JP3854186B2 - ブラシレスモータ及びモータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車両の空調装置における送風に用いられるブラシレスモータ及びこのようなブラシレスモータ等のモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載された空調装置における送風駆動源には、例えば、駆動回路に設けられたパワートランジスタ等の半導体素子をON/OFFすることで整流した電流をコイルに通電して永久磁石を含めて構成されるロータを回転させるブラシレスモータが採用されており、ブラシレスモータの回転駆動力によってブロワを回転させて空調装置の本体部分から車両室内へ送風している。
【0003】
ところで、ブラシレスモータにおける整流タイミングの設定方法としては、大別すると、ホールIC素子等の磁気センサが検出したロータの回転位置に基づく方法と、フォトインタラプタやロータリエンコーダが検出したロータの回転周期に基づく方法の2種類がある。
【0004】
例えば、3相ブラシレスモータの整流タイミングを、磁気センサでロータの回転位置を検出し、この検出結果に基づいて設定する場合には、ロータに対して同軸的且つ一体的に設けられたセンサマグネットの周囲に、最低で3つの磁気センサを所定角度毎にに配置する。センサマグネットその回転周方向に沿って交互に極性が異なるように形成されているため、センサマグネットが回転すると、磁気センサと対向するセンサマグネットの磁極が変化する。各磁気センサは、それぞれ対向する磁極を検出し、各磁気センサが検出したセンサマグネットの磁極の組み合わせによりロータの回転位置が検出され、各磁気センサが検出した磁極の組み合わせの変化に伴い整流タイミングを変化させることでコイルの周囲に回転磁界が形成される。
【0005】
一方、フォトインタラプタやロータリエンコーダが検出したロータの回転周期に基づく方法では、フォトインタラプタやロータリエンコーダが検出したロータの回転周期に基づいてロータの予測回転位置を位相角毎に細分化したうえで所謂PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)制御を行ない、これにより、台形波や正弦波等の任意の通電波形で各コイルに電流を流して回転磁界を発生させている。
【0006】
このような回転周期に基づく方法では、上記の磁気センサが検出したロータの回転位置に基づいて整流する方法に比べてトルクリプルを低減できるというメリットがある。その一方で、フォトインタラプタやロータリエンコーダ等の回転周期を検出するための手段が比較的に高価で、コスト低減という観点からするとデメリットになっている。
【0007】
そこで、上記のようなロータの回転周期の検出に、フォトインタラプタやロータリエンコーダ等の高価な手段を用いずに、ロータが1回転する間にマイコンのタイマ等でカウントを行なう方法が考えられる。
【0008】
すなわち、上記の磁気センサによる回転位置検出は、磁気センサが対向する永久磁石の磁極を検出している構造である。したがって、ロータの回転周方向に沿った磁極の総数(N極とS極の総数)が既知であれば、磁気センサにおける検出結果の変化の数からロータが1回転したことを検出できる。ここで、磁気センサの検出結果が変化したと際にタイマによるカウントを開始すれば、永久磁石の磁極の総数分だけ磁気センサでの検出結果が変化した際のタイマでのカウント数がロータの周期に対応するものとなり、このようにして得られたロータの回転周期(カウント数)を用いることで、結果的にフォトインタラプタやロータリエンコーダを用いた場合と同様の効果を得ることができるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、磁気センサでの検出結果の変化に基づいてロータの回転周期を検出する構成とした場合には、複数の磁気センサによるロータの回転位置検出結果に基づく通電制御と、ロータの回転周期検出結果に基づく通電制御の双方が可能となり、例えば、ロータの回転速度等、ロータの状態に応じて、適宜に通電制御の方法を切り替えるという構成が考えられる。
【0010】
しかしながら、複数の磁気センサでの各検出結果のパターンに基づいて通電制御を行なうと、各コイルに流れる電流の通電波形は方形波となるのに対し、上記のように回転周期に基づく場合には、台形波や正弦波となる。
【0011】
このように、通電制御の方法で通電波形が異なると、通電制御の方法を切り替えた際に波形の差異に起因して、出力トルクの変動やチャタリングが生じ、更に、このような現象に起因して異音等が発生することが考えられる。
【0012】
本発明は、上記事実を考慮して、通電波形が異なる制御に切り替えても、出力トルクの変動やチャタリング等の発生を防止若しくは低減できるブラシレスモータ及びモータ制御装置を得ることが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のブラシレスモータは、通電状態で周囲に所定の磁界を形成する複数相のコイルを有する固定子と、永久磁石を有し、前記複数相のコイルが形成する磁界と前記永久磁石が形成する磁界との相互作用で生じる回転力で回転する回転子と、前記回転子の回転位置を検出し、検出した前記回転位置に基づいた位置検出信号を出力する回転位置検出手段と、前記回転子の周期を検出し、検出した前記周期に基づいた周期検出信号を出力する周期検出手段と、前記位置検出信号に基づいた所定波形の第1制御信号及び前記周期検出信号に基づき且つ前記第1制御信号とは異なる波形で、最終的に前記コイルが通電された際の通電波形が左右非対象の通電波形になる第2制御信号の双方を生成可能な制御信号生成手段と、前記第1制御信号及び前記第2制御信号の何れか一方の制御信号を出力すると共に、特定の条件を満たした場合に前記何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替えて出力する制御手段と、前記制御手段から出力された前記第1制御信号又は前記第2制御信号に基づいたタイミングで前記複数相のコイルの各々を通電し或いは通電解除する整流手段と、を備え、更に、前記制御手段が出力する制御信号を切り替える際に、前記制御手段は、出力していた前記何れか一方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形と、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形との乖離を小さくし、又は、当該乖離をなくすように前記何れか一方の制御信号に基づき前記何れか他方の制御信号を補正すると共に、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形の通電開始から通電停止までの時間的中心と前記通電波形の電流有効面積の中心とのずれを修正すべく前記切り替えの直前に出力された前記何れか一方の制御信号に基づいて前記何れか他方の制御信号を補正する、ことを特徴としている。
【0014】
上記構成のブラシレスモータでは、整流手段が固定子に設けられた複数相のコイルに対して所定の通電波形で電流を流すと、コイルの周囲に所定の磁界が形成される。このコイルが形成する磁界と回転子に設けられた永久磁石が形成する磁界との相互作用で回転力が生じ、この回転力によって回転子が所定の速度で回転する。
【0015】
一方、回転する回転子の回転位置は、回転位置検出手段によって検出され、回転子の回転位置に対応した位置検出信号が回転位置検出手段から出力されると共に、回転する回転子の回転周期が周期検出手段に検出され、回転子の回転周期に対応した周期検出信号が周期検出手段から出力される。
【0016】
回転位置検出手段から出力された位置検出信号及び周期検出手段から出力された周期検出信号は制御手段に入力される。制御信号生成手段では、位置検出信号に基づいた第1制御信号の生成が可能であると共に、周期検出信号に基づいた第2制御信号の生成が可能である。
【0017】
制御信号生成手段で生成された第1制御信号及び第2制御信号の何れか一方の制御信号は、制御手段を介して出力される。制御手段から出力された何れか一方の制御信号は、整流手段に入力され、整流手段では入力された何れか一方の制御信号(すなわち、第1制御信号又は第2制御信号)に基づいたタイミングで上記の複数相のコイルの各々を通電状態又は通電解除状態にする。
【0018】
ところで、本ブラシレスモータでは、特定の条件を満たすと、制御手段では出力する制御信号を、それまでの何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替える。
【0019】
