JP3894047B2 - 監視用ビデオカメラシステム及び監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視用ビデオカメラに対して予め決めた複数の撮影位置に対して撮影影条件をそれぞれ設定し、且つ、監視用ビデオカメラを広角状態の初期位置にセットした時に、目的の撮影位置に対して電子ズーム切り出し位置から電子ズーム切り出し位置から電子ズーム処理を行い、その後、パン・チルト動作を行いながら電子ズーム処理を相殺する方向で光学ズーム処理した画像を出力するように構成した監視用ビデオカメラシステム及び監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、店舗の天井などに備え付けられている監視用ビデオカメラでは、監視している被写体に何らかの異常があった場合、撮影した被写体像を拡大するようにズーム処理を行って被写体像を固体撮像素子上に詳細に捉えることが行われている。
【0003】
図8は一般的な監視用ビデオカメラの設置状態を示した斜視図である。
【0004】
一般的に、監視用ビデオカメラは、コンビニエンスストア,書店,銀行など不特定多数の人が出入りする箇所に監視用として設置されている。
【0005】
図8に示した如く、監視用ビデオカメラ101を例えばコンビニエンスストアの天井など設置した場合に、ドーム型の筐体内に監視用ビデオカメラ101が内蔵され、且つ、監視用ビデオカメラ101がパン方向(水平方向)及びチルト方向(垂直方向)に回動自在に取り付けられており、パン・チルト動作により被写体像を撮影する複数の撮影位置(監視ポイント)として出入口付近の自動ドア102とか、陳列棚103とか、レジ104とかが予め決められている。尚、複数の撮影位置には各種のセンサS1〜S3が設置されている。
【0006】
そして、監視用ビデオカメラ101をパン・チルト動作させる場合に、所定時間ごとに複数の撮影位置を切り換えたり、あるいは、自動ドア102の開閉動作を検出するセンサS1からのセンサ信号に応じてカメラ101を自動ドア102の方向に向けたり、お客様が陳列棚103を見ている状態を検出するセンサS2からのセンサ信号に応じてカメラ101を陳列棚103の方向に向けたり、店員がレジ104を打つ動作を検出するセンサS3からのセンサ信号に応じてカメラ101をレジ104のお客様の方向に向けたりして、監視するポイントを切り換えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、監視用ビデオカメラ101の場合、広角状態の初期位置で全体を見渡せる状態からパン・チルト動作により目的の撮影位置(監視ポイント)に移動して被写体像を撮影する際、市場要望としてはスムーズに移動することよりも出来るだけ高速に移動して事件の瞬間を捕らえることが望まれている。
【0008】
しかしながら、監視用ビデオカメラ101に取り付けた不図示のパン駆動部及びチルト駆動部は、ある程度の質量を持ったカメラ部全体を駆動せねばならず、パン駆動部及びチルト駆動部の機構的な制約により大幅な高速化は困難であると共に、目的の撮影位置で被写体像を画角内に収めるまではカメラ部内に設けた不図示のズームレンズ駆動部でズームレンズを光軸方向に移動しなければならないためにパン・チルト動作以外にも時間を費やしてしまうなどの問題がある。
【0009】
一方、一般的なビデオカメラでは、カメラ部内に設けたズームレンズ駆動部でズームレンズを移動して被写体像に対して光学的にズーミングを行う光学ズーム処理と、CCDなどの固体撮像素子に結像した被写体像の一部を切り出してこれをディジタル処理することによって拡大する電子ズーム処理とが適宜行われている。
【0010】
上記した監視用ビデオカメラ101における光学ズーム処理の問題点を解決するために、監視用ビデオカメラ101に電子ズーム処理機能を備えた場合に、監視用ビデオカメラ101を広角状態の初期位置にセットしておき、電子ズーム処理により固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置を移動させて被写体像が目的の画角内に収まるようにする電子式の疑似パン・チルト方式では、被写体像が目的の画角内に迅速に収まるものの、固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置の画像に対して有効画素数が少なくなることによる画質の劣化が避けられなかった。
【0011】
そこで、本発明では、被写体像を撮影する時に電子ズーム機能と光学ズーム機能とを有効に活用し、広角状態の初期位置で電子ズーム機能を作動させ、その後、初期位置から予め設定したパン位置及びチルト位置に向かってパン・チルト動作を行いながら光学ズーム機能を作動させることで、徐々に電子ズームの倍率を低くして電子ズームを光学ズームで相殺し、最終的に光学ズームにより高画質の画像を得ることができる監視用ビデオカメラシステム及び監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法が望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおいて、
予め決めた撮影位置に対して、パン角度値,チルト角度値,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
前記撮影条件設定手段で設定した前記撮影条件を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶したパン角度値,チルト角度値から前記撮影位置に対する固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置の中心座標を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶手段に記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理手段と、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理手段で演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理手段と、
