JP3878840B2 - 車輌の走行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の走行制御装置に係り、更に詳細には互いに協調して車輌の挙動を制御する複数の挙動制御手段として操舵制御手段及び制駆動力制御手段を備えた車輌の走行制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の走行制御装置の一つとして、例えば特開平6−335115号公報に記載されている如く、左右輪のトルク差を制御する左右輪トルク差制御手段と、前後輪の少なくとも一方の舵角を制御する舵角制御手段と、車輌の安定な走行運動を確保するための主として高周波範囲の左右輪トルク差目標値を演算する手段と、車輌の安定な走行運動を確保するための主として低周波範囲の舵角制御目標値を演算する手段とを有し、左右輪トルク差目標値に基づき左右輪トルク差制御手段を制御し、舵角制御目標値に基づき舵角制御手段を制御するよう構成された走行制御装置が従来より知られている。
【0003】
一般に、左右輪トルク差制御手段による車輌の挙動制御に於いては車輌の加減速を伴うことが避けられない。上述の走行制御装置によれば、高応答の挙動制御が必要とされる状況に於いては車輌の挙動が主として左右輪のトルク差により制御され、挙動制御が高応答である必要がない状況に於いては車輌の挙動が主として車輪の操舵により制御されるので、車輌の不必要な加減速が生じることを抑制しつつ車輌の挙動を応答性よく制御することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の如き従来の走行制御装置に於いては、車輌の安定な走行運動を確保するための制御量が左右輪トルク差制御手段及び舵角制御手段に対し配分される態様が一定であるため、車輌の状況が変化した場合には、特に車輌の走行運動制御の応答性に関する左右輪トルク差制御手段若しくは舵角制御手段の状況が変化した場合には、車輌の走行運動を必ずしも最適に制御できなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、車輌の安定な走行運動を確保するための主として高周波範囲の左右輪トルク差目標値に基づき左右輪トルク差制御手段を制御し、車輌の安定な走行運動を確保するための主として低周波範囲の舵角制御目標値に基づき舵角制御手段を制御するよう構成された従来の走行制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、互いに異なる作用により互いに協調して車輌の挙動を制御する複数の挙動制御手段としての操舵制御手段及び制駆動力制御手段により車輌の走行運動を制御するに当たり、車輌の挙動制御に対する各挙動制御手段の制御応答性に関する特性、特に制御応答周波数特性を逐次検出し、検出された特性に応じて各挙動制御手段に対する走行運動制御目標の配分を可変制御することにより、車輌の状況の変化、特に挙動制御手段の挙動制御特性の変化に拘わらず車輌の走行運動を常に最適に制御することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段を有し、検出された前記特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分することを特徴とする車輌の走行制御装置(請求項1の構成)、又は操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段を有し、検出された前記特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する配分手段と、タックインが生じているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によりタックインが生じていると判定されたときには、前記操舵制御手段に対する配分を増大すると共に前記制駆動力制御手段に対する配分を低減する配分変更手段とを有することを特徴とする車輌の走行制御装置(請求項2の構成)、又は操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段を有し、検出された前記特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する配分手段と、車輌が旋回加速状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により車輌が旋回加速状態にあると判定されたときには、前記操舵制御手段に対する配分を低減すると共に前記制駆動力制御手段に対する配分を増大する配分変更手段とを有することを特徴とする車輌の走行制御装置(請求項3の構成)、又は操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は前記操舵制御手段を最優先順位の挙動制御手段とし、車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段と、検出され 前記操舵制御手段の制御応答性に関する特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量に配分することにより前記操舵制御手段の目標挙動制御量を演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量と前記操舵制御手段の目標挙動制御量との差分を前記制駆動力制御手段に配分する手段とを有することを特徴とする車輌の走行制御装置(請求項の構成)によって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、前記配分制御手段は車輌の走行状態に基づき最優先順位の変更が必要であるか否かを判定する手段と、最優先順位の変更が必要であると判定されたときには前記最優先順位の挙動制御手段を制駆動力制御手段に変更し、検出された前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分することにより前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量を演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量と前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量との差分を前記操舵制御手段に配分する手段とを有するよう構成される(請求項5の構成)。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れかの構成に於いて、前記配分制御手段は前記制御応答性に関する特性として前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値を逐次検出し、前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の前記制御応答周波数特性を示す値に比例する値をそれぞれ前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に対する前記配分重みに設定し、これにより前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値に基づいて前記車輌全体の目標挙動制御量が周波数分離された値として前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量を演算するよう構成される(請求項6の構成)。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、車輌の挙動制御に対する操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性が逐次検出され、検出された特性に応じて車輌全体の目標挙動制御量を操舵制御手段の目標挙動制御量及び制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、該配分重みに応じて車輌全体の目標挙動制御量が操舵制御手段の目標挙動制御量及び制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分され、その配分結果に基づき操舵制御手段及び制駆動力制御手段が制御されるので、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の何れかの制御応答性に関する特性に変化が生じてもその変化に対応して操舵制御手段及び制駆動力制御手段に対する車輌全体の目標挙動制御量の配分を逐次変更することができ、これにより操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性の変化に拘わらず車輌の走行運動を常に最適に制御することができる。
【0012】
また上記請求項2の構成によれば、上記請求項1の場合と同様に車輌の挙動制御に対する操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて車輌全体の目標挙動制御量が操舵制御手段及び制駆動力制御手段に配分されるので、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性の変化に拘わらず車輌の走行運動を常に最適に制御することができると共に、タックインが生じているか否かが判定され、タックインが生じていると判定されたときには、操舵制御手段に対する配分が増大されると共に制駆動力制御手段に対する配分が低減されるので、制御応答性に関する特性に応じた車輌全体の目標挙動制御量の配分によっては却って車輌の挙動の悪化を来たす状況がタックインに起因して生じても、車輌の挙動を悪化させることなく車輌の走行運動を適正に制御することができる。
また上記請求項3の構成によれば、上記請求項1の場合と同様に車輌の挙動制御に対する操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて車輌全体の目標挙動制御量が操舵制御手段及び制駆動力制御手段に配分されるので、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性の変化に拘わらず車輌の走行運動を常に最適に制御することができると共に、車輌が旋回加速状態にあるか否かが判定され、車輌が旋回加速状態にあると判定されたときには、操舵制御手段に対する配分が低減されると共に制駆動力制御手段に対する配分が増大されるので、制御応答性に関する特性に応じた車輌全体の目標挙動制御量の配分によっては却って車輌の挙動の悪化を来たす状況が車輌の旋回加速状態に起因して生じても、車輌の挙動を悪化させることなく車輌の走行運動を適正に制御することができる。
【0013】
また上記請求項の構成によれば、操舵制御手段が最優先順位の挙動制御手段とされ、車輌の挙動制御に対する操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性が逐次検出され、検出された操舵制御手段の制御応答性に関する特性に応じて車輌全体の目標挙動制御量が操舵制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みが設定され、配分重みに応じて車輌全体の目標挙動制御量を操舵制御手段の目標挙動制御量に配分することにより操舵制御手段の目標挙動制御量が演算され、車輌全体の目標挙動制御量と操舵制御手段の目標挙動制御量との差分が制駆動力制御手段に配分されるので、車輌の挙動制御に対する操舵制御手段の制御応答性に関する特性に応じて最優先順位の挙動制御手段としての操舵制御手段の目標挙動制御量を演算することが可能になると共に、操舵手段により優先的に車輌の走行運動を制御し、制駆動力制御手段により補助的に車輌の走行運動を制御することが可能になる。
【0016】
