JP3933527B2 - 1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物、構造物損傷部補修用注入材および注入補修工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物、構造物損傷部補修用注入材および注入補修工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂組成物は、物理的強度や接着性に優れ、接着剤、パテ材、塗料等のコーティング材、ポッティング材などとして、広く利用されている。従来、エポキシ樹脂組成物は、反応性の高いアミン系化合物を硬化剤として使用しているために、エポキシ樹脂成分と、硬化剤成分と別々に保存して、使用する直前に混合するという2液型であった。しかし、2液型エポキシ樹脂組成物は、計量や混合などの作業が必要となり、このために、作業性に劣るものであり、その煩雑さから計量ミスや混合不良という諸問題も有していた。しかも、2液型エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを混合することで、化学反応が生じるので、使用できる時間が限られているという欠点もあった。
【0003】
このため、1液化したエポキシ樹脂組成物の検討が種々なされており、ケチミン系化合物を中心とする湿気分解型潜在性硬化剤を用いた1液型エポキシ樹脂組成物についての技術は多数知られている。このような中でも、工業的見地から、カルボニル化合物としてメチルイソブチルケトンを用いて得られるケチミン系化合物を用いた1液型エポキシ樹脂組成物について、種々の技術が開示されている。
【0004】
ケチミン系化合物は、エポキシ樹脂、イソシアネート末端のウレタンプレポリマーなどの潜在性硬化剤として、広く知られている。ケチミン系化合物と、エポキシ樹脂とを配合した組成物の反応機構について次に説明する。ケチミン系化合物は空気中の湿気と反応し、分解(加水分解)して活性水素を有するアミン系化合物を生成する。この生成された活性水素を有するアミン系化合物は、エポキシ樹脂と反応し、これにより、エポキシ樹脂が硬化する。すなわち、ケチミン系化合物とエポキシ樹脂とを配合した組成物において、最も重要なことは、(1)ケチミン系化合物の加水分解速度が速いほど、速硬化性が得られることである。さらに、(2)加水分解により生じたアミン系化合物の反応性が高いほど、速硬化で高度な物性が得られやすいことである。しかしながら、加水分解速度が速いケチミン系化合物を用いたエポキシ樹脂組成物では、貯蔵安定性が乏しくなるという二律相反する難点がある。すなわち、速硬化性と貯蔵安定性とは、相反する性能であり、一方を向上させると、他方が低下してしまうおそれがある。
【0005】
また、硬化したエポキシ樹脂組成物は、架橋密度が高く、透湿性が極めて低いという特徴を有しており、この特徴は、エポキシ樹脂組成物が幅広い用途で使用されている要因の1つでもある。ケチミン系化合物を用いた1液型エポキシ樹脂組成物も同様に、その硬化物は透湿性が低い。そのため、速硬化性が得られるケチミン系化合物を用いたエポキシ樹脂組成物では、表面が硬化すると、組成物の深部への湿気の供給が低下してなくなり、深部硬化性が乏しくなるという二律相反する難点もある。すなわち、速硬化性と深部硬化性とは、相反する性能であり、一方を向上させると、他方が低下してしまうおそれがある。従って、特に、不陸のある接着、欠損補修、パテ材や注入材などの厚い硬化膜厚が要求される用途には全く使用できなかったのが現状であった。
【0006】
最近では、WO98/31722号公報で、立体障害のあるカルボニル化合物から得られる特定のケチミン系化合物を用いることで、貯蔵安定性を高める技術が開示されている。ここでのケチミン系化合物は、その立体構造から加水分解性を示す部位に水分が接触しにくくなり、加水分解性が遅くなっているものである。そのため、貯蔵安定性は高められているが、速硬化性などの硬化特性が劣るという従来からの難点を備えていた。すなわち、この公報で記載されているケチミン系化合物を用いた場合、エポキシ樹脂組成物の硬化が進行しにくく、初期接着強さや機械的強度の立ち上がりが鈍いという問題点を有している。さらに、エポキシ樹脂との反応には関係しないカルボニル化合物に特徴を持たせただけであり、エポキシ樹脂組成物表面で加水分解して生成されたアミン系化合物とエポキシ樹脂とが反応し、硬化すると、エポキシ樹脂組成物深部への湿気の供給がなくなるため、深部硬化性にも劣るという問題を有している。そのため、使用に耐えうる物性が得られるまでに長時間の養生が必要であるだけでなく、深部硬化性に乏しく、実用的な硬化膜厚に達するにはさらに長時間の養生が必要となり、実用的には不十分であった。従って、この技術においても、速硬化性や深部硬化性等の硬化特性と、貯蔵安定性とを優れたレベルで備えるものではなく、従来技術の延長線上の技術手段でしかなかった。
【0007】
また、コンクリート構造物の損傷部(クラックや浮きなど)を補修する際には、コンクリート構造物の損傷部に注入材を注入して補修する方法が利用されている。このような注入材としては、例えば、特開平11−293929号公報で記載されているように、エポキシ樹脂組成物を用いることができる。前記特開平11−293929号公報では、前記WO98/31722号公報と同様に、エポキシ樹脂と、特定のケチミン系化合物とを含むエポキシ樹脂組成物が用いられており、エポキシ樹脂との反応には関係しないカルボニル化合物に特徴を持たせただけであり、エポキシ樹脂組成物表面で加水分解して生成されたアミン系化合物については何ら言及もなされていない。そのため、エポキシ樹脂組成物は深部硬化性が低く、コンクリート構造物の損傷部の厚み(エポキシ樹脂組成物の注入層の厚み)が1mm以上である場合、その損傷部を注入補修すると、1mm以上の厚みの損傷部の内部までの完全な硬化に達するには長時間が必要であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、エポキシ樹脂およびケチミン系化合物を含有する1液型であっても、優れた深部硬化性を発揮できる1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、速硬化性、深部硬化性および貯蔵安定性が、ともに優れている1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、エポキシ樹脂組成物の配合ぶれや混合不良などの人為的なミスを防止して、構造物の損傷部の注入補修を優れた作業性で行うことができ、しかも、厚い硬化膜厚を迅速に形成することができる構造物損傷部補修用注入材および注入補修工法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、次のことを見出した。ケチミン系化合物を合成する際のアミン系化合物として、第1級アミンの窒素原子に隣接する炭素原子が、置換基を有していない場合、該ケチミン系化合物は、加水分解性に優れ、エポキシ樹脂との反応性にも優れており、その結果、このケチミン系化合物とエポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物は、速硬化性に優れるが、安定性に劣る。しかも、この速硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物は、硬化初期で表面から完全な架橋構造を形成するために、湿気を内部に通さなくなるためか、深部硬化性にも劣っている。一方、ケチミン系化合物を合成する際のアミン系化合物として、第1級アミンの窒素原子に隣接する炭素原子が、置換基を1つ以上有している場合、加水分解性に劣り、エポキシ樹脂との反応性にも劣っており、その結果、このケチミン系化合物とエポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物は、安定性に優れるが、速硬化性に劣る。また、前記2種のケチミン系化合物を併用した場合、各々のケチミン系化合物の悪い点ばかりが発現し、その結果、この2種のケチミン系化合物を含むエポキシ樹脂組成物は、速硬化性が劣っているとともに、安定性にも劣っていた。また、深部硬化性も低かった。
【0010】
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、特定のアミン系化合物より調製されたケチミン系化合物を、エポキシ樹脂の硬化剤として用いると、特異的に、速硬化性と、貯蔵安定性という相反する性能をともに向上させることができるとともに、速硬化性と、深部硬化性という相反する性能もともに向上させることができることを見出した。本発明はこれら知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂およびケチミン系化合物を含有するエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂(A)と、下記式(1)で表されるケチミン系化合物(B)とを含有し、且つ下記(a)で示される深部硬化性を有することを特徴とするコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
(a)1液型エポキシ樹脂組成物層の厚み:2mm、養生期間:7日間の条件でモルタル曲げ接着試験(JIS A 6024に準拠;但し、1液型エポキシ樹脂組成物層の厚みを2mmとする)を行った場合の接着強さが5.97N/mm 2 以上であり、破壊状態が材料の少なくとも一部又は全部が破壊された状態であること
【化4】
(式(1)において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一又は異なって、アルキル基を示す。)
このコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、下記(b)で示される硬化性を有していてもよい。
(b)1液型エポキシ樹脂組成物層の厚み:1mm、養生期間:7日間の条件でモルタル曲げ接着試験(JIS A 6024に準拠)を行った場合の破壊状態が「材料破壊」であること
【0014】
本発明では、さらに、下記式(3)で表される加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物(C)を含有していてもよい。
【化9】
(式(3)において、R7は水素原子又は炭化水素基を示し、R8は水素原子又は炭化水素基を示す。nは1又は2である。R7、R8は、それぞれ、同一又は異なる珪素原子に結合しているR7又はR8と結合していてもよい。)
【0015】
前記シラン系化合物(C)が、エポキシ基を含有するシラン系化合物が好適である。
【0016】
本発明では、また、さらに、下記式(4)で表されるカルボン酸ビニルエステル系化合物(D)を含有していてもよい。
【化10】
(式(4)において、R13、R14、R15は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R16は、水素原子、または1価若しくは多価の炭化水素基を示す。また、mは1以上の整数である。)
【0017】
エポキシ樹脂(A)としては、分子中に水酸基を有していないエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
【0018】
さらに、本発明は、コンクリート構造物の損傷部の注入補修を行う際に用いられる注入材であって、前記コンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするコンクリート構造物損傷部補修用注入材を提供する。さらにまた、本発明は、前記コンクリート構造物損傷部補修用注入材を用いて、コンクリート構造物の損傷部の注入補修を行うことを特徴とする注入補修工法を提供する。
【0019】