前記電子ズーム処理手段における電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理手段とを備えたことを特徴とする監視用ビデオカメラシステムである。
【0013】
また、第2の発明は、カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおいて、
予め決めた撮影位置に対して、電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
前記撮影条件設定手段で設定した前記撮影条件を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した電子ズーム切り出し位置の中心座標から前記撮影位置に対するパン角度値,チルト角度値を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶手段に記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理手段と、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理手段で演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理手段と、
前記電子ズーム処理手段における電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理手段とを備えたことを特徴とする監視用ビデオカメラシステムである。
【0014】
また、第3の発明は、カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法であって、
予め決めた撮影位置に対して、パン角度値,チルト角度値,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定ステップと、
前記撮影条件設定ステップで設定した前記撮影条件を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶したパン角度値,チルト角度値から前記撮影位置に対する固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置の中心座標を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶ステップで記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理ステップと、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理ステップで演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理ステップと、
前記電子ズーム処理ステップにおける電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理ステップとを有することを特徴とする監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法である。
【0015】
更に、第4の発明は、カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法であって、
予め決めた撮影位置に対して、電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定ステップと、
前記撮影条件設定ステップで設定した前記撮影条件を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶した電子ズーム切り出し位置の中心座標から前記撮影位置に対するパン角度値,チルト角度値を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶ステップで記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理ステップと、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理ステップで演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理ステップと、
前記電子ズーム処理ステップにおける電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理ステップとを有することを特徴とする監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る監視用ビデオカメラシステム及び監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法の一実施例を図1乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムに適用される監視用ビデオカメラを示した斜視図である。
【0018】
図1に示した如く、本発明に係る監視用ビデオカメラシステムに適用される監視用ビデオカメラ1では、パン駆動部20とチルト駆動部30とによってカメラ部40がパン方向(水平方向)とチルト方向(垂直方向)とにそれぞれ回動可能に設けられている。
【0019】
まず、上記したパン駆動部20では、円筒状の筐体21の外周にエンコーダ付きのパン駆動用モータ22がブラケット23を介して取り付けられており、このモータ22の軸に平歯車24が固着されている。また、円筒状の筐体21の上面側にパンテーブル25が垂直軸26を中心に回動自在に支持されており、このパンテーブル25の外周に形成した平歯車部25aにパン駆動用モータ22の軸に固着した平歯車24が常時噛合しているので、パンテーブル25上にチルト駆動部30を介して取り付けたカメラ部40がパンテーブル25と一体にパン駆動用モータ22の駆動力によってパン方向(水平方向)に回動自在になっている。この際、パン駆動用モータ22に一体的に取り付けたエンコーダ(図示せず)のパルス出力によりパン位置の水平角度値(=パン角度値)が後述するカメラ部40内の制御部10(図2)側に提示されるようになっている。
【0020】
