JPH061890U - 空気抜き機構付きオイル式テンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイル式テンショナの油室内のオイルを洩ら
すことなく、油室内の混入空気のみを外部に排出する。 【構成】 オイル式テンショナ１０は、油路１２が形成
された中空ハウジング１４と、中空ハウジング１４に摺
動可能で中空ハウジング１４との間で油室１６を形成す
るプランジャ１８と、油路１２と油室１６との間に設け
られたチェックボールバルブ２０を有してなる。テンシ
ョナ１０は、さらに、このテンショナ１０がエンジン等
の所定位置に固定されたときに油室１６の上方となる位
置に、油室１６から外部へのオイルの流れを阻止する第
２のチェックボールバルブ３０を有する。第２のチェッ
クボールバルブ３０は、ボールシート３１とボール３３
を有している。ボールシート３１は開口３６を有する。
ボールシート３１内には開口３６を通じて飛沫オイルが
貯留する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、非圧縮性流体であるオイルを利用してチェーンに適正な緊張力を付 与するオイル式テンショナに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図４は、オイルを利用してチェーンに適正な緊張力を付与するためのオイル式 テンショナ８０を示している。テンショナ８０は、油路８２が形成された中空ハ ウジング８４と、この中空ハウジング８４に摺動可能で中空ハウジング８４との 間で油室８６を形成するプランジャ８８と、前記油路８２と前記油室８６との間 に設けられたチェックボールバルブ９０を有してなる。テンショナ８０は、油室 ８６内に空気が残留するとその機能を害なうので、このような残留空気を排出す るための機構が必要である。

【０００３】 上記のテンショナ８０は、空気を排出するために、高損失流路、すなわち、オ リフィス９２を具えたプラグ９４を有する。プラグ９４はハウジング８４に形成 された孔９６に圧入されている。残留空気は、オリフィス９２を通じてテンショ ナ８０の外部に排出される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記のようなテンショナ８０では、オリフィス９２を通じて残留空 気が排出されるに伴い、オイルも排出される。その結果、テンショナ８０はチェ ーンＣに適正な緊張力を付与することができなくなる。

【０００５】 本考案の目的は、油室内の残留空気のみを排出することのできるテンショナを 提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 本考案は、油路が形成された中空ハウジングと、この中空ハウジングに摺動可 能で中空ハウジングとの間で油室を形成するプランジャと、前記油路と前記油室 との間に設けられたチェックボールバルブを有してなるテンショナにおいて、前 記テンショナが所定位置に固定されたときに前記油室の上方となる位置に、前記 油室から外部へのオイルの流れを阻止する第２のチェックボールバルブが設けら れているテンショナにより前記課題を解決した。

【０００７】

【作用】

油室には、例えば、外部油圧源から油路を通じ、チェックボールバルブを介し てオイルが供給される。このオイルは空気を若干含んでいる。空気は油室の上方 に貯留する。

【０００８】 チェーンが回転すると、プランジャにその張力が作用する。空気は圧縮性流体 であるので、その存在によってプランジャは前後に振動する。プランジャの振動 とともに、テンショナ自体も振動する。その結果、第２のチェックボールバルブ のボールも振動し、油室の上方に溜まった空気は第２をチェックボールバルブを 介して排出される。

【０００９】 空気が排出されると、プランジャの振動が抑えられる。同時に、オイルが第２ チェックボールバルブのボールを囲繞し、オイルの粘性によりこの第２のチェッ クボールバルブのボールは振動しにくくなり、シール性が向上する。

【００１０】 なお、第２のチェックボールバルブは、上方に開く開口を具えたボールシート を有するものであることが好ましい。この場合、テンショナがオイルの飛沫雰囲 気下で使用されるときには、ボールシート内には開口を通じてオイルが貯留する 。チェーンの張力が急激に低下してプランジャが急に突出すると、第２のチェッ クボールバルブが開く恐れがある。しかし、ボールシート内にはオイルが貯留し ているので、油室内に空気が侵入することはない。

【００１１】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案によるオイル式テンショナの実施例を説明する。 図１及び図２は本考案によるオイル式テンショナ１０の第１実施例を示している 。

【００１２】 このオイル式テンショナ１０は、油路１２が形成された中空ハウジング１４と 、この中空ハウジング１４に摺動可能で中空ハウジング１４との間で油室１６を 形成するプランジャ１８と、油路１２と油室１６との間に設けられたチェックボ ールバルブ２０を有してなる。チェックボールバルブ２０は、ボールシート２１ 、リテーナ２２、ボール２３及び弱いばね２４を有する。オイルは、オイルポン プ等の外部油圧源（図示せず）から供給される。２６は油室内に配設されたばね である。プランジャ１８は、外部油圧源で発生する油圧とばね２６の作用により 、突出方向に付勢されている。

【００１３】 ハウジング１４には、第２のチェックボールバルブ３０が設けられている。第 ２のチェックボールバルブ３０は、テンショナ１０が、エンジン等の所定位置に に固定されたときに油室１６の上方となる位置に設けられている。第２のチェッ クボールバルブ３０は、ボールシート３１、ボール３３及び弱いばね３４を有し てなる。これにより、油室１６から外部へのオイルの流れが阻止される。また、 ボールシート３１は円筒状で上方に開く開口３６を具えたものである。開口３６ には、飛沫オイルが貯留する。