本発明において、「1液型エポキシ樹脂組成物」等の「1液型」とは、エポキシ系接着剤の分野で一般的にいわれている「1液型エポキシ系接着剤や2液型エポキシ系接着剤」における「1液型」のことを意味している。具体的には、1液型エポキシ樹脂組成物とは、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤とが1つの容器に入れられた状態(例えば、混合している状態)で、実質的に販売可能なものを意味し、室温で長期間貯蔵(又は保管)されても、ゲル化や硬化がほとんど又は全く生じず、実質的に初期状態(初期の分散状態)を長期間保持することができるものを意味している。従って、1液型エポキシ樹脂組成物は、使用する際に、エポキシ樹脂成分(ポリマー成分)を、他の成分(硬化剤など)と混合する必要がなく、そのまま所定部位に塗布することにより、用いることができる。なお、貯蔵に係る長期間としては、例えば、6月以上、1年以上、1年6月以上など適宜選択可能であるが、少なくとも6月以上であることが好ましい。
【0020】
一方、2液型エポキシ樹脂組成物とは、ポリマー成分と、硬化剤又は助剤等の他の成分とが、それぞれ異なる容器に入れられている状態で販売され、使用する際に、これらのポリマー成分と、該ポリマー成分と異なる容器に入れられた硬化剤又は助剤等の他の成分とを混合し、この混合物を所定の部位に塗布して、使用されるものを意味している。従って、2液型エポキシ樹脂組成物は、使用する際に2液を混合して1液としているだけであって、1液にすると硬化又はゲル化が生じるため、実質的な貯蔵安定性がなく、1液型としては実質的に販売は不可能なものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
[1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物]
本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物(「1液型エポキシ樹脂組成物」や「エポキシ樹脂組成物」と称する場合がある。)は、エポキシ樹脂(A)と、分子中に前記式(1a)および(2a)で表される基をそれぞれ少なくとも1つ有するケチミン系化合物(B)とを含有している。ケチミン系化合物(B)自体はエポキシ樹脂(A)に対する反応性を有していないので、湿気が遮断されている容器中では、1液型エポキシ樹脂組成物は安定的に存在しており、硬化反応が生じない。しかし、1液型エポキシ樹脂組成物が一旦容器から取り出されると、空気中の湿気によって、ケチミン系化合物(B)の加水分解が生じてアミンが生成し、該アミンがエポキシ樹脂(A)と反応して架橋構造が形成されて硬化が進行し、優れた機械的強度及び接着性が発現される。このように、本発明における1液型エポキシ樹脂組成物は、実質的に1液型のエポキシ樹脂組成物であり、貯蔵安定性が優れ、接着剤、コーティング剤や、欠損補修材、パテ材、注入材などとして利用する際には、優れた初期密着性(初期接着性や初期付着性など)を発揮させることができ、実用的に極めて優れた貯蔵安定性および硬化特性を有している。しかも、深部硬化性も有しており、1液型エポキシ樹脂組成物は、表面のみならず、内部(深部)においても有効に硬化することができ、極めて優れた機械的強度を発現することができる。
【0022】
エポキシ樹脂(A)と、ケチミン系化合物(B)との配合割合としては、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の当量と、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成するアミンの活性水素の当量とに応じて適宜選択することができる。具体的には、エポキシ樹脂(A)と、ケチミン系化合物(B)との配合割合としては、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成するアミンの活性水素の当量が、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の当量に対して0.5〜2.0倍となるような割合であることが好ましい。この配合割合よりもケチミン系化合物(B)の割合が少ない場合には、エポキシ樹脂(A)が過剰となり、エポキシ樹脂組成物の硬化物において満足する程度の架橋反応が進まず、実質的な機械的強度が得られなくなる場合がある。一方、ケチミン系化合物(B)の割合が前記例示の配合割合よりも多い場合には、加水分解により生成するアミンが過剰となり、前記ケチミン系化合物(B)の割合が少ない場合と同様に、実質的な機械的強度が得られなくなる場合がある。このように、実質的な機械的強度が得られる架橋構造を形成するためには、エポキシ樹脂(A)と、ケチミン系化合物(B)との配合割合は前記例示の配合割合であることが好ましく、特に、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成するアミンの活性水素の当量が、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の当量に対して0.8〜1.2倍となるような割合であると、理想的な架橋構造を形成することができ、接着剤、コーティング剤や、欠損補修材、パテ材、注入材などとして優れた機械的強度を発揮させることができるようになる。
【0023】
[エポキシ樹脂(A)]
エポキシ樹脂(A)としては、特に制限されず、公知乃至慣用のエポキシ樹脂を用いることができる。本発明では、エポキシ樹脂(A)は、ケチミン系化合物の加水分解により生成するアミンと反応し得るエポキシ基を有していることが重要である。エポキシ樹脂(A)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
具体的には、エポキシ樹脂(A)としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらの誘導体(例えば、水添化物や臭素化物など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(例えば、フタル酸グリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなど)の他、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、含窒素エポキシ樹脂(例えば、メタキシレンジアミンやヒダントイン等のアミンのエポキシ化物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンやトリグリシジルパラアミノフェノール等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂など)、ゴム変性エポキシ樹脂(例えば、ゴム成分としてポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴムや天然ゴムを含有するエポキシ樹脂など)、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂(例えば、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
【0025】
本発明では、エポキシ樹脂(A)としては、分子中に水酸基を有していないエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
【0026】
[ケチミン系化合物(B)]
ケチミン系化合物(B)は、分子中に下記式(1a)および(2a)で表される基をそれぞれ少なくとも1つ有している。
【化11】
(式(1a)及び式(2a)において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一又は異なって、炭化水素基を示す。R5、R6は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R5、R6は互いに結合して環を形成していてもよく、またR5、R6はそれぞれ隣接する炭素原子とともに環を形成していてもよい。但し、R5及びR6のうち少なくともいずれか一方は有機基である。)
【0027】
式(1a)及び式(2a)において、R1、R2、R3、R4の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20程度のアルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、炭素数が2以上(例えば、2〜6)のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数が2〜4のアルキル基が挙げられる。本発明では、R1、R2のアルキル基としては、特に炭素数が2又は3のアルキル基が好適であり、なかでも炭素数が2のアルキル基が最適である。
【0028】
また、脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基などの環を構成する炭素数が5〜10程度のシクロアルキル基の他、多環式炭化水素環(例えば、ノルボルナンにおける炭化水素環等の橋かけ環など)を有する基などが挙げられる。
【0029】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基やナフチル基などのアリール基などが挙げられる。なお、芳香族炭化水素基における芳香族性環としては、ベンゼン環や縮合炭素環(例えば、ナフタレン環等の2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮合炭素環など)が挙げられる。
【0030】
なお、R1、R2、R3、R4の炭化水素基は、置換基(例えば、炭化水素基など)を有していてもよい。なお、このような置換基としては、エポキシ樹脂(A)との反応性を有しておらず、また、ケチミン系化合物(B)の加水分解性や、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成したアミンとエポキシ樹脂(A)との反応性を損なわないものであることが重要である。
【0031】
R1、R2、R3、R4としては、それぞれ、脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基)が好ましい。R1、R2、R3、R4は、それぞれの間で、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。特に、(R1、R2)の組み合わせと、(R3、R4)の組み合わせは同一であることが好ましい。
【0032】
また、R5、R6の有機基としては、炭化水素基が好適である。炭化水素基としては、例えば、前記R1、R2、R3やR4の炭化水素基と同様の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜20程度のアルキル基など)、脂環式炭化水素基(例えば、炭素数が5〜10程度のシクロアルキル基や多環式炭化水素環など)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基等のアリール基など)を用いることができる。
【0033】
R5、R6としては、少なくともいずれか一方は有機基である。すなわち、R5及びR6のうち少なくともいずれか一方は水素原子ではない。従って、R5、R6としては同時には水素原子とはならず、前記式(1a)で表される基と、前記式(2a)で表される基とは明確に異なる。具体的には、前記式(1a)で表される基は、例えば、ケチミン系化合物を合成する際のアミン系化合物として、第1級アミンの窒素原子に隣接する炭素原子が、置換基を有していない場合に対応する基に相当し、一方、前記式(2a)で表される基は、ケチミン系化合物を合成する際のアミン系化合物として、第1級アミンの窒素原子に隣接する炭素原子が、置換基を1つ以上有している場合に対応する基に相当する。
【0034】
