JP3853813B2 - 信号処理方法、信号処理回路及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
本発明は、信号処理方法、信号処理回路及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する信号処理方法及び信号処理回路、並びに該信号処理回路を備える光ディスク装置に関する。
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどのユーザデータを記録するための媒体として、CD(compact disc)や、CDの約7倍相当のデータをCDと同じ直径のディスクに記録可能としたDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクをデータ記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
一般的に、CD−R、DVD−R及びDVD+R(DVD+recordable)等の追記型光ディスクや、CD−RW、DVD−RW及びDVD+RW(DVD+rewritable)等の書き換え可能型光ディスクでは、蛇行(ウォブリング)したトラックが記録面に形成されている。この蛇行は部分的に所定の方式で変調されており、その変調部には情報が付加されている(例えば特許文献1参照)。例えばDVD+R及びDVD+RW(以下、便宜上「DVD+系」ともいう)では、位相変調方式によってアドレス情報などが上記変調部に付加されている。
そこで、DVD+系に対応した光ディスク装置では、例えばユーザデータを記録する際に、光源から出射されトラックで反射した戻り光束からトラックの蛇行形状に対応した信号、いわゆるウォブル信号を検出し、該ウォブル信号からクロック信号などを生成するとともに、該クロック信号に同期してウォブル信号を位相復調し、前記アドレス情報を取得している。そして、そのアドレス情報及びクロック信号などに基づいて記録位置の制御を行なっている。なお、ウォブル信号を位相復調する回路を備えた種々の装置が提案されている(例えば、特許文献2〜特許文献6参照)。
最近、光ディスク装置を小型化するために、ウォブル信号を位相復調する回路(以下便宜上、「位相復調回路」ともいう)を含む複数の回路を集積し、LSI化(1チップ化)することが精力的に行なわれている。LSIでは、アナログ信号を処理する部分(アナログ信号処理部)とデジタル信号を処理する部分(デジタル信号処理部)とが明確に分離されており、位相復調回路はデジタル信号処理部に配置されている。この場合には、アナログ信号であるウォブル信号は、AD変換器でデジタル信号に変換された後、位相復調回路に供給されることとなる。例えばAD変換器でのサンプリング回数がウォブル信号の1周期につき16回とすると、光ディスクの回転速度が1倍速の場合には、ウォブル信号の1周期は約1.22μ秒であり、AD変換器では約75n秒毎にサンプリングが行なわれる。
ところで、光ディスクの普及に伴い、光ディスクへの記録速度の高速化に対する要求が高くなってきている。しかしながら、今後記録速度が更に高速化され、例えば光ディスクの回転速度が16倍速になると、ウォブル信号の1周期は約76.5n秒となり、上記AD変換器では約4.78n秒毎にサンプリングを行なわなければならない。この条件を満足させるためには、高速度で動作するAD変換器が必要となり、コストの上昇を招くおそれがある。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、高コスト化を招くことなく、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を高速で精度良く復調することを可能とする信号処理方法及び信号処理回路を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高コスト化を招くことなく、光ディスクへの記録を高速度で行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、蛇行したトラックが形成された光ディスクの記録面からの反射光に基づいて取得され、所定の基本周期を有する搬送波部と所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する信号処理方法であって、前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する工程と;前記前半部分の積分結果及び前記後半部分の積分結果をそれぞれ少なくとも1つのデジタル値に変換する工程と;を含む信号処理方法である。
これによれば、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号は、基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分され、前半部分の積分結果及び後半部分の積分結果はそれぞれ少なくとも1つのデジタル値に変換される。この場合には、例えば基本周期毎に2回のサンプリングを行なうことによってデジタル信号を生成することができるため、デジタル信号に変換するときのサンプリング回数を従来よりも減らすことが可能となる。従って、従来と同等の汎用部品を用いて高速記録に対応することができる。すなわち、高コスト化を招くことなく、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を高速で精度良く復調することが可能となる。
この場合において、請求項2に記載の信号処理方法の如く、前記積分する工程では、前記積分が前記光ディスクの回転速度に応じた積分速度で行なわれることとすることができる。
上記請求項1及び2に記載の各信号処理方法において、請求項3に記載の信号処理方法の如く、前記積分する工程では、前記積分が前記基本周期における位相に応じた積分速度で行なわれることとすることができる。
請求項4に記載の発明は、蛇行したトラックが形成された光ディスクの記録面からの反射光に基づいて取得され、所定の基本周期を有する搬送波部と所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する信号処理回路であって、前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分し、前記前半部分の積分結果に関する情報と前記後半部分の積分結果に関する情報とが含まれる積分信号を生成する積分信号生成回路と;前記積分信号に含まれる前記前半部分の積分結果及び前記後半部分の積分結果をそれぞれ少なくとも1つのデジタル値に変換する変換回路と;を備える信号処理回路である。
