JP3962054B2 - 脱気型油圧テンショナ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、車両用エンジンのタイミングベルト、またはタイミングチェーン等に適正な張力を付与するための油圧テンショナに関するものである。
一般に、車両用エンジンのクランクシャフトとカムシャフトとの間で回転を伝達するタイミングベルトやタイミングチェーンには、高圧油室内における圧油の逆流を阻止するボールチェック弁機構を備えた油圧テンショナが広く用いられている。
従来、このようなボールチェック弁機構を備えた油圧テンショナとして、図８に示すような、ハウジング本体５１０内に形成されたプランジャ摺動穴５１１から走行チェーンに向けて摺動自在に突出する円筒状のプランジャ５２０と、前記プランジャ摺動穴５１１とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴５２１との間に介在してプランジャ５２０を突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段５３０と、前記プランジャ摺動穴５１１の底部に組み込まれて前記プランジャ摺動穴５１１とプランジャ内部穴５２１との間で構成される高圧油室Ｒ内に圧油を流入させその逆流を阻止する逆止弁ユニット５４０とを備えた油圧テンショナ５００がある（例えば、特許文献１参照）。
特開平１１−３３６８５５号公報
しかながら、前述したような特開平１１−３３６８５５号公報に開示された従来の油圧テンショナ５００は、逆止弁ユニット５４０により高圧油室Ｒ内に流入させた圧油の逆流を阻止することができるものの、図示しない圧油供給源からハウジング本体５１０の高圧油室Ｒ内に圧油とともに空気が混入することがあり、この混入空気によって高圧油室Ｒ内の高圧状態を維持できず、特に、エンジン始動時に高圧油室Ｒ内に存在する混入空気の影響で走行チェーンのバタツキを抑制することができないという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題、すなわち、本発明の目的は、上述したような問題を解決するものであって、エンジン始動時に高圧油室内に存在する混入空気の影響による走行チェーンのバタツキを抑制できるとともに、エンジン稼働中にハウジング本体内に混入した混入空気をプランジャの先端外周面から安定かつ簡便に脱気して高圧油室内の高圧状態を維持する脱気弁ユニットをハウジング本体内に簡便かつ強固に組み付けることができる脱気型油圧テンショナを提供することである。
まず、本請求項１に係る発明は、ハウジング本体内に形成されたプランジャ摺動穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するとともに走行チェーンとの間に介在する可動レバーの揺動端近傍の背面を押圧する円筒状のプランジャと、前記プランジャ摺動穴とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴との間に介在してプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段と、前記プランジャ内部穴の先端側底部に組み込まれて前記プランジャ摺動穴とプランジャ内部穴との間で構成される高圧油室内の混入空気を先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に脱気する脱気弁ユニットとを備えた油圧テンショナであって、前記脱気弁ユニットが、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートとで構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
また、本請求項２に係る発明は、ハウジング本体内に形成されたプランジャ摺動穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するとともに走行チェーンとの間に介在する可動レバーの揺動端近傍の背面を押圧する円筒状のプランジャと、前記プランジャ摺動穴とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴との間に介在してプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段と、前記プランジャ内部穴の先端側底部に組み込まれて前記プランジャ摺動穴とプランジャ内部穴との間で構成される高圧油室内の混入空気を先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に脱気する脱気弁ユニットとを備えた油圧テンショナであって、前記脱気弁ユニットが、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートと、該ボールシートに向けてチェックボール弁を付勢するボール弁付勢用ばねとで構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