次に、上記したチルト駆動部30では、パンテーブル25上にL字状に折り曲げたブラッケット31が一体的に取り付けられている。また、ブラッケット31の垂直面31aの下方部位にエンコーダ付きのチルト駆動用モータ32が取り付けられていると共に、垂直面31aの上方部位に水平軸33が不図示の軸受を介して回動自在に支持されている。また、チルト駆動用モータ32の軸に小プーリ34が固着され、一方、水平軸33の一端に大径プーリ35が固着され、両プーリ34,35間にベルト36が掛けられている。そして、ブラッケット31の垂直面31aと、大径プーリ35との間でカメラ部40のカメラ筐体41が水平軸33に対して一体的に支持されており、この水平軸33と一体にカメラ部40がチルト駆動用モータ32の駆動力によってチルト方向(垂直方向)に回動自在になっている。この際、チルト駆動用モータ32に一体的に取り付けたエンコーダ(図示せず)のパルス出力によりチルト位置の垂直角度値(=チルト角度値)が後述するカメラ部40内の制御部10(図2)側に提示されるようになっている。
【0021】
次に、上記したカメラ部40では、カメラ筐体41の前方部位に撮影レンズ42が取り付けられ、この撮影レンズ42の光軸上にズームレンズ駆動部43が設けられている。上記したズームレンズ駆動部43は、ズームレンズ44を取り付けたズーム用レンズ枠45がズーム駆動用モータ46によって回転駆動するリードスクリュー47に螺合しながら光軸方向に移動自在に設けられている。この際、ズームレンズ44は、4.5mm〜72mmまでの16倍ズームなどが使われている。
【0022】
また、ズームレンズ駆動部43の後方には、不図示のフォーカスレンズ駆動部によって光軸方向に移動自在なフォーカスレンズ48と、CCDなどを用いた固体撮像素子49とが光軸を合わせて設けられている。この際、固体撮像素子(CCD)49は、1/3インチ型を用いており、この固体撮像素子(CCD)49の有効幅は略4.8mm、有効高さが略3.6mmで矩形状に形成されている。
【0023】
更に、固体撮像素子(CCD)49上に結像した被写体像を1倍〜6倍程度まで電子的に拡大処理するための電子ズーム処理部50と、電子ズーム処理部50からの出力信号を処理する画像処理部51とが設けられている。
【0024】
次に、本発明に係る監視用ビデオカメラシステムについて図2を用いて説明する。
【0025】
図2は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、システム回路構成を示したブロック図、
図3は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、リモコンにより複数の撮影位置に対して各撮影条件を設定する際に第1の撮影条件設定態様を説明するための図であり、(a)はパン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値,ズーム倍率値を設定した状態を示し、(b)は(a)に基づいて電子ズーム切り出し位置の中心座標,光学ズーム倍率に対する電子ズーム倍率を演算した結果を示した図、
図4は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、リモコンにより複数の撮影位置に対して各撮影条件を設定する際に第2の撮影条件設定態様を説明するための図であり、(a)は電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率値を設定した状態を示し、(b)は(a)に基づいてパン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値,光学ズーム倍率に対する電子ズーム倍率を演算した結果を示した図である。
【0026】
図2に示した本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、監視用ビデオカメラ1を設置する際には、予め決めた複数の撮影位置(監視ポイント)における各撮影条件を設定するためのリモコン60をコントローラ70を介して監視用ビデオカメラ1内に設けた制御部10のCPU11に接続していると共に、カメラ部40内に設けた画像処理部51から出力される映像信号51aをモニタTV80側に出力している。この際、リモコン60は、複数の撮影位置(監視ポイント)における各撮影条件を設定するための撮影条件設定手段として設けられている。
【0027】
ここで、上記したリモコン60には、監視用ビデオカメラ1で撮影する際に予め決めた複数の撮影位置における各撮影条件を設定するための撮影条件設定モードと監視用ビデオカメラ1を動作させるための動作モードとに選択的に切り換えるスイッチ61と、パン駆動部20及びチルト駆動部30に対してパン角度値,チルト角度値を設定したり、又は、固体撮像素子(CCD)49上での電子ズーム切り出し位置を設定するためのジョイステック62と、ズーム倍率値を設定するためのズーム用スライドボリューム63と、エンターキー64とが設けられており、これらの操作部材61〜64による制御信号をコントローラ70を介して監視用ビデオカメラ1内の制御部10側に入力できるようになっている。尚、ジョイステック62に代えてテンキーにより入力する方法でも良い。
【0028】
この際、監視用ビデオカメラ1を従来と同様に例えばコンビニエンスストアの天井に設置した場合に、複数の撮影位置(監視ポイント)1〜3として、先に図8を用いて説明したと同様に例えば撮影位置1をコンビニエンスストア内の出入口付近の自動ドアに決め、撮影位置2を陳列棚に決め、撮影位置3をレジに決めている。尚、複数の撮影位置は、必要に応じた数だけ設定すれば良いものである。
【0029】
そして、上記したリモコン60を用いて複数の撮影位置(監視ポイント)1〜3に対して各撮影条件を設定する場合に、図3に示した第1の撮影条件設定態様と、図4に示した第2の撮影条件設定態様とのいずれかを適用している。
【0030】
即ち、図3に示した第1の撮影条件設定態様を適用した場合には、例えば撮影位置1〜3に対して監視用ビデオカメラ1をパン・チルトさせる時のパン位置の水平角度値(=パン角度値),チルト位置の垂直角度値(=チルト角度値)と、ズーム倍率値とを図3(a)に示したようにそれぞれ設定している。また、図4に示した第2の撮影条件設定態様を適用した場合には、例えば撮影位置1〜3に対して固体撮像素子(CCD)49上の電子ズーム切り出し位置の中心座標と、ズーム倍率値とを図4(a)に示したようにそれぞれ設定している。