これによれば、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号は、積分信号生成回路により、基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分され、前半部分の積分結果に関する情報と後半部分の積分結果に関する情報とが含まれる積分信号が生成される。そして、変換回路により、積分信号に含まれる前半部分の積分結果及び後半部分の積分結果がそれぞれ少なくとも1つのデジタル値に変換される。この場合には、変換回路では、例えば基本周期毎に2回のサンプリングが行われることとなり、デジタル信号に変換するときのサンプリング回数を従来よりも減らすことが可能となる。そこで、例えば変換回路に従来と同等の汎用部品を用いても、高速記録においてウォブル信号の復調精度を高く維持することが可能となる。すなわち、高コスト化を招くことなく、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を高速で精度良く復調することが可能となる。
この場合において、請求項5に記載の信号処理回路の如く、前記積分信号生成回路は、前記基本周期の前半部分に対応して前記ウォブル信号を積分する第1の積分回路と;前記基本周期の後半部分に対応して前記ウォブル信号を積分する第2の積分回路と;前記基本周期の前半部分に同期して前記第1の積分回路の出力信号を選択し、前記基本周期の後半部分に同期して前記第2の積分回路の出力信号を選択する選択回路と;を有することとすることができる。
この場合において、請求項6に記載の信号処理回路の如く、前記積分信号生成回路は、前記第1の積分回路の出力段に配置され、前記第1の積分回路の出力信号におけるピークレベル近傍のサンプリング及びホールドを行なう第1のサンプルホールド回路と;前記第2の積分回路の出力段に配置され、前記第2の積分回路の出力信号におけるピークレベル近傍のサンプリング及びホールドを行なう第2のサンプルホールド回路と;を更に有することとすることができる。なお、積分回路の出力信号がマイナスレベルの場合には、最低値がピークレベルとなる。
上記請求項4〜6に記載の各信号処理回路において、請求項7に記載の信号処理回路の如く、前記積分信号生成回路における前記積分の積分速度を、前記基本周期における位相に応じて調整する積分速度調整回路を更に備えることとすることができる。
請求項8に記載の発明は、蛇行したトラックが形成された記録面を有する光ディスクに対して、データの記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう光ディスク装置であって、前記光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する請求項4〜7のいずれか一項に記載の信号処理回路と;前記信号処理回路の出力信号に基づいて記録位置を決定し、前記光ディスクにデータを記録するデータ記録手段と;を備える光ディスク装置。
これによれば、請求項4〜7のいずれか一項に記載の信号処理回路にてウォブル信号が復調に適したデジタル情報に変換されるため、記録速度が高速であっても信号処理回路の出力信号に基づいて位置情報を正しく取得することが可能となる。従って、データ記録手段では、記録位置を精度良く決定することができ、結果として記録品質に優れた記録を高速度で行うことが可能となる。
この場合において、請求項9に記載の光ディスク装置の如く、前記積分信号生成回路における前記積分の積分速度を、前記光ディスクの回転速度に応じて設定する積分速度設定手段を更に備えることとすることができる。
上記請求項8及び9に記載の各光ディスク装置において、請求項10に記載の光ディスク装置の如く、前記光ディスクはDVD+RあるいはDVD+RWの規格に準拠した光ディスクであることとすることができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
この図1に示される光ディスク装置20は、シークモータ21、スピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ26、PUドライバ27、再生信号処理回路28、モータコントローラ29、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。なお、本実施形態では、一例としてDVD+Rの規格に準拠した情報記録媒体が光ディスク15に用いられるものとする。
光ディスク15の記録面には、スパイラル状の案内溝としてのグルーブ(Gとする)が形成されている。一般に光ディスクでは、レーザ光の入射方向からみたときに、凸形状となる部分をグルーブG、凹形状となる部分をランド(Lとする)と呼んでいる。そして、ここでは、グルーブGが情報記録用のトラックであり、グルーブGにデータが記録される。また、グルーブGは、一例として図2に示されるように、蛇行(ウォブリング)している。
DVD+Rの規格によると、トラックの蛇行形状はADIPユニットと搬送波とによって決定される。このADIPユニットには種々の情報が含まれている。また、搬送波は記録用の基準クロック信号や位相復調用のタイミングクロック信号などを生成するのに用いられる。本実施形態では、搬送波とADIPユニットとから構成される基本単位を情報フレームと呼ぶこととする。また、情報フレームにおける搬送波の部分を搬送波部と呼ぶこととする。1つの情報フレームの大きさは、搬送波の周期(基本周期)(以下「ウォブル周期」ともいう)を1ウォブルとすると、図3に示されるように93ウォブル(ウォブル番号Nw=0〜92)である。そして、ウォブル番号Nw=0〜7がADIPユニット(位相変調波部)、ウォブル番号Nw=8〜92が搬送波部である。データが記録される領域であるデータ・ゾーンにおけるADIPユニットは、同期情報が含まれている領域(以下「同期情報部」という)とアドレス情報が含まれている領域(以下「ADIP情報部」という)とから構成されている。そして、ウォブル番号0〜3が同期情報部、ウォブル番号4〜7がADIP情報部である。すなわち、同期情報部の大きさは4ウォブル、ADIP情報部の大きさは4ウォブルである。上記各情報部はそれぞれ位相変調(PSK:Phase Shift Keying)されている。
上記ADIP情報部は、4ウォブルで1ビットのデータを表している。データが「0」のときは、図4(A)に示されるように、前方の2ウォブルが搬送波部と同位相とされ、後方の2ウォブルが搬送波部と逆位相とされる。一方、データが「1」のときは、図4(B)に示されるように、前方の2ウォブルが搬送波部と逆位相とされ、後方の2ウォブルが搬送波部と同位相とされる。なお、アドレスデータを得るには51ビットのデータが必要である。
前記同期情報部は、次に続く情報フレームにおけるADIP情報部にデータの先頭ビットが格納されているときには、図5(A)に示されるようにワード同期(word sync)情報、すなわち4ウォブル全てが搬送波部と逆位相とされる。また、ADIP情報部にデータが格納されているときには、図5(B)に示されるようにビット同期(bit sync)情報、すなわち先頭の1ウォブルが搬送波部と逆位相とされ、残りの3ウォブルが搬送波部と同位相とされる。従って、図6に示されるように、52個の情報フレームから1つのアドレスデータが得られる。
