JP3864791B2 - 記録媒体搬送装置およびこれを備えた画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の平面性を確保しつつ搬送することができる記録媒体搬送装置およびこれを備えた画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液状のインクを用紙に吹き付けて印刷を行うインクジェット式プリンタには、用紙の搬送方向と垂直な方向に沿って往復動する印刷ヘッドからインクが吐出されて画像が印刷されるものが知られている。また、特に用紙としてロール紙が用いられる場合には、用紙の印刷面の平面性を確保するために吸着方式が採用されることが多い。
【0003】
ここで、吸着方式のインクジェット式プリンタには、印刷ヘッドに対向配置された用紙の搬送面と同じ高さであって、多数の吸着孔が形成された吸着プレートと、吸着プレートの吸着孔を介して用紙を吸着プレートの表面に吸着するための吸着ファンとを有しているものがある。
【0004】
かかる吸着方式のインクジェット式プリンタの吸着プレートには、その上に搬送された用紙が吸着プレートの表面に適正に吸着されつつ搬送されるように、用紙の搬送方向に沿って多数の同じ大きさの吸着孔がほぼ均等に配置されているのが一般的である。また、吸着プレートの幅とほぼ同じ幅の用紙に対して印刷が行われる場合においても、用紙が吸着プレートの表面に適正に吸着されつつ搬送されるように、吸着プレートの全幅にわたって多数の同じ大きさの吸着孔がほぼ均等に配置されていることが多い。
【0005】
従って、かかるインクジェット式プリンタでは、印刷ヘッドに対向配置される用紙のほぼ全面が吸着プレートの表面に密着しつつ搬送されるため、用紙の印刷面の平面性が確保される。そのため、印刷ヘッドと用紙との間の間隔(ギャップ)がほぼ一定に保たれるので、用紙に印刷される画像が悪化するのが抑制される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、用紙の先端部近傍に対する印刷が行われる場合或いは吸着プレートの幅よりも著しく小さい幅を有する用紙に対する印刷が行われる場合には、吸着プレートに形成された多数の吸着孔のなかで用紙が接触することによって閉塞される吸着孔はごく僅かである。つまり、吸着プレートの多くの吸着孔は、閉塞されずに開放された状態になっている。そのため、用紙を吸着するために吸着ファンによって発生させられる用紙により閉塞される吸着孔における負圧が極端に小さくなり、用紙が吸着プレート上に適正に吸着されなくなる。そのため、用紙の印刷面の平面性が確保されないことに起因して、用紙に印刷される画像が悪化するという問題が生じてしまう。さらに、用紙の一部分が吸着プレートから大きく離れたときには、用紙のその部分が往復動する印刷ヘッドにひっかかって、用紙の詰まりが発生する場合がある。
【0007】
また、かかる問題を解消するために、大型の吸着ファンを設けて、吸着プレートに対する用紙の位置によって、吸着ファンの風量が制御される場合がある。つまり、吸着プレートに形成された多数の吸着孔のなかで用紙が接触することによって閉塞される吸着孔がごく僅かであっても、十分な負圧によって用紙が吸着プレート上に吸着されるように吸着ファンの風量が制御される。この場合には、吸着ファンが大型化することによって、プリンタの大型化およびコストの増加の原因となるとともに、吸着ファンに対する複雑な制御が必要となる。
【0008】
そこで、本発明の主な目的は、補助部材に対する記録媒体の先端位置に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる記録媒体搬送装置およびこれを備えた画像記録装置を提供することである。
【0009】
また、本発明のその他の目的は、記録媒体の幅に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる記録媒体搬送装置およびこれを備えた画像記録装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の記録媒体搬送装置は、記録媒体を搬送するための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される記録媒体に対して画像を記録するための画像記録部と対向配置された記録媒体の搬送面と実質的に同じ高さであって、前記画像記録部と実質的に対向する記録領域において少なくとも1つの開口が形成された補助部材と、前記補助部材の開口を介して記録媒体を前記補助部材の表面に吸着させるための吸着手段とを備えており、前記記録領域には、前記補助部材上での記録媒体の幅方向基準位置近傍の部分を含む第1の領域と、単位面積あたりの前記開口による総開口面積である開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ前記第1の領域に対して記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域とが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、「開口率」とは、少なくとも1つの開口が形成された領域については、その領域内の全範囲の面積に対するその領域に形成された全ての開口面積の合計の割合のことを示している。従って、開口が形成された領域の開口率は、その領域に形成される開口の数および1つの開口あたりの面積などによって変化するものである。また、「画像記録部と実質的に対向する記録領域」とは、画像記録部に対向する領域だけであってもよいし、画像記録部に対向する領域とその領域の記録媒体の搬送方向上流側近傍の領域および搬送方向下流側近傍の領域の少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。
【0012】
