JP3980023B2 - リリーフバルブ付き油圧式テンショナ - Google Patents
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Description
本発明は、車両用エンジンのタイミングチェーン等に適正な張力を付与するために使用されるリリーフバルブ付き油圧式テンショナに関するものである。
従来、リリーフバルブ付き油圧式テンショナとして、ハウジングと、ハウジングに形成されたプランジャ収容孔に摺動自在に挿入された底付き中空円筒状のプランジャと、プランジャを一方の端部がハウジングの外部に突出するように付勢するプランジャ付勢用ばねと、プランジャ収容孔とプランジャとによって形成される高圧油室と、ハウジングに組み込まれ高圧油室に油を流入させ逆流を阻止するチェックバルブと、プランジャの中空部内に組み込まれたリリーフバルブとを有し、リリーフバルブはプランジャの中空部内に圧入されるリリーフバルブシートと、リリーフバルブシートに摺動自在に挿入される弁体と、弁体を付勢する弁体付勢用ばねと、プランジャの中空部内に圧入され弁体付勢用ばねを支持する底付き中空円筒状のばね受けプラグとから構成され、リリーフバルブシートは、複数の半径方向リリーフ孔とこの半径方向リリーフ孔に連通する複数のシート軸方向凹状溝とを有し、リリーフバルブシートはプランジャの内周面に圧入されたときプランジャの内周面とシート軸方向凹状溝とによりシート軸方向油通路を形成し、ばね受けプラグは、プランジャの内周面に圧入されたときプランジャの内周面との間に形成されるプラグ軸方向油通路とこのプラグ軸方向油通路に連通するプラグ半径方向油溝とを有し、プラグ半径方向油溝はプランジャの端部に形成した排出口に連通するリリーフバルブ付き油圧式テンショナにおいて、ばね受けプラグがプランジャの内周面に圧入されたときプランジャの内周面との間に形成されるプラグ軸方向油通路は、ばね受けプラグの外周面に形成された複数のプラグ軸方向凹状溝により形成されているものがある（例えば、特許文献１参照）。
特許第３３５６７６２号公報
しかしながら、上記特許第３３５６７６２号公報に開示されたリリーフバルブ付き油圧式テンショナにおいては、次のような問題がある。
すなわち、ばね受けプラグがプランジャの内周面に圧入されたときプランジャの内周面との間に形成されるプラグ軸方向油通路は、ばね受けプラグの外周面に形成された複数のプラグ軸方向凹状溝により形成されているため、リリーフバルブシートの外周面に形成されるシート軸方向油通路とばね受けプラグの外周面に形成されるプラグ軸方向油通路との位相差（すなわち、両者の円周方向のずれ）が生じると、この位相差の大小により、油の流動特性に変動が生じる。そして、この油の流動特性の変動は、リリーフバルブの性能にばらつきを生じさせるという問題がある。
また、ばね受けプラグの外周面に形成された複数のプラグ軸方向凹状溝は、ばね受けプラグに必要とする剛性を確保するためにはプラグ軸方向凹状溝の溝深さを深くすることに限界があるという問題もある。
さらに、このプラグ軸方向凹状溝は機械加工によるため長い加工時間を要し、このプラグ軸方向凹状溝の機械加工はばね受けプラグの生産性向上に対するネック工程となっているという問題もある。
すなわち、ばね受けプラグがプランジャの内周面に圧入されたときプランジャの内周面との間に形成されるプラグ軸方向油通路は、ばね受けプラグの外周面に形成された複数のプラグ軸方向凹状溝により形成されているため、リリーフバルブシートの外周面に形成されるシート軸方向油通路とばね受けプラグの外周面に形成されるプラグ軸方向油通路との位相差（すなわち、両者の円周方向のずれ）が生じると、この位相差の大小により、油の流動特性に変動が生じる。そして、この油の流動特性の変動は、リリーフバルブの性能にばらつきを生じさせるという問題がある。
また、ばね受けプラグの外周面に形成された複数のプラグ軸方向凹状溝は、ばね受けプラグに必要とする剛性を確保するためにはプラグ軸方向凹状溝の溝深さを深くすることに限界があるという問題もある。
さらに、このプラグ軸方向凹状溝は機械加工によるため長い加工時間を要し、このプラグ軸方向凹状溝の機械加工はばね受けプラグの生産性向上に対するネック工程となっているという問題もある。
