JP3932020B2 - 深絞り性に優れ面内異方性の小さいフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れ面内異方性の小さいフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プレス成形,曲げ加工,ロール成形等によってリジングの発生なく目標形状に成形加工できるフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
SUS430,SUS430LXに代表されるフェライト系ステンレス鋼は,オーステナイト系ステンレス鋼に比較して安価な材料であり耐食性に優れていることから自動車用部材,厨房機器,家電機器等の広範な分野で使用されている。しかし、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比較して伸びが小さいため、加工性に劣ることが多い。
フェライト系ステンレス鋼板の加工に際しては、リジングが問題になる。リジングの発生を抑えて加工性を改善するため、Mg添加によって鋳造組織をランダム化する方法(特開2000−192199号公報)が知られているが、鋳造組織のランダム化だけでは加工性の改善効果に限界がある。そこで、最近では加工技術を駆使して伸びに起因する張出し要素を極力小さくし、絞り要素を積極的に取り入れることにより、フェライト系ステンレス鋼板の伸び不足を補っている。
【0003】
絞り要素を多く取り入れた加工では、素材の深絞り性(r値)を向上させ、各方向(圧延方向,圧延方向に関して45度の方法,圧延方向に直交する方向)での面内異方性を小さくすることが重要である。深絞り性の向上及び面内異方性の低減には、フェライトの{111}面をランダムに圧延面に出すことが有効である。しかし、深絞り性に有効な{111}面をランダムに出すための実用的な技術が提供されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Fe2Nbラーベス相及び固溶Nbを利用してフェライト結晶粒を板厚方向に関して整粒化することにより、フェライト{111}面を圧延面にランダムに出し、深絞り性の改善,面内異方性の低減の双方を満足し、加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、C:0.02質量%以下,Si:2.0質量%以下,Mn:3.0質量%以下,P:0.050質量%以下,S:0.015質量%以下,Cr:8.0〜25.0質量%,Al:0.10質量%以下,N:0.05質量%以下,Nb:0.05〜0.60質量%,残部が実質的にFeの組成をもち、(板表層のフェライト粒度番号)−(板厚中央のフェライト粒度番号)≦1.5にフェライト結晶粒が板厚方向に整粒化され、圧延面表層の{111}面からのズレが5度以内のフェライト結晶粒の{111}面積が20%以上であることを特徴とする。
【0006】
鋼中のNb含有量は、C,N量との関係でNb/(C+N)質量比を8.0以上に調整することが好ましい。Nb含有量の調整により、板厚方向に関するフェライト結晶粒の粒度分布が(板表層のフェライト粒度番号)−(板厚中央のフェライト粒度番号)≦1.0に抑えられ、圧延面表層の{111}面からのズレが5度以内のフェライト結晶粒の{111}面積が25%以上となり、面内異方性が低減され深絞り加工性が一層改善されたフェライト系ステンレス鋼板が得られる。
【0007】
フェライト系ステンレス鋼板は、更にTi:0.01〜0.50質量%,B:0.0010〜0.0100質量%の1種又は2種、及び/又はNi:2.0質量%以下,Cu:3.0質量%以下,Mo:3.0質量%以下,V:0.01〜0.30質量%,Zr:0.01〜0.30質量%の1種又は2種以上を含むことができる。
