次の数3に従ってモータ回転数θm’を算出する。
【0065】
【数3】
θm’= Kv・(Vm−R・Ima・Dir)
ここで、Kvは誘起電圧定数の逆数に相当する定数であり、Rはパワーアシストモータ3およびそのハーネス等の回路抵抗である。回転数演算手段29はさらに、図示しないデジタル・ローパスフィルタを内蔵しており、同LPFにモータ回転数θm’を通すことによって、モータ回転数θm’から信号ノイズの影響をある程度取り除いている。この演算処理は、図10に示すように、段階を分けて処理ステップS21〜24によって行うことができる。
【0066】
そして、再び図8に示すように、補償項リセット演算手段24’では、回転数演算手段29から提供されるモータ回転数θm’と、方向指令演算手段23から提供される方向指令値Dirとに基づいて、補償項リセットの判定が行われる。この判定は、再び図9に示すように、判断ステップS11’で行われる。すなわち、パワーアシストモータ3の回転方向(モータ回転数θm’の正負から判定できる)と反対方向に方向指令値Dirが切り替わった瞬間に、制限駆動電圧Vdgはリセット電圧値Vrst(=0)にリセットされる。
【0067】
図9を図4と比べてみれば明らかなように、本実施例での制御ロジックは判断ステップS11’でのみ実施例1の制御ロジックと異なっており、その他の部分では実施例1と同一である。それゆえ、本実施例の電動パワーステアリング制御装置によれば、実施例1と同様の効果が得られる。すなわち、図11の右側の矢印に示すように、電流指令値Icの符号が反転し方向指令値Dirが反転すると、制限駆動電圧Vdgはリセット電圧値Vrst(ゼロ)にリセットされる。その結果、実施例1と同様に、電流指令値Icの符号が反転しても、パワーアシストモータ3の逆器電圧に起因してインパルス的に大電流が流れることは防止されている。
【0068】
そればかりではなく、図11のA部に示すように、実施例1とは異なり、方向指令値Dirがいったんゼロになった後、正負反転することなしに以前と同一符号に復帰した場合には、制限駆動電圧Vdgはゼロにリセットされない。なぜならば、このような場合にはパワーアシストモータ3が慣性で回っているので、モータ回転数θm’の符号が反転しておらず、復帰した方向指令値Dirの符号と方向指令値Dirの符号とが同一であるからである。それゆえ、方向指令値Dirが反転することなくゼロから復帰したこのような場合には、制限駆動電圧Vdgのリセットが行われず、継続してパワーアシストモータ3の逆起電力にうち勝つように、高い制限駆動電圧Vdgが維持される。その結果、一時的に電流指令値Icがゼロになっても、駆動電流Imは電流指令値Icに高い追随性をもって追随し、パワーアシストモータ3の動作に遅れを生じることが有効に防止されている。
【0069】
さらに発明者は、本実施例の電動パワーステアリング制御装置を装備して実車試験を行い、図12に示すように、実際的な各種データを得た。その結果、前述のように、電流指令値Icの符号を示す方向指令値Dirがいったんゼロになっても復帰している場合には、制限駆動電圧Vdgのリセットは行われず、電流検出値Imaは電流指令値Icaに対して高い追随性を保っている。一方、電流指令値Icの符号が反転した場合には、制限駆動電圧Vdgがリセットされているので、電流検出値Imaにインパルスは生ぜず、モータ回転数θm’はスムースに制御されている。
【0070】
したがって、本実施例の電動パワーステアリング制御装置によれば、実施例1と同様の効果を持つばかりではなく、電流指令値Icが一時的にゼロになった後復帰した場合でも、ハンドルに引きずり感が発生しないという効果がある。それゆえ、実施例1に勝って操舵感覚が向上するという効果がある。
(実施例2の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、前述のリセット値Vrstは可変とし、パワーアシストモータ3に発生する誘起電圧に対抗する値をもってこれに当てる電動パワーステアリング制御装置の実施が可能である。
【0071】