請求項1によると、第1の領域の記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域の開口率が第1の領域の開口率よりも小さいため、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に確実に吸着される。これにより、記録媒体の幅に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、記録媒体の記録面の平面性が確保されないことに起因して、記録媒体に記録される画像が悪化するのが抑制されるとともに、記録媒体の詰まりが発生するのが抑制される。また、吸着ファンを必要以上に大型化しなくてよくなるとともに、吸着ファンに対する複雑な制御をする必要がなくなる。
【0013】
また、請求項2の記録媒体搬送装置は、記録媒体を搬送するための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される記録媒体に対して画像を記録するための画像記録部と対向配置された記録媒体の搬送面と実質的に同じ高さであって、前記画像記録部と実質的に対向する記録領域において少なくとも1つの開口が形成された補助部材と、前記補助部材の開口を介して記録媒体を前記補助部材の表面に吸着させるための吸着手段とを備えており、前記記録領域には、前記記録領域の最も記録媒体の搬送方向上流側近傍の部分を含み、且つ、前記補助部材上での記録媒体の幅方向基準位置近傍の部分を含む第1の領域と、単位面積あたりの前記開口による総開口面積である開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ前記第1の領域に対して記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域と、前記開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ記録媒体の搬送方向に関して前記第1の領域よりも下流側に配置された第3の領域とが設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2によると、第1の領域の記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域及び第1の領域よりも記録媒体の搬送方向下流側に配置された第3の領域の開口率が第1の領域の開口率よりも小さいため、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合及び記録媒体の先端部近傍だけが第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に確実に吸着される。これにより、記録媒体の幅及び補助部材に対する記録媒体の先端位置に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、記録媒体の記録面の平面性が確保されないことに起因して、記録媒体に記録される画像が悪化するのが抑制されるとともに、記録媒体の詰まりが発生するのが抑制される。また、吸着ファンを必要以上に大型化しなくてよくなるとともに、吸着ファンに対する複雑な制御をする必要がなくなる。
また、請求項3の記録媒体搬送装置は、前記第1の領域からの距離が大きくなるにつれて、その開口率が次第に小さくなるように複数の前記第2の領域及び複数の第3の領域が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3によると、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合および/または記録媒体の先端部だけが第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを効果的に抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上により確実に吸着される。
【0015】
また、請求項4の記録媒体搬送装置は、記録媒体を搬送するための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される記録媒体に対して画像を記録するための画像記録部と対向配置された記録媒体の搬送面と実質的に同じ高さであって、前記画像記録部と実質的に対向する記録領域において少なくとも1つの開口が形成された補助部材と、前記補助部材の開口を介して記録媒体を前記補助部材の表面に吸着させるための吸着手段とを備えており、前記記録領域には、前記記録領域の最も記録媒体の搬送方向上流側でその幅方向中心位置近傍の部分を含み、且つ、前記補助部材上での記録媒体の幅方向基準位置近傍の部分を含む第1の領域と、単位面積あたりの前記開口による総開口面積である開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ前記第1の領域に対して記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域と、前記開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ記録媒体の搬送方向に関して前記第1の領域よりも下流側に配置された第3の領域とが設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4によると、第1の領域の記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域及び第1の領域よりも記録媒体の搬送方向下流側に配置された第3の領域の開口率が第1の領域の開口率よりも小さいため、請求項2と同様に、記録媒体の幅及び補助部材に対する記録媒体の先端位置に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、請求項2と同様の効果を得ることができる。
【0017】
