JP3943857B2 - 重合トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット記録法などに用いられる重合トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより定着し複写画像を得るものである。また、トナーを用いて現像する方法あるいはトナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案されている。
【0003】
従来、これらの目的に用いるトナーは一般に熱可塑性樹脂中に染料又は顔料からなる着色剤を溶融混練し、均一に分散させた後、微粉砕装置により微粉砕し、微粉砕物を分級機により分級して所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】
この製造方法ではかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、すなわちトナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなければならない。ところが、こういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、実際に高速で微粉砕した場合に形成された粒子の粒径範囲が広くなり易く、特に比較的大きな割合の微粒子がこれに含まれるという問題が生じる。
【0005】
更に、このように脆性の高い材料は、複写機等現像用に使用する際、更なる微粉砕ないしは粉化を受けやすく、現像性に対して悪影響を及ぼす。
【0006】
また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、画像形成時におけるカブリの増大,画像濃度の低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、着色剤の分散には十分に注意を払わなければならない。また、粉砕粒子の破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0007】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号公報、同43−10799号公報及び同51−14895号公報等による懸濁重合法トナーを始めとして、各種重合法トナーやその製造方法が提案されている。たとえば、懸濁重合法トナーでは、重合性単量体,着色剤,重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤,荷電制御剤,その他添加剤を、均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。この方法は、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、また、粒子表面への着色剤の露出等が生じず、均一な摩擦帯電性を有するという利点がある。また、得られるトナーの粒度分布が比較的シャープなことから分級工程を省略または、分級したとしても、高収率でトナーが得られる。
【0008】
また、従来定着ローラー表面にトナーを付着させないために、ローラー表面をトナーに対して離型性の優れた材料(シリコーンゴムや弗素系樹脂など)で形成し、さらにその表面にオフセット防止及びローラー表面の疲労を防止するためにシリコーンオイル、フッ素オイルの如き離型性の高い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われている。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液体を供給するための装置が必要なため、定着装置が複雑になること等の問題点を有していることはもちろんのこと、このオイル塗布が定着ローラーを構成している層間の剥離を起こし、結果的に定着ローラーの短寿命化を促進するという弊害がつきまとう。
【0009】
そこで、シリコーンオイルの供給装置などを用いないで、かわりにトナー粒子中から加熱時にオフセット防止液体を供給しようという考えから、トナー粒子中に低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンの如き離型剤を添加する方法が提案されている。
【0010】
トナー粒子中に離型剤としてワックスを含有させることは知られている。例えば特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報及び特開昭57−52574号公報に開示されている。
【0011】
さらに、特開平3−50559号公報、特開平2−79860号公報、特開平1−109359号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭61−273554号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭60−252360号公報及び特開昭60−217366号公報に、ワックスをトナー粒子に含有させることが開示されている。
【0012】
ワックスは、トナーの低温定着時や高温定着時の耐オフセット性の向上や、低温定着時の定着性の向上のために用いられている。反面、トナーの耐ブロッキング性を低下させたり、機内の昇温によってトナーの現像性が低下したり、また長期間トナーを放置した際にワックスがトナー粒子表面にマイグレーションして現像性が低下したりする。
【0013】
上記の課題に対して懸濁重合法により生成したトナーが提案されている。例えば、特開平5−341573号公報によれば、水系分散媒体中において、単量体組成物中に極性成分を添加すると、単量体組成物に含まれる極性基を有する成分は水相との界面である表層部に存在し易くなり、非極性の成分は表層部に存在しにくくなり、そのため、トナー粒子はコア/シェル構造をとることが可能となる。
【0014】
懸濁重合法により生成されたトナーは、トナー粒子内へのワックスの内包化により、耐ブロッキング性と耐高温オフセット性という相反する性能を両立することが可能となり、かつ定着ローラーにオイルの如き離型剤を塗布することなく、高温オフセットを防止することが可能となる。
【0015】
また、特公平7−82248号公報や特公平7−120072号公報には、重合トナーの定着性を向上させるための製造方法として、単量体組成物を水系媒体中で造粒した後に、該水系媒体中に重合開始剤を添加し懸濁重合することを提案している。この方法によれば、球状で、シャープな粒度分布で、かつ、多量のワックスを含有させることが可能である。
【0016】
また、特開平10−239900号公報には、単量体組成物を水系媒体中に分散した後に、該水系媒体中に重合開始剤を添加し、さらに分散し、液滴を調製し、懸濁重合することを提案している。
【0017】
さらに、フルカラー画像を形成するための複写機又はプリンタが使用されるようになってきている。
【0018】
カラー画像形成装置における定着装置の場合、転写材上にマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブラックトナーと複数層のトナー層が形成されるため、トナー層厚の増大からオフセットが発生しやすい傾向にある。
【0019】
トナー像が定着される転写材としては、一般に各種紙類、コーティング紙、プラスチックフィルム等が用いられる。中でもプレゼンテーション用としてオーバーヘッドプロジェクターを利用するトランスペアレンシーフィルム(OHPフィルム画像)の必要性が増している。特にOHPフィルムにおいては紙と異なり、オイル吸収能力が低いため定着後のOHPフィルム表面にオイルが多量に存在する。シリコーンオイルは熱により蒸発し、画像形成装置内を汚染したり、回収オイルの処理の問題もある。
【0020】
しかし最近の小型化、軽量化、高信頼性の要求を考慮すると、フルカラー画像形成装置においてもこれらの補助的な装置すら除去することが好ましく、それに対応し得るトナーが待望されている。
【0021】
また、トナーの混色性を高めたり、低温定着性の優れたトナーとするためには、トナーの結着樹脂が定着時に瞬時に溶融することが好ましい。しかしながら、一方でこのような特性を有する結着樹脂は、耐高温オフセット性、耐ブロッキング性、耐久性に劣るものとなってしまう。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き要求を満足し得る重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0023】
本発明の目的は、定着性に優れた重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0024】
本発明の目的は、連続生産性に優れた重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0025】
本発明の目的は、トナーの帯電量が良好であり、多数枚耐久時においても現像性(トナー帯電量、画像濃度)や転写性に優れる重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有しており、重合開始剤を含有していない重合性単量体組成物を調製し、該重合性単量体組成物を水系媒体に投入して造粒し、造粒終了後に水系媒体中に下記(a)〜(c)のいずれかの方法で油溶性重合開始剤を添加し、造粒された該重合性単量体組成物を重合してトナー粒子の製造を行う重合トナーの製造方法であって、
該重合開始剤を5乃至300秒間かけて水系媒体中に添加し、かつ該重合開始剤の添加に要する時間T(秒)と、反応に使用する撹拌翼の単位時間あたりのパス回数N(回/秒)が、
5≦T×N≦2500
の関係を満たすことを特徴とする重合トナーの製造方法に関する。
(a)液状油溶性重合開始剤を添加する
(b)油溶性重合開始剤を重合性単量体に溶解して添加する
(c)油溶性重合開始剤を溶剤に溶解して添加する
【0027】
特公平7−120072号公報及び特開平10−239900号公報において、造粒中や造粒後に重合開始剤を添加しているが、本発明者らは、重合開始剤の添加方法によって、重合トナーの性能がさらに改善されることを見出し、本発明を完成したものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