そこで、本発明は、前述したような従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、リリーフバルブシートのシート軸方向油通路とばね受けプラグのプラグ軸方向油通路との位相差による油の流動性への影響を大幅に低減するとともに、ばね受けプラグの外周面に機械加工による溝加工を行うことなくプランジャの内周面とばね受けプラグの外周面との間にプラグ軸方向油通路を形成し、しかも、ばね受けプラグをプランジャへ組み込む圧入作業が容易になるリリーフバルブ付き油圧式テンショナを提供することである。
前記課題を解決するために、請求項１記載の発明は、ハウジングと、該ハウジングに形成されたプランジャ収容孔に摺動自在に挿入された底付き中空円筒状のプランジャと、該プランジャを一方の端部がハウジングの外部に突出するように付勢するプランジャ付勢用ばねと、前記プランジャ収容孔とプランジャとによって形成される高圧油室と、前記ハウジングに組み込んで高圧油室に油を流入させて逆流を阻止するチェックバルブと、前記プランジャの中空部内に組み込んだリリーフバルブとを有しているとともに、前記リリーフバルブが前記プランジャの中空部内に圧入されたリリーフバルブシートと、該リリーフバルブシートに摺動自在に挿入された弁体と、該弁体を付勢する弁体付勢用ばねと、前記プランジャの中空部内に圧入されて弁体付勢用ばねを支持する底付き中空円筒状のばね受けプラグとから構成され、前記リリーフバルブシートが複数のシート半径方向リリーフ孔と該シート半径方向リリーフ孔に連通する複数のシート軸方向凹状溝とを有して前記プランジャの内周面とシート軸方向凹状溝とでシート軸方向油通路を形成し、前記ばね受けプラグが前記プランジャの内周面との間に形成されるプラグ軸方向油通路と該プラグ軸方向油通路に連通するプラグ半径方向油溝とを有し、該プラグ半径方向油溝が前記プランジャの端部に形成した排出口に連通しているリリーフバルブ付き油圧式テンショナにおいて、前記ばね受けプラグが前記プランジャの内周面に圧入される大径プラグ部と該大径プラグ部より小径の小径プラグ部とを有しているとともに、前記プラグ軸方向油通路が前記大径プラグ部の外周面に形成した複数のプラグ軸方向平坦部とプランジャの内周面との間に形成されているものである。
前記課題を解決するために、請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明に加えて、前記プラグ軸方向平坦部が鍛造工程で形成されているものである。
請求項１記載の発明によれば、ばね受けプラグの外周面に形成されるプラグ軸方向油通路がばね受けプラグのプラグ軸方向平坦部とプランジャの内周面との間で形成されているので、リリーフバルブシートのシート軸方向油通路とばね受けプラグのプラグ軸方向油通路との位相差による油の流動性への影響を低減できる。
また、ばね受けプラグの外周面に形成されるプラグ軸方向油通路が、ばね受けプラグの複数のプラグ軸方向平坦部により形成されているので、ばね受けプラグの外周面に機械加工による溝加工を行う必要がなく、ばね受けプラグの生産性が向上し、生産コストも低減できる。
また、ばね受けプラグの外周面に形成されるプラグ軸方向油通路が、ばね受けプラグの複数のプラグ軸方向平坦部により形成されているので、ばね受けプラグの外周面に機械加工による溝加工を行う必要がなく、ばね受けプラグの生産性が向上し、生産コストも低減できる。
そして、ばね受けプラグが大径プラグ部と小径プラグ部とを有し、大径プラグ部のみがプランジャの内周面に圧入され、大径プラグ部の外周面に複数のプラグ軸方向平坦部を有するので、ばね受けプラグのプラグ軸方向油通路が小径プラグ部の部分だけ短くなり、油の流動性がさらに改善される。また、ばね受けプラグをプランジャへ圧入の際の嵌合長さが大径プラグ部のみであって小径プラグ部の部分だけ短いので、ばね受けプラグをプランジャへ組み込む圧入作業が容易になる。
請求項２記載の発明によれば、請求項１記載の発明が奏する効果に加えて、ばね受けプラグの外周面に形成されるプラグ軸方向平坦部が鍛造工程で形成されているので、機械加工に比してばね受けプラグの生産性が向上し、生産コストもさらに低減できる。
本発明のリリーフバルブ付き油圧式テンショナは、プランジャの中空部内に組み込まれたリリーフバルブを構成するばね受けプラグを改良してリリーフバルブの性能のばらつきを低減でき、かつ、ばね受けプラグの生産性が向上するもので、その実施例について以下に説明する。