また、請求項5の記録媒体搬送装置は、前記第1の領域からの距離が大きくなるにつれて、その開口率が次第に小さくなるように複数の前記第2の領域が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5によると、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合および/または記録媒体の先端部だけが第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを効果的に抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上により確実に吸着される。
【0019】
また、請求項6は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録媒体搬送装置を備えた画像記録装置である。請求項6によると、記録媒体搬送装置によって画像記録部と対向配置されつつ搬送される記録媒体の記録面の平面性が確保されるため、記録媒体に高画質の画像を記録することができる。また、記録媒体搬送装置の大型化が抑制されることにより、プリンタの大型化およびコストの増加が抑制される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る用紙搬送装置を備えたインクジェット式プリンタの概略構成を示す図である。図2は、図1のインクジェット式プリンタに含まれる吸着プレート近傍の概略構成を示す図である。図3は、吸着領域内に用紙の搬送方向に沿って形成される複数の領域の概略構成を示す図である。図4は、吸着領域内に吸着プレートの幅方向に沿って形成される複数の領域の概略構成を示す図である。図5は、図1のインクジェット式プリンタの動作を説明するための図である。図6は、図1のインクジェット式プリンタに含まれる吸着プレート近傍の概略構成を示す図である。
【0021】
図1に示すインクジェット式プリンタ1は、略直方体の筐体30内に、搬送ローラユニット5と、インクジェット印刷ユニット6と、圧着ローラユニット7と、切断ユニット8と、排出ローラユニット9とを有している。筐体30内には、ロール状に巻回された巻回部2aが形成された長尺の用紙2が配置されており、用紙2の巻回部2aは軸中心の回りに回転可能とされたドラム3に保持されている。また、後述するように、インクジェット式プリンタ1の各部分の動作は、筐体30内に配置されたコントローラ20によって制御される。
【0022】
搬送ローラユニット5は、コントローラ20により制御されたモータ21によって駆動される駆動ローラ対であり、用紙2を巻回部2aから巻きほどいて、インクジェット印刷ユニット6に供給するためのものである。すなわち、搬送ローラユニット5は、用紙2を巻回部2aから巻きほどいて下流側へと搬送し、インクジェット印刷ユニット6および切断ユニット8を順次通過させる。
【0023】
インクジェット印刷ユニット6は、印刷ヘッド11と、キャリッジ12と、吸着プレート13と、吸着ファン14とを有している。印刷ヘッド11は、イエロー(黄色)、マゼンタ(赤紫)、シアン(青緑)、黒色などのカラーインクをそれぞれ吐出することができる多数の吐出ノズル(図示しない)を備えている。従って、印刷ヘッド11は、コントローラ20からの信号に基づいて、搬送されてきた用紙2の表面(図1では上面)に向かって、多数の吐出ノズルからカラーインクをそれぞれ吐出することによって所望のカラー画像を印刷することができる。なお、吐出ノズルの数および配置は任意に変更することができる。また、印刷ヘッド11は、黒色のインクだけを吐出する吐出ノズルを有するものであって、白黒の画像を印刷するものであってもよい。
【0024】
なお、インクジェット印刷ユニット6は、ノズルから液状のインクをドットごとに吹き出して用紙2に印刷を施すものであって、ピエゾジェット方式、サーマルジェット方式或いはその他の方式のいずれを採用したものであってもよい。
【0025】
キャリッジ12は、印刷ヘッド11を保持するためのものであり、用紙2の搬送方向に垂直な方向に往復動可能である。従って、印刷ヘッド11は、用紙2の搬送方向に垂直な方向に往復動しつつ、用紙2の表面に向かってインクを吐出することになる。
【0026】
吸着プレート13は、図2に示すように、用紙2の搬送面と同じ高さの用紙支持面を有しており、印刷ヘッド11と対向配置される用紙2を支持するためのものである。従って、印刷ヘッド11は、吸着プレート13の表面に対向しつつ吸着プレート13の幅方向に沿って往復動しながら吸着プレート13上の用紙2に対して印刷を行う。ここで、吸着プレート13上の印刷ヘッド11と対向可能な印刷領域51は、印刷ヘッド11とほぼ同じ長さ(用紙2の搬送方向に沿う方向の長さ)を有し、吸着プレート13の全幅にわたって形成される帯状の領域である。
【0027】
また、吸着プレート13には、印刷領域51若しくは印刷領域51の用紙2の搬送方向上流側および下流側における印刷領域51からそれぞれ所定長さの領域(以下、「吸着領域52」と称する)には、吸着プレート13の全幅にわたって、多数(本実施の形態では65個)の円形の吸着孔15(後述する吸着孔15aを含む)が形成されている。つまり、吸着領域52は、印刷領域51を含んでおり、搬送ローラユニット5と圧着ローラユニット7との間の距離とほぼ同じ長さおよび吸着プレート13の幅とほぼ同じ幅を有する矩形状の領域であって、多数の吸着孔15が形成された領域である。
【0028】
吸着プレート13の吸着領域52内に形成される吸着孔15は、それぞれの中心位置が千鳥状に配置されている。従って、多数の吸着孔15は、吸着領域52内においてほぼ均等に配置されていることになる。つまり、図3に示すように、吸着プレート13の幅方向に沿って1列に配列され且つそれぞれの中心位置が等間隔に配置された6つの吸着孔15からなる複数の吸着孔列16と、吸着プレート13の幅方向に沿って1列に配列され且つそれぞれの中心位置が等間隔に配置された7つの吸着孔15からなる複数の吸着孔列17とが、用紙2の搬送方向に沿って交互に配置されている。従って、全ての吸着孔15の中心位置が互いに等間隔に配置されている。なお、このとき、用紙2の搬送方向については、用紙2の搬送方向に沿って1列に配列され且つそれぞれの中心位置が等間隔に配置された5つの吸着孔15からなる複数の吸着孔列18が配置されることになる(図4参照)。