【0031】
この際、第1,第2の撮影条件設定態様にて設定するズーム倍率値は、光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算した全体のズーム倍率値であり、このズーム倍率値を設定することで電子ズーム処理に比べて応答速度の遅い光学ズーム処理で得られる現在の光学ズーム倍率値に追従して電子ズーム倍率値が得られるものである。
【0032】
また、上記したコントローラ70には、監視用ビデオカメラ1を複数の撮影位置1〜3に向けてパン・チルト動作した時に、各撮影位置1〜3に設けた各センサS1〜S3(図8)からのセンサ信号s1〜s3が入力されている。また、コントローラ70にはタイマ71が内蔵されている。そして、各撮影位置1〜3に設けた各センサS1〜S3からのセンサ信号s1〜s3の入力に応じて監視用ビデオカメラ1を動作させるか、あるいは、コントローラ70内のタイマ71により所定の時間間隔で複数の撮影位置1〜3を順次切り換えて監視用ビデオカメラ1を動作させるかのいずれ一方又は両方を組み合わせている。
【0033】
また、監視用ビデオカメラ1内に設けた制御部10は、内部にCPU11と、メモリ12と、演算処理部13と、バス14とを備えて、監視用ビデオカメラ全体を制御している。この際、制御部10内のメモリ12には、撮影条件設定モード時に複数の撮影位置1〜3における各撮影条件を設定した時に、各撮影位置1〜3に対応した各撮影条件を予め格納している。従って、上記した第1の撮影条件設定態様を適用した場合には、パン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値,ズーム倍率値がメモリ12に格納され、一方、第2の撮影条件設定態様を適用した場合には、電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率値がメモリ12に格納されている。
【0034】
また、制御部10内の演算処理部13は、上記した第1の撮影条件設定態様を適用した場合に、図3(b)に示したように、複数の撮影位置1〜3に対応したパン位置の各水平角度値,チルト位置の各垂直角度値に基づいて固体撮像素子49上での各電子ズーム切り出し位置の中心座標を演算すると共に、各ズーム倍率値から現在の光学ズーム倍率値に対する電子ズーム倍率値をそれぞれ演算している。
一方、上記した第2の撮影条件設定態様を適用した場合に、図4(b)に示したように、複数の撮影位置1〜3に対応した各電子ズーム切り出し位置の中心座標に基づいてパン位置の各水平角度値(=各パン角度値),チルト位置の各垂直角度値(=各チルト角度値)を演算すると共に、各ズーム倍率値から現在の光学ズーム倍率値に対する電子ズーム倍率値をそれぞれ演算している。
尚、演算処理部13内での演算方法については後述する。
【0035】
そして、演算処理部13で演算した各演算結果はこの内部に設けた不図示のメモリに格納するか、又は、メモリ12に格納すると共に、演算結果をズームレンズ駆動部43,電子ズーム処理部50に適時知らせている。
【0036】
また、電子ズーム処理部50は、監視用ビデオカメラ1を全体が見渡せる広角状態から目的の撮影位置に切り換えた時に、目的の撮影位置に対応した固体撮像素子49上の電子ズーム切り出し位置から電子ズーム処理して、ここで処理した信号を画像処理部51に出力している。
【0037】
更に、制御部10からパン駆動部20,チルト駆動部30,カメラ部40内のズーム駆動部43にそれぞれ設けたパン駆動用モータ,チルト駆動用モータ,ズーム駆動用モータに駆動用の制御信号を送ると共に、各モータに取り付けたエンコーダからのパルス出力に基づいてパン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値,光学ズーム倍率値を制御部10に送っている。
尚、各モータにステッピングモータなどを用いてフィードバック系なしに水平・垂直角度、光学ズーム倍率を知り得る場合には、各モータに取り付けたエンコーダはなくても良い。
【0038】
また、上記した画像処理部51は、監視用ビデオカメラ1を目的の撮影位置に切り換えた時に、電子ズーム処理した画像を出力すると共に、この後、電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力している。
【0039】
次に、上記のように構成した監視用ビデオカメラ1により予め決めた複数の撮位置1〜3を、予め設定した各撮影条件に応じて撮影する方法について、先に用いた図1〜図4と、新たな図5〜図7を用いて説明する。
【0040】
図5は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法をステップ順に示した図、
図6は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムを適用して撮影する際に、電子ズーム処理を説明するための図であり、(a)は撮影位置1におけるCCD上での電子ズーム切り出し位置を示し、(b)はパン方向の撮影条件に基づいてCCD上での電子ズーム切り出し位置を演算する場合を示し、(c)はチルト方向の撮影条件に基づいてCCD上での電子ズーム切り出し位置を演算する場合を示した図、
図7は本発明に係る監視用ビデオカメラシステムを適用して撮影する際に、電子ズーム処理から光学ズーム処理に切り替わる状態を説明するための図であり、(a)は広角状態で撮影位置1に対するCCD上での電子ズーム切り出し位置の画像を示し、(b)は撮影位置1の撮影条件に対応して、CCD上での電子ズーム切り出し位置の画像に対する電子ズーム処理を示し、(c)はパン・チルト動作後の光学ズーム処理を示した図である。
【0041】
図5に示した如く、ステップS1では、監視用ビデオカメラ1により前述したようにコンビニエンスストア内で被写体を撮影する前に、複数の撮影位置1〜3を予め決定する。ここでは、複数の撮影位置1〜3として、例えば撮影位置1をコンビニエンスストア内の出入口付近の自動ドアに決め、撮影位置2を陳列棚に決め、撮影位置3をレジに決めている。
【0042】