このフェライト系ステンレス鋼板は、所定組成に調整されたステンレス鋼を熱間圧延した後、圧延率30%以上で冷間圧延し、更に650〜850℃で中間焼鈍することにより ( 板表層のフェライト粒度番号 ) ( 板厚中央のフェライト粒度番号 ) ≦1 . 5にフェライト結晶粒が板厚方向に整粒化され、圧延面表層の{ 111 }面からのズレが5度以内のフェライト結晶粒の{ 111 }面積が20%以上となる組織に調整される。
【0008】
【作用】
本発明者等は、深絞り性及び面内異方性に及ぼすNb添加フェライト系ステンレス鋼の成分及び状態について種々調査・研究した。
常法に従って冷間圧延された鋼帯を観察すると、板厚中央に比較して表層部には冷間圧延によって多量の歪が導入されている。そのため、冷延鋼帯を中間焼鈍すると、表層部に多量のFe2Nbが微細析出する。この状態にある冷延鋼帯を仕上げ冷間圧延を経て仕上げ焼鈍すると、固溶Nbが多い板厚中央では再結晶が高温側に移行し、フェライト結晶粒が粗大に成長する。すなわち、通常の製造ラインでは、フェライト結晶粒が表層で微細化され、板厚中央で粗大化されるため、フェライト結晶粒の板厚方向粒度分布が広がる傾向にある。
【0009】
これに対し、本発明では、Nb添加によってFe2Nbのピンニング効果及び固溶Nbのドラッグ効果を発現させて結晶粒の成長を抑制し、板厚方向に関する混粒化を防止している。具体的には、中間焼鈍でFe2Nbを表層部に多く析出させ、板厚中央では固溶Nb量を確保して結晶粒の成長を抑制することにより、板厚方向の整粒化を図っている。その結果、板厚方向での強度差がなく、最終焼鈍前の冷間圧延でも板厚方向により均一に歪が導入される。また、再結晶フェライトの優先核サイトになる粒界面積が板厚方向で均一化する傾向のため、再結晶の優先方位である{111}面も均一化する。
【0010】
その結果、フェライト結晶粒の板厚方向粒度分布をFe2Nbラーベス相の析出及び固溶Nbで制御でき、フェライト結晶粒を板厚方向に関して整粒化するときフェライト{111}面がランダムに圧延面に出る。フェライト結晶粒の整粒化及びフェライト{111}面のランダム発現により、深絞り性の指標であるr値が向上し、面内異方性を表すΔrが減少する。
フェライト{111}面のランダム発現に有効なFe2Nbラーベス相析出及び固溶Nbを確保し、面内異方性が小さく良好な深絞り性・加工性を得るため、フェライト系ステンレス鋼板の成分,含有量等を次のように規制した。
【0011】
C:0.02質量%以下
強度上昇によってフェライト系ステンレス鋼板の加工性を低下させ、炭化物の析出によって耐食性を低下させることから、C含有量は低いほど好ましい。本発明では、加工性及び耐食性に悪影響を及ぼさない範囲としてC含有量の上限を0.02質量%に設定した。
Si:2.0質量%以下
製鋼段階で脱酸剤として添加され、耐高温酸化性にも有効な合金成分である。しかし、高い固溶強化能によってフェライト系ステンレス鋼板の強度を上昇させるため、過剰量のSiが含まれると材質が硬化して延性低下を招くので、Si含有量の上限を2.0質量%に設定した。
【0012】
Mn:3.0質量%以下
固溶強化能が小さく材質への悪影響が少ない。しかし、過剰量のMnが含まれると溶製時にMnヒュームの発生等、製造性が低下するので、Mn含有量の上限を3.0質量%に設定した。
P:0.050質量%以下
熱間加工性に及ぼす悪影響を抑えるためP含有量の上限を0.050質量%に設定した。
S:0.015質量%以下
結晶粒界に偏析しやすい成分であり、粒界脆化により熱間加工性の低下等の悪影響を及ぼすので、S含有量の上限を0.015質量%に設定した。
【0013】
Cr:8.0〜25.0質量%
ステンレス鋼としての耐食性を保持するために8.0質量%以上のCrが必要であるが、Cr含有量の増加に応じて靭性や加工性が低下するので、Cr含有量の上限を25.0質量%に設定した。
Al:0.10質量%以下
