JP3918462B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップ等の半導体部品を搭載する配線基板の製造方法に関し、ボンディング性に優れる配線基板を製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体チップに代表される半導体部品の高集積化に伴い、半導体部品を搭載する、チップキャリアあるいはプリント配線板等の配線基板の、半導体部品との接続電極のピッチもますます狭くなってきている。接続電極には、ボンディング性を高めるために、金、銀、錫等がめっきされる。接続電極の狭ピッチ化に伴い、従来電気めっき法で行われていためっき皮膜形成は、無電解めっき法へ、まためっき厚も薄膜化の方向へ移行してきている。
すなわち、例えば無電解めっき法による金めっきは置換反応型と還元反応型の組み合わせで行われるが、このときの置換反応では下地を完全に被覆することができないため、電気めっき法により得られる金めっき皮膜よりもピンホールが多く存在する結果になりやすい。
よって無電解めっき法により形成した金皮膜は、電気めっき法で得られる金皮膜よりも、加熱による下地金属の表面拡散の速度が速く、最表面の金属結合に関与するべき金の露出面積が減少するため結果としてワイヤボンディングなどの接合の信頼性を損ないやすくなる。
まためっき厚の薄膜化についても同様なことが言え、ピンホールの数が同じめっき条件であればめっき皮膜が薄いほどピンホールが多いという報告は多数されており、この点についても接合の信頼性にとって不利な環境にあると言える。
このような状況を改善するため、従来はワイヤボンディング工程の直前にプラズマクリーニングをおこなって、ボンディングパッドのごく浅い層をドライエッチングによって除去し、フレッシュな金を露出させ、金ワイヤとの接合信頼性を確保している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
チップキャリアあるいはプリント配線板等の配線基板の製造に用いられる装置は設備費や製造費をおさえるため、ほとんど常圧下でのウェット処理となっている。それに対しプラズマクリーニング装置は依然として設備投資額がメーカにとって非常に負担になりかつ、高純度ガスを使用するため加工コストが従来よりも増加するため、配線基板製造メーカーがプラズマクリーニング装置を導入するのに障害となっている。また高真空環境を必要とするプラズマクリーニング処理装置は、従来よりの基板メーカにはなじみが薄いため受け入れられにくく、管理運転上の不安がつきまとう。プラズマクリーニングは、バッチ処理のため一度に処理できる枚数に限界があり、大量生産には不適である。
【0004】
本発明の課題とするところは、ウェット処理により半導体部品との接合信頼性を確保できるような配線基板の製造方法を提供することにある。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明は、係る課題を解決するものであり、請求項1の発明は、絶縁基板上に、配線パターン及び半導体部品との接続電極を含む配線層を有し、前記接続電極上に最表面が金のめっき層を形成した後に、前記めっき層表面に拡散している下地金属酸化物を取り除くために当該めっき層を表面処理する配線基板の製造方法であって、前記めっき層の下地金属が銅或いはニッケル或いは銅とニッケルの両方であり、前記表面処理が、シュウ酸アンモニウム及びテトラエチレンテトラミンの少なくとも一方と、アミノカルボン酸類を含む表面処理液で洗浄することを特徴とする配線基板の製造方法としたものである。
【0006】
本発明の請求項2の発明は、前記表面処理液中の前記アミノカルボン酸類の濃度は0.0001〜10wt%であることを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法としたものである。
本発明の請求項3の発明は、前記表面処理液が、フッ化水素を含まないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線基板の製造方法としたものである。
【0008】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、チオ尿素、テトラエチレンペンタミン、テトラエチレンテトラミン、メルカプト酢酸、シュウ酸、シュウ酸アンモニウム、アミノカルボン酸類のうちの少なくとも一つを含む水溶液へ処理したい配線基板を浸漬する事により、接続電極に形成されためっき皮膜上に拡散している下地金属酸化物を取り除くことができることを見いだした。
【0009】
