JP2002281927A - 濃縮豆乳又は濃縮豆腐を用いたスプレッド様飲食物 - Google Patents

濃縮豆乳又は濃縮豆腐を用いたスプレッド様飲食物

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JP2002281927A
JP2002281927A JP2001090113A JP2001090113A JP2002281927A JP 2002281927 A JP2002281927 A JP 2002281927A JP 2001090113 A JP2001090113 A JP 2001090113A JP 2001090113 A JP2001090113 A JP 2001090113A JP 2002281927 A JP2002281927 A JP 2002281927A
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spread
concentrated
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drink
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Makoto Nakajima
誠 中島
Hajime Ishida
一 石田
Katsutoshi Yoshimura
勝利 吉村
Kosaku Nakajima
弘策 中島
Masao Takatsuji
征夫 高辻
Yoshisuke Hibi
芳祐 日比
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Tajimaya Food Co Ltd
Original Assignee
Tajimaya Food Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーム性状を具備した豆乳又は豆腐のスプ
レッド様飲食物において、マヨネーズ類のように乳化剤
を使用することなく、滑らかな食感と展延性に富み、離
水現象を起こさず、大豆特有の青臭さのない食品を開発
する。 【解決手段】 豆乳、調味料又は風味料、安定剤を混合
し、混練したスプレッド様飲食物において、上記豆乳が
濃度15〜40の濃縮豆乳であり、安定剤がエーテル架
橋デンプン、リン酸架橋デンプンなどの架橋デンプン、
カゼイン類、全粉乳、脱脂粉乳などの乳タンパクの少な
くとも一種である濃縮豆乳を用いた飲食物である。濃縮
豆乳に替えて、濃縮豆腐を用いることができる。濃縮豆
乳又は濃縮豆腐を用いるため、スプレッド、クリーム、
或は液状物に青臭み、えぐみがなく、豊かな風味を具備
できる。安定剤にエーテル架橋デンプン、乳タンパクな
どを用いるため、スプレッドやクリームを調製した場合
にも、滑らかな食感と展延性に富み、長期に亘り離水現
象を起こさず、品質を保持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、濃縮豆乳又は濃縮
豆腐を用いた飲用形態、或はパンに塗ったり、温菜にか
けたりして食する形態のスプレッド様飲食物に関し、卵
黄、レシチン等の乳化剤の使用によらずに、滑らかな食
感と展延性に富み、離水現象を起こすことなく品質が安
定であり、大豆特有の青臭さ、えぐみがなく、強いコク
味を備えた低コレステロールの食品を提供する。
【0002】
【発明の背景】スプレッド類の代表例であるマーガリン
は高カロリー、高コレステロールなどの問題があるた
め、最近の健康志向にはあまり適さない。このため、植
物性蛋白質が豊富で、且つヘルシーな豆乳や豆腐類を主
材料とするスプレッド様食品の開発が期待されている。
【0003】
【従来の技術】豆腐又は豆乳を用いたマヨネーズ類は、
軟らかなクリーム様の性状を有する点で、本発明の目的
とするスプレッド様食品と共通する。例えば、特開昭6
3−32461号公報には、豆腐類と、食酢又は果汁
と、植物性油脂と、大豆タンパクと、キサンタンガム、
グアーガム、ペクチンなどの安定剤と、脂肪酸モノグリ
セリド、レシチンなどの乳化剤などを混合した豆腐乳化
物が開示されている。また、特開平6−30706号公
報には、デンプンと、ショ糖などの糖類と、油脂と、卵
黄と、大豆タンパクと、ラクトアルブミンとを混合した
カスタード風味のフラワーペーストが開示されている。
【0004】これらの従来技術は、上記フラワーペース
トの名称が用いられている発明も含めて、基本的に、卵
黄、レシチンなどの乳化剤を配合して水相と油相を均質
分散した乳化物であって、油脂と乳化剤を必須成分とし
ている。この場合、乳化剤として使用する卵黄はコレス
テロールや卵アレルギーの問題があり、また、低カロリ
ー化などの要請に相反する。一方、豆腐類や豆乳を使用
してスプレッド様食品を製造すると、大豆特有の青臭
さ、えぐみ、渋みなどが混入することを避けられず、食
感、風味の面で問題がある。また、通常の小麦デンプ
ン、馬鈴薯デンプンなどの化学処理をしていない生デン
プンや、化工デンプンに属する酸化デンプンなどを使用
して豆乳又は豆腐のスプレッド様食品を製造すると、得
