JP4721916B2 - 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 - Google Patents

成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4721916B2
JP4721916B2 JP2006014465A JP2006014465A JP4721916B2 JP 4721916 B2 JP4721916 B2 JP 4721916B2 JP 2006014465 A JP2006014465 A JP 2006014465A JP 2006014465 A JP2006014465 A JP 2006014465A JP 4721916 B2 JP4721916 B2 JP 4721916B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resistance
stainless steel
ferritic stainless
less
plane anisotropy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006014465A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006328524A (ja
Inventor
謙 木村
純一 濱田
透 松橋
明彦 高橋
昌弘 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp filed Critical Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel Corp
Priority to JP2006014465A priority Critical patent/JP4721916B2/ja
Publication of JP2006328524A publication Critical patent/JP2006328524A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4721916B2 publication Critical patent/JP4721916B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法に関するものである。本発明によれば、成形時の面内異方性、耐リジング性及び耐肌荒れ性のいずれの特性も良好であるフェライト系ステンレス鋼を得ることができるため、材料歩留まりを高くでき、従来必要とされていた成形後の表面研磨工程を省略できるなど地球環境保全に貢献しうるものと考えられる。
成形時の面内異方性については後述するように、尺度として円筒深絞り成形したときに生じる耳、しわ、割れなどを除去するために切断される部分の重量割合(歩留まり落ちの割合)を尺度とすることとする。
フェライト系ステンレス鋼は、家電や厨房、器物など幅広い分野に使用されている。その大半は鋼板を成形加工して用いられるため、成形加工のしやすさ、歩留まり、成形後の処理の簡便さなど多くの特性が望まれている。特に器物などは、円筒深絞り成形され、端部(耳)を切断し、表面を研磨して最終製品とされている。
このような素材としてのフェライト系ステンレス鋼に求められる特性としては、図1に示すような成形時の耳の高さが小さい事が望まれる。なぜなら、耳部は切り落とされ、成形品の材料歩留まりの低下になるためである。またその後、表面の凹凸を無くすための研磨工程がある。すなわち成形品にはリジングや肌荒れと言った材料起因の表面凹凸が生じるため、これを研磨によって解消している。研磨は、人手をかけて個別に行う場合が多く、成形品を作る過程での大きな負荷となっている。したがって、材料に求められる特性としては、成形性、面内異方性が小さいこと、耐肌荒れ性及び耐リジング性に優れることが求められている。
これまでに材料特性の面内異方性を低減する手法としては特許文献1,2及び3が、耐リジング性を改善する手法としては特許文献4及び5が、肌荒れを防止する方法としては特許文献6及び7が知られている。
特許文献1には熱間圧延時の粗熱延時の製造条件(温度、圧下率、摩擦係数)を規定することによりr値の面内異方性を低減する手法が記載されている。また特許文献2には、熱延板に冷間または温間で予備圧延を施すことでΔEl(全伸びの面内異方性)を低減する手法が記載されている。特許文献3にはr値の面内異方性及び0.2%耐力の面内異方度を規定して形状凍結性を向上する手法が記載されている。
特許文献4には、熱延途中に曲げ加工を施して耐リジング性を改善する手法が、また特許文献5には熱延後の冷却、巻取り条件を規定することにより、耐リジング性を改善する手法が記載されている。特許文献6には、熱間圧延条件及び冷間圧延条件を規定して結晶粒径を微細化して加工時の表面肌荒れを抑制する手法が、特許文献7には、成形時の肌荒れが生じないような成形方法を結晶粒径によって規定する手法が記載されている。
特開平7−310122号公報 特開2001−192735号公報 特開2002−332548号公報 特開昭62−136525号公報 特開平01−111816号公報 特開平07−292417号公報 特開2005−139533号公報
しかし、特許文献1及び2の手法ではr値の面内異方性は低減するが、耐リジング性や耐肌荒れ性が不良である場合があり、成形後の研磨工程の負荷が軽減されていなかった。 特許文献3の手法では成形時の面内異方性は必ずしも低減できない場合があり、さらに成形加工時にリジングや肌荒れが生じる場合が認められていた。また特許文献4及び5は、耐リジング性は改善するものの、成形時の面内異方性が大きく、また加工時に肌荒れが発生する場合があった。
また特許文献6では加工時の表面肌荒れが低減するが、耐リジング性あるいは耐肌荒れ性が不良となる場合が認められていた。また特許文献7では成形方法を限定した場合に肌荒れが生じないが、成形加工でリジングや肌荒れが生じる場合が散見された。
以上のように、従来の技術では、成形時の面内異方性、耐リジング性、耐肌荒れ性の全てを満足するような手法、あるいはそれらの全特性に相応するような指標さえも存在していなかった。
