JP3911879B2

JP3911879B2 - 車両用交流発電機

Info

Publication number: JP3911879B2
Application number: JP31232498A
Authority: JP
Inventors: 博士石田; 志賀　　孜; 守戸田
Original assignee: Denso Corp
Current assignee: Denso Corp
Priority date: 1998-11-02
Filing date: 1998-11-02
Publication date: 2007-05-09
Anticipated expiration: 2018-11-02
Also published as: JP2000139058A; US6294856B1; DE19950126A1; FR2785467A1; FR2785467B1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に関し、特にブラシ周辺の構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
車両用交流発電機では、スリップリング及びブラシの摺接部に水油等の異物が侵入しないように通風冷却して、ブラシの異常摩耗を防止する必要がある。
この種の保護構造としては、特公平４−７９２２４号公報に示す、ブラシホルダに係合嵌着される円筒状のスリップリングカバーの軸方向開口部を、スリップリング及びブラシの摺接部に連通する通風路を有するシールゴムで塞ぐものが知られている。この構造では、シールゴムをリアカバーで押圧して、弾性変形した状態でスリップリングカバーの縁部に当接させてシール性を確保している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造では、リアカバーやスリップリングカバー等の構成部品の形状のばらつきにより、スリップリングカバーの縁部にシールゴムを均等に押圧することが困難で、安定したシール性を得ることができない問題点があった。又、シールゴムが通風路のほとんどを区画するため、その変形、劣化により所期の通風路形状を維持できないことがあった。
【０００４】
本発明は、ブラシ装置の改良された通風路構造を提供するものである。
本発明の目的は、通風路形状を確実に維持できる構造を提供することである。
本発明の他の目的は、組付性に優れた構造を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項１の発明によれば、ブラシホルダ（２７、２６１）に設けられた凹部（４２）と、スリップリングカバー（３３）に設けられ前記凹部（４２）内に挿入配置されて前記凹部（４２）内を仕切り、前記ブラシのスリップリング（２１、２２）との摺接部に連通する屈曲した通風路を形成する仕切部（４３）とを備えることを特徴としている。これにより、シールゴムを用いることなく、スリップリング（２１、２２）及びブラシの摺接部に異物が混入するのを防止できる。又、構成部品の変形は伴わない為、通風路の減少という問題もない。
【０００６】
また、請求項１の発明によれば、前記凹部（４２）は、ブラシホルダ（２７、２６１）のスリップリング（２１、２２）に対向する側面に形成された、ブラシ収納部（３６、３７）と平行な穴であることを特徴としている。これにより、軸方向からの異物の侵入を効果的に防止できる。又、車両取付時に凹部（４２）の開口側を下向きとすることで、径方向からの異物の侵入も効果的に防止できる。
【０００７】
請求項２の発明によれば、スリップリングカバー（３３）は、スリップリング（２１、２２）外周を覆う筒状部（５２）と、該筒状部（５２）の軸方向端部を塞ぐ蓋部（５３、５３０）を有しており、仕切部（４３）は蓋部（５３、５３０）から径方向に延びて、凹部（４２）を軸方向に仕切ることを特徴としている。これにより、仕切部（４３）を挟んで相反する向きの冷却風経路を形成することができる為、車両取付状態によらず請求項１と同様の効果を得ることができる。
【０００８】
請求項３の発明によれば、仕切部（４３）で仕切られて形成される通風路の軸方向隙間は、ブラシ側の軸方向隙間の方が小さいことを特徴としている。これにより、ブラシ摺接部の温度上昇に伴う圧力上昇を冷却風経路入り口側で抑えて、異物の侵入を抑制できる。請求項４の発明によれば、仕切部（４３）には、通風路を複雑にする軸方向突起部（５９）が形成されていることを特徴としている。これにより、別部品を追加することなく簡単な構造で異物の侵入経路を複雑にすることができる。
【０００９】