ここで、第1制御信号と第2制御信号とでは、互いに信号波形が異なるため、整流手段では第1制御信号が入力されるか第2制御信号が入力されるかで通電及び通電解除のタイミングが変わり、その結果、整流手段に第1制御信号が入力された場合と第2制御信号が入力された場合とでは、各コイルに流れる電流の通電波形が変わる。
【0020】
このように、各コイルに流れる電流の通電波形を変えることで、回転子の状態(例えば、回転子の回転速度)等に応じて、より一層適切なタイミングで各コイルに通電でき、異音の発生を抑制若しくは防止できたり、又は、消費電力を低減できたりする。
【0021】
ところで、上記のように、第1制御信号と第2制御信号とでは信号波形が異なり、その結果、整流手段に入力される信号が第1制御信号と第2制御信号とで通電波形が変わる。
【0022】
ここで、本ブラシレスモータでは、上記のように制御手段が出力する制御信号を切り替える場合には、第1制御信号に基づいてコイルが通電された際の通電波形と、第2制御信号に基づいてコイルが通電された際の左右非対称の通電波形との乖離が小さくなり、又は、このような乖離がなくなるようにそれまで出力していた何れか一方の制御信号に基づいて切り替え後に出力する何れか他方の制御信号の信号レベルや位相等が補正される。さらに、何れか他方の制御信号に基づいて整流手段がコイルを通電した際の通電波形の通電開始から通電停止までの時間的中心と通電波形の電流有効面積の中心とのずれが修正されるように切り替えの直前に出力された何れか一方の制御信号に基づいて何れか他方の制御信号が補正される。これによって、切り替えが行なわれる直前の何れか一方の制御信号に基づくタイミングで整流手段が各コイルへ通電又は通電解除した際の本ブラシレスモータの出力と、切り替え後の何れか他方の制御信号に基づくタイミングで整流手段が各コイルへ通電又は通電解除した際の本ブラシレスモータの出力と、の乖離が是正され(すなわち、乖離が無くなるか或いは小さくなり)、このような乖離に起因するトルク変動やチャタリング等が防止若しくは低減される。
【0023】
なお、本発明は、特定の条件を満たした場合に、制御手段が出力していた何れか一方の制御信号に基づいて何れか他方の制御信号を補正して、何れか一方の制御信号から補正された何れか他方の制御信号に切り替えて出力する構成である。ここで、特定の条件を満たしていると制御手段が判定した直後に制御手段が上記の制御信号の切り替えを行なう構成であってよいのは勿論のこと、例えば、特定の条件を満たしていると制御手段が判定しても、この判定が所定回数連続するまでは、上記の制御信号の切り替えを行なわずに現状を保留し、この判定が所定回数連続した場合に制御手段が制御信号の切り替えを行なう構成としてもよい。
【0024】
このように、所定回数連続して特定の条件であると制御手段が判定してから制御信号の切り替えを行なう構成とした場合には、信号に含まれるノイズに起因する誤判定による制御信号の切り替えを防止でき、その結果、不用意な制御信号の切り替えによるトルク変動やチャタリング等を防止若しくは低減できる。
【0025】
また、本発明では特に言及していないが、回転子の回転位置のみならず、回転方向をも回転位置検出手段若しくは他の回転方向検出手段が検出する構成とし、回転子の回転方向も制御信号の切り替えを行なうための判断条件の1つとして付加してもよい。このように、回転子の回転方向を制御信号の切り替えを行なうための判断条件の1つとした場合には、例えば、何らかの外力が回転子に作用することで回転子が逆転し、この逆転を回転位置検出手段若しくは他の回転方向検出手段が検出した場合には、第1制御信号に基づいたタイミングで整流手段を制御する構成とする。これにより、回転子の回転制御が回転子の急激な回転数や回転方向の変化に的確に対応できる。
【0026】
請求項2記載のブラシレスモータは、請求項1記載の本発明において、各々が前記回転子の周囲に配置されて前記回転子を構成する前記永久磁石若しくは前記回転子に一体的に設けられた他の永久磁石の磁極を検出する複数の磁気センサを含めて前記回転位置検出手段を構成すると共に、前記複数の磁気センサの何れか1つの磁気センサから出力された検出信号に基づいて、所定の回転位置から前記回転子が1回転するまでの間で計数を行なうタイマ手段を含めて前記周期検出手段を構成し、前記周期検出信号を前記タイマ手段の計数値に基づく計数信号とした、ことを特徴としている。
【0027】
上記構成のブラスレスモータでは、回転位置検出手段を構成する複数の磁気センサが回転子の周囲に配置される。回転子が回転すると回転子を構成する永久磁石若しくはこの永久磁石とは別に回転子に一体的に設けられた他の永久磁石が回転し、複数の磁気センサと対向する永久磁石の磁極が変化する。磁気センサは、検出した磁極に対応した検出信号を出力し、この検出信号の組み合わせで回転子の回転位置が検出される。制御信号生成手段では、これらの磁気センサから出力された検出信号の組み合わせパターンに応じて第1制御信号が生成される。
【0028】
一方、上記の磁気センサは、回転する永久磁石の磁極を検出する構成であるため、永久磁石の磁極数(N極とS極の総計)が既知であれば、何れか1つの磁気センサから出力される検出信号の切り替わり数に基づいて、回転子が1回転したことを検出できる。本ブラシレスモータでは、周期検出手段を構成するタイマ手段を備えており、上記の何れか1つの磁気センサからの検出信号に基づいて回転子が所定の回転位置から1回転するまでの間で計数(カウント)を行ない、この計数値により回転子の周期が得られる(すなわち、タイマ手段での計数値に対応した計数信号が周期検出信号となる)。制御信号生成手段では、タイマ手段からの計数信号に基づいて第2制御信号が生成される。
【0029】
ここで、第1制御信号が各磁気センサからの検出信号のパターンに依存しているのに対して第2制御信号は回転子が1回転するまでの計数値に依存する。したがって、回転子の回転速度が変化する場合等においては第1制御信号でコイルに流れる電流を制御でき、比較的に回転子の速度変化が少ない場合等には第2制御信号によって、より一層細かな電流制御を行なえる。
【0030】
請求項3記載のブラシレスモータは、請求項2記載の本発明において、前記タイマ手段は計数の上限値を有し、前記タイマ手段による計数値が前記上限値以内である状態を前記特定の条件にすると共に、当該特定の条件を満たした場合に前記制御手段が出力する制御信号を前記第1制御信号から前記第2制御信号に切り替える、ことを特徴としている。
【0031】
上記構成のブラスレスモータでは、タイマ手段が計数の上限値を有しているため、例えば、タイマ手段での計数値が上限値に達しても回転子が1回転していなければ、この場合にタイマ手段から出力された計数信号に基づいて制御信号生成手段が第2制御信号を生成しても、この第2制御信号に基づいた整流手段での整流タイミング(すなわち、各コイルに対する通電又は通電解除のタイミング)は適切とは言えない。
【0032】
したがって、本ブラシレスモータでは、このように、タイマ手段での計数値が上限値に達しても回転子が1回転しない状態であれば、制御手段からは第1制御信号が出力される。
【0033】
一方、タイマ手段から出力された計数信号が、タイマ手段で計数できる上限値以下であれば、制御手段から出力される制御信号が第1制御信号から第2制御信号に切り替えられる。しかも、この切り替え時においては、上記のようにそれまで出力されていた第1制御信号に基づいて第2制御信号が補正されるため、トルク変動やチャタリング等を防止若しくは低減しつつ円滑に第2制御信号に基づいた整流に切り替えられる。
【0034】
請求項4記載のブラシレスモータは、請求項2又は請求項3記載の本発明において、前記計数信号に基づいて前記タイマ手段が正常に動作しているか否かを前記制御手段が判定し、前記タイマ手段が正常に動作していると前記制御手段が判定した状態を前記特定の条件にすると共に、当該特定の条件を満たした場合に前記制御手段が出力する制御信号を前記第1制御信号から前記第2制御信号に切り替える、ことを特徴としている。
【0035】
上記構成のブラスレスモータでは、タイマ手段から計数信号が出力されると、計数信号は制御信号生成手段に入力されて第2制御信号の生成に供されると共に、制御手段に入力されてタイマ手段が正常に動作しているか否かが判定される。
【0036】
ここで、例えば、タイマ手段の計数がオーバーフロー等を起こして正常に動作していないような場合にタイマ手段から出力された計数信号に基づいて制御信号生成手段が第2制御信号を生成しても、この第2制御信号に基づいた整流手段での整流タイミング(すなわち、各コイルに対する通電又は通電解除のタイミング)は適切とは言えない。
【0037】
