JP3935647B2 - インク受像層易接着ポリエステルフイルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインク受像層易接着ポリエステルフイルムに関し、更に詳しくは隠ぺい性に優れ、かつインクジェットプリンター等の水性インク受像層に対する耐水接着性、折り曲げ接着性に優れた、受像紙用に有用なインク受像層易接着ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートフイルムに代表されるポリエステルフイルムは、受像紙用フイルムのベースフイルムとして従来より広く使用されている。近年、カラープリンターの需要に伴い、インクジェット方式等の新しい印字方式が発展してきた。このような印字方式用の受像紙用フイルムでは、特開昭64−36479号公報、特開平1−95091号公報で提案されているように、フイルム上にインク受像層の形成が必要となる。このインク受像層には多孔質でインクの吸収性が良好なものが使用されるが、このインク受像層はベースフイルムとして用いるポリエステルフイルムに対する接着性が乏しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インク受像層との接着性に優れ、かつ隠ぺい性を兼備した、インクジェットプリンター用受像紙などに有用なインク受像層易接着ポリエステルフイルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、本発明によれば、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に塗膜を積層せしめたフイルムであって、該塗膜が(A)全カルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分の割合が6〜15モル%であり、かつ二次転移点が20〜40℃であるコポリエステル30〜80重量%、(B)ケン化度70〜90mol%のポリビニルアルコール15〜45重量%、(C)平均粒径が20〜80nmの微粒子3〜25重量%及び、(D)下記式(I)で示される化合物5〜20重量%からなる成分を主成分とし、該塗膜の表面エネルギーが50〜65mN/mであることを特徴とするインク受像層易接着ポリエステルフイルムにより達成される。
【0005】
【化2】
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
[ポリエステルフイルム]
本発明におけるポリエステルフイルムを構成するポリエステルは、熱可塑性ポリエステルであり、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分と、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコール成分とから構成されるポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレートが好ましい。また、上記成分等の共重合ポリエステルであっても良い。
【0008】
ポリエステルにはフイルムを製造する際の巻取性や、インク受像層等を塗設する際のフイルムの搬送性等を良くするため、必要に応じて滑剤としての有機又は無機の微粒子を含有させることが好ましい。かかる微粒子としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が例示される。また、微粒子以外にも着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、触媒、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ポリマー、オレフィン系アイオノマーのような他の樹脂等もポリエステルフイルムの機械的特性を損なわない範囲で任意に含有させることができる。
【0009】
また、本発明におけるポリエステルフイルムには、光沢度が50以上、光線透過率が20%以下でありかつ白色であるポリエステルフイルム(白色ポリエステルフイルム)を用いることが好ましい。この白色ポリエステルフイルムは、ポリエステルに白色顔料、例えば酸化チタン及び/または硫酸バリウムを例えば5〜20重量%含有させることにより得ることができる。また、白色ポリエステルフイルムは、受像紙として用いるときの印字物の鮮映性より光沢度が50以上で、印字物の意匠性から、その光線透過率が20%以下であることが好ましい。
【0010】
本発明におけるポリエステルフイルムは、150℃で30分間保持したときの熱収縮率が1%以下の二軸延伸フイルムであることが、ポリエステルフィルムを受像紙に用いた際に寸法安定性が良好であり、印字のずれ等を抑制できるため好ましい。このような熱収縮率を有する二軸延伸フイルムは、例えば、二軸延伸後に熱固定やポリエステルのTg以上の温度での熱処理によりフィルムの密度を例えば1.390g/cm3 以上とすることにより得ることができる。
