JP3875467B2 - 車両用オープナーハンドル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランクリッドやガスフィラーリッド等の車両用開閉体のロックを遠隔操作により解除するための車両用オープナーハンドル装置に関し、詳しくはオープナーハンドルの操作を阻止する係止部材を設け、この係止部材の操作をオープナーハンドル近傍に設けたキーシリンダーのキー操作により行うようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のトランクリッドやガスフィラーリッド等のロックを、運転席等からケーブル等により、遠隔操作して解除するオープナーハンドル装置は公知であるが、さらに施錠位置及び解錠位置に切換可能なキーシリンダーを設け、キーにより施錠すると、オープナーハンドルによるロックの解除が不能となるオープナーハンドル装置が特開昭60−105778号公報に開示されている。このような装置は、近年オープンカーが増加していることにより、盗難防止上の観点から必要性が高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のオープナーハンドル装置にあっては、工具等を使用してキーシリンダーそのものを外された場合は、オープナーハンドルを操作可能とされるおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、施錠位置にあるキーシリンダーを簡単に外せない構造とした車両用オープナーハンドル装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車両用開閉体のロック状態を解除可能な作動位置と解除不能な待機位置とに揺動可能なオープナーハンドルを、運転席近傍に止着されたベースプレートに軸支するとともに、キーが差し込まれることにより係止部材の位置を施錠位置及び解錠位置に切換可能なキーシリンダーを、オープナーハンドルの近傍に取付手段により取り付け、前記係止部材が施錠位置のときに、該係止部材が待機位置のオープナーハンドルに係止して、解除方向へのオープナーハンドルの揺動を阻止する車両用オープナーハンドル装置において、前記係止部材には、施錠位置の時に、キーシリンダーの取付手段を覆う遮蔽部が形成されてなるものである。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、キーシリンダーを施錠位置にすると、取付手段を遮蔽部によって覆ってしまうので、工具等によってキーシリンダの取り外しが困難となる。さらに、遮蔽部は、キーシリンダーの施錠位置のときだけ、取付手段を覆うので、取付作業時にはキーシリンダーを解錠位置にして取り付ければよく、取付作業性が良好である。
【0007】
請求項2記載の発明は、取付手段は、キーシリンダーを止着する締結部材である。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、キーシリンダーの取付手段が締結部材であるので、取付が強固で確実である。
【0009】
請求項3記載の発明は、取付手段は、キーシリンダーに係脱可能に係合する弾性クリップである。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、キーシリンダーの取付手段が弾性クリップであるので、取付作業性が良好である。
【0011】
請求項4記載の発明は、ベースプレートには、施錠位置の遮蔽部に近接して配設され、遮蔽部が変形しようとした際に、当接する当接部が設けられている。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、弾性クリップを離脱させるため、遮蔽部を工具などで折り曲げ変形させようとしたとき、遮蔽部の一部が当接し、それ以上の折り曲げ変形を防止するものであり、キーシリンダーの取り外しが、なお一層困難となり、不正なオープナーハンドルの操作をさらに確実に防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態について図1乃至図6に基づいて説明する。なお、図2から図5は、左方が車両の前方、右方が車両の後方となっている。また、図4、図5において上方が車両外方を示し、下方が車両内方を示す。
【0014】
符号1は、運転席2の近傍のサイドシルS内側面に取り付けられたオープナーハンドル装置であって、トランクリッド(図示略)またはガスフィラーリッド(図示略)等の車両用開閉体のロック解除を行うものである。オープナーハンドル装置1は、揺動操作することで前記ロック解除を行うオープナーハンドル3と、キーシリンダ5とから構成されている。前記キーシリンダ5は、オープナーハンドル3の後方に配設され且つキー4を差し込んで回動操作されることにより、施錠位置及び解錠位置に切換可能であって、施錠位置にあるときは、オープナーハンドル3のロック解除方向への揺動を阻止するものである。符号6は、キーシリンダーを覆う見栄え向上のためのカバーである。