請求項５の発明によれば、凹部（４２）を構成する内壁面には、仕切部（４３）の縁部が挿入された溝（４４、４５）が形成されていることを特徴としている。これにより、仕切部（４３）の縁部と凹部（４２）内壁面の間にも迷路構造を形成することができ、仕切部（４３）の縁部からの異物の侵入を防止できる。請求項６の発明によれば、仕切部（４３）の縁部と溝（４４、４５）との隙間より、凹部（４２）の底面と仕切部（４３）との隙間の方が大きいことを特徴としている。これにより、確実に仕切部（４３）の縁部からの異物の侵入を防止できる。
【００１０】
請求項７の発明によれば、ブラシホルダ（２７、２６１）の軸方向端部には、蓋部（５３、５３０）と所定隙間で対向する舌（６０）部が形成されていることを特徴としている。これにより、外部からの被水に対しての防護壁となり、さらに防水性を向上できる。請求項８の発明によれば、蓋部（５３、５３０）の軸方向端面には、舌（６０）部に当接する軸方向突起（６４）が形成されていることを特徴としてしている。これにより、スリップリングカバー（３３）の組み付け時に所定の流通路面積を確保して組み付けることができ、安定した冷却性を得ることができる。又、リアカバーが舌（６０）部に当接して組み付けられる場合には、舌（６０）部の倒れ込みを抑え、流通路面積の減少を防止できる。
【００１１】
請求項９の発明によれば、蓋部（５３、５３０）とに、貫通穴（６１、６２）が設けられており、該貫通穴（６１、６２）を塞ぐシール部材（６３）が設けられていることを特徴としている。これにより、シール性を確保しつつ、ブラシ装置（２６）の組み付けを容易にすることができる。なお、上記した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明を適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
（第一実施形態）
図１は車両用交流発電機の縦断面図である。図２は要部拡大図、図３はブラシホルダの斜視図、図４はスリップリングカバーの斜視図、図５はブラシホルダをシャフト側から見た平面図、図６はブラシホルダの縦断面図、図７はスリップリングカバーの縦断面図である。
【００１３】
アルミダイカスト製のフロント側フレーム１及びリア側フレーム２は共に椀状で、それらの開口部を直接当接させて、複数個のボルト３により相互に固定されている。フロント側フレーム１の内周にはステータ４が固定されている。ステータ４はステータコア５及びステータコイル６で構成されている。フロント側フレーム１には円筒状のベアリングボックス７が一体で形成されており、リア側フレーム２には鉄製のベアリングボックス８がローレットを有するボルト９によって取付けられている。
【００１４】
回転子１０は界磁コイル１１、コアとしての一対のポールコア１２、１３、回転軸としてのシャフト１４等によって構成されており、ベアリングボックス７、８に固定される一対のベアリング１５、１６により回転自在に保持されている。ポールコア１２、１３の軸方向端面には遠心型の冷却ファン１７、１８が取付けられている。フロント側冷却ファン１７は、界磁コイル１１への冷却風をも生成するように、ブレードが回転子１０の回転方向に対して前傾させた斜流式になっている。シャフト１４の前端には、プーリ１９がナット２０により結合されており、図示しない車両エンジンにより回転駆動される。リア側フレーム２の外側に位置するシャフト１４の後端には、一対のスリップリング２１、２２が設けられており、界磁コイル１１に導体２３を介して電気的に接続されている。
【００１５】
リア側フレーム２の外側の軸方向端面には、整流装置２４、電圧調整器２５及びブラシ装置２６等のいわゆる電気部品がボルト等の締結手段によって固定されている。これらの電気部品は、鋼板製のリアカバー２７により覆われている。そして、このカバー２７には、冷却風導入窓５５がブラシ装置の周辺に同心円状に形成されている。
【００１６】
ブラシ装置２６は、接続端子が埋設される樹脂製のブラシホルダ２７、一対のブラシ２８、２９、ブラシ２８、２９と接続端子３０、３１を電気的につなぐピグテール３２、樹脂製のスリップリングカバー３３、スプリング３４、３５等で構成される。
ブラシホルダ２７は略箱形形状を成し、スリップリング３４、３５に対向する側面には、ブラシ収納部３６、３７、ピグテール収納部３８、３９、ブラシ収納部３６、３７を挟んで両側に位置して軸方向に延びる軸方向溝４０、４１及び通風路を形成する凹部４２が開口している。凹部４２は、偏平な直方体形状の空間を区画しており、その狭い両側の側壁面には、後述するスリップリングカバー３３の仕切部４３の縁部が挿入される径方向の溝４４、４５が形成されている。この凹部４２は一面のみが開口した箱状の壁により区画されている。又、ブラシホルダ２６の外壁面には、スリップリングカバー３３を係止する４ヶ所の係止部４６、４７、４８、４９が形成されている。