さらに、本請求項３に係る発明は、請求項１または請求項２に係る発明の構成に加えて、前記高圧油室内の圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットが、プランジャ摺動穴の底部に組み込まれていることにより、前記課題をより一段と解決するものである。
本発明の脱気型油圧テンショナは、ハウジング本体内に形成されたプランジャ摺動穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するとともに走行チェーンとの間に介在する可動レバーの揺動端近傍の背面を押圧する円筒状のプランジャと、前記プランジャ摺動穴とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴との間に介在してプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段と、前記プランジャ内部穴の先端側底部に組み込まれて前記プランジャ摺動穴とプランジャ内部穴との間で構成される高圧油室内の混入空気を前記先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に脱気する脱気弁ユニットとを備えていることにより、車両用エンジンのタイミングベルト、タイミングチェーン等の過度の張力変動に伴うバタツキ、特に、エンジン始動時に高圧油室内に存在する混入空気の影響によるチェーンのバタツキを抑制することができるばかりでなく、以下のような構成を備えていることによって、特有の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項１に係る脱気型油圧テンショナの脱気弁ユニットは、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートとで構成されていることにより、その他のテンショナ構成部品を何ら改造することなく、プランジャ内部穴の先端側底部内に一体化した簡素なユニットとして簡便かつ強固に組み込むことができる。そして、前記リテーナとチェックボール弁との間に精細なクリアランス構造を採用した場合には、ハウジング本体内が負圧状態になった場合のみ、ハウジング本体内に混入した混入空気をチェックボール弁を介してプランジャ内部穴の先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に安定かつ簡便に脱気することができる。
また、本請求項２に係る脱気型油圧テンショナの脱気弁ユニットは、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートと、該ボールシートに向けてチェックボール弁を付勢するボール弁付勢用ばねとで構成されていることにより、その他のテンショナ構成部品を何ら改造することなく、プランジャ内部穴の先端側底部内に一体化したユニットとして簡便かつ強固に組み込むことができるばかりでなく、脱気弁ユニット内のチェックボール弁がプランジャ内部穴の先端側底部に向けてボール弁付勢用ばねで付勢されているため、過剰に押し戻されるプランジャに対してハウジング本体内の高圧状態が要求される場合にハウジング本体内における高圧油のテンショナ外への流出を阻止してハウジング本体内の高圧状態を維持できるとともに、ハウジング本体内が負圧状態になった場合のみ、ハウジング本体内に混入した混入空気をチェックボール弁を介してプランジャ内部穴の先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に安定かつ簡便に脱気することができる。
そして、本請求項３に係る発明は、請求項１または請求項２に係る発明が奏する効果に加えて、前記高圧油室内の圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットが、プランジャ摺動穴の底部に組み込まれていることにより、車両用エンジンのタイミングベルト、タイミングチェーン等の走行時に生じた過度な張力変動でプランジャが急激に後退動作した場合であっても、高圧油室内の圧油を逆流させることなく、このようなプランジャの後退動作に伴う衝撃力に対抗することができる。