られた食品の展延性や滑らかな食感が期待できなかった
り、製造後に離水を起こして品質が劣化することが少な
くない。
【0005】本発明は、滑らかな性状を具備した豆乳又
は豆腐のスプレッド様飲食物において、マヨネーズ類と
は異なって卵黄、レシチン等の乳化剤を使用することな
く、滑らかな食感と展延性に富み、離水現象を起こすこ
となく品質が安定であり、大豆特有の青臭さ、えぐみが
ない食品を開発することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】特開昭54−12275
5号公報(以下、先行技術1という)には、豆乳にデキス
トリン、或は、酸化デンプン、デンプンエステル、デン
プンエーテルなどの化工デンプンを加えて凝固剤で熱凝
固するか、大豆タンパクと水と植物性油脂に上記デンプ
ン類を加えて加熱する冷凍豆腐が開示されている。ま
た、特開平7−59512号公報(以下、先行技術2と
いう)には、牛乳、脱脂粉乳、全粉乳などの乳製品や豆
乳を水溶性ヘミセルロースの存在下に乳酸菌発酵させた
酸性乳飲料が開示されている。
【0007】本発明者らは、上記先行技術1の化工デン
プン、或は、上記先行技術2の脱脂粉乳、全粉乳などに
代表される乳タンパクに着目して、食品ベースにBri
x濃度が25程度のきわめて高濃度の濃縮豆乳を用いる
とともに、安定剤として前記化工デンプンに属するエー
テル化デンプンなどの架橋デンプン、或は、カゼイン
類、脱脂粉乳、全粉乳などの乳タンパクを限定使用する
と、展延性と品質保持能に優れたスプレッド様飲食物が
得られること、豆乳の固形分濃度が著しく高いにも拘わ
らず、大豆特有の青臭さやえぐみが抑制できること、ま
た、濃縮豆乳に代えて濃縮豆腐を用いると風味などをさ
らに改善できることなどを見い出し、本発明を完成し
た。
【0008】即ち、本発明1は、豆乳、調味料又は風味
料、安定剤を混合し、混練したスプレッド様食品におい
て、上記豆乳が濃度15〜40の濃縮豆乳であり、安定
剤がエーテル架橋デンプン、リン酸架橋デンプンなどの
架橋デンプン、カゼイン類、全粉乳、脱脂粉乳などの乳
タンパクの少なくとも一種であることを特徴とする濃縮
豆乳を用いたスプレッド様食品である。
【0009】本発明2は、上記本発明1の安定剤が、架
橋デンプンに加えて、キサンタンガム、グアーガム、ジ
ェランガム、タマリンドガム、タラガントガム、ローカ
ストビーンガム、ファーセレランなどの天然ガム、カラ
ギーナン、ペクチン、アルギン酸塩、マンナンよりなる
群から選ばれた多糖類の少なくとも一種であることを特
徴とする濃縮豆乳を用いたスプレッド様食品である。
【0010】本発明3は、上記本発明1又は2におい
て、原料全体に対する安定剤の含有量が0.1〜30重
量%であることを特徴とする豆乳を用いたスプレッド様
食品である。
【0011】本発明4は、上記本発明1〜3のいずれか
の濃縮豆乳に代えて、濃度15〜40の濃縮豆乳を凝固
剤で凝固した濃縮豆腐を使用し、この濃縮豆腐を調味料
又は風味料、安定剤と共に混合し、混練することを特徴
とする濃縮豆腐を用いたスプレッド様食品である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、第一に、濃縮豆乳を使
用し、エーテル架橋デンプン、リン酸架橋デンプンなど
の架橋デンプン、或は、カゼイン類、全粉乳、脱脂粉乳
などの乳タンパクを安定剤に使用したスプレッド様飲食
物であり、第二に、安定剤としてさらに天然ガムなどの
特定の多糖類を併用したスプレッド様飲食物であり、第
三に、濃縮豆乳に替えて濃縮豆腐を使用したスプレッド
様飲食物である。
【0013】本発明のスプレッド様飲食物は、次の(a)
〜(c)の形態を含む広義の概念である。 (a)塗るタイプ:パン、サンドイッチ、クッキーなどの
食材に塗ったり、トッピングしたりして食するスプレッ
ド、或は、スプレッドより少し固めのフラワーペース
ト。 (b)かけるタイプ:マヨネーズ、ドレッシングと同様
に、各種サラダ、ふかしたポテトや茹でたブロッコリな
どの温菜類にかけて食する、上記スプレッド類より粘性
の低い流動性クリーム。 (c)飲むタイプ:ヨーグルトと同様に、そのまま飲用す
る液状物。 但し、組成的には、濃縮豆乳、調味料又は風味料、安定
剤を混合し、或はさらに水を混合して、全体をミキサー
などで混練した非加熱でペースト状、クリーム状、或は
液状を呈する食品であり、この点において、油脂の存在
を前提とし、乳化剤を使用して水相と油相を均質分散し
たマヨネーズ類などの乳化物とは、本発明のスプレッド
様飲食物は本質的に異なる。
【0014】上記濃縮豆乳は、常法により磨砕大豆を熱
水抽出して得られる豆乳を初め、大豆蛋白粉又は豆乳粉
末から調製した豆乳類似物を濃縮し、得られた高濃度豆
乳ををいう。豆乳の濃縮は、減圧処理又は薄膜処理によ
り豆乳中の水分を除去するなど、公知の方法で行う。例
えば、700mmHg以下の減圧下、蒸気圧力6kg/
cm 2G、蒸気温度45℃の条件で濃縮し、さらに乳化
粒子を均質化するために高圧ホモジナイズ処理を併用す
るのが好ましい。上記豆乳類の濃度(Brix)は、最終
製品としてのスプレッド様食品に青臭さ、えぐみなどが
混入するのを回避し、風味豊かな乳化物を製造する見地