したがって、本ブラシレスモータでは、このように、タイマ手段が正常に動作していないと制御手段が判定した場合には、制御手段からは第1制御信号が出力される。
【0038】
一方、タイマ手段が正常に動作していると制御手段が判定した場合には、制御手段から出力される制御信号が第1制御信号から第2制御信号に切り替えられる。しかも、この切り替え時においては、上記のようにそれまで出力されていた第1制御信号に基づいて第2制御信号が補正されるため、トルク変動やチャタリング等を防止若しくは低減しつつ円滑に第2制御信号に基づいた整流に切り替えられる。
【0039】
請求項5記載のブラシレスモータは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の本発明において、前記第1制御信号に基づいて前記複数相のコイルの各々に流れる電流の通電波形を、前記複数の磁気センサが検出した前記永久磁石の磁極の位置に基づいて通電状態若しくは通電解除状態となる方形波とし、前記第2制御信号に基づく前記通電波形を、前記回転子の位相で通電レベルが異なる台形波とした、ことを特徴としている。
【0040】
上記構成のブラスレスモータでは、制御手段から第1制御信号が出力されて、この第1制御信号に基づいて整流手段が各コイルに対して通電並びに通電解除を行なうと、このときに各コイルに流れる電流の通電波形は方形波となる。
【0041】
一方、制御手段から第2制御信号が出力されて、この第2制御信号に基づいて整流手段が各コイルに対して通電並びに通電解除を行なうと、このときに各コイルに流れる電流の通電波形は台形波となる。
【0042】
このように本ブラシレスモータでは、第1制御信号が出力された場合と第2制御信号が出力された場合とでは、各コイルでの通電波形が異なり、仮に、通電波形の通電レベルや整流タイミングが同じであれば、切り替え時において本ブラシレスモータの出力が変化する。
【0043】
しかしながら、本ブラシレスモータでは、上記のように第1制御信号及び第2制御信号の何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替えられる際には、切り替え直前に出力された何れか一方の制御信号に基づいて何れか他方の制御信号が補正されるため、切り替え時における出力変化等が防止若しくは軽減される。
【0044】
請求項6記載のブラシレスモータは、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の本発明において、前記周期検出信号に基づく入力信号と所定波形の参照波とを比較し、前記入力信号のレベルに応じてパルス幅が異なる前記第2制御信号を前記制御信号生成手段が生成すると共に、前記特定の条件を満たした場合に前記制御手段が出力する制御信号を前記第1制御信号から第2制御信号に切り替え、且つ、当該切り替え時に前記第1制御信号に基づいて前記第2制御信号のデューティ比を補正する、ことを特徴としている。
【0045】
上記構成のブラスレスモータでは、周期検出信号に基づく入力信号が制御信号生成手段に入力されると、この入力信号と三角波やのこぎり波等の所定波形の参照波とが比較され、入力信号のレベルに応じてパルス幅が異なるパルス信号が第2制御信号として生成される。したがって、基本的には、第2制御信号のパルス幅(デューティ比)に基づいたタイミングで整流手段が各コイルに対して通電又は通電解除を行なうため、比較的細かく整流タイミングを設定できる。
【0046】
ここで、本ブラシレスモータでは、上記の切り替えの際に、それまで出力されていた第1制御信号に基づいて切り替え後に出力される第2制御信号のデューティ比が補正される。
【0047】
このように、第2制御信号のデューティ比を補正することで、各コイルに流れる電流の通電波形の通電レベルが増減する。この通電レベルの増減により切り替え前と切り替え後における本ブラシレスモータの出力の乖離が是正され(すなわち、乖離が無くなるか或いは小さくなり)、このような乖離に起因するトルク変動やチャタリング等が防止若しくは低減される。
【0048】
請求項7記載のブラシレスモータは、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の本発明において、前記切り替え直前に出力された前記何れか一方の制御信号に基づいて前記制御手段が前記何れか他方の制御信号の位相を補正する、ことを特徴としている。
【0049】
上記構成のブラスレスモータでは、出力する制御信号を何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に制御手段が切り替える際に、制御手段では、切り替え直前に出力した何れか一方の制御信号に基づいて何れか他方の制御信号の位相が補正される。
【0050】
したがって、本ブラシレスモータでは、切り替えにより整流手段による通電開始及び通電解除のタイミングが変化することになるが、このようなタイミングの変化により、所謂「みかけ位相」の乖離が是正され、「みかけ位相」の乖離に起因するトルク変動やチャタリング等が防止若しくは低減される。
【0051】
請求項8記載の本発明は、通電状態で周囲に所定の磁界を形成する複数相のコイルを有する固定子と、永久磁石を有し、前記複数相のコイルが形成する磁界と前記永久磁石が形成する磁界との相互作用で生じる回転力で回転する回転子と、前記回転子の回転位置を検出し、検出した前記回転位置に基づいた位置検出信号を出力する回転位置検出手段と、前記回転子の周期を検出し、検出した前記周期に基づいた周期検出信号を出力する周期検出手段と、前記位置検出信号に基づいた所定波形の第1制御信号及び前記周期検出信号に基づき且つ前記第1制御信号とは異なる波形で、最終的に前記コイルが通電された際の通電波形が左右非対象の通電波形になる第2制御信号の双方を生成可能な制御信号生成手段と、前記第1制御信号及び前記第2制御信号の何れか一方の制御信号を出力すると共に、特定の条件を満たした場合に前記何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替えて出力する制御手段と、前記制御手段から出力された前記第1制御信号又は前記第2制御信号に基づいたタイミングで前記複数相のコイルの各々を通電し或いは通電解除する整流手段と、を備え、更に、前記制御手段が出力する制御信号を切り替える際に、前記制御手段は、出力していた前記何れか一方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形と、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形との乖離を小さくし、又は、当該乖離をなくすように前記何れか一方の制御信号に基づき前記何れか他方の制御信号を補正すると共に、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形の通電開始から通電停止までの時間的中心と前記通電波形の電流有効面積の中心とのずれを修正すべく前記切り替えの直前に出力された前記何れか一方の制御信号に基づいて前記何れか他方の制御信号を補正する、ことを特徴としている。
【0052】
上記構成のモータ制御装置では、整流手段が複数相のコイルに対して所定の通電波形で電流を流すと、コイルの周囲に所定の磁界が形成される。このコイルが形成する磁界と永久磁石が形成する磁界との相互作用で回転力が生じ、この回転力によって回転子が所定の速度で回転する。
【0053】
一方、回転する回転子の回転位置は、回転位置検出手段によって検出され、回転子の回転位置に対応した位置検出信号が回転位置検出手段から出力されると共に、回転する回転子の回転周期が周期検出手段に検出され、回転子の回転周期に対応した周期検出信号が周期検出手段から出力される。
【0054】
回転位置検出手段から出力された位置検出信号及び周期検出手段から出力された周期検出信号は制御手段に入力される。制御信号生成手段では、位置検出信号に基づいた第1制御信号の生成が可能であると共に、周期検出信号に基づいた第2制御信号の生成が可能である。
【0055】
制御信号生成手段で生成された第1制御信号及び第2制御信号の何れか一方の制御信号は、制御手段を介して出力される。制御手段から出力された何れか一方の制御信号は、整流手段に入力され、整流手段では入力された何れか一方の制御信号(すなわち、第1制御信号又は第2制御信号)に基づいたタイミングで上記の複数相のコイルの各々を通電状態又は通電解除状態にする。
【0056】
ところで、本モータ制御装置では、特定の条件を満たすと、制御手段では出力する制御信号を、それまでの何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替える。