一般的なプリント配線板およびチップキャリア等の配線基板の接続電極に施されるめっきの下地金属は、すなわちニッケルあるいは銅が多い。ニッケルあるいは銅の酸化物に対し水溶液中で速やかに反応し捕捉し、しかも沈殿、再付着が起きないように、捕捉したままで水への高い溶解度を示す物質を考えてみると、分析化学の分野で一般的に使用されるマスキング剤に相当する物質がふさわしいという結論に至った。
【0010】
銅およびニッケルのマスキング剤としては、チオ尿素、テトラエチレンペンタミン、テトラエチレンテトラミン、メルカプト酢酸、シュウ酸、シュウ酸アンモニウムおよびアミノカルボン酸類が一般的である。さらにアミノカルボン酸としてはα−アラニン、グルタミン酸、グリシン、イミジノ酢酸、ピコリン酸、システイン、1,2−ジアミノジクロヘキサンテトラ酢酸(DCTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸(EGTA)、トランス−1,2−シクロヘキサジアミンテトラ酢酸、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、等の化合物及びそのアンモニウム塩が使用できる。
【0011】
本発明の表面処理液は、最表面に金皮膜を有する配線基板に対し特に有効であり、さらに、下地に銅或いはニッケル或いは銅とニッケルの両方を有する配線基板について最も有効であるよう検討されているが、処理液の性質上、最表面の金属が下地金属よりもイオン化傾向の小さい場合は他の金属にも有効である。たとえば、下地金属として銅を有し最表面に銀皮膜を有するチップキャリアおよびプリント配線板、下地金属として銅およびニッケルを有し最表面に銀皮膜を有するチップキャリアおよびプリント配線板、下地金属として銅を有し最表面に錫皮膜を有するチップキャリアおよびプリント配線板、下地金属として銅およびニッケルを有し最表面に錫皮膜を有するチップキャリアおよびプリント配線板、下地金属として銅を有し最表面にパラジウム皮膜を有するチップキャリアおよびプリント配線板、下地金属として銅およびニッケルを有し最表面にパラジウム皮膜を有するチップキャリアおよびプリント配線板などである。
【0012】
また、本発明の表面処理液は、フッ化水素を含まないため、接続電極あるいはめっき層が腐食されることがなく、ボンディング性が低下することがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、絶縁基板としてはエポキシ、ポリイミド等の有機材料やセラミック等の無機材料があげられる。そして、その上に配線層が形成されている。ここでいう配線層は、配線パターンと接続電極を含む。接続電極は、配線パターンと同じ材料工程で製造されることが一般的であり、材料は銅に代表される。接続電極上には各種めっきが施されるが、本発明は、最表面が金、銀、錫、はんだのいずれかの材料の場合に適用できるものである。これらのめっきは配線層が銅で形成され、その上に直接めっきされる場合、即ち下地が銅である、という場合もあるが、ニッケルめっきを介して行われる場合もある。
【0014】
本発明の表面処理液は、処理液中のチオ尿素、テトラエチレンペンタミン、テトラエチレンテトラミン、メルカプト酢酸、シュウ酸、又はシュウ酸アンモニウムの濃度が好ましくは0.1〜30wt%、さらに好ましくは1.0〜10wt%である。これらの濃度が低すぎては処理の効果が十分に得られず、また高濃度にした場合、濃度に見合った効果が発揮されない恐れがある。
【0015】
またアミノカルボン酸類としては、α−アラニン、グルタミン酸、グリシン、イミジノ酢酸、ピコリン酸、システイン、1,2−ジアミノジクロヘキサンテトラ酢酸(DCTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸(EGTA)、トランス−1,2−シクロヘキサジアミンテトラ酢酸、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、等の化合物及びそのアンモニウム塩が使用できる。
【0016】
アミノカルボン酸の濃度としてはその分子量もよるが、好適な範囲は、0.0001〜10wt%、さらに好ましくは0.001〜3wt%である。濃度が低すぎる場合には、処理の効果が十分に得られないだけでなく、処理液としての寿命が短くなってしまう。また高濃度にした場合、濃度に見合った効果が発揮されない恐れがある。さらに、処理液として十分効果を発揮させるため、pHは適正に設定することが好ましい。
【0017】
【実施例】
<実施例1>
松下電工製銅箔付ガラスエポキシ樹脂基板(FR−4グレード)総厚1.6mm、銅箔厚36マイクロメートルの、まず銅箔表面をムラタ製酸性クリーナPAC−200の10wt%水溶液に40℃、2分間浸漬し脱脂処理をおこなったあと、ムラタ製ソフトエッチング液MEOX10%と硫酸2vol%の混合水溶液に30℃、30秒間浸漬し表面の活性化をおこなった。
