JP3901389B2 - 凝集沈澱装置およびそれを用いた水処理方法 - Google Patents

凝集沈澱装置およびそれを用いた水処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水中の懸濁物質を凝集沈澱により汚泥と処理水とに分離する凝集沈澱装置、およびそれを用いた水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原水中に懸濁している物質(以下、SS[Suspended Solid] と称することもある。)を沈澱により分離除去する装置が知られている。従来の原水中のSSを除去するための凝集沈澱装置として、原水に単に凝集剤を添加して凝集物を沈澱させ、凝集物を汚泥として引き抜くとともに上部から処理水を導出するようにした装置はよく知られている。
【0003】
このような一般的な凝集沈澱装置では、凝集物の沈澱に長時間を要し、沈澱槽としても極めて大型のものが要求されることから、より効率よく凝集沈澱を行わせるようにした凝集沈澱装置が提案されている。
【0004】
たとえばフランス特許第1411792号には、凝集槽において、原水に凝集剤とともに、粒径10〜200μm程度の粒状物(代表的には、砂)を添加し、原水中のSSを比重の大きい粒状物を含んだ比較的大きなフロックとして凝集させ、沈澱槽において凝集槽から導入された被処理水中のフロックを沈澱させて処理水と分離する凝集沈澱装置が開示されている。沈澱槽から引き抜かれた沈澱フロックは、サイクロン等の分離器により汚泥と粒状物とに分離され、分離された粒状物は凝集槽に戻されて循環使用される。
【0005】
ところが現実には、凝集剤の添加量が少量であることから、粒状物もそれに対応して少量しか添加されておらず、迅速かつ分離効率のよい沈澱を実現させるだけのフロックまで成長させることが困難であった。したがって、現実の運転においては、沈澱槽における水処理の線速度は6〜8m/h程度しか達成できず、より高流速の線速度の達成は困難であるというのが実情であった。
【0006】
このような実情に対し、特許第2634230号公報には、凝集槽と沈澱槽との間に攪拌機を備えた中間槽を設けることにより、高流速の線速度での処理を可能とした凝集沈澱装置が開示されている。
【0007】
この凝集沈澱装置は、たとえば図6に示すように構成されており、原水101にたとえば無機凝集剤102と高分子凝集剤103とともに粒状物としての砂104が添加され、凝集槽105内で攪拌機106で攪拌されつつ原水中のSSが凝集され、被処理水が中間槽107に導入されて、さらに攪拌機108で攪拌されつつ、フロックの成長がより助長されるようになっている。成長した砂含有のフロックを含む被処理水が沈澱槽109に導入されるので、フロックはより効率よく迅速に沈澱し、より短時間で処理水110と分離できるようになる。特許第2634230号公報によると、この凝集沈澱装置により、線速度が30〜60m/h、さらには90m/hという高流速での処理が可能になると記載されている。この凝集沈澱装置では、砂104は、原水に対し1〜4g/lの濃度で運転されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許第2634230号に提案されている装置においては、凝集槽105と沈澱槽109の間に攪拌を伴う中間槽107を設ける必要があるので、その分、設備費、電力量、設置面積の増大を招くことになっている。
【0009】
また、上記特許においては、原水量に対する砂の注入率をある狭い範囲(1〜4g/l)にすることが提案されているが、原水量の変動、原水水質の変動、それら変動に伴う凝集剤の添加量の変更により、原水量に対する砂の注入率は変化するので、現実の運転に際してはその管理が非常に困難である。
【0010】
さらに、図6に示したように、沈澱槽109の底部に沈澱したフロックは汚泥引抜ポンプ111により引き抜かれ、サイクロン等からなる分離器112によって汚泥113と砂104とに分離され、分離された砂104が凝集槽105に戻されて循環使用されるようになっているが、砂104は、分離器112では完全に分離されずにその一部が汚泥とともに系外に排出されたり、処理水110中のSSとして系外に排出されることがあるので、系内の砂量が運転時間の経過とともに減少することになる。そのため、初期的に系内の砂の濃度を原水量に対し前述したような濃度に管理したとしても、長時間にわたって安定的に運転することは困難であった。