【0057】
ここで、第1制御信号と第2制御信号とでは、互いに信号波形が異なるため、整流手段では第1制御信号が入力されるか第2制御信号が入力されるかで通電及び通電解除のタイミングが変わり、その結果、整流手段に第1制御信号が入力された場合と第2制御信号が入力された場合とでは、各コイルに流れる電流の通電波形が変わる。
【0058】
このように、各コイルに流れる電流の通電波形を変えることで、回転子の状態(例えば、回転子の回転速度)等に応じて、より一層適切なタイミングで各コイルに通電でき、異音の発生を抑制若しくは防止できたり、又は、消費電力を低減できたりする。
【0059】
ところで、上記のように、第1制御信号と第2制御信号とでは信号波形が異なり、その結果、整流手段に入力される信号が第1制御信号と第2制御信号とで通電波形が変わる。
【0060】
ここで、本モータ制御装置では、上記のように制御手段が出力する制御信号を切り替える場合には、第1制御信号に基づいてコイルが通電された際の通電波形と、第2制御信号に基づいてコイルが通電された際の左右非対称の通電波形との乖離が小さくなり、又は、このような乖離がなくなるようにそれまで出力していた何れか一方の制御信号に基づいて切り替え後に出力する何れか他方の制御信号の信号レベルや位相等が補正される。さらに、何れか他方の制御信号に基づいて整流手段がコイルを通電した際の通電波形の通電開始から通電停止までの時間的中心と通電波形の電流有効面積の中心とのずれが修正されるように切り替えの直前に出力された何れか一方の制御信号に基づいて何れか他方の制御信号が補正される。これによって、切り替えが行なわれる直前の何れか一方の制御信号に基づくタイミングで整流手段が各コイルへ通電又は通電解除した際の本モータ制御装置の出力と、切り替え後の何れか他方の制御信号に基づくタイミングで整流手段が各コイルへ通電又は通電解除した際の本モータ制御装置の出力と、の乖離が是正され(すなわち、乖離が無くなるか或いは小さくなり)、このような乖離に起因するトルク変動やチャタリング等が防止若しくは低減される。
【0061】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
(車載空調装置用ブラシレスモータ12の構成の概略)
図5には、本発明の第1の実施の形態に係るモータ制御装置10を備えた車載空調装置用のブラシレスモータ12を一部破断した正面断面図が示されている。
【0062】
この図に示されるように、本ブラシレスモータ12はハウジング14を備えており、その内側には駆動部16とモータ制御装置10の制御基板18が収容されている。
【0063】
ハウジング14は一端が開口した浅底の略箱状に形成されており、ハウジング14の開口端には略円筒形状の筒部34がハウジング14に対して一体的に設けられている。
【0064】
また、ハウジング14には略円筒形状の支持部36が設けられており、支持部36の外周部には固定子としてのステータ28が一体的に取り付けられている。ステータ28は、薄珪素鋼板等から成る複数枚のコア片を積層して形成されたコア26を備えており、更に、コア26には各々が巻線としての三相のコイル30U、30V、30Wから成るコイル群30(図1参照)が巻き掛けられている。これらのコイル30U〜30Wは、電気的な位相が120度ずれるように設けられており、これらのコイル30U〜30Wが所定のタイミングで交互に通電或いは通電解除されることにより、ステータ28の周囲に所定の回転磁界を形成する。
【0065】
一方、支持部36の内側には一対の軸受38が固定されており、これらの軸受38によってシャフト20が支持部36並びに筒部34に対して同軸的で且つ自らの軸周りに回転自在に支持されている。
【0066】
シャフト20の軸方向一端側は筒部34を貫通しており、その一端部若しくは一端部近傍にてシャフト20の回転力を受けて回動する図示しない空調装置本体に設けられた送風用のファンへ機械的に連結されている。
【0067】
また、シャフト20の筒部34から貫通した部分には回転子としてのロータ22が一体的に取り付けられている。ロータ22はハウジング14の開口方向とは反対方向へ向けて開口した筒部34並びに支持部36に対して同軸の有底筒形状に形成されており、ロータ22の上底部をシャフト20が貫通している。
【0068】
ロータ22の内周部には、永久磁石としての略円筒形状のマグネット24がロータ22に対して同軸的に固定されている。マグネット24はその軸心を介して半径方向一方の側はN極で他方の側がS極となるように形成されていると共に、自らの軸芯周りに所定角度(例えば、60度)毎に磁極の極性が変わるように形成され、その周囲に所定の磁界を形成する。
【0069】
マグネット24は支持部36の半径方向に沿ってステータ28の外側でステータ28と対向する如く設けられており、上述したコイル群30が通電されてステータ28の周囲に回転磁界が形成されると、この回転磁界とマグネット24が形成する磁界との相互作用で支持部36周りの回転力がマグネット24に生じ、これにより、シャフト20が回転する構成である。
【0070】
一方、図3に示されるように、ステータ28よりもハウジング14の底部側には制御基板18が配置されている。制御基板18は表面及び裏面の少なくとも何れか一方にプリント配線が施されており、複数の抵抗素子やトランジスタ素子、更にはマイクロコンピュータ等の素子が上記のプリント配線を介して適宜に接続されている。
【0071】
(モータ制御装置10の構成の概略)
次に、制御基板18の構成の概略、すなわち、本モータ制御装置10の構成の概略について、図1乃至図4に基づいて説明する。
【0072】
図1に示されるように、モータ制御装置10は、回転位置検出手段としての回転検出装置40を備えている。
【0073】
図5に示されるように、回転検出装置40は、センサマグネット42を備えている。センサマグネット42は、シャフト20の軸方向他端側にシャフト20に対して同軸的且つ一体的に固定されている。センサマグネット42もまた永久磁石で、その軸心周りに所定角度(例えば、60度)毎にN極とS極とが交互に位置する多極磁石とされており、その周囲に特定の磁界を形成する。
【0074】
図1に示されるように、このセンサマグネット42の側方には、周期検出手段を構成し、且つ、センサマグネット42と共に回転検出装置40を構成するホールIC素子44Uと、センサマグネット42と共に回転検出装置40を構成するホールIC素子44V、44Wと、が設けられている。
【0075】
これらのホールIC素子44U〜44Wは、センサマグネット42の半径方向外側でセンサマグネット42の軸心周りに120度毎に設けられており、各々の位置でセンサマグネット42の磁界を構成する磁力線を検出する。
【0076】
一方、モータ制御装置10を構成する制御基板18には、速度指令回路46、電源スタンバイ回路48、速度制御演算部50、プリドライバ回路52、整流手段としての三相インバータ54、及び昇圧回路56が設けられている。
【0077】
速度指令回路46は、フィルタ回路や増幅回路等の各種回路、或いは、これらの回路を含めた構成と同等の機能を有するICチップやマイコン等により構成されており、例えば、車両のインパネ等に設けられた空調装置のON/OFF用や風量の切り替え用として用いられる1乃至複数の操作スイッチ58からの操作信号が入力される。
【0078】
電源スタンバイ回路48は、速度指令回路46と後述する速度制御演算部50の間に介在しており、空調装置の停止状態にあっても電源60から空調装置へ流れる微弱な電流を制御して抑制している。
【0079】
速度制御演算部50は、CPU62、ROM64、RAM66、タイマ手段としてのタイマ68等を含めて構成されたマイコンで、構造的には1乃至複数の集積回路により構成されており、機能的にはコンパレータ回路(比較回路)、増幅回路、乗算回路等の各種演算回路により構成されている。
【0080】
ここで、図3及び図4には、速度制御演算部50を構成するCPU62を機能的な面からみたブロック図が示されている。なお、これらの図において各部は、あくまでも、CPU62での各処理を機能別に捉えてみた場合のものであって、実際には、結果的に各部の機能に対応した処理を行なう比較回路や積算回路等の各種演算回路等により構成される。
【0081】
図3に示されるように、CPU62は、速度比較部70を備えている。速度比較部70には、上述した速度指令回路46から出力された速度指令信号Vが電源スタンバイ回路48を介して入力される。
【0082】
また、速度比較部70は、RAM66やROM64に接続されていると共に、上述したホールIC素子44U〜44Wに接続されており、ホールIC素子44U〜44Wの各々から出力された位置検出信号D1、D2、D3が入力される。