そののちスルファミン酸ニッケルめっき液において、50℃、4A/dm2、3分間めっきをおこない、水洗、乾燥後、銅箔上に厚さ約1.5マイクロメートルのニッケル皮膜を得た。
そののち金濃度1.0g/lの日本高純度化学製ストライク金めっき液において、30℃、2A/dm2、20秒間めっきをおこない金ストライク層を形成し、水洗後、さらにその基板を金濃度8.0g/lの日本高純度化学製金めっき液において、70℃、0.4A/dm2、48秒間めっきをおこない、水洗、乾燥後、厚さ約0.2マイクロメートルの金皮膜を形成して基板の作製が完了した。
【0018】
この基板の金皮膜表面をX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金57.4%、タリウム0.9%、塩素2.5%、炭素33.4%、酸素5.5%、ニッケル0%、銅0.3%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が7.65gでその時の標準偏差は0.53であった。
【0019】
その後の実装工程を想定し、ホットプレート上で180℃、6時間大気圧下で加熱処理をおこない、自然放冷後、もう一度X線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金29.7%、タリウム0.8%、塩素4.1%、炭素38.6%、酸素21.8%、ニッケル3.9%、銅1.1%であり、金の構成比率が下がり、酸素、ニッケル、銅の構成比率が上昇していることが確認された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が6.28gでその時の標準偏差は0.49であった。
【0020】
さらにこの基板をシュウ酸アンモニウム5wt%とEDTA1wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金54.4%、タリウム0%、塩素0%、炭素34.6%、酸素10.2%、ニッケル0.4%、銅0.3%であり、金比率が加熱前の数値近くまで回復し、酸素、ニッケル、銅の比率も加熱前の状態近くまで回復していることを確認した。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が8.81gでその時の標準偏差は0.43であった。
【0021】
<実施例2>
実施例1と同じ工程で厚さ約1.5マイクロメートルのニッケル皮膜を形成した銅箔付きガラスエポキシ樹脂基板に対し、金ストライク層を形成せずに金濃度8.0g/lの日本高純度化学製金めっき液において、70℃、0.4A/dm2、48秒間めっきをおこない、水洗、乾燥後、厚さ約0.2マイクロメートルの金皮膜を形成し基板の作製が完了した。
【0022】
この基板の金皮膜表面をX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金61.0%、タリウム1.1%、塩素0.2%、炭素31.1%、酸素5.9%、ニッケル0%、銅0.7%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が8.31gでその時の標準偏差は0.32であった。
【0023】
その後の実装工程を想定し、ホットプレート上で180℃、6時間大気圧下で加熱処理をおこない、自然放冷後、もう一度X線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金27.5%、タリウム0.5%、塩素6.6%、炭素41.7%、酸素19.9%、ニッケル3.5%、銅0.4%であり、金の構成比率が下がり、酸素、ニッケル、銅の構成比率が上昇していることが確認された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が5.52gでその時の標準偏差は0.29であった。
【0024】
さらにこの基板をシュウ酸アンモニウム5wt%とEDTA1wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金51.5%、タリウム0%、塩素0%、炭素37.9%、酸素10.1%、ニッケル0%、銅0.5%であり、金比率が加熱前の数値近くまで上昇し、酸素、ニッケル、銅の比率も加熱前の状態近くまで低下していることを確認した。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が8.33gでその時の標準偏差は0.36であった。
【0025】
<実施例3>
実施例1と同じ工程で基板を作製し、同じ条件で加熱処理をおこなった基板に対しEDTA0.0002wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金45.9%、タリウム0%、塩素0%、炭素43.3%、酸素10.5%、ニッケル0%、銅0.3%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が7.44gでその時の標準偏差は0.60であった。