まず、本発明のリリーフバルブ付き油圧式テンショナを説明するにあたり、その理解を助けるための参考例について説明する。
そこで、図１は、リリーフバルブ付き油圧式テンショナの使用態様図であり、図２は、本発明の理解を助けるための参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナの断面図であって、図３は、図２のリリーフバルブを構成するばね受けプラグの正面図であり、図４は、図３のばね受けプラグの右端面図であり、図５は、図３のばね受けプラグの左端面図である。
そこで、図１は、リリーフバルブ付き油圧式テンショナの使用態様図であり、図２は、本発明の理解を助けるための参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナの断面図であって、図３は、図２のリリーフバルブを構成するばね受けプラグの正面図であり、図４は、図３のばね受けプラグの右端面図であり、図５は、図３のばね受けプラグの左端面図である。
図１に示すように、本発明の理解を助けるための参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられた駆動側スプロケット１０１と、カムシャフトに取り付けられた被駆動側スプロケット１０２との間に掛け渡されているタイミングチェーン１０３の弛み側でハウジング２の取付孔２ｂに取付ボルトを挿入してエンジン本体に取り付けられている。
このリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１は、そのハウジング２の前面からプランジャ３が出没自在に突出しており、プランジャ３が支軸１０４でエンジン本体側に揺動自在に支持されているレバー１０５の揺動端近傍の背面を押圧することにより、レバー１０５を介してタイミングチェーン１０３の弛み側に張力を付与している。
また、タイミングチェーン１０３の張り側には、タイミングチェーン１０３の走行を案内するガイド１０６がエンジン本体側に取り付けられている。
そして、駆動側スプロケット１０１が矢印の方向に回転すると、タイミングチェーン１０３は矢印の方向に走行し、このタイミングチェーン１０３の走行により被駆動側スプロケット１０２が矢印の方向に回転する。
これにより、駆動側スプロケット１０１の回転が被駆動側スプロケット１０２に伝達される。
このリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１は、そのハウジング２の前面からプランジャ３が出没自在に突出しており、プランジャ３が支軸１０４でエンジン本体側に揺動自在に支持されているレバー１０５の揺動端近傍の背面を押圧することにより、レバー１０５を介してタイミングチェーン１０３の弛み側に張力を付与している。
また、タイミングチェーン１０３の張り側には、タイミングチェーン１０３の走行を案内するガイド１０６がエンジン本体側に取り付けられている。
そして、駆動側スプロケット１０１が矢印の方向に回転すると、タイミングチェーン１０３は矢印の方向に走行し、このタイミングチェーン１０３の走行により被駆動側スプロケット１０２が矢印の方向に回転する。
これにより、駆動側スプロケット１０１の回転が被駆動側スプロケット１０２に伝達される。
図２に示す本発明の理解を助けるための参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１は、ハウジング２と、ハウジング２に形成されたプランジャ収容孔２ａに摺動自在に挿入された底付き中空円筒状のプランジャ３と、プランジャ３を一方の端部がハウジング２の外部に突出するようにばね付勢するプランジャ付勢用ばね４と、ハウジング２のプランジャ収容孔２ａとプランジャ３の中空部３ａとによって形成される高圧油室５と、ハウジング２に組み込まれ高圧油室５に油を流入させ逆流を阻止するチェックバルブ６と、プランジャ３の中空部３ａ内に組み込まれたリリーフバルブ１１とを有している。
そして、プランジャ付勢用ばね４は、ハウジング２のプランジャ収容孔２ａとプランジャ３の中空部３ａ内に配置され、プランジャ３を一方の端部がハウジング２の外部に突出するように付勢している。
また、チェックバルブ６は、ハウジング２のプランジャ収容孔２ａの底部に取り付けられており、プランジャ収容孔２ａの底部に圧入されたボールシート７とチェックボール８とチェックボール付勢用ばね９とチェックボール付勢用ばね９を支持するリテーナ１０とから構成されている。
