JP3915328B2 - ドレッシング類及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性下で特殊な乳化装置を利用せずに製造しても凝集物を生成せず、加熱に対しても安定で卵黄の代替となる乳化力を持つ風味良好なドレッシング類に関する物である。
【0002】
【従来の技術】
近年、健康に対する関心の高まりから植物性蛋白食品が評価されているが、特に大豆を原料とする豆乳は、「畑の肉」と呼ばれる程良質の蛋白質を含み、しかもコレステロールを含まないから、高蛋白の健康食品として注目されている。しかし、従来の豆乳は栄養や健康面からは優れているものの豆乳特有のにおいや味が敬遠されるため、乳酸発酵させたり酸性果汁や有機酸を加えて、豆乳特有の臭いを軽減、除去させる試みがなされているが、豆乳の蛋白質の等電点はpH4、5〜4、6であり、乳酸発酵させた豆乳や果汁、有機酸を加えた酸性豆乳は、当然のことながら蛋白の凝固、沈殿が起こり、等電点が近くなるほど沈殿は激しくなる。故に、発酵豆乳、酸性豆乳は蛋白を安定化させるために、安定化剤の利用が検討されてきており、高メトキシルペクチンや水溶性ヘミセルロースなどが使用されてきた。
一般にマヨネーズ、サラダドレッシング、フレンチドレッシング等のドレッシング類はノンオイルタイプのドレッシング調味料もあるが、基本的には、精製した植物油と醸造酢または柑橘類の果汁、と卵黄、卵蛋白を基本原料とし卵黄の乳化力を利用して油を乳化させて製造するものである。
最近ではドレッシング類に対する消費者の嗜好が更に多様化しており、味のバラエティでは従来の洋風のものから和風のものがでてきており、低油分化による低カロリーや和風素材の導入は近年の健康志向を反映しているものである。
しかしながら、卵は動物性食品であり、コレステロールが含まれることから、最近の健康志向からは、市場のニーズとしては、卵を利用しないノンコレステロールのドレッシング類が切望されているが、卵黄に匹敵するような強力な乳化力をもつ素材というのはなかなか存在せず、従来でも乳蛋白や大豆蛋白が検討されてきたが、風味や凝集などの安定性の悪さや乳化力の不足から、商品としては満足するものが得られていないのが現状である。
また、栄養、健康の面から、発酵乳をドレッシング類に利用する試みもなされ、発酵乳を加熱殺菌して利用する特開昭54ー117068号や、発酵乳に安定剤を加えないで特定の油脂比率で混合し短時間殺菌したものを使用する特開昭57ー152866号などがあげられが、発酵乳では乳化力が不足するため、卵黄での補強や乳化安定剤添加を必要としたり、耐熱性も不十分なものしか得られなかったり、風味があいにくいという問題がある。
一方、豆乳や発酵豆乳を使用する方法としては、豆乳に食塩を加えて溶解性を向上させる特開平3ー228662号や豆乳を含む水相を高圧処理する特開昭57ー186464、豆腐を原料に用いる特開昭63ー32461号や発酵豆乳を濃縮後酵素分解する特開昭56ー148258号などがあげられるが
乳化に特殊な機械を必要としたり、酸性下での蛋白の安定性が充分でないため、凝集やざらつき、分離等が発生しやすい傾向がある。また、添加する食塩のために味のバランスがわるくなりやすく、また、蛋白にプロテアーゼを反応させるために苦みが生じやすかったりするため、風味的にも満足するものは得られていない。
以上のように、これら公知の方法では、豆乳類を利用して、酸性下で加熱や乳化が安定なドレッシング類は得られず、未だ本課題に関する解決が求められている状況である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