【0029】
また、吸着領域52内の用紙2の搬送方向上流側の端部の吸着プレート13の幅方向中心位置近傍には、吸着プレート13の幅方向中心位置に対して対称となるように配置された領域53が設けられている。ここで、領域53の吸着プレート13の幅方向に沿う方向の長さは、吸着領域52の吸着プレート13の幅方向に沿う方向の長さよりも小さい。そして、領域53内には、2つの大径の吸着孔15aが、吸着プレート13の幅方向中心位置に対して対称になるように形成されている。
【0030】
ここで、吸着領域52内の吸着孔15a以外の吸着孔15のそれぞれの大きさは、領域53からの距離が大きくなるにつれて次第に小さくなっている。つまり、領域52内の吸着孔15のそれぞれの径は、領域53の用紙2の搬送方向下流側においては、領域53から用紙2の搬送方向上流側から下流側へ離れるにつれて、吸着孔15のそれぞれの径が次第に小さくなっている。さらに、領域52内の吸着孔15のそれぞれの径は、吸着プレート13の幅方向中心位置近傍から幅方向外側へ離れるにつれて、吸着孔15のそれぞれの径が次第に小さくなっている。
【0031】
従って、吸着領域52内には、図3に示すように、用紙2の搬送方向上流側から下流側に向かって、それぞれ1組の吸着孔列16および吸着孔列17が形成された領域61〜65が設けられていると考えると、領域61〜65のそれぞれの開口率は、領域61の開口率が最も大きく、領域62〜64の順序で次第に小さくなり、領域65の開口率が最も小さくなる。
【0032】
また、吸着領域52内には、図4に示すように、吸着プレート13の幅方向中心位置から外側に向かって、それぞれ1つの吸着孔列18が形成された領域71〜77が設けられていると考えると、領域72〜77のそれぞれの開口率は、領域72の開口率が最も大きく、領域73〜76の順序で次第に小さくなり、領域77の開口率が最も小さくなる。ここで、領域72〜77は、吸着プレート13の幅方向中心位置に設けられる領域71に対して対称になるように配置され且つ同一の開口率を有する2つの領域により構成されている。なお、領域71の開口率は、領域72の開口率と領域73の開口率との間の値になっている。
【0033】
このように、領域52内において、領域53から用紙2の搬送方向下流側に向かって離れるにつれて、領域53と同一の大きさを有する領域の開口率が小さくなるとともに、領域53から吸着プレート13の幅方向外側に向かって離れるにつれて、領域53と同一の大きさを有する領域の開口率が小さくなる。従って、吸着領域52内において領域53の開口率が最大となることが分かる。
【0034】
吸着ファン14は、用紙2の搬送経路を挟んで印刷ヘッド11と対向する位置に配置されており、吸着プレート13に形成された吸着孔15を介して吸着プレート13上の用紙2を吸着させるためのものである。従って、印刷ヘッド11に対向する用紙2は、用紙2の裏面(図1では下面)側に配置された吸着ファン14に吸引されることにより吸着プレート13に密着して搬送され、印刷ヘッド11との間隔が一定になるようになっている。これは、用紙2がカールしている場合に、用紙2の一部分が吸着プレート13から大きく離れることによって、印刷ヘッド11との間隔が変化することによる印刷の不具合の発生を抑制するためである。
【0035】
圧着ローラユニット7は、インクジェット印刷ユニット6と切断ユニット8との間を搬送される用紙2を挟持するためのものである。なお、インクジェット印刷ユニット6と切断ユニット8との間に圧着ローラユニット7が配置されることによって、インクジェット印刷ユニット6による画像の印刷および切断ユニット8による用紙2の切断を適正に行うことが可能となる。
【0036】
切断ユニット8は、用紙2に対して印刷ヘッド11と同じ側に配置された移動刃8aと、用紙2を挟んで移動刃8aと対向するように配置された固定刃8bとを有している。移動刃8aおよび固定刃8bは、ともに、用紙2の幅よりも若干大きな幅を有する矩形刃である。移動刃8aは、コントローラ20により制御されるモータ22によって、固定刃8bに向かって近接または離隔することができるようになっており、搬送経路を上流側から搬送されてきた印刷済みの用紙2を、固定刃8bとの相互作用によって幅方向に沿って切断することができる。このように切断されることにより所定の長さに印刷済みの用紙2が分割される。
【0037】
排出ローラユニット9は、コントローラ20により制御されたモータ23によって駆動される駆動ローラ対であり、切断ユニット8で切断された後の印刷済みの用紙2を搬送し、排出口30aより排出させる。
【0038】
また、コントローラ20は、図示しない入力インターフェイスから供給された画像信号に所定の処理を施して、印刷される画像に対応する画像データを含む印刷信号をインクジェット印刷ユニット6に供給する。また、コントローラ20は、搬送ローラユニット5および排出ローラユニット9による用紙2の搬送タイミング、キャリッジ12の移動タイミング若しくは印刷ヘッド11からのインクの吐出タイミング、切断ユニット8による用紙2の切断タイミングなどを制御することができる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、搬送ローラユニット5と、インクジェット印刷ユニット6の吸着プレート13および吸着ファン14などから用紙搬送装置が構成される。
【0040】
次に、上述のように構成された本実施の形態に係るインクジェット式プリンタ1の動作について、図3〜図5を参照して説明する。
【0041】
