JP3896896B2 - コネクタ - Google Patents
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- H01R13/4364—Insertion of locking piece from the front
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- Connector Housings Or Holding Contact Members (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具を二重係止する機能を備えたコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
端子金具を二重係止する機能を備えたコネクタとして、従来、実開平04−102576号公報に開示されているものがある。これは、端子金具と、端子金具を挿入させるためのキャビティを有するハウジングと、ハウジングに対して前方から組み付けられるフロントリテーナとを備えている。後方からキャビティに端子金具を挿入する過程では、キャビティ内のランスが端子金具との干渉により弾性撓みし、端子金具が正規挿入位置に達すると、ランスが弾性復帰して端子金具に係止してその端子金具を抜止め状態とする。この状態から、フロントリテーナをハウジングに組み付けると、フロントリテーナの抜止部が、ランスの撓み空間内に嵌入し、そのランスが端子金具から外れる方向へ弾性撓みすることを規制する。このように、端子金具は、ランスの係止による直接的な抜止め手段と、ランスをフロントリテーナで撓み規制する間接的な抜止め手段とによって、二重係止状態とされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにランスで端子金具を抜け止めするコネクタでは、端子金具の挿入過程でランスが撓み空間側へ弾性撓みしたときの撓み量が、端子金具とランスとの係止代となる。したがって、端子金具とのランスの係止代を大きくするためには、ランスの弾性撓み量、即ち撓み空間の寸法を大きく確保すればよい。
ところが、端子金具の挿入過程におけるランスの弾性撓み量を大きくすると、ランスに蓄勢される弾性復元力が増し、その分、ランスと端子金具との間の摩擦抵抗が大きくなる。そのため、端子金具の挿入に抗する抵抗が増大するだけでなく、電線を摘んで挿入作業を行う場合には電線が座屈(腰折れ)する虞もあり、端子金具の円滑な挿入作業に支障を来すことになる。
【0004】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、端子金具の挿入作業性を低下させることなく、端子金具を抜止め機能の信頼性向上を図ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、後方から端子金具を挿入させるためのキャビティを有するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられるリテーナとを備えてなり、前記キャビティに前記端子金具を挿入する過程では、前記キャビティ内のランスが前記端子金具との干渉により弾性撓みし、前記端子金具が正規挿入位置に達した状態では、前記ランスが、自由状態に復帰して前記端子金具に係止することでその端子金具を抜止め状態とし、前記リテーナを前記ハウジングに組み付けた状態では、前記リテーナが、前記ランスの撓み空間内に嵌入して、そのランスが前記端子金具から外れる方向へ弾性撓みすることを規制するようにしたものにおいて、前記ランスが弾性撓みしない自由状態においては、前記ランスと前記端子金具との間に前記ランスが前記端子金具側へ弾性撓みすることを許容する隙間が空けられており、前記リテーナが前記撓み空間に嵌入された状態では、前記ランスが、前記リテーナに押されて自由状態から前記端子金具側へ撓まされることで、前記ランスと前記端子金具との間の係止代が増大するようになっている構成とした。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記キャビティの前端部を構成する壁部が他のキャビティとは独立した形態で突出する形態とされているとともに、前記リテーナには、前記キャビティの前端部を構成する前記壁部に対して包囲するように嵌合される嵌合部が形成されており、前記リテーナにおける前記撓み空間への嵌入部が前記嵌合部に形成されている構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記ランスが前方へ片持ち状に延出する形態とされているとともに、そのランスの延出端が前記端子金具への係止部とされている構成とした。