酸性豆乳が酸性で特殊な乳化装置を利用せずに製造しても凝集物を生成せず、加熱に対しても安定で卵黄の代替となる乳化力を持つ風味良好なドレッシング類を目的とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するため、発酵豆乳や酸性豆乳のドレッシング類での蛋白の加熱および乳化安定性について鋭意研究をした結果、水溶性ヘミセルロース添加によってのみ、特異的な蛋白の安定性を付与することが可能であることを発見し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、酸性の豆乳、水溶性ヘミセルロース並びに食酢又は柑橘類の果汁を含有し乳化されてなることを特徴とするドレッシング類である。
又、本発明は、酸性の豆乳、水溶性ヘミセルロース並びに食酢又は柑橘類の果汁を乳化することを特徴とするドレッシング類の製造法である。
ドレッシング類中豆乳が大豆蛋白として0、05%〜4、5%(g重量/g重量)が好ましい。
ドレッシング類中水溶性ヘミセルロースは0、05%〜10%(g重量/g重量)が好ましい。
酸性の豆乳は乳酸発酵豆乳又は酸性豆乳が好ましい。
水溶性ヘミセルロースは大豆由来が好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のドレッシング類及びその製造法について説明する。
本発明に用いる酸性の豆乳は、酸性であれば特に限定しない。例えば、乳酸菌などによる醗酵豆乳、酸性物質を添加した酸性豆乳等を用いることが出来る。
本発明のドレッシング類とは、半個体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシングにドレッシングタイプ調味料(ノンオイルドレッシング)を含めたものである。好ましくはノンオイルドレッシングを除いたものが酸性豆乳の乳化力が発揮され適当である。
本発明のドレッシング類において、豆乳成分が該ドレッシング類中に含まれていれば良く、その量も特に限定するものではないが、例えば10重量%固形分の豆乳であれば、該ドレッシング類中通常1重量%〜80重量%含むことが好ましい。換言すれば、大豆蛋白として分析した場合、該ドレッシング類中固形分として0、05重量%〜4、5重量%、好ましくは0、1重量%〜2、5重量%程度が通常である。豆乳が少ないと油を乳化する場合、乳化力が不足して良好な物性のものは得られず、多すぎると、酢又は柑橘類の果汁の添加量が少なくなるためドレッシング類の保存性が悪くなる。
尚、本ドレッシング類が酸性かつ水溶性ヘミセルロースを含む限り、豆乳以外の蛋白(例えば乳蛋白成分等)を併用することを妨げない。
【0006】
本発明に用いる豆乳は、どのような方法により得た物でもよいが、大豆や脱脂大豆から常法により得られる豆乳を用いることが出来る。脱皮および脱胚軸した大豆や、酵素失活のための加熱した大豆を用いるほうが、風味の良い豆乳が得られ好ましい。
例えば、丸大豆や脱皮大豆を水浸漬するか又はせずに含水状態にて磨砕して呉となし、これを濾過等して不溶性画分を除去して得ることが出来る。好適には、丸大豆、脱皮大豆又は脱皮・脱胚軸大豆を50〜100℃の温水乃至熱水に接触させて温水乃至熱水に溶出する可溶性成分を除いた後磨砕し不溶性画分を除去した豆乳が適当である。
また、上記の豆乳の粉末や粉末を液状に還元した物も利用可能である。
【0007】
乳酸菌等による醗酵豆乳は豆乳を乳酸菌等で発酵して得ることが出来る。乳酸醗酵に使用する乳酸菌は、通常のヨーグルトに使用されるものであれば特に限定せず、たとえばラクトバチルス ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス ラクチス(Streptococcus lactis)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属乳酸菌等の公知の菌株を単独や2 種類以上の組み合わせでも任意に使用することが出来る。
【0008】
酸性豆乳は、豆乳に果汁にレモン、オレンジ、グレープフルーツなどの酸性果汁、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸を添加して酸性とすることが出来る。また、少量であれば、pH調整のため発酵乳をpH調整剤として使用することもできる。コーヒー抽出物、抹茶抽出物のような酸性を示さない香味料に酸味料を加えて用いることも出来るし、発酵豆乳との併用も有効である。