前記シークモータ21は、スレッジ方向(図7ではZ軸方向)に光ピックアップ装置23を駆動するためのモータである。前記スピンドルモータ22は、光ディスク15を回転駆動するためのモータである。
前記光ピックアップ装置23は、トラックが形成された光ディスク15の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図7に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、検出レンズ58、受光器PD、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータ(いずれも図示省略))などを備えている。
前記光源ユニット51は、波長が約660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザLDを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射されるレーザ光の光束の最大強度出射方向を+X方向とする。
前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52で略平行光とされた光束をそのまま透過させる。また、このビームスプリッタ54は、光ディスク15の記録面で反射され、前記対物レンズ60を介して入射する光束(戻り光束)を−Z方向に分岐する。
前記対物レンズ60は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した光束を光ディスク15の記録面に集光する。
前記検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記受光器PDの受光面に集光する。
受光器PDの受光面は、図8に示されるように、トラック(点線で図示されている)の接線方向に対応する方向Dtan(図8における紙面上下方向)の分割線DL1によって分割され、さらにトラックの接線方向に直交する方向に対応する方向Drad(図8における紙面左右方向)の分割線DL2によって分割されている。すなわち、受光器PDの受光面は、4つの受光領域(PDa、PDb、PDc、PDd)に分割されている。前記受光領域PDaは分割線DL1の図8における紙面左側で、かつ分割線DL2の図8における紙面上側に位置している。前記受光領域PDbは前記受光領域PDaの図8における紙面右側に位置している。前記受光領域PDcは前記受光領域PDbの図8における紙面下側に位置している。前記受光領域PDdは前記受光領域PDaの図8における紙面下側に位置している。そして、各受光領域からは、それぞれ受光量に応じた信号が再生信号処理回路28に出力される。なお、受光器PDはその受光面のほぼ中央で戻り光束RBを受光するように配置されている。
前記フォーカシングアクチュエータ(図示省略)は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向(ここではX軸方向)に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。
前記トラッキングアクチュエータ(図示省略)は、トラックの接線方向に直交する方向であるトラッキング方向(ここではZ軸方向)に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。
前記再生信号処理回路28は、図9に示されるように、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d、デコーダ28e、クロック信号生成回路28f、信号処理回路としての復調信号生成回路28g、及びアドレス復号回路28hなどから構成されている。なお、図9における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
上記I/Vアンプ28aは、受光器PDからの電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。ここでは、一例として図10に示されるように、I/Vアンプ部28aは、受光領域PDaからの電流信号を電圧信号(信号Saとする)に変換・増幅する変換部a1と、受光領域PDbからの電流信号を電圧信号(信号Sbとする)に変換・増幅する変換部a2と、受光領域PDcからの電流信号を電圧信号(信号Scとする)(第1の光電変換信号)に変換・増幅する変換部a3と、受光領域PDdからの電流信号を電圧信号(信号Sdとする)(第2の光電変換信号)に変換・増幅する変換部a4とを有している。
図9に戻り、前記サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ここでは、フォーカスエラー信号は(信号Sa+信号Sb)と(信号Sc+信号Sd)の差信号に基づいて検出される。また、トラックエラー信号は(信号Sa+信号Sd)と(信号Sb+信号Sc)の差信号に基づいて検出される。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。
前記RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてRF信号(Srfとする)を検出する。ここでは、RF信号Srfは(信号Sa+信号Sb+信号Sc+信号Sd)に基づいて検出される。ここで検出されたRF信号Srfは、デコーダ28eに出力される。
前記デコーダ28eは、RF信号Srfに対して復号処理及び誤り検出処理等を行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、RF信号Srfにはアドレスデータが含まれており、デコーダ28eは、RF信号から抽出したアドレスデータをCPU40に出力する。
前記ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号(Swbとする)を検出する。ここで検出されたウォブル信号Swbは、クロック信号生成回路28f、及び復調信号生成回路28gに出力される。このウォブル信号検出回路28cは、一例として図11に示されるように、2つの加算回路(c1,c2)、2つのAGCアンプ(c3,c4)、及び減算回路c5などを有している。加算回路c1はI/Vアンプ28aの出力信号SaとSdとの加算信号を生成する。加算回路c2はI/Vアンプ28aの出力信号SbとScとの加算信号を生成する。AGCアンプc3は加算回路c1の出力信号のレベル調整を行う。AGCアンプc4は加算回路c2の出力信号のレベル調整を行う。これによりAGCアンプc3の出力信号Sc3に含まれるノイズ成分とAGCアンプc4の出力信号Sc4に含まれるノイズ成分とは、ほぼ同じレベルとなる。減算回路c5は、AGCアンプc3の出力信号Sc3とAGCアンプc4の出力信号Sc4との差信号を生成し、ウォブル信号Swbとして出力する。