すなわち、本変形態様では、前述の実施例2と同様に電流指令値Icの符号が反転した時には制限駆動電圧Vdgがリセット電圧値Vrstに強制的に設定されるが、実施例2とは異なり、このリセット電圧値Vrstが可変である。そして、リセット電圧値Vrstは、パワーアシストモータ3に生じる誘起電圧すなわち逆起電力Veに応じて可変とされている。逆起電力Veは、以前に図10のフローチャートにおけるステップS22で示したように、次の数4に従って算出される。
【0072】
【数4】
Ve = Vm−R・Ima・Dir
ここで、Rはパワーアシストモータ3およびそのハーネス等の回路抵抗である。そして、本変形態様では、リセット電圧値Vrstは次の数5によって逆起電力Veに相当する値として設定される。
【0073】
【数5】
Vrst = Ve・Dir
たとえばモータ回転数θm’が正であるときに、方向指令値Dirが1から−1に反転したとすると、そのときの逆起電力Veの符号はモータ回転数θm’の符号と同じ正である。すると、リセット電圧値Vrstは、Dir=−1であるから、この数5に従って−Veという負の値になり、デューティ比Dtは0%に設定されるので、パワーアシストモータ3の逆起電力Veに起因する電流パルスの発生は防止される。逆に、モータ回転数θm’が負の時に方向指令値Dirが−1から1に反転すると、逆起電力Veの符号は負であるが、リセット電圧値Vrstの符号も負であるから、やはりデューティ比Dtは0%に設定される。その結果、いずれの場合にも、方向指令値Dirが反転するとデューティ比Dtは0%に設定されるので、パワーアシストモータ3の逆起電力Veに起因する電流パルスの発生は防止される。
【0074】
一方、モータ回転数θm’が正であるときに方向指令値Dirが1に反転する場合や、逆にモータ回転数θm’が負であるときに方向指令値Dirが−1に反転する場合も、まれに起こりうる。これらの場合には、いずれもモータ回転数θm’と方向指令値Dirとが同符号であるので、制限駆動電圧Vdgのリセットは行われない。それゆえ、これらの場合には継続的にパワーアシストモータ3の逆起電力Veにうち勝つ制限駆動電圧Vdgが維持され、駆動電流Imの電流指令値Icに対する追随性は確保される。
【0075】
すなわち本変形態様では、制限駆動電圧Vdgがリセットされるリセット電圧値Vrstは、パワーアシストモータ3に発生する逆起電力Veに対抗する値である。つまり、回転中のパワーアシストモータ3には逆起電力Veが発生しているので、逆起電力Veに対抗する値に制限駆動電圧Vdgをリセットしてやるわけである。すると、デューティ比Dtが0%に設定されるので、リセット直後にはパワーアシストモータ3の駆動力はなくなり、パワーアシストモータ3の駆動状態の切替えがよりスムースに行われるようになる。
【0076】
したがって本変形態様によれば、前述の実施例2の効果に加えて、パワーアシストモータ3の駆動状態の切替えがよりスムースに行われるようになるという効果がある。
(実施例2の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、運転中のハンドル切り返し時だけではなく、始動時と、異常停止状態からの復帰時とにも、制限駆動電圧Vdgのリセットが行われる制御ロジックを持つ電動パワーステアリング制御装置の実施が可能である。すなわち本変形態様では、実施例2と同様のハンドル切り返し時に加えて、イグニッションスイッチ操作による電源投入後のパワーアシストモータ3の始動時と、フェールセーフ手段の作動による電流異常時の駆動停止状態から正常状態への復帰に際してのパワーアシストモータ3の再始動時とに、制限駆動電圧Vdgがリセットされる。
【0077】
すなわち、本変形態様の電動パワーステアリング制御装置の要部構成は、図8を参照して説明した実施例2の構成において、補償項リセット演算手段24’の判定ロジックに改修が加えられたものとしてとらえることができる。本変形態様の電動パワーステアリング制御装置における主要な制御ロジックは、図13に示すように、図9を参照して説明した実施例2の制御ロジックに判断ステップS11’が加わったものである。判断ステップS11’では、電動パワーステアリング装置のシステムチェックの結果、異常発見によるパワーアシストモータ3の駆動禁止状態から駆動許可状態に復帰した瞬間にも、制限駆動電圧Vdgのリセットが行われる。