酸性豆乳のpHは通常2〜6とすることも出来るが、好ましくは3、0〜5、0、更に好ましくは3、5〜4、5が適当である。pHが2以下になると、酸味が強くなるばかりで風味上好ましくないし、pH6以上では、ドレッシング類の保存性が著しく悪くなるため、商品として成り立たなくなってしまう。
【0009】
本発明のドレッシング類は水溶性ヘミセルロースを用いる。ハイメトキシペクチンでは蛋白を含むドレッシング類であっても加熱時の乳化安定性や、油脂添加時の乳化力に問題がある。本発明においては水溶性ヘミセルロースを用いることにより蛋白を含む酸性のドレッシング類の加熱時の乳化安定性や、油脂添加時の乳化力に効果がある。
本発明に用いる水溶性ヘミセルロースとしては、油糧種子(大豆、パーム、椰子、コーン、綿実等)および/又は穀類(米、小麦等)由来のものを使用することが出来るが、好ましくは豆類、特に大豆由来のものが好ましく、大豆の子葉由来のヘミセルロースがさらに好ましい。例として、大豆由来のヘミセルロースについて説明すると、これは、ラムノース、フコース、アラビノース、キシロース、ガラクトース、グルコースおよびウロン酸からなる多糖類であり、標準プルラン(昭和電工(株)販)を標準物質として極限粘度法で求めたその平均分子量が100万以下のものである。水溶性ヘミセルロースの原料は油糧種子およびまたは穀類から通常の方法で油脂、蛋白質および澱粉質を除いた殻または粕を用い、これを、好ましくは各原料の蛋白質の等電点pH付近において80〜130℃、より好ましくは100℃〜130℃で加熱分解した後、反応混合物中の水溶性画分を分画し、必要に応じさらに活性炭処理、樹脂吸着処理、エタノール沈殿処理などを行い疎水性物質ならびに低分子物質を除去し、沈殿させることにより、目的の水溶性ヘミセルロースを得ることが出来る。
本発明においては、市販品を用いてもよい。
本発明の水溶性ヘミセルロースの使用量は、本ドレッシング類中0、05%〜10%(g重量/g重量)、好ましくは0、1%〜2%が適当である。
水溶性ヘミセルロースが少ないと、酸性豆乳の蛋白の安定性が悪くなり、凝集やざらつきの原因になるし、多すぎると風味上好ましいのもが得られない。
本発明のドレッシング類の製造工程において、水溶性ヘミセルロースの添加方法は、特に限定されない。例えば、発酵豆乳の発酵前や発酵後、ドレッシング類を製造時などいずれの時期にも添加することができるが、発酵前に添加するのが簡便かつ効率化の点から好ましい。酸性豆乳においても、同様であり、添加時期は限定されない。
【0010】
本発明の食酢は、市販の酢類のいずれでもよく、米酢、穀物酢、リンゴ酢などの果実酢及びワイン酢や合成酢などが使用できる。
又、柑橘類は、特定のものである必要はなく、オレンジ、レモン、ゆず、だいだい、かぼすなどなんでも使用できるが保存性の点から、食酢との併用が望ましい。添加量については、酢酸濃度として0、4〜3重量%の範囲であれば、任意に添加できるが、保存性と風味面から0、6〜2重量%が好ましい。
酢酸濃度が3重量%を超えると酸性のためタンパクが不安定になって、凝集を起こしやすくなったり、酸味が強すぎる傾向になるし、0、4重量%以下では保存性が悪くなってしまう。
ドレッシング類には更に従来のドレッシングで使用されている原材料が同じように使用できる。例えば、食塩、砂糖や水飴などの糖類、有機酸塩類、からしやこしょうなどの香辛料類、醤油、みそ、動物性や植物性の各種エキス類、アミノ酸類等の調味料、発酵調味料や酒類、ごま類、香料や着色料等を所望量含有させて風味、外観を整えてもよい。
また、粘度の調製のため、澱粉や増粘多糖類たとえば、キサンタンガム、トラガントガム、タマリンド種子、ローカストビーンガムなどを適量添加してもかまわない。
【0011】
本発明のドレッシング類は乳化されていることが重要である。この為、原料中に油脂含有量が多い場合は、ドレッシング類中、油脂の添加は必ずしも必要ではないが、発酵豆乳、酸性豆乳をあまり多く使用しない場合の風味のコクに良い効果をもたらす。油脂の種類はなんでも使用可能であるが、安定性のよい植物性油脂が適している。