から、一般に15〜40、好ましくは20〜30であ
る。
【0015】また、上記濃縮豆乳に替えて濃縮豆腐を使
用しても良い。濃縮豆腐は濃度15〜40の濃縮豆乳を
塩化カルシウム等のカルシウム塩、塩化マグネシウム等
のマグネシウム塩、或はグルコノデルタラクトンなどの
公知の凝固剤で凝固した濃縮豆腐である。この濃縮豆腐
を調味料又は風味料、安定剤、或は水と共に混合し、混
練する方法は、上記濃縮豆乳を用いたスプレッド様飲食
物の場合と基本的に同じである。
【0016】上記調味料又は風味料としては、甘味料、
酸味料、食酢類、フレーバー類、香辛料、食塩、化学調
味料などが挙げられる。甘味料は、砂糖(グラニュー
糖、上白糖、黒糖、中双、三温等)、ブドウ糖、果糖、
或はこれらの混合液糖、水あめ、コーンシロップなどで
ある。酸味料は、クエン酸、レモン果汁等の柑橘類の果
汁、トマトピューレなどである。食酢類は、リンゴ酢等
の果実酢、米酢、アルコール酢、粕酢、黒酢、ワインビ
ネガー、バルサミコなどである。フレーバー類は、いち
ご、ブルーベリー、アロエ、ピーチ、オレンジ、メロ
ン、アセロラ、キウイフルーツ、グレープフルーツなど
の果実類、バター、チーズなどの乳製品、緑茶、ごま、
バニラ、チョコレートなどを直接使用しても良いし、或
はこれらの風味を有する合成フレーバーであっても良
く、この外、ピザ風フレーバーなどでも差し支えない。
特に、本発明が飲用タイプの場合、ピーチ、バナナ、メ
ロン、アップル、ストロベリー、ブルーベリー、レモ
ン、マンゴー、キウイなどのフルーツ風味のフレーバ
ー、又は、抹茶、ココア、コーヒー、ココナツ、チーズ
パウダー、クリームチーズ、或はこれらのフレーバー
(例えば、チーズセーバーなど)で風味付けをするのが好
ましい。上記香辛料は、からし、コショウ、パプリカな
どである。但し、本発明のスプレッド様飲食物では、大
豆油、綿実油、コーン油、ごま油、サフラワー油、菜種
油、オリーブ油、米油、ブドウ油、落花生油、紅花油、
パーム油、サラダ油などの植物性油脂を混合することを
排除するものではない。これらの植物性油脂は風味付け
を主な目的とするが、植物性油脂を使用する場合には、
飲食物の均質性を促進するため、脂肪酸モノグリセリ
ド、脂肪酸ポリグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤を添加
することができる。
【0017】上記安定剤は、食品からの離水防止による
品質安定と展延性の改善を目的として使用されるが、当
該安定剤には、架橋デンプン、乳タンパクを夫々単用し
ても良いし、架橋デンプンと乳タンパクを併用しても良
い。さらには、架橋デンプン、乳タンパクに加えて、特
定の多糖類を併用することができる。一般に、化工デン
プンには、酸化デンプン、エステル化デンプンなどの様
々な種類が含まれるが、本発明で使用可能な化工デンプ
ンはエーテル架橋デンプン、リン酸架橋デンプンなどの
架橋デンプン類である。エーテル架橋デンプンは、各種
デンプンにエーテル架橋の化学処理を施したものであ
り、市販品としては松谷化学社製のVA−70C、ゆり
8号などがある。リン酸架橋デンプンは同様にリン酸架
橋処理したものである。また、上記乳タンパクとして
は、カゼイン、カゼインナトリウム等のカゼイン類、全
粉乳、脱脂粉乳、ミルクパウダー、ホエーパウダー、加
糖粉乳、調製粉乳等の粉乳などの乳タンパクの少なくと
も一種である。カゼイン類や各種乳タンパクは様々な市
販品があるが、例えば、カゼインナトリウムは太陽化学
社製のサンラクトS3などがある。また、上記特定の多
糖類とは、キサンタンガム(市販品としては、エコーガ
ム、モナードガム;大日本製薬社製)、タラガントガム
(同名;三栄源エフ・エフ・アイ社製)、ジェランガム
(ケルコゲル;大日本製薬社製)、ローカストビーンガム
(同名;三晶社製)、グアーガム(ビストップ;三栄源エ
フ・エフ・アイ社製)、タマリンドガム(グリロイド;大
日本製薬社製)、アラビアガムなどの天然ガム、カラギ
ーナン(イナゲル;伊那食品社製、カラギニン;三栄源
エフ・エフ・アイ社製)、ペクチン(ゲニューペクチン;
三晶社製)、ファーセレラン(同名;三栄源エフ・エフ・
アイ社製)、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩よ
りなる群から選ばれた多糖類の少なくとも一種である。
また、多糖類としては、化学処理をしていない小麦デン
プン、馬鈴薯デンプン等の通常のデンプン類を排除する
ものではない。 上記安定剤としては、エーテル架橋デ
ンプン又は乳タンパクと、特定の多糖類とを併用するこ
とが好ましい。特定の多糖類では、キサンタンガム、ペ
クチン、カラギーナン、グアーガム、アルギン酸塩、フ
ァーセレランなどが好ましい。
【0018】上記濃縮豆乳と調味料又は風味料と安定剤
の混合比率は、スプレッド様飲食物の食感、風味、食
味、或はスプレッドの性状などに応じて適宜調整できる
が、上記濃縮豆乳のスプレッド様食品に対する含有量は
一般に5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%で
ある。上記安定剤のスプレッド様飲食物に対する含有量