モータ21により駆動ローラ対である搬送ローラユニット5が駆動されると、用紙2が巻回部2aから巻きほどかれて、吸着プレート13上に用紙2の先端部から順次搬送される。なお、用紙2は、その幅方向中心位置が吸着プレート13の幅方向中心位置と一致するように(吸着プレート13に対してセンター合わせで)搬送される。
【0042】
まず、吸着プレート13上の吸着領域52内の領域71〜76に対応する幅を有する用紙2が搬送される場合について説明する。
【0043】
用紙2の先端部近傍は、搬送ローラユニット5によって吸着プレート13上に搬送されると、領域71〜76と領域61とが重なる領域に形成された吸着孔15に吸着されつつ下流側へと搬送されて、図5(a)に示すように、用紙2の先端部が印刷領域51の用紙2の搬送方向上流側の端部に到達する。
【0044】
また、領域71〜76に対応する幅を有する用紙2が吸着プレート13上に供給された直後において、用紙2の先端部近傍だけが吸着プレート13上に吸着されている場合には、吸着プレート13に形成された多数の吸着孔15のなかで用紙2が接触することによって閉塞されるのは、領域71〜76と領域61とが重なる領域内に形成された吸着孔15の全て或いは一部だけである。従って、その他の多数の吸着孔15は閉塞されずに開放された状態になっている。
【0045】
ここで、吸着プレート13の領域61よりも用紙2の搬送方向下流側に設けられた領域62〜65のそれぞれの開口率は、領域61の開口率よりも小さくなっている。また、吸着プレート13の領域71〜76よりも吸着プレート13の幅方向外側に設けられた領域77の開口率は、領域71〜76のそれぞれの開口率よりも小さくなっている。
【0046】
従って、吸着領域52内に形成された全ての吸着孔15の開口面積の合計に対する領域71〜76と領域61とが重なる領域内に形成された全て或いは一部の吸着孔15の開口面積の合計の割合が極端に小さくなることはほとんどない。そのため、領域71〜76と領域61とが重なる領域内に形成された吸着孔15における用紙2を吸着するための負圧が極端に小さくなることが抑制されるため、用紙2の先端部近傍を吸着プレート13上に十分な負圧により吸着することができる。
【0047】
引き続き、領域71〜76と領域61〜63とが重なる領域内に形成された吸着孔15に吸着されつつ下流側へと搬送されて、図5(b)に示すように、用紙2の先端部が印刷領域51の用紙2の搬送方向下流側の端部に到達する。そして、搬送ローラユニット5による用紙2の搬送が停止させられる。
【0048】
そして、用紙2の先端部近傍が印刷領域51に対向する位置に停止された状態で、印刷ヘッド11が用紙2の搬送方向に垂直な方向に移動しつつインクを用紙2に吐出することによって、画像の印刷が行われる。なお、画像の印刷時における印刷ヘッド11の移動は、用紙2の一端部から他端部へ往動するだけでもよいし、往動に引き続いて用紙2の他端部から一端部へ復動してもよい。
【0049】
その後、用紙2の先端部近傍への画像の印刷が終了すると、搬送ローラユニット5による用紙2の搬送が再開され、領域71〜76と領域61〜65とが重なる領域内に形成された吸着孔15に吸着されつつ下流側へと搬送されて、図5(c)に示すように、用紙2の先端部が吸着領域52の用紙2の搬送方向下流側の端部よりもさらに下流側に到達する。すると、先に画像が印刷された用紙2の領域よりも上流側の領域に対する次の画像の印刷が行われる。このようにして、用紙2の搬送および画像の印刷が交互に行われることによって、用紙2に対する複数の画像の印刷が行われる。
【0050】
なお、画像が印刷される度に用紙2が搬送される長さは、必ずしも印刷ヘッド11の長さと同じである必要はなく、任意に変更することができる。従って、用紙2に対して印刷ヘッド11が往動または往復動しつつ印刷が行われた後で、印刷ヘッド11の長さよりも短い長さだけ用紙2が搬送されて、先に画像が印刷された領域と同じ領域に対して、再度印刷ヘッド11が往動または往復動しつつ印刷が行われてもよい。
【0051】
次に、吸着プレート13上の吸着領域52内の領域71〜74に対応する幅を有する用紙2が搬送される場合について説明する。
【0052】
用紙2の先端部近傍は、搬送ローラユニット5によって吸着プレート13上に搬送されると、領域71〜74と領域61とが重なる領域内に形成された吸着孔15に吸着されつつ下流側へと搬送されて、図6に示すように、用紙2の先端部が印刷領域51の用紙2の搬送方向上流側の端部に到達する。
【0053】
また、領域71〜74に対応する幅を有する用紙2が吸着プレート13上に供給された直後において、用紙2の先端部近傍だけが吸着プレート13上に吸着されている場合には、吸着プレート13に形成された多数の吸着孔15のなかで用紙2が接触することによって閉塞されるのは、領域71〜74と領域61とが重なる領域内に形成された吸着孔15の全て或いは一部だけである。従って、その他の多数の吸着孔15は閉塞されずに開放された状態になっている。
【0054】
ここで、上述したように、吸着プレート13の領域61よりも用紙2の搬送方向下流側に設けられた領域62〜65のそれぞれの開口率は、領域61の開口率よりも小さくなっている。また、吸着プレート13の領域71〜74よりも吸着プレート13の幅方向外側に設けられた領域75〜77のそれぞれの開口率は、領域71〜74のそれぞれの開口率よりも小さくなっている。
【0055】
従って、吸着領域52内に形成された全ての吸着孔15の開口面積の合計に対する領域71〜74と領域61とが重なる領域内に形成された全て或いは一部の吸着孔15の開口面積の合計の割合が極端に小さくなることはほとんどない。そのため、領域71〜74と領域61とが重なる領域内に形成された吸着孔15における用紙2を吸着するための負圧が極端に小さくなることが抑制されるため、用紙2の先端部近傍を吸着プレート13上に十分な負圧により吸着することができる。
【0056】
この後、引き続き、領域71〜74と領域61〜65とが重なる領域内に形成された吸着孔15に吸着されつつ下流側へと搬送されながら、上述と同様に、用紙2の搬送および画像の印刷が交互に行われることによって、用紙2に対する複数の画像の印刷が行われる。