R5、R6は互いに結合して環を形成していてもよく、またR5、R6はそれぞれ隣接する炭素原子とともに環を形成していてもよい。このようなR5、R6に係る環としては、脂環式炭化水素環の他、芳香族炭化水素環や複素環などが挙げられる。前記脂環式炭化水素環には、例えば、単環式炭化水素環、多環式炭化水素環などが含まれる。前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などの環を構成する炭素数が5〜10程度のシクロアルキレン環が挙げられる。また、多環式炭化水素環としては、例えば、橋かけ環などが挙げられる。該橋かけ環としては、例えば、二環式炭化水素環(例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカンなどにおける炭化水素環など)、三環式炭化水素環(例えば、アダマンタン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンなどにおける炭化水素環など)、四環式炭化水素環(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどにおける炭化水素環など)などが例示できる。このような橋かけ環としては、環を構成する炭素数が6〜16程度(特に炭素数6〜14程度)の二環式ないし四環式炭化水素環(例えば、ピナン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタンなどにおける炭化水素環など)を好適に用いることができる。なお、R5、R6は互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成し且つR5、R6のうちいずれか一方が隣接する炭素原子と結合して二重結合を形成することにより、芳香族炭化水素環や複素環等を形成することができ、例えば、芳香族炭化水素環には、ベンゼン環やナフタレン環の他、アズレン、インダセン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮合炭素環などが含まれる。
【0035】
なお、これらの環は、置換基(例えば、炭化水素基など)を有していてもよく、該置換基としては、エポキシ樹脂(A)との反応性を有しておらず、また、ケチミン系化合物(B)の加水分解性や、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成したアミンとエポキシ樹脂(A)との反応性を損なわないものであることが重要である。
【0036】
本発明では、R5、R6のいずれか一方が水素原子であり、他方が炭化水素基であることが好ましい。さらに、R5、R6は、いずれか一方が隣接する炭素原子とともに環を形成していることが好ましく、特に、R5およびR6のうち一方が、隣接する炭素原子とともに脂環式炭化水素環(特に、単環式炭化水素環)を形成していることが好ましい。このように、R5、R6が隣接する炭素原子とともに環を形成している場合、ケチミン系化合物(B)は、例えば、前記式(2a)のC(R3R4)=N−で示されるケチミン基が、前記環(脂環式炭化水素環など)を構成する炭素原子に直接結合している形態となっており、また、前記式(1a)のC(R1R2)=N−で示されるケチミン基が、少なくとも前記式(1a)におけるメチレン基(−CH2−)を介して、前記環に結合している形態となっている。
【0037】
なお、本発明では、ケチミン系化合物(B)は、前記式(1a)及び(2a)で表される基を分子中にそれぞれ少なくとも1つ有していればよい。従って、例えば、ケチミン系化合物(B)は、前記式(1a)及び(2a)で表される基をそれぞれ1つずつ有していてもよく、また、前記式(1a)及び(2a)で表される基のうち一方を2以上有し且つ他方を1つ有していてもよく、さらにまた、前記式(1a)及び(2a)で表される基をそれぞれ2つ以上有していてもよい。ケチミン系化合物(B)としては、前記式(1a)及び(2a)で表される基を分子内にそれぞれ1つ有していることが好ましい。
【0038】
このように、ケチミン系化合物(B)は、前記式(1a)及び(2a)で表される基を分子中にそれぞれ少なくとも1つ有しているので、エポキシ樹脂(A)及びケチミン系化合物(B)を含有するエポキシ樹脂組成物は、特異的に、速硬化性に劣ることなく、貯蔵安定性に優れている。しかも、深部硬化性にも優れている。これは、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成するアミン系化合物が、エポキシ樹脂(A)と反応して架橋構造を形成し易いアミノ基[すなわち、前記式(1a)で表される基から導かれるアミノ基]を有しているので、エポキシ樹脂(A)とアミン系化合物との反応が迅速に進行して、硬化が進行するが、一方で、エポキシ樹脂(A)と反応して架橋構造を形成し難いアミノ基[すなわち、前記式(2a)で表される基から導かれる基]を有しているので、硬化初期では、表面で完全な架橋構造を形成せず、硬化反応中、湿気を内部(深部)まで供給することができるためであると思われる。すなわち、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成するアミン系化合物は、分子内に、エポキシ樹脂(A)との反応性が高く架橋構造を形成し易いアミノ基と、該アミノ基よりもエポキシ樹脂(A)との反応性が低く架橋構造を形成し難いアミノ基とを有しているので、特異性が発揮されて、速硬化性と、貯蔵安定性という相反する性能をともに向上させることができるとともに、速硬化性と、深部硬化性という相反する性能をもともに向上させることができる。
【0039】
ケチミン系化合物(B)としては、分子中に下記式(1b)及び(2b)で表される基をそれぞれ少なくとも1つ有するケチミン系化合物を好適に用いることができる。
【化12】
(式(1b)及び式(2b)において、R1a、R2a、R3a、R4aは、それぞれ同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基を示す。R5、R6は前記に同じ。)
【0040】
R1a、R2a、R3a、R4aの炭素数2以上のアルキル基としては、前記R1、R2、R3a、R4aのアルキル基として例示したアルキル基の中から炭素数が2以上のアルキル基を適宜選択して用いることができる。R1a、R2a、R3a、R4aのアルキル基としては、前記R1、R2、R3a、R4aのアルキル基の項で例示したように、炭素数が2のアルキル基が最適である。すなわち、ケチミン系化合物(B)としては、分子中に下記式(1c)及び(2c)で表される基をそれぞれ少なくとも1つ有するケチミン系化合物が特に好ましい。
【化13】
(式(1c)及び式(2c)において、R5、R6は前記に同じ。)
【0041】
このように、ケチミン系化合物(B)が、分子中に前記式(1b)及び(2b)で表される基をそれぞれ少なくとも1つ有するケチミン系化合物[特に、分子中に前記式(1c)及び(2c)で表される基をそれぞれ少なくとも1つ有するケチミン系化合物]であると、ケチミン系化合物(B)の加水分解速度が速くなる場合がある。そのため、該加水分解により、アミンの生成速度が速まり、その結果、該アミンとエポキシ樹脂(B)との反応による架橋構造の形成速度も速まり、優れた速硬化性、すなわち優れた初期密着性(初期接着性または初期付着性など)を発揮させることができるとともに、優れた深部硬化性を効果的に発揮できる。もちろん、貯蔵安定性も良好である。
【0042】
しかも、前記式(1b)および前記式(2b)で示されるように、R1およびR2が、またはR3およびR4が、炭素数が2以上のアルキル基であると、R1及びR2のうち、またはR3及びR4のうちいずれか一方がメチル基である場合よりも、ケチミン系化合物(B)の加水分解速度が速い場合がある。そのため、R1及びR2のうち、またはR3及びR4のうちいずれか一方がメチル基である必要性は全くない。なお、ケチミン系化合物(B)の加水分解は、空気中の湿気によって容易に生じる。
【0043】
本発明では、ケチミン系化合物(B)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、本発明では、ケチミン化合物(B)として、前記式(1)で表される化合物を用いることを必須とする。
【0044】
なお、ケチミン系化合物(B)は、例えば、カルボニル化合物(ケトン)とアミンとを反応させることにより調製することができる。前記式(1a)及び(2a)で表される基を分子中にそれぞれ少なくとも1つ有するケチミン系化合物(B)が、例えば、R5が隣接する炭素原子とともに単環式炭化水素環を形成し、且つ(R3,R4)の組み合わせが、(R1,R2)の組み合わせと同じである場合、下記式(5)で表されるカルボニル化合物と、下記式(6)で表される第1級アミノ基を2つ含有するアミン系化合物とを反応させることにより得ることができる。
【化14】
(式(5)において、R1、R2は前記に同じ。)
【化15】
(式(6)において、R5aは隣接する炭素原子とともに単環式炭化水素環を形成している。R6は前記に同じ。)
【0045】
なお、前記式(6)で表される第1級アミノ基を2つ含有するアミン系化合物では、R5aは隣接する炭素原子とともに単環式炭化水素環を形成しており、且つNH2CH2−基におけるメチレン基の炭素原子は、前記環(単環式炭化水素環)を構成する何れかの炭素原子に結合している形態となっている。
【0046】
より具体的には、ケチミン系化合物(B)は、前記式(5)で表されるカルボニル化合物と、前記式(6)で表される第1級アミノ基を2つ含有するアミン系化合物とを無溶剤下、または非極性溶剤(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなど)の存在下で混合し、その後、加熱環流し、必要に応じて生成する水を共沸により除去することにより調製することができる。なお、カルボニル化合物や第1級アミノ基を2つ含有するアミン系化合物は、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わせて使用されていてもよい。なお、反応速度を速くするため、必要に応じて、酸触媒などの触媒を用いてもよい。
【0047】
なお、前記式(5)で表されるカルボニル化合物としては、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルt−ブチルケトン、メチルs−ブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチルブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチルt−ブチルケトン、エチルs−ブチルケトン、エチルペンチルケトン、エチルヘキシルケトン、エチルヘプチルケトン、エチルオクチルケトン、エチル2−エチルヘキシルケトン、ジプロピルケトン、プロピルイソプロピルケトン、プロピルブチルケトン、プロピルイソブチルケトン、プロピルt−ブチルケトン、プロピルs−ブチルケトン、プロピルペンチルケトン、プロピルヘキシルケトン、プロピルヘプチルケトン、プロピルオクチルケトン、プロピル2−エチルヘキシルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジt−ブチルケトン、ジs−ブチルケトン、ジペンチルケトン、ジヘキシルケトンなどのケトン(例えば、C1-20アルキル−C1-20アルキルケトン)などが挙げられる。
【0048】
また、前記式(6)で表される第1級アミノ基を2つ含有するアミン系化合物には、前記式(5)で表されるカルボニル化合物との反応により、前記式(1a)及び(2a)で表される基を導くことができる脂環式ポリアミンが含まれる。具体的には、脂環式ポリアミンとしては、例えば、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、1−アミノ−1−メチル−4−アミノメチルシクロヘキサン、1−アミノ−1−メチル−3−アミノメチルシクロヘキサン等の脂環式ジアミンなどが挙げられる。脂環式ポリアミンとしては、特にイソホロンジアミンが好適である。