そして、チェックバルブ６は、ボールシート７の給油路７ａを通して外部から供給される油が高圧油室５へ流入するのを許容し高圧油室５から油が流出するのを阻止する。
そして、チェックバルブ６は、ボールシート７の給油路７ａを通して外部から供給される油が高圧油室５へ流入するのを許容し高圧油室５から油が流出するのを阻止する。
リリーフバルブ１１は、プランジャ３の中空部３ａ内に圧入されるリリーフバルブシート１２と、リリーフバルブシート１２に摺動自在に挿入される弁体１３と、弁体１３を付勢する弁体付勢用ばね１４と、プランジャ３の中空部３ａ内に圧入されて弁体付勢用ばね１４を支持する底付き中空円筒状のばね受けプラグ１５とから構成されている。
また、リリーフバルブシート１２は、高圧油室５に開口する段付連通孔１２ａが中心部に形成され、この段付連通孔１２ａに開口する４個のシート半径方向リリーフ孔１２ｂが形成され、さらに、その外周面には、４個のシート軸方向凹状溝１２ｃが形成されており、このシート軸方向凹状溝１２ｃは、シート半径方向リリーフ孔１２ｂに連通している。
また、段付連通孔１２ａの肩部は、後述する弁体１３の軸部１３ａが当接する弁座を構成している。
そして、図２に示すように、リリーフバルブシート１２がプランジャ３の内周面に圧入されて、プランジャ３の内周面とシート軸方向凹状溝１２ｃとにより４個のシート軸方向油通路１２ｄがそれぞれ形成される。
また、段付連通孔１２ａの肩部は、後述する弁体１３の軸部１３ａが当接する弁座を構成している。
そして、図２に示すように、リリーフバルブシート１２がプランジャ３の内周面に圧入されて、プランジャ３の内周面とシート軸方向凹状溝１２ｃとにより４個のシート軸方向油通路１２ｄがそれぞれ形成される。
弁体１３は、軸部１３ａとつば部１３ｂと支持突起１３ｃが一体に形成されている。
そして、軸部１３ａは、リリーフバルブシート１２の段付連通孔１２ａに摺動自在に嵌め込まれ、つば部１３ｂは、後述するばね受けプラグ１５のストッパ面と対向し、支持突起１３ｃは、弁体付勢用ばね１４の端部を支持している。
そして、軸部１３ａは、リリーフバルブシート１２の段付連通孔１２ａに摺動自在に嵌め込まれ、つば部１３ｂは、後述するばね受けプラグ１５のストッパ面と対向し、支持突起１３ｃは、弁体付勢用ばね１４の端部を支持している。
弁体付勢用ばね１４は、弁体１３とばね受けプラグ１５の底部との間に圧縮状態で配置され、弁体１３をリリーフバルブシート１２の段付連通孔１２ａの肩部、すなわち、弁座に当接するように付勢している。
図３，４，５に示すように、ばね受けプラグ１５は、底付き中空円筒状に形成されている。
そして、その外周面には、プラグ軸方向全長に亘って４個のプラグ軸方向平坦部１５ａが形成され、その底側の端面には、プラグ半径方向に４個のプラグ半径方向凹状溝１５ｂが形成されている。
４個のプラグ軸方向平坦部１５ａは、機械加工ではなく、鍛造工程で形成されている。 また、各プラグ軸方向平坦部１５ａは、それぞれ各プラグ半径方向凹状溝１５ｂに連通している。
さらに、ばね受けプラグ１５の底部には、プラグ軸方向の貫通孔１５ｃが形成されており、弁体１３と対向する側のプラグ端面は弁体１３が当接するストッパ面となっている。
そして、図２に示すように、ばね受けプラグ１５がプランジャ３の内周面に圧入されると、プランジャ３の内周面とプラグ軸方向平坦部１５ａとにより、４個の半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄが形成され、プランジャ３の底面とプラグ半径方向凹状溝１５ｂとにより、プラグ半径方向油溝１５ｅが形成されている。
さらに、プラグ半径方向油溝１５ｅは、プランジャ３の端部に形成した排出口３ｃに連通している。
そして、その外周面には、プラグ軸方向全長に亘って４個のプラグ軸方向平坦部１５ａが形成され、その底側の端面には、プラグ半径方向に４個のプラグ半径方向凹状溝１５ｂが形成されている。
４個のプラグ軸方向平坦部１５ａは、機械加工ではなく、鍛造工程で形成されている。 また、各プラグ軸方向平坦部１５ａは、それぞれ各プラグ半径方向凹状溝１５ｂに連通している。
さらに、ばね受けプラグ１５の底部には、プラグ軸方向の貫通孔１５ｃが形成されており、弁体１３と対向する側のプラグ端面は弁体１３が当接するストッパ面となっている。