【0057】
以上のように、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1によると、吸着プレート13の吸着領域52の最も用紙2の搬送方向上流側でその幅方向中心位置近傍に配置された領域53から、用紙2の搬送方向上流側から下流側および吸着プレート13の幅方向外側へ離れるにつれて、その領域の開口率が領域53の開口率よりも小さくなっている。つまり、吸着プレート13の領域61よりも用紙2の搬送方向下流側に設けられた領域62〜65のそれぞれの開口率は、領域61の開口率よりも小さくなっている。また、吸着プレート13の領域71〜76よりも吸着プレート13の幅方向外側に設けられた領域77の開口率は、領域71〜76のそれぞれの開口率よりも小さくなっている。従って、吸着プレート13の幅よりも小さい領域71〜76に対応する幅を有する用紙2の先端部近傍だけが、吸着プレート13上に吸着される場合において、用紙2の先端部近傍が接触することによって閉塞される吸着孔15における負圧が極端に小さくなるのを抑制することができる。そのため、用紙2の先端部近傍は、当該吸着孔15によって吸着プレート13上に確実に吸着される。
【0058】
これにより、吸着プレート13に対する用紙2の先端位置および用紙2の幅に拘わらず、用紙2を吸着プレート13に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、用紙2の記録面の平面性が確保されないことに起因して、用紙2に印刷される画像が悪化するのが抑制されるとともに、用紙2の詰まりが発生するのが抑制される。また、吸着ファン14を必要以上に大型化しなくてよくなる。そのため、プリンタの大型化およびコストの増加を防止することができるとともに、吸着ファン14に対する複雑な制御をする必要がなくなる。
【0059】
また、吸着領域52内の吸着孔15のそれぞれの大きさは、領域53からの距離が大きくなるにつれて次第に小さくなっている。そのため、領域61〜65のそれぞれの開口率は、領域61の開口率が最も大きく、領域62〜64の順序で次第に小さくなり、領域65の開口率が最も小さくなるとともに、領域72〜77のそれぞれの開口率は、領域72の開口率が最も大きく、領域73〜76の順序で次第に小さくなり、領域77の開口率が最も小さくなる。従って、吸着プレート13の幅よりも小さい幅を有する用紙2の先端部近傍だけが、吸着プレート13上に吸着される場合において、用紙2の先端部近傍が接触することによって閉塞される吸着孔15における負圧が極端に小さくなるのを効果的に抑制することができる。そのため、用紙2の先端部近傍は、当該吸着孔15によって吸着プレート13上により確実に吸着される。
【0060】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、65個の円形の吸着孔15が吸着プレート13に千鳥状に形成されている場合について説明しているが、これに限らず、吸着プレートに形成される吸着孔の数、大きさ(1個あたりの開口面積)、形状および配置は任意に変更することができる。従って、吸着プレートに用紙の搬送方向上流側から下流側に向かって開口面積が小さくなるような形状を有する1つの吸着孔が形成されてもよいし、多数の四角形などの形状を有する多数の吸着孔が形成されてもよいし、多数の吸着孔が縦方向および横方向のいずれにも列を形成するように配列されてもよい。
【0061】
また、上述の実施の形態では、印刷領域51よりも大きい範囲の吸着領域52内に、多数の吸着孔15が形成されている場合について説明しているが、これに限らず、印刷領域内にだけ多数の吸着孔が形成されていてもよい。つまり、この場合には、印刷領域と吸着領域とが一致することになる。
【0062】
また、上述の実施の形態では、領域61よりも開口率が小さく且つ領域61に対して用紙2の搬送方向下流側に配置された領域62〜65が設けられるとともに、領域72よりも開口率が小さく且つ領域72に対して幅方向外側に配置された領域73〜77が設けられている場合について説明しているが、これに限らず、領域72よりも開口率が小さく且つ領域72に対して幅方向外側に配置された領域73〜77が設けられているだけでもよい。つまり、吸着領域52内に、少なくとも1つの吸着孔が形成された開口率の比較的大きい領域と、少なくとも1つの吸着孔が形成された開口率が上記領域よりも小さく且つ上記領域に対して用紙の搬送方向下流側に配置された領域、および、少なくとも1つの吸着孔が形成された開口率が上記領域よりも小さく且つ上記領域に対して用紙の搬送方向と垂直な方向に配置された領域の少なくともいずれかが設けられていればよい。
【0063】
また、上述の実施の形態では、長尺の用紙2に対して印刷が行われる場合について説明しているが、これに限らず、本実施の形態における用紙の幅に拘わらず、用紙を吸着プレートに確実に吸着させつつ搬送することができるという効果は、所定長さを有する単票紙に対して印刷が行われる場合にも得ることができる。
【0064】
また、上述の実施の形態では、吸着領域52内の吸着孔15のそれぞれの大きさは、用紙2の搬送方向について吸着領域52の上流側端部近傍からの距離が大きくなるにつれて次第に小さくなるように形成されている、つまり、領域61〜65のそれぞれの開口率が用紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって次第に小さくなる場合について説明しているが、これに限らず、吸着領域の上流側端部近傍の領域の開口率よりも小さい開口率を有する領域が、吸着領域の上流側端部近傍よりも用紙の搬送方向下流側に少なくとも1つ配置されていればよい。従って、本実施の形態において、領域61、62のそれぞれの開口率が同じであり且つ領域63〜65のそれぞれの開口率が同じであって、用紙の搬送方向下流側に配置された領域63〜65のそれぞれの開口率が領域61、62のそれぞれの開口率よりも小さくてもよい。つまり、領域61〜65のそれぞれの開口率が、必ずしも用紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって5段階で小さくなる必要はなく、上述のように2段階で小さくなってもよいし、任意の複数の段階で小さくなってもよいし、無段階で小さくなってもよい。