本発明は、成形時の面内異方性、耐リジング性、耐肌荒れ性の全てを満足するフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記の課題に対し、成形時の面内異方性、耐リジング性、耐肌荒れ性のすべてを満足するための総合的な検討を行った。その結果、引張強度の異方性と円筒深絞り試験での耳高さの両指標を制御することが極めて重要であることが判明した。
本発明は上記知見に基づくものであって、以下の構成を要旨とする。
(1) 質量%で、
C :0.005〜0.100%、 Si:0.01〜2.00%、
Mn:0.01〜2.00%、 P :0.040%未満、
S :0.03%以下、 Cr:10〜22%、
Al:0.0005〜0.2000%、 N :0.005〜0.080%
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、下記(1)式により計算されるγp %)が20〜65%を満足し、板面において圧延方向から0°、45°及び90°の3方向に引張試験をした際の引張強度の最大値と最小値の差が20MPa未満であり、かつポンチ径:Φ50mm、ポンチ肩R:5mm、ダイス肩R:5mm、ブランク径:Φ100mm、しわ押さえ力:1トン、摩擦係数:0.11〜0.13の条件で絞り比2.0の円筒深絞り成形後の耳高さが2.0mm以内であることを特徴とする、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
γp =420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕
+7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕
−49×〔Ti〕+189・・・(1)
(ここで〔 〕は質量%)
(2) 前記鋼が、さらに質量%で、Ni:2.0%以下、Cu:1.0%以下のうち1種または2種を含むことを特徴とする、上記(1)記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
(3) 前記鋼が、さらに質量%で、B:0.010%以下を含むことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
(4) 前記鋼が、さらに質量%で、Mg:0.010%以下を含むことを特徴とする、上記(1)〜(3)いずれか1項に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
(5) 前記鋼が、さらに質量%で、Ti:0.40%以下、Nb:0.40%以下のうち1種または2種を含むことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
(6) 前記鋼が、さらに質量%で、Mo:0.50%以下を含むことを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を製造するに際し、鋼片を、常法により熱間圧延した後、熱延板の予備焼鈍を、昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を0.5℃/s以上で昇温した後、800〜1050℃の温度域で1〜120秒間保持し、その後、300℃以下まで0.5℃/s以上の冷却速度で冷却する条件で行った後、熱延板の本焼鈍を、昇温時の500〜700℃の温度域における平均昇温速度を0.05℃/s未満で昇温した後、700〜900℃の温度域で1時間以上保持した後冷却する条件で行い、さらに常法により、酸洗、冷間圧延および冷延板最終焼鈍を施すことを特徴とする、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
(8) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を製造するに際し、鋼片を、熱間圧延工程において700〜1100℃における総圧延率が90%以上とした圧延後に450〜700℃で巻取り処理を実施し、得られた熱延板を700℃〜850℃で3h以上保持する均質化熱処理を実施し、さらに900〜1100℃で1s以上保持したのちに3℃/s以上の冷却速度で冷却する部分変態熱処理を実施し、さらに常法により、酸洗、冷間圧延および冷延板最終焼鈍を施すことを特徴とする、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
(9) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を製造するに際し、鋼片を熱間圧延して600℃以上の温度で巻取り、さらに熱処理を施すことなく圧延率10〜60%の冷間圧延をした後に、500〜750℃の範囲における平均昇温速度を0.5℃/s以上かつ800〜1050℃で1〜120sの保定を有する熱処理を行い、さらに常法により、酸洗、冷間圧延および冷延板最終焼鈍を施すことを特徴とする、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
(10) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のフェライト系フェライト系ステンレス鋼薄板を(7)〜(9)のいずれか1項に記載の方法により製造するに際し、冷延板最終焼鈍工程において最高到達温度がAc1 (℃)以下で1〜120sの保定を有する熱処理を行うことを特徴とする、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
これまでの材料特性の面内異方性は、前述の特許文献1〜3に記載されているように、r値、全伸びあるいは0.2%耐力については従来知られていたが、いずれも成形時の面内異方性、耐リジング性、肌荒れ性のすべてを満足する指標にはなり得なかった。
本発明においては、引張強度の異方性を制御することが重要であることがはじめて明らかとなった。また、もう一つの特性として円筒深絞り試験での耳高さが重要であることが判明した。これらの「引張強度の異方性」と「円筒深絞り試験時の耳高さ」の両者を満足したときにはじめて成形時の面内異方性、耐リジング性、肌荒れ性の全てを満足する。