そして、図２に示すように、ばね受けプラグ１５がプランジャ３の内周面に圧入されると、プランジャ３の内周面とプラグ軸方向平坦部１５ａとにより、４個の半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄが形成され、プランジャ３の底面とプラグ半径方向凹状溝１５ｂとにより、プラグ半径方向油溝１５ｅが形成されている。
さらに、プラグ半径方向油溝１５ｅは、プランジャ３の端部に形成した排出口３ｃに連通している。
また、ハウジング２には、プランジャ３の外周面に形成されたラック３ｂに係合する爪体１６が、爪体付勢用ばね１７に付勢されて支軸１８により揺動可能に取り付けられている。この場合、ラック３ｂと爪体１６の爪との間には、バックラッシを有している。
このようにして、ラック３ｂと爪体１６と爪体付勢用ばね１７と支軸１８とは、プランジャ３の後退を阻止するプランジャ後退阻止機構を構成している。
このようにして、ラック３ｂと爪体１６と爪体付勢用ばね１７と支軸１８とは、プランジャ３の後退を阻止するプランジャ後退阻止機構を構成している。
そこで、図２に示す本発明の理解を助けるための参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１の作用を以下に説明する。
高圧油室５内は、常時チェックバルブ６を介して外部からオイルポンプにより油が供給されている。
タイミングチェーン１０３が弛むと、プランジャ付勢用ばね４で常時付勢されているプランジャ３は外部に突出し、チェックバルブ６が解放し、油が高圧油室５に流入する。
高圧油室５内は、常時チェックバルブ６を介して外部からオイルポンプにより油が供給されている。
タイミングチェーン１０３が弛むと、プランジャ付勢用ばね４で常時付勢されているプランジャ３は外部に突出し、チェックバルブ６が解放し、油が高圧油室５に流入する。
タイミングチェーン１０３からリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１に作用する衝撃力を受けてプランジャ３がプランジャ付勢用ばね４の付勢力に抗してプランジャ収容孔２ａ内に押し込まれると、ラック３ｂと爪体１６の爪とのバックラッシの範囲内でプランジャ３が後退する。
このとき、高圧油室５内の油圧が上昇しチェックバルブ６により油の逆流が阻止される。その結果、高圧油室５内の油圧はさらに高くなる。このとき、リリーフバルブ１１を構成するリリーフバルブシート１２の段付連通孔１２ａを通じて弁体１３に油圧が作用し、弁体１３が後退する。
さらに油圧が高くなると、弁体１３がさらに後退してシート半径方向リリーフ孔１２ｂが解放され、油は、シート半径方向リリーフ孔１２ｂからシート軸方向油通路１２ｄを流れ、さらに半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄとプラグ半径方向油溝１５ｅを通じてプランジャ３の排出口３ｃから外部に排出される。
このとき、高圧油室５内の油圧が上昇しチェックバルブ６により油の逆流が阻止される。その結果、高圧油室５内の油圧はさらに高くなる。このとき、リリーフバルブ１１を構成するリリーフバルブシート１２の段付連通孔１２ａを通じて弁体１３に油圧が作用し、弁体１３が後退する。
さらに油圧が高くなると、弁体１３がさらに後退してシート半径方向リリーフ孔１２ｂが解放され、油は、シート半径方向リリーフ孔１２ｂからシート軸方向油通路１２ｄを流れ、さらに半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄとプラグ半径方向油溝１５ｅを通じてプランジャ３の排出口３ｃから外部に排出される。
図２に示すリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１によれば、ばね受けプラグ１５の外周面に形成される半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄは、ばね受けプラグ１５のプラグ軸方向平坦部１５ａとプランジャ３の内周面との間に形成されているので、リリーフバルブシート１２のシート軸方向油通路１２ｄとばね受けプラグ１５の半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄとの位相差による油の流動性への影響を低減している。