次に、ステップS2では、リモコン60内に設けたスイッチ61を撮影条件設定モード側に切り換えて、監視用ビデオカメラ1を撮影条件設定モード状態にする。
【0043】
次に、ステップS3では、複数の撮影位置1〜3における各撮影条件を予め設定して、各撮影条件を制御部10内のメモリ12に格納する。
【0044】
具体的には、監視用ビデオカメラ1を複数の撮影位置1〜3全体を見渡すことができるように広角状態の初期位置にセットすると、最も低い倍率の画角が設定される。そして、使用者はリモコン60内に設けたジョイスティック62及びズーム用スライドボリューム63を操作して、監視用ビデオカメラ1のパン駆動部20,チルト駆動部30,カメラ部40内のズームレンズ駆動部43を適宜動かし、希望する被写体像が所望の大きさで写るようにモニタTV80を見ながら調整し、この時に、例えば、先に図3を用いて説明した第1の撮影条件設定態様を適用した場合には、リモコン60内に設けたジョイスティック62を操作して撮影位置1〜3に対して監視用ビデオカメラ1をパン・チルトさせる時のパン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値をそれぞれ設定すると共に、ズーム用スライドボリューム63を操作して撮影位置1〜3に対してズーム倍率値をそれぞれ設定し、撮影位置1〜3に対する各撮影条件(パン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値,ズーム倍率値)をコントローラ70を介して制御部10内のメモリ12に格納している。
【0045】
次に、ステップS4では、監視用ビデオカメラ1を広角状態の初期位置にセットした状態で制御部10内のメモリ12に格納した撮影位置1〜3の各撮影条件に基づいて固体撮像素子(CCD)49上での各電子ズーム切り出し位置を制御部10内の演算処理部13で演算して、各電子ズーム切り出し位置の演算結果を演算処理部13内に設けた不図示のメモリに格納する。
【0046】
尚、このステップS4では、撮影位置1〜3における各撮影条件が設定されているので、撮影位置1〜3の各撮影条件に基づく固体撮像素子49での各電子ズーム切り出し位置も演算処理部13で予め演算できるため、演算結果を内部のメモリに格納して、後述する動作モード時に電子ズーム処理部50に知らせているが、撮影位置1〜3を切り換える度に演算処理部13で各撮影位置1〜3の撮影条件に基づいて固体撮像素子49での各電子ズーム切り出し位置を演算して、電子ズーム処理部50に知らせても良い。また、各電子ズーム切り出し位置を演算処理部13内の不図示のメモリに格納せずに、前記したメモリ12に格納しても良く、この場合にはメモリ12から読み出した各電子ズーム切り出し位置を演算処理部13をスルーして電子ズーム処理部50に知らせれば良い。
【0047】
ここで、図6(a)〜(c)に示した如く、例えば撮影位置1における固体撮像素子(CCD)49上での電子ズーム切り出し位置49aを演算する時には、x軸方向がパン方向であり、且つ、y軸方向がパン方向である。
【0048】
即ち、固体撮像素子49の中心座標を(0,0)とし、且つ、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標を(△x,△y)とすると共に、広角状態でのレンズ系の焦点距離をf=4.8mmとし、更に、先に図3を用いて説明した第1の撮影条件設定態様を適用した場合に、図3(a)に示したように撮影位置1におけるパン位置の水平角度値が10°であり、且つ、チルト位置の水平角度値が12°であるので、パン位置の水平角度値α°=10°による電子ズーム切り出し位置の△xは、
△x(mm)=f×tan10°(mm)+γ(mm)=0.846(mm)となり、一方、チルト位置の垂直角度値β°=12°による電子ズーム切り出し位置の△yは、
△y(mm)=f×tan12°(mm)+δ(mm)=1.020(mm)となる。
尚、上記した各式中のγ,δはレンズ系の固体撮像素子49に対する光軸ずれとか、レンズ系の歪みなどの補正量であり、上記各式中ではγ=0,δ=0として計算している。
【0049】
そして、上記のように演算した電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x=0.846,△y=1.020)を演算処理部13内に設けた不図示のメモリに格納すると共に、上記と同様に撮影位置2,3の電子ズーム切り出し位置を演算して演算処理部13内に設けた不図示のメモリに格納する。この際に、撮影位置1〜3に対する各電子ズーム切り出し位置49aの中心座標の演算結果は図3(b)に示した如くになる。
【0050】
尚、後述するように、光学ズーム処理を行った場合、レンズ系の焦点距離fの値が変わっていくので、光学ズーム処理に応じて固体撮像素子49上で電子ズーム切り出し位置49aが変化していく。
【0051】
次に、ステップS5では、リモコン60内に設けたスイッチ61を動作モード側に切り換えて、監視用ビデオカメラ1を動作モード状態にする。この時、監視用ビデオカメラ1は複数の撮影位置1〜3全体を見渡すことができるように広角状態の初期位置にセットされているので、光学ズーム倍率値は1倍である。
【0052】
次に、ステップS6では、撮影位置1〜3に設けた各センサS1〜S3のセンサ信号s1〜s3の入力に応じて監視用ビデオカメラ1を動作させるか、コントローラ70内に設けたタイマ71に応じて監視用ビデオカメラ1を動作させるかにより、例えば撮影位置1を撮影するように制御部10内のCPU11から指令が出る。
【0053】
次に、ステップS7では、監視用ビデオカメラ1が広角状態の初期位置において撮影位置1における撮影条件(パン位置の水平角度値=10°,チルト位置の垂直角度値=12°)に対応した固体撮像素子49上での電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x,△y)が、先に説明した演算結果から△x=0.846(mm),△y=1.020(mm)となるので、光学ズーム倍率値が1倍の状態で図7(a)に示したような固体撮像素子(CCD)49上の位置に画像が結象される。
【0054】