造粒後に重合開始剤を単に添加した場合、すなわち、水系媒体中に重合開始剤を5秒未満で添加した場合に比べ、5乃至300秒間かけて水系媒体中に添加した方が、各重合性単量体組成物粒子中に、均一に重合開始剤が供給されることで粒子間の分子量分布が均一になり、これにより定着性(低温定着性,耐オフセット性)が良好で、かつ、トナーの流動性もよく、現像性や転写性の良好なトナーが得られる。さらには、キャリア、スリーブ、ブレード等、部材への融着も発生しにくい、耐久性の優れたトナーが得られる。また、前記重合開始剤の添加に要する時間内に、添加する全重合開始剤量の90%以上が添加されれば上記効果は発揮される。
【0029】
また、重合開始剤の添加が300秒間を超えた場合は、各重合性単量体組成物粒子中に、均一に重合開始剤が供給されるものの、添加時間が長いため、一部は重合反応が始まっていることから、トナーの分子量分布の制御が困難となる。その結果として、優れた定着性(低温定着性,耐オフセット性)が得られなくなる。
【0030】
また、該重合開始剤の添加に要する時間T(秒)と、反応に使用する撹拌翼の単位時間あたりのパス回数N(回/秒)が、
5≦T×N≦2500
の関係を満たすことが好ましい。更には、
10≦T×N≦2000
の関係を満たすことが好ましい。
【0031】
ここで、「単位時間あたりのパス回数」は、反応に使用する撹拌翼の単位時間あたりの吐出量を、水系媒体と重合性単量体組成物を合わせた全量で割ることで得られる値である。
【0032】
TとNの積が5に満たない場合とは、撹拌翼の吐出量が小さく、重合開始剤の添加に要する時間が短いため、水系媒体中の一箇所に添加された重合開始剤が、滞留しやすい状態になることで、各重合性単量体組成物粒子中に、均一に重合開始剤が供給されにくくなり、粒子間の分子量分布が均一になりにくく好ましくない。一方、TとNの積が2500を超える場合は、撹拌翼の吐出量が大きく、重合開始剤の添加に要する時間が長いため、各重合性単量体組成物粒子中に、均一に重合開始剤が供給されるものの、粒子の合一が起こりやすく粗粒子の生成が増加傾向となり、粒度分布がブロードとなり好ましくない。
【0033】
反応中に使用される撹拌翼としては、プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、リボン翼、さらには、マックスブレンド翼(住友重工社製)、フルゾーン翼(神鋼パンテック社製)が好ましく使用される。
【0034】
また、重合開始剤は液状で添加することが好ましい。これは、添加された重合開始剤が、重合性単量体組成物に吸収されやすいからである。液状としての添加方法は、重合開始剤が固体の場合、溶解可能な溶剤や、モノマーに溶解させた状態で添加することが挙げられる。重合開始剤が液体の場合は、そのまま添加してもよいが、上述のように溶解可能な溶剤や、モノマーに溶解させた状態で添加しても良い。
【0035】
以下に重合法トナーの材料に関して記載する。
【0036】
本発明のトナーに用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0037】
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
【0038】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0039】
これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が40〜75℃を示すように単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から好ましくない。
【0040】
トナーの分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解し得ない有機溶剤、例えばクロロホルム等を加え十分洗浄を行った後、THF(テトラヒドロフラン)に可溶した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用い、カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0041】
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤が好ましく用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの如きパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
【0042】
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0043】
本発明に使用される架橋剤は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。これら架橋剤を併用しても良い。
【0044】
架橋剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜5質量部であることをが好ましい。0.01質量部に満たない場合は、耐久性が損なわれ、逆に5質量部を超えた場合は、低温定着性、OHPシートの透明性が劣ってしまい好ましくない。
【0045】
本発明に使用される極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体。マレイン酸共重合体、飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。これら極性樹脂の中でもポリエステル樹脂が特に好ましい。また、ワックスを内包化せしめたコア/シェル構造を有するトナーを得ることが可能になる。これは、水系媒体中で製造されるトナーのため、極性樹脂に比べて、極性の低いワックスがトナー内部に押し込まれることによる。
【0046】
また、極性樹脂は、酸価が1〜35mgKOH/gであることが好ましい。水系媒体中で、重合して得られるトナーであるため、極性樹脂は、トナー表層へ局在化しやすい。酸価が1〜35mgKOH/gの場合、トナー表層近傍へ極性樹脂が存在しやすく、低温定着性を損ねない程度の表層強度が得られるものと考えられる。
【0047】
酸価が1mgKOH/gに満たない場合、トナー表層近傍へ極性樹脂が存在しにくく、優れた帯電性が得られにくい。逆に、酸価が35mgKOH/gを超えてしまうと、造粒中に添加される重合開始剤が、粒子内部に取り込まれにくくなり、好ましくない。
【0048】
極性樹脂の酸価は以下のように求められる。
【0049】
樹脂サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50ml加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1質量%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1kmol/m3カセイカリのアルコール溶液で滴定し、溶液の消費量からつぎの計算で酸価を求める。
【0050】
酸価=KOH(ml数)×f×5.61/試料質量
(ただしfは N/10 KOHのファクター)
2回の測定値の平均値を採用する。
【0051】
極性樹脂の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましい。極性樹脂を添加することで、低軟化点物質で離型剤でもあるワックスを内包化せしめたコア/シェル構造を有するトナーを得ることが可能になる。これは、水系媒体中で製造されるトナーのため、極性樹脂は表面に存在し易く、極性の低いワックスはトナー内部に押し込まれることによる。極性樹脂の添加量が0.1質量部未満の場合では、ワックスを内包化することが困難となり、トナー表面近傍のワックスの存在確率が高くなり、その結果、現像性や帯電性が悪化する。また、50質量部を超えて含まれると、重合性単量体組成物の粘度が上昇し、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナー粒子が得にくくなる。
【0052】
さらに、該極性樹脂のMpが5000〜50000であることが好ましい。Mpが5000未満の場合は耐久性が損なわれ、50000を超える場合には、重合性単量体に縮合系化合物を溶解するのに時間を多く費やし、生産性に不利である。
【0053】
また、本発明による場合、トナーのTHF可溶成分の分子量分布としては、メインピーク分子量Mpが5000〜50000であり、重量平均分子量Mwが50000〜1000000であることが好ましい。
【0054】
メインピーク分子量Mpが5000に満たない場合や、重量平均分子量Mwが50000に満たない場合は、耐久性が損なわれ、逆にメインピーク分子量Mpが50000を超えたり、重量平均分子量Mwが1000000を超えた場合は、定着性が劣ってしまい好ましくない。
【0055】
重合トナーのTHF不溶分は、該重合トナーに対して、10〜80質量%であることが好ましい。
【0056】
THF不溶分が10質量%に満たない場合、高温オフセットが発生しやすく、更には、スリーブやドラムのトナー融着が発生しやすくなる。逆に80質量%を超えると、低温定着性が損なわれ、なおかつOHPシートの透明性も著しく悪化する。
【0057】
本発明での「THF不溶分」とは、樹脂中又はトナー中のTHF溶媒に対して不溶になったポリマー成分(巨大分子ポリマー又は架橋ポリマー)の質量割合を示したモノである。THF不溶分は以下のように測定される。
【0058】
樹脂又はトナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(W1g)とし、円筒濾紙(たとえば東洋濾紙製No.86R)にいれて、ソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、抽出された可溶分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量して(W2g)とする。さらに、顔料のごとき樹脂成分以外の不溶成分の質量を測定して(W3g)とする。
【0059】
THF不溶分は、下記式から求められる。
【0060】
【数1】
【0061】
本発明に用いられる低軟化点物質としては、下記一般式(I)乃至(VI)で示されるエステル系ワックスが好ましいものである。
【0062】
【化1】
(式中、a及びbは0〜4迄の整数であり、a+bは4である。R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基であり、R1とR2との炭素数差が3以上である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnは同時に0になることはない。)