また、ばね受けプラグ１５の外周面に形成される半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄは、ばね受けプラグ１５の複数のプラグ軸方向平坦部１５ａにより形成されるので、ばね受けプラグ１５の外周面に機械加工による溝加工を行う必要がなく、ばね受けプラグ１５の生産性が向上し、生産コストも低減している。
また、ばね受けプラグ１５の外周面に形成されるプラグ軸方向平坦部１５ａは、鍛造工程で形成されるので、機械加工に比してばね受けプラグ１５の生産性が向上し、生産コストも低減している。
また、ばね受けプラグ１５の外周面に形成される半月状のプラグ軸方向油通路１５ｄは、ばね受けプラグ１５の複数のプラグ軸方向平坦部１５ａにより形成されるので、ばね受けプラグ１５の外周面に機械加工による溝加工を行う必要がなく、ばね受けプラグ１５の生産性が向上し、生産コストも低減している。
また、ばね受けプラグ１５の外周面に形成されるプラグ軸方向平坦部１５ａは、鍛造工程で形成されるので、機械加工に比してばね受けプラグ１５の生産性が向上し、生産コストも低減している。
そこで、本発明のリリーフバルブ付き油圧式テンショナの実施例について説明する。
図６は、本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナの断面図であって、図７は、図６のリリーフバルブを構成するばね受けプラグの正面図であり、図８は、図７のばね受けプラグの右端面図であり、図９は、図７のばね受けプラグの左端面図である。
図６は、本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナの断面図であって、図７は、図６のリリーフバルブを構成するばね受けプラグの正面図であり、図８は、図７のばね受けプラグの右端面図であり、図９は、図７のばね受けプラグの左端面図である。
図６に示す本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１は、前述した図２に示す本発明の参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１と同様に、図１に示すように、エンジン本体に取り付けて使用される。
本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１と前述した図２に示す本発明の参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１とを対比すると、リリーフバルブ１１を構成するばね受けプラグの構造が相違するのみで、その他の構成は、本発明の参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１と同じであるので、同一部材については同一符号を付して重複する説明を省略し、以下、相違する点、すなわち、リリーフバルブ１１を構成するばね受けプラグ２５を中心に説明する。
まず、図６に示す本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１は、リリーフバルブ１１を構成するばね受けプラグ２５が組み込まれている。
図７，８，９に示すように、本発明の実施例におけるばね受けプラグ２５は、底付き中空円筒状に形成されており、大径プラグ部２５ａとこの大径プラグ部２５ａより小径の小径プラグ部２５ｂを有し、大径プラグ部２５ａと小径プラグ部２５ｂとの間に傾斜部２５ｃを有している。
さらに、大径プラグ部２５ａの外周面には、軸方向全長に亘って４個のプラグ軸方向平坦部２５ｄが形成され、その底側の端面には、半径方向に４個のプラグ半径方向凹状溝２５ｅが形成されている。
４個のプラグ軸方向平坦部２５ｄは、機械加工ではなく、鍛造工程で形成されている。
また、各プラグ軸方向平坦部２５ｄは、それぞれ各プラグ半径方向凹状溝２５ｅに連通している。
さらに、ばね受けプラグ２５の底部には、プラグ軸方向の貫通孔２５ｆが形成されており、弁体１３と対向する側のプラグ端面は、弁体１３が当接するストッパ面となっている。
そして、図６に示すように、ばね受けプラグ２５の大径プラグ部２５ａがプランジャ３の内周面に圧入されると、プランジャ３の内周面とプラグ軸方向平坦部２５ｄとにより、４個の半月状のプラグ軸方向油通路２５ｇが形成され、プランジャ３の底面とプラグ半径方向凹状溝２５ｅとにより、プラグ半径方向油溝２５ｈが形成されている。