引張強度の異方性が、上記特性に影響を及ぼす原因は明確ではないが、成形加工時に表面に凹凸が発生して肌荒れやリジングが生成する過程において、変形の異方性、特に表面での変形に影響を及ぼす可能性がある。また円筒深絞り試験時の耳高さは、通常の異方性は圧延方向からの角度が0°,45°、90°の3方向から計算されるものであるのに対して、0〜360°の全方位的な評価指標となる。加えて、円筒深絞り時に耳が発生することは、鋼板の集合組織に何らかの異方性が存在すること、すなわち類似結晶方位粒集団(コロニー)が存在することを示唆しているものである。したがって類似結晶方位粒集団(コロニー)の大きさや分布状態によって決定される耐リジング性及び耐肌荒れ性と対応する一指標となるものと考えられる。
本発明によれば、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性のいずれの特性も良好であるフェライト系ステンレス鋼を得ることができるため、成形品の歩留まりが向上し、従来必要とされていた成形後の表面研磨工程を省略できるなど、産業上の効果は極めて大きいと言える。
以下に本発明を詳細に説明する。
C:熱間圧延時にγ相を析出させるために必要な元素であるが、多量の添加は加工性を低下させたり、Cr系炭化物の析出による鋭敏化及び靭性低下を招くことがあるため0.100%を上限とする。また、下限は精錬コストの著しい増加を招かないレベルである0.005%とした。製鋼工程における安定製造性を考慮したときに好ましい範囲は0.03〜0.08%である。
Si:脱酸元素として活用するが、多量の添加は加工性の劣化を招くため2.00%を上限とする。下限は精錬における負荷を考慮し、0.01%とした。
Mn:Si同様に多量の添加は加工性を低下させ、また耐食性を低下させる場合があるため2.00%を上限とした。また下限は精錬における負荷を考慮し、0.01%とした。
P:不純物であり、強度を増加させ、また酸洗時に粒界腐食を招く場合があるため、低い方が好ましく、0.040%未満とした。下限は特に規定する必要はないが、Pの低減には製鋼段階でコストが増加するため、0.005%とすることが好ましい。
S:不純物であり、熱間割れを招いたり、耐食性を低下させたりするため、低いほど好ましく、0.03%を上限とする。さらに、耐食性の点からは0.015%以下とすることが好ましい。
Cr:耐食性を確保するために必要な元素であり、下限を10%とした。多量の添加は原料コストの増加を招くばかりでなく、熱間圧延及び冷間圧延時に割れを生じやすく、製造性を低下させるため、上限を22%とした。
Al:脱酸元素として用いられ、0.0005%未満では脱酸が十分に行われないため、これを下限とした。また多量の添加は溶接性を低下させるため、上限を0.2000%とした。溶接性低下を防止し、安定して脱酸を行うために好ましい範囲は0.003〜0.08%である。
N:熱間圧延時にγ相を析出させるために必要な元素であるが、多量の添加は加工性を低下させたり、ちりめん状の表面皺を発生させることがあるため、0.080%を上限とする。また下限は精錬コストの著しい増加を招かないレベルである0.005%とした。製鋼工程における安定製造性を考慮したときに好ましい範囲は0.020〜0.060%である。
Cu:微量の添加により耐食性を向上させるため、選択的に添加しても良い。また(1)式で定義されるγpを調整するのに有効な元素である。ただし、多量の添加は加工性を劣化させるばかりか、耐食性をも逆に低下する場合があるので、上限を1.0%とした。安定的に優れた耐食性を得るためには0.001%以上添加することが望ましい。
Ni:Cu同様に微量の添加により耐食性を向上させ、また靭性の向上効果も有するため、選択的に添加しても良い。また(1)式で定義されるγpを調整するのに有効な元素である。多量の添加は加工性を劣化させるため、上限を2.0%とした。耐食性及び靭性の効果を得るためには0.001%以上添加することが好ましい。
B:二次加工性を向上させる元素であり、選択的に添加しても良い。ただし、多量の添加は熱間割れを招くため上限を0.010%とした。また二次加工性の向上効果を得るためには、0.0001%以上添加することが好ましい。
Mg:溶融凝固時の組織を微細化させる効果を持つ元素であり、選択的に添加しても良い。特に、溶接部の微細化等に効果的である。ただし、Mgは歩留まりが極めて低い元素であり、多量の添加は製造性の点から困難であるため、上限を0.010%とした。また、上述の微細化効果を安定して発揮するためには0.0001%以上添加することが望ましい。
Ti、Nb:成形性を向上させる元素であり、両元素のうち1種または2種を添加できる。0.40%超では材料強度が上昇し、逆に成形性を劣化させる場合があるため、0.40%を上限とした。Ti、Nbともに0.01%未満では成形性向上効果が小さいため、成形性向上の観点からは0.01%以上添加することが好ましい。
Mo:耐食性向上元素であり、選択的に添加できる。0.50%超の添加は加工性の劣化を招くため、0.50%を上限とした。耐食性の向上効果が発揮されるには、0.01%以上添加することが望ましい。
γp (%):γp は下記(1)式で計算される値である。この値が20%未満であると耐リジング性が低下するため、これを下限とした。また、65%超であると熱間加工性が低下し、熱間圧延工程において割れが生じやすくなる。また、製品の成形性が劣化するため、65%を上限とした。
γp (%)=420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕
+7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕
−49×〔Ti〕+189・・・(1)
(ここで〔 〕は質量%)
絞り比2.0の円筒深絞り成形後の耳高さ:この値が小さいときに、良好な成形時の面内異方性、耐肌荒れ性及び耐リジング性が得られる。2.0mm超であると、上記のいずれかの特性が劣化する場合があるため、これを上限とした。円筒深絞り成形の条件によって耳高さや成形限界が変わるため、成形条件は次のように定めた。
ポンチ径:Φ50mm、ポンチ肩R:5mm、ダイス肩R:5mm、ブランク径:Φ100mm、しわ押さえ力:1トン、摩擦係数:0.11〜0.13である。この摩擦係数は、40℃で動粘度1200mm2 /secの潤滑油を鋼板の表裏面に塗布することで得られるレベルである。後述する実施例においては冷間圧延後の板厚を変化させているが、板厚によらず、耳高さが2.0mm以内であることが必要条件となる。