は、離水防止能、展延性などに応じて適宜調整される
が、一般に0.1〜30重量%、好ましくは1〜25重
量%である。
【0019】濃縮豆乳と調味料又は風味料と安定剤は、
水と共に同時或は時間差を設けて混合し、ミキサー、コ
ロイドミル、パドルミキサー、ホモジナイザー、アジテ
ーター、その他公知の撹拌手段によって混練する。この
場合、濃縮豆乳は豆乳濃度が高いために、一般的に得ら
れた段階で緩やかな凝固物になっている場合が多い。し
かしながら、この凝固物は凝固剤で固めた豆腐とは異な
り、簡単に崩れるものであるため、上記混合工程では、
この緩やかな凝固物を予め解砕することは必須ではな
い。これに対して、濃縮豆腐を使用する場合には、予め
ミキサーで撹拌して、粗く解砕しておくと良い。
【0020】
【作用】一般に、豆乳特有の青臭さ、えぐみ、渋みなど
の不快臭は、大豆に含有される生物活性物質であるリポ
キシゲナーゼが、大豆油に含まれる多価不飽和脂肪酸或
はそのエステルに触媒的に作用し、これらの酸化によっ
て発生するn−ヘキサノール、n−ヘキサナール、1−
オクテン−3−オール、イソペンタノールなどの揮発性
物質が主な原因であるとされる。本発明では、豆乳をB
rix濃度15以上に濃縮するため、この濃縮工程によ
ってn−ヘキサノール、n−ヘキサナールなどの揮発性
物質を大幅に減少させることができる。この結果、濃縮
豆乳には大豆特有の青臭さ、えぐみなどがほとんどない
ことから、この濃縮豆乳を原料とする本発明のスプレッ
ド様食品から大豆特有の臭気を排除して、豊かな風味を
付与できる。尚、濃縮豆腐では、濃縮豆乳に凝固剤を添
加して加熱凝固する過程で、上記加熱凝固工程で揮発性
物質をより多く低減できるため、濃縮豆乳を用いた場合
より風味が向上する。
【0021】
【発明の効果】(1)マヨネーズ類やドレッシング類は、
油脂と乳化剤を必須成分として、卵黄、レシチン等の乳
化剤を用いて水相と油相を均質に分散した乳化物である
が、本発明のスプレッド様飲食物は、油脂と乳化剤を必
須成分としない点で本質的にこれらの乳化物とは異な
り、特に、スプレッドタイプ又はクリームタイプでは、
滑らかなクリーム状の食感と展延性に富む。また、後述
の試験例に示すように、パンなどの食材上に薄く塗り広
げることができる。さらに、本発明では、水の含有量の
調整により、飲用に適した液状食品とすることができ
る。
【0022】(2)後述の試験例に示すように、スプレッ
ド様飲食物を製造した場合、長時間経過しても離水現象
を起こさず、風味、食感などの品質、或は展延性などの
性状を安定的に保持できる。
【0023】(3)例えば、特開昭55−77870号公
報には、ブリックス8〜12の通常濃度の豆乳と、グル
コマンナンと、ペクチン、カラギーナンなどの各種添加
剤とを含有する豆乳を用いたサワークリーム状食品が開
示されているが、本発明は、通常濃度を越える濃縮豆乳
又は濃縮豆腐を使用するため、大豆特有の青臭さ、えぐ
みがなく、豊かな風味に優れ、食感、喉ごしなどの点で
も抵抗のない低コレステロールの食品である。また、濃
縮豆腐を使用すると、凝固に要する時間や温度管理の分
だけ作業性が低下してしまうが、濃縮豆乳では豆腐に凝
固する手間が要らないため、濃縮豆腐を使用する場合よ
り生産性が向上する。
【0024】(4)本発明では、卵黄などの乳化剤を必須
成分としないことから、卵アレルギー、コレステロー
ル、カロリー性などの点でも問題がなく、消費者ニーズ
に適合した豆腐活用のスプレッド様食品を新たに市場に
供給できる。さらに、本発明では、高カロリーの植物性
油脂を使用せずに、スプレッド状、クリーム状、或は液
状のスプレッド様飲食物を製造することができ、この場
合には、カロリーをより一層抑制した適性な健康食品と
することができる。この点をさらに詳述すると、コレス
テロールの低下作用を有し、健康嗜好の大豆蛋白質を主
成分とする本発明の飲食物は、例えば、飲用タイプとし
て調製すると、朝食を食べる時間のない場合にも迅速に
栄養を摂取でき、腹持ちが良く、空腹状態のイライラ感
を回避できるため、栄養補給型食品として好適である。
しかも、合成の乳化剤を配合したマヨネーズ様食品は健
康上必ずしも好ましいものではないが、本発明では、こ
のような合成の乳化剤を使用せずに目的のスプレッド様
飲食物を製造できるため、健康上の弊害がない。
【0025】
【実施例】以下、本発明のスプレッド様飲食物の製造実
施例を順次述べるとともに、当該スプレッド様飲食物の
風味・食感試験例、展延性試験例、並びに品質安定性試
験例を併記する。実施例で示す「%」、「部」は重量基
準である。尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束さ
れるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意
の変形をなし得ることは勿論である。
【0026】下記に示すスプレッド様飲食物の製造実施
例1〜11において、実施例1〜7は安定剤にエーテル
架橋デンプンを使用した例、実施例8〜11はカゼイン
類を使用した例である。上記実施例1〜7のうち、実施
例1〜5は濃縮豆乳を用いたスプレッドの製造例、実施