【0011】
そこで本発明の課題は、上記のような中間槽を設けることなく、沈澱槽における処理の線速度が30〜100m/hという高速処理を可能とし、かつ、原水量に対する粒状物の注入率を実質的に管理することなく長時間にわたって目標とする高速処理を安定して行うことのできる、より安価でしかも設置面積も小さくて済む凝集沈澱装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の凝集沈澱装置は、原水中の懸濁物質を凝集剤と粒状物の添加によりフロックとして凝集させる凝集槽と、凝集槽からの導入水中のフロックを沈澱させ処理水とフロックとに分離する沈澱槽とを備えた凝集沈澱装置において、凝集槽に、汚泥濃度を測定するためのサンプリング装置が付設され、該サンプリング装置により測定された汚泥濃度が、凝集槽内における粒状物の濃度とみなされ、該凝集槽内の粒状物の濃度が5g/l以上に維持されることを特徴とするものからなる。すなわち本発明においては、後述の如く、サンプリング装置により測定された凝集槽内における汚泥濃度が、凝集槽内における粒状物の濃度を実質的に代表できることに着目し、監視の行いやすいサンプリング装置により測定された汚泥濃度に基づいて、凝集槽内の粒状物の濃度目標とする範囲内に維持するのである。
【0013】
凝集槽内の粒状物の濃度は、好ましくは5g/l〜200g/lの範囲にあり、より好ましくは10g/l〜150g/lの範囲、さらに好ましくは10g/l〜120g/lの範囲、特に好ましくは15g/l〜80g/lの範囲である。
【0014】
また、使用する粒状物の粒径はとくに限定しないが、粒状物の数と凝集されるフロックの大きさ、あるいはフロックの成長との間には相関関係があると考えられることから、粒状物の平均粒径と凝集槽内の粒状物の濃度との比率を特定の範囲に管理することは、粒状物を含むフロックを効率よく沈澱に最適な大きさや比重にまで成長させるのに有効である。この面から、粒状物の平均粒径d(μm)に対する凝集槽内の粒状物の濃度C(g/l)の比C/dが0.1〜2の範囲にあることが好ましい。
【0015】
粒状物としては、代表的には砂を使用することができ、とくに粒径を揃えた、平均粒径が上記のような範囲を満足するものが好ましい。また、凝集剤としては、通常、無機凝集剤と高分子凝集剤を使用することができる。無機凝集剤は、原水中の懸濁物質を効率よく凝集させることができ、高分子凝集剤は、無機凝集剤によって生成した微細な凝集フロックをさらにポリマーを絡めてより大きなフロックへと成長させる。この成長したフロック内に、比重の大きい砂等からなる粒状物が混在し、全体として比重(密度)の大きい沈澱しやすいフロックが形成されることになる。
【0016】
凝集槽には、汚泥濃度を測定するためのサンプリング装置を付設しておく汚泥濃度の測定は、必ずしも連続的に行う必要はなく、比較的長時間の間隔をもって、定期的にあるいは不定期に測定すればよい。装置運転中には、初期に添加した粒状物のほとんどは凝集槽の中にあり、沈澱槽や沈澱槽からの循環ライン中の粒状物の量はわずかしかないので、粒状物量の監視には、凝集槽内の汚泥濃度の測定が最適である。すなわち、凝集剤の添加量は粒状物の添加量に比べはるかに少なく、かつ、凝集槽内における、5g/l以上と高濃度でしかも比重の大きい粒状物と汚泥成分との比率は重量比で、たとえば30:1〜300:1程度であるので、汚泥全体(つまり、粒状物を含むフロックに成長した汚泥成分)の濃度は粒状物の濃度を実質的に代表していることになる。したがって、この凝集槽内の汚泥濃度を測定することにより、凝集槽内の粒状物の濃度を前述した所定の範囲内に管理することができる。
【0017】
また、凝集槽の下部は、下方に向かって狭まるコーン状に形成されていることが好ましい。このような形状の槽に形成しておけば、攪拌によりフロックとして成長させる際に、凝集槽の底部まで良好に攪拌され、成長したフロックが凝集槽底部に溜まることが抑制され、良好に沈澱槽へと移送される。