本発明の脱気型油圧テンショナは、少なくとも、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートとで構成された脱気弁ユニットを備えていることを特徴とするものであって、エンジン始動時に高圧油室内に存在する混入空気の影響による走行チェーンのバタツキを抑制できるとともに、エンジン稼働中にハウジング本体内に混入した混入空気をプランジャの先端外周面に簡便に脱気して高圧油室内の高圧状態を維持する脱気弁ユニットをハウジング本体内に簡便かつ強固に組み付けることができるものであれば、その具体的なテンショナ形態は如何なるものであっても良く、例えば、ハウジング本体のプランジャ摺動穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するとともに走行チェーンとの間に介在する可動レバーの揺動端近傍の背面を押圧するプランジャと前記プランジャ摺動穴とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴との間に介在してプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段と前記プランジャ摺動穴の底部に組み込まれて高圧油室内の圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットと高圧油室内の混入空気をプランジャの先端外周面に脱気する脱気弁ユニットとを備えた脱気型油圧テンショナや、このような脱気型油圧テンショナにラチェット機構を付加したものであっても何ら差し支えない。
ここで、前記脱気弁ユニットの一部を構成するリテーナの素材については、脱気弁ユニットの組み立て時に円筒状ボールシートを嵌入固着できるとともに、ハウジング本体への組み付け時にプランジャ内部穴の先端側底部に嵌入固着できるものであれば、金属製のものであってもそれ以外のものであっても良く、金属製のものである場合には、金属製のプランジャと同様に高温高圧下の高圧油室内雰囲気において充分な耐久性を発揮することができる。
本発明の実施例である脱気型油圧テンショナを図１乃至図６を参照して説明する。
図１は、本発明の第１実施例である脱気型油圧テンショナを用いた使用態様図であり、図２は、図１に示す脱気型油圧テンショナの断面図であり、図３は、図２に示す脱気型油圧テンショナの脱気状態を説明する図であり、図４は、本発明の第２実施例である脱気型油圧テンショナの断面図であり、図５は、図４に示す脱気弁ユニットの分解組み立て図であり、図６は、図４に示す脱気型油圧テンショナの脱気状態を説明する図である。
まず、図１乃至図２に示すように、本発明の第１実施例である脱気型油圧テンショナ１００は、エンジンのクランクシャフトで回転される駆動側スプロケットＳ１とカムシャフトに固定されている被駆動側スプロケットＳ２、Ｓ２の間に掛け渡されているタイミングチェーンＣの弛み側でエンジン本体に取り付けられて、そのハウジング本体１１０の前面からプランジャ１２０が出没自在に突出しており、プランジャ１２０がエンジン本体側に揺動自在に支持されている可動レバーＬ１の揺動端近傍の背面を押圧することにより、可動レバーＬ１を介してタイミングチェーンＣの弛み側に張力を付与している。なお、タイミングチェーンＣの張り側にはタイミングチェーンＣの走行を案内する固定ガイドＬ２がエンジン本体側に取り付けられている。
そして、前記駆動側スプロケットＳ１と被駆動側スプロケットＳ２とは、駆動側スプロケットＳ１が矢印の方向に回転すると、タイミングチェーンＣが矢印の方向に走行し、次いで、このタイミングチェーンＣの走行によって被駆動側スプロケットＳ２が矢印の方向に回転し、駆動側スプロケットＳ１の回転が被駆動側スプロケットＳ２に伝達するようになっている。
図２に示す本実施例の脱気型油圧テンショナ１００は、ハウジング本体１１０に形成されたプランジャ摺動穴１１１内に円筒状のプランジャ１２０が摺動自在に嵌挿され、このプランジャ摺動穴１１１とプランジャ１２０内に形成されたプランジャ内部穴１２１との間に高圧油室Ｒが介在して形成され、この高圧油室Ｒには、プランジャ１２０を突出方向に付勢するコイルスプリングからなるプランジャ付勢手段１３０が収容されている。
そして、前記プランジャ摺動穴１１１の底部には、プランジャ摺動穴１１１とプランジャ内部穴１２１との間で構成される高圧油室Ｒ内に圧油を流入させその逆流を阻止する高圧油室Ｒ内の圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニット１４０が組み込まれている。