【0083】
さらに、速度比較部70は、ホールIC素子44U〜44Wからの位置検出信号D1〜D3のパターン(組み合わせ)に基づいてセンサマグネット42の回転位置を判定する。また、速度比較部70は、センサマグネット42の回転位置、すなわち、実際のロータ22の回転位置と、速度指令回路46からの速度指令信号Vに基づく設定上でのロータ22の回転位置とを比較して、この設定値と実際の回転位置との偏差を求め、この偏差に対応する信号を出力する。
【0084】
制御信号生成手段を構成する制御信号生成部74は、速度比較部70から出力された上記の偏差に対応する信号に基づいて第1制御信号としての一定のデューティ比を有するパルス信号P1を生成する。このパルス信号P1は制御手段を構成する出力制御部76を介してプリドライバ回路52に入力される。
【0085】
図2に示されるように、プリドライバ回路52は三相インバータ54を構成する電界効果トランジスタ(以下、「MOSFET」と称する)78U、78V、78W、80U、80V、80Wの各ゲート端子に接続されており、出力制御部76を介して制御信号生成部74から出力されたパルス信号P1に基づいてスイッチング信号S1を生成し、このスイッチング信号をMOSFET78U〜78W、80U〜80Wの各ゲート端子に出力する。
【0086】
従来から周知のようにMOSFET78U〜78W、80U〜80Wは「LOW」レベルのスイッチング信号がゲート端子に入力された状態では「OFF」状態で基本的に電源60からの電流がドレイン端子からソース端子へ流れることはないが、「HIGH」レベルのスイッチング信号S1がゲート端子に入力されることで「ON」状態となり電源60からの電流がドレイン端子からソース端子へ流れる。
【0087】
これらのMOSFET78U〜78W、80U〜80Wのうち、MOSFET78Uのソース端子及びMOSFET80Uのドレイン端子はコイル30Uの端子へ接続されている。また、MOSFET78Vのソース端子及びMOSFET80Vのドレイン端子はコイル30Vの端子へ接続されており、MOSFET78Wのソース端子及びMOSFET80Wのドレイン端子はコイル30Wの端子へ接続されている。
【0088】
なお、昇圧回路56は、プリドライバ回路52へ接続された回路で、MOSFET78U〜78Wへ送るスイッチング信号S1の電圧レベルを、電源60の電圧レベルよりも高くする。
【0089】
一方、図4に示されるように、速度制御演算部50を構成するCPU62は、周期演算部82を備えている。周期演算部82は、RAM66やROM64に接続されていると共に、タイマ68及びホールIC素子44Uに接続されている。
【0090】
上述したように、ホールIC素子44Uは、センサマグネット42の磁気を検出することで、対向するセンサマグネット42の極性(N極又はS極)を検出している。ここで、センサマグネット42は、その周方向に沿ってN極とS極とが交互に位置するように形成されているため、センサマグネット42が1回転する間には、センサマグネット42が有する極数(N極とS極の総数)分だけホールIC素子44Uで検出する極性が切り替わる。したがって、ホールIC素子44Uがセンサマグネット42の極数分だけ検出する極性が切り替わったことで、センサマグネット42が1回転したこと、すなわち、ロータ22が1回転したことを検出できる。
【0091】
周期演算部82では、ホールIC素子44Uからの特定の極性に対応した位置検出信号D1が入力されたと同時にタイマ68にカウント(計数)を開始させるい。また、周期演算部82は、ホールIC素子44Uからの信号に基づいてセンサマグネット42が1回転したことを検出するまでタイマ68にカウント(計数)を行なわせ、センサマグネット42が1回転するまでに要するカウント数(計数値)Nからセンサマグネット42の周期、すなわち、ロータ22の回転周期Tを算出する。さらに、周期演算部82では、この回転周期Tを、例えば、6の整数倍に分割した分割値Tnを設定する。
【0092】
周期演算部82にて設定された分割値Tnは、入力信号生成部84に入力される。入力信号生成部84は、速度指令回路46から出力された速度指令信号Vに基づくブラシレスモータ12の設定上での回転周期Tsと、分割値Tn基づく実際の回転周期Tとの偏差を求め、この偏差に基づいた入力信号Mを生成して出力する。
【0093】
入力信号生成部84から出力された入力信号Mは、制御手段を構成する補正演算部86を介して比較部88へ入力される。比較部88は、入力信号生成部84からの入力信号Mと三角波生成部90から出力された参照波としての三角波Trとを比較し、この比較結果に基づいて制御信号生成手段を構成するPWM信号生成部92が第2制御信号としてのPWM信号P2を生成する。
【0094】
ここで、PWM信号生成部92で生成されたPWM信号P2は、制御信号生成部74で生成されるパルス信号P1とは生成の基準や過程が異なるため、パルス信号P1とは波形(パルス幅のデューティ比)が異なる。PWM信号生成部92は出力制御部76を介して生成したPWM信号P2を出力する。出力されたPWM信号P2はプリドライバ回路52に入力される。
【0095】
プリドライバ回路52では、入力されたPWM信号P2に基づいてスイッチング信号S2を生成し、このスイッチング信号をMOSFET78U〜78W、80U〜80Wの各ゲート端子に出力する。
【0096】
一方、図3及び図4に示されるように、CPU62は、制御手段を構成する判定部94を備えている。判定部94はタイマ68に接続されており、タイマ68でのカウント数Nをモニタしている。タイマ68は、一定のカウント数Nsが上限値とされており、それ以上はオーバーフロー状態となりカウントができない。判定部94では、タイマ68がオーバーフロー状態を含む異常状態となっているか否かを判定し、その判定結果に基づく判定信号Jを出力制御部76に出力する。
【0097】
出力制御部76では、判定部94からの信号に基づいて、入力されたパルス信号P1及びPWM信号P2の何れか一方を出力し、何れか他方をキャンセルする。
【0098】
また、図3に示されるように、出力制御部76は、制御信号生成部74と出力制御部76との間に介在する制御手段を構成する信号補正部72に接続されていると共に、図4に示されるように、入力信号生成部84と比較部88との間に介在する補正演算部86に接続されており、出力制御部76から出力された信号(すなわち、パルス信号P1又はPWM信号P2)が入力される。
【0099】
信号補正部72では、パルス信号P1が入力されるとパルス信号P1をキャンセルするが、PWM信号P2が入力されると、PWM信号P2を適宜に変換して制御信号生成部74で生成されたパルス信号P1の信号レベルと比較し、この比較結果に基づいてパルス信号P1のデューティ比を増減して増減後のパルス信号P1を出力制御部76に出力する。
【0100】
一方、補正演算部86では、PWM信号P2が入力されるとPWM信号P2をキャンセルするが、パルス信号P1が入力されると、パルス信号P1を適宜に変換して入力信号生成部84で生成された入力信号の信号レベルと比較し、この比較結果に基づいて入力信号の信号レベルを増減して増減後の入力信号を比較部88に入力する。
【0101】
<本実施の形態の作用、効果>
(基本的な動作の概略)
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0102】
本モータ制御装置10では、空調装置のON/OFF若しくは風量切り替えのために操作スイッチ58が操作されると、操作スイッチ58から所定電圧の操作信号が速度指令回路46に入力される。
【0103】
速度指令回路46に入力された操作信号は速度指令回路46で速度制御演算部50のCPU62にて比較等が行ないうる設定値としての速度指令信号Vに変換された後、電源スタンバイ回路48を介して速度制御演算部50へ送られる。
【0104】
速度制御演算部50を構成するCPU62の速度比較部70に入力された速度指令信号Vに基づいて制御信号生成部74で一定のパルス幅を有するパルス信号P1が生成され、出力制御部76を介してプリドライバ回路52へ出力される。
【0105】
プリドライバ回路52では、昇圧回路56と共にパルス信号P1の信号レベル及びパルス幅に基づいて各MOSFET78U〜78W、80U〜80Wの各々をON/OFFしうるパルス状のスイッチング信号S1が生成され、このスイッチング信号S1が三相インバータ54の各MOSFET78U〜78W、80U〜80Wのゲート端子へ送られる。
【0106】