その添加量は発酵豆乳、酸性豆乳の含有量により一定ではないが、ドレッシング中通常2〜80%、好ましくは10〜60%、より好ましくは20〜60%が適当である。本発明のドレッシング類中の油分が20重量%以上、好ましくは30重量%のとき、本発明の酸性の豆乳の添加効果が顕著である。
本発明の特徴は牛乳由来の酸乳では油分があると乳化困難であるものを、本発明の豆乳由来の酸性物では油分が80%でも乳化出来ることである。
また、油脂を乳化する場合、従来のドレッシング類と同じ工程で同じ製造装置が利用でき、ホモゲナイザーのような均質乳化機などの特殊な装置や複雑な製造工程を必要としない。たとえば、油脂類を、油脂以外の原料の混合物に徐々に加えながらホモミキサー、コロイドミルのような混合機で予備乳化しさらに、コロイドミルで仕上げ乳化するのが通常である。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施態様を説明する。ただし、これらの実施例は、本発明を何ら限定もしくは制限する意味のものではない。なお、例中の「部」は重量部である。
【0013】
実施例1及び比較例1
市販豆乳(固形分10重量%、粗蛋白4、3重量%)99、5部に水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製の大豆由来の水溶性ヘミセルロース)0、5部添加し、142℃、5秒加熱殺菌後、40℃まで冷却し、ラクトバチルス ブルガリクス、ストレプトコッカス サーモフィルス、ビフィドバクテリウム ロンガムの各種市販乳酸菌(凍結乾燥乳酸菌)の個別培養液をスターターとして各1重量%ずつ添加し、40℃、7時間タンク内でpH4.4まで醗酵を行った。
ついで、乳酸発酵液を90℃で2分加熱殺菌し、プレート冷却器で7℃まで冷却して、殺菌乳酸醗酵豆乳を調製した。
そして、穀物酢(酢酸酸度10%)6部、食塩2部、からし1部、キサンタンガム0、3部、殺菌乳酸発酵豆乳適量に精製サラダ油を油分0〜85%になるように真空ミキサーで徐々に撹拌しながら予備乳化し、コロイドミルで仕上げ乳化して、ドレッシング類100部を得た。
得られたドレッシング類の形態としては、油分2%では、ノンオイルドレッシング様、油分15〜35%では、乳化ドレッシング様、油分60%以上ではマヨネーズ様であった。
また、このドレッシング類は、大豆蛋白1、3重量%、大豆由来の水溶性ヘミセルロース0、4重量%であった。
比較例として、大豆由来の水溶性ヘミセルロースのかわりに、HMペクチン(市販品)やLMペクチン(市販品)を使用したものや無添加のものを調製した。
結果を以下の表1〜表3に示した。
但し、水溶性ヘミセルロースは大豆由来である。(以下の実施例及び比較例においても水溶性ヘミセルロースは大豆由来である。)
尚、評価は混合後、5℃で1週間放置後の状態の分離状態を示す。
注1 分離状態 + 分離 +− わずかに分離 − 分離なし
尚、評価は混合後、5℃で1週間放置後の状態を示す。
注1 凝集状態 + 凝集 +− わずかに凝集 − 凝集なし
尚、評価はドレッシング類製造後、90℃で10分間保持後の状態の状態を示す。
注1 分離状態 + 分離 +− わずかに分離 − 分離なし
以上の結果、LMペクチンは、油分2%でも酸性下では不安定であり、HMペクチンでは15%までしか乳化安定なものは得られなかった。水溶性ヘミセルロースは、油分70%まで乳化安定で、熱耐性にも優れており、得られたドレッシング類は滑らかで蛋白の凝集もなく、耐熱性に優れ、均質で風味豊かなものであった。
【0014】
実施例2
市販豆乳(固形分10重量%、大豆蛋白4、3重量%)に、砂糖4部を撹拌しながら加え、142℃、5秒加熱殺菌後、40℃まで冷却し、ラクトバチルス ブルガリクス、ストレプトコッカス サーモフィルス、ビフィドバクテリウム ロンガムの各種市販乳酸菌(凍結乾燥乳酸菌)の個別培養液をスターターとして各1重量%ずつ添加し40℃、7時間タンク内でpH4.4まで醗酵を行った後に、プレート冷却器で7℃まで冷却して、乳酸醗酵液を得た。