【0018】
沈澱槽に対しては、図6に示した装置と同様に、沈澱されたフロックを引き抜くラインが接続されればよく、該引抜ラインには、引き抜かれたフロックを汚泥と凝集槽に循環される粒状物とに分離する手段(たとえば、サイクロン)が設けられればよい。
【0019】
本発明に係る水処理方法は、上記のような凝集沈澱装置を用いて原水の処理を行う方法からなる。
【0020】
長期間にわたる処理に際して、凝集槽内の汚泥濃度を測定し、測定された汚泥濃度に基づいて、凝集槽内の粒状物の濃度を管理すればよい。前述したように、凝集槽内の汚泥濃度は凝集槽内の粒状物の濃度を代表するから、この管理によって粒状物の濃度を目標とする濃度範囲内に維持することが可能になる。
【0021】
上記のような本発明に係る凝集沈澱装置およびそれを用いた水処理方法においては、凝集槽内の汚泥濃度の測定に基づいて、凝集槽内における粒状物の濃度が、5g/l以上と従来にない高濃度に維持されて運転される。このような粒状物濃度とすることにより、驚くべきことに、中間槽を設けることなく、比較的大きな、粒状物を含むフロックが迅速に成長、形成され、沈澱槽において30〜100m/hという高流速の線速度での処理が可能となる。形成されたフロック全体内に占める粒状物の割合も高いから、フロックの比重(密度)も大きくなり、沈澱槽におけるより高速の沈澱が可能になる。中間槽を設けなくて済むので、設備費も安価であり、設置面積も小さい。
【0022】
また、本発明においては、基本的に、原水量に対する粒状物の注入量を管理する必要はなく、凝集槽内における粒状物の濃度が所定の範囲になるように運転を続ければよいから、原水変動や水質変動に対しても煩雑なメンテナンス、管理は不要になる。したがって、長時間にわたって安定した、処理水水質の良好な水処理が可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る凝集沈澱装置1を示している。凝集沈澱装置1は、凝集槽2と、それに隣接配置された沈澱槽3を備えている。凝集槽2には、原水供給ライン4を介して原水5が供給され、本実施態様では、無機凝集剤6と、高分子凝集剤7がライン注入される。無機凝集剤6の注入位置の下流側には、スタティックミキサー等からなるミキサ8が介装されており、注入された凝集剤が原水に良好に混合されるようになっている。ただし、これら凝集剤は、凝集槽2に直接投入することも可能である。
【0024】
無機凝集剤6としては、たとえばポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄、硫酸第二鉄を使用でき、高分子凝集剤7としては、たとえばノニオン性、アニオン性あるいは両性の高分子凝集剤を用いることができる。アニオン性の高分子凝集剤としては、たとえば、アクリル酸またはその塩の重合物、アクリル酸またはその塩とアクリルアミドとの共重合物、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸塩の共重合物、アクリル酸またはその塩とアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の3元共重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。ノニオン性の高分子凝集剤としては、代表的なものとしてポリアクリルアミドが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。両性の高分子凝集剤としては、たとえば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩および4級塩(塩化メチル塩等)等の少なくとも1種のカチオン性単量体と、アクリル酸およびその塩(ナトリウム、カルシウム等の塩類)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩(ナトリウム、カルシウム等の塩類)等の少なくとも1種のアニオン性単量体の共重合物、あるいは、上記の少なくとも1種のカチオン性単量体および上記の少なくとも1種のアニオン性単量体とアクリルアミド等の少なくとも1種のノニオン性単量体との三元もしくは四元以上の共重合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。高分子凝集剤の分子量の範囲は特に限定されないが、500万〜2000万の範囲が好ましい。これらの高分子凝集剤は、単独で又は混合物として用いることができる。高分子凝集剤の添加量は、一般的に経済的な観点から0.3〜2mg/l程度である。