上述したように、MOSFET78U〜78W、80U〜80Wの各々は受けたスイッチング信号S1が「LOW」レベルであれば、OFF状態となって基本的にドレイン端子からソース端子への電源60からの電流を遮断し、「HIGH」レベルであれば、ON状態となって電源60からの電流がドレイン端子からソース端子へ流れることを許容する。
【0107】
ここで、スイッチング信号S1は上記のパルス信号P1に基づいて生成される。このため、MOSFET78U〜78Wの何れかとMOSFET80U〜80Wの何れかとが交互にON状態となり、これにより、図6に示されるように、通電波形が方形波となるように整流された電流がコイル30U〜30Wに流れる。
【0108】
このようにしてコイル30U〜30Wの周囲に所定の磁界が形成され、コイル30U〜30Wが形成する磁界とマグネット24が形成する磁界との相互作用によってマグネット24が回転し、更に、マグネット24と一体のシャフト20が回転する。上述したように、シャフト20はハウジング14の外側で空調装置のファンに連結されているため、シャフト20が回転することでファンが回転し、これにより、空調装置から送風される。
【0109】
一方、シャフト20が回転することでセンサマグネット42が共に回転する。上記のようにセンサマグネット42は多極磁石を形成しており、その周囲に特定の磁界を形成しているが、センサマグネット42が回転することで、センサマグネット42の周囲に対するセンサマグネット42の磁界が変動する。
【0110】
センサマグネット42の周囲における磁界の変動は、センサマグネット42の周囲における各回転位置での磁力線の強度変化となる。センサマグネット42が形成する磁界の磁力線は、センサマグネット42の周囲に配置されたホールIC素子44U〜44Wにより検出される。ホールIC素子44U〜44Wの各々からは、検出した磁力線の強度に基づいて各々に対向するセンサマグネット42の極性に応じた信号レベルの位置検出信号D1〜D3が出力される。
【0111】
速度制御演算部50を構成するCPU62の速度比較部70では、各ホールIC素子44U〜44Wから出力された位置検出信号D1〜D3に基づいた実際のロータ22の回転位置Cと、速度指令信号Vに基づく設定上でのロータ22の回転位置Csとが比較されて偏差dCがとられる。制御信号生成部74では、この偏差dCに基づいたパルス信号P1が生成される。
一方、ホールIC素子44U〜44Wのうち、ホールIC素子44Uからの位置検出信号D1は、周期演算部82にも入力される。周期演算部82では、例えば、センサマグネット42のN極若しくはS極をホールIC素子44Uが検出した際の検出信号が入力されると、タイマ68を作動させてカウント(計数)を開始させる。
【0112】
この状態から、センサマグネット42の極数(N極とS極の総数)に対応したホールIC素子44Uからの検出信号の切り替わったことを周期演算部82が検出すると、周期演算部82では、この状態でのタイマ68のカウント数Nからセンサマグネット42の回転周期、すなわち、ロータ22の回転周期Tが算出され、更に、算出した回転周期Tを、例えば、6の整数倍の数値に等分割した分割値Tnが設定される。
【0113】
次いで、入力信号生成部84では、周期演算部82で設定された分割値Tnに基づくロータ22の実際の回転周期Tと、上述した速度指令信号Vに基づく設定上での回転周期Tsとが比較されて偏差dTがとられ、更に、この偏差dTに基づいて所定波形の入力信号Mが生成される。入力信号生成部84で生成された入力信号Mは、補正演算部86を介して比較部88へ入力されて、三角波生成部90で生成された参照波としての三角波Trと比較される。これにより、PWM信号P2が生成される。
【0114】
ここで、入力信号Mは基本的に上記の分割値Tnに基づいて生成される。しかも、分割値Tnは回転周期Tを6の整数倍に等分割した値である。これらの分割値Tnのうち、回転周期Tを6つに等分割した分割値T1、T2、T3、T4、T5、T6は、基本的に、位置検出信号D1、S2、S3での信号レベルの切り替わりに対応する。したがって、分割値T1〜T6に基づいて各コイル30U〜30Wに対する通電開始及び通電停止のタイミングを設定することで、パルス信号P1と同様のタイミングで各コイル30U〜30Wに対して通電を開始し、又は停止できる。
【0115】
しかしながら、分割値Tnは、回転周期Tを6の整数倍に分割した値であるため、例えば、回転周期Tを6つに等分割した分割値T1〜T6の各々の間が更に等分割される。入力信号生成部84では、分割値T1〜T6の各々の間を更に等分割した分割値Tn毎に入力信号Mの信号レベルを設定する。
【0116】
このようにして、分割値T1〜T6及び各々の中間における分割値を含む分割値Tn毎に信号レベルが設定された入力信号Mに基づいて生成されたPWM信号P2が出力制御部76から出力されると、PWM信号P2はプリドライバ回路52に入力される。プリドライバ回路52では、昇圧回路56と共にPWM信号P2の信号レベル及びパルス幅に基づいて各MOSFET78U〜78W、80U〜80Wの各々をON/OFFしうるパルス状のスイッチング信号S2が生成され、このスイッチング信号S2が三相インバータ54の各MOSFET78U〜78W、80U〜80Wのゲート端子へ送られる。
【0117】
ここで、上記のパルス信号P1は、単純にロータ22の回転位置にのみ基づいた信号であるため、基本的には、各コイル30U〜30Wに対する通電開始と通電停止のタイミングしか制御ができない。このため、パルス信号P1に基づいたスイッチング信号によって各コイル30U〜30Wが通電された場合には、上記のように、通電波形が方形波となる。
【0118】
これに対して、PWM信号P2は、上記のように、分割値T1〜T6及び各々の中間における分割値を含む分割値Tn毎に信号レベルが設定された入力信号Mに基づいて生成される。このため、各コイル30U〜30Wの通電タイミングを更に細分化した制御が行なわれる。これにより、図7及び図8に示されるように、本実施の形態では、PWM信号P2に基づいた各コイル30U〜30Wの通電波形は、単純な方形波ではなく、通電開始時と通電停止時において通電レベルが漸次増減する左右対称の台形波や正弦波等の任意の形状の波形(本実施の形態では、左右対称の台形波)となる。これにより、第1制御信号としてのパルス信号P1に基づくことで通電波形が方形波になった場合に比べて、トルクリプルが少なくなり、より一層円滑にロータ22を回転させることができる。
【0119】
一方、上記のように、比較部88で生成されたPWM信号P2は、出力制御部76に入力される。ここで、出力制御部76では、上記の判定部94からの判定信号Jが入力される。
【0120】
判定部94では、タイマ68からのカウント(計数)信号Nが入力される。上記のように、タイマ68は一定の上限値Nsを超えたカウント(計数)が基本的にできない構成となっているため、仮に、ロータ22の回転周期Tがタイマ68の上限値Nsを超えるような場合(すなわち、タイマ68の上限値Nsを超えてもロータ22が1回転しない場合)には、判定部94からの判定信号Jに基づいて出力制御部76でPWM信号P2がキャンセルされてパルス信号P1がプリドライバ回路52に入力される。
【0121】
一方、ロータ22の回転周期Tがタイマ68の上限値Nsを以下である場合(すなわち、ロータ22が1回転した状態でのタイマ68でのカウント数Nが上限値Nsを超えない場合)には、判定部94からの判定信号Jに基づいて出力制御部76でパルス信号P1がキャンセルされてPWM信号P2がプリドライバ回路52に入力される。
【0122】
このように、本実施の形態では、パルス信号P1とPWM信号P2の2種類の制御信号が生成されるが、プリドライバ回路52に入力される制御信号は、パルス信号P1とPWM信号P2の何れか一方の制御信号である。このため、波形が異なる2種類の制御信号(すなわち、パルス信号P1とPWM信号P2)が混在して出力されることはない。
【0123】
また、上記のように、PWM信号P2に基づいたスイッチング信号S2での通電波形は台形波等の任意波形となり、基本的にはPWM信号P2に基づいて各コイル30U〜30Wを通電する方が、トルクリプルは少なく円滑にロータ22を回転させることができ好ましい。但し、回転周期Tの算出の基準となるタイマ68でのカウント数Nが上限値Nsを超えても、ロータ22が1回転していないような場合には、タイマ68でのカウント数Nからは正確な回転周期Tが算出できない。しかしながら、本実施の形態では、このようにタイマ68でのカウント数Nから正確な回転周期Tが算出できない場合等には、PWM信号P2をキャンセルしてパルス信号P1に基づいて各コイル30U〜30Wを通電するため、適切な通電タイミングで通電できる。