【0011】
[(A)コポリエステル]
本発明においては、ポリエステルフイルム少なくとも片面に、(A)全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分の割合が6〜15モル%であり、かつ二次転移点が20〜40℃であるコポリエステル(以下『(A)コポリエステル』と略記する)、(B)ケン化度70〜90mol%のポリビニルアルコール(以下『(B)ポリビニルアルコール』と略記する)、(C)平均粒径が20〜80nmの微粒子(以下『(C)微粒子』と略記する)及び、(D)前記式(I)で示される化合物(以下『(D)化合物』と略記する)からなる成分を主成分とする塗膜を積層する。
【0012】
この塗膜を形成する成分として用いる(A)コポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、5−スルホイソフタル酸、トリメリット酸、ジメチロールプロピオン酸等のジカルボン酸成分及び5−Naスルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、5−Kスルホテレフタル酸等のスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチレングコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノール−Aのアルキレンオキシド付加物等のヒドロキシ化合物成分とから構成される共重合ポリエステルであって、水溶液、水分散液又は乳化液として使用される。
【0013】
(A)コポリエステルには、親水性を付与するためのスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が、分子内の全ジカルボン酸成分に対し6〜15モル%共重合されていることが必要である。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分の共重合割合は、上限が14モル%であることが好ましく、下限が7モル%であることが好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が6モル%未満では(A)コポリエステルの親水性が不足し、一方16モル%を超えると塗膜の耐湿性が低下するので好ましくない。
【0014】
また、(A)コポリエステルの二次転移点(Tg)は20〜40℃であることが必要である。この二次転移点(Tg)は、上限が35℃であることが好ましく、下限が25℃であることが好ましい。Tgが20℃未満ではフイルムがブロッキングしやすく、一方40℃を超えるとインク受容層の折り曲げ接着性が低下するので好ましくない。
【0015】
[(B)ポリビニルアルコール]
本発明において塗膜を形成する成分として用いる(B)ポリビニルアルコールは、ケン化度が70〜90mol%であることが必要がある。このケン化度が70mol%未満では塗膜の耐湿性が低下し、一方90mol%を超えるとインク受像層に対する接着性が低下するので好ましくない。
【0016】
[(C)微粒子]
本発明において塗膜を形成する成分として用いる(C)微粒子は有機又は無機の微粒子であり、平均粒径が20〜80nmのものである。かかる微粒子としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が例示される。(C)微粒子の粒径が20nm未満ではフイルムがブロッキングしやすく、一方80nmを超えると削れ性が低下するので好ましくない。
【0017】
[(D)化合物]
さらに、本発明において塗膜を形成する成分として用いる(D)化合物は下記式(I)で示される化合物であり、この化合物を用いることにより塗膜とインク受像層との接着性が十分なものとなる。
【0018】
【化3】
【0019】
[塗膜]
本発明において、塗膜を構成する(A)コポリエステル、(B)ポリビニルアルコール、(C)微粒子及び(D)化合物の配合割合は、(A)コポリエステルが30〜80重量%、(B)ポリビニルアルコールが15〜45重量%、(C)微粒子が3〜35重量%、(D)化合物が5〜20重量%である。(A)コポリエステル成分の割合が30重量%未満では塗膜のポリエステルフイルムとの接着性が不足し、一方80重量%を超えると塗膜とインク受像層との接着性が低下するので好ましくない。(B)ポリビニルアルコール成分の割合が15重量%未満では塗膜とインク受像層との接着性が不足し、一方45重量%を超えるとフイルムの耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。また、(C)微粒子成分の割合が3重量%未満ではフイルムの滑性(搬送性)が不足し、一方25重量%をこえると塗膜の削れ性が低下するので好ましくない。(D)化合物成分の割合が5重量%未満ではインクジェットプリンターでの印刷後のインク受像層との接着性が不足し、一方20重量%を超えるとフイルムの耐ブロッキング性の低下や、塗膜のポリエステルフィルムとの接着性が低下するため好ましくない。