この後、演算処理部13内のメモリから演算結果を読み出して電子ズーム処理部50に知らせて、監視用ビデオカメラ1のカメラ部40を目的の撮影位置1に切り換えた時に電子ズーム処理部50が瞬時に作動する。ここで、撮影位置1に対するズーム倍率値は予め5倍に設定されており、且つ、前述したように光学ズーム倍率値が1倍であるので、固体撮像素子49上での電子ズーム切り出し位置49aの電子ズーム倍率値は、
電子ズーム倍率値=ズーム倍率値/光学ズーム倍率値=5/1=5(倍)
となり、図7(b)に示したように電子ズーム処理した画像が固体撮像素子(CCD)49上での電子ズーム切り出し位置49aに得られ、画像処理部51を介してモニタTV80上に出力されるものの、ここで電子ズーム処理した画像の画質は有効画素数が少ないために光学ズーム処理した場合よりも劣化している。
【0055】
次に、ステップS8では、監視用ビデオカメラ1を広角状態の初期位置から撮影位置1における撮影条件に応じて、図3(a)に示したように水平方向に向かって10°パンさせ、且つ、垂直方向に向かって12°チルトさせる。このパン・チルト動作と並行してカメラ部40内のズームレンズ駆動部43も始動する。この際、電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム倍率値を1倍から5倍に向かって上昇させると、これとは逆に電子ズーム倍率値が5倍から1倍に向かって徐々に低下する。
【0056】
即ち、この途中の動作を説明すると、撮影位置1においてパン角度10°,チルト角度12°の設定位置に近づいた場合、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x,△y)を固体撮像素子49の中心座標(0,0)に近づければ出力画像を予め設定した位置にすることができる。即ち、例えば先の演算の例で電子ズーム切り出し位置49aの中心座標△x=0.846(mm),△y=1.020(mm)であったものが、パン方向に3°移動させ、且つ、チルト方向に4°移動させた時、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x1,△y1)は、
△ x1=4.8×tan(10°−3°)=0.589(mm)
△ y1=4.8×tan(12°−4°)=0.141(mm)
となり、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標を固体撮像素子49の中心座標に近づければ良いことがわかる。
【0057】
一方、光学ズームの倍率値のみが上がった場合(fが大きくなった場合)、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x,△y)を固体撮像素子49の中心座標(0,0)から遠ざければ出力画像を予め設定した位置にすることができる。即ち、例えば先の演算の例で電子ズーム切り出し位置49aの中心座標△x=0.846(mm),△y=1.020(mm)であったものが、光学ズーム倍率値を2倍にした時、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x2,△y2)は、
△ x2=4.8×2×tan10°=1.693(mm)
△ y2=4.8×2×tan12°=2.041(mm)
となり、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標を固体撮像素子49の中心座標から遠ざければ良いことがわかる。
【0058】
この際、ズーム倍率値が5倍に設定され、且つ、光学ズーム倍率値が2倍であるので、電子ズーム倍率=ズーム倍率値/光学ズーム倍率値=5/2=2.5(倍)となる。
【0059】
従って、パン・チルト動作と光学ズームの倍率が同時に働く場合には、その時点でパン・チルト角度と光学ズーム倍率値の双方から演算した電子ズーム切り出し位置49aの中心座標にすれば出力画像を予め設定した位置にすることができる。即ち、例えば先の演算の例で電子ズーム切り出し位置49aの中心座標△x=0.846(mm),△y=1.020(mm)であったものが、パン方向に3°移動させ、且つ、チルト方向に4°移動させ、更に光学ズーム倍率値を2倍にした時、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標(△x3,△y3)は、
△ x3=4.8×2×tan(10°−3°)=1.179(mm)
△ y3=4.8×2×tan(12°−4°)=1.349(mm)
となる。この時の電子ズーム倍率は上記と同じで、5/2=2.5(倍)となる。 このようにして、パン・チルト、光学ズームを動かしながら、パン・チルト、光学ズームの各値により、電子ズーム切り出し位置49aの中心座標及び電子ズーム倍率値を変えていくことで、出力画像は予め設定した位置のままで動かず、電子ズーム倍率値が下がるので画質は向上していく。
【0060】
そして、最終的には図7(c)に示したよう光学ズーム処理により固体撮像素子(CCD)49の全面に拡大した高画質の画像を得ることができ、ここで得られた高画質の画像が画像処理部51からモニタTV80に出力される。
【0061】
以下、ステップ9では、撮影位置2,撮影位置3に対しても上記したステップS6〜S8中で撮影位置2,3における各撮影条件に変更して繰り返している。
【0062】
次に、先に図4を用いて説明した第2の撮影条件設定態様を適用した場合には、撮影位置1〜3に対して電子ズーム切り出し位置の中心座標と、ズーム倍率値とをそれぞれ設定しているので、電子ズーム切り出し位置の中心座標からパン位置の水平角度値(=パン角度値),チルト位置の垂直角度値(=チルト角度値)が上記した第1の撮影条件設定態様を適用した場合に対して逆の演算により求めることができる。
【0063】
ここで、図4(a)に示したように、例えば撮影位置1に対して電子ズーム切り出し位置の中心座標△x=0.846(mm),△y=1.020(mm)を予め設定し、広角状態でのレンズ系の焦点距離をf=4.8mmとした場合、制御部10内の演算処理部13でのパン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値の演算結果は、
tan(パン位置の水平角度値)=0.846/f=0.17625からパン位置の水平角度値が10°となり、