【００１４】 次に動作を説明する。外部油圧源から油室１６に供給されるオイルには、空気 が若干含まれる。空気は油室１６内において、その上方に貯留する。その位置に は第２のチェックボールバルブ３０が設けられている。プランジャ１８がチェー ンＣから押込み方向の力を受けたときに、油室１６内に残留空気があると、空気 は圧縮性流体であるので、プランジャ１８は振動する。その結果、テンショナ１ ０自体も振動する。

【００１５】 第２のチェックボールバルブ３０のボール３３は弱いばね３４によりボールシ ート３１の方向に付勢されているが、プランジャ１８が残留空気の影響で振動し 、且つ、テンショナ１０自体が振動するときには、ボール３３がボールシート３ １から離れて、油室１６の上方に貯留する空気は外部に排出される。

【００１６】 油室１６内から残留空気が排出されると、プランジャ１８の振動は抑制される 。また、残留空気が排出されることにより、オイルが第２チェックボールバルブ ３０のボール３３を囲繞する。その結果、オイルの粘性によりこの第２のチェッ クボールバルブ３０のボール３３は振動にくくなり、シール性が向上する。

【００１７】 次に、図３は、本考案によるオイル式テンショナの第２実施例を示している。 オイル式テンショナ４０は、油路４２が形成された中空ハウジング４４と、この 中空ハウジング４４に摺動可能で中空ハウジング４４との間で油室４６を形成す るプランジャ４８と、油路４２と油室４６との間に設けられたチェックボールバ ルブ５０を有してなる。チェックボールバルブ５０は、ボールシート５１、リテ ーナ５２、ボール５３及び弱いばね５４を有する。オイルは、オイルポンプ等の 外部油圧源（図示せず）から供給される。５６は油室４６内に配設されたばねで ある。プランジャ４８は、外部油圧源で発生する油圧とばね５６の作用により、 突出方向に付勢されている。

【００１８】 プランジャ１８は、先端内側に、第２のチェックボールバルブ６０を有する。 第２のチェックボールバルブ６０は、ボールシー６１ト、ボール６３及び弱いば ね６４を有してなる。これにより、油室４６から外部へのオイルの流れが阻止さ れる。ボールシート６１は円筒状で上方に開く開口６６を具えたものである。

【００１９】 オイル式テンショナは、さらに、プランジャ４８の先端外側に固着されたテン ショナシュー７０を有する。テンショナシュー７０は中心にボールシート６１の 開口６６と連通する孔７２を有する。開口６６及び孔７２には、飛沫オイルが貯 留する。

【００２０】 本実施例のオイル式テンショナ４０は、第２のチェックボールバルブ６０がプ ランジャ４８に包含されており、コンパクトである。

【００２１】

【考案の効果】

請求項１の考案では、油室内に残留空気が存在するときには、プランジャが前 後動しやすくなり、テンショナ自体が振動し、それに伴い第２のチェックボール バルブのボールが振動する。油室の上方に溜まった空気は、第２のチェックボー ルバルブから排出される。空気が排出されると、プランジャの振動は抑制され、 テンショナ自体、ひいては第２のチェックボールバルブのボールも振動を抑えら れる。そして、オイルはボールの周囲を囲繞して、その粘性によりシール性能を 向上させる。このようにして、オイル式テンショナは、空気のみを排出して、チ ェーンに適正な緊張力を付与する。

【００２２】 請求項２の考案では、オイル式テンショナをオイル飛沫雰囲気下で使用すると きに、ボールシートには開口を介してオイルが貯留するので、プランジャが急に 突出して第２のチェックボールバルブが開いたとしても、油室内に空気が吸引さ れることがない。

【００２３】 請求項３の考案では、油圧による突出力とばねによる突出力を併用することが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるオイル式テンショナの第１実施例
を示す断面図である。

【図２】図１のオイル式テンショナの第２のチェックボ
ールバルブの拡大断面図であり、油室内に残留空気が存
在するときのボールの挙動を示している。

【図３】本考案によるオイル式テンショナの第２実施例
を示す断面図である。

【図４】従来のオイル式テンショナの断面図である。

【符号の説明】

１０，４０ オイル式テンショナ １２，４２ 油路 １４，４４ ハウジング １６，４６ 油室 １８，４８ プランジャ ２０，５０ チェックボールバルブ ２６，５６ ばね ３０，６０ 第２のチェックボールバルブ ３１，６１ ボールシート ３３，６３ ボール ３４，６４ 弱いばね ３６，６６ 開口

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 油路が形成された中空ハウジングと、前
   記中空ハウジングに摺動可能で前記中空ハウジングとの
   間で油室を形成するプランジャと、前記油路と前記油室
   との間に設けられたチェックボールバルブを有してなる
   テンショナにおいて、 前記テンショナが所定位置に固定されたときに前記油室
   の上方となる位置に、前記油室から外部へのオイルの流
   れを阻止する第２のチェックボールバルブが設けられて
   いることを特徴とする、 オイル式テンショナ。
2. 【請求項２】 前記第２のチェックボールバルブは、上
   方に開く開口を具えたボールシートを有している、請求
   項１記載のオイル式テンショナ。
3. 【請求項３】 前記油室内に前記プランジャを前記ハウ
   ジングから突出する方向に付勢するばねが設けられてい
   る、請求項１又は２記載のオイル式テンショナ。