JP3929275B2 - 筆記具の軸筒 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形にて透明な樹脂で成形する軸筒本体の把持部に天面を平地状とした凸部を形成すると共に、把持部を被覆する把持部材に凸部と対応した窓孔部を形成し、把持部材を把持部に窓孔部を把持部の凸部に嵌着させて装着してなる筆記具の軸筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、筆記具を握りやすくするために、軸筒本体の把持部にシリコンゴムやエラストマー等の弾性樹脂からなる把持部材を被覆した軸筒は良く知られている。また、デザインの向上や把持部材の回転防止のために、把持部材の窓孔部を軸筒本体に形成した天面が平地状の凸部に嵌着して装着した軸筒も知られている。尚、この様な軸筒においては、窓孔部からボールペンのインキ残量や、シャープペンシルの芯残量を確認できるように軸筒本体を透明な樹脂で形成したものが多く用いられている。
【0003】
ところで、軸筒本体に形成する凸部は、射出成形時における金型からの抜けを良くするために、通常、凸部の側面を底面に向かうにしたがって拡開する傾斜面としている。さらに、従来の軸筒を図を用いて説明をおこなうと、図3は、従来の軸筒の断面の一部を示す図で、把持部材101の窓孔部102を軸筒本体201の把持部202に形成した凸部203に嵌着して装着した部分の断面である。図3に示す凸部203は天面204を平地状とし、側面205を底面206に向かうにしたがって拡開する傾斜面205aとし、軸筒本体201の外表面207に対する傾斜面205aの傾斜Sを急な勾配で形成してある。
【0004】
また、図4は、他の従来の軸筒の断面の一部を示す図で、把持部材301の窓孔部302を軸筒本体401の把持部材402に形成した凸部403に嵌着して装着した部分の断面である。図4に示す凸部403は天面404を平地状とし、側面405を底面406に向かうにしたがって拡開する傾斜面405aとし、軸筒本体401の外表面407に対する傾斜面405aの傾斜Tを緩やかな勾配で形成してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、図3に示す凸部203は、傾斜Sが急な勾配となっているため、天面204の端部角S1がきつくなり、軸筒本体201の射出成形において端部角S1の内面部分で湯の流れUに乱れが生じ易くなり、その結果として、天面204側の内面部分に気泡Kが溜まり、軸筒本体201が透明樹脂である場合には窓孔部102から気泡Kが見えて見栄えが悪くなるという問題があった。
【0006】
また、図4に示す凸部403は、傾斜Tが緩やかな勾配となっているため、天面404の端部角T1も滑らかになり、湯の流れVに乱れは生じず、天面404の端部角T1の内面部分に気泡が溜まることはないが、把持部材301における窓孔部302の外縁部303が広範囲に渡り薄肉となり、その結果として、外縁部303が透けて見えてしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこうした問題点を解消するために、軸筒本体に形成する凸部の内面部分に気泡が溜まることがなく、また、把持部材の窓孔部における外縁部が透けて見えることがない筆記具の軸筒を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題の解決するために案出した本発明の筆記具の軸筒を説明する。
「1.射出成形にて透明な樹脂で成形する軸筒本体の把持部に天面を平地状とした凸部を形成し、該把持部を被覆する把持部材に前記凸部と対応した窓孔部を形成し、把持部材を把持部に窓孔部を把持部の凸部に嵌着させて装着してなる筆記具の軸筒において、前記凸部の側面を天面から底面に向かうにしたがって拡開する天面側の第1傾斜面と、底面側の第2傾斜面とで構成し、且つ軸筒本体の外表面に対する第1傾斜面の傾斜P、第2傾斜面の傾斜Qとしたとき、傾斜P>傾斜Qとなるようにしたことを特徴とする。」
【0009】