【0015】
オープナーハンドル3には、軸7が植設されており、該軸7の先端が、サイドシルSに、ボルト8により固着されたベースプレート9の孔9aを貫通することで、オープナーハンドル3は、ベースプレート9に回転可能に支持されている。軸7の先端には、鍔部7aが形成されている。該鍔部7aとベースプレート9との間には、コイルスプリング10が圧縮状態で介設されている。この構成により、オープナーハンドル3は、コイルスプリング10の付勢力に抗し、軸7と孔9aにガイドされ、把手部3aが車内方向に移動可能となっている。この構成は、オープナーハンドル3を、図2における反時計方向であるガスフィラーリッドロックの解除位置Gに移動する際、進行方向上のベースプレート9に突設されたストッパー9bを乗り越えるためのものである。また、コイルスプリング10の両端10aは、ベ−スプレート9の係合突起の両側に係合されるとともに、オープナーハンドル3から垂下された係合脚3bの両側にも係合している。このコイルスプリング10の作用により、オープナーハンドル3の係合脚3bは、常にベースプレート9の係合突起と合致した位置になるよう付勢されている。この構成により、オープナーハンドル3は、図2に実線で示される中立位置Cに常に保持されており、オープナーハンドル3が図2の時計方向に揺動するトランクリッドロックの解除位置T及び反時計方向に揺動するガスフィラーリッドロックの解除位置Gに移動した際はコイルスプリング10の付勢力で中立位置に戻される。
【0016】
係合脚3bの先端に形成されたケーブル連結部3cには、プッシュプルケーブル11が連結され、該プッシュプルケーブル11が中間機構(図示略)を介しそれぞれのロック機構に連結されており、オープナーハンドル3の揺動に応じて各ロックを解除させる。
【0017】
オープナーハンドル3の側面には、後方に開口する係合溝3dが形成された係合板3eが固着されており、係合溝3dには、後述するキーシリンダー5の係止部材である係止レバー5aが係合される。
【0018】
オープナーハンドル3の後方には、キーシリンダー5がサイドシルSの内側面に、取付手段である締結部材のボルト12で固定された取付プレート13に、固着されている。キーシリンダー5は、アーム状に延在する取付部5bをもって取付プレート13のひさし部13a下面に取付ボルト14によって固着されている。なお、ひさし部13aの前後および室内側の3方には、垂下して形成された防護折曲部13bが設けられている。これらの防護折曲部13bは、外部から工具を侵入させてキーシリンダー5の取付ボルト14を緩め、キーシリンダー5を取り外されることを阻止するため、設けられたものである。
【0019】
キーシリンダー5の下端部にはキー4の操作に連動して施錠位置または解錠位置に揺動可能な回転軸5cに固着された係止レバー5aが配設されている。図2及び図4は解錠位置のキーシリンダー5を示し、図3及び図5は施錠位置のキーシリンダー5を示す。係止レバー5aの下縁に垂下した遮蔽部5dが形成されており、キーシリンダー5の施錠位置において2本のボルト12の内オープナーハンドル3側のボルト12を覆うよう配設されている。このとき遮蔽部5dはオープナーハンドル3を支持するベースプレート9の2本のボルト8の内キーシリンダー5側のボルト8も覆うよう配設されている。
【0020】
第1の実施形態の作用を説明する。図3及び図5に示す施錠位置のキーシリンダー5の係止レバー5aはオープナーハンドル3の係合溝3dに係合し、オープナーハンドル3の揺動を阻止している。この状態ではオープナーハンドル3の把手部3aを持って操作しようとしてもオープナーハンドル3は揺動せず、キー4を持った者以外のオープナーハンドル3の操作を防止できる。
【0021】
このとき、イグニッションキー4を持たない者が、不正にオープナーハンドル3を操作しようとして、キーシリンダー5のボルト12を工具によって取り外そうと試みても、施錠位置のキーシリンダー5の係止レバー5aの遮蔽部5dに覆われたボルト12へは、工具の侵入は不可能である。その結果、キーシリンダー5の取り外しも不能となり、不正なオープナーハンドル3の操作を、確実に防止できる。
【0022】