前記クロック生成回路28fは、ウォブル信号Swbに基づいて基準クロック信号(Wckとする)及びタイミングクロック信号Stimを生成する。このクロック生成回路28fは、一例として図12に示されるように、バンドパスフィルタ(BPF)f1、2値化回路f2、及びPLL(Phase Locked Loop)回路f3を備えている。バンドパスフィルタf1はウォブル信号Swbから搬送波成分を抽出する。2値化回路f2はバンドパスフィルタf1の出力信号を2値化する。PLL回路f3は2値化回路f2の出力信号に同期した基準クロック信号Wck及びタイミングクロック信号Stimを生成する。ここで生成された基準クロック信号Wckは、エンコーダ25及びモータコントローラ29などに出力される。また、タイミングクロック信号Stimは、復調信号生成回路28gに出力される。なお、基準クロック信号Wckの周期は搬送波の周期(Twとする)の1/32である。また、タイミングクロック信号Stimの周期は搬送波の周期と同じである。
前記復調信号生成回路28gは、クロック生成回路28fからのタイミングクロック信号Stimに基づいてウォブル信号Swbを位相復調し、復調信号を生成する。ここで生成された復調信号はアドレス復号回路28hに出力される。この復調信号生成回路28gは、一例として図13に示されるように、ハイパスフィルタ(HPF)g1、ローパスフィルタ(LPF)g2、2つの積分回路(g3,g4)、マルチプレクサ(MUX)g5、AD変換器g6、乗算器g7、2つのタイミング信号生成回路(g8,g9)、及び矩形波生成回路g10を有している。
上記ハイパスフィルタg1は、ウォブル信号Swbに含まれる低周波ノイズ成分を低減する。なお、低周波ノイズの要因としては、フォーカス制御及びトラッキング制御におけるサーボずれ、光ディスクの基板厚のばらつき、隣接するトラックからのクロストーク(不要な信号の漏れ:crosstalk)などがある。
前記ローパスフィルタg2は、ハイパスフィルタ回路g1の出力信号に含まれる高周波ノイズ成分を低減する。従って、ローパスフィルタ回路g2の出力信号Sg2は、ウォブル信号Swbに含まれる低周波ノイズと高周波ノイズとがそれぞれ低減された信号となる(図14のSg2参照)。なお、高周波ノイズの要因としては、RF信号の重畳、光源ユニット51から出射される光束のパワー変動、回路で発生するノイズ、半導体レーザLDで発生するノイズなどがある。
前記タイミング信号生成回路g8は、タイミングクロック信号Stimに基づいて、積分タイミング信号Sint1、リセット信号Sclr1、積分タイミング信号Sint2、リセット信号Sclr2、及び選択信号Sselなどを生成する。なお、本実施形態では便宜上、図14に示されるように、タイミングクロック信号Stimにおけるウォブル周期Twのスタートに対応する位相をP0、P0から1/4周期の位相をP1、P1から1/4周期の位相をP2、P2から1/4周期の位相をP3とする。
上記積分タイミング信号Sint1は、第1の積分回路としての積分回路g3に積分タイミングを指示する信号である。この積分タイミング信号Sint1は、一例として図14に示されるように、P0近傍のタイミングで0(ローレベル)から1(ハイレベル)に変化し、P2近傍のタイミングで1から0に変化するパルス信号である。そして、パルス中央の位相はP1とほぼ一致するように設定されている。なお、積分タイミング信号Sint1のパルス幅は、(Tw/2)×0.7程度である。ここで生成された積分タイミング信号Sint1は積分回路g3に出力される。
前記リセット信号Sclr1は、積分回路g3にリセットを指示する信号である。このリセット信号Sclr1は、一例として図14に示されるように、P3と次のP0との間で0から1及び1から0に変化するパルス信号である。なお、リセット信号Sclr1のパルスは、AD変換器g6でのサンプリングタイミングの変動を考慮して、可能な限り次周期のP0に近いことが好ましい。ここで生成されたリセット信号Sclr1は積分回路g3に出力される。
前記積分タイミング信号Sint2は、第2の積分回路としての積分回路g4に積分タイミングを指示する信号である。この積分タイミング信号Sint2は、一例として図14に示されるように、P2近傍のタイミングで0から1に変化し、次のP0近傍のタイミングで1から0に変化するパルス信号である。また、パルス中央の位相はP3とほぼ一致するように設定されている。なお、積分タイミング信号Sint2のパルス幅は、(Tw/2)×0.7程度である。ここで生成された積分タイミング信号Sint2は積分回路g4に出力される。
前記リセット信号Sclr2は、積分回路g4にリセットを指示する信号である。このリセット信号Sclr2は、一例として図14に示されるように、P1とP2との間の位相で0から1及び1から0に変化するパルス信号である。なお、リセット信号Sclr2のパルスは、AD変換器g6でのサンプリングタイミングの変動を考慮して、可能な限りP2に近いことが好ましい。ここで生成されたリセット信号Sclr2は積分回路g4に出力される。
前記選択信号Sselは、マルチプレクサg5の出力信号として、積分回路g3の出力信号Sg3及び積分回路g4の出力信号Sg4の一方を指示する選択信号Sselを生成する。この選択信号Sselは、一例として図15に示されるように、リセット信号Sclr2が0から1に変化するタイミングで0から1に変化し、リセット信号Sclr1が0から1に変化するタイミングで1から0に変化するパルス信号である。ここで生成された選択信号Sselはマルチプレクサg5に出力される。
前記積分回路g3は、前記積分タイミング信号Sint1に同期してウォブル周期の前半部分(P0〜P2)に対応するローパスフィルタg2の出力信号Sg2を積分する(図15のSg3参照)。積分回路g3からの信号Sg3はマルチプレクサg5に出力される。本実施形態では、積分回路g3は、積分タイミング信号Sint1の立上がりタイミングに同期して積分を開始し、立下がりタイミングに同期して積分を停止するように設定されている。また、積分回路g3での積分速度は、一例として図16に示されるように、光ディスク15の回転速度に応じてCPU40から設定される。具体的には、積分速度に対応する設定値が積分回路g3の所定のレジスタにセットされる。また、積分回路g3は、前記リセット信号Sclr1の立上がりタイミングに同期して積分値をリセットするように設定されている。
前記積分回路g4は、前記積分タイミング信号Sint2に同期してウォブル周期の後半部分(P2〜P0)に対応するローパスフィルタg2の出力信号Sg2を積分する(図15のSg4参照)。積分回路g4からの信号Sg4はマルチプレクサg5に出力される。本実施形態では、積分回路g4は、積分タイミング信号Sint2の立上がりタイミングに同期して積分を開始し、立下がりタイミングに同期して積分を停止するように設定されている。また、積分回路g4での積分速度は、上記積分回路g3と同様に、光ディスク15の回転速度に応じてCPU40から設定される。具体的には、積分速度に対応する設定値が積分回路g4の所定のレジスタにセットされる。また、積分回路g4は、前記リセット信号Sclr2の立上がりタイミングに同期して積分値をリセットするように設定されている。従って、積分回路g3と積分回路g4は、互いに同じ積分動作を1/2周期ずらして行うこととなる。