製鋼段階で脱酸剤として添加される合金成分であるが、過剰量のAlを添加すると硬質の非金属介在物Al23が増加して靭性低下や表面欠陥が発生しやすくなるので、Al含有量の上限を0.10質量%に設定した。
N:0.05質量%以下
Cと同様に強度上昇によって加工性を低下させる作用を呈する。また、窒化物が析出すると腐食性も低下する。そのため、N含有量は可能な限り低くすることが必要であり、N含有量の上限を0.05質量%に設定した。
【0014】
Nb:0.05〜0.60質量%
フェライト{111}面の優先核形成サイトとして有効なFe2Nbラーベス相を析出させるために必須の合金成分であり、固溶状態ではフェライトの再結晶を高温側に遅滞させる作用も呈する。Fe2Nbラーベス相及び固溶Nbの作用によって再結晶組織が制御され、フェライト{111}面のランダム発現が可能となる。このような効果は、0.05質量%以上のNb含有量で顕著になるが、0.60質量%を超える過剰量のNb添加は熱間加工性に悪影響を及ぼす。
Nbは、鋼中のC,Nを固定してフェライト系ステンレス鋼板の耐食性,加工性を向上させる作用も呈する。C,Nの固定によって形成される炭窒化物は、フェライト{111}面の優先核形成サイトとして働く。なかでも、Nb/(C+N)の質量比を8.0以上に設定すると、生成した炭窒化物の作用が活用される結果としてフェライト結晶粒の板厚方向粒度分布が更に1.0以下に抑えられ、結晶粒の{111}面積も25%以上となって、深絞り性,面内異方性が一層改善される。
【0015】
Ti:0.01〜0.50質量%
必要に応じて添加される合金成分であり、Nbと同様にC,Nを固定してフェライト系ステンレス鋼板の耐食性や加工性を向上させる。このような効果は0.01質量%以上のTiで顕著になるが、0.50質量%を超える過剰量のTi添加ではTi系介在物に起因した表面欠陥が発生しやすくなる。
B:0.0010〜0.0100質量%
必要に応じて添加される合金成分であり、Pの粒界偏析を抑制して粒界強度を改善し、製品形状に加工する際の二次加工割れに対する抵抗力を増大させる作用を呈する。このような効果は0.0010質量%以上のB添加で顕著になるが、0.0100質量%を超える過剰量のB添加は却って熱間加工性や溶接性を低下させる。
【0016】
Ni:2.0質量%以下
必要に応じて添加される合金成分であり、熱延板の靭性を改善し、高耐食性が要求される環境で有効な成分である。しかし、Niの過剰添加は硬質化やコスト上昇を招くので、Ni含有量の上限を2.0質量%に設定した。
Cu:3.0質量%以下
必要に応じて添加される合金成分であり、再結晶の昇温過程でフェライトの核生成サイトとなるε−Cu相が析出し、加工性を向上させる。しかし、3.0質量%を超える過剰量のCuが含まれると、熱間加工性や耐食性が低下する。
【0017】
Mo:3.0質量%以下
必要に応じて添加される合金成分であり、耐食性を改善する作用を呈する。しかし、3.0質量%を超える過剰量のMoを添加すると、高温での固溶強化や動的再結晶が遅滞する結果として熱間加工性が低下する。
V,Zr:0.01〜0.30質量%
何れも必要に応じて添加される合金成分であり、Vは固溶Cを炭化物として析出させることによって加工性を向上させ、Zrは鋼中のOを酸化物として捕捉することにより加工性や靭性を向上させる。このような効果は0.01質量%以上のV,Zrで顕著になるが、0.30質量%を超える過剰量のV,Zrを添加すると製造性が低下する。
【0018】
(板表層のフェライト粒度番号)−(板厚中央のフェライト粒度番号)≦1.5
深絞り性の向上及び面内異方性の低減には、フェライト結晶粒の板厚方向に沿った粒度変動を小さくすることが有効である。本発明では、フェライト結晶粒の板厚方向粒度分布をJIS G0552で規定されるフェライト粒度番号で1.5以内に収めることによって、深絞り性の向上及び面内異方性の低減を図っている。フェライト粒度番号の差1.5以下の整粒化は、前掲の成分調整に加えて圧延率30%以上の冷間圧延及び650〜850℃の中間焼鈍により達成される。