【0025】
凝集槽2内には、粒状物としての砂9が添加される。添加量は、凝集槽2内における砂9の濃度が5g/l以上になるように初期添加され、後述の如く、所定の濃度を維持できるように、定期的にあるいは不定期に不足分が補充される。添加量は、好ましくは5g/l〜200g/lの範囲、より好ましくは10g/l〜150g/lの範囲、さらに好ましくは10g/l〜120g/lの範囲、特に好ましくは15g/l〜80g/lの範囲とされる。
【0026】
凝集槽2には、モータ10によって駆動される攪拌機11が設けられており、攪拌により原水中の懸濁物質が、無機凝集剤6、高分子凝集剤7、砂9を含むフロックとして凝集される。
【0027】
この凝集においては、無機凝集剤6が懸濁物質を凝集させて微細なフロックを生成させ、それに高分子凝集剤7が絡まってより大きなフロックに成長させ、成長したフロックには比重の大きい粒状物としての砂9が含有され、全体として比較的大きな、比重の大きい沈澱しやすいフロックに成長する。とくに本発明においては、砂9の濃度が従来よりも大幅に高いので、より沈澱しやすいフロックに形成される。
【0028】
フロックの成長は、攪拌機11の攪拌翼近傍よりはむしろその上方部位で進む。凝集槽2の下部2aは、下方に向かって狭まるコーン状に形成されており、攪拌翼の回転に伴って回動する被処理水の回転流の流速が下部2aにおいて高められるため、凝集槽2の下部2aへのフロックの沈澱や堆積は適切に防止されている。
【0029】
成長した凝集フロック13を含む被処理水は、越流ぜき12を介して沈澱槽3へと導入される。沈澱槽3では、導入水中のフロックが下方に沈澱され、沈澱されたフロックは上方の処理水14に対して分離される。沈澱槽3内の上部には、複数の傾斜板15が並設されており、処理水14とともにフロックが流出するのを抑制している。
【0030】
沈澱槽3の底部には、沈澱されたフロックを引き抜くための引抜ライン16が接続されており、汚泥引抜ポンプ17によって、沈澱した凝集フロックが引き抜かれる。引き抜かれたフロックは、分離器としてのサイクロン18に送られ、サイクロン18内における遠心分離により、汚泥19と砂9とに分離される。分離された砂9は、再び凝集槽2内に戻されて循環使用される。
【0031】
本実施態様においては、凝集槽2に、凝集槽2内における汚泥濃度を測定するためのサンプリング装置20が付設されている。このサンプリング装置20は、常時設置される装置としてもよく、たとえば移動式、可搬式として、必要なときにのみ濃度を測定できる手段に構成してもよい。前述の如く、凝集槽2内における汚泥濃度は、凝集槽2内における砂の濃度を代表する。
【0032】
上記のように構成された凝集沈澱装置1においては、凝集槽2内における砂9の濃度が目標値以上を維持できるように、砂9の初期投入量が設定される。この設定は、少し余裕をもって多目に設定され、運転中に系外に持ち去られる砂の量によって系内を循環使用される砂の量が減少した場合には、目標値以上の砂量を維持できるように適宜補充される。補充の間隔は、初期投入量にもよるが、この補充は、凝集槽2内における汚泥濃度の測定結果に基づいて、定期的にあるいは不定期に行えば十分である。
【0033】
たとえば、40g/lの濃度になるように砂9を凝集槽2に初期投入し、濃度が10g/lまで減少したときに、30g/l分の砂を補充するようにする。砂9の濃度の低下(系外への砂の持ち去り)には長時間を要するので、実際には上記のような運転管理方法により長時間にわたって安定した運転が可能である。
【0034】
本発明では、凝集槽2内における砂9の濃度が5g/l以上と、従来よりもはるかに高濃度の状態で運転されるので、砂9を含有した比重の大きい、比較的大きなフロックが形成され、沈澱槽3においては、迅速な沈澱が可能となって、30〜100m/hという高い線速度での処理が可能となる。