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記ランスが前方へ片持ち状に延出する形態とされているものにおいて、前記リテーナが、前記ランスと前記端子金具との係止位置よりも後方において前記ランスに当接され、前記ハウジング又は前記端子金具には、前記ランスにおける前記端子金具との係止部が前記端子金具側へ変位することを規制可能な変位規制部が設けられている構成とした。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明において、前記ランスの側縁部には、前記撓み空間とは反対側を向く可動面が形成され、前記ランスの側縁部に沿うように設けられることで前記キャビティを構成する側壁には、前記可動面と対向する受け面が形成されており、前記リテーナが前記ランスを前記端子金具側へ撓ませた状態では、前記可動面が前記受け面に対して接近又は当接する構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
リテーナが撓み空間に嵌入された状態では、ランスが、自由状態よりも端子金具側へ撓まされるので、その撓み分だけランスと端子金具との係止代が増大する。したがって、端子金具の挿入過程におけるランスの弾性撓み量、即ち端子金具を挿入する時の抵抗を小さく抑えつつ、端子金具とランスとの係止代を大きく確保することができる。
[請求項2の発明]
ランスの嵌合部は、キャビティの前端部を構成する壁部に対して包囲するように嵌合されるので、キャビティ及びキャビティに挿入されている端子金具に対して遊動することがない。したがって、この嵌合部に形成されている嵌入部も、キャビティ及び端子金具に対して遊動することがなく、ランスを確実に端子金具側へ撓ませることができる。
【0010】
[請求項3の発明]
端子金具との係止部から更に係止解除用治具のための引掛部を延出させた形態のランスの場合は、自由状態のランスを端子金具側へ撓ませたときにその治具用の引掛部が端子金具の外面と干渉してランスの撓み量が制約される。これに対し本発明では、ランスが片持ち状に延出してその延出端を端子金具に係止させる形態となっているので、上記引掛部のように端子金具の外面と干渉する部位がない。したがって、ランスの端子金具への撓み量を大きく確保することができる。
【0011】
[請求項4の発明]
端子金具に対して後方から引張力が作用した場合、ランスが、その撓みの支点位置と端子金具に対する係止位置との間の部分を撓み空間側へ屈曲させつつ座屈変形することが懸念される。しかし、撓みの支点位置と端子金具に対する係止位置との間(=端子金具との係止位置よりも後方)においては、ランスに対して撓み空間側からリテーナが当接しているので、ランスが撓み空間側へ屈曲するような形態で座屈変形することはない。また、ランスの延出端部はリテーナから離間する方向(=端子金具側)への変位が規制されているので、リテーナがランスに当接する状態が保たれ、上記のリテーナによる座屈防止機能が損なわれることはない。
【0012】
[請求項5の発明]
キャビティは、側壁とランスの側縁部との隙間を介して外部に開放されているため、この隙間により、隣り合うキャビティの端子金具同士の間でリークが発生することが懸念される。しかし、本発明では、側壁の受け面に対してランスの可動面が接近又は当接するようになっているので、側壁とランスとの隙間が塞がれた状態となり、これによってリークが防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図9を参照して説明する。
【0014】
本実施形態のコネクタは、ハウジング10、リテーナ30及び端子金具40を備えて構成されている。
ハウジング10は合成樹脂製であって、その内部には複数のキャビティ11がハウジング10の前後両端面に開口して形成されている。これらのキャビティ11は、上下2段に分かれるとともに、各段において横に並ぶ形態で配置されている。
上段側のキャビティ11の前端部は、左右一対の側壁12と、この両側壁12の前端部同士を連結する前面壁13とによって構成されており、下段側のキャビティ11の前端部は、左右一対の側壁12と、この両側壁12の前端部同士を連結する前面壁13と、両側壁12及び前面壁13の下縁に連なる底壁14とによって構成されている。キャビティ11の前端部を構成するこれらの壁部は、図7に示すように、他のキャビティ11の前端部を構成する壁部とは独立して個別に前方へ突出した形態の突出部15となっている。尚、前面壁13には、端子金具40のタブ42をキャビティ11外へ突出させるためのタブ孔16が形成されている。
【0015】