【0020】
また、本発明における塗膜は、その表面エネルギーが50〜65mN/mであることが必要である。表面エネルギーの上限は60mN/mであることが特に好ましく、下限はに52mN/mであることが特に好ましい。この表面エネルギーが50mN/m未満であると、水性インク受像層の塗工性及び接着性が不良となり、65mN/mを超えると基体であるポリエステルフィルムとの密着性が不足したり、塗膜の耐湿性が不足することがあるため好ましくない。
【0021】
表面エネルギーが50〜65mN/mの塗膜は、(A)コポリエステル、(B)ポリビニルアルコール、(C)微粒子及び(D)化合物の成分割合が本発明の範囲である塗膜を、例えば0.02〜1μmの厚さで積層することにより得ることができる。
【0022】
本発明においては、塗膜を形成する成分として上記の成分以外にオキサゾリン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の他の樹脂、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を使用することができる。
【0023】
[塗膜の積層]
本発明においては、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に前記成分からなる塗膜を積層するが、例えば延伸可能なポリエステルフイルムに塗膜を形成する成分を含む水性液を塗布した後、乾燥、延伸し、必要に応じて熱処理することにより積層することができる。この水性液の固形分濃度は、通常30重量%以下であり、10重量%以下がさらに好ましい。
【0024】
上記の延伸可能なポリエステルフイルムとは、未延伸ポリエステルフイルム、一軸延伸ポリエステルフイルム又は更に延伸可能な二軸延伸ポリエステルフイルムである。このうちフイルムの押出し方向(縦方向)に一軸延伸した縦延伸ポリエステルフイルムが特に好ましい。
【0025】
ポリエステルフイルムへ水性液を塗布する場合は、通常の塗工工程、即ち二軸延伸熱固定したポリエステルフイルムに該フイルムの製造工程と切り離した工程で行うと、芥、塵埃等を巻き込み易く好ましくない。かかる観点よりクリーンな雰囲気での塗布、即ちフイルム製造工程での塗布が好ましい。そして、この塗布によれば、塗膜のポリエステルフイルムへの密着性がさらに向上する。
【0026】
塗布方法としては、公知の任意の塗布法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独または組み合わせて用いることができる。塗布量は走行しているフイルム1m2 当り0.5〜20g、更に1〜10gが好ましい。水性液は水分散液又は乳化液として用いるのが好ましい。
【0027】
水性液を塗布した延伸可能なポリエステルフイルムは、乾燥、延伸処理工程に導かれるが、かかる処理は、従来から知られている条件で行うことができる。このうち特に好ましい条件としては、例えば乾燥条件は90〜130℃の温度で2〜10秒間であり、延伸温度は90〜130℃、延伸倍率は縦方向3〜5倍、横方向3〜5倍、必要ならば再縦方向1〜3倍であり、熱固定する場合は180〜240℃の温度で2〜20秒間である。
【0028】
かかる処理後のポリエステルフイルムの厚さは50〜150μmであること、また塗膜の厚さは0.02〜1μmであることが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下実施例により、本発明を更に説明する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0030】
1.印刷前接着性
ポリエステルフイルムの塗膜面に、球状シリカ(平均粒径18μ、平均細孔径200オングストローム、平均細孔容積1.5cc/g)70重量%、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA117)30重量%を混合した水性スラリーを乾燥厚さで20μm塗設し、その上に幅12.7mm、長さ150mmのスコッチテープ(スリーエム社製・No.600)を気泡が入らないよう粘着し、この上をJIS・C2701(1975)記載の手動式荷重ロールでならして密着させた後、テープ幅に切り出す。このようにして作成したサンプルからスコッチテープを剥離する際の、インク受像層のポリエステルフイルムからの剥離状態を観察して接着性を下記の通り評価した。