【0124】
ところで、本実施の形態では、上記のように、タイマ68でのカウント数Nに応じて出力制御部76から出力する制御信号(すなわち、パルス信号P1及びPWM信号P2)を適宜に切り替える。
【0125】
ここで、本実施の形態では、出力制御部76から出力する制御信号をパルス信号P1からPWM信号P2に切り替える際には、入力信号生成部84から出力された入力信号Mの信号レベルが、補正演算部86おいて、その直前に出力制御部76から出力されたパルス信号P1のデューティ比に応じて補正される。このため、切り替え直後の補正された入力信号Mに基づくPWM信号P2は、そのデューティ比が補正されることになり、結果的に、スイッチング信号S2のデューティ比が補正される。
【0126】
これにより、各コイル30U〜30Wでの通電波形の信号レベルのピーク値が補正演算部86で補正しない場合に比べて小さくなる(図9参照)。このため、上記の補正が行なわれない場合に比べて、PWM信号P2に基づいたスイッチング信号S2でコイル30U〜30Wが通電された際の出力と、その直前に出力制御部76から出力されたパルス信号P1に基づいて生成されたスイッチング信号S1により方形波の通電波形で通電された場合での出力と、の乖離が小さくなるか、或いは、乖離が無くなる。これにより、出力差に起因するチャタリングやトルク変動等が軽減若しくは防止される。
【0127】
一方、出力制御部76から出力する制御信号をPWM信号P2からパルス信号P1に切り替える際には、制御信号生成部74から出力されたパルス信号P1のデューティ比が、信号補正部72おいてその直前に出力制御部76から出力されたPWM信号P2のデューティ比に応じて補正される。したがって、切り替え直後にはスイッチング信号S1のデューティ比が補正され、これにより、各コイル30U〜30Wでの通電波形の信号レベルのピーク値が信号補正部72で補正しない場合に比べて大きくなる(図10参照)。
【0128】
このため、上記の補正が行なわれない場合に比べて、パルス信号P1に基づいたスイッチング信号S1でコイル30U〜30Wが通電された際の出力と、その直前に出力制御部76から出力されたPWM信号P2に基づいて生成されたスイッチング信号S2により台形波の通電波形で通電された場合での出力と、の乖離が小さくなるか、或いは、乖離が無くなる。これにより、出力差に起因するチャタリングやトルク変動等が軽減若しくは防止される。
【0129】
このように、本実施の形態では、タイマ68でのカウント数Nに応じて適宜に出力する制御信号(すなわち、パルス信号P1又はPWM信号P2)を切り替えるが、切り替えに伴い生ずる前後の出力波形(通電波形)の差異が補正されることで、チャタリングやトルク変動が防止されるため、ブラシレスモータ12の作動時における異音等の発生を効果的に軽減若しくは防止でき、円滑にロータ22を回転させることができる。
【0130】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本第2の実施の形態を説明するにあたり、前記第1の実施の形態と実質的に且つ機能的に同一の部位に関しては、前記第1の実施の形態と同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0131】
図11及び図12に示されるように、本実施の形態に係るモータ制御装置110のCPU62は、前記第1の実施の形態に係るモータ制御装置10のCPU62とは異なり、入力信号生成部84、信号補正部72、及び補正演算部86を備えておらず、代わりに入力信号生成部112及び各々が制御手段を構成する信号補正部114と補正演算部116を備えている。
【0132】
入力信号生成部112は基本的に入力信号生成部84と同様に入力信号Mの生成が主な機能である。しかしながら、入力信号生成部112で生成する入力信号Mは、入力信号生成部84で生成する入力信号Mとは波形が異なる。
【0133】
このため、入力信号生成部112で生成された入力信号Mに基づくPWM信号P2は、入力信号生成部84で生成された入力信号Mに基づくPWM信号P2とはデューティ比が異なる。これにより、入力信号生成部112で生成された入力信号Mに基づいてPWM信号P2を生成し、更に、このPWM信号P2に基づいてスイッチング信号S2を生成して各コイル30U〜30Wを通電すると、通電波形は前記第1の実施の形態とは異なり左右非対称の台形波になる。
【0134】
一方、信号補正部114及び補正演算部116は、前記第1の実施の形態における信号補正部72及び補正演算部86と同様の機能の他に、パルス信号P1又は入力信号Mの位相をずらす機能を有する。
【0135】
すなわち、信号補正部114では、出力制御部76から出力されたPWM信号P2のデューティ比に応じて制御信号生成部74から出力されたパルス信号P1のデューティ比を補正して、図13に示されるように、前記第1の実施の形態と同様に最終的な通電波形の出力レベルを補正すると共に、位相(通電タイミング)をdT分だけ補正する。
一方、補正演算部116では、出力制御部76から出力されたパルス信号P1のデューティ比に応じて入力信号生成部112から出力された入力信号Mの信号レベルと発生タイミングの双方を補正する。これにより、入力信号Mと三角波Trに基づいて生成されるPWM信号2のデューティ比が補正される。その結果、図14に示されるように、前記第1の実施の形態と同様に最終的な通電波形の出力レベルが補正されると共に、更に、位相(通電タイミング)がdT分だけ補正される。
【0136】
このように、本実施の形態では、信号補正部114及び補正演算部116が前記第1の実施の形態における信号補正部72及び補正演算部86と同様の機能を有しているため、基本的には前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0137】
ところで、本実施の形態では、上記のように、PWM信号P2に基づいた最終的な通電波形が左右非対称の台形波であるため、通電開始時と通電停止時との間の時間的中心と、電流有効面積の中心とがずれる。
【0138】
ここで、本実施の形態では、上記のように、出力制御部76から出力される制御信号(すなわち、パルス信号P1及びPWM信号P2)が切り替わる際に、切り替わる直前の制御信号(すなわち、パルス信号P1及びPWM信号P2の何れか一方)に基づいて切り替わり直後に出力制御部76から出力する制御信号(すなわち、パルス信号P1及びPWM信号P2の何れか他方)のデューティ比が補正され、最終的な通電波形の位相(通電タイミング)がdT分だけ補正される。このため、位相のずれに起因する制御信号の切り替え直前と切り替え直後のトルク変動が効果的に抑制若しくは防止される。これにより、トルク変動に伴う異音の発生等を軽減若しくは防止できると共に、ロータ22の回転を安定させることができる。
【0139】
なお、上記の各実施の形態では、出力制御部76から出力される制御信号がパルス信号P1からPWM信号P2が切り替わる条件を、ロータ22の回転周期がタイマ68でのカウント数の上限値Nsを超えていないこと条件とした。ここで、この条件を単純にクリアした場合に、出力制御部76から出力される制御信号がパルス信号P1からPWM信号P2に切り替えてもよいが、例えば、複数周期だけ制御信号の切り替えを保留して、その間に連続して上記の条件をクリアした場合にのみ出力制御部76から出力される制御信号がパルス信号P1からPWM信号P2に切り替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るブラシレスモータ(モータ制御装置)の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るブラシレスモータ(モータ制御装置)の整流手段の構成の概略を示す図である。
【図3】第1制御信号(パルス信号)の生成機能を中心にみたCPUの構成の概略を示すブロック図である。
【図4】第2制御信号(PWM信号)の生成機能を中心にみたCPUの構成の概略を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るブラシレスモータの概略的な正面断面図である。
【図6】回転位置検出手段からの位置検出信号と、第1制御信号(パルス信号)に基づくコイルへの通電波形の関係を示す概略的なタイムチャートである。
【図7】周期検出手段からの周期検出信号と、第2制御信号(PWM信号)に基づくコイルへの通電波形の関係を示す概略的なタイムチャートである。
【図8】図7の一部を拡大したタイムチャートである。
【図9】第1制御信号に基づく通電波形、補正前の第2制御信号に基づく通電波形、補正後の第2制御信号に基づく通電波形の関係を示すタイムチャートである。