また上記請求項5の構成によれば、車輌の走行状態に基づき最優先順位の変更が必要であるか否かが判定され、最優先順位の変更が必要であると判定されたときには最優先順位の挙動制御手段が制駆動力制御手段に変更され、検出された制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて車輌全体の目標挙動制御量を制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みが設定され、該配分重みに応じて車輌全体の目標挙動制御量を制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分することにより制駆動力制御手段の目標挙動制御量が演算され、車輌全体の目標挙動制御量と制駆動力制御手段の目標挙動制御量との差分が操舵制御手段に配分されるので、最優先順位の挙動制御手段が制駆動力制御手段であるときには、車輌の挙動制御に対する制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて制駆動力制御手段の目標挙動制御量を演算することが可能になると共に、制駆動力手段により優先的に車輌の走行運動を制御し、操舵制御手段により補助的に車輌の走行運動を制御することが可能になる。
また上記請求項6の構成によれば、制御応答性に関する特性として操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値が逐次検出され、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値に比例する値がそれぞれ操舵制御手段の目標挙動制御量及び制駆動力制御手段の目標挙動制御量に対する配分重みに設定され、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値に基づいて車輌全体の目標挙動制御量が周波数分離された値として操舵制御手段の目標挙動制御量及び制駆動力制御手段の目標挙動制御量を演算されるので、操舵制御手段の制御応答周波数特性を示す値に基づいて周波数分離された挙動制御量を操舵制御手段の目標挙動制御量に配分すると共に制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値に基づいて周波数分離された挙動制御量を制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分することができ、従って後に詳細に説明する如く、車輌全体の目標挙動制御量が操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値に基づいて周波数分離されることなく各制御手段の目標挙動制御量に配分される場合に比して、車輌全体の目標挙動制御量の配分演算を容易に且つ適切に行うことができる。
【0018】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の何れかの構成に於いて、車輌全体の目標挙動制御量を演算する手段は運転者の車輌運転操作量に基づく車輌の目標挙動に対応する車輌の目標内部状態量と車輌の走行状態に基づく車輌の実際の内部状態量との偏差に基づいて車輌全体の目標挙動制御量を演算するよう構成される(好ましい態様1)。
【0019】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、車輌の目標内部状態量は車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントであり、車輌の実際の内部状態量は車輌の実際の前後力、横力、ヨーモーメントであるよう構成される(好ましい態様2)。
【0020】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の何れかの構成に於いて、配分制御手段は操舵制御手段の目標挙動制御量に基づいて操舵輪についての目標舵角制御量を演算するとともに、制駆動力制御手段の目標挙動制御量に基づいて各車輪の目標制駆動力制御量を演算し、目標舵角制御量に基づき操舵制御手段を制御すると共に、目標制駆動力制御量に基づき制駆動力制御手段を制御するよう構成される(好ましい態様3)。
【0023】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6又は上記好ましい態様1乃至3の何れかの構成に於いて、制御応答性に関する特性を逐次検出する手段は操舵制御手段及び制駆動力制御手段の入出力に基づき操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出するよう構成される(好ましい態様)。
【0024】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、制御応答性に関する特性を逐次検出する手段は何れかの制御手段の制御応答性に関する特性を検出することができないときには、当該制御手段については前回の制御応答性に関する特性を維持するよう構成される(好ましい態様)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5又は6又は上記好ましい構成1乃至5の何れかの構成に於いて、最優先順位の変更が必要であるか否かを判定する手段は、車輌のドリフトアウト状態の程度に基づいて最優先順位の変更が必要であるか否かを判定するよう構成される(好ましい態様)。
【0031】
【本発明に於ける配分制御の概要】
次に挙動制御手段が操舵制御手段及び制駆動力制御手段である場合について、車輌全体の目標挙動制御量としての車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを各制御手段に配分し、各車輪毎の制御目標量としての目標スリップ角及び目標スリップ量を演算する概要について説明する。
【0032】
[1]操舵制御手段及び制駆動力制御手段に対する配分
車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの修正量の誤差をEとし、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪のスリップ角α1〜α4及びスリップ率κ1〜κ4をuとし、各車輪のスリップ角の変化量δα1〜δα4及びスリップ率の変化量δκ1〜δκ4をδuとし、修正量の誤差Eに対する重みをWEとし、各車輪のスリップ角及びスリップ率の変化量δuに対する重みをWδ uとし、u+δuに対する重みをWuとして評価関数Lを下記の式1の通りとする。
【0033】
L=ETEE+δuTδ uδu+(u+δu)T u(u+δu)……(1)
尚上記式1に於いて、修正量の誤差E、各車輪のスリップ角及びスリップ率の変量δu、各車輪のスリップ角及びスリップ率uはそれぞれ下記の式2〜4の通りである。
【0034】
E=Δ−dF ……(2)
δu=[δκ1…δκ4 δα1…δα4T ……(3)
u=[κ1…κ4 α1…α4T ……(4)
【0035】
上記式2に於けるΔは車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量であり、車輌の目標前後力をFxtとし、目標横力をFytとし、目標ヨーモーメントをMztとして下記の式5により表わされる。
【数1】
Figure 0003878840
【0036】
また上記式2に於けるdFは各車輪のスリップ角及びスリップ率の変化量δuによる車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの修正量を動作時点近傍について線形近似することにより求められる値であり、下記の式6及び7により表わされる。尚上記式5〜7に於いて使用される車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMz及びヤコビアンJは後述のタイヤモデルにより推定される。
【0037】
【数2】
Figure 0003878840
【数3】
Figure 0003878840
【0038】
制御目標を操舵制御手段及び制駆動力制御手段に配分して各車輪の目標スリップ角及び目標スリップ率を求めるに際しては、最急降下法による繰り返し演算により上記式1にて表わされる評価関数Lを最小にするスリップ角及びスリップ率の目標修正量δutが演算され、現在の値uに修正量δutが加算されることにより各車輪の目標スリップ角αt1〜αt4及び目標スリップ率κt1〜κt4が演算される。
【0039】
目標修正量δutは以下の如く求められる。即ち上記式1より下記の式8が成立し、評価関数Lが最小であるときには∂L/∂δuが0であるので、下記の式9が成立し、従って目標修正量δutは下記の式10により表わされる。
【数4】
Figure 0003878840
(Wδ u+Wu+JTEJ)δut+(Wuu−JTEΔ)=0 ……(9)
δut=(Wδ u+Wu+JTEJ)-1(JTEΔ−Wuu) ……(10)
【0040】
この場合、各車輪毎に操舵制御手段及び制駆動力制御手段の挙動制御特性として車輌の挙動制御に対する操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性が逐次検出され、その検出結果に基づき重みWuを可変設定することにより、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて各車輪毎に操舵制御手段及び制駆動力制御手段に対する車輌全体の目標挙動制御量(目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMzt)の配分を最適化する。
【0041】
[2]制駆動力制御手段に対する配分
制駆動力制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの修正量の誤差をEκとし、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪のスリップ率κ1〜κ4をκとし、各車輪のスリップ率の変化量δκ1〜δκ4をδκとし、修正量の誤差Eκに対する重みをWE κとし、各車輪のスリップ率の変化量δκに対する重みをWδκとし、κ+δκに対する重みをWκとして評価関数Lκを下記の式11の通りとする。
κ=Eκ TE κEκ+δκTδκδκ+(κ+δκ)T κ(κ+δκ)……(11)
【0042】
尚上記式11に於いて、修正量の誤差Eκ、各車輪のスリップ率の変量δκ、各車輪のスリップ率κはそれぞれ下記の式12〜14の通りである。
κ=Δκ−dFκ ……(12)
δκ=[δκ1…δκ4T ……(13)
κ=[κ1…κ4T ……(14)
【0043】
上記式12に於けるΔκは制駆動力制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量であり、制駆動力制御手段に関する車輌の目標前後力をFxtκとし、目標横力をFytκとし、目標ヨーモーメントをMztκとして下記の式15により表わされる。
【数5】
Figure 0003878840
【0044】
また上記式12に於けるdFκは各車輪のスリップ率の変化量δκによる車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの修正量を動作時点近傍について線形近似することにより求められる値であり、下記の式16及び17により表わされる。尚上記式15〜17に於いて使用される車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMz及びヤコビアンJκは後述のタイヤモデルにより推定される。
【0045】
【数6】
Figure 0003878840
【数7】
Figure 0003878840
【0046】
制御目標を制駆動力制御手段に配分して各車輪の目標スリップ率を求めるに際しては、最急降下法による繰り返し演算により上記式11にて表わされる評価関数Lκを最小にするスリップ率の目標修正量δκtが演算され、現在の値κに修正量δκtが加算されることにより各車輪の目標スリップ率κt1〜κt4が演算される。
【0047】
目標修正量δκtは以下の如く求められる。即ち上記式11より下記の式18が成立し、評価関数Lκが最小であるときには∂Lκ/∂δκが0であるので、下記の式19が成立し、従って目標修正量δκtは下記の式20により表わされる。
【0048】
【数8】
Figure 0003878840
Figure 0003878840
【0049】