A:剥離が全く認められず、密着性良好
B:異物部分で僅かに剥離が認められる
C:剥離が顕著に認められる
【0031】
2.印刷後接着性
ポリエステルフイルムの塗膜面に、球状シリカ(平均粒径18μ、平均細孔径200オングストローム、平均細孔容積1.5cc/g)70重量%、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA117)30重量%を混合した水性スラリーを乾燥厚さで20μm塗設し、その上に、インクジェットプリンター(EPSON製PM−750C)でデジタルカメラ等で撮影した画像をパソコンに取り込み、印刷し、印刷の上に幅12.7mm、長さ150mmのスコッチテープ(スリーエム社製・No.600)を気泡が入らないよう粘着し、この上をJIS・C2701(1975)記載の手動式荷重ロールでならして密着させた後、テープ幅に切り出す。このようにして作成したサンプルからスコッチテープを剥離する際の、インク受像層のポリエステルフイルムからの剥離状態を観察して接着性を下記の通り評価した。
A:剥離が全く認められず、密着性良好
B:異物部分で僅かに剥離が認められる
C:剥離が顕著に認められる
【0032】
3.耐水接着性
上記接着性を評価した物について、インク受像層の上から、ガーゼに水を染み込ませ、ラビングし、何回ラビングしたらインク受像層が脱落するかを下記の通り評価した。
A:50回以上・・・耐水接着性が極めて良好
B:30〜50回・・耐水接着性が良好
C:30回未満 ・・耐水接着性不良
【0033】
4.折り曲げ接着性
上記接着性を評価したものについて、最初インク受容層側に180℃折り曲げ、その後インク受容層と反対側に180℃折り曲げ、もどし折り曲げ部分のインク受容層上にスコッチテープを貼り付け、剥離しインク受容層の脱落を下記の通り評価した。
A:折り曲げ部分のみ、インク受容層が脱落(剥離巾1mm未満)
B:折り曲げ巾+30%の巾で、インク受容層が脱落(剥離巾1mm以上1.3mm未満)
C:折り曲げ巾+50%の巾で、インク受容層が脱落(剥離巾1.5mm以上)
【0034】
5.摩擦係数
ASTM・D1894―63に準じ、東洋テスター社製のスリッパ―測定器を使用し、フイルムの表面と裏面を合わせ、荷重1kgを加えて静摩擦係数を測定した。摩擦係数が0.6を超えるとフイルム搬送性に支障をきたす。
【0035】
6.ブロッキング性
50mm幅に切断したフイルムを2枚重ね、4.9MPaの荷重下40℃×50%RH×17時間処理した後、引張り試験機にて荷重を加えた箇所の剥離強度(g/50mm)を測定した。剥離強度の値により下記の通り評価した。
【0036】
7.表面エネルギー
W.A.Zisman:“Contact Augle, Wettability and Adhesion ",Am. Chem.Soc., (1964)に従い、測定した臨界表面張力γcをもって、表面エネルギーとした。
【0037】
8.二次転移点
デュポン製 Thermal Analyst 2000型 示差熱量計にて、20℃/分の昇温速度にて測定した。
【0038】
9.固有粘度
オルソクロロフェノール溶媒による溶液の粘度を35℃にて測定し求めた。
【0039】
10.耐湿性
前記ブロッキング性の評価において、処理条件を60℃×70%RH×17時間としたほかは同様の方法で剥離強度(g/50mm)を測定した。測定結果より下記の通り評価した。
【0040】
11.水分散性
塗布剤を水で希釈して0.2重量%の水分散体とし、石英製セルを用いて、日立製作所製 ダブルビーム分光光度計(228A型機)にて光線透過率を測定した。測定結果より下記の通り評価した。
【0041】
12. 光沢度Gs(60°)
(株)村上色彩技術研究所製光沢計GM−3D型を使用し、JIS Z 8741−1962に準じて測定する。測定角は60°とし、測定数はn=5とし、その平均値を光沢度Gs(60°)の値とする。
【0042】
13.光線透過率
村上色彩技術研究所製 HR―100型 ヘーズメーターにより、ASTM・D1003に準じて測定した。
【0043】
14.熱収縮率
ポリエステルフイルムを150℃×30分熱処理した後の収縮率を標点間距離30cmで測定した。
【0044】
15.中心線平均粗さ(Ra)
JIS B0601に準じて、(株)小坂研究所製の高精度表面粗さ計SE−3FATを使用して、針の半径2μm、荷重30mgで拡大倍率5万倍、カットオフ0.08mmの条件下に、チャートを描かせ表面粗さ曲線からその中心線方向に測定長さLの部分を抜きとり、この抜きとり部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表した時、次式で与えられた値をnm単位で表わした。