【0063】
【化2】
(式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1〜3である。R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基であり、R1とR2との炭素数差が3以上である。R3は水素原子、炭素数が1以上の有機基である。但し、a+b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基である。kは1〜3の整数である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
【0064】
【化3】
(式中、R1及びR3は炭素数6〜32を有する有機基であり、R1とR3は同じものであってもなくても良い。R2は炭素数1〜20を有する有機基を示す。)
【0065】
【化4】
【0066】
【化5】
(式中、aは0〜4の整数であり、bは1〜4の整数であり、a+bは4である。R1は炭素数が1〜40の有機基である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
【0067】
【化6】
(式中、R1及びR2は同一又は異なる炭素数15〜45の炭化水素基を示す。)
【0068】
エステル化合物からなる離型剤としてのエステルワックスとして以下のものが例示される。
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
該離型剤が、上記構造式を有するエステル化合物を有するエステルワックスの場合、良好な透明性を発現するとともに、トナー粒子中に含有せしめた場合には良好な定着性を示すものである。このワックスと上記極性樹脂を、重合性単量体に溶解させた後、水系媒体中で重合性単量体の重合反応を進めることによって、得られたトナー粒子の帯電量が大きく、適正帯電値に到達するまでの速度が速く、さらに多数枚耐久において、摩擦帯電量の変動の少ない優れたトナーが得られる。
【0072】
本発明においてワックスは、重合性単量体100質量部当り1乃至50質量部(より好ましくは5〜30質量部)含有されるのが良い。
【0073】
また、本発明に使用されるワックスは、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、50〜120℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが50℃未満であるとワックスの自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピークが120℃を超えると定着温度が高くなり、好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0074】
本発明の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0075】
さらに、本発明では、エステルワックスに、パラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,及び高級脂肪酸、及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等を併用しても良い。
【0076】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0077】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.1.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
【0078】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0079】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用される。
【0080】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0081】
さらに本発明のトナーは着色剤として磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等が挙げられる。
【0082】
本発明に用いられる磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が好ましく、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を挙げることができる。
【0083】
これらの磁性体は平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー粒子中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し約20〜200質量部、特に好ましくは40〜150質量部が良い。
【0084】
7.96×102kA/m(10kエルステッド印加)での磁気特性が保磁力(Hc)1.59〜23.9kA/m、飽和磁化(σs)50〜200Am2/kg、残留磁化(σr)2〜20Am2/kgの磁性体が好ましい。
【0085】
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有しても良い。
【0086】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン等が挙げられる。極性樹脂との組み合わせにおいては、含金属サリチル酸系化合物が好ましい。
【0087】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。
【0088】
荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部使用するのが良い。
【0089】
トナーにおける各種の特性付与を目的とした添加剤としては、耐久性の点から、トナー粒子の体積平均径の1/5以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした添加剤としては、たとえば、以下のようなものが用いられる。
【0090】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)カーボンブラック、フッ化カーボンなどが挙げられる。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0091】
研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)が挙げられる。
【0092】
滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
【0093】
荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)・カーボンブラックなどが挙げられる。
【0094】
これら添加剤は、トナー粒子100質量部に対し0.1〜10質量部が用いられ、好ましくは0.1〜5質量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0095】
本発明で得られる重合トナーは、さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。トナー粒子の製造方法としては、重合性単量体中にワックスの如き低軟化点物質,着色剤,架橋剤,その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。ホモミキサー,ホモジナイザー等のような高速回転剪断攪拌機としては、T.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA)、スープラトン(月島機械株式会社製)等の機種を使用して、好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。造粒工程終了後、ここへ、重合開始剤を本発明の条件にて添加する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、通常50〜90℃(好ましくは55〜85℃)の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナーの定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
【0096】
懸濁重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。用いる分散剤として例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が使用されてる。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用することが好ましい。
【0097】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒体中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることができる。これら分散剤の微細化のため0.001〜0.1質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンダデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0098】
なお、重合法により生成されるトナーに用いられる着色剤としては、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。着色剤を好ましくは表面改質(たとえば重合阻害のない疎水化処理)を施したほうが良い。特に染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料を表面処理する好ましい方法としては、これら染料の存在下に重合性単量体をあらかじめ重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体組成物に添加する。カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理のほか、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(たとえば、ポリオルガノシロキサンなど)で処理を行っても良い。