このオープナーハンドル装置1の組付けは、まずオープナーハンドル3をサイドシルSにボルトで組み付けた後、キーシリンダー5を組付ける。キーシリンダー5の組み付けに際しては、まず、取付プレート13に、キーシリンダー5の取付部5bを、取付ボルト14でもって締結する。ついで、キーシリンダー5が取り付けられた取付プレート13を、キーシリンダー5を解錠位置にして、ボルト12でサイドシルSに固着する。ここで、キーシリンダー5を解錠位置にするのは、係止レバー5aの遮蔽部5dがボルト12による取付の邪魔にならないようにするためである。あとは、カバー6をキーシリンダー5に取付け、オープナーハンドル3のケーブル連結部3cにプッシュプルケーブル11を連結すれば、オープナーハンドル装置1の組付けが完了する。
【0023】
次に、本発明の第2の実施形態について、図7から図10に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と重複する構成の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。また、第1の実施形態と共通の構成に関するものについては同一の番号を使用して説明する。また、図7から図10は、左方が車両の前方、右方が車両の後方となっている。また、図9、図10において、上方が車両外方を示し、下方が車両内方を示す。
【0024】
本実施形態のオープナーハンドル装置21は、オープナーハンドル3を回動可能に支持するベースプレート29に、キーシリンダー25を取り付けられている。オープナーハンドル3の後方には、オープナーハンドル3のベースプレート29に固着されたキーシリンダー25が配設されている。キーシリンダー25には、その上端部に、鍔状のフランジ部25aが形成されている。キーシリンダー25は、ベースプレート29のひさし部29aに設けられた挿入孔29bに、上方から挿入され、ひさし部29a上面には、フランジ部25aが係合している。ここで、ひさし部29a下面近傍に位置するキーシリンダー25の他の部分より小径に形成された首部(図示略)に、U字状の取付手段である弾性クリップ30を前方より挿入して装着し、キーシリンダー25をひさし部29aに固定している。なお、ひさし部29aの後方および室内側の2方には、垂下して形成された防護折曲部29cが設けられている。これらの防護折曲部29cは、外部からの工具等の不正な侵入を防止し、弾性クリップ30やキーシリンダー25を防護するため、設けられたものである。さらに、室内側の防護折曲部29cとベースプレート29の内側との間隔は、弾性クリップ30の幅よりわずかに広いだけに設定されており、キーシリンダー25に装着後の弾性クリップ30の回り止めをなしている。
【0025】
キーシリンダー25の下端部には、キー4の操作に連動して、施錠位置及び解錠位置に揺動可能な回転軸25bに固着された係止レバー25cが配設されている。図7及び図9は、解錠位置のキーシリンダー25を示し、図8及び図10は施錠位置のキーシリンダー25を示す。係止レバー25cの上縁には、立設した遮蔽部25dが形成されており、キーシリンダー25の施錠位置において、キーシリンダー25の弾性クリップ30の着脱方向である前方を遮るよう配設されている。また、ベースプレート29から突設され、施錠位置の遮蔽部25dの前方側に近接して配設された当接部29dが形成されている。
【0026】
次に、第2の実施形態の作用を説明する。図8及び図10に示す施錠位置のキーシリンダー25の係止レバー25cは、オープナーハンドル3の係合溝3dに係合し、オープナーハンドル3の揺動を阻止している。この状態では、オープナーハンドル3の把手部3aを持って操作しようとしても、オープナーハンドル3は揺動せず、キー4を持った者以外のオープナーハンドル3の操作を防止できる。
【0027】
このとき、イグニッションキー4を持たない者が、不正にオープナーハンドル3を操作しようとして、キーシリンダー25の弾性クリップ30を離脱させようと試みても、施錠位置のキーシリンダー25の係止レバー25cの遮蔽部25dに、図10に示す離脱方向Aを遮られている。その結果、キーシリンダー25の取り外しが困難となり、不正なオープナーハンドル3の操作を防止できる。
【0028】
また、ベースプレート29から車内側に突出する当接部29dは、弾性クリップ30を離脱させるため、遮蔽部25dを工具などで折り曲げ変形させようとしたとき、遮蔽部25dの一部が当接し、それ以上の折り曲げ変形を防止するものであり、キーシリンダー25の取り外しがなお一層困難となり、不正なオープナーハンドル3の操作をさらに確実に防止できる。
【0029】
このオープナーハンドル装置21の組付けは、まずオープナーハンドル3のベースプレート29をサイドシルSにボルト8で組み付けた後、キーシリンダー25をベースプレート29に組付ける。キーシリンダー25の組み付けに際しては、まず、キーシリンダー25を解錠位置にしてベースプレート29の挿入孔29bに挿入する。ここで、キーシリンダー25を解錠位置にするのは、係止レバー25cの遮蔽部25dが、この後の断性クリップ30の装着の邪魔にならないようにするためである。つぎに、ひさし部29a下面の前方から弾性クリップ30を挿入し、キーシリンダー25の首部に装着することで、キーシリンダー25の組付けは完了する。あとは、カバー6をキーシリンダー25に取付け、オープナーハンドル3のケーブル連結部3cに、プッシュプルケーブル11を連結すれば、オープナーハンドル装置21の組付けが完了する。