【0049】
なお、ケチミン系化合物(B)の原料となるアミン系化合物としては、カルボニル化合物[例えば、前記式(5)で表されるカルボニル化合物など]との反応により、前記式(1a)及び(2a)で表される基を導くことができるアミン系化合物であれば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミンであってもよい。例えば、脂肪族ポリアミンには、1,2−プロピレンジアミン、1,2−ブチレンジアミン、1,3−ブチレンジアミン等の脂肪族ジアミンなどが含まれる。
【0050】
なお、ケチミン系化合物(B)は互変異性を有している場合がある。そのため、本発明では、ケチミン系化合物(B)には、該ケチミン系化合物(B)の互変異構造を有する化合物に相当するエナミン形の化合物も含まれる場合がある。
【0051】
[シラン系化合物(C)]
本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらにシラン系化合物(C)を含有していてもよい。シラン系化合物(C)は、反応性希釈剤や、ケチミン系化合物(B)の安定化剤としての機能を有している。具体的には、シラン系化合物(C)は、ケチミン系化合物(B)よりも水との反応性が高いため、例えば、系内に水分が極少量侵入しても、該水分をシラン系化合物(C)が自身の加水分解反応に利用して、ケチミン系化合物(B)の加水分解を抑制または防止することができる。そのため、ケチミン系化合物(B)の安定性を向上させることができ、エポキシ樹脂組成物が、1液型の組成物であっても、貯蔵安定性を高めることができる。一方、系内に多量の水分が侵入した際には、ケチミン系化合物(B)の加水分解反応が容易に素速く生じて、アミンが生成し、エポキシ樹脂(A)の硬化反応を進行させることができる。このように、シラン系化合物(C)を用いることにより、1液型エポキシ樹脂組成物は、優れた深部硬化性を保持しつつ、貯蔵安定性および速硬化性をより一層高いレベルで有することができる。
【0052】
シラン系化合物(C)は、下記式(3)で表される加水分解性珪素原子含有基を有している。
【化16】
(式(3)において、R7は水素原子又は炭化水素基を示し、R8は水素原子又は炭化水素基を示す。nは1又は2である。R7、R8は、それぞれ、同一又は異なる珪素原子に結合しているR7又はR8と結合していてもよい。)
【0053】
前記式(3)において、R7やR8の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。R7やR8において、脂肪族炭化水素基には、前記R1、R2、R3やR4の脂肪族炭化水素基などの項で例示の脂肪族炭化水素基が含まれ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20程度のアルキル基や、該アルキル基に対応するアルケニル基、アルカジエニル基、アルキニル基などが含まれる。R7、R8の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10(さらに好ましくは1〜6、特に1〜4)程度のアルキル基を好適に用いることができる。
【0054】
また、R7、R8の脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基としては、前記R1、R2、R3やR4の脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基などの項で例示の脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0055】
R7としては、脂肪族炭化水素基等の炭化水素基(特に、アルキル基)が好適である。また、R8としては、脂肪族炭化水素基等の炭化水素基(特に、アルキル基)が好適である。
【0056】
なお、R7、R8の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。また、該置換基等を介して、R7やR8の炭化水素基は、他の炭化水素基(例えば、他の珪素原子に結合しているR7やR8の炭化水素基など)と結合して環(芳香族性環や非芳香族性環)を形成していてもよい。
【0057】
また、R7は、同一又は異なる珪素原子に結合しているR7又はR8と結合していてもよく、R8は、同一又は異なる珪素原子に結合しているR7又はR8と結合していてもよい。R7やR8が、異なる珪素原子に結合しているR7又はR8と結合している場合、前記珪素原子は、同一の分子中の珪素原子であってもよく、異なる分子中の珪素原子であってもよい。互いに結合しているR7やR8の珪素原子が、同一の分子中にある場合は、環を構成することになり、異なる分子中にある場合は、架橋構造を構成することになる。
【0058】
nは1又は2であり、好ましくは2である。なお、nが2の場合は、R8が存在せず、式(3)中の珪素原子に2つのOR7が結合していることを意味している。
【0059】
シラン系化合物(C)は、分子中に、前記式(3)で表される加水分解性珪素原子含有基を少なくとも1つ有していればよい。シラン系化合物(C)としては、例えば、下記式(3a)で表されるシラン系化合物や、下記式(3b)で表されるシラン系化合物を用いることができる。
【化17】
(式(3a)において、R9はOR7又はR8を示し、R10は有機基を示す。pは1以上の整数である。R7、R8、nは前記に同じ。)
【化18】
(式(3b)において、R11、R12は、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。qは1以上の整数である。R7、R8、nは前記に同じ。)
【0060】
前記式(3a)において、R9はOR7又はR8であり、同一の珪素原子に結合している複数のOR7やR8は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0061】
R10の有機基としては、例えば、炭化水素基や、該炭化水素基の主鎖中に炭素原子以外の原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子など)を有するヘテロ原子含有基などが挙げられる。R10に係る炭化水素基やヘテロ原子含有基は、1価又は多価のいずれの形態を有していてもよい。
【0062】
R10の有機基としては、1価の炭化水素基を好適に用いることができる。該炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基などの脂肪族炭化水素基;シクロアルキル基などの脂環式炭化水素基;アリール基などの芳香族炭化水素基などが挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。具体的には、R10に係る脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、特に1〜4)程度のアルキル基や、該アルキル基に対応するアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜20程度のアルケニル基)、アルカジエニル基、アルキニル基などが挙げられる。また、R10に係る脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基としては、前記R1、R2、R3やR4などで例示の脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0063】
また、R10に係る炭化水素基やヘテロ原子含有基は、単数又は複数の置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、エポキシ基、エポキシ−オキシ基(グリシドキシ基)、エポキシ−アルコキシ基、エポキシ−アリールオキシ基、エポキシ−シクロアルキルオキシ基、イソシアネート基、ケチミン基、メルカプト基、アミノ基(置換アミノ基又は無置換アミノ基)、他の炭化水素基、アルコキシカルボニル基、カルボニル基などが挙げられる。置換基は、1種のみであってもよく、2種以上組み合わせられていてもよい。なお、2種以上の置換基が組み合わされている場合は、該2種以上の置換基は、それぞれ、同一又は異なる原子(炭素原子など)に結合していてもよく、また、いずれか1つの置換基が必要に応じて他の基を介して他の置換基に結合していてもよい。
【0064】
pは1以上の整数であれば特に制限されないが、好ましくは1〜4の整数(さらに好ましくは1又は2、特に1)である。なお、pが2以上の整数である場合、R10の有機基に、2つ以上の加水分解性珪素原子含有基が結合していることを意味している。なお、R10が多価の有機基である場合、通常、pは2以上の整数であり、例えば、R10が多価の有機基で且つpが2の場合は、R10の多価の有機基の両末端に、加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物が挙げられる。
【0065】
前記式(3a)で表されるシラン系化合物としては、具体的には、R10がアルキル基である場合は、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランや、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン等のジアルキルジアルコキシシランの他、これらに対応するトリアルキルアルコキシシランなどが挙げられ、ビニル基である場合は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシランなどが挙げられる。
【0066】
また、R10が置換基を有するアルキル基である場合、具体的には、置換基がグリシドキシ基である場合は、例えば、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン等のグリシドキシアルキルトリアルコキシシランや、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等のグリシドキシアルキルアルキルジアルコキシシランの他、これらに対応するグリシドキシアルキルジアルキルアルコキシシランが挙げられる。
【0067】
また、イソシアネート基である場合は、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリプロポキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリブトキシシラン等のイソシアネートアルキルトリアルコキシシランや、これらに対応するイソシアネートアルキルアルキルジアルコキシシランやイソシアネートアルキルジアルキルアルコキシシランが挙げられる。さらにまた、アミノ基である場合は、例えば、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン等のアミノアルキルトリアルコキシシランや、β−アミノエチルメチルジメトキシシラン、β−アミノエチルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジプロポキシシラン等の(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシランの他、これらに対応するアミノアルキルジアルキルアルコキシシランなどが挙げられる。また、他の置換基(ヒドロキシル基、アルコキシ基、エポキシ基、ケチミン基、メルカプト基、他の炭化水素基、アルコキシカルボニル基、カルボニル基など)を有するシラン系化合物としては、前記例示のシラン系化合物に対応するものが挙げられる。
【0068】
一方、前記式(3b)において、R11、R12の炭化水素基としては、R7の炭化水素基と同様の炭化水素基が挙げられ、R11、R12の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好適であり、さらに好ましくはR11とR12とは、同一の又は異なるアルキル基が挙げられる。また、R11やR12は、R7と同一の炭化水素基であってもよく、異なる炭化水素基であってもよい。