【0099】
本発明におけるトナーの円形度は、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置「FPIA−1000型」(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0100】
【数2】
【0101】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0102】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0103】
本発明では、平均円形度が0.95〜1.00であることが好ましい。これは、トナー表面の強度が均一化され、耐ストレス性が優れるとともに、現像性や転写性も向上するためである。また、本発明における、フロー式粒子像測定装置で計測される粒度分布の2.0μm未満が40個数%以下であることが好ましい。40個数%を超えてしまうと、キャリアや現像スリーブ等の帯電部材の汚染により、多数枚数耐久時に帯電不良を発生しやすくなる。更に、本発明のトナーは、高画質の画像を得るために、重量平均粒子径が4〜10μmであることが好ましい。
【0104】
本発明のトナーは、非磁性一成分系現像剤のトナーとして使用することも可能であり、キャリア粒子を有する二成分系現像剤用のトナーとしても使用可能である。非磁性トナーを用いる場合には、ブレード又はローラを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せしめることで搬送せしめる方法がある。
【0105】
二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。磁性キャリアとしては、鉄,銅,亜鉛,ニッケル,コバルト,マンガン,クロム元素からなる元素単独又は複合フェライト状態で構成される。磁性キャリアの形状として、球状,扁平又は不定形がある。更に磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(たとえば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめ、磁性キャリアコア粒子を生成した後、樹脂にコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらには、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せしめ真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
【0106】
上記キャリア粒子の表面を樹脂で被覆する被覆キャリアは、特に好ましい。その方法としては、樹脂を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に樹脂粉体とキャリア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
【0107】
キャリア粒子表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。これらは単独或は複数で用いられる。
【0108】
キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さ(σ79.6)は3.77乃至37.7μWb/cm3であることが必要である。さらに高画質化を達成するために、好ましくは12.6乃至31.4Wb/cm3であることがよい。37.7μWb/cm3より大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。3.77Wb/cm3未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0109】
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。
【0110】
本発明のトナーが適用可能な画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0111】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合し、例えば図3に示すような現像手段37を用い現像を行うことができる。具体的には交番電界を印加しつつ、磁気ブラシが静電像保持体(例えば、感光体ドラム)33に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)31と感光体ドラム33の距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁石S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。トナー41は、逐次現像器へ供給され、撹拌手段35及び36でキャリアと混合され、固定磁石34を内包している現像スリーブ31まで搬送される。
【0112】
交番電界のピーク間の電圧は500〜5000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは500〜3000Hzであり、それぞれプロセスに適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形等種々選択して用いることができる。
【0113】
印加電圧が、500Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。5000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、静電像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
【0114】
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが150V以下、より好ましくは100V以下が良い。
【0115】
コントラスト電位としては、十分画像濃度がでるように200V〜500Vが好ましく用いられる。
【0116】
周波数が500Hzより低いとプロセススピードにも関係するが、キャリアへの電荷注入が起こるためにキャリア付着、あるいは潜像を乱すことで画質を低下させる場合がある。10000Hzを超えると電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0117】
十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために現像スリーブ1上の磁気ブラシの感光体ドラム33との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑さえることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材32と現像スリーブ31との距離Aを調整したり、現像スリーブ31と感光体ドラム33との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
【0118】
特にハーフトーンを重視するようなフルカラー画像の出力において、マゼンタ用、シアン用、及びイエロー用の3個以上の現像器が使用され、本発明の現像剤及び現像方法を用い、特にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、磁気ブラシの影響がなく、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。転写工程においても本発明トナーを用いることで高転写率が達成でき、したがって、ハーフトーン部、ベタ部共に高画質を達成できる。
【0119】
さらに初期の高画質化と併せて、本発明のトナーを用いることで多数枚の複写においても画質低下のない本発明の効果が十分に発揮できる。
【0120】
静電像保持体33上のトナー画像は、コロナ帯電器の如き転写手段43により転写材へ転写され、転写材上のトナー画像は、加熱ローラ46及び加圧ローラ45を有する加熱加圧定着手段によって定着される。静電像保持体33上の転写残トナーは、クリーニングブレードの如きクリーニング手段44で静電像保持体33から除去される。本発明のトナーは、転写工程での転写効率が高く、転写残トナーが少ない上に、クリーニング性に優れているので、静電像保持体上にフィルミングを生じにくい。さらに、多数枚耐久試験を行っても従来のトナーよりも、本発明のトナーは外添剤のトナー粒子表面への埋没が少ないため、良好な画質を長期にわたって維持し得る。
【0121】
良好なフルカラー画像を得るためには好ましくは、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、ブラック用の現像器を有し、ブラックの現像が最後に行われることで引き締まった画像を呈することができる。
【0122】
マルチカラー又はフルカラー画像形成方法を良好に実施し得る画像形成装置の一例を図4を参照しながら説明する。
【0123】
図4に示されるカラー電子写真装置は、装置本体の右側から装置本体の略中央部にわたって設けられている転写材搬送系Iと、装置本体の略中央部に、上記転写材搬送系Iを構成している転写ドラム415に近接して設けられている潜像形成部IIと、上記潜像形成部IIと近接して配設されている現像手段(すなわち回転式現像装置)IIIとに大別される。
【0124】
上記転写材搬送系Iは、以下の様な構成となっている。上記装置本体の右壁(図4右側)に開口部が形成されており、該開口部に着脱自在な転写材供給用トレイ402及び403が一部機外に突出して配設されている。該トレイ402及び403の略直上部には給紙用ローラ404及び405が配設され、これら給紙用ローラ404及び405と左方に配された矢印A方向に回転自在な転写ドラム405とを連係するように、給紙用ローラ406及び給紙ガイド407及び408が設けられている。上記転写ドラム415の外周面近傍には回転方向上流側から上流側に向かって当接用ローラ409、グリッパ410、転写材分離用帯電器411、分離爪412が順次配設されている。
【0125】