例6〜7は濃縮豆腐を用いたフラワーペーストの例であ
る。また、実施例1、実施例4及び実施例6は植物性油
脂を使用しない例、その他の実施例は風味付けに植物性
油脂を使用した例である。上記実施例8〜11のうち、
実施例8〜10は濃縮豆乳を用いたスプレッド、クリー
ム、或は飲用物の例、実施例11は濃縮豆腐を用いた飲
用物の例である。また、実施例10〜11は植物性油脂
を使用しない例、実施例8〜9は植物性油脂を使用した
例である。一方、比較例1は濃縮豆乳に替えて、通常濃
度の豆乳を原料としてスプレッド様食品を製造した例、
比較例2は濃縮豆乳を使用しながら、安定剤を使用しな
いブランク例、比較例3は架橋デンプンに替えて、通常
のデンプンに属する未加工のコーンスターチを使用した
例、比較例4は架橋デンプンに替えて、これ以外の化工
デンプン類に属する酸化デンプンを使用した例、比較例
5は架橋デンプンに替えて、ゼラチンを使用した例であ
る。
【0027】《製造実施例1》本実施例1は、植物性油
脂を使用しないスプレッドであり、エーテル架橋デンプ
ンとグアーガムを安定剤とした。常法により大豆を熱水
抽出し、Brix濃度12程度の豆乳を調製した後、7
00mmHg以下の減圧下、蒸気圧力6kg/cm
2G、蒸発温度45℃の条件で減圧濃縮処理を行い、1
00〜150kg/cm2の条件で高圧ホモジナイザー
にかけて、Brix濃度25程度の濃縮豆乳を得た(従
って、後述の実施例で使用した濃縮豆乳の濃度も全てB
rix濃度25程度である)。
【0028】次いで、調味料又は風味料をミキサーに混
合し、30秒〜1分かけて撹拌し、上記濃縮豆乳を混合
して1分間撹拌し、さらに植物性油脂を約30秒間に3
〜4回に分けて混合し、30秒〜1分間ほど均質に撹拌
した後、包装容器に充填して65℃、60分間加熱殺菌
し、冷却してごま風味のスプレッドを得た。上記濃縮豆
乳、調味料又は風味料などの配合組成は下記の通りであ
る。 砂糖 80g 調味料 10g すりごま 60g グアーガム 3g エーテル架橋デンプン 120g 濃縮豆乳 50g 水 100g 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70Cを使用し
た。上記調味料としては、市販の鰹節エキスと昆布エキ
スの混合物を使用した。
【0029】《製造実施例2》本実施例2の配合組成は
下記の通りであり、上記実施例1に植物性油脂、ブドウ
糖・果糖及び全脂粉乳を追加したものである。従って、
本実施例2は風味付けに植物性油脂を用いたスプレッド
であり、安定剤にはエーテル架橋デンプンと全粉乳とグ
アーガムを使用した。 砂糖 80g 調味料 10g すりごま 60g 植物性油脂 124g ブドウ糖・果糖液糖 8g 全粉乳 18g グアーガム 3g エーテル架橋デンプン 120g 濃縮豆乳 50g 水 100g 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70Cを使用し
た。上記植物性油脂はコーン油と綿実油を使用した。
【0030】《製造実施例3》本実施例3の配合組成は
下記の通りであり、上記実施例1にサフラワー油、ブド
ウ糖・果糖液糖、たまねぎエキス及び卵黄などを追加し
たものである。従って、本実施例3は風味付けに植物性
油脂を用いたスプレッドであり、安定剤にはエーテル架
橋デンプンとグアーガムを使用した。 砂糖 80g 調味料 15g すりごま 60g 醤油 60g サフラワー油 130g ブドウ糖・果糖液糖 48g たまねぎエキス 40g 卵黄 10g グアーガム 3g エーテル架橋デンプン 120g 濃縮豆乳 50g 水 100g 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70Cを使用し
た。
【0031】《製造実施例4》本実施例4の配合組成は
下記の通りであり、製造手順は基本的に上記実施例1と
同様である。本実施例4は植物性油脂を使用しないスプ
レッドであり、エーテル架橋デンプンとキサンタンガム
を安定剤とした。 砂糖 9.44% 食塩 2.20% 乾燥マスタード 0.11% グルタミン酸ナトリウム 0.01% ワインビネガー 10.00% レモンジュース 1.26% コーンシロップ 6.00% キサンタンガム 1.36% エーテル架橋デンプン 20.74% 濃縮豆乳 37.00% 水 11.88% 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70Cを使用し
た。
【0032】《製造実施例5》本実施例5の配合組成は
下記の通りであり、製造手順は基本的に上記実施例1と
同様である。本実施例5は風味付けにサフラワー油を使
用したスプレッドであり、調味料又は風味料の多くが上
記実施例4に共通する。 砂糖 9.44% 食塩 2.20% 乾燥マスタード 0.11% グルタミン酸ナトリウム 0.01% ワインビネガー 10.00% レモンジュース 1.26% 脂肪酸モノグリセリド 1.05% サフラワー油 6.00% キサンタンガム 0.31% エーテル架橋デンプン 20.74% 濃縮豆乳 17.00% 水 31.88% 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70Cを使用し