【００１７】
銅粉かしめによりブラシ２８、２９に接続固定されたピグテール３２は径方向端部でブラシホルダ２７に埋設される接続端子３０、３１に半田付けされる。そして接続端子３０、３１に接続される他部品との電気的接続を図っている。なお、図２にはブラシ２９のピグテール３２のみが図示されている。ブラシ２８、２９は、ブラシの後端に配設されるスプリング３４、３５によってスリップリング２１、２２に押し当てられる。
【００１８】
スリップリングカバー３３は、ブラシホルダ２７の軸方向溝に挿入される径方向断面Ｖ字状突起部５０、ブラシホルダ２７の係止部に係止される鉤状部５１、スリップリング２１、２２の外周を覆う筒状部５２、筒状部５２の軸方向後端を塞ぐ蓋部５３、蓋部から、径方向に延びる仕切部４３等で構成されている。筒状部５２の内周面には、軸方向に延びる突起部５４が形成されており、ブラシ摩耗粉を数ヶ所に分離させて、スリップリング２１、２２への付着を防止している。
【００１９】
仕切部４３はブラシホルダの凹部４２に挿入されている。仕切部４３の両側縁は凹部４２の両側面の溝４４、４５内に位置されて固定される。仕切部４３の先端縁は凹部４２の最奥壁面には達しない。このため仕切部４３は凹部４２を扁平な２空間に仕切っている。そして、内側空間４２ａがブラシ装置内に連通し、外側空間４２ｂがブラシ装置外に連通することで、屈曲した通風路を形成している。仕切部４３で仕切られた通風路の軸方向隙間は、ブラシ側の空間４２ａが空間４２ｂより小さくなっている。仕切部４３の広い表面には、凹部４２の内壁面に近接する突起部５６、５７が形成されており、仕切部４３と凹部４２の側壁面との間のシール性の向上と、仕切部４３の位置決め性向上と、仕切部４３の強度向上とを図っている。本実施形態では、突起部５６、５７は、仕切部４３の片面にのみに設けたが、両面に設けてもよい。また、要求されるシール性に応じて無くしてもよい。
【００２０】
ブラシ装置２６は、リア側フレーム２の軸方向端面との間に発泡ゴム５８を挟んで組み付けられ、この間の防水性を確保している。
この実施形態によると、ブラシホルダ２７に形成した凹部４２をスリップリングカバー３３に設けた仕切部４３で仕切って屈曲した通風路を形成しているから、簡単な構成で形状変化の少ない通風路を提供することができる。特に、通風路が凹部４２内に形成されることで、リアカバー２７の変形などがあっても所期の通風路形状を維持することができる。
【００２１】
しかも、凹部４２は、ブラシホルダ２７として必要なブラシ収容部３６、３７と平行な穴であるため、ブラシホルダ２７の成形時に同時に成形できる。そして、この穴の方向がブラシホルダ２７とスリップリングカバー３３との組付方向とも一致しているため、通風路を構成するための特別の組付工程を要することもない。
【００２２】
また、高い寸法精度が得やすい樹脂成形品であるブラシホルダ２７に箱状部分を成形して、その内部空間としての凹部４２を設け、しかもその内壁面に仕切部４３を案内し、位置決めする溝４４、４５を設けたから、変形しやすいゴム部品を用いることなく通風路を形成できる。
所要の形状の通風路を確実に得ることができるとともに、変形しやすいゴム部品を用いることなく十分なシール性が得られる。
【００２３】
なお、通風路を形成する凹部４２をスリップリングカバー３３に設け、仕切部４３をブラシホルダ２７に設けてもよい。また、シール性を高めるために仕切部４３の側縁部にゴムパッキンを装着したり接着剤を塗付することを妨げるものではない。
（第二実施形態）
図８は第二実施形態のスリップリングカバーを示す斜視図である。
【００２４】
スリップリングカバー３３０の仕切部４３０の両面に通風路にあって障害となり通風路を複雑にする複数の軸方向突起５９が設けてある。
本実施形態では、軸方向突起５９を仕切部４３０の両面に設けたが、片側のみに設けてもよい。又、突起の形状は本実施例によるものではなく、通風路を複雑にする形状であればよい。
（第三実施形態）
図９は第三実施形態を示す分解斜視図、図１０は第三実施形態の冷却風の流れを表すリアカバー２７０側から見た平面図である。
【００２５】
この実施形態では、ブラシホルダ２６１の軸方向端面に舌部６０が形成されている。さらに舌部６０とスリップリングカバー３３１の蓋部５３０には貫通穴６１、６２が設けてある。
