JP3871534B2 - 射出成形機の射出ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の射出ユニットに係り、特に、いわゆる3プレート構造の射出ユニットに係る。
【0002】
【従来の技術】
図3に、従来の3プレート構造の射出ユニットの概要を示す。
【0003】
ベース1上には、フロントプレート5及びリアプレート6が配置され、フロントプレート5とリアプレート6は、複数のタイバー8を介して互いに結合されている。フロントプレート5とリアプレート6の間には中間プレート7が配置されている。中間プレート7は、タイバー8により支持され、タイバー8によりガイドされて前後方向(図の左右方向)に移動することができる。
【0004】
バレル2は、先端にノズル3を備え、このノズル3を介して金型(図示せず)の背面に接続される。バレル2の内部にはスクリュ4が組み込まれている。バレル2内でスクリュ4を回転させることよって、原料樹脂がバレル2内に導入され、加熱及び混練されながらバレル2の先端側に送り込まれる。バレル2の先端側に所定量の溶融樹脂が貯えられた後、バレル2内でスクリュ4を前進させることよって、溶融樹脂が金型内に射出される。
【0005】
バレル2の後端部は、フロントプレート5の中央に固定されて支持されている。スクリュ4の後端部は、中間プレート7の中央に軸受け11を介して支持されている。中間プレート7の上にはサーボモータ12が載せられている。このサーボモータ12は、バレル2内に原料樹脂を導入する際、スクリュ4を回転させるために使用される。
【0006】
リアプレート6の中央にはボールネジ13が組み込まれている。ボールネジ13の先端は、ロードセル14を介して中間プレート7の背面の中央に固定されている。リアプレート6の上にはサーボモータ15が載せられている。このサーボモータ15は、バレル2から金型内に溶融樹脂を注入する際、ボールネジ13を駆動してスクリュ4を前進させるために使用される。
【0007】
(従来の3プレート構造の射出ユニットの問題点)
スクリュ4の大径化に伴い、スクリュ4の前進推力も大きくなり、数百トン程度になる場合がある。溶融樹脂の射出圧力を制御するためには、通常、スクリュ4の前進推力を検出する必要がある。このスクリュ4の前進推力を検出する際、通常、図3に示したように、ロードセル14が使用されている。しかし、数百トンの荷重を検出するロードセルは、一般的ではない上、製作しても非常に大きなものになる。サイズの小さいロードセルを複数個取付けて推力を検知する方法もあるが、この場合、取付スペースが大きくなり射出ユニット自体の大型化につながる。
【0008】
なお、この様な問題を回避するため、ロードセルを使用せずに、構成部品の歪みから前進推力を検出する方法が提案されている。しかし、リアプレート6や中間プレート7の歪みから前進推力を検出する方法の場合、中間プレート7とガイドバー8の間の摺動部の摩擦抵抗の影響を大きく受けるので、十分な検出精度が得られない。
【0009】
中間プレート7(従って、スクリュ4)を前後方向に駆動するため、一般的にボールネジ13が使用されている。しかし、取付部の剛性が低いとサイドロードが作用し、ボールネジ13の寿命が急激に低下する。そのため、リアプレート6や中間プレート7は、撓みが小さくなるように高い剛性を備えている必要がある。従って、そのような微少な撓みから前進推力を検出しようとすると、分解能が小さくなり制御性が悪くなる。
【0010】
また、歪みを検出しやすい構成部品としてタイバー8が考えられるが、その場合も、中間プレート7との間の摺動部の摩擦抵抗の影響を受けるので、十分な検出精度が得られない。更に、前進推力によってタイバー8が引伸ばされるため、リアプレート6がベース1上で微少なすべりを起して僅かに後退するが、その摩擦抵抗が、タイバー8の伸びの量に影響を与える。従って、微少な前進推力の変化を検出することができない。
【0011】
中間プレート7の重量が増大すると、タイバー8に作用する曲げモーメントが増大し、図3に示したように、タイバー8に生ずる撓みを無視することができなくなる。その様な場合、中間プレート7の位置によって曲げモーメントの分布が変わるので、タイバー8の歪にもその影響が現われ、前進推力の検出精度の低下を招く。
【0012】
更に、中間プレート7の重量によりタイバー8の撓みが増大すると、中間プレート7が傾く結果、ボールネジ13のロッドの接続部に芯ずれが発生する。これがサイドロードとして作用するため、ボールネジ13の寿命の低下を招く。
【0013】
タイバーの撓みを小さくするには、タイバー8の径を太くする方法が考えられる。しかし、それに伴い前進推力による伸びが小さくなるので、分解能が小さくなる。また、タイバー8の径を太くすることは、装置を大型化することにつながるので、望ましくない。
【0014】