前記マルチプレクサg5は、前記選択信号Sselに基づいて積分回路g3の出力信号Sg3及び積分回路g4の出力信号Sg4のいずれか一方を選択し、信号Sg5としてAD変換器g6に出力する(図15のSg5参照)。このマルチプレクサg5は、一例として選択信号Sselが1のときに積分回路g3の出力信号Sg3を選択し、0のときに積分回路g4の出力信号Sg4を選択するように設定されている。
前記タイミング信号生成回路g9は、クロック生成回路28fからのタイミングクロック信号Stimに基づいて、AD変換器g6にサンプリングを指示するサンプリング信号Sg9を生成する。ここでは、サンプリング信号Sg9は、積分タイミング信号Sint1の立下りタイミングとリセット信号Sclr1の立上がりタイミングとの間、及び積分タイミング信号Sint2の立下りタイミングとリセット信号Sclr2の立上がりタイミングとの間で、0から1に変化するパルス信号である(図15のSg9参照)。ここで生成されたサンプリング信号Sg9はAD変換器g6に出力される。
前記AD変換器g6は、上記サンプリング信号Sg9に同期してマルチプレクサg5の信号Sg5をサンプリングし、そのときのアナログ値をデジタル値に変換する。該デジタル値はデジタル信号Sg6として乗算器g7に出力される。ここでは、AD変換器g6は、一例としてサンプリング信号Sg9の立上がりタイミングに同期して信号Sg5をサンプリングするように設定されている。すなわち、1ウォブル周期毎に2回(積分回路g3の出力信号Sg3に対して1回、積分回路g4の出力信号Sg4に対して1回)サンプリングされることとなる。従って、例えば光ディスク15の回転速度が16倍速の場合には、約38.25n秒毎にサンプリングが行なわれる。
前記矩形波生成回路g10は、クロック生成回路28fからのタイミングクロック信号Stimに基づいて、タイミングクロック信号Stimと同じ周波数の矩形波信号Sg10を生成する(図15の信号Sg10参照)。ここで生成された矩形波信号Sg10は乗算器g7に出力される。
前記乗算器g7は、AD変換器g6の出力信号Sg6と上記矩形波信号Sg10との乗算信号を生成する。乗算器g7の出力信号Sg7は、信号Sg6と信号Sg10とが同位相の場合には正の信号となり、信号Sg6と信号Sg10とが逆位相の場合には負の信号となる(図15の信号Sg7参照)。乗算器g7で生成された乗算信号は復調信号Sg7としてアドレス復号回路28hに出力される。
図9に戻り、前記アドレス復号回路28hは、復調信号Sg7における同期情報部に対応する部分(以下、便宜上「同期情報信号」ともいう)を監視し、同期情報信号を検知すると、ADIP情報部に対応する部分(以下、便宜上「ADIP情報信号」ともいう)を抽出する。アドレス復号回路28hは抽出したADIP情報信号が所定量(ここでは、51ビット分)に達すると各ADIP情報信号からアドレスデータを復号する。ここで復号されたアドレスデータは、アドレス信号SadとしてCPU40に出力される。
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、サーボ信号検出回路28bからのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成するとともに、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号は、サーボオンのときにモータドライバ27に出力され、サーボオフのときには出力されない。サーボオン及びサーボオフはCPU40によって設定される。
前記PUドライバ27は、上記フォーカス制御信号に対応する前記フォーカシングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力し、上記トラッキング制御信号に対応する前記トラッキングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。すなわち、サーボ信号検出回路28b、サーボコントローラ33及びPUドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
前記モータコントローラ29は、CPU40の指示に基づいて、前記スピンドルモータ22の回転を制御するための回転制御信号を生成するとともに、前記シークモータ21の駆動を制御するためのシーク制御信号を生成する。また、このモータコントローラ29は、基準クロック信号Wck及び後述するFG信号に基づいて回転制御信号を調整する。ここで生成された各制御信号はモータドライバ26に出力される。
前記モータドライバ26は、上記回転制御信号に対応した駆動信号をスピンドルモータ22に出力し、上記シーク制御信号に対応した駆動信号をシークモータ21に出力する。なお、このモータドライバ26は、スピンドルモータ22の回転周波数に応じた周期のパルス信号を上記FG信号としてモータコントローラ29に出力する。
前記バッファRAM34は、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納されるバッファ領域と、各種プログラム変数などが格納される変数領域とを有している。
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理する。そして、バッファRAM34のバッファ領域に蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データ変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号は、前記基準クロック信号Wckとともにレーザコントロール回路24に出力される。ここでは、一例として、エンコーダ25、再生信号処理回路28、バッファマネージャ37及びインターフェース38は、1つのLSIに集積されている。
前記レーザコントロール回路24は、光ディスク15に照射されるレーザ光のパワーを制御する。例えば記録の際には、記録条件、半導体レーザLDの発光特性、エンコーダ25からの書き込み信号及び基準クロック信号Wckなどに基づいて半導体レーザLDの駆動信号が生成される。
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
前記フラッシュメモリ39はプログラム領域とデータ領域とを備えており、プログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。一方、データ領域には、半導体レーザLDの発光特性に関する情報、光ピックアップ装置23のシーク動作に関する情報(以下「シーク情報」ともいう)、及び記録条件などが格納されている。
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをバッファRAM34の変数領域及びRAM41に保存する。
《記録処理》