ズレが5度以内の結晶粒の{111}面積が20%以上
圧延集合組織と深絞り性との関係でみると、圧延面表層にフェライト{111}面を多く形成させるほど深絞り性が向上する。面方位が近似の結晶面を考慮に入れた本発明者等による調査・研究結果から、圧延面表層の{111}面からのズレが5度以内にある結晶粒の{111}面積で深絞り性が評価され、{111}面積20%以上で良好な深絞り性が発現することを見出した。
【0019】
製造条件
フェライト系ステンレス鋼の熱延鋼帯を冷間圧延すると、Fe2Nb析出のドライビングフォースとして有効な加工歪みが冷延鋼帯に導入される。この冷延鋼帯を中間焼鈍すると、フェライト{111}面の優先核形成サイトとして働くFe2Nbの析出が加工歪みによって促進される。適正量のFe2Nbを析出させる上で、冷間圧延時の圧延率を30%以上,中間焼鈍時の焼鈍温度を650〜850℃に設定する。圧下率が30%に満たない冷間圧延では、鋼帯に導入される加工歪みが少なく、Fe2Nbの析出に時間を要し、析出サイト数も減少する。650℃未満の焼鈍温度ではFe2Nbの析出に長時間を要し、850℃を超える焼鈍温度では析出物の粗大成長やNbの再固溶によってFe2Nbの析出量が少なくなる。
【0020】
【実施例】
表1の組成をもつフェライト系ステンレス鋼を真空溶解炉で溶製した後、鋳造工程を経て板厚4mmの熱延鋼帯を製造した。各熱延鋼帯を酸洗した後、冷間圧延→中間焼鈍→最終冷延→仕上げ焼鈍(1050℃×60秒)の工程を経て板厚板厚0.6mmの冷延焼鈍材を製造した。冷間圧延時の圧延率,中間焼鈍時の焼鈍温度を表2に示す。
【0021】
Figure 0003932020
【0022】
Figure 0003932020
【0023】
製造された各冷延焼鈍材について、フェライト粒度番号,結晶粒の{111}面積,深絞り性,面内異方性を次のように調査した。
フェライト粒度番号の測定
冷延焼鈍材から切り出された試験片を倍率100倍の視野で観察し、1視野の切片長さを900μmとする30視野における結晶粒の平均切片長さιを切片法で求め、得られた平均切片長さιを式n=10−log(100ι)2に代入してJIS粒度番号nを算出した。表層のフェライト粒度番号は、最表層から板厚方向に5μmの位置で最表層に平行線を描いた切片から求めたJIS粒度番号nを使用した。板厚中央のフェライト粒度番号には、板厚中心位置のJIS粒度番号nを使用した。
【0024】
圧延面表層の{111}面からのズレが5度以内の結晶粒の{111}面積
冷延焼鈍材から切り出された試験片をリン酸・硫酸の混酸に浸漬して片面研磨した後、圧延方向400μm×長手方向800μmの領域を測定範囲とし、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)による面方位解析でフェライト結晶粒の{111}面積を測定した。
深絞り性及び面内異方性
冷延焼鈍材から圧延方向(L方向),圧延方向に関して45度の方向(D方向),圧延方向に直交する方向(T方向)に沿ってJIS 13B号試験片を切り出し、各試験片に15%の引張り歪を与えた後、L方向,D方向,T方向の歪比rL,rD,rT値を求め、r=(rL+2rD+rT)/4として平均r値を算出した。平均r値で深絞り性を、Δr(=rmax−rmin)で面内異方性を評価した。
【0025】
表3の試験結果にみられるように、本発明に従った試験番号1,2,5,6は、何れも平均r値が1.80以上と高く深絞り性に優れ、Δrが0.60以下と面内異方性が小さいことが判る。