さらに、このプラグ半径方向油溝２５ｈは、プランジャ３の端部に形成した排出口３ｃに連通している。
さらに、大径プラグ部２５ａの外周面には、軸方向全長に亘って４個のプラグ軸方向平坦部２５ｄが形成され、その底側の端面には、半径方向に４個のプラグ半径方向凹状溝２５ｅが形成されている。
４個のプラグ軸方向平坦部２５ｄは、機械加工ではなく、鍛造工程で形成されている。
また、各プラグ軸方向平坦部２５ｄは、それぞれ各プラグ半径方向凹状溝２５ｅに連通している。
さらに、ばね受けプラグ２５の底部には、プラグ軸方向の貫通孔２５ｆが形成されており、弁体１３と対向する側のプラグ端面は、弁体１３が当接するストッパ面となっている。
そして、図６に示すように、ばね受けプラグ２５の大径プラグ部２５ａがプランジャ３の内周面に圧入されると、プランジャ３の内周面とプラグ軸方向平坦部２５ｄとにより、４個の半月状のプラグ軸方向油通路２５ｇが形成され、プランジャ３の底面とプラグ半径方向凹状溝２５ｅとにより、プラグ半径方向油溝２５ｈが形成されている。
さらに、このプラグ半径方向油溝２５ｈは、プランジャ３の端部に形成した排出口３ｃに連通している。
上記のように構成される本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１の作用は、本発明の参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１と略同様であるので、その説明は省略する。
本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１によれば、ばね受けプラグ２５は、大径プラグ部２５ａとこの大径プラグ部２５ａより小径の小径プラグ部２５ｂとを有し、大径プラグ部２５ａのみがプランジャ３の内周面に圧入され、大径プラグ部２５ａの外周面に複数のプラグ軸方向平坦部２５ｄを有しているので、本発明の参考例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ１について記載した効果の他に、次のような効果を有する。
すなわち、本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１によれば、ばね受けプラグ２５の半月状のプラグ軸方向油通路２５ｇが小径プラグ部２５ｂの部分だけ短くなり、油の流動性がさらに改善される。
また、ばね受けプラグ２５をプランジャ３へ圧入の際の嵌合長さが大径プラグ部２５ａのみであって小径プラグ部２５ｂの部分だけ短いので、ばね受けプラグ２５をプランジャ３へ組み込む圧入作業が容易になる。
すなわち、本発明の実施例であるリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１によれば、ばね受けプラグ２５の半月状のプラグ軸方向油通路２５ｇが小径プラグ部２５ｂの部分だけ短くなり、油の流動性がさらに改善される。
また、ばね受けプラグ２５をプランジャ３へ圧入の際の嵌合長さが大径プラグ部２５ａのみであって小径プラグ部２５ｂの部分だけ短いので、ばね受けプラグ２５をプランジャ３へ組み込む圧入作業が容易になる。
なお、上述した本実施例のリリーフバルブ付き油圧式テンショナ２１では、ラック３ｂと爪体１６と爪体付勢用ばね１７と支軸１８とで構成されるプランジャ後退阻止機構を有しているが、本発明は、このようなプランジャ後退阻止機構を有しないリリーフバルブ付き油圧式テンショナにも適用することができる。
１，２１・・・リリーフバルブ付き油圧式テンショナ
２ ・・・ハウジング
２ａ ・・・プランジャ収容孔
２ｂ ・・・取付孔
３ ・・・プランジャ
３ａ ・・・中空部
３ｂ ・・・ラック
３ｃ ・・・排出口
４ ・・・プランジャ付勢用ばね
５ ・・・高圧油室
６ ・・・チェックバルブ
７ ・・・ボールシート
７ａ ・・・給油路
８ ・・・チェックボール
９ ・・・チェックボール付勢用ばね
１０ ・・・リテーナ
１１ ・・・リリーフバルブ
１２ ・・・リリーフバルブシート
１２ａ ・・・段付連通孔
１２ｂ ・・・半径方向リリーフ孔
１２ｃ ・・・軸方向凹状溝
１２ｄ ・・・軸方向油通路
１３ ・・・弁体
１３ａ ・・・軸部
１３ｂ ・・・つば部