この場合、各車輪毎に制駆動力制御手段の挙動制御特性として車輌の挙動制御に対する制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性が逐次検出され、その検出結果に基づき重みWuκを可変設定することにより、制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて各車輪毎に制駆動力制御手段の目標挙動制御量(目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκ)の配分を最適化する。
【0050】
[3]操舵制御手段に対する配分
操舵制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの修正量の誤差をEαとし、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪のスリップ率α1〜α4をαとし、各車輪のスリップ率の変化量δα1〜δα4をδαとし、修正量の誤差Eαに対する重みをWE αとし、各車輪のスリップ率の変化量δαに対する重みをWδαとし、α+δαに対する重みをWαとして評価関数Lαを下記の式21の通りとする。
Figure 0003878840
【0051】
尚上記式21に於いて、修正量の誤差Eα、各車輪のスリップ率の変量δα、各車輪のスリップ率αはそれぞれ下記の式22〜24の通りである。
α=Δα−dFα ……(22)
δα=[δα1…δα4T ……(23)
α=[α1…α4T ……(24)
【0052】
上記式22に於けるΔαは操舵制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量であり、操舵制御手段に関する車輌の目標前後力をFxtαとし、目標横力をFytαとし、目標ヨーモーメントをMztαとして下記の式25により表わされる。
【数9】
Figure 0003878840
【0053】
また上記式22に於けるdFαは各車輪のスリップ率の変化量δαによる車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの修正量を動作時点近傍について線形近似することにより求められる値であり、下記の式26及び27により表わされる。尚上記式25〜27に於いて使用される車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMz及びヤコビアンJαは後述のタイヤモデルにより推定される。
【0054】
【数10】
Figure 0003878840
【数11】
Figure 0003878840
【0055】
制御目標を操舵制御手段に配分して各車輪の目標スリップ率を求めるに際しては、最急降下法による繰り返し演算により上記式21にて表わされる評価関数Lαを最小にするスリップ率の目標修正量δαtが演算され、現在の値αに修正量δαtが加算されることにより各車輪の目標スリップ率αt1〜αt4が演算される。
【0056】
目標修正量δαtは以下の如く求められる。即ち上記式21より下記の式28が成立し、評価関数Lαが最小であるときには∂Lα/∂δαが0であるので、下記の式29が成立し、従って目標修正量δαtは下記の式30により表わされる。
【0057】
【数12】
Figure 0003878840
Figure 0003878840
【0058】
この場合、各車輪毎に操舵制御手段の挙動制御特性として車輌の挙動制御に対する操舵制御手段の制御応答性に関する特性が逐次検出され、その検出結果に基づき重みWuαを可変設定することにより、操舵制御手段の制御応答性に関する特性に応じて各車輪毎に操舵制御手段の目標挙動制御量(目標前後力Fxtα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztα)の配分を最適化する。
【0059】
[4]タイヤモデル
ブラッシュタイヤモデルによれば、κiをタイヤのスリップ率とし、Fziをタイヤの接地荷重とし、Kκ 0を荷重で正規化されたドライビングスティフネスとし、Kα 0を荷重で正規化されたコーナリングパワーとし、μを路面の最大摩擦係数とすると、ドライビングスティフネスKκ及びコーナリングパワーKαはそれぞれ下記の式33及び34にて表わされる。またタイヤの路面反力がタイヤの前後方向に対しなす角度をθfiとし、λ及びξをそれぞれ下記の式35及び36にて表わされる値とすると、cosθfi及びsinθfiはそれぞれ下記の式31及び32にて表わされる。
【0060】
【数13】
Figure 0003878840
【0061】
そしてタイヤの前後力Fxi及び横力Fyiはξ≧0であるときには下記の式37及び38にて表わされ、ξ≦0であるときには下記の式39及び40にて表わされる。
【数14】
Figure 0003878840
【0062】
車輌の前後加速度をGxとし、車輌の横加速度をGyとし、車輌のばね上質量をMbとし、車輌の心高さHcとし、車輌のロール中心高さをHφとし、車輌のピッチ中心高さをHθとし、車輌のホイールベースをLとし、車輌の前輪のトレッドをTrfとし、車輌の後輪のトレッドをTrrとし、車輌のフロントロール剛性をKφfとし、車輌のリヤロール剛性をKφrとし、車輌のピッチ剛性をKθとすると、車体のピッチ角θh及びロールφhはそれぞれ下記の式41及び42にて表わされ、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の接地荷重Fxi(i=fl、fr、rl、rr)は下記の式43により求められる。
【0063】
【数15】
Figure 0003878840
【0064】
[6]タイヤの前後力Fxi及び横力Fyiと車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzとの関係
T(δi)を各車輪のタイヤ前後力Fxi及びタイヤ横力Fyiを車輌の前後力Fx及び横力Fyに変換する係数とし、係数T(i)及びL(i)をそれぞれ下記の式46及び47にて表わされる値とすると、車輌の前後力Fx及び横力Fyは下記の式44にて表わされ、車輌のヨーモーメントMzは下記の式45にて表わされる。
【0065】
【数16】
Figure 0003878840
【0066】
Figure 0003878840
【0067】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0068】
第一の実施形態
図1は本発明による車輌の走行制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
図1に於いて、10は車輌12に搭載された駆動源としてのエンジンを示しており、エンジン10の駆動力はトルクコンバータ14及びトランスミッション16を介して出力軸18へ伝達され、出力軸18の駆動力はセンターディファレンシャル20により前輪用プロペラシャフト22及び後輪用プロペラシャフト24へ伝達される。エンジン10の出力は運転者により操作される図1には示されていないアクセルペダルの踏み込み量等に応じてエンジン制御装置26により制御される。
【0069】
前輪用プロペラシャフト22の駆動力は前輪ディファレンシャル30により左前輪車軸32L及び右前輪車軸32Rへ伝達され、これにより左右の前輪34FL及び34FRが回転駆動される。同様に後輪用プロペラシャフト24の駆動力は後輪ディファレンシャル36により左後輪車軸38L及び右後輪車軸38Rへ伝達され、これにより左右の後輪40RL及び40RRが回転駆動される。
【0070】
かくしてトルクコンバータ14、トランスミッション16、センターディファレンシャル20、前輪ディファレンシャル30、後輪ディファレンシャル36等は車輌の駆動系を構成している。特に図示の実施形態の駆動系は左右前輪34FL、34FR及び左右後輪40RL、40RRに対し一定の配分比率にてエンジン10の駆動トルクを配分し、エンジン制御装置26はエンジン10より各車輪へ伝達される駆動トルクを総括的に制御する。
【0071】
左右の前輪34FL、34FR及び左右の後輪40RL、40RRの制動力は制動装置42の油圧回路44により対応するホイールシリンダ46FL、46FR、46RL、46RRの制動圧が制御されることによって制御される。図には示されていないが、油圧回路44はリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル47に対する踏力に応じて駆動されるマスタシリンダ48により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く走行制御用電子制御装置50により個別に制御される。
【0072】
また図1に示されている如く、左右の前輪34FL及び34FRは前輪用操舵装置52により操舵される。図示の実施形態に於いては、前輪用操舵装置52は運転者によるステアリングホイール54の操舵操作に応答して駆動される油圧式のパワーステアリング装置56を有し、左右の前輪34FL及び34FRはパワーステアリング装置56によりタイロッド58L及び58Rを介して操舵される。
【0073】
タイロッド58L及び58Rにはそれぞれそれらの有効長さを可変制御するアクチュエータ60L及び60Rが設けられており、アクチュエータ60L及び60Rは舵角制御装置62により制御され、これにより左右の前輪34FL及び34FRの舵角は相互に独立して、また後輪40RL及び40RRとは独立して制御されるようになっている。
【0074】
同様に、左右の後輪40RL及び40RRは後輪用操舵装置64により操舵される。後輪用操舵装置64は運転者によるステアリングホイール54の操舵操作や車速に応答して駆動される油圧式のパワーステアリング装置66を有し、左右の後輪の40RL及び40RRはパワーステアリング装置66によりタイロッド68L及び68Rを介して操舵される。
【0075】
タイロッド68L及び68Rにはそれぞれそれらの有効長さを可変制御するアクチュエータ70L及び70Rが設けられており、パワーステアリング装置66及びアクチュエータ70L、70Rは舵角制御装置62により制御され、これにより左右の後輪40RL及び40RRの舵角は相互に独立して、また前輪34FL及び34FRとは独立して制御されるようになっている。
【0076】
以上の説明より解る如く、前輪用操舵装置52、後輪用操舵装置64、舵角制御装置62は各車輪34FL、34FR、40RL、40RRの舵角を個別に制御可能な操舵制御手段を構成しており、エンジン10、エンジン制御装置26、制動装置42、電子制御装置50は互いに共働して各車輪の制駆動力、即ち前後力を個別に制御可能な制駆動力制御手段を構成しており、電子制御装置50は操舵制御手段及び制駆動力制御手段を制御する制御手段として機能する。
【0077】
電子制御装置50には車速センサ72より車速Vxを示す信号、前後加速度センサ74及び横加速度センサ76よりそれぞれ車輌12の前後加速度Gx及び横加速度Gyを示す信号、ヨーレートセンサ78より車輌のヨーレートγを示す信号、踏力センサ80よりブレーキペダル47に対する踏力Fb(運転者による制動制御操作量)を示す信号、車輪速度センサ82i(i=fl、fr、rl、rr)より左右前輪及び左右後輪の車輪速度Vwiを示す信号、圧力センサ84i(i=fl、fr、rl、rr)より左右前輪及び左右後輪の制動圧Pi、即ちホイールシリンダ46FL、46FR、46RR、46RL内の圧力を示す信号が入力される。尚運転者による制動制御操作量はマスタシリンダ48内の圧力又はブレーキペダル47の踏み込みストロークにより検出されてもよい。
【0078】
一方エンジン制御装置26にはエンジン回転数センサ86よりエンジン回転数Neを示す信号、スロットル開度センサ88よりスロットル開度Ta(運転者による駆動力制御操作量)を示す信号、シフトポジション(SP)センサ90よりトランスミッション16のシフトポジションPsを示す信号が入力され、これらの信号はエンジン制御装置26より電子制御装置50にも入力される。尚運転者による駆動力制御操作量はアクセルペダルの踏み込みストロークにより検出されてもよい。
【0079】