【0065】
また、上述の実施の形態では、吸着領域52内の吸着孔15のそれぞれの大きさは、吸着プレート13の幅方向について、その幅方向中心位置近傍からの距離が大きくなるにつれて次第に小さくなるように形成されている、つまり、領域72〜77のそれぞれの開口率が吸着プレート13の幅方向中心位置から外側に向かって次第に小さくなる場合について説明しているが、これに限らず、吸着プレートの幅方向中心位置近傍の領域の開口率よりも小さい開口率を有する領域が、吸着プレートの幅方向中心位置近傍よりも幅方向外側に少なくとも1つ配置されていればよい。従って、本実施の形態において、領域71〜74のそれぞれの開口率が同じであり且つ領域75〜77のそれぞれの開口率が同じであって、吸着プレートの幅方向外側に配置された領域75〜77のそれぞれの開口率が領域71〜74のそれぞれの開口率よりも小さくてもよい。つまり、領域72〜77のそれぞれの開口率が、必ずしも吸着プレートの幅方向中心位置から幅方向外側に向かって6段階で小さくなる必要はなく、上述のように2段階で小さくなってもよいし、任意の複数の段階で小さくなってもよいし、無段階で小さくなってもよい。
【0066】
また、上述の実施の形態では、用紙2がその幅方向中心位置が吸着プレート13の幅方向中心位置と一致するように搬送される場合について説明しているが、これに限らず、吸着プレートに対する搬送される用紙の幅方向位置は任意に変更することができる。従って、例えば吸着プレートの幅方向一端部と用紙の幅方向一端部とが一致するように搬送されてもよい。この場合には、吸着プレートには、当該幅方向一端部近傍の領域の開口率が最も大きくなり、幅方向他端部近傍の領域の開口率が小さくなるように、多数の吸着孔が形成されることが好ましい。
【0067】
また、上述の実施の形態では、用紙2を搬送するための用紙搬送装置が備えられたインクジェット式プリンタ1について説明しているが、これに限らず、記録媒体搬送装置が備えられた画像形成装置であれば、どのようなものであってもよい。従って、印画紙搬送装置が備えられた写真処理装置であってもよい。また、本実施の形態におけるインクジェット式プリンタ1における印刷媒体としては、用紙以外に薄手のプラスティックなども用いることができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、第1の領域の記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域の開口率が第1の領域の開口率よりも小さいため、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に確実に吸着される。これにより、記録媒体の幅に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、記録媒体の記録面の平面性が確保されないことに起因して、記録媒体に記録される画像が悪化するのが抑制されるとともに、記録媒体の詰まりが発生するのが抑制される。また、吸着ファンを必要以上に大型化しなくてよくなるとともに、吸着ファンに対する複雑な制御をする必要がなくなる。
【0069】
請求項2によると、第1の領域の記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域及び第1の領域よりも記録媒体の搬送方向下流側に配置された第3の領域の開口率が第1の領域の開口率よりも小さいため、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合及び記録媒体の先端部近傍だけが第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に確実に吸着される。これにより、記録媒体の幅及び補助部材に対する記録媒体の先端位置に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、記録媒体の記録面の平面性が確保されないことに起因して、記録媒体に記録される画像が悪化するのが抑制されるとともに、記録媒体の詰まりが発生するのが抑制される。また、吸着ファンを必要以上に大型化しなくてよくなるとともに、吸着ファンに対する複雑な制御をする必要がなくなる。
請求項3によると、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合および/または記録媒体の先端部だけが第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを効果的に抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上により確実に吸着される。
【0070】
請求項4によると、第1の領域の記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域及び第1の領域よりも記録媒体の搬送方向下流側に配置された第3の領域の開口率が第1の領域の開口率よりも小さいため、請求項2と同様に、記録媒体の幅及び補助部材に対する記録媒体の先端位置に拘わらず、記録媒体を補助部材に確実に吸着させつつ搬送することができる。従って、請求項2と同様の効果を得ることができる。
【0071】
請求項5によると、補助部材の幅よりも小さい幅を有する記録媒体が第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合および/または記録媒体の先端部だけが第1の領域内に形成された開口によって補助部材上に吸着される場合において、第1の領域内に形成された開口における負圧が極端に小さくなるのを効果的に抑制することができる。そのため、記録媒体は、第1の領域内に形成された開口によって補助部材上により確実に吸着される。