【0030】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、キーシリンダーを施錠位置にすると、取付手段を遮蔽部によって覆ってしまうので、工具等によってキーシリンダの取り外しが困難となる。さらに、遮蔽部はキーシリンダーの施錠位置のときだけ、取付手段を覆うので、取付作業時にはキーシリンダーを解錠位置にして取り付ければよく取付作業性が良好である。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、キーシリンダーの取付手段が締結部材であるので、取付が強固で確実である。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、キーシリンダーの取付手段が弾性クリップであるので、取付作業性が良好である。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、弾性クリップを離脱させるため遮蔽部を工具などで折り曲げ変形させようとしたとき、遮蔽部の一部が当接しそれ以上の折り曲げ変形を防止するものであり、キーシリンダーの取り外しがなお一層困難となり、不正なオープナーハンドルの操作をさらに確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の車両用オープナーハンドル装置の斜視図である。
【図2】図1のオープナーハンドル装置の側面図である。
【図3】図2の施錠状態のオープナーハンドル装置の側面図である。
【図4】図1の解錠状態のオープナーハンドル装置の平面図である。
【図5】図3の施錠状態のオープナーハンドル装置の平面図である。
【図6】図5のVI-VI線における断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における解錠状態としたときのオープナーハンドル装置の側面図である。
【図8】図7の施錠状態のオープナーハンドル装置の側面図である。
【図9】図7の解錠状態のオープナーハンドル装置の平面図である。
【図10】図7の施錠状態のオープナーハンドル装置の平面図である。
【符号の説明】
1,21 オープナーハンドル装置
2 運転席
3 オープナーハンドル
4 キー
5,25 キーシリンダー
5a,25c 係止レバー(係止部材)
5d,25d 遮蔽部
9,29 ベースプレート
12 ボルト(締結部材)
29d 当接部
30 弾性クリップ(取付手段)
Claims (4)
- 車両用開閉体のロック状態を解除可能な作動位置と解除不能な待機位置とに揺動可能なオープナーハンドルを、運転席近傍に止着されたベースプレートに軸支するとともに、
キーが差し込まれることにより係止部材の位置を施錠位置及び解錠位置に切換可能なキーシリンダーを、オープナーハンドルの近傍に取付手段により取り付け、
前記係止部材が施錠位置のときに、該係止部材が待機位置のオープナーハンドルに係止して、解除方向へのオープナーハンドルの揺動を阻止する車両用オープナーハンドル装置において、
前記係止部材には、施錠位置の時に、キーシリンダーの取付手段を覆う遮蔽部が形成されてなることを特徴とする車両用オープナーハンドル装置。 - 請求項1記載の車両用オープナーハンドル装置であって、
前記取付手段は、キーシリンダーを止着する締結部材であることを特徴とする車両用オープナーハンドル装置。 - 請求項1記載の車両用オープナーハンドル装置であって、
前記取付手段は、前記キーシリンダーに係脱可能に係合する弾性クリップであることを特徴とする車両用オープナーハンドル装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項記載の車両用オープナーハンドル装置であって、
前記ベースプレートには、施錠位置の遮蔽部に近接して配設され且つ遮蔽部が変形しようとした際当接する当接部が設けられていることを特徴とする車両用オープナーハンドル装置。
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JP2000242944A JP3875467B2 (ja) | 2000-08-10 | 2000-08-10 | 車両用オープナーハンドル装置 |
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