更に舵角制御装置62には操舵角センサ92よりステアリングホイール54に連結されたステアリングシャフトの回転角度として操舵角θ(運転者による操舵制御操作量)を示す信号及び舵角センサ94i(i=fl、fr、rl、rr)より左右前輪及び左右後輪の舵角θwiを示す信号が入力され、これらの信号は舵角制御装置62より電子制御装置50にも入力される。
【0080】
尚前後加速度センサ74は車輌の加速方向を正として前後加速度を検出し、横加速度センサ76、ヨーレートセンサ78及び操舵角センサ92はそれぞれ車輌の左旋回方向を正として横加速度等を検出する。またエンジン制御装置26、電子制御装置50、舵角制御装置62は実際にはそれぞれ例えばCPU、ROM、RAM、入出力装置を含むマイクロコンピュータ及び駆動回路にて構成されていてよい。
【0081】
後に詳細に説明する如く、走行制御用電子制御装置50は図3乃至図6に示されたルーチンに従って、まず車速Vx等に基づき車輌の目標運動状態量として車輌の目標ヨーレートγt、車輌の目標横加速度Gyt、車輌の目標前後加速度Gxtを演算し、これらに基づき車輌の目標内部状態量として車輌の目標前後加速度Gxtに対応する車輌の目標前後力Fxt、目標横加速度Gytに対応する車輌の目標横力Fyt、目標ヨーレートγtに対応する車輌の目標ヨーモーメントMztを演算する。
【0082】
また走行制御用電子制御装置50は、後述の如く車輌の挙動制御に対する操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性として操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値(以下単に制御応答周波数特性という)Gαi及びGκiを演算し、それらの逆数に比例する値を上記式10に於ける重みWuとして配分制御による各車輪のスリップ率の目標修正量δκti及び目標スリップ角の目標修正量δαti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、これらに基づき上記式69及び70に従って各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti(i=fl、fr、rl、rr)を演算する。
【0083】
そして走行制御用電子制御装置50は、目標スリップ率κtiに基づき各車輪の目標制動圧Pti及びエンジンの目標駆動トルクTetを演算し、各車輪の制動圧Piが目標制動圧Ptiになりエンジンの駆動トルクが目標駆動トルクTetになるよう制動装置42及びエンジン10を制御することにより、各車輪のスリップ率κiを目標スリップ率κtiに制御し、また目標スリップ角αtiに基づき各車輪の目標舵角θwtiを演算し、各車輪の舵角θwiが目標舵角θwtiになるよう前輪用操舵装置52及び後輪用操舵装置64を制御することにより、各車輪のスリップ角αiを目標スリップ角αtiに制御する。
【0084】
次に図3乃至図6に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける車輌の走行制御ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートのメインルーチンによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0085】
まずステップ50に於いては車速センサ72により検出された車速Vxを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ100に於いては車速Vx等に基づき車輌の目標運動状態量として車輌の目標ヨーレートγt、車輌の目標横加速度Gyt、車輌の目標前後加速度Gxtが演算される。
【0086】
例えば目標ヨーレートγtはステアリングギヤ比をNとし、車輌のホイールベースをLとし、スタビリティファクタをKhとし、操舵−ヨーレート過渡伝達関数をH(s)として下記の式48に従って演算され、目標横加速度Gytはヨーレート−横加速度過渡伝達関数をG(s)として下記の式49により演算され、目標前後加速度Gxtはエンジン回転数Ne、スロットル開度Ta、トランスミッション16のシフトポジションPsに基づく駆動系のギヤ比Rd、ブレーキペダルに対する踏力Fbを変量として車輌の目標前後加速度を演算するための関数F(Ne,Ta,Rd,Fb)により下記の式50に従って演算される。
【0087】
γt=θ・Vx/{N・L(1+Kh・Vx2)}H(s) ……(48)
Gyt=γt・Vx・G(s) ……(49)
Gxt=F(Ne,Ta,Rd,Fb) ……(50)
【0088】
ステップ150に於いては車輌の目標内部状態量として車輌の目標前後加速度Gxtに対応する車輌の目標前後力Fxt、目標横加速度Gytに対応する車輌の目標横力Fyt、目標ヨーレートγtに対応する車輌の目標ヨーモーメントMztが演算される。
【0089】
特に車輌の目標前後力Fxt及び目標横力Fytは車輌の質量をMvとしてそれぞれ下記の式51及び52に従って演算され、目標ヨーモーメントMztは車輌のヨー慣性モーメントをIyとし、車輌の目標ヨーレートγtの微分値をγtdとして下記の式53に従って演算される。
Fxt=Mv・Gxt ……(51)
Fyt=Mv・Gyt ……(52)
Mzt=Iy・γtd ……(53)
【0090】
ステップ200に於いては舵角制御装置62よりアクチュエータ60L、60R、70L、70Rへ出力される制御信号(操舵制御入力)と舵角センサ94iにより検出される各車輪の舵角θwi(操舵制御出力)とに基づきTo α iを係数とし、Tα iを時定数とし、sをラプラス演算子とする下記の式54にて示される操舵制御手段の制御応答周波数特性Gα i(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、電子制御装置50より制動装置42及びエンジン制御装置26を介してエンジン10へ出力される制御信号(操舵制御入力)と車輪速度センサ82iにより検出される各車輪の車輪速度Vwiの微分値として求められる車輪加速度Vwdi(i=fl、fr、rl、rr)(操舵制御出力)とに基づきTo κ iを係数とし、Tκ iを時定数とし、sをラプラス演算子とする下記の式55にて示される制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκ i(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
α i=1/{To α i(1+Tα is)} ……(54)
κ i=To κ i(1+Tα is)} ……(55)
【0091】
尚制御開始時には操舵制御手段の制御応答周波数特性Gα i及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκ iは予め設定された初期値に設定され、操舵制御手段の制御応答周波数特性Gα i若しくは制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκ iを演算することができないときには特性Gα i若しくはGκ iは前回値に設定される。
【0092】
ステップ250に於いてはKs及びKbを例えば予め実験的に求められた正の一定の係数として、制御目標の配分制御のための上記式10に於ける重みWuが下記の式56にて示される通り制御応答周波数特性Gαi及びGκiの逆数に比例する値に設定される。
u=diag(Ks/Gα fl … Ks/Gα rr
Kb/Gκ fl … Kb/Gκ rr) ……(56)
【0093】
ステップ300に於いては後述の図4に示されたルーチンに従って配分制御による各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ900に於いては後述の図5に示されたルーチンに従って各車輪の目標舵角θwti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0094】
ステップ1000に於いては後述の図6に示されたルーチンに従って各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)及びエンジン10の目標駆動トルクTetが演算され、ステップ1100に於いては各車輪の舵角θwiがそれぞれ目標舵角θwtiになるよう前輪用操舵装置52及び後輪用操舵装置64が舵角制御装置62により制御され、各車輪のホイールシリンダ圧力Piが目標制動圧Ptiになるよう制動装置42が制御され、エンジン10の駆動トルクTeが目標駆動トルクTetになるようエンジン10がエンジン制御装置26により制御される。
【0095】
図4に示された各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti演算ルーチンのステップ310に於いては、各車輪の車輪速度Vwi等に基づき当技術分野に於いて公知の要領にて各車輪のスリップ率κi及びスリップ角αi(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0096】
例えば下記の式57に従って車輌のスリップ角βが演算され、下記の式58〜61に従って各車輪の接地点の進行方向角αwi(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、下記の式62に従って各車輪のスリップ角αiが舵角θwiと接地点の進行方向角αwiとの和として演算される。尚左前輪について図12に示されている如く、接地点の進行方向角αwiは各車輪の接地点Pzi(i=fl、fr、rl、rr)の進行方向が車輌の前後方向に対しなす角度である。
【0097】
β=∫(Gy/Vx−γ)dt ……(57)
αwfl=(β・Vx+Lf・γ)/(Vx−Trf・γ/2) ……(58)
αwfr=(β・Vx+Lf・γ)/(Vx+Trf・γ/2) ……(59)
αwrl=(β・Vx−Lr・γ)/(Vx−Trr・γ/2) ……(60)
αwrr=(β・Vx−Lr・γ)/(Vx+Trr・γ/2) ……(61)
αi=θwi+αwi ……(62)
【0098】
また下記の式63〜66に従って各車輪の接地点の前後速度Vwxi(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、下記の式67に従って各車輪の転動方向の移動速度Vtwi(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、各車輪のスリップ率κiが下記の式68に従って演算される。
【0099】
Vwxfl=Vx+Trf・γ/2 ……(63)
Vwxfr=Vx−Trf・γ/2 ……(64)
Vwxrl=Vx+Trr・γ/2 ……(65)
Vwxrr=Vx−Trr・γ/2 ……(66)
Vtwi=Vwxi(cosθwi−tanαi・sinθwi) ……(67)
κi=1−Vrwi/Vtwi ……(68)
【0100】
ステップ320に於いては上記式41〜43に従って各車輪の接地荷重Fzi(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ330に於いては上記式37及び38又は上記式39及び40に従って各車輪の前後力Fxi及び横力Fyi(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0101】
ステップ340に於いては上記式44〜47に従って車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzが演算され、ステップ350に於いては上記式5に従って車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量Δが演算される。
【0102】
ステップ360に於いては車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzが各車輪のスリップ率κi及びスリップ角αiにて偏微分されることにより、上記式7により表わされるヤコビアンJが演算され、ステップ370に於いては上記式10に従って目標修正量δu、即ち各車輪のスリップ率の目標修正量δκti及びスリップ角の目標修正量δαti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。尚この場合上記式10に於ける重みWδ u及びWEは例えば予め実験的に求められた定数に設定される。