成分・組成的には本発明で規定した条件を満足する鋼種であっても、中間焼鈍前の冷間圧延時における圧延率が不足し、或いは中間焼鈍温度が適正でない試験番号3,4,7では、平均r値が小さくなったり、Δrが大きくなったりしていた。平均r値が低下し、Δrが増大した原因を追求したところ、フェライト粒度番号の板厚方向粒度分布が広がり、或いは更に{111}面積が小さくなっていることが判った。
他方、Nb含有量が不足する鋼種DやNb/(C+N)の質量比が小さな鋼種Eでは、(板表層のフェライト粒度番号)−(板厚中央のフェライト粒度番号)≦1.5を満足するものの、{111}面積が12%,14%と少なく、深絞り性,面内異方性に大きな改善が見られなかった。多量のNbを含む鋼種Fでも、{111}面積が11%と少ないためΔr=0.93と面内異方性に劣っていた。
【0026】
Figure 0003932020
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のフェライト系ステンレス鋼板では、中間焼鈍時に析出するFe2Nbラーベス相及び固溶Nbを適正管理することにより、フェライト結晶粒を板厚方向に沿って整粒化すると共に、圧延面表層にフェライト{111}面をランダム発現させている。フェライト結晶粒の整粒化及びフェライト{111}面のランダム発現により、深絞り性が大きく改善され、面内異方性も小さくなる。このようにして深絞り性・加工性が改善されたフェライト系ステンレス鋼板は、オーステナイト系ステンレス鋼でしか成形できなかった用途分野においても容易に絞り加工できるため、シンク,ガスコンロバーナ部材,電磁調理具等の各種厨房機器、ポンプ容器等の家電機器部材、有機EL封止缶部材等の電子部品、燃料タンク,給油管等の自動車用部品、モータケース,カバー,センサ,インジェクタ,サーモスタットバルブ,ベアリングシール材,フランジ等の産業機器部品等として広範な分野で使用される。

Claims (5)

  1. C:0.02質量%以下,Si:2.0質量%以下,Mn:3.0質量%以下,P:0.050質量%以下,S:0.015質量%以下,Cr:8.0〜25.0質量%,Al:0.10質量%以下,N:0.05質量%以下,Nb:0.05〜0.60質量%,残部が不純物を除きFeの組成をもち、(板表層のフェライト粒度番号)−(板厚中央のフェライト粒度番号)≦1.5にフェライト結晶粒が板厚方向に整粒化され、圧延面表層の{111}面からのズレが5度以内のフェライト結晶粒の{111}面積が20%以上であることを特徴とする深絞り性に優れ面内異方性の小さいフェライト系ステンレス鋼板。
  2. Nb/(C+N)の質量比が8.0以上、(板表層のフェライト粒度番号)−(板厚中央のフェライト粒度番号)≦1.0で、圧延面表層の{111}面からのズレが5度以内の結晶粒の{111}面積が25%以上である請求項1記載のフェライト系ステンレス鋼板。
  3. 更にTi:0.01〜0.50質量%,B:0.0010〜0.0100質量%の1種又は2種を含む請求項1記載のフェライト系ステンレス鋼板。
  4. 更にNi:2.0質量%以下,Cu:3.0質量%以下,Mo:3.0質量%以下,V:0.01〜0.30質量%,Zr:0.01〜0.30質量%の1種又は2種以上を含む請求項1又は3記載のフェライト系ステンレス鋼板。
  5. 請求項1〜4何れかに記載の組成をもつステンレス鋼を熱間圧延した後、圧延率30%以上で冷間圧延し、更に650〜850℃で中間焼鈍することにより、 ( 板表層のフェライト粒度番号 ) ( 板厚中央のフェライト粒度番号 ) ≦1 . 5にフェライト結晶粒が板厚方向に整粒化され、圧延面表層の{ 111 }面からのズレが5度以内のフェライト結晶粒の{ 111 }面積が20%以上となる組織に調整することを特徴とする深絞り性・加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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