ついで、乳酸発酵液を90℃で2分加熱殺菌し、プレート冷却器で7℃まで冷却して、殺菌乳酸醗酵豆乳を調製した。
そして、穀物酢(酢酸酸度10%)6部、食塩2部、からし1部、キサンタンガム0、3部、水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製)0〜12部、殺菌乳酸発酵豆乳25部を撹拌しながら混合し、次に精製サラダ油を油分55%になるように真空ミキサーで徐々に撹拌しながら予備乳化し、コロイドミルで仕上げ乳化して、ドレッシング類100部を得た。
得られたドレッシング類は、油分55%で、マヨネーズ様であった。
結果を以下の表4に示した。
尚、混合後、5℃で1週間放置後の状態の記号は以下の通りである。
注 乳化状態 + 分離 +− わずかに分離 − 分離なし
注 蛋白凝集 + 凝集 +− わずかに凝集 − 凝集なし
注 風味 ×不適 △やや不良 ○良好
尚、混合後、加熱、冷却後の状態の記号は以下の通りである。
注 加熱安定性 + 分離 +− わずかに分離 − 分離なし
(90℃10分)
以上より、水溶性ヘミセルロース量が0、1重量%〜12重量%の範囲では、油に分離や蛋白の凝集もなく、加熱にも安定なマヨネーズ様ドレッシングを得ることが出来た。
そして、水溶性ヘミセルロース量が0重量%だと蛋白が凝集し、乳化が不安定となった。また、水溶性ヘミセルロースが10重量%を越えると、風味が悪くなり、ドレッシング類としての食べ易さが失われた。
【0015】
実施例3
脱皮脱胚軸大豆1部に水10部を加え、30〜50℃で60分間以上浸漬して十分に吸水した脱皮脱胚軸大豆(水分含量40〜55%)1部に対し、熱水(90℃)3部を加えたものをグラインダー(増幸産業製)で処理し、これに重曹溶液を添加してpHを7.4以上8.0以下に調製した。これをホモゲナイザー(APV社製)に供給し、170kg/cm2で均質処理した。
均質化した磨砕液は遠心分離機によって3000Gで5分間分離して豆乳とおからを得た。この原料豆乳は固形分12、0重量%で蛋白質6、0重量%でpHは7.5であった。この原料豆乳100部に水溶性ヘミセルロースを0〜そのまま80℃で5分保持後、70℃に冷却しホモゲナイザーで100kg/cm2で均質化処理したものに、ラクトバチルス ブルガリクス、ストレプトコッカス サーモフィルス、ビフィドバクテリウム ロンガムの各種市販乳酸菌(凍結乾燥乳酸菌)の個別培養液をスターターとして各1重量%ずつ添加し、40℃、7時間タンク内でpH4、3まで醗酵を行った後、90℃で2分加熱殺菌し、プレート冷却器で7℃まで冷却して、殺菌乳酸醗酵豆乳を調製した。
そして、穀物酢(酢酸酸度10%)6部、食塩1部、からし0、4部、キサンタンガム0、2部、水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製)0、8部、殺菌乳酸発酵豆乳0、5〜80部、水適量を撹拌しながら混合し、次に精製サラダ油を10%になるように真空ミキサーで徐々に撹拌しながら予備乳化し、コロイドミルで仕上げ乳化して、ドレッシング類100部を得た。
得られたドレッシング類は、低油分の乳化ドレッシングタイプで、大豆蛋白量は0、03%〜4、8%であった。
結果を以下の表5に示した。
尚記号の説明は以下である。
注 乳化状態 + 分離 +− わずかに分離 − 分離なし
注 風味 × 不良 △ やや不良 ○ 良好
以上より、乳化状態については、大豆蛋白量が0、03%だと安定化効果が認められず、油が分離した。また、大豆蛋白量が4、8%を超えたものでは豆乳感が出すぎるため、良好な風味にはならなかった。
大豆蛋白量が約0、05%〜4、5%では、乳化安定で、蛋白の凝集もなく、耐熱性に優れ、均質で風味豊かな低油分の乳化タイプドレッシング類が得られることがわかった。
【0016】
実施例4