【0103】
ステップ380に於いては各車輪の目標スリップ率κtiが現在のスリップ率κiとスリップ率の目標修正量Δκtiとの和として下記の式69に従って演算されると共に、各車輪の目標スリップ角αtiが現在のスリップ角αiとスリップ角の目標修正量Δαtiとの和として下記の式70に従って演算され、しかる後ステップ900へ進む。
κti=κi+δκti ……(69)
αti=αi+δαti ……(70)
【0104】
図5に示された各車輪の目標舵角θwti演算ルーチンのステップ910に於いては、下記の式71に従って車輌の目標スリップ角βtが演算される。
βt=∫(Gyt/Vx−γt)dt ……(71)
【0105】
ステップ920に於いては下記の式72〜75に従って各車輪の接地点の目標進行方向角αwti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。尚左前輪について図12に示されている如く、接地点の目標進行方向角αwtiは各車輪の接地点Pzi(i=fl、fr、rl、rr)の目標進行方向が車輌の前後方向に対しなす角度である。
【0106】
αwtfl=(βt・Vx+Lf・γt)/(Vx−Trf・γt/2) ……(72)
αwtfr=(βt・Vx+Lf・γt)/(Vx+Trf・γt/2) ……(73)
αwtrl=(βt・Vx−Lr・γt)/(Vx−Trr・γt/2) ……(74)
αwtrr=(βt・Vx−Lr・γt)/(Vx+Trr・γt/2) ……(75)
【0107】
ステップ930に於いては下記の式76に従って各車輪の目標舵角θwti(i=fl、fr、rl、rr)が目標スリップ角αtiと各車輪の接地点目標進行方向角αwtiとの差として演算され、しかる後ステップ1000へ進む。
θwti=αti−αwti ……(76)
【0108】
図6に示された各車輪の目標制動圧Pti及びエンジンの目標駆動トルクTet演算ルーチンのステップ1010に於いては、下記の式77〜80に従って各車輪の接地点の目標前後速度Vwxti(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、下記の式81に従って各車輪の転動方向の目標移動速度Vtwti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0109】
Vwxtfl=Vx+Trf・γ/2 ……(77)
Vwxtfr=Vx−Trf・γ/2 ……(78)
Vwxtrl=Vx+Trr・γ/2 ……(79)
Vwxtrr=Vx−Trr・γ/2 ……(80)
Vtwti=Vwxti(cosθwti−tanαti・sinθwti) ……(81)
【0110】
ステップ1020に於いては目標スリップ率κti及び転動方向の目標移動速度Vtwtiに基づき下記の式82に従って各車輪の目標車輪速度Vrwti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
Vrwti=(1−κti)Vtwti ……(82)
【0111】
ステップ1030に於いては下記の式83に従って車輌の目標前後力Fxt及び目標横力Fytの合力として車輌の目標発生力Fxytが演算されると共に、下記の式84が成立するので、車輌にヨーモーメントを与えることなく車輌の目標発生力Fxytを達成する各車輪の目標発生力Fxyti(i=fl、fr、rl、rr)が下記の式85〜88に従って演算され、更に目標発生力Fxytiの車輪の前後方向の成分として各車輪の目標車輪前後力Fwxti(i=fl、fr、rl、rr)が下記の式89に従って演算される。下記の式85〜88に於けるgは重力加速度である。
【0112】
Fxyt=(Fxt2+Fyt21/2 ……(83)
Fzfl+Fzfr+Fzrl+Fzrr=Mv・g ……(84)
Fxytfl=Fxyt・Fzfl/(Mv・g) ……(85)
Fxytfr=Fxyt・Fzfr/(Mv・g) ……(86)
Fxytrl=Fxyt・Fzrl/(Mv・g) ……(87)
Fxytrr=Fxyt・Fzrr/(Mv・g) ……(88)
Fwxti=Fxyti・cos(π/2−θwti)
=Fxyti・sinθwti ……(89)
【0113】
ステップ1040に於いては例えば目標車輪速度Vrwtiの時間微分値として各車輪の目標車輪加速度Vrwtdi(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、車輪の有効半径をRwとし、車輪の回転慣性モーメントをIwとして下記の式90に従って各車輪の目標回転トルクTwti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
Twti=Fwxti・Rw+Iw・Vrwtdi ……(90)
【0114】
ステップ1050に於いては全ての車輪の目標回転トルクTwtiが負の値であるか否かの判別、即ち全ての車輪について制動が必要な状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ1080へ進み、否定判別が行われたときにはステップ1060へ進む。
【0115】
ステップ1060に於いてはシフトポジションPsに基づき駆動系のギヤ比Rdが求められると共に、駆動系による各車輪に対するエンジン10の駆動トルクの配分率をXi(i=fl、fr、rl、rr)(0<Xi<0.5、ΣXi=1)とし、四輪の目標回転トルクTwtiのうちの最大値をTwtmaxとし、目標回転トルクが最大値Twtmaxである車輪(最大駆動トルク車輪)の駆動トルク配分率をXmaxとして、エンジン10の目標駆動トルクTetが下記の式91に従って演算される。
Tet=Twtmax・Rd/Xmax ……(91)
【0116】
ステップ1070に於いては最大駆動トルク車輪の目標制動圧Ptiが0に設定されると共に、制動圧と制動トルクとの変換係数をKpとして最大駆動トルク車輪以外の各車輪の目標制動圧Ptiが下記の式92に従って演算され、しかる後ステップ1100へ進む。
Pti=(Twtmax・Xi/Xmax−Twti)/Kp ……(92)
【0117】
ステップ1080に於いてはエンジン10の目標駆動トルクTetが0に設定され、ステップ1090に於いては各車輪の目標制動圧Ptiが下記の式93に従って演算され、しかる後ステップ1100へ進む。
Pti=−Twti/Kp ……(93)
【0118】
かくして図示の第一の実施形態によれば、ステップ100に於いて車速Vx等に基づき車輌の目標ヨーレートγt、車輌の目標横加速度Gyt、車輌の目標前後加速度Gxtが演算され、ステップ150に於いて車輌の目標前後加速度Gxtに対応する車輌の目標前後力Fxt、目標横加速度Gytに対応する車輌の目標横力Fyt、目標ヨーレートγtに対応する車輌の目標ヨーモーメントMztが演算される。
【0119】
またステップ200に於いて操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gα i及びGκ iが演算され、ステップ250に於いて特性Gα i及びGκ iの逆数に比例する値が上記式10に於ける重みWuに設定され、ステップ300に於いて配分制御による各車輪のスリップ率の目標修正量δκti及び目標スリップ角の目標修正量δαtiが演算されることにより、各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αtiが演算される。
【0120】
そしてステップ900に於いて目標スリップ角αtiに基づき各車輪の目標舵角θwtiが演算され、ステップ1000に於いて目標スリップ率κtiに基づき各車輪の目標制動圧Pti及びエンジン10の目標駆動トルクTetが演算され、ステップ1100に於いて各車輪の舵角θwiがそれぞれ目標舵角θwtiになるよう前輪用操舵装置52及び後輪用操舵装置64が舵角制御装置62により制御され、各車輪のホイールシリンダ圧力Piが目標制動圧Ptiになるよう制動装置42が制御され、エンジン10の駆動トルクTeが目標駆動トルクTetになるようエンジン10がエンジン制御装置26により制御される。
【0121】
従って図示の第一の実施形態によれば、車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMtを達成するよう、換言すれば車輌の目標ヨーレートγt、車輌の目標横加速度Gyt、車輌の目標前後加速度Gxtを達成するよう、各車輪の制駆動力及び舵角を制御することができ、これにより運転者による操舵制御操作量(操舵角θ)、駆動力制御操作量(スロットル開度Ta)、制動制御操作量(ブレーキペダル踏力Fb)に応じた所望の運動状態にて車輌を安定的に走行させることができる。
【0122】
また図示の第一の実施形態によれば、ステップ200に於いて操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gα i及びGκ iが演算され、ステップ250に於いて特性Gα i及びGκ iの逆数に比例する値が上記式10に於ける重みWuに設定され、ステップ300に於いて配分制御による各車輪のスリップ率の目標修正量δκti及び目標スリップ角の目標修正量δαtiが演算されるので、車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMtを達成するための制御目標を操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gα i及びGκ iに応じて最適にこれらの制御手段に配分することができる。
【0123】
特に図示の第一の実施形態によれば、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gα i及びGκ iは毎回演算されるので、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性の変化、例えばアクチュエータ60L等の経時変化、制動装置42の作動オイルの温度変化に伴う粘性の変化、各車輪の制動機構のブレーキパッドの如き摩擦材の温度変化等に起因する摩擦係数の変化等が生じても、その変化に対応して挙動制御量を各制御手段に適正に配分することができ、従って上記式10に於ける重みWuが予め一定に設定される場合に比して、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性の変化に拘わらず車輌を安定的に走行させることができる。
また一般に、車輌が主として後輪の駆動力により加速されている状況に於いて、前輪の制動力の制御により車輌のヨー方向の制御が行われるような場合には、前輪のタイヤが無駄に変形され、タイヤの使用領域が非線形領域になるので、操舵制御手段による制御の応答が悪化する。図示の第一の実施形態によれば、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御周波数特性の変化に応じてこれらの制御手段に対する制御目標の配分が適宜に変更されるので、かかる状況に於いても車輌を安定的に走行させることができ、また前輪のタイヤの無駄な変形を低減してエネルギ効率が悪化することを防止することができる。
【0124】
例えば図18(A)に示されている如く、制駆動力制御手段の入出力の周波数応答が実線より破線に低下したときには、即ち上記式54の時定数Tκ iが低下したときには、制御応答周波数特性Gκ iが減少し、図18(B)に示されている如くそれに対応して応答が低下した周波数領域の制御手段の重み(W)が増大するので、制駆動力制御手段の入出力の周波数応答の変動に拘わらず車輌を安定的に走行させるために必要な制駆動力制御手段の制御量を適正に演算することができる。
【0125】
また図19(A)に示されている如く、制駆動力制御手段の入出力のゲインが実線より破線に低下したときには、即ち上記式54の係数T0 κ iが低下したときには、制御応答周波数特性Gκ iも減少し、図19(B)に示されている如くそれに対応して制御手段の重み(W)が全体的に増大するので、制駆動力制御手段の入出力のゲインの変動に拘わらず車輌を安定的に走行させるために必要な制駆動力制御手段の制御量を適正に演算することができる。