各突出部15の上面、即ち両側壁12の間の領域は開口した形態となっていて、この開口部における略後半分領域は、ハウジング10に形成したランス20によって上から覆われている。ランス20の左右両側縁部と両側壁12の上端縁との間には、前後方向のスリット状をなす隙間が空けられている。この側壁12の上端面、即ちランス20の側縁部の下面と対向する面は受け面18とされている。この受け面18は、キャビティ11に対する端子金具40の挿入方向(水平方向)と略並行をなしている。また、この受け面18は、ランス20の延出端部(前端部)即ち端子金具40に対する係止部23が端子金具40側(下方)へ変位するのを規制するための変位規制部としても機能する。
【0016】
ハウジング10には、キャビティ11の上面の開口部に沿って前方へ片持ち状に延出した形態であって、上下方向への弾性撓みを可能とされたランス20が形成されている。このランス20は、横断面形状(前方から視た形状)が左右対称な凸字形をなしており、幅方向(左右方向)中央は上下の厚さ寸法の大きい肉厚部21とされ、その肉厚部21の左右両側は上下の厚さが肉厚部21よりも薄い肉薄部22とされている。ランス20の下面(端子金具40と対応する面)においては肉厚部21と肉薄部22の下面同士が面一状に連続するが、ランス20の上面(後述する撓み空間26に臨む面)においては、肉厚部21が肉薄部22よりも上方へ突出した形態となっている。
【0017】
かかるランス20の前端下縁部は、端子金具40に係止してその端子金具40を抜止めするための係止部23となっている。ランス20が弾性撓みしない自由状態においては、係止部23がキャビティ11内における端子金具40の挿入空間内に突出した状態、即ちキャビティ11の天井面よりも下方へ突出した状態となる。また、肉薄部22の上面(撓み空間26と対応する面)は、前下がりに傾斜したガイド斜面24となっており、このガイド斜面24には後述するリテーナ30が当接されるようになっている。
【0018】
また、ランス20の幅寸法はキャビティ11を構成する側壁12の外面間の距離と同じ寸法とされ、前方から視ると、肉薄部22の左右両側面が側壁12の外面に対して面一となっている。ランス20の肉薄部22の側縁部における下面(撓み空間26とは反対側の面)は、側壁12の受け面18に対して上下に対向する可動面25となっている。ランス20が弾性撓みしていない自由状態においては、可動面25は受け面18と略並行をなしている。
【0019】
各キャビティ11のランス20の上方には、そのランス20の上方への弾性撓みを許容するための撓み空間26が、ハウジング10の前端面に開口する形態で形成されている。下段側のランス20の撓み空間26は、ランス20の肉厚部21と対応する領域において上段側のキャビティ11に連通されており、この下段側のランス20は、上段側のキャビティ11と下段側のキャビティ11との間を仕切るように位置している。
【0020】
リテーナ30は合成樹脂製であって、ハウジング10に対して前方から組み付けられる。ハウジング10には、上記した突出部15及びランス20を包囲するとともに前方へ開放された形態の組付け空間27が形成されており、リテーナ30は、この組付け空間27内に収容される正規組付け位置(図1及び図5を参照)と、組付け空間27から前方へ退避した仮組付け位置(図2及び図4を参照)とに組み付けられるようになっている。
【0021】
リテーナ30の後面部には、各突出部15を、夫々、個別に上下左右方向へのガタ付きなく嵌合させるための嵌合部31が形成されている。個々の嵌合部31は、略角筒状をなし、突出部15に対して包囲するように嵌合される。そして、突出部15は上下左右に整列されていることから、これら角筒状をなす嵌合部31の集合体として見ると、全体として格子状をなしている(図9を参照)。
各嵌合部31には、夫々、各ランス20の肉薄部22と対応する嵌入部32が形成されている。この嵌入部32は嵌合部31(突出部15を包囲する部分)の一部を構成するものである。嵌入部32の下面には、ランス20のガイド斜面24と対応する押圧斜面33が形成されている。
【0022】
尚、嵌合部31には、ランス20の肉厚部21との干渉を回避するための逃がし溝34が形成されている。また、リテーナ30には、端子金具40のタブ42を貫通させるための貫通孔35がキャビティ11のタブ孔16と対応するように形成されている。
リテーナ30が仮組付け位置にある状態では、嵌入部32はランス20よりも前方に離れた位置にあるが、リテーナ30を正規組付け位置へ押し込むと、各嵌入部32が撓み空間26に嵌入される。上段側の撓み空間26に嵌入された嵌入部32は、その撓み空間26の天井面とランス20の肉薄部22の上面との間に割り込み、リテーナ30の押圧斜面33がランス20のガイド斜面24を下方へ押圧する。下段側の撓み空間26に嵌入した嵌入部32は、上段のキャビティ11を構成する側壁12の下端面と肉薄部22の上面との間に割り込み、リテーナ30の押圧斜面33がランス20のガイド斜面24を下方へ押圧する。これにより、各ランス20は、夫々、自由状態よりも端子金具40側(下方)の位置へ強制的に押し下げられ、撓み空間26側(上方)への撓みを規制される。