た。また、脂肪酸モノグリセリドは三菱化学社製の市販
品を使用した。
【0033】《製造実施例6》前記製造実施例1で得ら
れたBrix濃度25程度の濃縮豆乳を一旦22℃程度
に冷却し、下記の割合で凝固剤を添加した後、92℃で
50分加熱して濃縮豆腐を製造し、冷却し、ステファン
カッターで粒が残る程度に軽く擦り潰した。 濃縮豆乳 60kg 塩化マグネシウム 110g グルコノデルタラクトン 110g 水 4.8L
【0034】次いで、調味料又は風味料をミキサーに混
合し、30秒〜1分かけて撹拌し、上記濃縮豆腐を混合
して1分間撹拌した後、包装容器に充填して65℃、6
0分間加熱殺菌し、冷却して植物性油脂を使用しないフ
ラワーペーストを得た。上記濃縮豆腐、調味料又は風味
料などの配合組成は下記の通りである。また、本実施例
6では、エーテル架橋デンプン、キサンタンガム、アル
ギン酸ナトリウム及びペクチンを安定剤とした。 砂糖 8.0% 食塩 0.1% コーンシロップ 8.80% バニラフレーバー 0.07% アルギン酸ナトリウム 0.3% キサンタンガム 0.3% ペクチン 0.3% エーテル架橋デンプン 21.0% 濃縮豆乳 12.5% 水 48.63% 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70C、キサン
タンガムは前記エコーガムを使用した。
【0035】《製造実施例7》本実施例7の配合組成は
下記の通りであり、製造手順は基本的に上記実施例6と
同様である。本実施例7は風味付けにコーン油を使用し
たフラワーペーストであり、調味料又は風味料の多くが
上記実施例6に共通する。また、本実施例7では、前記
実施例6の製造手順を基本として、濃縮豆腐の撹拌と包
装容器への充填工程の間に、植物性油脂を約30秒間に
3〜4回に分けて混合し、30秒〜1分間ほど均質に撹
拌する操作を追加した。 砂糖 10.00% 食塩 0.01% チョコレートフレーバー 0.07% コーン油 8.80% ショ糖脂肪酸エステル 0.31% ペクチン 0.30% エーテル架橋デンプン 11.00% 濃縮豆腐 10.51% 水 59.00% 上記エーテル架橋デンプンは前記VA−70Cを使用し
た。また、ショ糖脂肪酸エステルは第一工業製薬社製の
DKエステルを使用した。
【0036】《製造実施例8》本実施例8の組成は下記
の通りであり、製造手順は基本的に実施例1と同様であ
る。本実施例8は安定剤にカゼインナトリウムとエーテ
ル架橋デンプンとグアーガムを使用した温菜などにかけ
るタイプの流動クリームである。 濃縮豆乳 200g ワインビネガー 80g 酵母エキス 8g 異性化糖 144g 食塩 4g 菜種サラダ油 350g グアーガム 4g カゼインナトリウム 16g エーテル架橋デンプン 25g 水 169g 上記エーテル架橋デンプンは松谷化学社製のゆり8号、
カゼインナトリウムは太陽化学社製のサンラクト3Sを
使用した。
【0037】《製造実施例9》本実施例9の組成は下記
の通りであり、製造手順は基本的に実施例1と同様であ
る。本実施例9は安定剤にカゼインナトリウムとエーテ
ル架橋デンプンとグアーガムを使用したパンなどに塗る
タイプのスプレッドである。 濃縮豆乳 490g クリームチーズ 268g エーテル架橋デンプン 12g 酵母エキス 6g 異性化糖 74g 食塩 4g 菜種サラダ油 37g グアーガム 13g カゼインナトリウム 36g 水 60g 上記エーテル架橋デンプンは松谷化学社製のゆり8号、
カゼインナトリウムは上記サンラクト3S、グアーガム
は前記ビストップを使用した。
【0038】《製造実施例10》本実施例10の組成は
下記の通りであり、製造手順は基本的に実施例1と同様
である。本実施例10は安定剤にカゼインナトリウムと
ローカストビーンガムとファーセルランを使用したチー
ズ風味の液状飲用物である。 グラニュー糖 50部 ファーセレラン 1部 ローカストビーンガム 1部 カゼインナトリウム 2部 カマンベールチーズパウダー 10部 リン酸水素二カリウム 0.5部 クリームチーズ 50部 濃縮豆乳 100部 チーズセーバー 0.5部 水 300部 上記カゼインナトリウムはサンラクト3S、ローカスト
ビーンガムは三晶社製、ファーセレランは三栄源社製の
市販品を使用した。
【0039】《製造実施例11》本実施例11の組成は
下記の通りであり、製造手順は基本的に実施例1と同様
である。本実施例11は、濃縮豆腐をベース組成とし
て、安定剤にカゼインナトリウムと全粉乳とエーテル架
橋デンプンとファーセレランを使用した抹茶風味の液状
飲用物である。 濃縮豆腐 200部 グラニュー糖 85部 ファーセレラン 2.75部 全粉乳 22部 カゼインナトリウム 3部 エーテル架橋デンプン 10部 抹茶パウダー 8部 リン酸水素二カリウム 0.25部 バニラエッセンス 0.5部 水 100部 上記縮豆腐は前記実施例8を基本として製造した。上記
カゼインナトリウムはサンラクト3S、エーテル架橋デ
ンプンは松谷化学社製のゆり8号、ファーセレランは三