上記転写ドラム415の内周側には転写帯電器413、転写材分離用帯電器414が配設されている。転写ドラム415の転写材が巻き付く部分にはポリ弗化ビニリデンの如き、ポリマーで形成されている転写シート(図示せず)が貼り付けられており、転写材は該転写シート上に静電的に密着貼り付けされている。上記転写ドラム415の右側上部には上記分離爪412と近接して搬送ベルト手段416が配設され、該搬送ベルト手段416の転写材搬送方向終端(右側)には定着装置418が配設されている。該定着装置418よりもさらに搬送方向後流には装置本体401の外へと延在し、装置本体401に対して着脱自在な排出用トレイ417が配設されている。
【0126】
次に、上記潜像形成部IIの構成を説明する。図4矢印方向に回転自在な潜像担持体である感光ドラム(例えば、OPC感光ドラム)419が、外周面を上記転写ドラム415の外周面と当接して配設されている。上記感光ドラム419の上方でその外周面近傍には、該感光ドラム419の回転方向上流側から下流側に向かって除電用帯電器420、クリーニング手段421及び一次帯電器423が順次配設され、さらに上記感光ドラム419の外周面上に静電潜像を形成するためのレーザービームスキャナのごとき像露光手段424、及びミラーのごとき像露光反射手段425が配設されている。
【0127】
上記回転式現像装置IIIの構成は以下のごとくである。上記感光ドラム419の外周面と対向する位置に、回転自在な筐体(以下「回転体」という)426が配設され、該回転体426中には四種類の現像装置が周方向の四位置に搭載され、上記感光ドラム419の外周面上に形成された静電潜像を可視化(すなわち現像)するようになっている。上記四種類の現像装置は、それぞれイエロー現像装置427Y、マゼンタ現像装置427M、シアン現像装置427C及びブラック現像装置427BKを有する。
【0128】
上記したごとき構成の画像形成装置全体のシーケンスについて、フルカラーモードの場合を例として説明する。上述した感光ドラム419が図4矢印方向に回転すると、該感光ドラム419は一次帯電器423によって帯電される。図4の装置においては、感光ドラム419の周速(以下、プロセススピードとする)は100mm/sec以上(例えば、130〜250mm/sec)である。一次帯電器423による感光ドラム419に対する帯電が行われると、原稿428のイエロー画像信号にて変調されたレーザー光Eにより画像露光が行われ、感光ドラム419上に静電潜像が形成され、回転体426の回転によりあらかじめ現像位置に定置されたイエロー現像装置427Yによって上記静電潜像の現像が行われ、イエロートナー画像が形成される。
【0129】
給紙ガイド407、給紙ローラ406、給紙ガイド408を経由して搬送されてきた転写材は、所定のタイミングにてグリッパ410により保持され、当接用ローラ409と該当接用ローラ409と対向している電極とによって静電的に転写ドラム415に巻き付けられる。転写ドラム415は、感光ドラム419と同期して図4矢印方向に回転しており、イエロー現像装置427Yにより形成されたイエロートナー画像は、上記感光ドラム419の外周面と上記転写ドラム415の外周面とが当接している部位にて転写帯電器413によって転写材上に転写される。転写ドラム415はそのまま回転を継続し、次の色(図4においてはマゼンタ)の転写に備える。
【0130】
感光ドラム419は、上記除電用帯電器420により除電され、クリーニングブレードによるクリーニング手段421によってクリーニングされた後、再び一次帯電器423によって帯電され、次のマゼンタ画像信号により画像露光が行われ、静電潜像が形成される。上記回転式現像装置は、感光ドラム419上にマゼンタ画像信号による像露光により静電潜像が形成される間に回転して、マゼンタ現像装置427Mを上述した所定の現像位置に配置せしめ、所定のマゼンタトナーにより現像を行う。引き続いて、上述したごときプロセスをそれぞれシアン色及びブラック色に対しても実施し、四色のトナー像の転写が終了すると、転写材上に形成された三色顕画像は各帯電器422及び414により除電され、上記グリッパ410による転写材の把持が解除されると共に、該転写材は、分離爪412によって転写ドラム415より分離され、搬送ベルト416で定着装置418に送られ、熱と圧力により定着され一連のフルカラープリントシーケンスが終了し、所要のフルカラープリント画像が転写材の一方の面に形成される。
【0131】
次に、図5を参照しながら、他の画像形成方法をより具体的に説明する。
【0132】
図5に示す装置システムにおいて、現像器54−1、54−2、54−3、54−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式又は非磁性一成分現像方式等によって感光体51に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体51上に形成される。感光体51はa−Se、Cds、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体51は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
【0133】
感光体51としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
【0134】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0135】
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
【0136】
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体51とは非接触である方式と、ローラ等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図5に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
【0137】
帯電ローラ52は、中心の芯金52bとその外周を形成した導電性弾性層52aとを基本構成とするものである。帯電ローラ52は、感光体51面に押圧力をもって圧接され、感光体51の回転に伴い従動回転する。
【0138】
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
【0139】
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0140】
接触帯電手段としての帯電ローラ及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0141】
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体55に転写される。転写後の感光体表面は、クリーニングブレード58を有するクリーニング手段59でクリーニングされる。
【0142】
中間転写体55は、パイプ状の導電性芯金55bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層45aからなる。芯金55bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
【0143】
中抵抗の弾性体層55aは、シリコンゴム、フッ素系ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
【0144】
中間転写体55は感光体51に対して並行に軸受けさせて感光体51の下面部に接触させて配設してあり、感光体51と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
【0145】
感光体51の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体51と中間転写体55とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体55に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写体55の外面に対して順次に中間転写されていく。
【0146】
必要により、着脱自在なクリーニング手段500により、転写材へのトナー像の転写後に、中間転写体55の表面がクリーニングされる。中間転写体上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段500は、中間転写体表面から離される。
【0147】
中間転写体55に対して並行に軸受けさせて中間転写体55の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段57は例えば転写ローラ又は転写ベルトであり、中間転写体55と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段57は直接中間転写体55と接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写体55と転写手段57との間に接触するように配置されても良い。
【0148】
転写ローラの場合、中心の芯金57bとその外周を形成した導電性弾性層57aとを基本構成とするものである。
【0149】
中間転写体及び転写ローラとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
【0150】
中間転写体及び転写ローラの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写体は、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラの弾性層の硬度は、中間転写体の弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写体への転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写体と転写ローラの硬度が逆になると、転写ローラ側に凹部が形成され、中間転写体への転写材の巻き付きが発生しやすい。
【0151】
転写手段57は中間転写体55と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材56は中間転写体55と転写手段57との間に搬送されると同時に、転写手段57にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを転写バイアス手段から印加することによって中間転写体55上のトナー像が転写材56の表面側に転写される。
【0152】
転写用回転体の材質としては、帯電ローラと同様のものも用いることができ、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