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図17を用いて簡単に説明する。図17のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図17のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図17を用いて簡単に説明する。図17のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図17のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
最初のステップ501では、スピンドルモータ22が記録速度に応じて回転するようにモータコントローラ29に指示するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、ホストから受信したデータ(記録用データ)のバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
次のステップ502では、光ディスク15の回転速度に基づいて各積分回路での積分速度を決定し、その積分速度に対応する設定値を各積分回路のレジスタ(不図示)にそれぞれセットする。これにより、ウォブル信号Swbは前述の如く復調信号生成回路28gで復調され、アドレス信号Sadがアドレス復号回路28hを介してCPU40に随時出力されることとなる。
次のステップ503では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如く、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
次のステップ505では、記録速度に基づいてOPC(Optimum Power Control)を行い、最適な記録パワーを取得する。すなわち、記録パワーを段階的に変化させつつ、PCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に所定のデータを試し書きした後、それらのデータを順次再生し、例えばRF信号から検出されたアシンメトリの値が予め実験等で求めた目標値とほぼ一致する場合を最も高い記録品質であると判断し、そのときの記録パワーを最適な記録パワーとする。
次のステップ507では、アドレス復号回路28hからのアドレス信号Sadに基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ509では、現在のアドレスと記録要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ511では、アドレス差に基づいてシークが必要であるか否かを判断する。ここでは、前記シーク情報の一つとしてフラッシュメモリ39に格納されている閾値を参照し、アドレス差が閾値を越えていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ513に移行する。
このステップ513では、シークモータ21の駆動をモータコントローラ29に指示する。これにより、シークモータ21が駆動し、アドレス差が小さくなるようにシーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ507に戻る。
以下、アドレス差が閾値以下になるまで、上記ステップ507〜513のループ処理を繰り返し行う。
前記ステップ511において、アドレス差が閾値以下であれば、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
このステップ515では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ517に移行する。
このステップ517では、、アドレス復号回路28hからのアドレス信号Sadに基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ515に戻る。
以下、前記ステップ515での判断が肯定されるまで、ステップ515、517のループ処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ515での判断は肯定され、ステップ519に移行する。
このステップ519では、エンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、記録用データは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。記録用データがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
《再生処理》
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図18を用いて説明する。図18のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図18のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図18を用いて説明する。図18のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図18のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
最初のステップ701では、スピンドルモータ22が再生速度に応じて回転するようにモータコントローラ29に指示するとともに、ホストから再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
次のステップ703では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。また、トラックのアドレスデータはRF信号に基づいて随時デコーダ28eからCPU40に出力される。
次のステップ705では、、デコーダ28eからのアドレスデータに基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ707では、現在のアドレスと再生要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ709では、前記ステップ511と同様にして、シークが必要であるか否かを判断する。シークが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ711に移行する。
このステップ711では、シークモータ21の駆動をモータコントローラ29に指示する。これにより、シークモータ21が駆動し、アドレス差が小さくなるようにシーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ705に戻る。
以下、アドレス差が閾値以下になるまで、上記ステップ705〜711のループ処理を繰り返し行う。
前記ステップ709において、アドレス差が閾値以下であれば、ここでの判断は否定され、ステップ713に移行する。