引張強度:本発明において明確となった指標であり、鋼板より圧延方向から0°、45°及び90°の3方向にJIS13号B引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠した引張試験を実施する。n数は3として平均値を用いる。引張強度異方性は、上記3方向の引張強度のうち、最大値と最小値の差と定義する。これを20MPa未満とすることが、成形時の面内異方性、耐リジング性及び耐肌荒れ性の全特性を満足するための必要条件となる。
熱間圧延、焼鈍、冷間圧延については、下記の3通りのうち、いずれかの条件を満たせばよい。
[プロセスA]
熱延板予備焼鈍:熱間圧延後、熱延板本焼鈍の前に熱延板予備焼鈍を行う。この熱延板予備焼鈍では、昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を0.5℃/s以上で昇温した後、800〜1050℃の温度で1〜120秒間保持し、その後、300℃以下まで0.5℃/s以上の冷却速度で冷却する。
ここでの平均昇温速度が0.5℃/s未満であると引張強度異方性や耳高さが劣化し、その結果、耐リジング性が劣化したり、肌荒れが生じたり、成形時の面内異方性が大きくなる場合がある。
「昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度」とは、昇温過程において500℃と750℃の両温度の差250℃を500℃から750℃に達するまでの時間で除して求める。
なお、平均昇温速度を測定する範囲としては耐リジング性及び耐肌荒れ性に対して重要な再結晶が生じる温度として500〜750℃とした。この温度範囲で平均昇温速度が0.5℃/s未満になると、熱延板予備焼鈍に引き続いて行う熱延板本焼鈍において好ましい金属組織の形成(コロニーの分断)が不十分となる。
500℃に達するまでの条件、すなわち熱延板予備焼鈍の開始温度及び500℃未満の昇温速度は耐リジング性や耐肌荒れ性などに影響を及ぼさないため、特に規定する必要はない。ここでの保持温度が800℃未満であると未再結晶組織が残存するために耐リジング性や耐肌荒れ性が劣化したり、成形時の面内異方性が大きくなって歩留まりが低下したりする。また1050℃超では靭性の低下を招く場合がある。また、保持時間についても同様に1秒未満では未再結晶残存により、耐リジング性、耐肌荒れ性、成形時の面内異方性が劣る場合がある。また120秒超の保持時間では、粒成長が生じて前述の特性のいずれかが低下する場合がある。
その後、300℃以下まで0.5℃/s以上の冷却速度で冷却する。この冷却停止温度が300℃超となるような不十分な冷却であると製造性が劣化する場合があり好ましくない。また、冷却速度が0.5℃/s未満では、結晶粒径が粗大化してコロニーが粗大化したり、冷却中に再結晶核の成長が生じる場合があり、耐肌荒れ性などを劣化させる場合がある。
熱延板本焼鈍:熱延板予備焼鈍の後に冷却した鋼板を用いて熱延板本焼鈍を実施する。昇温時の500〜700℃の温度域における平均昇温速度を0.05℃/s未満とする。これは昇温速度が0.05℃/s以上であると冷間圧延前に、リジングあるいは肌荒れの成因となる類似結晶方位粒集団(コロニー)の分断が不十分となる場合があるためである。昇温後、700〜900℃の温度域で1時間以上保持する。この温度域が700℃未満ではコロニーの分断が不十分であり、900℃超では結晶粒の粗大化による肌荒れや残留γ相あるいはマルテンサイト相が残存して冷間圧延割れを起こす場合があり好ましくない。また、保持時間が1時間未満であるとコロニーの分断が不十分な場合がある。保持時間の上限は特に規定するものではないが、生産性の観点からは48時間以下とすることが好ましい。
前述のような2種類の熱処理を実施した後、冷延、焼鈍を実施して製品板を作製する。成形性、製造性の向上等を目的として冷延途中に焼鈍を実施しても良い。ステンレス特有の表面肌を得て、かつ製造コストが大幅に増加しないレベルとして、冷間圧延率は30〜95%とすることが好ましい。
[プロセスB]
熱間圧延工程:熱間圧延工程において1100℃以下における総圧延率が90%以上とする。1100℃以下の圧延率が90%未満であると、前述のコロニーの分断が不十分となって引張強度異方性や耳高さが劣化し、その結果、耐リジング性が低下したり、成形時の面内異方性、耐肌荒れ性が劣化する場合があるためである。また圧延温度は700℃未満では圧延キズが発生するためこれを下限とした。巻取り温度は450〜700℃とする。700℃超の場合は、熱延で導入された歪が回復するため、これを上限とした。また450℃未満であると圧延速度の低下など製造性を劣化させる場合があるためである。
均質化熱処理:熱延板には700〜850℃で3h以上保持する均質化熱処理を施す。この熱処理を施すことで、熱延板で生成するマルテンサイト相や残留γ相を分解する。700℃未満であると分解が十分に行われず、冷間圧延時に耳割れが発生したり、製品の成形性が劣る場合や、耐リジング性及び成形時の面内異方性が劣化する場合があるためである。また850℃超であると結晶粒が粗大化してコロニーの粗大化による耐リジング性の低下や、耐肌荒れ性の劣化が生じる。保持時間は3h以上必要である。3h未満であるとγ相あるいはマルテンサイト相の分解が不十分で、耐リジング性及び製造性が劣化する場合があるためである。
部分変態熱処理:均質化熱処理後に900〜1100℃で1s以上保持したのちに3℃/s以上の速度で冷却する部分変態熱処理を実施する。900℃未満とするとコロニーの分断に必要なマルテンサイト相あるいは残留γ相の体積率が十分に確保できずに耐リジング性あるいは面内異方性が低下する。1100℃超とすると冷延割れが激しく生成し、製造性が低下する。保持時間は1s以上であればよく、これ未満であると耐リジング性が劣化する場合がある。保持時間の上限は特に規定するものではないが、製造性を考慮した場合、300s以内とすることが好ましい。冷却速度は3℃/s以上とする。これ未満であると耐リジング性は劣化する。冷却速度の上限は特に規定するものではないが、製造コストの大幅な増加のないレベルとして50℃/sが好ましい。
前述のような2種類の熱処理を実施した後、冷延、焼鈍を実施して製品板を作製する。成形性、製造性の向上等を目的として冷延途中に焼鈍を実施しても良い。ステンレス特有の表面肌を得るために、冷間圧延率は30〜95%とすることが好ましい。
[プロセスC]
