JP3574176B2 - デファレンシャル装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、車両のデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
U.S.Patent 5244440号登録証にデファレンシャル装置が記載されている。これは、デフケースを回転させるエンジンの駆動力をピニオンギヤから一対のサイドギヤを介して車輪側に分配するように構成されている。サイドギヤを連結するピニオンギヤはデフケースに設けられた収納孔に摺動回転自在に収納されており、ピニオンギヤと収納孔の間に生じる摩擦抵抗などにより差動制限力を得ている。
【0003】
又、図8は類似構成のデファレンシャル装置に用いられているデフケース201を示している。デフケース201はカバー203とケーシング本体205とを備えている。カバー203には凸部207が形成され、凸部207にはポケット部209が設けられており、ケーシング本体205のポケット部と共にピニオンギヤの収納孔を形成し、各ピニオンギヤを内側から支持して倒れを防止している。
【0004】
又、実開昭52−93134号記載の車両用歯車差動機構においては、デフケースとは別部材のスペーサを設け、このスペーサの外周に凹部を有し、ピニオンギヤの内周側を摺動支持するような構造で各ピニオンギヤの倒れを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、カバー203はこのような凸部207を設けたことにより形状が複雑になって加工が困難である。又、ピニオンギヤを摺動しながら支持するポケット部209は硬度調整のために熱処理が必要であるが、カバー203全体を熱処理するとコスト高であると共に、熱処理に伴う歪発生の問題があり、ポケット部209だけの部分的な熱処理は難しく、コスト高でもある。更に、収納孔をカバー203のポケット部209とケーシング本体205側のポケット部で形成する構成では、収納孔を正しく円筒形にするためにカバー203とケーシング本体205の組付けに高い精度が要求される。前述した第2の従来例におけるスペーサにおいても熱処理に伴う歪発生の問題により、ピニオンギヤの摺動支持が確実に行われない。
【0006】
そこで、この発明は、デフケース側にピニオンギヤ支持用の凸部あるいは支持用の凹部を有する部材を設けずにピニオンギヤの倒れを防止できるデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1発明のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力により回転駆動されるデフケースと、デフケース内に配置された一対の車輪側サイドギヤと、これらのサイドギヤと各別に噛合う第1のギヤ部及び互いに噛合う第2のギヤ部を有するピニオンギヤからなるピニオンギヤ組と、デフケースに形成されこれらのピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔と、前記第2ギヤ部の内側に配置され各ピニオンギヤの内側への倒れを防止する支持リングとを備え、サイドギヤにボス部が形成され、支持リングがサイドギヤのボス部外周にフローティング支持されたことを特徴とする。
【0008】
第2発明のデファレンシャル装置は、支持リングが弾性体からなる請求項1記載のデファレンシャル装置である。
【0013】
【作用】
第1又は第2発明のデファレンシャル装置は、ピニオンギヤのギヤ部のうちサイドギヤと噛合わない第2のギヤ部の内側に支持リングを配置し、各ピニオンギヤの内側への倒れを防止している。
【0014】
従って、第1又は第2発明では、従来例と異ってカバーに凸部を設けたり凹部を有する別部材を設けることが不要になり、形状簡単で加工が容易になると共に、ピニオンギヤの内周側を摺動支持するポケット部が無いので、熱処理において工数が削減できると共にコスト低減になる。又、支持リングをサイドギヤボス部にフローティング支持することによりボス部及び支持リングの摩耗が防止され、耐久性が向上し初期性能が長期にわたり保持される。
【0015】
又、請求項2の構成を用いた発明では、弾性体で作られた支持リングの押圧力によってピニオンギヤと収納孔との間で摩擦抵抗によるイニシャルトルクが生じる。このイニシャルトルクにより常時一定の差動制限力が得られ、一輪空転時の車両の悪路脱出性などが向上する。
【0017】
【実施例】
図1,2,3及び図6により第1又は第2発明の一実施例を説明する。図1はこの実施例を示し、図6はこの実施例を用いた車両の動力系を示す。左右の方向はこの車両及び図1での左右の方向である。又、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0018】
図6のように、この動力系は、エンジン1、トランスミッション3、プロペラシャフト5、リヤデフ7(後輪側に配置された実施例のデファレンシャル装置)、後車軸9,11、左右の後輪13,15、左右の前輪17,19などから構成されている。