【0069】
qは1以上の整数である。前記式(3b)で表されるシラン系化合物は、qが1の場合は、単量体であることを意味しており、qが2以上の整数の場合は、オリゴマー又はポリマー等の多量体であることを意味している。
【0070】
前記式(3b)で表されるシラン系化合物において、単量体の形態のシラン系化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランや、メトキシトリエトキシシラン等のアルコキシトリアルコキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のジアルコキシジアルコキシシランなどが挙げられる。また、多量体の形態のシラン系化合物としては、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン、ポリテトラプロポキシシラン、ポリテトライソプロポキシシラン、ポリテトラブトキシシラン等のポリテトラアルコキシシラン;ポリ(メトキシエトキシシラン)等のポリ(アルコキシアルコキシシラン);ポリ(メトキシシラン)、ポリ(エトキシシラン)、ポリ(プロポキシシラン)、ポリ(イソプロポキシシラン)、ポリ(ブトキシシラン)等のポリ(アルコキシシラン);ポリ(メトキシメチルシラン)、ポリ(メトキシエチルシラン)、ポリ(エトキシメチルシラン)等のポリ(アルコキシアルキルシラン)などが挙げられる。
【0071】
なお、前記式(3a)や(3b)で表されるシラン系化合物には、前記例示のアルコキシ基含有シラン系化合物のアルコキシ基がヒドロキシル基に変換されたものに相当するヒドロキシル基含有シラン系化合物も含まれる。
【0072】
また、前記式(3a)で表されるシラン系化合物と、前記式(3b)で表されるシラン系化合物とに、同一のシラン系化合物が包含される場合があるが、その場合は、式(3a)又は式(3b)のうちいずれか一方の式で表されるシラン系化合物に適宜分類することができる。
【0073】
シラン系化合物(C)としては、エポキシ基を含有するシラン系化合物(例えば、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、グリシドキシアルキルアルキルジアルコキシシランやグリシドキシアルキルジアルキルアルコキシシラン等のエポキシ基を含有するシラン系化合物など)が好適である
【0074】
シラン系化合物(C)の割合としては、例えば、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上(好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上)であることが望ましい。なお、シラン系化合物(C)の割合の上限は特に制限されず、エポキシ樹脂組成物の硬化物の物性に悪影響を及ぼさない範囲で有ればよい。なお、シラン系化合物(C)の割合がエポキシ樹脂(A)100質量部に対して1質量部より少ないとシラン系化合物(C)による貯蔵安定性の向上効果が低下する。一方、シラン系化合物(C)の割合がエポキシ樹脂(A)100質量部に対して10質量部以上であると、特に30質量部以上であると、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性効果をさらに効果的に発揮させることができる。
【0075】
(カルボン酸ビニルエステル系化合物(D))
本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、下記式(4)で表されるカルボン酸ビニルエステル系化合物(D)を含有していてもよい。
【化19】
(式(4)において、R13、R14、R15は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R16は、水素原子、または1価若しくは多価の炭化水素基を示す。また、mは1以上の整数である。)
【0076】
R13、R14、R15の有機基としては、炭化水素基を好適に用いることができる。炭化水素基としては、前記R1、R2、R3やR4の炭化水素基等と同様の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基など)などが挙げられる。R13、R14、R15は、それぞれの間で、同一であってもよく、異なっていてもよい。R13、R14、R15としては、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10(好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の)アルキル基が好ましく、特にR13、R14、R15が同時に水素原子であることが好適である。
【0077】
また、mは1以上の整数である。mとしては、1以上の整数であれば特に制限されないが、例えば、1〜10(好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3)の整数から選択することができる。なお、mとしては、1又は2である場合が多い。mが2以上の整数である場合、R16は多価の炭化水素基となる。
【0078】
R16の1価の炭化水素基としては、前記R1、R2、R3やR4の炭化水素基等と同様の炭化水素基(例えば、アルキル基などの脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基などの脂環式炭化水素基、アリール基などの芳香族炭化水素基など)を用いることができる。R16の1価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20程度のアルキル基や、該アルキル基に対応するアルケニル基、アルカジエニル基、アルキニル基などが含まれる。R16の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10(さらに好ましくは1〜6)程度のアルキル基を好適に用いることができる。
【0079】
また、R16の多価の炭化水素基としては、多価の脂肪族炭化水素基、多価の脂環式炭化水素基、多価の芳香族炭化水素基の他、これらの多価の炭化水素基が組み合わされた多価の基(「多価の複合炭化水素基」と称する場合がある)などが挙げられる。多価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基などの2価の脂肪族炭化水素基を用いることができる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状のアルキレン基の他、分岐鎖又は置換基を有するアルキレン基(例えば、プロピレン基など)などが挙げられる。
【0080】
多価の脂環式炭化水素基としては、単環式炭化水素環を有する多価の脂環式炭化水素基であってもよく、多環式炭化水素環を有する多価の脂環式炭化水素基であってもよい。多価の脂環式炭化水素基としては、2価の脂環式炭化水素基を好適に用いることができる。なお、前記単環式炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などの環を構成する炭素数が5〜10程度のシクロアルキレン環が挙げられる。また、多環式炭化水素環としては、例えば、橋かけ環などが挙げられる。該橋かけ環としては、例えば、二環式炭化水素環(例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカンなどにおける炭化水素環など)、三環式炭化水素環(例えば、アダマンタン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンなどにおける炭化水素環など)、四環式炭化水素環(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどにおける炭化水素環など)などが例示できる。このような橋かけ環としては、環を構成する炭素数が6〜16程度(特に炭素数6〜14程度)の二環式ないし四環式炭化水素環(例えば、ピナン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタンなどにおける炭化水素環など)を好適に用いることができる。
【0081】
具体的には、シクロヘキサン環を有する2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基が挙げられる。
【0082】
多価の芳香族炭化水素基としては、アリレン基などの2価の芳香族炭化水素基を用いることができる。アリレン基としては、例えば、フェニレン基(例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基など)などのベンゼン環を有する2価の芳香族炭化水素基や、ナフチレン基などのナフタレン環を有する2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。なお、多価の芳香族炭化水素基における芳香族性環としては、ベンゼン環やナフタレン環の他、アズレン、インダセン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮合炭素環なども挙げられる。
【0083】
さらにまた、これらの多価の炭化水素基が組み合わされた多価の基(多価の複合炭化水素基)としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基など)、単環式炭化水素環又は多環式炭化水素環を有する2価の脂環式炭化水素基(シクロアルキレン基など)、ベンゼン環又は縮合炭素環を有する2価の芳香族炭化水素基(フェニレン基など)が適宜組み合わされた2価の基(2価の複合炭化水素基)を好適に用いることができる。2価の複合炭化水素基としては、例えば、アルキレン−フェニレン基、アルキレン−フェニレン−アルキレン基などの脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが組み合わされた2価の複合炭化水素基;アルキレン−シクロアルキレン基、アルキレン−シクロアルキレン−アルキレン基などの脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが組み合わされた2価の複合炭化水素基などが挙げられる。これらの多価の複合炭化水素基が組み合わされた基において、アルキレン部位、フェニレン部位、シクロアルキレン部位としては、前記例示のアルキレン基、フェニレン基、シクロアルキレン基などを用いることができる。従って、アルキレン部位としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレンなどが挙げられる。フェニレン部位としては、例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンなどが挙げられる。シクロアルキレン部位としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレンなどが挙げられる。
【0084】
具体的には、多価の複合炭化水素基としては、例えば、メチレン−1,3−フェニレン−メチレン(m−キシリレン)基、メチレン−1,3−シクロヘキシレン−メチレン基や、これらの基においてメチレン部位が他のアルキレン部位(例えば、エチレン部位、トリメチレン部位、プロピレン部位など)となっている基などが挙げられる。
【0085】
なお、R13、R14、R15の有機基(炭化水素基など)や、R16の炭化水素基は、置換基(例えば、炭化水素基など)を有していてもよく、該置換基としては、エポキシ樹脂(A)との反応性を有しておらず、また、ケチミン系化合物(B)の加水分解性や、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成したアミンとエポキシ樹脂(A)との反応性を損なわないものであることが重要である。