【0072】
請求項6によると、記録媒体搬送装置によって画像記録部と対向配置されつつ搬送される記録媒体の記録面の平面性が確保されるため、記録媒体に高画質の画像を記録することができる。また、記録媒体搬送装置の大型化が抑制されることにより、プリンタの大型化およびコストの増加が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る用紙搬送装置を備えたインクジェット式プリンタの概略構成を示す図である。
【図2】 図1のインクジェット式プリンタに含まれる吸着プレート近傍の概略構成を示す図である。
【図3】 吸着領域内に用紙の搬送方向に沿って形成される複数の領域の概略構成を示す図である。
【図4】 吸着領域内に吸着プレートの幅方向に沿って形成される複数の領域の概略構成を示す図である。
【図5】 図1のインクジェット式プリンタの動作を説明するための図である。
【図6】 図1のインクジェット式プリンタに含まれる吸着プレート近傍の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1インクジェット式プリンタ(画像記録装置)
2用紙(記録媒体)
6インクジェット印刷ユニット
5搬送ローラユニット(搬送手段)
11印刷ヘッド(画像記録部)
13吸着プレート(補助部材)
14吸着ファン(吸着手段)
15、15a 吸着孔(開口)
51印刷領域
52吸着領域(記録領域)
53領域(第1の領域)
61領域(第1の領域)
62〜65 領域(第3の領域)
72領域(第1の領域)
73〜77 領域(第2の領域)
Claims (6)
- 記録媒体を搬送するための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録媒体に対して画像を記録するための画像記録部と対向配置された記録媒体の搬送面と実質的に同じ高さであって、前記画像記録部と実質的に対向する記録領域において少なくとも1つの開口が形成された補助部材と、
前記補助部材の開口を介して記録媒体を前記補助部材の表面に吸着させるための吸着手段とを備えており、
前記記録領域には、
前記補助部材上での記録媒体の幅方向基準位置近傍の部分を含む第1の領域と、
単位面積あたりの前記開口による総開口面積である開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ前記第1の領域に対して記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域とが設けられていることを特徴とする記録媒体搬送装置。 - 記録媒体を搬送するための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録媒体に対して画像を記録するための画像記録部と対向配置された記録媒体の搬送面と実質的に同じ高さであって、前記画像記録部と実質的に対向する記録領域において少なくとも1つの開口が形成された補助部材と、
前記補助部材の開口を介して記録媒体を前記補助部材の表面に吸着させるための吸着手段とを備えており、
前記記録領域には、
前記記録領域の最も記録媒体の搬送方向上流側近傍の部分を含み、且つ、前記補助部材上での記録媒体の幅方向基準位置近傍の部分を含む第1の領域と、
単位面積あたりの前記開口による総開口面積である開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ前記第1の領域に対して記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域と、
前記開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ記録媒体の搬送方向に関して前記第1の領域よりも下流側に配置された第3の領域とが設けられていることを特徴とする記録媒体搬送装置。 - 前記第1の領域からの距離が大きくなるにつれて、その開口率が次第に小さくなるように複数の前記第2の領域及び複数の第3の領域が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の記録媒体搬送装置。
- 記録媒体を搬送するための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録媒体に対して画像を記録するための画像記録部と対向配置された記録媒体の搬送面と実質的に同じ高さであって、前記画像記録部と実質的に対向する記録領域において少なくとも1つの開口が形成された補助部材と、
前記補助部材の開口を介して記録媒体を前記補助部材の表面に吸着させるための吸着手段とを備えており、
前記記録領域には、
前記記録領域の最も記録媒体の搬送方向上流側でその幅方向中心位置近傍の部分を含み、且つ、前記補助部材上での記録媒体の幅方向基準位置近傍の部分を含む第1の領域と、
単位面積あたりの前記開口による総開口面積である開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ前記第1の領域に対して記録媒体の搬送方向と垂直な方向に配置された第2の領域と、
前記開口率が前記第1の領域よりも小さく且つ記録媒体の搬送方向に関して前記第1の領域よりも下流側に配置された第3の領域とが設けられていることを特徴とする記録媒体搬送装置。 - 前記第1の領域からの距離が大きくなるにつれて、その開口率が次第に小さくなるように複数の前記第2の領域が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の記録媒体搬送装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録媒体搬送装置を備えた画像記録装置。
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