【0035】
凝集槽2内における砂9の濃度が5g/l未満では、生成されるフロックが軽いためフロックが流出するおそれがあり、沈澱槽3における高速処理は難しくなる。また、このような低濃度で高速処理を行うためには、前述したような中間槽の設置が必要になる。また、凝集槽2内における砂9の濃度は200g/l以下であることが好ましく、従来と同様の無機凝集剤6、高分子凝集剤7の添加量では、砂9の濃度が200g/lを越えると、凝集力が不足して生成されるフロックの径が小さくなり、フロックが処理水中に混入する量が多くなって処理水の水質を悪化させるおそれがある。凝集剤は高価なものであるため、極端に増量することはできないから、砂9の濃度の増加を凝集剤の増量で補う方法は現実的ではない。この面からも、砂9の濃度を200g/l以下に抑えることが好ましい。
【0036】
凝集槽2内における砂9の濃度を上記の範囲とすることにより、中間槽を設けることなく、線速度が30〜100m/hという高速処理にて、長時間にわたって安定した水処理が可能になる。
【0037】
また、本発明ではこのように砂9の濃度を従来にはない濃度にまで高めて運転するが、フロックの凝集による成長をミクロ的にみると、原水中の懸濁物質に対する砂の絶対数が効いてくることも考えられる。これに対しては、砂9の平均粒径d(μm)に対する凝集槽2内の砂9の濃度C(g/l)の比C/dを0.1〜2の範囲とすればよい。この範囲内のC/dにすることにより、より良好に比較的大きなフロックの成長が確保され、それによって沈澱処理の高速性も確保される。
【0038】
本発明で規定したように凝集槽内における砂の濃度を、5g/l以上、あるいは5g/l以上200g/l以下とすることの効果を確認するために、以下のような実験を行った。
【0039】
〔実験〕
懸濁物質としてカオリンを原水に添加した人口濁水に、無機凝集剤としてPACを注入してラインミキシングし、凝集槽に高分子凝集剤としてのポリマーを注入し、以下の条件で実験して、処理水の濁度を測定した。(実験は図1に示した装置にて行った。)
【0040】
Figure 0003901389
【0041】
砂添加量を2.5g/lから添加していくと、図2、図3に示すように、5g/l以上程度で急激に処理水濁度は良くなったが、さらに砂を添加してある量を越えた場合には悪化し、砂の添加量には適切な範囲があった。この適切な範囲は、ポリマー添加量の増加とともに砂添加量の多い方に広がった。
【0042】
処理水濁度の目標値を3度以下とした場合、ポリマー(高分子凝集剤)注入量を通常の経済的観点からの上限値2.0mg/lとした場合、砂の添加量は200g/l以下(図3、水温12℃の場合)、あるいは150g/l以下(図2、水温6℃の場合)が好適である。
【0043】
また、ポリマー注入量は、通常は0.3mg/l〜1.0mg/l程度であるので、より好ましい砂添加量の範囲は、10g/l〜150g/lの範囲、さらに好ましくは10g/l〜120g/lの範囲、より高い処理水質を得るために(たとえば濁度1度以下にするためには)、特に好ましくは15g/l〜80g/lの範囲である。
【0044】
このように、本発明で規定した凝集槽内における砂濃度とすることにより、中間槽を設けることなく、水質の良好な処理水を高速でかつ安定して得ることができる。
【0045】
なお、凝集槽内における粒状物の最適な濃度は、図2や図3に示したように、高分子凝集剤の注入量や水温等によって、とくに濃度の上限値がばらつくことが判明した。
【0046】
この上限値のばらつきに対しては、以下のような考え方によって対処が可能である。砂(粒状物)の凝集槽内における濃度の目標上限値α(g/l)、つまり、砂(粒状物)の凝集槽内における濃度範囲を5〜α(g/l)とすると、
α=β√x (1)
で表わすことが可能である。ここで、
β : 高分子凝集剤の種類や水温等によって変化する係数
x : 原水に対する高分子凝集剤注入量(mg/l)
である。
【0047】