【0086】
具体的には、前記式(4)で表されるカルボン酸ビニルエステル系化合物(D)には、1価カルボン酸ビニルエステル、多価カルボン酸ビニルエステルや、これらの1価又は多価カルボン酸ビニルエステルのビニル基に置換基が置換している形態のカルボン酸(不飽和炭化水素)エステル[例えば、1価又は多価カルボン酸イソプロペニルエステル、1価又は多価カルボン酸(2−メチルビニル)エステル、1価又は多価カルボン酸(1,2−ジメチルビニル)エステル、1価又は多価カルボン酸(1−エチルビニル)エステル、1価又は多価カルボン酸(2−エチルビニル)エステル等の1価又は多価カルボン酸(アルキルビニル)エステルなど]などが含まれる。
【0087】
1価カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル(酪酸ビニル)、2−メチルプロパン酸ビニル(イソ酪酸ビニル)、ペンタン酸ビニル(吉草酸ビニル)、3−メチルブタン酸ビニル(イソ吉草酸ビニル)、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ウンデカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル(ラウリン酸ビニル)、トリデカン酸ビニル、テトラデカン酸ビニル(ミリスチン酸ビニル)、ペンタデカン酸ビニル、ヘキサデカン酸ビニル(パルミチン酸ビニル)、ヘプタデカン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル(ステアリン酸ビニル)等のC1-18脂肪族飽和1価カルボン酸ビニルエステルや、アクリル酸ビニルエステル、オレイン酸ビニルエステル等の脂肪族不飽和1価カルボン酸ビニルエステル;シクロヘキシルカルボン酸ビニル等の脂環式カルボン酸ビニル;安息香酸ビニル、ナフタレンカルボン酸ビニル等の芳香族カルボン酸ビニルなどが挙げられる。
【0088】
また、多価カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば、シュウ酸ビニル、マロン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ウンデカン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、トリデカン二酸ジビニル、テトラデカン二酸ジビニル等の脂肪族ジカルボン酸ジビニルエステル;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジビニル等の脂環式ジカルボン酸ジビニルエステル;テレフタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、フタル酸ジビニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジビニル等の芳香族ジカルボン酸ジビニルエステルなどが挙げられる。
【0089】
なお、多価カルボン酸ビニルエステルとしては、多価カルボン酸中の全カルボキシル基がビニル化合物とエステル反応した形態の多価カルボン酸エステル(多価カルボン酸ポリビニルエステル)であってもよく、また、多価カルボン酸中の一部のカルボキシル基がビニル化合物とエステル反応した形態の多価カルボン酸エステルであってもよく、さらにまた、多価カルボン酸中の一部のカルボキシル基がビニル化合物とエステル反応し且つ他のカルボキシル基がビニル化合物以外の炭化水素とエステル反応した形態の多価カルボン酸エステル(多価カルボン酸ビニル・アルキルエステルなど)であってもよい。このように、多価カルボン酸ビニルエステルとしては、多価カルボン酸中のカルボキシル基の少なくとも一部がビニル化合物とエステル反応した形態であればよい。なお、多価カルボン酸ビニルエステルとしては、多価カルボン酸中の全カルボキシル基がビニル化合物とエステル反応した形態の多価カルボン酸エステル(多価カルボン酸ポリビニルエステル)が好適である。
【0090】
また、カルボン酸(不飽和炭化水素)エステルとしては、前記例示の1価又は多価カルボン酸ビニルエステルに対応するカルボン酸(不飽和炭化水素)エステル[例えば、酢酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、イソ酪酸イソプロペニル、吉草酸イソプロペニル、イソ吉草酸イソプロペニル、アジピン酸ジイソプロペニルエステル等の1価又は多価カルボン酸イソプロペニルエステルや、1価又は多価カルボン酸(2−メチルビニル)エステル、1価又は多価カルボン酸(1,2−ジメチルビニル)エステル、1価又は多価カルボン酸(1−エチルビニル)エステル、1価又は多価カルボン酸(2−エチルビニル)エステルなど]が挙げられる。
【0091】
カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)としては、脂肪族1価カルボン酸ビニルエステルや、脂肪族多価カルボン酸ポリビニルエステル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステルや、1価又は多価の脂肪族カルボン酸イソプロペニルエステル等の脂肪族カルボン酸(アルキルビニル)エステルが好ましく、特に、脂肪族飽和1価カルボン酸ビニルエステルや、脂肪族2価カルボン酸ジビニルエステルが好適である。
【0092】
カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)の割合としては、例えば、エポキシ樹脂(A)に対して30モル%以下(例えば、0.1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは5〜15モル%)程度の範囲から選択することができる。カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)の割合がエポキシ樹脂(A)に対して30モル%を超えると、ケチミン系化合物(B)の加水分解により生成するアミン化合物がカルボン酸ビニルエステル系化合物(D)と反応し、エポキシ樹脂(A)とアミン化合物との反応が阻害され、その結果、硬化物の硬さが低下する場合がある。なお、カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)の割合がエポキシ樹脂(A)に対して0.1モル%未満であると、貯蔵中に水分の侵入により加水分解して発生したアミン化合物と、カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)との反応が十分に生じなくなるので、カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)による貯蔵安定性の向上効果が低下する。
【0093】
本発明では、1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物には、その用途などに応じて、改質剤(例えば、エポキシシランやビニルシランなどのカップリング剤など)や、添加剤[例えば、充填剤(炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、シリカや珪砂など)、可塑剤、顔料(酸化チタン、カーボンブラックなど)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着付与剤、分散剤、揺変剤(又はチクソトロピー付与剤)(例えば、ヒュームドシリカ、アマイドワックス、植物油誘導体、ヒィブリル化繊維など)、反応性希釈剤、増量剤など]の他、他の潜在性硬化剤(例えば、他のケチミン系化合物、アルジミン系化合物、オキサゾリジン系化合物など)や粘度調整剤(例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類等の溶剤など)などが含まれていてもよい。また、これらの配合割合は、公知乃至慣用の割合の中から適宜選択することができる。なお、これらの改質剤や添加剤などによる水分の影響を可能な限り除去することが、1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性に好結果を与えるため好ましい。
【0094】
また、1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物には、接着性や付着性を損なわない範囲で、例えば、変性シリコーン、シリル基末端ウレタンポリマー、シリル基を有し且つ主鎖がポリオキシアルキレン骨格を有しているポリマー等が添加されていてもよい。
【0095】
1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂(A)と、ケチミン系化合物(B)と、必要に応じてシラン系化合物(C)、カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)や、他の成分(添加剤など)とを、好ましくは窒素雰囲気下及び/又は減圧下で、混合ミキサー等の攪拌機を用いて充分に混練して製造することができる。具体的には、攪拌機、コンデンサー、加熱装置、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えた密閉式加工釜を用いて、該釜中にエポキシ樹脂(A)を仕込み、窒素環流下で、用途に応じて所望により、シラン系化合物(C)、カルボン酸ビニルエステル系化合物(D)や、改質剤や添加剤などを加えた後、最終的にケチミン系化合物(B)を配合し、均一状態となるように混合して、1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。そして、窒素置換を施した容器に、前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を収納することにより、製品(市販品)としての1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有する各種処理剤が製造される。
【0096】
なお、改質剤や添加剤などに水分が含まれている場合には、貯蔵中に硬化が生じて貯蔵安定性が低下する場合があるので、改質剤や添加剤の水分を脱水除去していることが好ましく、該水分の脱水処理は、改質剤や添加剤を配合する前に行っていてもよく、エポキシ樹脂(A)に改質剤や添加剤を配合した後に行ってもよい。このような水分の脱水処理方法としては、例えば、加熱及び/又は減圧による脱水処理方法などが挙げられる。
【0097】
本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、従来のエポキシ系樹脂組成物が用いられている用途であれば特に制限なく使用することができ、例えば、1液型接着剤、1液型注入材、1液型パテ材、1液型塗料、1液型コーティング材、1液型ライニング材、1液型ポッティング材、1液型バインダー、1液型含浸材(1液型の繊維シート含浸材等)、1液型プライマーなどとして用いることができる。
【0098】
特に、本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、速硬化性と、貯蔵安定性という相反する性能を優れたレベルで発現するとともに、速硬化性と、深部硬化性という相反する性能をも優れたレベルで発現することができため、速硬化性および貯蔵安定性だけでなく、深部硬化性をも要求される用途、例えば、内部への深さが深い部位で用いる用途などで好適に用いることができる。従って、本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、注入材(特に、構造物の損傷部の注入補修を行う際の構造物損傷部補修用注入材)として好適に利用することができる。すなわち、本発明の構造物損傷部補修用注入材は、前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有している。