すなわち、この逆止弁ユニット１４０は、高圧油室Ｒ内に圧油を流入させその逆流を阻止するチェックボール弁１４１と、このチェックボール弁１４１を内包して圧油供給側と高圧油室Ｒ側との間で遊動させる金属製のリテーナ１４２と、前記リテーナ１４２の高圧油室Ｒ側に嵌入固着されてチェックボール弁１４１の着座で高圧油室内の圧油の逆流を阻止するとともに前記圧油供給側に連通する金属製の円筒状ボールシート１４３と、この円筒状ボールシート１４３に向けてチェックボール弁１４１を付勢するボール弁付勢用ばね１４４とで一体に構成された組立体となっている。
つぎに、本実施例の脱気型油圧テンショナ１００におけるプランジャ内部穴１２１の先端側底部には、高圧油室Ｒ内の混入空気を先端側底部に形成されてプランジャ１２０の先端外周面に向けて開口する排気口１２２から脱気する脱気弁ユニット１５０が組み込まれている。
そこで、本実施例の脱気型油圧テンショナ１００が最も特徴とする脱気弁ユニット１５０は、図２にその要部を拡大して示すように、高圧油室Ｒ内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁１５１と、このチェックボール弁１５１を内包して流入側と流出側との間で遊動させる金属製のリテーナ１５２と、このリテーナ１５２の先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁１５１の着座で高圧油室Ｒ内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する金属製の円筒状ボールシート１５３とで一体に構成された組立体となっている。
なお、図２の符号１５２ａは、高圧油室Ｒ内の混入空気を取り込むためのリテーナ１５２に穿孔した連通孔であり、符号１５２ｂは、チェックボール弁１５１を内包状態で遊動させるためのリテーナ１５２に設けたガイド孔であり、符号１５３ａは、高圧油室Ｒ内の混入空気を先端側底部の排気口１２２に向けて排気するための円筒状ボールシート１５３に設けた通気孔である。
そして、円柱状のリテーナ１５２は、金属製のものからなり、脱気弁ユニット１５０の組み立て時に円筒状ボールシート１５３が嵌入固着された後、ハウジング本体１１０への組み付け時にプランジャ内部穴１２１の先端側底部に嵌入固着して、金属製のプランジャ１２０と同様に高温高圧下の高圧油室Ｒ内雰囲気において充分な耐久性を発揮できるようになっている。
その結果、コイルスプリングからなるプランジャ付勢手段１３０の先端部分がリテーナ１５２の高圧油室Ｒ側に確実に当接して位置決めされ、プランジャ内部穴１２１内で偏在して異常接触するようなことがなく、円滑に伸縮して付勢作用を発揮できるので、このようなコイルスプリングからなるプランジャ付勢用ばね１３０の異常接触に起因するような磨損や接触騒音が解消されるようになっている。
また、逆止弁ユニット１４０のリテーナ１４２と脱気弁ユニット１５０のリテーナ１５２とに当接するコイルスプリングからなるプランジャ付勢手段１３０を備えていることにより、車両用エンジンのタイミングベルト、タイミングチェーン等の走行時に生じた過度な張力変動でプランジャが急激に後退動作した場合であっても、この後退動作に伴う衝撃力に対抗できる充分な弾発力を発揮してタイミングベルト、タイミングチェーン等のバタツキを大幅に抑制するとともに、混入空気の脱気作用を安定して発揮するようになっている。なお、図３の拡大図における矢印は、空気の流れを示している。
さらに、前記チェックボール弁１５１は、金属製、セラミック製、あるいは合成樹脂製のいずれかでできており、金属製のリテーナ１５２内で移動が可能な直径を有している。
このようにして得られた本実施例の脱気型油圧テンショナ１００は、常時、高圧油室Ｒ内が、逆止弁ユニット１４０を介して外部供給源からオイルポンプ等による圧油で満たされており、走行するタイミングチェーンＣが緩むと、プランジャ付勢手段１３０で常時付勢されているプランジャ１２０が突出し、逆止弁ユニット１４０が開放し油が高圧油室Ｒ内に流入するようになっている。
そして、タイミングチェーンＣから衝撃力を受けてプランジャ１２０がプランジャ付勢手段１３０の付勢力に抗してハウジング本体１１０のプランジャ摺動穴１１１内に押し込まれて後退すると、高圧油室Ｒ内の圧油の圧力が上昇して逆止弁ユニット１４０のチェックボール弁１４１が円筒状ボールシート１４３に押し付けられて、高圧油室Ｒから円筒状ボールシート１４３の油通路１４３ａへの圧油の逆流が阻止される。