【0078】
それゆえ、電動パワーステアリング装置のシステムチェックで異常が発見されパワーアシストモータ3の駆動が禁止されている状態から、駆動を許可されている状態に復帰した瞬間に、大きくなったままの制限駆動電圧Vdgにより過大な駆動電流Imがインパルス的に発生するような不都合は防止されている。その結果、パワーアシストモータ3の駆動力の復帰が徐々に行われるので、復帰直後に運転者が力余ってハンドルを切りすぎてしまうような不都合は防止され、異常時からの回復時においても、操舵感覚が改善されるという効果がある。
【0079】
この際、電動パワーステアリング装置のシステムチェックには、図14に示すように、自己診断ロジックがマイクロコンピュータ100のCPU111(図2参照)に組み込まれており、この自己診断ロジックがシステム初期化とシステムチェックとを行う。すなわち、イグニッションスイッチをオンにすると、他のロジックに先立って処理ステップS31でシステム初期化が行われる。すなわち、マイクロコンピュータ100のメモリの初期化や、前述の制御ロジックを含む各種割り込み処理の初期化が行われ、パワーアシストモータ3は駆動禁止状態に初期設定される。
【0080】
そして、所定の周期でシステムチェックのルーチン(ステップS32〜S37)が実行される。すなわち、処理ステップS32においては、操舵トルク信号Tqが正常か、電流検出値Imaの値が正常かなどの各種診断が行われ、その結果をもって判断ステップS33で異常なしか否かが判定される。判断ステップS33で異常なしと判定された場合には、処理ステップS34でパワーアシストモータ3の駆動を許可する判定フラッグが立てられる。そして、システムチェックのルーチンが繰り返されるたびに、処理ステップS35で、駆動電流Imaの制限値である電流制限値Igdが正常状態の所定値に達するまで徐々に増大させられる。逆に、判断ステップ33Sで異常ありと判定された場合には、パワーアシストモータ3の暴走を防止するために、処理ステップS36で電流制限値Idgを即時ゼロにセットし、処理ステップS37で駆動を許可する判定フラッグが寝かされてパワーアシストモータ3の駆動が禁止される。
【0081】
前述の制御ロジック(図13参照)では、判断ステップS11’でこの判定フラッグが禁止状態から許可状態に変化したか否かが判定される。その結果、この判定フラッグが禁止状態から許可状態に変化した場合には、前述のように、制限駆動電圧Vdgがリセット電圧値Vrstにリセットされてデューティ比Dtがいったん0%になる。それゆえ、パワーアシストモータ3が徐々に立ち上がるので、始動時にも異常状態からの復帰時にもパワーアシストモータ3の駆動力が徐々に増すようになっており、運転者が操舵感覚の急変に驚かされるような不都合は防止されている。
【0082】
なお、本変形態様における電流指令値演算手段10(図3参照)での演算処理は、図15に示すフローチャートに従って行われている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1を含む電動パワーステアリング装置の構成を示す模式図
【図2】 実施例1としての電動パワーステアリング制御装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】 実施例1の構成を示すブロック図
【図4】 実施例1の直流モータ駆動装置がもつ制御ロジックを示す流れ図
【図5】 実施例1の効果を模式的に示すグラフ
【図6】 実施例1の変形態様1の直流モータ駆動装置がもつ制御ロジックを示す流れ図
【図7】 実施例1の変形態様2の構成を示すブロック図
【図8】 実施例2としての電動パワーステアリング制御装置の要部構成を示すブロック図
【図9】 実施例2の直流モータ駆動装置の制御ロジックを示す流れ図
【図10】実施例2での回転数演算手順を示す流れ図
【図11】実施例2の効果を模式的に示すグラフ
【図12】実施例2の効果を実験的に示すグラフ
【図13】実施例2の変形態様2の直流モータ駆動装置がもつ制御ロジックを示す流れ図
【図14】実施例2の変形態様2の自己診断ロジックを示す流れ図