【0099】
[注入補修工法]
前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、前述のように、1液型のエポキシ樹脂組成物(1液型エポキシ樹脂組成物)であるにもかかわらず、容器中ではエポキシ樹脂の硬化が生じず、貯蔵安定性が優れ、しかも、容器外では速硬化性および深部硬化性を効果的に発揮することができ、優れた接着性及び機械的強度を発揮させることが可能である。従って、前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有する構造物損傷部補修用注入材を用いて、コンクリート構造物等の構造物の損傷部の注入補修を行うと、構造物の損傷部の深部(内部)まで効果的に硬化させることができ、優れた接着性及び機械的強度を発現させることができる。特に、構造物の損傷部の厚み(エポキシ樹脂組成物の注入層の厚み)が1mm以上を有していても、その内部まで効果的に硬化させることができる。
【0100】
しかも、優れた作業性で注入補修を行うことができ、さらには、その注入補修効果を有効に且つ安定して発揮させることができる。
【0101】
特に、前記1液型エポキシ樹脂組成物を用いることにより、配合ぶれや混合不良などの人為的なミスが効果的に防止されているので、再現性が優れている。さらに、前記1液型エポキシ樹脂組成物は、2液型とは異なり湿気により硬化が進行するので、その可使時間が長く、組成物の塗布、注入や流し込み等の使用作業中又は作業前における増粘が効果的に防止されているので、この点からも、塗布する際の作業性が優れており、しかも、増粘による注入補修効果の低下が防止され、注入補修効果の再現性が優れている。さらにまた、常温で硬化させることが可能である。従って、前記1液型エポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた作業性及び再現性で構造物の注入補修を行うことができる。
【0102】
なお、構造物の損傷部としては、いわゆる「クラック」や、いわゆる「浮き」などが挙げられる。
【0103】
本発明の注入補修工法では、前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有する構造物損傷部補修用注入材を用いて、構造物の損傷部の注入補修を行っている。具体的には、前記構造物損傷部補修用注入材を用いて構造物の損傷部に注入することにより、構造物の損傷部の注入補修を行うことができる。注入に際しては、公知乃至慣用の注入方法(例えば、注入用パイプなどの注入用器具を用いて行う注入方法)を採用することができ、ゴム圧などの反発力を利用した自動低圧注入方法、グラウトガンやエアガン等を用いた注入方法などが好適である。
【0104】
また、注入補修を行う構造物としては、特に制限されないが、例えば、コンクリートやモルタルなどのセメント系無機材料により構成された構造物が好適である。なお、コンクリート構造物としては、例えば、橋梁や建築物の梁や柱の他、トンネル、港湾施設、煙突、サイロ、水槽、煙害被害コンクリート構造物、桟橋、河川構造物などのコンクリートを用いて構造された物が挙げられる。
【0105】
【発明の効果】
本発明の1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物によれば、エポキシ樹脂およびケチミン系化合物を含有する1液型であっても、優れた深部硬化性を発揮できる。しかも、速硬化性、深部硬化性および貯蔵安定性が、ともに優れている。従って、前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物は、構造物損傷部補修用注入材として極めて有用である。
また、本発明の注入補修工法によれば、前記1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有する構造物損傷部補修用注入材を用いているので、エポキシ樹脂組成物の配合ぶれや混合不良などの人為的なミスを防止して、構造物の損傷部の注入補修を優れた作業性で行うことができ、しかも、厚い硬化膜厚を迅速に形成することができる。
【0106】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。なお、実施例2は本発明の範囲には含まれないが、参考として記載する。
【0107】
(ケチミン系化合物の調製例1)
アミンとしてのイソホロンジアミン(商品名「IPDA」ピィー・ティー・アイジャパン社製):170部と、カルボニル化合物としてのメチルイソブチルケトン:300部(メチルイソブチルケトン/イソホロンジアミン(モル比)=3/1)と、トルエン:200部とをフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら、トルエンとメチルイソブチルケトンとが環流する温度(120〜150℃)で20時間環流して反応を行った。その後、過剰のメチルイソブチルケトンとトルエンとを蒸留により取り除き、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物A」と称する場合がある)を得た。
【0108】
(ケチミン系化合物の調製例2)
アミンとして1,2−ジアミノプロパン:74部(メチルイソブチルケトン/1,2−ジアミノプロパン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物B」と称する場合がある)を調製した。
【0109】
(ケチミン系化合物の調製例3)
カルボニル化合物としてエチルプロピルケトン:300部(エチルプロピルケトン/イソホロンジアミン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物C」と称する場合がある)を調製した。
【0110】
(ケチミン系化合物の調製例4)
カルボニル化合物としてジエチルケトン:258部(ジエチルケトン/イソホロンジアミン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物D」と称する場合がある)を調製した。
【0111】
(ケチミン系化合物の調製例5)
アミンとして1,3−キシリレンジアミン(商品名「MXDA」三井化学社製;メタキシリレンジアミン):136部(メチルイソブチルケトン/1,3−キシリレンジアミン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物E」と称する場合がある)を調製した。
【0112】
(ケチミン系化合物の調製例6)
アミンとしてノルボルナンジアミン(商品名「NBDA」三井化学社製):154部(メチルイソブチルケトン/ノルボルナンジアミン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物F」と称する場合がある)を調製した。
【0113】
(ケチミン系化合物の調製例7)
アミンとして1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(商品名「1,3−BAC」三菱ガス化学社製):142部(メチルイソブチルケトン/1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物G」と称する場合がある)を調製した。
【0114】
(ケチミン系化合物の調製例8)
アミンとしてジエチレントリアミン:103部(メチルイソブチルケトン/ジエチレントリアミン(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物H」と称する場合がある)を調製した。
【0115】
(ケチミン系化合物の調製例9)
アミンとして(商品名「ジェファーミンD230」Huntsman社製;ポリオキシアルキレンジアミン):230部(メチルイソブチルケトン/商品名「ジェファーミンD230」(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物I」と称する場合がある)を調製した。
【0116】
(ケチミン系化合物の調製例10)
アミンとして商品名「PACM」(エアプロダクツジャパン社製;ジアミノシクロヘキシルメタン):210部(メチルイソブチルケトン/商品名「PACM」(モル比)=3/1)を用いたこと以外は、前記ケチミン系化合物の調製例1と同様にして、ケチミン系化合物(「ケチミン系化合物J」と称する場合がある)を調製した。
【0117】
(実施例1)
エポキシ樹脂として商品名「エピコート828」(油化シェルエポキシ社製):100部と、ケチミン系化合物A:40部と、増粘剤(商品名「アエロジルRY200S」日本アエロジル社製;シリコーンオイル変性ヒュームドシリカ):15部とを減圧下で攪拌して、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0118】
(実施例2)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物B:26部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0119】
(実施例3)
エポキシ樹脂として商品名「エピコート828」(油化シェルエポキシ社製):100部と、ケチミン系化合物A:40部と、増粘剤(商品名「アエロジルRY200S」日本アエロジル社製):15部と、加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物として商品名「TSL8124」(GE東芝シリコーン社製;テトラエトキシシラン):10部とを減圧下で攪拌して、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0120】
(実施例4)
加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物として商品名「TSL8123」(GE東芝シリコーン社製;メチルトリエトキシシラン):10部を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0121】
(実施例5)
加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物として商品名「KBM403」(信越化学工業社製;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン):20部を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0122】
(実施例6)
エポキシ樹脂として商品名「エピコート828」(油化シェルエポキシ社製):100部と、ケチミン系化合物A:40部と、増粘剤(商品名「アエロジルRY200S」日本アエロジル社製):15部と、カルボン酸ビニルエステル系化合物として酢酸ビニル:6.6部とを減圧下で攪拌して、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0123】
(実施例7)
カルボン酸ビニルエステル系化合物としてアジピン酸ジビニル:5.8部を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0124】
(実施例8)
エポキシ樹脂として商品名「エピコート828」(油化シェルエポキシ社製):100部と、ケチミン系化合物A:40部と、増粘剤(商品名「アエロジルRY200S」日本アエロジル社製):15部と、加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物として商品名「TSL8124」(GE東芝シリコーン社製):10部と、カルボン酸ビニルエステル系化合物として酢酸ビニル:6.6部とを減圧下で攪拌して、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0125】