その他、タイバー8の撓みを小さくするには、タイバー8を短くする(即ち、フロントプレート5とリアプレート6の間隔を縮める)方法も考えられる。しかし、タイバー8の長さは、スクリュ4の軸方向のストローク及びボールネジ13の設置スペースにより制約されるので、この方法にも限界がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の射出成形機の射出ユニットの問題点に鑑み成されたもので、本発明の目的は、スクリュの前進推力を高い精度で検出することが可能で、且つ、装置の小型化が可能な射出ユニットを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の射出成形機の射出ユニットは、
先端にノズルを備えたバレルと、
バレルの中に組み込まれたスクリュと、
バレルの後端部近傍を支持するフロントプレートと、
フロントプレートの後方に配置され、タイバーを介してフロントプレートと結合されたリアプレートと、
フロントプレートとリアプレートの間に配置され、前記タイバーが貫通する貫通孔を有し、前記タイバーによりガイドされて前後方向に移動し、スクリュの後端部を軸受けを介して支持する中間プレートと、
中間プレートに取り付けられ、スクリュを回転駆動するモータと、
リアプレートに取り付けられ、中間プレートを前後方向に駆動する直線運動機構とを備え、
バレル内でスクリュを前進させて金型内に溶融樹脂を注入する射出成形機の射出ユニットにおいて、
固定ベースの上に前後方向に移動可能な移動ベースを設置し、この移動ベースの上に前記フロントプレート及び前記リアプレートを支持するとともに、この移動ベースの上に前記中間プレートを前後方向に移動可能なリニアガイドを介して支持したことを特徴とする。
【0017】
本発明の射出成形機の射出ユニットによれば、中間プレートを移動ベースの上にリニアガイドを介して支持することによって、従来のように中間プレートの重量をタイバーで支える必要がなくなる。従って、タイバーには中間プレートが前後方向(スクリュの軸方向)に移動する際のガイド機能のみを持たせれば良いことになる。その場合の中間プレートとリニアガイドの間の摩擦力は、中間プレートの重量をタイバーで支えた場合の中間プレートとタイバーの間の摩擦力と比べて、遥かに小さく抑えることができる。その結果、中間プレートの背面と直線運動機構の間にロードセルを取り付け、このロードセルの出力からスクリュの前進推力(射出圧力)を求める際、その測定精度を高めることができる。
【0018】
また、タイバーの撓みが無くなるので、直線運動機構に芯ずれを生じさせる要因が無くなり、サイドロードによる直線運動機構の寿命低下を防止することができる。
【0019】
好ましくは、更に、前記リアプレートを、前記移動ベースの上に前後方向に移動可能なリニアガイドを介して支持する。
【0020】
これによって、リアプレートと移動ベースの間の摩擦力が小さくなるので、スクリュの前進推力に対する反力のほぼ全てをタイバーで受けることができる。その結果、タイバーの弾性歪からスクリュの前進推力(射出圧力)を求める際、その測定精度を高めることができる。
【0021】
なお、前記直線運動機構は、例えば、ボールネジである。
【0022】
更に、上記の射出ユニットにおいて、移動ベースを省略することもできる。但し、その場合には、前記中間プレート及び前記リアプレートに加えて、更に、前記フロントプレートを固定ベースの上に前後方向に移動可能なリニアガイドを介して支持する必要がある。
【0023】
このように構成すれば、射出ユニットの構成を簡略化することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(例1)
図1に、本発明に基づく射出成形機の射出ユニットの一例を示す。
【0025】
図中、1はベース(固定ベース)、2はバレル、3はノズル、4はスクリュ、5はフロントプレート、6はリアプレート、7は中間プレート、8はタイバー、12はモータ、13はボールネジ(直線運動機構)、17はリニアガイド、23は摺動ベース(移動ベース)を表わす。
【0026】
ベース1上にはスベリイタ22が固定され、スベリイタ22の上には摺動ベース23が載せられている。スベリイタ22の両側面に沿って、ガイド24a、24bがベース1上に取り付けられている。これによって、摺動ベース23は、横方向(紙面に対して垂直方向)の動きが拘束された状態で、スベリイタ22の上を前後方向(図の左右方向)に摺動することができる。
【0027】
摺動ベース23の上には、フロントプレート5及びリアプレート6が配置され、フロントプレート5とリアプレート6は、複数(2〜4本)のタイバー8で互いに結合されている。フロントプレート5とリアプレート6の間には中間プレート7が配置されている。中間プレート7は、周縁部にタイバー8が貫通する貫通孔を有し、タイバー8によりガイドされて前後方向(図の左右方向)に移動することができる。