熱間圧延:熱間圧延後に600℃以上の温度で巻取る。本プロセスでは巻取り温度を制御することが重要なポイントであり、巻取り温度が600℃未満であると良好な耐リジング性、耐肌荒れ性が得られない場合があり、また冷間圧延時の耳割れが発生しやすい。巻取温度の上限は特に規定する必要はないが、熱間圧延時に圧延疵を発生することなく製造できる上限温度は900℃であるため、これを上限とすることが好ましい。
冷間圧延:熱間圧延材に熱処理を施すことなく圧延率10〜60%の冷間圧延を行う。冷間圧延率が10%未満であると十分な耐肌荒れ性や耐リジング性が得られない場合がある。また60%超の冷間圧延を行うと、端部から割れが生じて材料の歩留まりを落とす。
冷間圧延後の熱処理:500〜750℃の範囲における平均昇温速度を0.5℃/s以上かつ800〜1050℃で1〜120sの保定を有する熱処理を行う。ここでの平均昇温速度が0.5℃/s未満であると良好な成形時の面内異方性や耐リジング性、耐肌荒れ性を得ることが出来ない場合がある。保持温度は800℃未満であると耐リジング性が劣り、また1050℃超では靭性の低下及び耐肌荒れ性の低下を招く場合がある。保持時間についても同様に1秒未満や120秒超では面内異方性が不十分となる。
前述のような熱処理を実施した後、冷延、焼鈍を実施して製品板を作製する。2回目の冷間圧延は、圧延率が低いと耐リジング性が劣化し、圧延率が高すぎると冷間圧延時の耳割れが発生するため、25〜90%とすることが好ましい
[冷延板最終焼鈍工程]
上記プロセスA〜Cのうち、いずれか1つを実施したあとの最終焼鈍工程では最高到達温度がAc1 (℃)以下で1〜120sの保定を有する熱処理を行う.Ac1 は、フェライト組織の材料温度を上昇させたときに高温でγ相への変態が開始する温度であり、成分によって決まるものである。計算式はステンレス鋼便覧に記載されている下記(2)式を用いると良い。
Ac1 (℃)=35×(〔Cr〕+1.72×〔Mo〕+2.09〔Si〕+4.86 ×〔Nb〕+1.77×〔Ti〕+21.4×〔Al〕+40×〔B〕 −7.14×〔C〕−8×[N]−3.28×[Ni]−1.89
×〔Mn〕−0.51×〔Cu〕)+310・・・(2)
最終の焼鈍後に形状矯正を目的としてスキンパス圧延を実施しても良い。そのときの伸び率は、材料が硬化して成形性を劣化させないレベルとして0.3〜3.0%が好ましい。
「耐リジング性」について詳細に記述する。リジングとは、鋼板を成形加工したときに生じる圧延方向に連なった凹凸を示す。引張試験片の外観を図2に示す。リジングは、引張試験によりある歪を与えた後、試験平行部の長手方向中央位置において図3に示すような引張方向に連なった凹凸として認められる。耐リジング性の測定方法は、次に述べるとおりである。
圧延方向から0°方向にJIS5号引張試験片を採取し、歪が16%の引張を行う。表面粗度計において引張試験片表面の平行部の長手方向中央位置において、半径5μmの触針を接触させて、引張方向と垂直方向に0.60mm/sの速度で、カットオフ波長0.08mmとして10mm走査させてうねりチャートを得る。チャートの一例を図4に示す。リジング高さはうねりの最も大きい谷部を形成する山を直線で結び、この直線を深さ方向に平行移動して谷部底に合せた直線(点線)との距離として求める。
次に「耐肌荒れ性」について記述する。肌荒れは、引張試験によりある歪を与えた後、試験平行部の表面において図5に示すような凹凸として認められる。圧延方向と平行に引張った場合にのみ現れるリジングとは異なり、いずれの方向に引張っても生じるものである。圧延方向から0°、45°及び90°の3方向にJIS5号引張試験片を採取し、16%引張った後に試験片表面の長手方向中央位置を引張り方向と90°方向に上記同様の表面粗度計を用いてのRzを測定する。3方向の内で最もRz値が大きい値を耐肌荒れ性の指標として用いることとする。Rzの測定法は、JIS B 0601に準じた。
次に「成形時の面内異方性」について記述する。円筒深絞り成形加工したサンプルは、方向によっては耳が生じたり、端面のしわ(リジング起因である場合もある)や割れが発生したりするために、ある高さで切断して円筒カップ形状の製品とされる。すなわち、端部を切り取る分だけ材料歩留まりとしては低下し、製品のカップ高さが低くなる。
本発明においては、円筒深絞り成形をしたときに全周囲方向において切断されるべき欠陥(耳、しわ、割れなど)がどれだけ少ないか、を成形時の面内異方性の指標とする。成形時の面内異方性の尺度としては、円筒深絞り成形したときに切断される部分の重量割合(歩留まり落ちの割合)であらわすこととする。
成形時の面内異方性が小さいことは、上で例示した円筒深絞りのみならず、プレス成形全般において望ましい特性である。例えばフランジを残存させる角筒深絞りにおいては、異方性が大きい場合、残存するフランジの大小の差が部位により大きく、所望の形状が得難くなり、これを回避するために素材のブランクを大きく取る必要があって、結果として素材の歩留りが低下することになる。実際のプレス成形では種々の形状に加工が行われるが、本発明では簡便で代表的な成形である、フランジを残さず絞り抜いた円筒深絞りにおいて発現する成形時の面内異方性をもって材料特性を評価する。
次に、リジングや肌荒れが、円筒深絞り成形したときにどのように認められるかを示す。図6に、一般的なフェライト系ステンレス鋼を円筒深絞り試験によりカップを作製したときの外観を示す。カップの縦壁部に肌荒れが生成するとともに圧延方向と平行に引張られた箇所にリジングが生成し、端部には耳や皺が発生する。
以下に実施例を示す。
表1に示す成分の各鋼を溶製し、熱間圧延を実施した。得られた熱延板について数水準の条件によって予備焼鈍及び本焼鈍を実施した。焼鈍後、表2に示す条件で冷間圧延を行い、計算されるAc1 より10〜30℃低い温度で60sの保定を有する熱処理を行った。得られた鋼板より、上述の方法にしたがって引張強度異方性及び円筒深絞り試験後の耳高さを測定した。また耐リジング性、耐肌荒れ性、成形時の面内異方性を評価した。
耐リジング性はリジング高さが5μm以下である場合に合格とした。耐肌荒れ性はRzが5μm以下である場合に合格とした。成形時の面内異方性は材料歩留まりが90%以上である場合に合格とした。
表2に製造条件及び各種評価結果を示す。本発明法によると成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性が優れる鋼板を製造することができる。