tan(チルト位置の垂直角度値)=1.020/f=0.2125からチルト位置の垂直角度値が12°となり、図4(b)に示した如くに得られ、この演算結果が演算処理部13内のメモリに記憶される。
【0064】
そして、監視用ビデオカメラ1のカメラ部40を広角位置から例えば目的の撮影位置1に切り換えた時に、予め設定した電子ズーム切り出し位置の中心座標△x=0.846(mm),△y=1.020(mm)から電子ズーム処理が行われ、この後、演算結果で得られたパン位置の水平角度値,チルト位置の垂直角度値に基づいてパン・チルト動作が開始され、図4(b)に示したように水平方向に向かって10°パンさせ、且つ、垂直方向に向かって12°チルトさせる。このパン・チルト動作と並行してカメラ部40内のズームレンズ駆動部43も始動する。この際、電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム倍率値を1倍から5倍に向かって上昇させると、これとは逆に電子ズーム倍率値が5倍から1倍に向かって徐々に低下する。そして、最終的には光学ズーム処理により固体撮像素子(CCD)49の全面に拡大した高画質の画像を得ることができ、ここで得られた高画質の画像が画像処理部51からモニタTV80に出力される。
【0065】
尚、上記した実施例では、最終的には電子ズームを使わず光学ズームのみの使用にして高画質の画像を得るように説明したが、低倍率の電子ズームでは顕著な画質の劣化は起こらないので、最終的に電子ズームを光学ズームと併用しても構わない。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る監視用ビデオカメラシステム及び監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法において、請求項1及び請求項3記載によると、監視用ビデオカメラに対して予め決めた撮影位置(監視ポイント)における撮影条件(パン角度値,チルト角度値,ズーム倍率)を予め設定し、且つ、記憶手段にに記憶したパン角度値,チルト角度値から撮影位置に対する固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置の中心座標を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが記憶手段に記憶したズーム倍率値となるよう、ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算して、カメラ部を撮影位置に切り換えて電子ズーム切り出し位置から演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理し、この後、電子ズーム処理手段における電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力しているので、パン、チルト動作だけでは成し得なかった瞬時の移動を電子ズームにより可能となると共に、この後、光学ズームにより高画質の画像を得ることができる。これにより1台の監視用ビデオカメラで例えば犯行の瞬間を高画質で捉えるといったことが可能となり、人に優しい監視と十分な証拠能力とを両立させることが可能となる。
【0067】
また、請求項2及び請求項4記載によると、監視用ビデオカメラに対して予め決めた撮影位置(監視ポイント)における撮影条件(電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率)を予め設定し、且つ、記憶手段に記憶した電子ズーム切り出し位置の中心座標から撮影位置に対するパン角度値,チルト角度値を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが記憶手段に記憶したズーム倍率値となるよう、ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算して、カメラ部を撮影位置に切り換えて電子ズーム切り出し位置から演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理し、この後、電子ズーム処理手段における電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力しているので、上記と同様に、パン、チルト動作だけでは成し得なかった瞬時の移動を電子ズームにより可能となると共に、この後、光学ズームにより高画質の画像を得ることができる。これにより1台の監視用ビデオカメラで例えば犯行の瞬間を高画質で捉えるといったことが可能となり、人に優しい監視と十分な証拠能力とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムに適用される監視用ビデオカメラを示した斜視図である。
【図2】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、システム回路構成を示したブロック図である。
【図3】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、リモコンにより複数の撮影位置に対して各撮影条件を設定する際に第1の撮影条件設定態様を説明するための図である。
【図4】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおいて、リモコンにより複数の撮影位置に対して各撮影条件を設定する際に第2の撮影条件設定態様を説明するための図である。
【図5】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法をステップ順に示した図である。
【図6】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムを適用して撮影する際に、電子ズーム処理を説明するための図である。
【図7】本発明に係る監視用ビデオカメラシステムを適用して撮影する際に、電子ズーム処理から光学ズーム処理に切り替わる状態を説明するための図である。
【図8】一般的な監視用ビデオカメラの設置状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
1…監視用ビデオカメラ、
10…制御部、11…CPU、12…メモリ、13…演算処理部、