【0126】
また図示の第一の実施形態によれば、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gα i及びGκ iは各車輪について演算され、これにより上記式10に於ける重みWuも各車輪について演算されるので、車輌を安定的に走行させるための挙動制御量を各車輪単位にて操舵制御手段及び制駆動力制御手段に最適に配分することができ、重みWuが例えば操舵制御手段全体及び制駆動力制御手段全体の制御応答周波数特性Gα及びGκが演算され、重みWuが特性Gα及びGκに比例する値として全ての車輪について共通の重みにされる場合に比して、各車輪の舵角及び制駆動力を最適に制御することができる。
【0127】
第二の実施形態
図7は本発明による車輌の走行制御装置の第二の実施形態に於ける各車輪の舵角制御及び制駆動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。尚図7に於いて、図3に示されたステップに対応するステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
【0128】
この実施形態のステップ50〜150は上述の第一の実施形態の場合と同様に実行され、ステップ150の次に実行されるステップ400に於いてはTo αを係数とし、Tαを時定数とし、sをラプラス演算子として下記の式94にて表わされる車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzに対する操舵制御手段の制御応答周波数特性Gαが上述の第一の実施形態の場合と同様の要領にて演算されると共に、To κを係数とし、Tκを時定数とし、sをラプラス演算子として下記の式95にて表わされる車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzに対する制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκが上述の第一の実施形態の場合と同様の要領にて演算される。
Figure 0003878840
【0129】
尚この実施形態の場合にも制御開始時には操舵制御手段の制御応答周波数特性Gα及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκは予め設定された初期値に設定され、操舵制御手段の制御応答周波数特性Gα若しくは制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκを演算することができないときには特性Gα若しくはGκは前回値に設定される。
【0130】
ステップ450に於いてはKκを正の一定の係数として制駆動力制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκが下記の式96に従って演算されると共に、Kαを正の一定の係数として操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fstα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαが下記の式97に従って演算されることにより、車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが制駆動力制御手段及び操舵制御手段の制御応答周波数に基づき周波数分離される。
Figure 0003878840
【0131】
ステップ500に於いては図8に示されたルーチンに従って配分制御による各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、しかる後ステップ900〜1100が上述の第一の実施形態の場合と同様に実行される。
【0132】
図8に示された各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti演算ルーチンのステップ510〜540はそれぞれ上述の第一の実施形態のステップ310〜340と同様に実行され、ステップ550に於いては下記の式98に従って制駆動力制御手段に対する配分制御の重みWu κが演算されると共に、下記の式99に従って操舵制御手段に対する配分制御の重みWu αが演算される。
u κ=diag(Kb/Gκ fl … Kb/Gκ rr) ……(98)
u α=diag(Ks/Gα fl … Ks/Gα rr) ……(99)
【0133】
ステップ560に於いては上記式15に従って制駆動力制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量Δκが演算されると共に、上記式22に従って操舵制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量Δαが演算される。
【0134】
ステップ570に於いては車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzが各車輪のスリップ率κiにて偏微分されることにより上記式17により表わされるヤコビアンJκが演算されると共に、車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzが各車輪のスリップ角αiにて偏微分されることにより、上記式27により表わされるヤコビアンJαが演算される。
【0135】
ステップ580に於いては上記式20に従ってスリップ率の目標修正量δκti(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、上記式30に従ってスリップ角の目標修正量δαti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、しかる後ステップ580が上述の第一の実施形態のステップ380の場合と同様に実行される。
【0136】
かくして図示の第二の実施形態によれば、ステップ400に於いて車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzに対する操舵制御手段の制御応答周波数特性Gα及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκが演算され、ステップ450に於いて制駆動力制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκが上記式96に従って演算されると共に、操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fstα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαが上記式97に従って演算されることにより、車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが制駆動力制御手段及び操舵制御手段の制御応答周波数に基づき周波数分離される。
【0137】
そしてステップ500に於いて周波数分離により制駆動力制御手段及び操舵制御手段に対し割り振られた車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントに基づき図8に示されたルーチンに従って配分制御による各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αtiが演算される。
【0138】
従ってこの第二の実施形態によれば、制駆動力制御手段及び操舵制御手段の制御応答周波数に応じて車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztを二つの制御手段に最適に配分し、各制御手段に配分された制御目標をそれぞれ各車輪に配分することができるので、制駆動力制御手段若しくは操舵制御手段の制御応答周波数の変化に拘わらず各車輪のスリップ率及びスリップ角を最適に制御することができるだけでなく、車輌全体の目標挙動制御量を各車輪毎の制駆動力制御手段及び操舵制御手段の目標制御量に容易に配分することができる。
【0139】
また上述の第一の実施形態によれば、車輌全体の目標挙動制御量の配分に際し8行8列の行列式を解かなければならないのに対し、この第二の実施形態によれば、4行4列の行列式を二回演算すればよいので、上述の第一の実施形態の場合に比して配分制御に必要な演算量を低減することができる。
【0140】
第三の実施形態
図9は本発明による車輌の走行制御装置の第三の実施形態に於ける各車輪の舵角制御及び制駆動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。尚図9に於いて、図3に示されたステップに対応するステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
【0141】
この実施形態のステップ50〜150も上述の第一の実施形態の場合と同様に実行され、ステップ150の次に実行されるステップ600に於いては上記式94にて表わされる操舵制御手段の制御応答周波数特性Gαが演算され、ステップ650に於いては操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαが上記式97に従って演算される。
【0142】
ステップ700に於いては図10に示されたルーチンに従って配分制御による各車輪の目標スリップ角αti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ800に於いては下記の式100に従って制駆動力制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκが演算される。
Figure 0003878840
【0143】
ステップ850に於いては図11に示されたルーチンに従って配分制御による各車輪の目標スリップ率κti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、しかる後ステップ900〜1100が上述の第一の実施形態の場合と同様に実行される。
【0144】
図10に示された各車輪の目標スリップ角αti演算ルーチンのステップ710〜740はそれぞれ上述の第一の実施形態のステップ310〜340の場合と同様に実行され、ステップ750に於いては上記式99に従って操舵制御手段に対する配分制御の重みWu αが演算され、ステップ760に於いては上記式22に従って操舵制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量Δαが演算される。
【0145】
ステップ770に於いては車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzが各車輪のスリップ角αiにて偏微分されることにより、上記式27により表わされるヤコビアンJαが演算され、ステップ780に於いては上記式30に従ってスリップ角の目標修正量δαti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ790に於いては上記式58に従って各車輪の目標スリップ角αtiが演算され、しかる後ステップ800へ進む。
【0146】
また図11に示された各車輪の目標スリップ率κti演算ルーチンのステップ855に於いては、上記式98に従って制駆動力制御手段に対する配分制御の重みWu κが演算され、ステップ860に於いては上記式15に従って制駆動力制御手段に関する車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzの目標修正量Δκが演算される。
【0147】
ステップ870に於いては車輌の前後力Fx、横力Fy、ヨーモーメントMzが各車輪のスリップ率κiにて偏微分されることにより上記式17により表わされるヤコビアンJκが演算され、ステップ880に於いては上記式20に従ってスリップ率の目標修正量δκti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ890に於いては上記式57に従って各車輪の目標スリップ率κtiが演算され、しかる後ステップ900へ進む。