【0045】
【数1】
【0046】
この測定は基準長を1.25mmとして、4個測定し、平均値で表わした。
【0047】
16.鮮映性
インク受像層を塗布したポリエステルフィルムについて、インクジェットプリンター(EPSON製 PM−750C)でデジタルカメラ等で撮影した画像をパソコンに取り込み、印刷し、印刷物の鮮明性を目視で観察し、下記の通り評価した。
A:印刷が極めて鮮明性で良好 ・・・・鮮映性が極めて良好
B:印刷が鮮明性で良好 ・・・・鮮映性が極めて良好
C:印刷が不鮮明で鮮明性が不良・・・・鮮映性が不良
【0048】
[実施例1]
テレフタル酸成分及びエチレングリコール成分からなるポリエステル(固有粘度が0.62)を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押し出しして未延伸フイルムとし、次に該未延伸フイルムを機械軸方向に3.6倍延伸した後、水性バインダーとして、コポリエステル(酸成分がテレフタル酸[69モル%]、イソフタル酸[21モル%]および5−Naスルホイソフタル酸[10モル%]、グリコール成分がジエチレングリコール[60モル%]およびネオペンチルグリコール[40モル%]よりなる共重合ポリエステル(Tg=30℃、以下、単に『E』と略記することがある))51重量%、ケン化度86〜89モル%のポリビニルアルコール20重量%、平均粒径40nmの架橋アクリル樹脂粒子10重量%、下記式(II)で示される化合物(以下、単に『O』と略記することがある)10重量%並びにポリオキシエチレンラウリルエーテル9重量%からなる組成の、固形分濃度4重量%の水性液をロールコーターにて塗布した。次いで、水性液を塗布した縦延伸フイルムを乾燥しつつ横方向に4倍延伸し、更に230℃で熱固定して厚さ100μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0049】
このフイルムでの塗膜厚さは0.03μm、中心線平均表面粗さは14nm、表面エネルギーは59mN/m、熱収縮率は縦方向で0.9%、横方向で0.2%であった。このフイルムの特性を表1に示す。
【0050】
【化4】
【0051】
[比較例1]
水性液を塗布しない以外は、実施例1と同様にして得た二軸延伸ポリエステルフイルムの特性を表1に示す。
【0052】
[実施例2〜7]
塗布剤の種類と比率を表1に示すように変える以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。このフイルムの特性を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示す結果から明らかなように、本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは接着性に優れる。
【0055】
尚、表1において(A)コポリエステルの種類EおよびF(注1)は、下記の化合物であることを示す。
E:テレフタル酸[69モル%]・イソフタル酸[21モル%]・5−Naスルホイソフタル酸[10モル%]/ジエチレングリコール[60モル%]・ネオペンチルグリコール[40モル%]の共重合体(Tg=30℃)
F:テレフタル酸[60モル%]・イソフタル酸[30モル%]・5−Kスルホテレフタル酸[10モル%]/エチレングリコール[20モル%]・1,4−ブタンジオール[60モル%]・ネオペンチルグリコール[20モル%]共重合体(Tg=25℃)
【0056】
また、表1において(B)ポリビニルアルコールの種類P、QおよびR(注2)は、下記の化合物であることを示す。
P:ケン化度86〜89mol%のポリビニルアルコール
Q:ケン化度74〜78mol%のポリビニルアルコール
R:ケン化度92〜95mol%のポリビニルアルコール
【0057】
表1において(C)微粒子の種類MおよびN(注3)は、下記の化合物であることを示す。
M:平均粒径 40nmの架橋アクリル粒子
N:平均粒径 80nmのコロイダルシリカ粒子
表1において(D)化合物の種類OおよびS(注4)は、Oが下記式(II)で示される化合物、Sが下記式(III)で示される化合物であることを示す。
【0058】
【化5】
【0059】
【化6】
【0060】
[実施例8、9及び比較例2〜4]
(A)コポリエステルの種類を表2および表3に示す様に変えて、Tgの異なるコポリエステルを用いた以外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
表2に示す結果から明らかなように、本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは耐ブロッキング性および接着性に優れる。