１３ｃ ・・・支持突起
１４ ・・・弁体付勢用ばね
１５ ・・・ばね受けプラグ
１５ａ ・・・プラグ軸方向平坦部
１５ｂ ・・・プラグ半径方向凹状溝
１５ｃ ・・・貫通孔
１５ｄ ・・・半月状のプラグ軸方向油通路
１５ｅ ・・・プラグ半径方向油溝
１６ ・・・爪体
１７ ・・・爪体付勢用ばね
１８ ・・・支軸
２５ ・・・ばね受けプラグ
２５ａ ・・・大径プラグ部
２５ｂ ・・・小径プラグ部
２５ｃ ・・・傾斜部
２５ｄ ・・・プラグ軸方向平坦部
２５ｅ ・・・プラグ半径方向凹状溝
２５ｆ ・・・貫通孔
２５ｇ ・・・半月状のプラグ軸方向油通路
２５ｈ ・・・プラグ半径方向油溝
１０１ ・・・駆動側スプロケット
１０２ ・・・被駆動側スプロケット
１０３ ・・・タイミングチェーン
１０４ ・・・支軸
１０５ ・・・レバー
１０６ ・・・ガイド
２ ・・・ハウジング
２ａ ・・・プランジャ収容孔
２ｂ ・・・取付孔
３ ・・・プランジャ
３ａ ・・・中空部
３ｂ ・・・ラック
３ｃ ・・・排出口
４ ・・・プランジャ付勢用ばね
５ ・・・高圧油室
６ ・・・チェックバルブ
７ ・・・ボールシート
７ａ ・・・給油路
８ ・・・チェックボール
９ ・・・チェックボール付勢用ばね
１０ ・・・リテーナ
１１ ・・・リリーフバルブ
１２ ・・・リリーフバルブシート
１２ａ ・・・段付連通孔
１２ｂ ・・・半径方向リリーフ孔
１２ｃ ・・・軸方向凹状溝
１２ｄ ・・・軸方向油通路
１３ ・・・弁体
１３ａ ・・・軸部
１３ｂ ・・・つば部
１３ｃ ・・・支持突起
１４ ・・・弁体付勢用ばね
１５ ・・・ばね受けプラグ
１５ａ ・・・プラグ軸方向平坦部
１５ｂ ・・・プラグ半径方向凹状溝
１５ｃ ・・・貫通孔
１５ｄ ・・・半月状のプラグ軸方向油通路
１５ｅ ・・・プラグ半径方向油溝
１６ ・・・爪体
１７ ・・・爪体付勢用ばね
１８ ・・・支軸
２５ ・・・ばね受けプラグ
２５ａ ・・・大径プラグ部
２５ｂ ・・・小径プラグ部
２５ｃ ・・・傾斜部
２５ｄ ・・・プラグ軸方向平坦部
２５ｅ ・・・プラグ半径方向凹状溝
２５ｆ ・・・貫通孔
２５ｇ ・・・半月状のプラグ軸方向油通路
２５ｈ ・・・プラグ半径方向油溝
１０１ ・・・駆動側スプロケット
１０２ ・・・被駆動側スプロケット
１０３ ・・・タイミングチェーン
１０４ ・・・支軸
１０５ ・・・レバー
１０６ ・・・ガイド
Claims (2)
- ハウジングと、該ハウジングに形成されたプランジャ収容孔に摺動自在に挿入された底付き中空円筒状のプランジャと、該プランジャを一方の端部がハウジングの外部に突出するように付勢するプランジャ付勢用ばねと、前記プランジャ収容孔とプランジャとによって形成される高圧油室と、前記ハウジングに組み込んで高圧油室に油を流入させて逆流を阻止するチェックバルブと、前記プランジャの中空部内に組み込んだリリーフバルブとを有しているとともに、前記リリーフバルブが前記プランジャの中空部内に圧入されたリリーフバルブシートと、該リリーフバルブシートに摺動自在に挿入された弁体と、該弁体を付勢する弁体付勢用ばねと、前記プランジャの中空部内に圧入されて弁体付勢用ばねを支持する底付き中空円筒状のばね受けプラグとから構成され、前記リリーフバルブシートが複数のシート半径方向リリーフ孔と該シート半径方向リリーフ孔に連通する複数のシート軸方向凹状溝とを有して前記プランジャの内周面とシート軸方向凹状溝とでシート軸方向油通路を形成し、前記ばね受けプラグが前記プランジャの内周面との間に形成されるプラグ軸方向油通路と該プラグ軸方向油通路に連通するプラグ半径方向油溝とを有し、該プラグ半径方向油溝が前記プランジャの端部に形成した排出口に連通しているリリーフバルブ付き油圧式テンショナにおいて、
前記ばね受けプラグが前記プランジャの内周面に圧入される大径プラグ部と該大径プラグ部より小径の小径プラグ部とを有しているとともに、
前記プラグ軸方向油通路が前記大径プラグ部の外周面に形成した複数のプラグ軸方向平坦部とプランジャの内周面との間に形成されていることを特徴とするリリーフバルブ付き油圧式テンショナ。 - 前記プラグ軸方向平坦部が、鍛造工程で形成されていることを特徴とする請求項１記載のリリーフバルブ付き油圧式テンショナ。
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