【0023】
端子金具40は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工して成形したものであって、全体として前後方向に細長い形態となっている。端子金具40の長さ方向における略中央部分は角筒部41となっており、角筒部41からはタブ42が前方に延出されており、端子金具40の後端部の電線圧着部43には電線44が圧着により接続されている。かかる端子金具40は後方から各キャビティ11に挿入される。
【0024】
角筒部41の上面板には、その前後方向における一部を全幅に亘って切欠した形態の上部切欠部45が形成されており、角筒部41の左右両側板の上端部には、上面板の上部切欠部45と対応する側部切欠部46が形成されている。これらの切欠部45,46の前端縁は、ランス20の係止部23に対して前方から係止される抜止部47となっている。側部切欠部46の水平に延びる上縁は、ランス20の延出端部の係止部23が端子金具40側へ変位することを規制するための変位規制部48となっている。この端子金具40の変位規制部48は、ハウジング10(キャビティ11を構成する側壁12)の受け面18とほぼ同じ高さとされている。端子金具40をキャビティ11に挿入した状態において、角筒部41の上面板の高さは、自由状態のランス20の下面よりも高い位置にある(図1及び図2を参照)。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のコネクタの組付けに際しては、まず、ハウジング10に対してリテーナ30を仮組付け位置に組み付ける。この仮組付け状態では、図2に示すように、嵌入部32がランス20の前端よりもさらに前方に離れているため、ランス20の撓み空間26側への弾性撓みは許容されている。この状態から各キャビティ11に端子金具40を挿入する。挿入が進んで正規挿入位置に近くなると、角筒部41の上面の前端がランス20の下面に当接し、それ以降は、端子金具40の挿入が進むのに伴ってランス20が上方へ弾性撓みさせられて撓み空間26内に進出する(図4を参照)。
【0026】
この半挿入状態を経た端子金具40が正規挿入位置に到達すると、ランス20が下方へ弾性復帰し、その前端の係止部23が角筒部41の切欠部45,46内に落ち込み、抜止部47に対して後方から係止する。このランス20の係止により、端子金具40は、後方への遊動を規制された抜止め状態とされる。尚、角筒部41がキャビティ11の前面壁13に当接することにより、端子金具40は正規挿入位置において前止まりされる。
【0027】
このランス20によって抜止めされている状態では、ランス20が弾性撓みしない自由状態となっているとともに、ランス20の係止部23と端子金具40の変位規制部48との間、及び係止部23と受け面18との間に、夫々、上下方向の隙間が空いている。したがって、この隙間の分だけランス20は下方へ弾性撓みすることができる。
さて、全ての端子金具40を挿入し終わったら、仮組付け位置のリテーナ30を押し込んで図1に示す正規組付け位置とする。リテーナ30を押し込む過程では、各撓み空間26内に嵌入部32が進入してその押圧斜面33をランス20のガイド斜面24に当接させ、その後は、リテーナ30の押し込みが進むのに伴なって押圧斜面33がガイド斜面24を下方へ押し動かし、ランス20は、自由状態から端子金具40側(下方)へ強制的に撓まされて前下がりの姿勢となる。このランス20の変位により、自由状態のときに比べると、ランス20の係止部23と端子金具40の抜止部47との間の係止代(上下方向における係止領域)が増大する(図1と図2とを比較参照のこと)。また、ランス20は、その肉薄部22を嵌入部32によって上から押さえつけられているため、撓み空間26側(上方)への弾性撓みを規制され、端子金具40に係止した状態に保持される。これにより、端子金具40は二重係止状態となって確実な抜止めがなされる。
【0028】
また、リテーナ30を正規組付け位置に押し込んだ状態では、嵌合部31が、各突出部15に対し、上下左右の各方向におけるガタ付きを生じることなく包囲するように外嵌される。したがって、リテーナ30及びその嵌合部31に形成されている嵌入部32は、ハウジング10及び端子金具40に対して上下左右方向へ遊動することがなく、ランス20を正規の位置まで確実に押し下げる。
また、ランス20が端子金具40に係止した状態で端子金具40に後方への引張力が作用した場合には、ランス20が、その係止部23と撓みの支点(ランス20の後端)との間の部分を撓み空間26側へ膨出させるような形態で座屈変形することが懸念される。しかしながら、本実施形態では、リテーナ30がランス20を押し下げて前傾姿勢にした状態のときに、リテーナ30の嵌入部32が、ランス20の上面に対して係止部23よりも後方(ランス20の撓みの支点となる後端よりは前方)の位置で上から当接しているとともに、ランス20の係止部23が、受け面18及び変位規制部48に当接することにより下方へ変位を規制されている。したがって、端子金具40及び係止部23に後方への引張力が付与されても、ランス20は座屈変形する虞がない。