【0153】
例えば、転写ローラの導電性弾性層57bはカーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体でつくられている。芯金57aには定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
【0154】
次いで転写材56は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵させた加熱ローラとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラとを基本構成とする定着器501へ搬送され、加熱ローラと加圧ローラ間を通過することによってトナー像が転写材に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いても良い。
【0155】
次に、一成分系現像方法について説明する。本発明のトナーは、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法の如き一成分現像方法に適用し得る。
【0156】
磁性一成分現像方法について、図6をもとに説明する。
【0157】
図6において、現像スリーブ73の略右半周面はトナー容器74内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブ73面近傍のトナーが現像スリーブ面にスリーブ内の磁気発生手段75の磁力で及び/又は静電気力により付着保持される。現像スリーブ73が回転駆動されるとそのスリーブ面の磁性トナー層が規制部材76の位置を通過する過程で各部略均一厚さの薄層磁性トナーT1として整層化される。磁性トナーの帯電は主として現像スリーブ73の回転に伴なうスリーブ面とその近傍のトナー溜りの磁性トナーとの摩擦接触によりなされ、現像スリーブ73上の上記磁性トナー薄層面は現像スリーブの回転に伴ない潜像保持体77側へ回転し、潜像保持体77と現像スリーブ73の最接近部である現像領域部Aを通過する。この通過過程で現像スリーブ73面側の磁性トナー薄層の磁性トナーが潜像保持体77と現像スリーブ73間に印加した直流と交流電圧による直流と交流電界により飛翔し、現像領域部Aの潜像保持体77面と、現像スリーブ73面との間(間隙α)を往復運動する。最終的には現像スリーブ73側の磁性トナーが潜像保持体77面の表面に潜像の電位パターンに応じて選択的に移行付着してトナー像T2が順次に形成される。
【0158】
現像領域部Aを通過して、磁性トナーが選択的に消費された現像スリーブ面はホッパ74のトナー溜りへ再回転することにより磁性トナーの再供給を受け、現像領域部Aへ現像スリーブ73の磁性トナー薄層T1面が移送され、繰り返し現像工程が行われる。
【0159】
図6において用いられるトナー薄層化手段としての規制部材76は、スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレード等のドクターブレードである。あるいは、ドクターブレードの代りに、金属,樹脂,セラミック製のローラーを用いても良い。さらにトナー薄層化規制部材として現像スリーブ(トナー担持体)表面に弾性力で当接する弾性ブレード、弾性ローラーを用いても良い。
【0160】
弾性ブレード又は弾性ローラーを形成する材料としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても良い。好ましくは、スリーブ当接部分はゴム弾性体あるいは樹脂弾性体がよい。
【0161】
弾性ブレードを使用する場合の例を図7に示す。
【0162】
弾性ブレード80上辺部側である基部は現像剤容器側に固定保持され、下辺部側をブレード80の弾性に抗して現像スリーブ89の順方向或いは逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ89表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。この様な装置によると、環境の変動に対してもより安定に薄く、緻密なトナー層が得られる。
【0163】
弾性ブレードを使用する場合、スリーブ,ブレード表面にトナーが融着し易すいが、本発明のトナーは離型性に優れ摩擦帯電性が安定しているので好ましく用いられる。
【0164】
磁性一成分現像方法の場合、ブレード80とスリーブ89との当接圧力は、スリーブ母線方向の線圧として、98N/m(0.1kg/m)以上、好ましくは2.9×102〜2.5×104(0.3〜25kg/m)、更に好ましくは4.9×102〜1.2×104N/m(0.5〜12kg/m)が有効である。潜像保持体88とスリーブ89との間隙αは、例えば50〜500μmに設定される。スリーブ89上の磁性トナー層の層厚は、潜像保持体88とスリーブ89との間隙αよりも薄いことが最も好ましいが、場合により磁性トナー層を構成する磁性トナーの多数の穂のうち、一部は潜像保持体88に接する程度に磁性トナー層の層厚を規制してもよい。
【0165】
また現像スリーブ89は、潜像保持体88に対し、100〜200%の周速で回転される。バイアス印加手段86による交番バイアス電圧は、ピークトゥーピークで0.1kV以上、好ましくは0.2〜3.0kV、更に好ましくは0.3〜2.0kVで用いるのが良い。交番バイアス周波数は、0.5〜5.0kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、更に好ましくは1.5〜3.0kHzで用いられる。交番バイアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。また直流バイアスを重畳するのも好ましい。
【0166】
図8は、磁性一成現像方法の他の例であり、図8において、100は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラ117、撹拌部材141を有する現像器140、転写帯電ローラ114、クリーナ116、レジスタローラ124等が設けられている。そして感光体100は一次帯電ローラ117によって帯電される。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は、現像器140によってトナーで現像され、転写材Pを介して感光体に当接された転写ローラ114により転写材P上へ転写される。トナー画像をのせた転写材Pは搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ、トナー画像は転写材P上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーニング手段116によりクリーニングされる。
【0167】
現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上トナーは静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
【0168】
トナーの各物性及び現像、定着、画質の評価方法について以下に説明する。後述の実施例もこれらの評価方法に従っている。
【0169】
トナーの粒度分布の測定:
測定装置としては、コールダーカウンターTA−II或いはコ−ルターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0170】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0171】
トナー粒子の個数分布における変動係数Aは下記式から算出される。
【0172】
変動係数A=〔S/D1〕×100
〔式中、Sは、トナー粒子の個数分布における標準偏差値を示し、D1は、トナー粒子の個数平均粒径(μm)を示す。〕
【0173】
各環境におけるトナーの帯電量の測定:
環境帯電量は各環境条件下にトナー及びキャリアを一昼夜放置した後、以下の方法により測定する。
【0174】
例えば、常温帯湿(23℃/60%RH)、高温/高湿(30℃/80%RH)、低温/低湿(15℃/10%RH)の環境下でブローオフ法に基づき、トナーの摩擦帯電量を測定する。
【0175】
図1はトナーのトリボ電荷量を測定する装置の説明図である。先ず、底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとするトナーとキャリアの質量比1:19の混合物を50〜100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、5〜10分間手で振盪し、該混合物(現像剤)約0.5〜1.5gを入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の質量を秤りW1(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く計算される。
【0176】
【数3】
【0177】
現像スリーブ上のトナーの摩擦帯電量の測定:
現像スリーブ上のトナーの摩擦帯電量は、吸引式ファラデーゲージ法を使用して求める。ここの吸引式ファラデーゲージ法は、その外筒を現像スリーブ表面に押しつけて現像スリーブ上の一定面積上のトナーを吸引し、内筒のフィルターに採取してフィルターの質量増加分より、吸引したトナーの質量を計算することができる。それと同時に外部から静電的にシールドされてた内筒に蓄積された電荷量を測定することによって、現像スリーブ上のトナーの摩擦帯電量を求めることができる方法である。
【0178】
画像濃度:
単位面積あたりのトナー質量0.60mg/cm2での定着画像部の画像濃度をMacbeth RD918(マクベス社製)を用いて測定した。
【0179】
カブリの測定方法:
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTOMETER MODEL TC−6DSを使用して測定し、シアントナー画像ではamberフィルターを使用し、下記式より算出した。数値が小さい程、カブリが少ない。
【0180】
カブリ(反射率)(%)=〔標準紙の反射率(%)〕−〔サンプルの非画像部の反射率(%)〕
【0181】
1.2%以下をA、1.2%を超え1.6%以下をB、1.6%を超え2.0%以下をC、2.0%を超えたものをDと評価した。
【0182】
定着性、耐オフセット性:
トナー粒子に対して、外添剤を適量外添しトナーを得る。得られたトナーの未定着画像は市販の複写機によって作成する。