表1に示す成分の各鋼を溶製し、種々の条件で熱間圧延を実施した。得られた熱延板について数水準の条件によって均質化熱処理及び部分変態熱処理を実施した。焼鈍後、表3に示す条件で冷間圧延を行い、計算されるAc1 より10〜30℃低い温度で60sの保定を有する熱処理を行った。
得られた鋼板より、前項と同様に、引張強度異方性、円筒深絞り成形試験後の耳高さを測定した。耐リジング性、耐肌荒れ性及び成形時の面内異方性の評価基準は前項と同じである。加えて冷延時の耳割れ発生有無を調査した。
表3に製造条件及び各種評価結果を示す。本発明法によると成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性が優れる鋼板を、冷延時の耳割れなく製造することができる。
表1に示す成分の各鋼を溶製し、種々の条件で熱間圧延を実施した。得られた熱延板を熱処理することなく、酸洗し、1回目の冷間圧延を実施した。冷間圧延後、種々の条件で熱処理を実施し、酸洗後、2回目の冷間圧延を行い、計算されるAc1 より10〜30℃低い温度で60sの保定を有する熱処理を行った。
得られた鋼板より、前項と同様に、引張強度異方性、円筒深絞り成形試験後の耳高さを測定した。耐リジング性、耐肌荒れ性及び面内異方性の評価基準は前項と同じである。加えて冷延時の耳割れ発生有無を調査した。また冷延時の耳割れ発生有無を調査した。
表4に製造条件及び各種評価結果を示す。本発明法によると成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性が優れる鋼板を、冷延時の耳割れなく製造することができる。
Figure 0004721916
Figure 0004721916
Figure 0004721916
Figure 0004721916
円筒深絞り成形をしたときの耳の発生を示す図である。 引張試験片の外観を示す図である。 引張試験時のリジングの発生状況を示す図である。 チャートよりリジング高さを求める方法を示した図である。 引張試験時の肌荒れの発生状況を示す図である。 円筒深絞り成形をしたときの肌荒れ、リジング、しわの発生を示す模式図である。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C :0.005〜0.100%、
    Si:0.01〜2.00%、
    Mn:0.01〜2.00%、
    P :0.040%未満、
    S :0.03%以下、
    Cr:10〜22%、
    Al:0.0005〜0.2000%、
    N :0.005〜0.080%
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、下記(1)式により計算されるγp (%)が20〜65%を満足し、板面において圧延方向から0°、45°及び90°の3方向に引張試験をした際の引張強度の最大値と最小値の差が20MPa未満であり、かつポンチ径:Φ50mm、ポンチ肩R:5mm、ダイス肩R:5mm、ブランク径:Φ100mm、しわ押さえ力:1トン、摩擦係数:0.11〜0.13の条件で絞り比2.0の円筒深絞り成形後の耳高さが2.0mm以内であることを特徴とする、成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
    γp =420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕
    +7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕
    −49×〔Ti〕+189・・・(1)
    (ここで〔 〕は質量%)
  2. 前記鋼が、さらに質量%で、Ni:2.0%以下、Cu:1.0%以下のうち1種または2種を含むことを特徴とする、請求項1記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
  3. 前記鋼が、さらに質量%で、B:0.010%以下を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
  4. 前記鋼が、さらに質量%で、Mg:0.010%以下を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
  5. 前記鋼が、さらに質量%で、Ti:0.40%以下、Nb:0.40%以下のうち1種または2種を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
  6. 前記鋼が、さらに質量%で,Mo:0.50%以下を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を製造するに際し、鋼片を、常法により熱間圧延した後、熱延板の予備焼鈍を、昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を0.5℃/s以上で昇温した後、800〜1050℃の温度域で1〜120秒間保持し、その後、300℃以下まで0.5℃/s以上の冷却速度で冷却する条件で行った後、熱延板の本焼鈍を、昇温時の500〜700℃の温度域における平均昇温速度を0.05℃/s未満で昇温した後、700〜900℃の温度域で1時間以上保持した後冷却する条件で行い、さらに常法により、酸洗、冷間圧延および冷延板最終焼鈍を施すことを特徴とする成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を製造するに際し、鋼片を、熱間圧延工程において700〜1100℃における総圧延率が90%以上とした圧延後に450〜700℃で巻取り処理を実施し、得られた熱延板を700〜850℃で3h以上保持する均質化熱処理を実施し、さらに900〜1100℃で1s以上保持したのちに3℃/s以上の冷却速度で冷却する部分変態熱処理を実施し、さらに常法により、酸洗、冷間圧延および冷延板最終焼鈍を施すことを特徴とする成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を製造するに際し、鋼片を熱間圧延して600℃以上の温度で巻取り、さらに熱処理を施すことなく圧延率10〜60%の冷間圧延をした後に、500〜750℃の範囲における平均昇温速度を0.5℃/s以上かつ800〜1050℃で1〜120sの保定を有する熱処理を行い、さらに常法により、酸洗、冷間圧延および冷延板最終焼鈍を施すことを特徴とする成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼薄板を請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法により製造するに際し、冷延板最終焼鈍工程において最高到達温度がAc1 (℃)以下で1〜120sの保定を有する熱処理を行うことを特徴とする成形時の面内異方性が小さく、耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