【0026】
<実施例4>
実施例2と同じ工程で基板を作製し、同じ条件で加熱処理をおこなった基板に対しEDTA0.0002wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金28.5%、タリウム0%、塩素0%、炭素55.3%、酸素15.6%、ニッケル0%、銅0.6%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が7.22gでその時の標準偏差は0.66であった。
【0027】
<実施例5>
ニッカン工業製フレキシブル基板(商品名:パイララックス)基材厚50マイクロメートル、接着剤厚13マイクロメートル、銅箔厚18マイクロメートルの、銅箔表面をムラタ製酸性クリーナPAC200の10wt%水溶液に40℃、2分間浸漬し脱脂処理をおこなったあと、ムラタ製ソフトエッチング液MEOX10vol%と硫酸2vol%の混合水溶液に30℃、30秒間浸漬し、塩化パラジウムの塩酸溶液に10秒浸漬して触媒の活性化をおこなった。
そして上村工業製無電解ニッケルめっき液ニムデンNPR−4において、80℃、10分間めっきをおこない、水洗、乾燥後、銅箔上に厚さ約2.5マイクロメートルのニッケル皮膜を得た。
そののち金濃度1.0g/lの小島化学薬品製置換型ストライク無電解金めっき液オーエル2において、90℃、5分間めっきをおこない金ストライク層を形成し、水洗後、さらにその基板を金濃度8.0g/lの小島化学薬品製自己触媒型無電解金めっき液オーレットにおいて、65℃、5分間めっきをおこない、水洗、乾燥後、厚さ約0.5マイクロメートルの金皮膜を形成し基板の作製が完了した。
【0028】
この基板の金皮膜表面をX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金55.3%、タリウム0.2%、塩素1.2%、炭素34.2%、酸素7.8%、ニッケル0.3%、銅0.8%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が8.96gでその時の標準偏差は0.37であった。
【0029】
その後の実装工程を想定し、ホットプレート上で180℃、6時間大気圧下で加熱処理をおこない、自然放冷後、もう一度X線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金27.1%、タリウム0.3%、塩素4.8%、炭素37.6%、酸素20.5%、ニッケル3.4%、銅6.3%であり、金の構成比率が下がり、酸素、銅の構成比率が上昇していることが確認された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングを試みたが、ボンディング条件を種々変えてみたが安定してボンディングをすることができなかった。
【0030】
さらにこの基板をテトラエチレンテトラミン5wt%とEDTA1wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金52.9%、タリウム0%、塩素0%、炭素36.7%、酸素9.8%、ニッケル0%、銅0.6%であり、金比率が加熱前の数値近くまで回復し、酸素、銅の比率も加熱前の状態近くまで回復していることを確認した。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が9.42gでその時の標準偏差は0.33であった。
【0031】
<実施例6>
実施例5と同じ工程で厚さ約2.5マイクロメートルのニッケル皮膜を形成したフレキシブル基板に対し、上村工業製置換型ストライク無電解金めっき液TKK−51において、85℃、10分間めっきをおこない金ストライク層を形成し、水洗後、さらにその基板を上村工業製置換型厚づけ無電解金めっき液TSK−25において、85℃、20分間めっきをおこない、水洗、乾燥後、厚さ約0.5マイクロメートルの金皮膜を形成し基板の作製が完了した。
【0032】
この基板の金皮膜表面をX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金62.1%、タリウム1.3%、塩素2.1%、炭素30.1%、酸素3.6%、ニッケル0.8%、銅0%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が9.08gでその時の標準偏差は0.47であった。
【0033】