【0183】
上記トナーは、オイル塗布機能のない熱ローラー外部定着器によって、定着および耐オフセット性の評価をする。さらに、透明評価のための定着画像を得る。
【0184】
このときのローラーの材質として上部ローラおよび下部ローラともに表面がフッ素系樹脂またはゴムとする。上ローラ及び下ローラともに直径40mmのものを使用し、定着条件としては転写材がSK紙(日本製紙社製)の場合にはニップ5.5mm,定着スピード120mm/secとし、転写材がOHPシート(CG3300/3M社製)の場合にはニップ5.5mm,定着スピード35mm/secとし、100℃から250℃の温度範囲内で5℃おきに温調をかけて行う。
【0185】
定着性は、オフセットしていない画像を50dg/m2の荷重をかけシルボン紙〔Lenz Cleaning Paper “desper(R)”(Ozu Paper Co.,Ltd.)〕で2回こすり、こすり前後の濃度低下率が10%未満になる温度を定着開始点とする。
【0186】
耐オフセット性は、目視でオフセットの出なくなる温度を低温非オフセット始点とし、温度を上げてオフセットの出ない最高温度を高温非オフセット終点とする。
【0187】
透明性:
OHPシート上に得られた定着画像の単位面積あたりの各トナーの量に対する透過率及び曇り価(ヘイズ)を測定し、単位面積あたりのトナー質量0.70mg/cm2での数値を用い透明性を評価する。以下に透過率とヘイズの測定方法を記載する。
【0188】
透過率の測定は、島津自記分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム単独の透過率を100%とし、
マゼンタトナーの場合;550nm
イエロートナーの場合;410nm
シアントナーの場合 ;650nm
での最大吸収波長における透過率を測定する。
【0189】
凝集度:
パウダーテスター(細川ミクロン社製)の振動台に、上から目開きが150μm、75μm、38μmの順番にフルイを重ねてセットした後、振動台の振幅が0.4mmとなるように調整する。次にトナー5gを秤量し、最上位に位置する目開き150μmのフルイの上に静かに載せ、振動を15秒間加える。その後、各フルイ上に残ったトナーの質量を測定し、下式に従って凝集度を算出する。尚、凝集度の値が小さい程、流動性に優れることになる。
【0190】
【数4】
【0191】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明をより詳細に説明する。
【0192】
<実施例1>
下記のようにして、水系分散媒及び重合性単量体組成物を夫々調製した。
【0193】
水系分散媒の調製
水1000質量部に炭酸マグネシウム10質量部を微分散させ、70℃に昇温し、水系分散媒を得た。
【0194】
重合性単量体組成物の調製
・スチレン 150質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 18質量部
・メチルメタクリレート 2質量部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 10質量部
・ホウ素化合物 2質量部
・ポリエステル樹脂 10質量部
(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量8000)
・エステル系ワックス(融点70℃) 20質量部
・ジビニルベンゼン 0.5質量部
上記成分を70℃に加温して十分に溶解分散し、重合性単量体組成物とした。
【0195】
上記で調製した水系分散媒を高速回転剪断撹拌機クレアミックス(エムテクニック社製)で、高撹拌下に、上記で調製した重合性単量体組成物を投入して10分間造粒を行った。造粒終了後、これをマックスブレンド翼(住友重工社製)を備えた撹拌機の容器内に移し、回転数を、単位時間あたりのパス回数Nが2回/秒になるように調整した。これに重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部を、スチレン30質量部に溶解したものを、60秒間かけて添加した。この時、T×Nは120である。内温70℃で重合を継続させた。5時間後、重合温度を80℃に昇温し、加熱撹拌を5時間継続して重合を完了した。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、希塩酸を添加して分散剤を溶解し、固液分離、水洗、ろ過、乾燥することにより重合トナー粒子を得た。
【0196】
上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が7.0μmで、4.0μm以下の粒子が24個数%、10.1μm以上の粒子が2.0体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000で2.0μm未満の粒子を測定したところ25個数%であり、微粒子が少ないことがわかった。
【0197】
このシアントナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。
【0198】
得られたシアントナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.0質量部とを混合し、負摩擦帯電性のシアントナーを得た。
【0199】
このシアントナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、シアントナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0200】
<実施例2>
実施例1において、着色剤をC.I.ピグメントイエロー180に変更し、マックスブレンド翼をフルゾーン翼(神鋼パンテック社製)に変更し、回転数を、単位時間当たりのパス回数Nが4回/秒になるよう調整した。更に重合開始剤の添加時間200秒間に変更し、以下同様にして、イエロートナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が6.8μmで、4.0μm以下の粒子が30個数%、10.1μm以上の粒子が2.2体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000で2.0μm未満の粒子を測定したところ30個数%であり、微粒子が少ないことがわかった。
【0201】
このイエロートナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。
【0202】
得られたイエロートナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.0質量部とを混合し、負摩擦帯電性のイエロートナーを得た。
【0203】
このイエロートナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、イエロートナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0204】
<実施例3>
実施例1において、着色剤をC.1.ピグメントレッド122に変更し、マックスブレンド翼をアンカー翼に変更し、回転数を、単位時間あたりのパス回数Nが1回/秒になるよう調整した。更に重合開始剤の添加時間5秒間に変更し、以下は同様にして、マゼンタトナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が6.5μmで、4.0μm以下の粒子が33個数%、10.1μm以上の粒子が1.5体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−l000で2.0μm未満の粒子を測定したところ28個数%であった。
【0205】
このマゼンタトナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。
【0206】
得られたマゼンタトナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.0質量部とを混合し、負摩擦帯電性のマゼンタトナーを得た。
【0207】
このマゼンタトナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、マゼンタトナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0208】
<実施例4>
実施例1において、着色剤をカーボンブラックに変更し、重合開始剤の添加時間300秒間に変更し、アンカー型撹拌羽根の回転数を、パス回数Nが7回/秒になるように変更した以外は同様にして、ブラックトナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が7.9μmで、4.0μm以下の粒子が31個数%、10.1μm以上の粒子が2.2体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000で2.0μm未満の粒子を測定したところ37個数%であった。
【0209】
このブラックトナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。
【0210】
得られたブラックトナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.5質量部とを混合し、負摩擦帯電性のブラックトナーを得た。
【0211】
このブラックトナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、ブラックトナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0212】
<実施例5>
実施例1において、着色剤を、シランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径が0.15μmの磁性体150質量部に変更し、重合開始剤の添加時間を100秒間に変更した以外同様にして、磁性トナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が6.9μmで、4.0μm以下の粒子が28個数%、10.1μm以上の粒子が1.8体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000で2.0μm以下の粒子を測定したところ26個数%であった。
【0213】