JP2006014465A 2005-01-24 2006-01-23 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 Active JP4721916B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006014465A JP4721916B2 (ja) 2005-01-24 2006-01-23 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005016118 2005-01-24
JP2005016118 2005-01-24
JP2005130934 2005-04-28
JP2005130934 2005-04-28
JP2006014465A JP4721916B2 (ja) 2005-01-24 2006-01-23 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006328524A JP2006328524A (ja) 2006-12-07
JP4721916B2 true JP4721916B2 (ja) 2011-07-13

Family

ID=37550517

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006014465A Active JP4721916B2 (ja) 2005-01-24 2006-01-23 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4721916B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012153926A (ja) * 2011-01-25 2012-08-16 Sumitomo Metal Ind Ltd フェライト系ステンレス鋼板の製造方法
KR101423823B1 (ko) * 2012-06-28 2014-07-25 주식회사 포스코 내식성 및 내리징성이 향상된 저크롬 페라이트계 스테인리스강
KR101941067B1 (ko) 2014-09-05 2019-01-22 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 스테인리스 냉연 강판용 소재
KR101614614B1 (ko) 2014-10-22 2016-04-22 주식회사 포스코 고강도, 고연성의 페라이트계 스테인리스 강판 및 그의 제조방법
KR101921595B1 (ko) * 2016-12-13 2018-11-26 주식회사 포스코 리징성 및 표면품질이 우수한 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법
WO2018198834A1 (ja) * 2017-04-25 2018-11-01 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP6432701B2 (ja) * 2017-04-25 2018-12-05 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
KR101964318B1 (ko) * 2017-08-31 2019-04-01 주식회사포스코 방열성 및 가공성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법
KR102409900B1 (ko) 2017-09-29 2022-06-15 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 페라이트계 스테인리스 열연 어닐링 강판 및 그의 제조 방법
JP6536763B1 (ja) * 2017-10-30 2019-07-03 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
KR102020399B1 (ko) * 2017-12-08 2019-09-10 주식회사 포스코 고강도 페라이트계 스테인리스 강판 및 이의 제조방법
JP7241545B2 (ja) * 2019-01-11 2023-03-17 日鉄ステンレス株式会社 フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
KR20230059481A (ko) * 2021-10-26 2023-05-03 주식회사 포스코 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조방법

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0694575B2 (ja) * 1987-08-11 1994-11-24 川崎製鉄株式会社 表面性状及びプレス成形性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JPH0417623A (ja) * 1990-05-09 1992-01-22 Kawasaki Steel Corp 表面性状と成形性に優れたフェライト系ステンレス冷延鋼板の製造方法