栄源社製、全粉乳は雪印乳業社製、抹茶パウダーはあい
や社製、バニラエッセンスは富士香料社製の市販品を各
々使用した。
【0040】《比較例1》前記実施例1で得られた濃縮
前のBrix濃度12程度の豆乳をそのまま使用し、実
施例1の濃縮豆乳に替えてこの通常濃度の豆乳を原料と
して、実施例1と同様の条件でスプレッドを製造した。
【0041】《比較例2》前記実施例1を基本として、
エーテル架橋デンプンとグアーガムよりなる安定剤を含
有せず、他の条件は実施例1と同様に設定して、濃縮豆
乳からスプレッドを製造した。
【0042】《比較例3》前記実施例1を基本として、
エーテル架橋デンプンに替えて化学処理を施さない未加
工のコーンスターチを使用し、他の条件は実施例1と同
様に設定して、濃縮豆乳からスプレッドを製造した。
【0043】《比較例4》前記実施例1を基本として、
エーテル架橋デンプンに替えて他の種類の化工デンプン
である酸化デンプンを使用し、他の条件は実施例1と同
様に設定して、濃縮豆乳からスプレッドを製造した。
【0044】《比較例5》前記実施例1を基本として、
エーテル架橋デンプンに替えてゲル化剤であるゼラチン
を使用し、他の条件は実施例1と同様に設定して、濃縮
豆乳からスプレッドを製造した。
【0045】《スプレッド様食品の風味及び食感試験
例》そこで、上記実施例1〜11及び比較例1〜5の各
スプレッド様食品を試食に供して、風味、滑らかさを中
心とした食感(テクスチャー)の官能試験を実施した。但
し、実施例10〜11は液状飲用物であり、他の実施例
のスプレッドやクリーム状物と形態が異なるため、滑ら
かな喉ごしの有無を中心に評価した。風味の評価基準は
次の通りである。 ○:不快臭は全く感じられず、風味が豊かであった。 △:青臭さが少し感じられた。 ×:青臭さ、えぐみが強かった。 また、食感の評価基準は次の通りである。 ○:滑らかであった。 △:滑らかさはある程度あるが、若干ザラツキ感が残っ
た。 ×:滑らかさに乏しく、ザラツキ感があった。
【0046】下表はその試験結果を示す。
【0047】上記結果を見ると、実施例1〜11の各ス
プレッド様飲食物は青臭さ、えぐみなどは全く感じられ
ず、豊かな風味を具備するうえ、滑らかな食感或は喉ご
しで口当りがきわめて良好であった。これに対して、比
較例1は通常濃度の豆乳を使用しているために、青臭
さ、えぐみなどが強く感じられ、若干のザラついた食感
があった。比較例2〜5は濃縮豆乳を使用しているため
に、風味の点は良好であったが、酸化デンプンを使用し
た比較例4を除いて、滑らかな食感は不充分、或は低レ
ベルであった。このように、本発明のスプレッド様食品
は、通常濃度の豆乳を使用したもの、或は架橋デンプン
以外を安定剤に使用したものなどに比べて、風味、食感
などの味覚の点で顕著な優位性があることが明らかにな
った。
【0048】前述したように、青臭さ、えぐみ、青大豆
臭などの不快臭の主な原因は、n−ヘキサナール、n−
ヘキサノール、1−オクテン−3−オールなどの揮発性
物質にある。そこで、実施例1で使用した濃縮豆乳と比
較例1の通常濃度の豆乳をガスクロマトグラフィーにか
けて、上記揮発性物質の検出度合を確認したところ、下
表の結果を得た。尚、当該ガスクロマトグラフィーにお
いては、島津製作所社製のガスクロマトグラフを用いて
下記の条件で測定した。 カラム:シリコングリース(100〜120メッシュのセライ
トに15%含有)、SE−30(ガスクロムPに1%含有)
及びエチレングリコールのコハク酸エステルS−X(ガ
スクロムPに8%含有) 昇温条件:100〜190℃ 流速条件:3kg/cm2 また、下表での各物質の検出濃度は、便宜上、実施例1
と比較例1でのガスクロマトグラムにおける各検出ピー
ク面積の相対値として表し、比較例1の検出量を100
とした。
【0049】 実施例1 比較例1 n−ヘキサノール 16 100 n−ヘキサナール 15 100 1−オクテン−3−オール 13 100 上記結果によると、比較例1の通常濃度の豆乳に比べ
て、実施例1の濃縮豆乳では上記揮発性物質が大幅に減
少していることが判る。このように、濃縮豆乳を用いた
本発明のスプレッド様飲食物が通常濃度の豆乳をを用い
た場合より、風味の点で勝るという前記官能試験結果
は、本試験例によっても強く裏付けられることが判明し
た。
【0050】《スプレッド様食品の展延性試験例》上記
実施例1〜7、9及び比較例1〜5の各スプレッド様食
品を食パンの上に塗って、展延性の良否を評価した。
尚、実施例8は流動クリームタイプ、実施例10〜11
は液状タイプであり、粘性が低くて当然に展延性を具備
するため、本展延性試験は行わなかった。評価基準は下
記の通りである。 ○:良好な延びを示し、薄く塗り広げることができた。 △:ある程度の延びは示すが、薄く塗り広げると途切れ
る箇所があった。 ×:延びがなく、薄く塗り広げられなかった。
【0051】下表はその試験結果を示す。
【0052】上記結果を見ると、実施例1〜7及び9の
各スプレッド類は良好な展延性を示し、パンの上に薄く
塗り広げることができた。これに対して、通常濃度の豆
乳を使用した比較例1、コーンスターチを使用した比較
例3及び酸化デンプンを使用した比較例4は夫々展延性