その結果、高圧油室Ｒ内の油圧がさらに高くなり、圧油はプランジャ１２０の外周面とプランジャ摺動穴１１１の内周面との間の僅かな隙間からリークしてハウジング本体１１０の外部へ排出され、その際に生じる圧油の粘性による流動抵抗によってプランジャ１２０に作用する衝撃力が緩和され、衝撃力によるプランジャ１２０の振動が速やかに減衰されるようになっている。
したがって、本実施例の脱気型油圧テンショナ１００は、車両用エンジンのタイミングベルト、タイミングチェーン等の過度の張力変動に伴うバタツキを抑制することができるばかりでなく、脱気弁ユニット１５０をその他のテンショナ構成部品に何ら改造を必要とせず、プランジャ内部穴１２１の先端側底部内に一体化した簡素なユニットとして簡便かつ強固に組み込むことができ、しかも、チェックボール弁１５１とリテーナ１５２との間に精細なクリアランス構造を採用した場合には、ハウジング本体１１０内が負圧状態になった場合のみ、ハウジング本体１１０内に混入した混入空気をチェックボール弁１５１を介してプランジャ内部穴１２１の先端側底部に形成されてプランジャ１２０の先端外周面に向けて開口する排気口１２２からプランジャ１２０の先端外周面に安定かつ簡便に脱気することができ、その効果は甚大である。
つぎに、本発明の第２実施例である脱気型油圧テンショナ２００について、図４乃至図７に基づいて説明する。
まず、図４に示す脱気型油圧テンショナ２００も、前述した脱気型油圧テンショナ１００と同様に、図１に示すようなエンジン本体に取り付けて使用される。
本実施例の脱気型油圧テンショナ２００は、前述した脱気型油圧テンショナ１００と対比すると、図５に示すように、脱気弁ユニット２５０のチェックボール弁２５１とリテーナ２５２との間にボールシート２５３に向けてチェックボール弁２５１を付勢するボール弁付勢用ばね２５４を備えている点が異なっており、その他の具体的な構成は、前述した脱気型油圧テンショナ１００と同じである。
したがって、図４乃至図６に示す脱気型油圧テンショナ２００は、脱気型油圧テンショナ１００と同一の部材について対応する２００番代の符号を付してその重複する説明を省略する。なお、図６の拡大図における矢印は、空気の流れを示している。
また、本実施例におけるボール弁付勢用ばね２５４には、コイルスプリングを採用するとともに、このコイルスプリングからなるボール弁付勢用ばね２５４は、リテーナ２５２内の高圧油室Ｒ側に設けたコイルスプリングの密着を防止する突起に支持された状態でチェックボール弁２５１をボールシート２５３に向けて付勢するようになっているが、図７に示すような円錐ばねからなるボール弁付勢用ばね３５４を採用した場合には、前述したようなリテーナ２５２内にコイルスプリングの密着を防止する突起を設ける必要はない。
そこで、本実施例の脱気型油圧テンショナ２００は、逆止弁ユニット２４０のリテーナ２４２と脱気弁ユニット２５０のリテーナ２５２とに当接するコイルスプリングからなるプランジャ付勢手段２３０を備えていることにより、車両用エンジンのタイミングベルト、タイミングチェーン等の走行時に生じた過度な張力変動でプランジャが急激に後退動作した場合であっても、この後退動作に伴う衝撃力に対抗できる充分な弾発力を発揮してタイミングベルト、タイミングチェーン等のバタツキを大幅に抑制するとともに、混入空気の脱気作用を安定して発揮するようになっている。
このようにして得られた本実施例の脱気型油圧テンショナ２００は、プランジャ２２０の急激な後退動作に伴う衝撃力に対抗できる充分な弾発力を発揮してタイミングチェーン等のバタツキを大幅に抑制することができるとともに、脱気弁ユニット２５０内のチェックボール弁２５１がプランジャ内部穴２２１の先端側底部に向けてボール弁付勢用ばね２５４で付勢されているため、過剰に押し戻されるプランジャ２２０に対してハウジング本体２１０内の高圧状態が要求される場合にハウジング本体２１０内における高圧油のテンショナ外への流出を阻止してハウジング本体２１０内の高圧状態を維持できるとともに、図６に拡大して示すように、ハウジング本体２１０内が負圧状態になった場合のみ、ハウジング本体２１０内に混入した混入空気をチェックボール弁２５１を介してプランジャ内部穴２２１の先端側底部に形成されてプランジャ２２０の先端外周面に向けて開口する排気口２２２からプランジャ１２０の先端外周面に安定かつ簡便に脱気することができ、特に、エンジン高速回転域で生じがちな機械的震動による高圧油室Ｒ内への空気吸い込みを防止することができるなど、その効果は甚大である。