得られた磁性トナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.2質量部とを混合し、負摩擦帯電性の磁性トナーを得た。
【0214】
この磁性トナーを用い、図8に示す磁性一成分現像装置を用い、1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0215】
<実施例6>
実施例1において、開始剤をt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートに変更した以外は同様にして、シアントナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が7.1μmで、4.0μm以下の粒子が32個数%、10.1μm以上の粒子が2.0体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000で2.0μm以下の粒子を測定したところ27個数%であった。
【0216】
このシアントナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。
【0217】
得られたシアントナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体2.0質量部とを混合し、負摩擦帯電性のシアントナーを得た。
【0218】
このシアントナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95重量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、シアントナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0219】
<実施例7>
実施例1のトナーを用い、図5に示すような非磁性一成分現像方式の装置を用いて、5000枚連続通紙試験(低温低湿下)を行ったところ、カブリが少なく、安定した画像濃度の画像が得られた。
【0220】
<実施例8>
実施例1と同様の方法で、連続10バッチ生産を行ったところ、造粒容器にはスケールの付着がほとんど発生しなかった。
【0221】
<比較例1>
実施例1において、重合開始剤の添加時間2秒間に変更した以外同様にして、シアントナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が7.1μmで、4.0μm以下の粒子が30個数%、10.1μm以上の粒子が2.2体積%であり、小粒径で、且つ非常にシャープな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPlA−1000で2.0μm未満の粒子を測定したところ33個数%であった。
【0222】
このシアントナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。
【0223】
得られたシアントナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.0質量部とを混合し、負摩擦帯電性のシアントナーを得た。
【0224】
このシアントナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、シアントナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0225】
このトナーは、凝集度がやや高く、カブリは初期よりやや悪く、耐久評価にて悪化した。
【0226】
<比較例2>
実施例2において、重合開始剤の添加時間600秒間に変更した以外は同様にして、イエロートナーを得た。上記で得られたトナー粒子について、コールターマルチサイザーで粒度分布を測定したところ、重量平均径が8.3μmで、4.0μm以下の粒子が30個数%、10.1μm以上の粒子が3.3体積%であり、ややブロードな粒度分布を有していた。更に、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000で2.0μm未満の粒子を測定したところ41個数%であった。
【0227】
このイエロートナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが確認できた。得られたイエロートナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.0質量部とを混合し、負摩擦帯電性のイエロートナーを得た。
【0228】
このイエロートナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調製し、図4に示すような市販のデジタルフルカラー複写機(CLC500,キヤノン製)の改造機(定着器のオイル塗布機構を除いた)を用いて、イエロートナーの1万枚連続通紙試験(低温低湿下)を行った。トナーの物性及び評価結果を表1に示す。
【0229】
このトナーは、凝集度がやや高く、カブリは初期よりやや悪く、耐久評価にて悪化した。また、定着性もやや劣っていた。
【0230】
<比較例3>
実施例1において、重合開始剤を重合性単量体組成物中に添加した以外は同様にして、シアントナーを得た。この方法で、連続10バッチ生産を行ったところ、造粒容器に、スケールの付着が発生した。
【0231】
【表1】
【0232】
【発明の効果】
本発明のトナーは、定着性に優れ、かつ、トナーの帯電量が良好であり、多数枚耐久時においても現像性(トナー帯電量、画像濃度)や転写性に優れる。
【0233】
さらには、連続生産性に優れた重合トナーの製造方法を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーのトリボ電荷量を測定する装置の概略的説明図である。
【図2】離型剤が外殻樹脂に内包化されているトナー粒子の断面の模式図である。
【図3】本発明のトナーが適用され得る現像装置の概略図である。
【図4】フルカラー又はマルチカラーの画像形成方法を説明するための概略図である。
【図5】中間転写体使用の画像形成方法の概略図である。
【図6】磁性一成分現像装置を示す概略図である。
【図7】磁性一成分現像装置を示す概略図である。
【図8】磁性一成分現像装置を示す概略図である。
【符号の説明】
31 現像剤担持体(現像スリーブ)
32 現像剤規制部材
33 静電荷像保持体(感光ドラム)
45 加熱ローラ
46 加圧ローラ
Claims (17)
- 少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有しており、重合開始剤を含有していない重合性単量体組成物を調製し、該重合性単量体組成物を水系媒体に投入して造粒し、造粒終了後に水系媒体中に下記(a)〜(c)のいずれかの方法で油溶性重合開始剤を添加し、造粒された該重合性単量体組成物を重合してトナー粒子の製造を行う重合トナーの製造方法であって、
該重合開始剤を5乃至300秒間かけて水系媒体中に添加し、かつ該重合開始剤の添加に要する時間T(秒)と、反応に使用する撹拌翼の単位時間あたりのパス回数N(回/秒)が、
5≦T×N≦2500
の関係を満たすことを特徴とする重合トナーの製造方法。
(a)液状油溶性重合開始剤を添加する
(b)油溶性重合開始剤を重合性単量体に溶解して添加する
(c)油溶性重合開始剤を溶剤に溶解して添加する - 該重合開始剤の添加に要する時間T(秒)と、反応に使用する撹拌翼の単位時間あたりのパス回数N(回/秒)が、
10≦T×N≦2000
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の重合トナーの製造方法。 - 該重合性単量体組成物に、重合性単量体100質量部に対して0.01〜5質量部の架橋剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の重合トナーの製造方法。
- 該重合トナーのTHF可溶成分のGPCのクロマトグラムにおいて、メインピーク分子量(Mp)が5000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)が50000〜1000000であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該重合トナーのTHF不溶分が該重合トナーに対して、10〜80%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該重合性単量体組成物に、重合性単量体100質量部に対して1〜50質量部の低軟化点物質を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該低軟化点物質の融点が50〜120℃であることを特徴とする請求項6に記載の重合トナーの製造方法。
- 該低軟化点物質がエステル系ワックスであることを特徴とする請求項6又は7に記載の重合トナーの製造方法。
- 該重合性単量体組成物に、重合性単量体100質量部に対して0.1〜50質量部の極性樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該極性樹脂の酸価が1〜35mgKOH/gであることを特徴とする請求項9に記載の重合トナーの製造方法。
- 該極性樹脂のMpが5000〜50000であることを特徴とする請求項9又は10に記載の重合トナーの製造方法。
- 該極性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナー粒子の平均円形度が0.95〜1.00であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該トナー粒子の重量平均粒子径が4〜10μmで、フロー式粒子像測定装置で計測される粒度分布の2.0μm未満が40個数%以下であることを特徴とする1乃至13のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該着色剤として磁性体を使用した磁性トナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該重合開始剤がアゾ系開始剤であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
- 該重合開始剤が過酸化物系開始剤であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
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