すなわち、前述の実験結果において、処理水濁度の許容値を3度とした場合、水温6℃と12℃の場合のデータは図4、図5に示すようになった。図4、図5では、高分子凝集剤(ポリマー)添加量の平方根(√x)を横軸にとり、砂添加量の上限値αを縦軸にとってある。図4(水温6℃)の場合には、特性線の傾き、つまりβは108.07となり、図5(水温12℃)の場合には、βは165.65となった。
【0048】
求められたβの値、そのときの高分子凝集剤添加量から、水温に応じた、最適な砂添加量の上限値を求めることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の凝集沈澱装置およびそれを用いた水処理方法によれば、凝集槽内の汚泥濃度の測定に基づいて、粒状物の凝集槽内における濃度を最適な高濃度範囲とすることにより、凝集槽と沈澱槽との間に中間槽を設けることなく、沈澱槽における処理を線速度30〜100m/hという高速処理で行うことが可能となる。また、粒状物の凝集槽内の濃度を最適な範囲とすることにより、極めて良好な処理水の水質も達成できる。中間槽を設けなくてもよいから、装置全体を安価に構成でき、設置面積も小さい。
【0050】
また、原水量に対する粒状物の注入量を実質的に管理する必要がなく、原水変動や水質変動に対しても煩雑なメンテナンスや管理を行う必要がなくなり、長時間安定して所定の運転を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る凝集沈澱装置の全体構成図である。
【図2】本発明による効果を確認するための実験で得た、水温6℃時の特性図である。
【図3】同実験による水温12℃時の特性図である。
【図4】式(1)の係数βを求めるための水温6℃時の特性図である。
【図5】式(1)の係数βを求めるための水温12℃時の特性図である。
【図6】従来の凝集沈澱装置の全体構成図である。
【符号の説明】
1 凝集沈澱装置
2 凝集槽
2a 凝集槽の下部
3 沈澱槽
4 原水供給ライン
5 原水
6 無機凝集剤
7 高分子凝集剤
8 ミキサー
9 粒状物としての砂
10 モータ
11 攪拌機
12 越流ぜき
13 成長したフロック
14 処理水
15 傾斜板
16 引抜ライン
17 汚泥引抜ポンプ
18 分離器としてのサイクロン
19 汚泥
20 サンプリング装置

Claims (9)

  1. 原水中の懸濁物質を凝集剤と粒状物の添加によりフロックとして凝集させる凝集槽と、凝集槽からの導入水中のフロックを沈澱させ処理水とフロックとに分離する沈澱槽とを備えた凝集沈澱装置において、凝集槽に、汚泥濃度を測定するためのサンプリング装置が付設され、該サンプリング装置により測定された汚泥濃度が、凝集槽内における粒状物の濃度とみなされ、該凝集槽内の粒状物の濃度が5g/l以上に維持されることを特徴とする凝集沈澱装置。
  2. 凝集槽内の粒状物の濃度が5g/l〜200g/lの範囲に維持される、請求項1の凝集沈澱装置。
  3. 粒状物の平均粒径d(μm)に対する凝集槽内の粒状物の濃度C(g/l)の比C/dが0.1〜2の範囲にある、請求項1または2の凝集沈澱装置。
  4. 粒状物が砂である、請求項1ないし3のいずれかに記載の凝集沈澱装置。
  5. 凝集剤が無機凝集剤と高分子凝集剤を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の凝集沈澱装置。
  6. 凝集槽の下部が、下方に向かって狭まるコーン状に形成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の凝集沈澱装置。
  7. 沈澱槽に、沈澱されたフロックを引き抜くラインが接続され、該引抜ラインに、引き抜かれたフロックを汚泥と凝集槽に循環される粒状物とに分離する手段が設けられている、請求項1ないし6のいずれかに記載の凝集沈澱装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の凝集沈澱装置を用いて原水の処理を行うことを特徴とする水処理方法。
  9. 凝集槽内の汚泥濃度を測定し、測定された汚泥濃度に基づいて、凝集槽内の粒状物の濃度を管理する、請求項8の水処理方法。
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