(実施例9)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物C:40部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0126】
(実施例10)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物D:40部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0127】
(実施例11)
エポキシ樹脂として商品名「DER332」(ダウケミカル社製):100部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0128】
(比較例1)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物E:40部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0129】
(比較例2)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物F:40部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0130】
(比較例3)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物G:40部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0131】
(比較例4)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物H:35部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0132】
(比較例5)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物I:50部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0133】
(比較例6)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物J:50部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0134】
(比較例7)
ケチミン系化合物としてケチミン系化合物G:20部およびケチミン系化合物J:25部[ケチミン系化合物G/ケチミン系化合物J(モル比)=1/1]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液型エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0135】
なお、実施例1〜11、比較例1〜7で得られた1液型エポキシ樹脂組成物は、それぞれ、カートリッジに密封充填し30日間保管した。
【0136】
(評価)
実施例1〜11および比較例1〜7で得られた1液型エポキシ樹脂組成物について、下記の安定性試験方法、硬化深さ測定方法、接着性試験方法により、安定性、硬化深さ、接着性をそれぞれ評価した。
【0137】
(安定性試験方法)
実施例1〜11および比較例1〜7に係る1液型エポキシ樹脂組成物についての各粘度をそれぞれ調製直後に測定し、さらに、それぞれをカートリッジに充填密封して、23℃且つ65%RHの環境下で、各期間(60日間、120日間、180日間)放置した後に、それぞれの粘度を測定した。放置前後での粘度の値を比較して、下記の評価基準により、1液型エポキシ樹脂組成物の安定性(貯蔵安定性)をそれぞれ評価した。評価結果は、表1又は2の「安定性」の欄に示した。なお、粘度測定は、23℃且つ65%RHの環境下で、BH型粘度計(10r/min)の条件で行った。
(評価基準)
◎:[(放置後の粘度)/(調製直後の粘度)]が1.5未満である。
○:[(放置後の粘度)/(調製直後の粘度)]が1.5以上2未満である。
△:[(放置後の粘度)/(調製直後の粘度)]が2以上3未満である。
×:[(放置後の粘度)/(調製直後の粘度)]が3以上である。
【0138】
(硬化深さ測定方法)
実施例1〜11および比較例1〜7に係る1液型エポキシ樹脂組成物を、それぞれ、ポリプロピレン製カップ(底面の直径約4.6cm)内に、約6gを注型し、23℃且つ65%RHの環境下で、各期間(7日間、14日間、28日間)放置した後(養生した後)に、内部の未硬化部分を取り除き、硬化物(硬化部分)の厚み(mm)をノギスにて測定した。評価結果は、表1又は2の「硬化深さ」の欄に示した。
【0139】
(接着性試験方法)
実施例1〜11および比較例1〜7に係る1液型エポキシ樹脂組成物について、JIS A 6024に準拠したモルタル曲げ接着試験(1液型エポキシ樹脂組成物層の厚み:1mm、養生期間:7日間)を行って、1液型エポキシ樹脂組成物層の厚みが1mmの場合の接着性[接着強さ(N/mm2)、破壊状態]を測定し、接着性を評価した。具体的には、図1で示されるような2つのモルタル片(40mm×40mm×80mm)を、1液型エポキシ樹脂組成物を介して接着させ(1液型エポキシ樹脂組成物層の厚み:1mm)、23℃で7日間養生させた後、4点曲げ試験機にセットし、上部側から荷重をかけて、垂直方向へ圧縮速度1.5mm/minで圧縮し、4点曲げ試験を実施した。試験体が破壊して荷重が低下するまで行い、そのときの最大荷重及び破壊状況を確認した。
【0140】
また、1液型エポキシ樹脂組成物層の厚みを2mmとし、且つ養生期間を7日間又は10日間としたこと以外は、前記の1液型エポキシ樹脂組成物層の厚みが1mmの場合と同様にして、接着性[接着強さ(N/mm2)、破壊状態]を測定し、深部硬化性を評価した。
【0141】
評価結果は、表1又は2の「接着性」の欄に示した。なお、上段は接着強さ(N/mm2)を示し、下段は破壊状態を示している。前記破壊状態として、「材破」は「材料破壊」を意味し、「凝破」は「凝集破壊」を意し、「材破・凝破」は「一部材料破壊・一部凝集破壊」を意味し、「凝破・材破」は「一部凝集破壊・一部材料破壊」を意味し、「凝破・未硬化」は「一部凝集破壊・一部未硬化」を意味し、「凝破・材破・未硬化」は「一部凝集破壊・一部材料破壊・一部未硬化」を意味している。また、「一部材料破壊・一部凝集破壊」とは、材料破壊および凝集破壊のうち材料破壊が主として生じていることを意味しており、「一部凝集破壊・一部材料破壊」とは、凝集破壊および材料破壊のうち凝集破壊が主として生じていることを意味しており、「一部凝集破壊・一部未硬化」とは、凝集破壊および未硬化状態のうち凝集破壊が主として生じていることを意味しており、「一部凝集破壊・一部材料破壊・一部未硬化」とは、凝集破壊、材料破壊および未硬化状態のうち凝集破壊が主として生じ、次に材料破壊が生じ、未硬化状態が最も少ないことを意味している。なお、「材料破壊」とは、4点曲げ試験で試験体が破壊した際の試験体の状態がモルタル材料中で破壊が生じている状態を意味しており、「凝集破壊」とは、エポキシ樹脂組成物はある程度硬化しているが、硬化物の物性が十分な値に達していないために、エポキシ樹脂組成物層で破壊が生じている状態を意味しており、「未硬化」とは、エポキシ樹脂組成物が硬化しておらず、未硬化の状態を意味している。
また、層の厚みが1mmの場合を「硬化性」、層の厚みが2mmの場合(養生期間:7日間または10日間)を「深部硬化性」の欄に示した。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
表1及び2より、実施例に係る1液型エポキシ樹脂組成物は、保存期間が180日以上であっても、粘度の上昇が抑制され、優れた安定性を有しており、また、接着性試験において接着層が1mmで且つ7日間の養生期間でも、モルタルの材料破壊となっていることから、実用的であることが分かる。さらに、硬化深さ試験について養生期間が7日目で硬化深さが0.6mm以上と深く、さらにまた、養生期間が28日目では1.0mm以上となり、深部硬化性に優れている。しかも、接着性試験より、1液型エポキシ樹脂組成物の層の厚みが2mmであっても、優れた接着強度を発現し、7日目でも未硬化部分はなく、モルタルの材料破壊が主体であり、さらには10日目にはその破壊状態はすべてモルタルの材料破壊であるので、優れた深部硬化性を有していることが確認された。すなわち、実施例に係る1液型エポキシ樹脂組成物は、速硬化性、深部硬化性および貯蔵安定性が、とも、バランスよく優れている。従って、実施例に係る1液型エポキシ樹脂組成物は、硬化性と、貯蔵安定性という相反する性能がともに優れており、しかも、速硬化性と、深部硬化性という相反する性能もともに優れている。
【0145】
従って、実施例に係る1液型エポキシ樹脂組成物は、深部硬化性をも要求される用途、例えば、構造物の損傷部の注入補修を行う際の構造物損傷部補修用注入材などの注入材として利用すると、その効果を有効に発揮できる。
【0146】
また、前記1液型エポキシ樹脂組成物を用いると、配合ぶれや混合不良などの人為的なミスを効果的に防止できるので、優れた再現性を発揮できる。さらにまた、常温で硬化させることが可能である。従って、前記1液型エポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた作業性及び再現性で構造物の注入補修を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エポキシ樹脂組成物を介して2つのモルタル片を接着させた際の、接着強さの測定方法を示す概略図である。
Claims (8)
- エポキシ樹脂およびケチミン系化合物を含有するエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂(A)と、下記式(1)で表されるケチミン系化合物(B)とを含有し、且つ下記(a)で示される深部硬化性を有することを特徴とするコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物。
(a)1液型エポキシ樹脂組成物層の厚み:2mm、養生期間:7日間の条件でモルタル曲げ接着試験(JIS A 6024に準拠;但し、1液型エポキシ樹脂組成物層の厚みを2mmとする)を行った場合の接着強さが5.97N/mm 2 以上であり、破壊状態が材料の少なくとも一部又は全部が破壊された状態であること
- さらに、下記(b)で示される硬化性を有する請求項1記載のコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物。
(b)1液型エポキシ樹脂組成物層の厚み:1mm、養生期間:7日間の条件でモルタル曲げ接着試験(JIS A 6024に準拠)を行った場合の破壊状態が「材料破壊」であること - シラン系化合物(C)が、エポキシ基を含有するシラン系化合物である請求項3記載のコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)が、分子中に水酸基を有していないエポキシ樹脂である請求項1〜5の何れかの項に記載のコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物。
- コンクリート構造物の損傷部の注入補修を行う際に用いられる注入材であって、前記請求項1〜6の何れかの項に記載のコンクリート構造物用1液型深部硬化性エポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするコンクリート構造物損傷部補修用注入材。
- 前記請求項7記載のコンクリート構造物損傷部補修用注入材を用いて、コンクリート構造物の損傷部の注入補修を行うことを特徴とする注入補修工法。
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