【図10】第2制御信号に基づく通電波形、補正前の第1制御信号に基づく通電波形、補正後の第1制御信号に基づく通電波形の関係を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るブラシレスモータ(モータ制御装置)の構成の概略を示す図3に対応したブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るブラシレスモータ(モータ制御装置)の構成の概略を示す図4に対応したブロック図である。
【図13】第1制御信号に基づく通電波形、補正前の第2制御信号に基づく通電波形、補正後の第2制御信号に基づく通電波形の関係を示すタイムチャートである。
【図14】第2制御信号に基づく通電波形、補正前の第1制御信号に基づく通電波形、補正後の第1制御信号に基づく通電波形の関係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10・・・モータ制御装置、12・・・ブラシレスモータ(モータ)、22・・・ロータ(回転子)、24・・・マグネット(永久磁石)、28・・・ステータ(固定子)、30U、30V、30W・・・コイル、40・・・回転検出装置(回転位置検出手段)、44U・・・ホールIC素子(回転位置検出手段、周期検出手段)、54・・・三相インバータ(整流手段)、68・・・タイマ(タイマ手段)、72・・・信号補正部(制御手段)、74・・・制御信号生成部(制御信号生成手段)、76・・・出力制御部(制御手段)、86・・・補正演算部(制御手段)、92・・・PWM信号生成部(制御信号生成手段)、94・・・判定部(制御手段)、110・・・モータ制御装置、114・・・信号補正部(制御手段)、116・・・補正演算部(制御手段)
Claims (8)
- 通電状態で周囲に所定の磁界を形成する複数相のコイルを有する固定子と、
永久磁石を有し、前記複数相のコイルが形成する磁界と前記永久磁石が形成する磁界との相互作用で生じる回転力で回転する回転子と、
前記回転子の回転位置を検出し、検出した前記回転位置に基づいた位置検出信号を出力する回転位置検出手段と、
前記回転子の周期を検出し、検出した前記周期に基づいた周期検出信号を出力する周期検出手段と、
前記位置検出信号に基づいた所定波形の第1制御信号及び前記周期検出信号に基づき且つ前記第1制御信号とは異なる波形で、最終的に前記コイルが通電された際の通電波形が左右非対象の通電波形になる第2制御信号の双方を生成可能な制御信号生成手段と、
前記第1制御信号及び前記第2制御信号の何れか一方の制御信号を出力すると共に、特定の条件を満たした場合に前記何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替えて出力する制御手段と、
前記制御手段から出力された前記第1制御信号又は前記第2制御信号に基づいたタイミングで前記複数相のコイルの各々を通電し或いは通電解除する整流手段と、
を備え、更に、前記制御手段が出力する制御信号を切り替える際に、前記制御手段は、出力していた前記何れか一方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形と、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形との乖離を小さくし、又は、当該乖離をなくすように前記何れか一方の制御信号に基づき前記何れか他方の制御信号を補正すると共に、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形の通電開始から通電停止までの時間的中心と前記通電波形の電流有効面積の中心とのずれを修正すべく前記切り替えの直前に出力された前記何れか一方の制御信号に基づいて前記何れか他方の制御信号を補正する、
ことを特徴とするブラシレスモータ。 - 各々が前記回転子の周囲に配置されて前記回転子を構成する前記永久磁石若しくは前記回転子に一体的に設けられた他の永久磁石の磁極を検出する複数の磁気センサを含めて前記回転位置検出手段を構成すると共に、
前記複数の磁気センサの何れか1つの磁気センサから出力された検出信号に基づいて、所定の回転位置から前記回転子が1回転するまでの間で計数を行なうタイマ手段を含めて前記周期検出手段を構成し、前記周期検出信号を前記タイマ手段の計数値に基づく計数信号とした、
ことを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータ。 - 前記タイマ手段は計数の上限値を有し、前記タイマ手段による計数値が前記上限値以内である状態を前記特定の条件にすると共に、
当該特定の条件を満たした場合に前記制御手段が出力する制御信号を前記第1制御信号から前記第2制御信号に切り替える、
ことを特徴とする請求項2記載のブラシレスモータ。 - 前記計数信号に基づいて前記タイマ手段が正常に動作しているか否かを前記制御手段が判定し、前記タイマ手段が正常に動作していると前記制御手段が判定した状態を前記特定の条件にすると共に、
当該特定の条件を満たした場合に前記制御手段が出力する制御信号を前記第1制御信号から前記第2制御信号に切り替える、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のブラシレスモータ。 - 前記第1制御信号に基づいて前記複数相のコイルの各々に流れる電流の通電波形を、前記複数の磁気センサが検出した前記永久磁石の磁極の位置に基づいて通電状態若しくは通電解除状態となる方形波とし、
前記第2制御信号に基づく前記通電波形を、前記回転子の位相で通電レベルが異なる台形波とした、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のブラシレスモータ。 - 前記周期検出信号に基づく入力信号と所定波形の参照波とを比較し、前記入力信号のレベルに応じてパルス幅が異なる前記第2制御信号を前記制御信号生成手段が生成すると共に、前記特定の条件を満たした場合に前記制御手段が出力する制御信号を前記第1制御信号から第2制御信号に切り替え、且つ、当該切り替え時に前記第1制御信号に基づいて前記第2制御信号のデューティ比を補正する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のブラシレスモータ。 - 前記切り替え直前に出力された前記何れか一方の制御信号に基づいて前記制御手段が前記何れか他方の制御信号の位相を補正する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のブラシレスモータ。 - 複数相のコイルに電流が流れることで形成される磁界と永久磁石が形成する磁界との相互作用で生じる回転力により回転子が回転するモータを制御するためのモータ制御装置であって、
前記回転子の回転位置を検出し、検出した前記回転位置に基づいた位置検出信号を出力する回転位置検出手段と、
前記回転子の周期を検出し、検出した前記周期に基づいた周期検出信号を出力する周期検出手段と、
前記位置検出信号に基づいた所定波形の第1制御信号及び前記周期検出信号に基づき且つ前記第1制御信号とは異なる波形で、最終的に前記コイルが通電された際の通電波形が左右非対象の通電波形になる第2制御信号の双方を生成可能な制御信号生成手段と、
前記第1制御信号及び前記第2制御信号の何れか一方の制御信号を出力すると共に、特定の条件を満たした場合に前記何れか一方の制御信号から何れか他方の制御信号に切り替えて出力する制御手段と、
前記制御手段から出力された前記第1制御信号又は前記第2制御信号に基づいたタイミングで前記複数相のコイルの各々を通電し或いは通電解除する整流手段と、
を備え、更に、前記制御手段が出力する制御信号を切り替える際に、前記制御手段は、出力していた前記何れか一方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形と、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形との乖離を小さくし、又は、当該乖離をなくすように前記何れか一方の制御信号に基づき前記何れか他方の制御信号を補正すると共に、前記何れか他方の制御信号に基づいて前記コイルが通電された際の通電波形の通電開始から通電停止までの時間的中心と前記通電波形の電流有効面積の中心とのずれを修正すべく前記切り替えの直前に出力された前記何れか一方の制御信号に基づいて前記何れか他方の制御信号を補正する、
ことを特徴とするモータ制御装置。
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