このステップ713では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ715に移行する。
このステップ715では、デコーダ28eからのアドレスデータに基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ713に戻る。
以下、前記ステップ713での判断が肯定されるまで、ステップ713、715のループ処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ713での判断は肯定され、ステップ717に移行する。
このステップ717では、再生信号処理回路28に読み取りを指示する。これにより、前述した如く再生信号処理回路28にて再生データが取得され、バッファRAM34に格納される。この再生データはセクタ単位でバッファマネージャ37及びインターフェース38を介してホストに転送される。そして、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、光ピックアップ装置23と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、データ記録手段が実現されている。また、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、積分速度設定手段が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した各手段の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良い。
また、タイミング信号生成回路g8と各積分回路とマルチプレクサg5とによって積分信号生成回路が実現され、タイミング信号生成回路g9とAD変換器g6とによって変換回路が実現されている。
そして、タイミング信号生成回路g8と各積分回路とマルチプレクサg5での処理動作によって、本発明に係る信号処理方法の積分する工程が実施され、タイミング信号生成回路g9とAD変換器g6での処理動作によって、本発明に係る信号処理方法の変換する工程が実施されている。
以上説明したように、本実施形態によると、光ディスク15の記録面からの反射光に基づいて得られたウォブル信号Swbは、ハイパスフィルタg1によって低周波ノイズが低減され、ローパスフィルタg2によって高周波ノイズが低減された後、積分タイミング信号Sint1に同期して基本周期の前半部分が積分回路g3(第1の積分回路)で積分され、積分タイミング信号Sint2に同期して基本周期の後半部分が積分回路g4(第2の積分回路)で積分される。そして、マルチプレクサg5にて前半部分の積分結果に関する情報と後半部分の積分結果に関する情報とが含まれる信号Sg5(積分信号)が生成され、AD変換器g6により、積分信号Sg5に含まれる前半部分の積分結果に対応する1つのデジタル値と後半部分の積分結果に対応する1つのデジタル値とに基づいてデジタル信号Sg6が生成される。さらに、乗算器g7によりデジタル信号Sg6と矩形波信号Sg10との乗算信号が生成され、復調信号Sg7として出力される。すなわち、AD変換器g6では、ウォブル周期毎に2回のサンプリングを行なうことによってデジタル信号を生成することができるため、デジタル信号に変換するときのサンプリング回数を従来よりも大幅に減らすことが可能となる。そこで、例えばAD変換器として従来と同等の汎用部品を用いても、高速記録においてウォブル信号の復調精度を高く維持することができる。すなわち、高コスト化を招くことなく、光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を高速で精度良く復調することが可能となる。
また、本実施形態によると、光ディスク15の回転速度に応じて各積分回路での積分速度を設定しているため、マルチプレクサg5の出力信号Sg5に含まれるウォブル成分を増加することができる。これにより、ウォブル信号の復調精度を向上させることができる。
また、本実施形態によると、前記復調信号生成回路28gにてウォブル信号が精度良く位相復調されるため、前記アドレス復号回路28hではアドレス情報を精度良く取得することができる。従って、記録位置を精度良く決定することができ、結果として記録品質に優れた記録を高速度で行うことが可能となる。
なお、上記実施形態において、図19に示されるように、積分回路g3の出力段に第1のサンプルホールド回路としてのサンプルホールド(S/H)回路g11を配置し、積分回路g4の出力段に第2のサンプルホールド回路としてのサンプルホールド(S/H)回路g12を配置しても良い。このサンプルホールド回路g11は、サンプルホールド信号Ssh1に同期し、積分回路g3における積分停止直後にサンプリングを開始し、積分回路g3の積分値がクリアされる直前にホールドするように設定されている。一方、サンプルホールド回路g12は、サンプルホールド信号Ssh2に同期し、積分回路g4における積分停止直後にサンプリングを開始し、積分回路g4の積分値がクリアされる直前にホールドするように設定される。ここで、例えば各サンプルホールド回路がサンプルホールド信号の立上がりタイミングでサンプリングを開始し、立下りタイミングでホールドする場合には、一例として図20に示されるように、サンプルホールド信号Ssh1は、前記積分タイミング信号Sint1の立下りタイミング直後に0から1に変化し、前記クリア信号Sclr1の立上がりタイミング直前に1から0に変化するパルス信号となる。また、サンプルホールド信号Ssh2は、前記積分タイミング信号Sint2の立下りタイミング直後に0から1に変化し、前記クリア信号Sclr2の立上がりタイミング直前に1から0に変化するパルス信号となる。各サンプルホールド信号はそれぞれ前記タイミング信号生成回路g8にて前記タイミングクロック信号Stimに基づいて生成することができる。
この場合には、前記マルチプレクサg5は、一例として図21に示されるように、前記選択信号Sselに応じてサンプルホールド回路g11の出力信号Sg11及びサンプルホールド回路g12の出力信号Sg12のいずれか一方を選択し、信号Sg5としてAD変換器g6に出力する。そして、上記実施形態と同様に、前記AD変換器g6及び前記乗算器g7を介して復調信号Sg7が生成される。
前記各積分回路の出力段にサンプルホールド回路がそれぞれ配置された場合の前記マルチプレクサg5の出力信号Sg5(図22(A)参照)は、サンプルホールド回路が配置されていない場合の前記マルチプレクサg5の出力信号Sg5(図22(B)参照)に比べて平坦な信号レベル領域が広くなるため、前記AD変換器g6におけるサンプリングタイミングのマージンが増加することとなる。すなわち、サンプリングタイミングのずれの許容範囲を広くすることができる。