が不充分であり、安定剤を使用しない比較例2とゼラチ
ンを使用した比較例5は夫々延びがなく、スプレッドと
しての商品価値に乏しかった。このように、本発明のス
プレッド類は、通常濃度の豆乳を使用したもの、或は架
橋デンプン以外を安定剤に使用したものなどに比べて、
食材に塗った場合の展延性の点でも顕著な優位性がある
ことが明らかになった。
【0053】《スプレッド様飲食物の品質安定性試験
例》上記実施例1〜9及び比較例1〜5で得られた各ス
プレッド様飲食物の品質安定性を離水現象を中心として
観察し、所定時間経過後の離水量を測定することにより
評価した。即ち、上記各スプレッド100gを容器に収
容し、40時間経過時点でスプレッドの上表面に濾紙(J
IS No.2)を密着させた後、可及的速やかに剥離して、
吸水後の濾紙重量から初期重量を減じて吸水量を測定し
た。但し、実施例10〜11は液状タイプであるため、
濾紙を用いた本試験は行わず、40時間後の水相と油相
の分離の有無を目視観察した。
【0054】その結果は下記の通りである。 実施例1〜9 :0.01〜0.02g 比較例1 :0.02g 比較例2 :3.4g 比較例3 :2.7g 比較例4 :0.8g 比較例5 :0.7g 実施例10〜11:相分離は観察されず。 上記結果から判るように、実施例1〜9の各スプレッド
様食品はほとんど離水現象が見られず、上記試験後も観
察を継続したところ、共に2週間以上に亘り離水が抑制
されて、風味と食味、或は展延性に変化は認められなか
った。また、液状物で飲用に供する実施例10〜11も
同様に相分離は見られなかった。従って、実施例1〜1
1は商品として実用水準を満たす優れた品質安定性を示
した。これに対して、通常濃度の豆乳を使用した比較例
1は0.02gしか離水せず、概ね実施例1〜7と同程
度の品質安定性を示したが、安定剤を含まない比較例2
及びコーンスターチを使用した比較例3は多く離水し、
風味と食味が顕著に低下し、展延性も損なわれて、品質
安定性はかなり悪かった。また、酸化デンプンを使用し
た比較例4、ゼラチンを使用した比較例5は上記比較例
2及び3より離水は抑制されたが、上記実施例1〜11
の分離抑制能力には及ばず、品質安定性は低かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉村 勝利 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 (72)発明者 中島 弘策 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 (72)発明者 高辻 征夫 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 (72)発明者 日比 芳祐 兵庫県伊丹市池尻7丁目139番地 但馬屋 食品株式会社内 Fターム(参考) 4B018 LB01 LB03 LB08 LE04 MD21 MD34 MD37 MD38 MD39 MD40 MD58 ME01 MF02 4B020 LB27 LB30 LC01 LC05 LG01 LK05 LK06 LK07 LK16 LP15 LQ06 LR01 LR06 LS10 4B047 LB09 LE01 LF01 LF02 LF07 LG18 LG27 LG30 LG40 LG51 LP02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豆乳、調味料又は風味料、安定剤を混合
    し、混練したスプレッド様飲食物において、 上記豆乳が濃度15〜40の濃縮豆乳であり、安定剤が
    エーテル架橋デンプン、リン酸架橋デンプンなどの架橋
    デンプン、カゼイン類、全粉乳、脱脂粉乳などの乳タン
    パクの少なくとも一種であることを特徴とする濃縮豆乳
    を用いたスプレッド様飲食物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の安定剤が、さらに、キ
    サンタンガム、グアーガム、ジェランガム、タマリンド
    ガム、タラガントガム、ローカストビーンガム、ファー
    セレランなどの天然ガム、カラギーナン、ペクチン、ア
    ルギン酸塩、マンナンよりなる群から選ばれた多糖類の
    少なくとも一種であることを特徴とする濃縮豆乳を用い
    たスプレッド様飲食物。
  3. 【請求項3】 原料全体に対する安定剤の含有量が0.
    1〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の豆乳を用いたスプレッド様飲食物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の濃
    縮豆乳に代えて、濃度15〜40の濃縮豆乳を凝固剤で
    凝固した濃縮豆腐を使用し、この濃縮豆腐を調味料又は
    風味料、安定剤と共に混合し、混練することを特徴とす
    る濃縮豆腐を用いたスプレッド様飲食物。
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