【0148】
かくして図示の第三の実施形態によれば、ステップ600に於いて操舵制御手段の制御応答周波数特性Gαが演算され、ステップ650に於いて制御応答周波数特性Gαに応じて車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが操舵制御手段に配分されることにより、操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαが演算され、ステップ700に於いて操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαに基づき各車輪の目標スリップ角αtiが演算される。
【0149】
そしてステップ800に於いて車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztよりそれぞれ操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαを減算した値として制駆動力制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκが演算され、ステップ850に於いて目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκに基づき各車輪の目標スリップ率κtiが演算される。
【0150】
従ってこの第三の実施形態によれば、操舵角制御手段を最優先順位の制御手段として、車輌全体の目標挙動制御量Fxt、Fyt、Mztが優先的に操舵制御手段に配分されることにより、操舵制御手段の目標挙動制御量Fxtα、Fytα、Mztαが演算され、車輌全体の目標挙動制御量Fxt、Fyt、Mztと操舵制御手段の目標挙動制御量Fxtα、Fytα、Mztαとの差分が制駆動力制御手段の目標挙動制御量Fxtκ、Fytκ、Mztκとして演算されるので、制駆動力制御手段による挙動制御によって車輌が不必要に加減速される虞れを低減しつつ、車輌の挙動を確実に制御し、車輌を安定的に走行させることができる。
【0151】
またこの第三の実施形態によれば、操舵制御手段の目標挙動制御量Fxtα、Fytα、Mztα及び制駆動力制御手段の目標挙動制御量Fxtκ、Fytκ、Mztκが演算され、目標挙動制御量Fxtα、Fytα、Mztαが各車輪に配分されることにより各車輪について操舵制御手段の目標制御量、即ち目標スリップ角αtiが演算され、また目標挙動制御量Fxtκ、Fytκ、Mztκが各車輪に配分されることにより各車輪について制駆動力制御手段の目標制御量、即ち目標スリップ率κtiが演算されるので、上述の第二の実施形態の場合と同様、配分制御に必要な演算量を低減することができる。
【0152】
第四の実施形態
図13は上述の第一の実施形態の修正例として構成された本発明による車輌の走行制御装置の第四の実施形態に於ける各車輪の舵角制御及び制駆動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。尚図13に於いて、図3に示されたステップに対応するステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
【0153】
この実施形態のステップ50〜200及びステップ250〜1100は上述の第一の実施形態の場合と同様に実行され、ステップ200の次に実行されるステップ210に於いてはタックインが生じているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ230へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ220に於いて配分制御の重みWuの係数Kbが0に設定される点を除き上述の第一の実施形態の場合と同一の要領にて配分制御の重みWuが演算される。
【0154】
ステップ230に於いては車輌が旋回急加速状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ250へ進み、肯定判別が行われたときには配分制御の重みWuの係数Ksが0に設定される点を除き上述の第一の実施形態の場合と同一の要領にて配分制御の重みWuが演算される。
【0155】
かくして図示の第四の実施形態によれば、ステップ210に於いてタックインが生じているか否かの判別が行われ、ステップ230に於いては車輌が旋回急加速状態にあるか否かの判別が行われ、タックインが生じておらず車輌が旋回急加速状態にない場合にはステップ250以降が実行され、これにより上述の第一の実施形態の場合と同様の制御が行われる。
【0156】
これに対しタックインが生じているときには、ステップ210に於いて肯定判別が行われ、ステップ220に於いて係数Kbが0に設定されることにより制駆動力制御手段に対する配分の重みが0に設定され、その状態にてステップ300以降が実行され、これにより車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが操舵制御手段にのみ配分されるので、各車輪のスリップ角を適正な値に確実に制御し、タックインを低減して車輌の走行安定性を効果的に確保することができる。
【0157】
またタックインは生じていないが車輌が旋回急加速状態にあるときには、ステップ230に於いて肯定判別が行われ、ステップ240に於いて係数Ksが0に設定されることにより操舵制御手段に対する配分の重みが0に設定され、その状態にてステップ300以降が実行され、これにより車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが制駆動力制御手段にのみ配分されるので、各車輪のスリップ率を適正な値に確実に制御し、スリップ率が過剰になること及びこれに起因して車輪の横力が低下する虞れを低減して車輌の走行安定性を効果的に確保することができる。
【0158】
尚図示の第四の実施形態に於いては、タックインが生じている場合には車輌の目標挙動制御量としての目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが操舵制御手段にのみ配分され、タックインは生じていないが車輌が旋回急加速状態にあるときには車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが制駆動力制御手段にのみ配分されるようになっているが、タックインが生じている場合には通常時に比して操舵制御手段に対する目標挙動制御量の配分比率が増大されると共に制駆動力制御手段に対する配分比率が低減され、タックインは生じていないが車輌が旋回急加速状態にあるときには操舵制御手段に対する目標挙動制御量の配分比率が低減されると共に制駆動力制御手段に対する配分比率が増大されるよう修正されてもよい。
【0159】
第五の実施形態
図14は上述の第三の実施形態の修正例として構成された本発明による車輌の走行制御装置の第五の実施形態に於ける各車輪の舵角制御及び制駆動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。尚図14に於いて、図9に示されたステップに対応するステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
【0160】
この実施形態のステップ50〜150及びステップ600〜1100は上述の第一の実施形態の場合と同様に実行され、ステップ150の次に実行されるステップ160に於いては車輌の目標ヨーレートγtと車輌の実際のヨーレートγとの偏差の絶対値として車輌のドリフトアウト状態の程度を示すドリフトバリューDVが演算されると共に、ドリフトバリューDVが基準値DVo(正の定数)以上であるか否かの判別、即ち車輌のドリフトアウト状態の程度が大きく車輌のスリップ角βの推定精度が低い状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ600へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ1200へ進む。
【0161】
ステップ1200に於いては制駆動力制御手段の制御応答周波数特性Gκが上記式95に従って演算され、ステップ1300に於いては制駆動力制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtκ、目標横力Fytκ、目標ヨーモーメントMztκが上記式96に従って演算される。
【0162】
ステップ1400に於いては図16に示されたルーチンに従って配分制御よる各車輪の目標スリップ率κti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ1500に於いては下記の式101に従って操舵制御手段に対する車輌の目標前後力Fxtα、目標横力Fytα、目標ヨーモーメントMztαが演算され、ステップ1600に於いては図17に示されたルーチンに従って配分制御による各車輪の目標スリップ角αti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、しかる後ステップ900へ進む。
Figure 0003878840
【0163】
尚図16に示された各車輪の目標スリップ率κti演算ルーチンの1410〜1450ぞれ上述の第三の実施形態に於けるステップ855〜890の場合と同様に実行され、また図17に示された各車輪の目標スリップ角αti演算ルーチンのステップ1610〜1690はそれぞれ上述の第三の実施形態に於けるステップ710〜790の場合と同様に実行される。
【0164】
かくして図示の第五の実施形態によれば、ステップ160に於いて車輌のドリフトアウト状態の程度を示すドリフトバリューDVが基準値DVo以上であるか否かの判別により車輌のスリップ角βの推定精度が低い状況であるか否かの判別が行われ、ドリフトバリューDVが基準値DVo未満であるときにはステップ600以降が実行されることにより、操舵制御手段を最優先順位の挙動制御手段として上述の第三の実施形態の場合と同様の制御が行われるので、車輌が不必要に加減速される虞れを低減しつつ車輌を安定的に走行させることができる。
【0165】
これに対しドリフトバリューDVが基準値DVo以上であるときには、ステップ160に於いて肯定判別が行われ、ステップ1200〜1600が実行され、これにより車輌の目標前後力Fxt、目標横力Fyt、目標ヨーモーメントMztが制駆動力制御手段にのみ配分され、制駆動力制御手段を最優先順位の挙動制御手段として車輌の走行挙動が制御されるので、車輌のドリフトアウト状態の程度が大きく車輌のスリップ角βの推定精度が低いことに起因して操舵制御手段による挙動制御が不適切に行われること及びこれにより車輌の走行安定性が良好に制御されなくなることを確実に防止することができる。
【0166】
尚上述の各実施形態によれば、四輪全てが操舵されるので、例えば前輪のみが操舵される場合に比して車輌の走行安定性を確実に向上させることができ、また各車輪の制動力に加えてエンジンの出力が制御されることにより各車輪のスリップ率が制御されるので、エンジンの出力が制御されない場合に比して車輌の走行安定性を確実に向上させることができる。
【0167】
以上に於ては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0168】
例えば上述の各実施形態に於いては、複数の挙動制御手段としての操舵制御手段及び制駆動力制御手段の挙動制御特性は各制御手段の制御応答周波数特性であるが、挙動制御特性は各制御手段の挙動制御に対する制御応答に関する特性である限り、上述の各式以外の態様にて演算されてもよい。
【0169】
また上述の各実施形態に於いては、互いに異なる作用により互いに協調して車輌の挙動を制御する複数の挙動制御手段は操舵制御手段及び制駆動力制御手段であるが、本発明に於ける挙動制御手段はこれらのみに限定されるものではなく、例えば挙動制御手段は操舵制御手段、制駆動力制御手段、及び各車輪の接地荷重を制御する接地荷重制御手段の組合せであってもよい。
【0170】