また、上記実施形態において、一例として図23に示されるように、前記積分回路g3における積分速度がP1近傍で増加するように調整しても良い。同様に、前記積分回路g4における積分速度がP3近傍で増加するように調整しても良い。これにより、前記マルチプレクサg5の出力信号Sg5に含まれるウォブル成分を更に増加させることができる。具体的には、一例として前記タイミング信号生成回路g8を介して、P1近傍で前記積分回路g3のレジスタ値を変更し、P3近傍で前記積分回路g4のレジスタ値を変更する。なお、調整量及び調整タイミングに関する情報は前記CPU40から前記タイミング信号生成回路g8に指示することができる。すなわち、この場合には、前記タイミング信号生成回路g8によって、積分速度調整回路が実現される。
また、上記実施形態では、前記乗算器g7において、前記AD変換器g6の出力信号Sg6に前記矩形波信号Sg10が乗算される場合について説明したが、前記矩形波信号Sg10に代えて同じ周波数のサイン波信号を乗算しても良い。この場合には、前記矩形波生成回路g10に代えて、前記クロック生成回路28fからのタイミングクロック信号Stimに基づいて、タイミングクロック信号Stimと同じ周波数のサイン波信号を生成するサイン波生成回路が設けられることとなる。
また、上記実施形態では、前記AD変換器g6において、ウォブル周期毎に2回のサンプリングを行なう場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、3回以上のサンプリングを行なっても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク15がDVD+Rの規格に準拠する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、例えばDVD+RWであっても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク装置としてデータの記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、データの記録、再生及び消去のうち、少なくともデータの記録が可能な光ディスク装置であれば良い。
また、上記実施形態では、前記光ピックアップ装置23が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。
また、上記実施形態では、前記インターフェース38がATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
15…光ディスク、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置(データ記録手段の一部)、40…CPU(データ記録手段の一部、積分速度設定手段)、g3…積分回路(第1の積分回路)、g4…積分回路(第2の積分回路)、g5…マルチプレクサ(選択回路)、g6…AD変換器(変換回路の一部)、g8…タイミング信号生成回路(積分速度調整回路)、g9…タイミング信号生成回路(変換回路の一部)、g11…サンプルホールド回路(第1のサンプルホールド回路)、g12…サンプルホールド回路(第2のサンプルホールド回路)。
Claims (10)
- 蛇行したトラックが形成された光ディスクの記録面からの反射光に基づいて取得され、所定の基本周期を有する搬送波部と所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する信号処理方法であって、
前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分する工程と;
前記前半部分の積分結果及び前記後半部分の積分結果をそれぞれ少なくとも1つのデジタル値に変換する工程と;を含む信号処理方法。 - 前記積分する工程では、前記積分が前記光ディスクの回転速度に応じた積分速度で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
- 前記積分する工程では、前記積分が前記基本周期における位相に応じた積分速度で行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載の信号処理方法。
- 蛇行したトラックが形成された光ディスクの記録面からの反射光に基づいて取得され、所定の基本周期を有する搬送波部と所定の情報が付加された位相変調波部とを含むウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する信号処理回路であって、
前記ウォブル信号を前記基本周期の前半部分と後半部分とに分けてそれぞれ積分し、前記前半部分の積分結果に関する情報と前記後半部分の積分結果に関する情報とが含まれる積分信号を生成する積分信号生成回路と;
前記積分信号に含まれる前記前半部分の積分結果及び前記後半部分の積分結果をそれぞれ少なくとも1つのデジタル値に変換する変換回路と;を備える信号処理回路。 - 前記積分信号生成回路は、
前記基本周期の前半部分に対応して前記ウォブル信号を積分する第1の積分回路と;
前記基本周期の後半部分に対応して前記ウォブル信号を積分する第2の積分回路と;
前記基本周期の前半部分に同期して前記第1の積分回路の出力信号を選択し、前記基本周期の後半部分に同期して前記第2の積分回路の出力信号を選択する選択回路と;を有することを特徴とする請求項4に記載の信号処理回路。 - 前記積分信号生成回路は、
前記第1の積分回路の出力段に配置され、前記第1の積分回路の出力信号におけるピークレベル近傍のサンプリング及びホールドを行なう第1のサンプルホールド回路と;
前記第2の積分回路の出力段に配置され、前記第2の積分回路の出力信号におけるピークレベル近傍のサンプリング及びホールドを行なう第2のサンプルホールド回路と;を更に有することを特徴とする請求項5に記載の信号処理回路。 - 前記積分信号生成回路における前記積分の積分速度を、前記基本周期における位相に応じて調整する積分速度調整回路を更に備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の信号処理回路。
- 蛇行したトラックが形成された記録面を有する光ディスクに対して、データの記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう光ディスク装置であって、
前記光ディスクの記録面からの反射光に基づいて得られるウォブル信号を復調するためにデジタル情報に変換する請求項4〜7のいずれか一項に記載の信号処理回路と;
前記信号処理回路の出力信号に基づいて記録位置を決定し、前記光ディスクにデータを記録するデータ記録手段と;を備える光ディスク装置。 - 前記信号処理回路を構成する積分信号生成回路における積分速度を、前記光ディスクの回転速度に応じて設定する積分速度設定手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
- 前記光ディスクはDVD+RあるいはDVD+RWの規格に準拠した光ディスクであることを特徴とする請求項8又は9に記載の光ディスク装置。
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