本発明の第１実施例である脱気型油圧テンショナを用いた使用態様図。 図１に示す脱気型油圧テンショナの断面図。 図２に示す脱気型油圧テンショナの脱気状態を説明する図。 本発明の第２実施例である脱気型油圧テンショナの断面図。 図４に示す脱気弁ユニットの分解組み立て図。 図４に示す脱気型油圧テンショナの脱気状態を説明する図。 図５に示す脱気弁ユニットの変形例を示す図。 従来の油圧テンショナの断面図。
符号の説明
１００ ，２００ ・・・脱気型油圧テンショナ
１１０ ，２１０ ・・・ハウジング本体
１１１ ，２１１ ・・・プランジャ摺動穴
１２０ ，２２０ ・・・プランジャ
１２１ ，２２１ ・・・プランジャ内部穴
１２２ ，２２２ ・・・排気口
１３０ ，２３０ ・・・プランジャ付勢手段
１４０ ，２４０ ・・・逆止弁ユニット
１４１ ，２４１ ・・・チェックボール弁
１４２ ，２４２ ・・・リテーナ
１４３ ，２４３ ・・・円筒状ボールシート
１４３ａ，２４３ａ・・・油通路
１４４ ，２４４ ・・・ボール弁付勢用ばね
１５０ ，２５０ ・・・脱気弁ユニット
１５１ ，２５１ ・・・チェックボール弁
１５２ ，２５２ ・・・リテーナ
１５２ａ，２５２ａ・・・リテーナの連通孔
１５２ｂ，２５２ｂ・・・リテーナのガイド孔
１５３ ，２５３ ・・・円筒状ボールシート
１５３ａ，２５３ａ・・・通気孔
２５４ ，３５４ ・・・ボール弁付勢用ばね
５００ ・・・油圧式テンショナ
５１０ ・・・ハウジング本体
５１１ ・・・プランジャ摺動穴
５２０ ・・・プランジャ
５２１ ・・・プランジャ内部穴
５３０ ・・・プランジャ付勢手段
５４０ ・・・逆止弁ユニット
Ｒ ・・・高圧油室
Ｓ１ ・・・駆動側スプロケット
Ｓ２ ・・・被駆動側スプロケット
Ｃ ・・・タイミングチェーン
Ｌ１ ・・・可動レバー
Ｌ２ ・・・固定ガイド

Claims (3)

  1. ハウジング本体内に形成されたプランジャ摺動穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するとともに走行チェーンとの間に介在する可動レバーの揺動端近傍の背面を押圧する円筒状のプランジャと、前記プランジャ摺動穴とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴との間に介在してプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段と、前記プランジャ内部穴の先端側底部に組み込まれて前記プランジャ摺動穴とプランジャ内部穴との間で構成される高圧油室内の混入空気を前記先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に脱気する脱気弁ユニットとを備えた脱気型油圧テンショナであって、
    前記脱気弁ユニットが、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートとで構成されていることを特徴とする脱気型油圧テンショナ。
  2. ハウジング本体内に形成されたプランジャ摺動穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するとともに走行チェーンとの間に介在する可動レバーの揺動端近傍の背面を押圧する円筒状のプランジャと、前記プランジャ摺動穴とプランジャ内に形成されたプランジャ内部穴との間に介在してプランジャを突出させる方向に付勢するプランジャ付勢手段と、前記プランジャ内部穴の先端側底部に組み込まれて前記プランジャ摺動穴とプランジャ内部穴との間で構成される高圧油室内の混入空気を先端側底部に形成されてプランジャの先端外周面に向けて開口する排気口からプランジャの先端外周面に脱気する脱気弁ユニットとを備えた脱気型油圧テンショナであって、
    前記脱気弁ユニットが、高圧油室内の圧油の流出を阻止して混入空気を脱気するチェックボール弁と、該チェックボール弁を内包して流入側と流出側との間で遊動させるリテーナと、前記リテーナの先端脱気側に嵌入固着されてチェックボール弁の着座で高圧油室内の圧油の流出を阻止するとともに前記排気口に連通する円筒状ボールシートと、該ボールシートに向けてチェックボール弁を付勢するボール弁付勢用ばねとで構成されていることを特徴とする脱気型油圧テンショナ。
  3. 前記高圧油室内の圧油の逆流を阻止する逆止弁ユニットが、プランジャ摺動穴の底部に組み込まれていることを特徴とする請求項１または請求項２記載の脱気型油圧テンショナ。
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