本発明における傾斜P及び傾斜Qの具体的な角度は、軸筒本体及び把持部材に使用する材料により適宜設定すれば良く、本発明の要旨は、凸部の側面の傾斜を段階的に分けることにあり、特に底面側の第2傾斜面の傾斜Qを天面側の第1傾斜面の傾斜Pより緩やかにすることにより、射出成形時において軸筒本体の凸部の部分に入り込む滑らかな湯の流れを確保して気泡が溜まることを防ぎ、また、第1傾斜面の傾斜Pを第2傾斜面の傾斜Qより急にすることにより、把持部材の窓孔部における外縁部に適度な厚みを与えて外縁部が透けて見えることを防ぐためである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を理解し易くするために図を用いて説明を行なう。尚、本実施の形態では、筆記具の軸筒としてボールペンの軸筒を用いて説明を行なうが、本発明はボールペンの軸筒に限定されるものではなく、シャープペンシルやサインペン等の種種の筆記具の軸筒に用いることができる。また、本発明では、ボールペンのチップ側を前方として表現し、その反対側を後方として表現する。
【0011】
図1は、本実施の形態の軸筒を使用したボールペンの側面図である。図1においてボールペンの軸筒1は、透明な樹脂からなる軸筒本体2の把持部3に、弾性樹脂からなる把持部材4を被覆し、軸筒本体2の前方に先窄み部5を形成している。また、先窄み部5の先端開口(図示せず)からは軸筒本体2の内部に収容したレフィル6のチップ部6aを突出しており、軸筒本体2の後方に配設したノック部7のノック体7aを押圧操作することにより、チップ部6aを出没可能としている。尚、ノック部7の側面にはクリップ7bを形成している。
【0012】
また、軸筒本体2の把持部3には、天面8aが平地状の凸部8を形成しており、把持部材4には凸部8に対応した窓孔部4aを形成し、把持部材4を把持部3に窓孔部4aを把持部3の凸部8に嵌着して装着している。
【0013】
図2は、図1のA−A線の要部断面図である。図2において、凸部8は天面8aから底面8bに向かうにしたがって拡開する側面9を有しており、側面9は、天面側の第1傾斜面9aと底面側の第2傾斜面9bとで構成している。また、軸筒本体2の外表面2aに対する第1傾斜面9aの傾斜Pと第2傾斜面9bの傾斜Qとの関係は、傾斜P>傾斜Qとなっており、傾斜Qが傾斜Pより緩やかになっていることから、射出成形時において軸筒本体2の凸部8の部分に入り込む滑らかな湯の流れWを確保しつつ、傾斜Pが傾斜Qより急になっていることから、把持部材4における窓孔部4aの外縁部4bに適度な厚みを持たせている。尚、本実施の形態では傾斜Pを45°とし、傾斜Qを38°としている。
【0014】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成のため、射出成形時において軸筒本体の凸部の部分に入り込む滑らかな湯の流れを確保して気泡が溜まることを防ぎ、また、把持部材における窓孔部の外縁部に適度な厚みを与えて、外縁部が透けて見えることを防げるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の軸筒を使用したボールペンの側面図である。
【図2】 図1のA−A線の要部断面図である。
【図3】 従来の軸筒の断面の一部を示す図である。
【図4】 他の従来の軸筒の断面の一部を示す図である。
【符号の説明】
1…ボールペンの軸筒、2…軸筒本体、3…把持部、
4…把持部材、4a…窓孔部、4b…外縁部、
5…先窄み部、
6…レフィル、6a…チップ部、7…ノック部、7a…ノック体、
8…凸部、8a…天面、8b…底面、
9…側面、9a…第1傾斜面、9b…第2傾斜面。
Claims (1)
- 射出成形にて透明な樹脂で成形する軸筒本体の把持部に天面を平地状とした凸部を形成し、該把持部を被覆する把持部材に前記凸部と対応した窓孔部を形成し、把持部材を把持部に窓孔部を把持部の凸部に嵌着させて装着してなる筆記具の軸筒において、前記凸部の側面を天面から底面に向かうにしたがって拡開する天面側の第1傾斜面と、底面側の第2傾斜面とで構成し、且つ軸筒本体の外表面に対する第1傾斜面の傾斜P、第2傾斜面の傾斜Qとしたとき、傾斜P>傾斜Qとなるようにしたことを特徴とする筆記具の軸筒。
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JP2001315310A Expired - Fee Related JP3929275B2 (ja) | 2001-10-12 | 2001-10-12 | 筆記具の軸筒 |
Country Status (1)
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2001
- 2001-10-12 JP JP2001315310A patent/JP3929275B2/ja not_active Expired - Fee Related
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