実施例2と同じ市販豆乳100部に、水溶性ヘミセルロース4部を良く撹拌しながら80℃まで加熱した後に25℃まで冷却したもの96部、砂糖4部に5倍濃縮レモン果汁でpHを3、8になるように撹拌しながら混合し、均一に分散するため、ホモゲナイザーを用いて120kg/cm2の圧力で乳化均質化させて酸性豆乳を得た。
そして、穀物酢(酢酸酸度10%)7部、食塩1部、からし0、5部、キサンタンガム0、3部、水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製)0、5部、酸性豆乳40部、水を撹拌しながら混合し、次に精製サラダ油を油分35%になるように真空ミキサーで徐々に撹拌しながら予備乳化し、コロイドミルで仕上げ乳化して、ドレッシング類100部を得た。
得られたドレッシング類は、油分35%の乳化ドレッシングタイプであり、油の分離や、蛋白の凝集もなく、耐熱性に優れ、均質で風味豊かなものであった。
【0017】
実施例5及び比較例
市販豆乳(油分7%、固形分10重量%、固形分中の粗蛋白4、3重量%)99、5部に水溶性ヘミセルロース(不二製油(株)製)0、7部添加し、142℃、5秒加熱殺菌後、40℃まで冷却し、ラクトバチルス ブルガリクス、ストレプトコッカス サーモフィルス、ビフィドバクテリウム ロンガムの各種市販乳酸菌(凍結乾燥乳酸菌)の個別培養液をスターターとして各1重量%ずつ添加し、40℃、7時間タンク内でpH4.4まで醗酵を行った。
ついで、乳酸発酵液を90℃ 2分加熱殺菌し、プレート冷却器で7℃まで冷却して、殺菌乳酸醗酵豆乳を調製した。
そして、穀物酢(酢酸酸度10%)6部、食塩2部、からし1部、キサンタンガム0、3部、殺菌乳酸発酵豆乳適量に精製サラダ油を油分0〜85%になるように真空ミキサーで徐々に撹拌しながら予備乳化し、コロイドミルで仕上げ乳化して、ドレッシング類100部を得た。
得られたドレッシング類の形態としては、油分2%以下では、ノンオイルドレッシング様 油分15〜35%では、乳化ドレッシング様、油分60%以上ではマヨネーズ様であった。
比較例として、殺菌発酵豆乳の代わりに市販発酵乳(無脂乳固形分8、5%)に水溶性ヘミセルロースを同量使用したものを比較例として調製した。
結果を以下の表6〜表8に示した。
尚、評価は混合後、5℃で1週間放置後の状態の分離状態を示す。
尚、評価はドレッシング類製造後、90℃で10分間保持後の状態の状態を示す。
注1 分離状態 + 分離 +− わずかに分離 − 分離なし
尚、評価は官能検査。
注 ○ 良好 △ ややコク不足 ×コク不足
以上の結果、発酵乳と比較して、発酵豆乳は、油分80%まで乳化安定で、熱耐性にも優れており、得られたドレッシング類は滑らかで蛋白の凝集もなく、耐熱性に優れ、均質で風味豊かなものであった。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、酸性下で特殊な乳化装置を利用せずに製造しても凝集物を生成せず、加熱に対しても安定で卵黄の代替となる乳化力を持つ風味良好なドレッシング類が可能になったものである。
Claims (6)
- 酸性の豆乳、油脂、水溶性ヘミセルロース並びに食酢又は柑橘類の果汁を含有し乳化されてなることを特徴とするドレッシング類。
- ドレッシング類中豆乳が大豆蛋白として0、05%〜4、5%(g重量/g重量)である請求項1のドレッシング類。
- ドレッシング類中水溶性ヘミセルロースが0、05%〜10%(g重量/g重量)である請求項1又は請求項2のドレッシング類。
- ドレッシング類中油脂含量が 10 〜 60%(g 重量 /g 重量 ) である請求項 1 〜請求項 3 のいずれか記載のドレッシング類。
- 酸性の豆乳、油脂、水溶性ヘミセルロース並びに食酢又は柑橘類の果汁を乳化することを特徴とするドレッシング類の製造法。
- 酸性の豆乳が乳酸発酵豆乳又は酸性豆乳である請求項5記載のドレッシング類の製造法。
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