その後の実装工程を想定し、ホットプレート上で180℃、6時間大気圧下で加熱処理をおこない、自然放冷後、もう一度X線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金23.7%、タリウム0.7%、塩素6.1%、炭素36.6%、酸素20.7%、ニッケル2.7%、銅9.6%であり、金の構成比率が下がり、酸素、銅の構成比率が上昇していることが確認された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングを試みたが、ボンディング条件を種々変えてみたが安定してボンディングをすることができなかった。
【0034】
さらにこの基板をテトラエチレンテトラミン5wt%とEDTA1wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金49.3%、タリウム0%、塩素0%、炭素41.7%、酸素8.8%、ニッケル0%、銅0.3%であり、金比率が加熱前の数値近くまで上昇し、酸素、銅の比率も加熱前の状態近くまで低下していることを確認した。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が9.14gでその時の標準偏差は0.42であった。
【0035】
<実施例7>
実施例5と同じ工程で基板を作製し、同じ条件で加熱処理をおこなった基板に対しNTA0.0002wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金47.9%、タリウム0%、塩素0%、炭素38.9%、酸素12.4%、ニッケル0%、銅0.8%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が8.23gでその時の標準偏差は0.42であった。
【0036】
<実施例8>
実施例6と同じ工程で基板を作製し、同じ条件で加熱処理をおこなった基板に対しNTA0.0002wt%の混合水溶液に40℃、20分間浸漬処理し、水洗乾燥後、再びX線光電子分光分析装置によりごく表面層の構成元素比率を調べたところ、金49.3%、タリウム0%、塩素0%、炭素41.7%、酸素8.8%、ニッケル0%、銅0.3%それぞれ検出された。この基板に対し、直径25マイクロメートルの金ワイヤを使用してワイヤボンディングをおこない、そのプル強度を測定したところ標本数30個の平均値が7.63gでその時の標準偏差は0.57であった。
【0037】
以上のように本願発明の方法によれば、ワイヤボンディングの強度が向上し、接合信頼性が確保できた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、絶縁基板上に、配線パターン及び半導体部品との接続電極を含む配線層を有し、前記接続電極上に最表面が金、銀、錫、はんだから選ばれるめっき層を形成した後に、前記めっき層表面を表面処理する配線基板の製造方法において、前記表面処理を、チオ尿素、テトラエチレンペンタミン、テトラエチレンテトラミン、メルカプト酢酸、シュウ酸、シュウ酸アンモニウム、アミノカルボン酸類のうち少なくとも1つを含む表面処理液で洗浄するため、接続電極のボンディング性が高い配線基板を製造することができる。
【0039】
さらに、本発明によれば、上記の発明において、前記表面処理液が、フッ化水素を含まないため、接続電極あるいはめっき層が腐食され、ボンディング性が低下することがない。
【0040】
さらに、本発明によれば、上記の発明において、前記表面処理液が、シュウ酸アンモニウム及びテトラエチレンテトラミンの少なくとも一方と、アミノカルボン酸類を含むため、特に接続電極のボンディング性が高い配線基板を製造することができる。
Claims (3)
- 絶縁基板上に、配線パターン及び半導体部品との接続電極を含む配線層を有し、前記接続電極上に最表面が金のめっき層を形成した後に、前記めっき層表面に拡散している下地金属酸化物を取り除くために当該めっき層を表面処理する配線基板の製造方法であって、
前記めっき層の下地金属が銅或いはニッケル或いは銅とニッケルの両方であり、
前記表面処理が、シュウ酸アンモニウム及びテトラエチレンテトラミンの少なくとも一方と、アミノカルボン酸類を含む表面処理液で洗浄することを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記表面処理液中の前記アミノカルボン酸類の濃度は0.0001〜10wt%であることを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
- 前記表面処理液が、フッ化水素を含まないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線基板の製造方法。
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