【0028】
この例では、フロントプレート5は、摺動ベース23の上に固定されている。更に、摺動ベース23の上には、リニアガイド17を介して、リアプレート6及び中間プレート7が支持されている。なお、リニアガイド17は、レール部17a及び可動部17b、17cから構成され、レール部17aは摺動ベース23の上に固定され、可動部17bはリアプレート6の下端部に固定され、可動部17cは中間プレート7の下端部に固定されている。
【0029】
バレル2は、先端部にノズル3を備え、このノズル3を介して金型(図示せず)の背面に接続される。バレル2の内部には、スクリュ4が組み込まれている。バレル2内でスクリュ4を回転させることよって、原料樹脂がバレル2内に導入され、加熱及び混練されながらバレル2の先端側に送り込まれる。バレル2の先端側に所定量の溶融樹脂が貯えられた後、バレル2の中でスクリュ4を前進させることよって、溶融樹脂が金型内に射出される。
【0030】
バレル2の後端部は、フロントプレート5の中央に固定されて支持されている。スクリュ4の後端部は、中間プレート7の中央に軸受け11を介して支持されている。中間プレート7の上にはサーボモータ12が載せられている。このサーボモータ12は、ベルト及びプーリ等を介してスクリュ4に接続されている。このサーボモータ12は、バレル2内に原料樹脂を導入する際、スクリュ4を回転させるために使用される。
【0031】
リアプレート6には、ボールネジ13のハウジング13aが固定されている。ボールネジ13のロッド13bの先端は、ロードセル14を介して、中間プレート7の背面に固定されている。リアプレート6の上にはサーボモータ15が載せられている。このサーボモータ15は、ベルト及びプーリ等を介してボールネジ13のナット13cに接続されている。このサーボモータ15は、バレル2から金型内に溶融樹脂を射出する際、中間プレート7を介してスクリュ4を前進させるために使用される。
【0032】
金型(図示せず)の背面にノズル3を接続する際、あるいは金型の背面からノズル3を切り離す際、アクチュエータ(図示せず)を用いて、摺動ベース23をスベリイタ22の上で前後方向に移動することによって、バレル2の前後方向の位置を制御する。
【0033】
上記の例のように、中間プレート7をリニアガイド17を介して摺動ベース23の上に支持することによって、中間プレート7の重量をタイバー8で支える必要がなくなる。従って、タイバー8にはスクリュ4の前進推力をフロントプレート5からリアプレート6に伝達する機能のみを持たせれば良いことになる。その場合の中間プレート7とリニアガイド17の間の摩擦力は、従来(図3)の様に中間プレート7の重量をタイバー8で支えた場合の中間プレート7とタイバー8の間の摩擦力と比べて、遥かに小さく抑えることができる。これによって、ロードセル14の出力からスクリュ4の前進推力(射出圧力)を求める際、その測定精度を高めることができる。
【0034】
また、タイバー8の撓みが無くなるので、ボールネジ17に芯ずれを生じさせる要因が無くなり、サイドロードによるボールネジ17の寿命低下を防止することができる。
【0035】
更に、上記の例のように、リアプレート6を摺動ベース23の上にリニアガイド17を介して支持することによって、リアプレート6と摺動ベース23の間の摩擦力が小さくなるので、スクリュ4の前進推力に対する反力のほぼ全てをタイバー8で受けることができる。その結果、タイバー8に歪検出器9を取り付けて、タイバー8の弾性歪からスクリュ4の前進推力(射出圧力)を求める場合に、その測定精度を高めることができる。
【0036】
(例2)
図2に、本発明に基づく射出成形機の射出ユニットの他の例を示す。
【0037】
この例では、先に例における摺動ベース23、スベリイタ22、ガイド24a、24bを省略し、リニアガイド17をベース1上に直接固定している。その代わりに、中間プレート7及びリアプレート6に加えて、更に、フロントプレート5をベース1上にリニアガイド17を介して支持している。なお、このリニアガイド17は、レール部17a及び可動部17b、17c、17dから構成され、可動部17bはリアプレート6の下端部に固定され、可動部17cは中間プレート7の下端部に固定され、可動部17dはフロントプレート5の下端部に固定されている。
【0038】
このように構成した場合、金型(図示せず)の背面にノズル3を接続する際、あるいは金型の背面からノズル3を切り離す際、アクチュエータ(図示せず)を用いて、フロントプレート5(または、リアプレート6)をリニアガイド17の上で前後方向に移動することによって、バレル2の前後方向の位置を制御する。
【0039】
この様に摺動ベース23を省略することによって、射出ユニットの構成を簡略化することができる。
【0040】