JPH06228640A (ja) * 1993-01-29 1994-08-16 Nippon Steel Corp 耐ローピング性の優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JP3273227B2 (ja) * 1995-02-16 2002-04-08 新日本製鐵株式会社 耐リビング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JP3484805B2 (ja) * 1995-03-14 2004-01-06 Jfeスチール株式会社 面内異方性が小さく強度−伸びバランスに優れるフェライト系ステンレス鋼帯の製造方法
JP3373983B2 (ja) * 1995-08-24 2003-02-04 川崎製鉄株式会社 プレス成形性、耐リジング性および表面性状に優れるフェライト系ステンレス鋼帯の製造方法
JPH10280047A (ja) * 1997-04-10 1998-10-20 Nippon Steel Corp 耐ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JP4003821B2 (ja) * 1999-03-05 2007-11-07 日本冶金工業株式会社 耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JP3788311B2 (ja) * 2001-10-31 2006-06-21 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP3932020B2 (ja) * 2001-11-19 2007-06-20 日新製鋼株式会社 深絞り性に優れ面内異方性の小さいフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法
JP4082205B2 (ja) * 2002-12-20 2008-04-30 Jfeスチール株式会社 加工性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006328524A (ja) 2006-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4721916B2 (ja) 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法
US11427881B2 (en) Ferrite-based stainless steel plate, steel pipe, and production method therefor
JP4721917B2 (ja) 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れた低炭素低窒素フェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法
JP5549414B2 (ja) 形状凍結性に優れた冷延薄鋼板およびその製造方法
TWI390054B (zh) Steel plate for high strength container and method for manufacturing the same
TWI473887B (zh) High strength cold rolled steel sheet having excellent deep drawing property and bake hardening property and a method for manufacturing the same
JP5924459B1 (ja) ステンレス冷延鋼板用素材
CN103597110B (zh) 罐体部相对于外压的压曲强度高、且成形性及成形后的表面性状优异的罐用钢板及其制造方法
CN104726768A (zh) 表面质量优异的高强度热轧钢板及其制造方法
CN105378134B (zh) 罐用钢板及其制造方法
JP4065579B2 (ja) 面内異方性が小さく耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
KR101264537B1 (ko) 제관용 강판의 제조 방법
TWI513831B (zh) Molybdenum iron stainless steel plate with excellent formability
JP5950653B2 (ja) 耐加工肌荒れ性に優れるフェライト系ステンレス鋼板
CN110073022A (zh) 具有优异的起皱特性和表面品质的铁素体不锈钢及其制造方法
CN108570603A (zh) 一种喷雾罐用电镀锡钢板及其生产方法
JP2017190469A (ja) 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法
JP2020164956A (ja) フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
CN111954724B (zh) 铁素体系不锈钢钢板及其制造方法、以及铁素体系不锈钢构件
JP4677914B2 (ja) 軟質缶用鋼板およびその製造方法
JP2001207244A (ja) 延性、加工性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス冷延鋼板およびその製造方法
JP4740021B2 (ja) 形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法
JP3852138B2 (ja) 冷延−焼鈍後の耐リジング性及び深絞り性に優れる缶用鋼板用素材の製造方法
JP2004217996A (ja) 成形性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP3593728B2 (ja) 成形性の優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110405

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110405

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140415

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4721916

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250