20…パン駆動部、21…筐体、22…パン駆動用モータ、
25…パンテーブル、
30…チルト駆動部、32…チルト駆動用モータ、
40…カメラ部、41…カメラ筐体、42…撮影レンズ、
43…ズームレンズ駆動部、44…ズームレンズ、
46…ズーム駆動用モータ、
49…固体撮像素子(CCD)、49a…電子ズーム切り出し位置、
50…電子ズーム処理部、51…画像処理部、
60…リモコン(撮影条件設定手段)、
70…コントローラ、80…モニタTV。
Claims (4)
- カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおいて、
予め決めた撮影位置に対して、パン角度値,チルト角度値,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
前記撮影条件設定手段で設定した前記撮影条件を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶したパン角度値,チルト角度値から前記撮影位置に対する固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置の中心座標を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶手段に記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理手段と、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理手段で演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理手段と、
前記電子ズーム処理手段における電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理手段とを備えたことを特徴とする監視用ビデオカメラシステム。 - カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおいて、
予め決めた撮影位置に対して、電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
前記撮影条件設定手段で設定した前記撮影条件を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した電子ズーム切り出し位置の中心座標から前記撮影位置に対するパン角度値,チルト角度値を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶手段に記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理手段と、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理手段で演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理手段と、
前記電子ズーム処理手段における電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理手段とを備えたことを特徴とする監視用ビデオカメラシステム。 - カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法であって、
予め決めた撮影位置に対して、パン角度値,チルト角度値,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定ステップと、
前記撮影条件設定ステップで設定した前記撮影条件を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶したパン角度値,チルト角度値から前記撮影位置に対する固体撮像素子上での電子ズーム切り出し位置の中心座標を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶ステップで記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理ステップと、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理ステップで演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理ステップと、
前記電子ズーム処理ステップにおける電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理ステップとを有することを特徴とする監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法。 - カメラ部をパン方向及びチルト方向に回動可能に支持し、且つ、光学ズーム処理及び電子ズーム処理を可能に構成した監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法であって、
予め決めた撮影位置に対して、電子ズーム切り出し位置の中心座標,ズーム倍率値からなる撮影条件を設定する撮影条件設定ステップと、
前記撮影条件設定ステップで設定した前記撮影条件を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶した電子ズーム切り出し位置の中心座標から前記撮影位置に対するパン角度値,チルト角度値を演算すると共に、現在の光学ズーム倍率値と電子ズーム倍率値とを乗算したものが前記記憶ステップで記憶したズーム倍率値となるよう、前記ズーム倍率値と現在の光学ズーム倍率値とに基づいて電子ズーム倍率値を演算する演算処理ステップと、
前記カメラ部を前記撮影位置に切り換えて前記電子ズーム切り出し位置から前記演算処理ステップで演算した電子ズーム倍率値で電子ズーム処理する電子ズーム処理ステップと、
前記電子ズーム処理ステップにおける電子ズーム処理を相殺する方向でパン・チルト、光学ズームを駆動して、光学ズーム処理した画像を出力する画像処理ステップとを有することを特徴とする監視用ビデオカメラシステムにおける撮影方法。
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