【図15】実施例2の変形態様2の予備演算ロジックを示す流れ図
【図16】通常の電動パワーステアリング制御装置の概略構成を示すブロック図
【図17】通常の電流制御手段の構成を示すブロック図
【図18】通常の電動パワーステアリング制御装置の不都合を示すグラフ
【符号の説明】
1:トルクセンサ 2:車速センサ
3:パワーアシストモータ(直流モータとして)
4:バッテリ 5:リレー
1000:ECU(電動パワーステアリング制御装置として)
100:マイクロコンピュータ 111:CPU
10:電流指令値演算手段
11:A/D変換器 12:パルス計測手段
13:位相補償演算手段 14:電流マップ演算手段
15:慣性補償演算手段(微分演算) 16:加算手段
20:直流モータ駆動手段(30,40とで直流モータ駆動装置として)
21:絶対値演算手段 22:減算手段 23:方向指令演算手段
24,24’:補償項リセット演算手段 25:PI制御演算手段
26:デューティ比演算手段 27,27’:駆動回路
25’:PI制御演算回路
251:オペアンプ(電流検出手段として)
26’:デューティ比設定回路
261:コンパレータ 262:三角波発生回路
28:オペアンプ(端子電圧検出用)
28’:A/D変換器 29:回転数演算手段
30:Hブリッヂ回路
31,32,33,34:パワートランジスタ(MOS−FET)
40:電流検出手段
41:シャント抵抗 42:オペアンプ 43:A/D変換器
Dir:方向指令値(−1,0,1) Dt:デューティ比(0〜100%)
Ic:電流指令値 Ica:電流指令値(絶対値)
Icb:基本電流指令値 Ici:慣性補償電流指令値
Id:電流偏差 Irst:リセット電流値(負のリセット値として)
Im:電流検出値(駆動電流) Ima:電流検出値(絶対値)
Tq:操舵トルク信号 V:車速信号
Vd:駆動電圧 Vdg:制限駆動電圧(制限後の駆動電圧)
Vlim:駆動電圧制限値 Vrst:リセット電圧値(リセット値として)
θm’:モータ回転数(角速度)
Claims (6)
- 四つのパワートランジスタをもち直流モータにパルス幅変調された駆動電流を流して該直流モータを駆動するHブリッヂ回路と、
該駆動電流の絶対値を検知して電流検出値とする電流検出手段と、
該直流モータに流すべき電流を定める電流指令値の絶対値と該電流検出値との電流偏差に基づいてPIDのうち少なくともPIフィードバックを行い、該駆動電流に適正なデューティ比を設定して該Hブリッヂ回路を制御する電流制御手段とを有し、
該電流指令値の正負が切り替わって該直流モータの回転方向を切替えることがある直流モータ駆動装置において、
前記電流制御手段は、前記直流モータの駆動状態の所定の切替え時に、前記フィードバックの各成分のうち少なくとも積分補償項を、適正なリセット値にリセットする補償項リセット演算手段をもち、
前記所定の切替え時は、前記電流指令値の正負が切り替わり、かつ、該電流指令値の方向が前記直流モータの回転方向と異なるときであることを特徴とする、
直流モータ駆動装置。 - 前記所定の切替え時は、請求項1のときに加え、電源投入後の前記直流モータの始動時と、電流異常時の駆動停止状態から正常状態への復帰に際しての該直流モータの再始動時とのうち、少なくとも一方である、
請求項1に記載の直流モータ駆動装置。 - 前記リセット値は、正の所定値以下である、
請求項1記載の直流モータ駆動装置。 - 前記リセット値は、負の所定値以上である、
請求項3記載の直流モータ駆動装置。 - 前記リセット値は、前記直流モータに発生する誘起電圧に対抗する値である、
請求項1記載の直流モータ駆動装置。 - ステアリングシャフトにかかる操舵トルクの検出値である操舵トルク信号と操舵車輪を持つ車両の速度の検出値である車速信号とに基づいて電流指令値を定める電流指令値演算手段と、
請求項1ないし請求項5に記載の直流モータ駆動装置と、
を有し、操舵力を高めるパワーアシストモータとしての直流モータを駆動することを特徴とする、
電動パワーステアリング制御装置。
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