貫通穴６１、６２は、ブラシ装置２６をスリップリング２１、２２の外周に組み付ける際に、ブラシ２８、２９をスリップリング外径位置より径方向外側の位置まで押し広げる治具を挿入する為のもので、ブラシ装置２６組み付け後に、発泡ゴム性のシール材６３で両方とも塞がれる。又、スリップリングカバー３３１には、ブラシホルダの舌部６０とスリップリングカバーの蓋部５３０の隙間を一定に保つ為に、舌部６０の裏面に当接する軸方向突起６４が形成されている。なお、この実施形態では、単純な板状の仕切部が採用されている。この実施形態では、図１０に図示されるように、シャフト１４の回転軸を中心としてブラシ装置２６を囲むようにしてリアカバー２７０には吸気孔５５０が開設されている。この実施形態では、舌部６０によりさらに長い狭小な通風路が提供される。なお、貫通穴をスリップリングカバー３３１にのみ設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】車両用交流発電機の縦断面図である。
【図２】要部拡大図である。
【図３】ブラシホルダの斜視図である。
【図４】スリップリングカバーの斜視図である。
【図５】ブラシホルダをシャフト側から見た平面図である。
【図６】ブラシホルダの縦断面図である。
【図７】スリップリングカバーの縦断面図である。
【図８】第２実施形態のスリップリングカバーを示す斜視図である。
【図９】第三実施形態を示す分解斜視図である。
【図１０】第三実施形態の冷却風の流れを表すリアカバー側から見た平面図である。
【符号の説明】
２１、２２…スリップリング、２６…ブラシ装置、２７…ブラシホルダ、
２８、２９…ブラシ、３２…ピグテール、３３…スリップリングカバー、
３４、３５…スプリング、４２ａ、４２ｂ…空間、４３…仕切部、
５４…突起部、５５…冷却風導入窓、５８…発泡ゴム。

Claims

回転軸（１４）と、界磁コイル（１１）と、前記回転軸（１４）の一端に設けられ前記界磁コイル（１１）と電気的に接続されるスリップリング（２１、２２）とを有する回転子および、前記スリップリング（２１、２２）に摺接するブラシと、前記ブラシを押圧するスプリング（３４、３５）と、前記ブラシを収納するブラシ収納部（３６、３７）が形成されるブラシホルダ（２７、２６１）と、前記スリップリング（２１、２２）の外周を覆うスリップリングカバー（３３）とを有するブラシ装置（２６）を備えた車両用交流発電機において、
前記ブラシホルダ（２７、２６１）に設けられた凹部（４２）と、前記スリップリングカバー（３３）に設けられ前記凹部（４２）内に挿入配置されて前記凹部（４２）内を仕切り、前記ブラシのスリップリング（２１、２２）との摺接部に連通する屈曲した通風路を形成する仕切部（４３）とを備え、
前記凹部（４２）は、前記ブラシホルダ（２７、２６１）の前記スリップリング（２１、２２）に対向する側面に形成された、前記ブラシ収納部（３６、３７）と平行な穴であることを特徴とする車両用交流発電機。
前記スリップリングカバー（３３）は、前記スリップリング（２１、２２）外周を覆う筒状部（５２）と、該筒状部（５２）の軸方向端部を塞ぐ蓋部（５３、５３０）を有しており、前記仕切部（４３）は前記蓋部（５３、５３０）から径方向に延びて、前記凹部（４２）を軸方向に仕切ることを特徴とする請求項１に記載の車両用交流発電機。
前記仕切部（４３）で仕切られて形成される通風路の軸方向隙間は、前記ブラシ側の軸方向隙間の方が小さいことを特徴とする請求項２に記載の車両用交流発電機。
前記仕切部（４３）には、前記通風路を複雑にする軸方向突起部（５９）が形成されていることを特徴とする請求項２又は３に記載の車両用交流発電機。
前記凹部（４２）を構成する内壁面には、前記仕切部（４３）の縁部が挿入された溝（４４、４５）が形成されていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１つに記載の車両用交流発電機。
前記仕切部（４３）の縁部と前記溝（４４、４５）との隙間より、前記凹部（４２）の底面と前記仕切部（４３）との隙間の方が大きいことを特徴とする請求項５に記載の車両用交流発電機。
前記ブラシホルダ（２７、２６１）の軸方向端部には、前記蓋部（５３、５３０）と所定隙間で対向する舌（６０）部が形成されていることを特徴とする請求項２乃至６のいずれか１つに記載の車両用交流発電機。
前記蓋部（５３、５３０）の軸方向端面には、前記舌（６０）部に当接する軸方向突起（６４）が形成されていることを特徴とする請求項７に記載の車両用交流発電機。
前記蓋部（５３、５３０）に貫通穴（６１、６２）が設けられており、該貫通穴（６１、６２）を塞ぐシール部材（６３）が設けられていることを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１つに記載の車両用交流発電機。