【0029】
上述のように本実施形態においては、リテーナ30の嵌入部32が撓み空間26に嵌入された状態では、ランス20が、自由状態よりも端子金具40側へ撓まされるので、その撓み分だけランス20と端子金具40との係止代が増大する。したがって、端子金具40の挿入過程におけるランス20の弾性撓み量、即ち端子金具40を挿入する時の端子金具40とランス20との摩擦に起因する抵抗を小さく抑えつつ、端子金具40とランス20との係止代を大きく確保することができる。即ち、端子金具40の挿入作業性を低下させることなく、端子金具40を抜止め機能の信頼性向上が実現されている。
【0030】
また、キャビティ11の前端部を構成する壁部が他のキャビティ11とは独立した形態の突出部15として突出する形態となっているのであるが、リテーナ30には、突出部15に対してこれをガタ付きなく包囲するように嵌合される嵌合部31が形成され、この嵌合部31に嵌入部32が形成されている。これにより、嵌入部32がキャビティ11及び端子金具40に対して遊動することが規制され、ランス20を確実に端子金具40側へ撓ませることができるようになっている。
【0031】
また、端子金具との係止部から更に係止解除用治具のための引掛部を延出させた形態のランス(図示せず)の場合は、自由状態のランスを端子金具側へ撓ませたときにその治具用の引掛部が端子金具の外面と干渉してランスの撓み量が制約されることが懸念される。しかしながら、本実施形態では、ランス20が片持ち状に延出してその延出端を端子金具40に係止させるための係止部23としているので、上記引掛部のように端子金具40の外面と干渉する部位がない。したがって、ランス20の端子金具40への撓み量を大きく確保することが可能となっている。
【0032】
[実施形態2]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図10及び図11を参照して説明する。本実施形態2は、ランス50の両側縁部の可動面51を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。上記実施形態1では、ランス20が弾性撓みしない自由状態ではランス20の可動面25とハウジング10の受け面18とがほほ並行をなすようになっていたが、本実施形態2の可動面51は、前方に向かって上り勾配となるように傾斜している。したがって、ランス50が自由状態のときには、受け面18と可動面51との上下方向の間隔は前方(ランス50の延出端側)に向かって大きくなる。そして、リテーナ30の嵌入部32が撓み空間26に嵌入されてランス50が自由状態よりも端子金具40側へ強制的に撓まされた状態では、可動面51が受け面18に対してほぼ平行となる。しかも、可動面51は受け面18に対して僅かな隙間のみを空けるように接近した状態となる。
【0033】
上記実施形態1でも説明したように、キャビティ11の前端部は、側壁12の上端の受け面18とランス50の側縁部の可動面51との隙間を介して外部に開放されている。そのため、この隙間によって、隣り合うキャビティ11の端子金具40同士の間でリークが発生することが懸念される。しかし、本実施形態2では、リテーナ30がランス50を端子金具40側へ撓ませた状態では、ランス50の可動面51がその全長に亘って受け面18に対して接近する構成としている。したがって、側壁12とランス50との隙間が塞がれた状態となり、隙間の存在に起因するリークが防止されている。
【0034】
また、可動面51を受け面18に対して斜めに形成するに際しては、実施形態1のランス20と比較すると、ランス50の厚さが後端側に向かって増大する形態となっているので、肉厚になった分だけランス50の強度が向上している。
尚、本実施形態2では、リテーナ30がランス50を撓ませた状態では、可動面51と受け面18との間に僅かに隙間が残るようになっているが、可動面51のうちランス50の撓み支点(後端部)を除いた広い領域を受け面18に対して当接させるようにしてもよい。
【0035】
その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではリテーナがハウジングに対して前方から(端子金具の挿入方向と平行な方向に)組み付けられるようにしたが、本発明は、リテーナが端子金具の挿入方向と交差する向きに組み付けられる場合にも適用することができる。
【0036】