【0064】
[実施例10〜13及び比較例5]
(A)コポリエステルのスルホン酸塩基を含有するジカルボン酸成分の割合を表4に示す様に変えた以外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
表4に示す結果から明らかなように、本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは耐湿性、接着性に優れる。
【0067】
[実施例14〜18及び比較例6〜13]
(A)コポリエステル、(B)ポリビニルアルコール、(C)微粒子および(D)化合物の種類と比率を表5に示すように変えた外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。得られたフイルムの特性を表5に示す。尚、表5における塗装用組成物の種類の各記号は、前記の化合物であることを示す。
【0068】
【表5】
【0069】
表5に示す結果から明らかなように、本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは接着性、搬送性に優れる。
【0070】
[実施例19、20及び比較例14、15]
(C)微粒子の粒径を表6に示すように変えた外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。得られたフイルムの特性を表6に示す。
【0071】
【表6】
【0072】
表6に示す結果から明らかなように、本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは耐ブロッキング性に優れる。
【0073】
[実施例21、22及び比較例16、17]
(A)コポリエステル、(B)ポリビニルアルコール、(C)微粒子および(D)化合物の比率を表7に示すように変えた以外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。得られたフイルムの特性を表7に示す。
【0074】
【表7】
【0075】
表7に示す結果から明らかなように、本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは接着性及び搬送性に優れる。
【0076】
[実施例23]
テレフタル酸成分及びエチレングリコール成分からなるポリエステル(固有粘度が0.62)90重量%と酸化チタン10重量%からなる組成物を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押し出しして未延伸フイルムとし、次に該未延伸フイルムを機械軸方向に3.6倍延伸した後、水性バインダーとして、共重合ポリエステル(酸成分がテレフタル酸[69モル%]、イソフタル酸[21モル%]および5−Naスルホイソフタル酸[10モル%]、グリコール成分がジエチレングリコール[60モル%]およびネオペンチルグリコール[40モル%]よりなる共重合ポリエステル:Tg=30℃)51重量%、ケン化度86〜89モル%のポリビニルアルコール20重量%、平均粒径40nmの架橋アクリル樹脂粒子10重量%、前記式(II)で示される化合物(O)10重量%並びにポリオキシエチレンラウリルエーテル9重量%からなる組成の、固形分濃度4重量%の水性液をロールコーターにて塗布した。次いで、水性液を塗布した縦延伸フイルムを乾燥しつつ横方向に4倍延伸し、更に230℃で熱固定して厚さ100μmの二軸延伸フイルムを得た。このフイルムでの塗膜厚さは0.03μm、光沢度が60、光線透過率は3%、熱収縮率は縦方向で0.9%、横方向で0.2%、鮮映性、接着性は良好であった。
【0077】
【発明の効果】
本発明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは、隠ぺい性に優れ、かつインクジェットプリンター等の水性インク受像層に対する接着性に優れたものであり、受像紙用として有用である。
Claims (5)
- ポリエステルフイルムが光沢度50以上、光線透過率20%以下の白色フイルムである請求項1記載のインク受像層易接着ポリエステルフイルム。
- ポリエステルフイルムが150℃で30分間保持したときの熱収縮率が1%以下の二軸延伸フイルムである請求項1記載のインク受像層易接着ポリエステルフイルム。
- ポリエステルフイルムが光線透過率20%以下の白色フイルムであり、塗膜の上に更に水性インク受像層を設けて用いる請求項2記載のインク受像層易接着ポリエステルフイルム。
- インクジェットプリンター用受像紙に用いる請求項4記載のインク受像層易接着ポリエステルフイルム。
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