また上述の各実施形態に於いては、各車輪の制動力及びエンジンの出力が制御されることにより各車輪のスリップ率が目標スリップ率に制御されるようになっているが、各車輪の制動力のみが制御されエンジンの出力の制御が行われないよう修正されてもよい。
【0171】
また上述の各実施形態に於いては、車輌は四輪駆動車であり、四輪全ての車輪の制動力及び舵角が制御されるようになっているが、本発明は前輪駆動車又は後輪駆動車に適用されてもよく、また前輪のみが操舵される車輌に適用されてもよい。
【0172】
また上述の各実施形態に於いては、操舵制御手段及び制駆動力制御手段の制御応答周波数特性及び配分制御の重みWuが各サイクル毎に演算されるようになっているが、一般に各制御手段の制御応答周波数特性が急激に変化することはないので、制御応答周波数特性及び配分制御の重みWuは所定のサイクル毎に演算されるよう修正されてもよい。
【0173】
また上述の各実施形態に於いては、車輌12は駆動源としてのエンジン10と駆動源の駆動トルクを各車輪へ一定の配分比率にて伝達する駆動系とを有し、制駆動力制御手段はエンジン10の駆動トルクを制御することにより全ての車輪の駆動力を総括的に制御する駆動力制御手段(エンジン制御装置26)と、各車輪の制動力を個別に制御可能である制動力制御手段(制動装置42及び電子制御装置50)とよりなっているが、車輌が例えば所謂ホイールインモータ式の車輌として構成されることにより、駆動力制御手段が各車輪の駆動力を個別に制御可能であり、制動力制御手段が各車輪の制動力を個別に制御可能であるよう構成されてもよい。
【0174】
また上述の各実施形態に於いては、各車輪は油圧式のパワーステアリング装置56、66のタイロッド58L、58L、68L、68Rの有効長さがアクチュエータ60L、60L、70L、70Rによって可変制御されることにより操舵されるようになっているが、各車輪は各々個別に設けられた操舵装置により操舵されるよう構成されてもよい。
【0175】
また図示の第四の実施形態に於いては、各挙動制御手段の挙動制御特性に応じた挙動制御量の配分によっては却って車輌の挙動の悪化をきたす虞れがあるか否かの判定はタックインが生じているか否か及び車輌が旋回急加速状態にあるか否かの判定により行われるようになっているが、各挙動制御手段の挙動制御特性に応じた挙動制御量の配分によっては却って車輌の挙動の悪化をきたす虞れがあるか否かの判定は他の車輌状況により判定されてもよい。
【0176】
また図示の第五の実施形態に於いては、通常時には最優先順位の挙動制御手段が操舵制御手段に設定され、ドリフトバリューDVが基準値以上である場合に最優先順位の挙動制御手段が制駆動力制御手段に変更されるようになっているが、最優先順位の挙動制御手段の変更が必要であるか否かの判定は例えば各挙動制御手段を制御するためのパラメータを検出するセンサの検出精度、車体の推定スリップ角βの推定精度、タイヤのスリップ角又は車体の推定スリップ角が基準範囲を越えているか否かの如くドリフトバリューDV以外に基づいて行われるよう修正されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌の走行制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第一の実施形態の制御系を示すブロック線図である。
【図3】第一の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図3に示されたフローチャートのステップ300に於ける各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図3に示されたフローチャートのステップ900に於ける各車輪の目標舵角θwti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図3に示されたフローチャートのステップ1000に於ける各車輪の目標制動圧Pti及びエンジンの目標駆動トルクTet演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明による車輌の走行制御装置の第二の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図7に示されたフローチャートのステップ500に於ける各車輪の目標スリップ率κti及び目標スリップ角αti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明による車輌の走行制御装置の第三の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図9に示されたフローチャートのステップ700に於ける各車輪の目標スリップ角αti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】図9に示されたフローチャートのステップ850に於ける各車輪の目標スリップ率κti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】左前輪について車輪の接地点の目標進行方向角αwtflを示す説明図である。
【図13】本発明による車輌の走行制御装置の第四の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図14】本発明による車輌の走行制御装置の第五の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンの要部を示すフローチャートである。
【図15】本発明による車輌の走行制御装置の第五の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンの残りの部分を示すフローチャートである。
【図16】図15に示されたフローチャートのステップ1400に於ける各車輪の目標スリップ率κti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】図15に示されたフローチャートのステップ1600に於ける各車輪の目標スリップ角αti演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図18】制駆動力制御手段の入出力の周波数応答が低下した場合に於ける第一の実施形態の作動を説明するためのグラフである。
【図19】制駆動力制御手段の入出力のゲインが低下した場合に於ける第一の実施形態の作動を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10…エンジン
12…車輌
16…トランスミッション
18…センターディファレンシャル
26…エンジン制御装置
42…制動装置
44…油圧回路
50…走行制御用電子制御装置
52…前輪用操舵装置
62…舵角制御装置
64…後輪用操舵装置
72…車速センサ
74…前後加速度センサ
76…横加速度センサ
78…ヨーレートセンサ
80…踏力センサ
82i…車輪速度センサ
84i…圧力センサ

Claims (6)

  1. 操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段を有し、検出された前記特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分することを特徴とする車輌の走行制御装置。
  2. 操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段を有し、検出された前記特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する配分手段と、タックインが生じているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によりタックインが生じていると判定されたときには、前記操舵制御手段に対する配分を増大すると共に前記制駆動力制御手段に対する配分を低減する配分変更手段とを有することを特徴とする車輌の走行制御装置。
  3. 操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段を有し、検出された前記特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する配分手段と、車輌が旋回加速状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により車輌が旋回加速状態にあると判定されたときには、前記操舵制御手段に対する配分を低減すると共に前記制駆動力制御手段に対する配分を増大する配分変更手段とを有することを特徴とする車輌の走行制御装置。
  4. 操舵輪の舵角を制御する操舵制御手段と、各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、車輌を安定的に走行させるための車輌全体の目標挙動制御量として車輌の目標前後力、目標横力、目標ヨーモーメントを演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段に配分し、配分結果に基づき前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段を制御する配分制御手段とを有する車輌の走行制御装置に於いて、前記配分制御手段は前記操舵制御手段を最優先順位の挙動制御手段とし、車輌の挙動制御に対する前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性を逐次検出する手段と、検出された前記操舵制御手段の制御応答性に関する特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記操舵制御手段の目標挙動制御量に配分することにより前記操舵制御手段の目標挙動制御量を演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量と前記操舵制御手段の目標挙動制御量との差分を前記制駆動力制御手段に配分する手段とを有することを特徴とする車輌の走行制御装置。
  5. 前記配分制御手段は車輌の走行状態に基づき最優先順位の変更が必要であるか否かを判定する手段と、最優先順位の変更が必要であると判定されたときには前記最優先順位の挙動制御手段を制駆動力制御手段に変更し、検出された前記制駆動力制御手段の制御応答性に関する特性に応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分する際の配分重みを設定し、前記配分重みに応じて前記車輌全体の目標挙動制御量を前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に配分することにより前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量を演算する手段と、前記車輌全体の目標挙動制御量と前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量との差分を前記操舵制御手段に配分する手段とを有することを特徴とする請求項に記載の車輌の走行制御装置。
  6. 前記配分制御手段は前記制御応答性に関する特性として前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値を逐次検出し、前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の前記制御応答周波数特性を示す値に比例する値をそれぞれ前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量に対する前記配分重みに設定し、これにより前記操舵制御手段及び前記制駆動力制御手段の制御応答周波数特性を示す値に基づいて前記車輌全体の目標挙動制御量が周波数分離された値として前記操舵制御手段の目標挙動制御量及び前記制駆動力制御手段の目標挙動制御量を演算することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の車輌の走行制御装置。
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