(2)上記実施形態では各キャビティの前端部を構成する壁部が他のキャビティから独立した形態で個別にタワー状に突出する形態としたが、本発明は、隣接するキャビティ同士を共通の隔壁で仕切る形態のコネクタにも適用することができる。
(3)上記実施形態では雄タブを有する雄端子金具が挿入される雄コネクタに適用した例を説明したが、本発明は、雄タブを有しない雌端子金具が挿入される雌コネクタにも適用することができる。
【0037】
(4)上記実施形態ではランスの延出端が端子金具に係止される場合について説明したが、本発明によれば、ランスの延出端よりも後方に突起を形成し、その突起を端子金具に係止させる場合にも適用することができる。
(5)上記実施形態ではランスがキャビティよりも幅広で、キャビティの側壁と対応する形態としたが、本発明によれば、ランスの幅がキャビティ内に納まる幅狭の寸法としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1においてリテーナを正規組付け位置に組み付けた状態をあらわす部分拡大断面図
【図2】リテーナを仮組付け位置に組み付けた状態の部分拡大断面図
【図3】分解状態の断面図
【図4】ハウジングに端子金具を挿入する途中の状態をあらわす断面図
【図5】リテーナを正規組付け位置に組み付けた状態の部分拡大水平断面図
【図6】ハウジングの正面図
【図7】キャビティの前端部を構成する突出部をあらわす部分拡大斜視図
【図8】リテーナの斜視図
【図9】リテーナの背面図
【図10】実施形態2においてリテーナを正規組付け位置に組み付けた状態をあらわす部分拡大断面図
【図11】リテーナを仮組付け位置に組み付けた状態の部分拡大断面図
【符号の説明】
10…ハウジング
11…キャビティ
13…側壁(キャビティの前端部を構成する壁部)
14…底壁(キャビティの前端部を構成する壁部)
18…受け面(変位規制部)
20…ランス
23…係止部
25…可動面
26…撓み空間
30…リテーナ
31…嵌合部
32…嵌入部
40…端子金具
48…変位規制部
50…ランス
51…可動面
Claims (5)
- 後方から端子金具を挿入させるためのキャビティを有するハウジングと、
前記ハウジングに組み付けられるリテーナとを備えてなり、
前記キャビティに前記端子金具を挿入する過程では、前記キャビティ内のランスが前記端子金具との干渉により弾性撓みし、
前記端子金具が正規挿入位置に達した状態では、前記ランスが、自由状態に復帰して前記端子金具に係止することでその端子金具を抜止め状態とし、
前記リテーナを前記ハウジングに組み付けた状態では、前記リテーナが、前記ランスの撓み空間内に嵌入して、そのランスが前記端子金具から外れる方向へ弾性撓みすることを規制するようにしたものにおいて、
前記ランスが弾性撓みしない自由状態においては、前記ランスと前記端子金具との間に前記ランスが前記端子金具側へ弾性撓みすることを許容する隙間が空けられており、
前記リテーナが前記撓み空間に嵌入された状態では、前記ランスが、前記リテーナに押されて自由状態から前記端子金具側へ撓まされることで、前記ランスと前記端子金具との間の係止代が増大するようになっていることを特徴とするコネクタ。 - 前記キャビティの前端部を構成する壁部が他のキャビティとは独立した形態で突出する形態とされているとともに、
前記リテーナには、前記キャビティの前端部を構成する前記壁部に対して包囲するように嵌合される嵌合部が形成されており、
前記リテーナにおける前記撓み空間への嵌入部が前記嵌合部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。 - 前記ランスが前方へ片持ち状に延出する形態とされているとともに、そのランスの延出端が前記端子金具への係止部とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
- 前記ランスが前方へ片持ち状に延出する形態とされているものにおいて、
前記リテーナが、前記ランスと前記端子金具との係止位置よりも後方において前記ランスに当接され、
前記ハウジング又は前記端子金具には、前記ランスにおける前記端子金具との係止部が前記端子金具側へ変位することを規制可能な変位規制部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタ。 - 前記ランスの側縁部には、前記撓み空間とは反対側を向く可動面が形成され、
前記ランスの側縁部に沿うように設けられることで前記キャビティを構成する側壁には、前記可動面と対向する受け面が形成されており、
前記リテーナが前記ランスを前記端子金具側へ撓ませた状態では、前記可動面が前記受け面に対して接近又は当接する構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
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