なお、上記の例においては、リニアガイド17のレール部17aを、各可動部17b〜dで共通に使用しているが、各可動部17b〜dに対して、それぞれ個別にレール部を設けても良い。
【0041】
【発明の効果】
本発明の射出成形機の射出ユニットによれば、中間プレートを移動ベースの上にリニアガイドを介して支持することによって、従来のように中間プレートの重量をタイバーで支える必要がなくなる。その場合の中間プレートとリニアガイドの間の摩擦力は、中間プレートの重量をタイバーで支えた場合の中間プレートとタイバーの間の摩擦力と比べて、遥かに小さく抑えることができる。その結果、中間プレートの背面と直線運動機構の間にロードセルを取り付け、このロードセルの出力からスクリュの前進推力(射出圧力)を求める際、その測定精度を高めることができる。
【0042】
また、リアプレートを移動ベースの上にリニアガイドを介して支持することによって、リアプレートと移動ベースの間の摩擦力が小さくなるので、スクリュの前進推力に対する反力のほぼ全てをタイバーで受けることができる。その結果、タイバーの弾性歪からスクリュの前進推力(射出圧力)を求める場合に、その測定精度を高めることができる。
【0043】
更に、本発明の射出成形機の射出ユニットにおいて、移動ベース等を省略し、その代わりに、中間プレート及びリアプレートに加えて、フロントプレートを固定ベース上にリニアガイドを介して支持すれば、射出ユニットの構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく射出成形機の射出ユニットの一例を示す図。
【図2】本発明に基づく射出成形機の射出ユニットの他の例を示す図。
【図3】従来の射出成形機の射出ユニットの一例を示す図。
【符号の説明】
1・・・ベース(固定ベース)、
2・・・バレル、
3・・・ノズル、
4・・・スクリュ、
5・・・フロントプレート、
6・・・リアプレート、
7・・・中間プレート、
8・・・タイバー、
9・・・歪検出器、
11・・・軸受け、
12・・・サーボモータ、
13・・・ボールネジ(直線運動機構)、
14・・・ロードセル、
15・・・サーボモータ、
17・・・リニアガイド、
22・・・スベリイタ、
23・・・摺動ベース(移動ベース)、
24、24a・・・ガイド。
Claims (5)
- 先端にノズルを備えたバレルと、
バレルの中に組み込まれたスクリュと、
バレルの後端部近傍を支持するフロントプレートと、
フロントプレートの後方に配置され、タイバーを介してフロントプレートと結合されたリアプレートと、
フロントプレートとリアプレートの間に配置され、前記タイバーが貫通する貫通孔を有し、前記タイバーによりガイドされて前後方向に移動し、スクリュの後端部を軸受けを介して支持する中間プレートと、
中間プレートに取り付けられ、スクリュを回転駆動するモータと、
リアプレートに取り付けられ、中間プレートを前後方向に駆動する直線運動機構とを備え、
バレル内でスクリュを前進させて金型内に溶融樹脂を注入する射出成形機の射出ユニットにおいて、
固定ベースの上に前後方向に移動可能な移動ベースを設置し、この移動ベースの上に前記フロントプレート及び前記リアプレートを支持するとともに、この移動ベースの上に前記中間プレートを前後方向に移動可能なリニアガイドを介して支持したことを特徴とする射出成形機の射出ユニット。 - 前記リアプレートを、前記移動ベースの上に前後方向に移動可能なリニアガイドを介して支持したことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の射出ユニット。
- 前記直線運動機構はボールネジであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の射出成形機の射出ユニット。
- 先端にノズルを備えたバレルと、
バレルの中に組み込まれたスクリュと、
バレルの後端部近傍を支持するフロントプレートと、
フロントプレートの後方に配置され、タイバーを介してフロントプレートと結合されたリアプレートと、
フロントプレートとリアプレートの間に配置され、前記タイバーが貫通する貫通孔を有し、前記タイバーによりガイドされて前後方向に移動し、スクリュの後端部を軸受けを介して支持する中間プレートと、
中間プレートに取り付けられ、スクリュを回転駆動するモータと、
リアプレートに取り付けられ、中間プレートを前後方向に駆動する直線運動機構とを備え、
バレル内でスクリュを前進させて金型内に溶融樹脂を注入する射出成形機の射出ユニットにおいて、
前記フロントプレート、前記リアプレート及び前記中間プレートを、固定ベースの上に前後方向に移動可能なリニアガイドを介して支持したことを特徴とする射出成形機の射出ユニット。 - 前記直線運動機構はボールネジであることを特徴とする請求項4に記載の射出成形機の射出ユニット。
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