【0019】
リヤデフ7のデフケース21はデフキャリヤ23内に回転自在に配置されている。デフケース21にはリングギヤ25が固定されており、このリングギヤ25はドライブピニオンギヤ27と噛合っている。ドライブピニオンギヤ27はプロペラシャフト5側に連絡されたドライブピニオンシャフト29と一体に形成されている。デフキャリヤ23にはオイル溜りが設けられている。
【0020】
こうして、エンジン1の駆動力はトランスミッション3とプロペラシャフト5とを介してデフケース21を回転駆動する。
【0021】
図1のように、デフケース21はカバー31とケーシング本体33とをボルト35で固定して構成されている。デフケース21の内部には中空のヘリカルサイドギヤ37,39が配置されており、各サイドギヤ37,39は各ボス部41,43とカバー31及びケーシング本体33との間に形成された軸支部45,47によりそれぞれ支承されると共に、互いの間に形成された軸支部49により互いに支承し合い、センターリングしている。
【0022】
サイドギヤ37とカバー31の間及びサイドギヤ39とケーシング本体33との間にはそれぞれワッシャ51,53が配置され、サイドギヤ37,39の間にはワッシャ55が配置されている。左のサイドギヤ37は左の後車軸9にスプライン連結され、右のサイドギヤ39は右の後車軸11にスプライン連結されている。サイドギヤ37の内側には各車軸9,11を突合わせるスラストブロック57が配置されている。
【0023】
ケーシング本体33には長短の収納孔59,61が周方向に4組形成され、これらには図2のようにピニオンギヤ組63をなす長短のヘリカルピニオンギヤ65,67が摺動回転自在に収納されている。図1のように、長いピニオンギヤ65は第1と第2のギヤ部69,71及びこれらを連結する小径の軸部73からなり、第1のギヤ部69は右のサイドギヤ39と噛合っている。又、短いピニオンギヤ67の第1のギヤ部は左のサイドギヤ37と噛合い、図2のように、第2のギヤ部75は長いピニオンギヤ65の第2のギヤ部71と噛合っている。
【0024】
図2のように、各ピニオンギヤ65,67の内側には支持リング77が配置されている。この支持リング77は左のサイドギヤ37のボス部41外周との間に形成された厚さ50〜200μのオイルフィルム79を介してフローティング支持されている。支持リング77は鋼のような弾性体で作られており、組付けられた状態で第2ギヤ部71,75の歯先を押圧しピニオンギヤ65,67を各収納孔59,61の壁面に押し付けている。
【0025】
デフケース21に設けられた開口81,83,85からはオイル溜りのオイルが流出入し、このオイルは、ギヤの噛合い部、各摺動部、支持リング77のオイルフィルム79などに供給される。
【0026】
デフケース21を回転させるエンジン1の駆動力はピニオンギヤ65,67からサイドギヤ37,39を介して左右の後輪13,15に分配され、後輪間に駆動抵抗差が生じるとピニオンギヤ65,67の自転によりエンジン1の駆動力は左右各側に差動分配される。
【0027】
車両の走行中、ピニオンギヤ65,67はサイドギヤ37,39との噛合い反力により収納孔59,61の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が生じる。又、ヘリカルギヤの噛合いスラスト力によりピニオンギヤ65,67はカバー31とケーシング本体33などに押し付けられ、サイドギヤ37,39はワッシャ51,53を介してデフケース21に押し付けられ、あるいはワッシャ55を介して互いに押圧し合って摩擦抵抗が生じる。これらの摩擦抵抗は伝達トルクが大きい程強くなる。これに加えて、支持リング77の押圧力によりピニオンギヤ65,67と収納孔59,61との間で、伝達トルクとは無関係に一定の摩擦抵抗が得られる。これらの摩擦抵抗により差動が制限される。
【0028】
図3は差動制限特性を示し、縦軸は図6の車両の右後輪15に送られる右軸トルクであり、横軸は左後輪13に送られる左軸トルクである。45°のグラフ87は差動制限機能を持たないデファレンシャル装置の特性であり、駆動軸の一方が脱輪し軸トルクが零になると他方の駆動輪の軸トルクも零になり車両がスタックすることを示している。
【0029】
グラフ89,91はリヤデフ7の特性であり、グラフ93,95は支持リング77の押圧力によるイニシャルトルクを各グラフ89,91から差し引いた特性である。例えばグラフ89が示すように、左後輪13が悪路などで空転し軸トルクがTL まで低下してもリヤデフ7の差動制限力により右後輪15には大きなトルクTR が送られて、悪路から脱出することができる。又、この差動制限機能により加速時の車両の直進安定性が向上し、円滑で安定な旋回が行える。又、グラフ93,95が示すようにトルク感応型の差動制限機能では駆動輪の一方の軸トルクが零になると他方の軸トルクも零になり悪路からの脱出が不可能になるが、リヤデフ7ではグラフ89,91が示すようにイニシャルトルクTRO,TLOにより片輪空転時での悪路脱出性が保たれる。
【0030】
上記のように、ピニオンギヤ65,67はサイドギヤ37,39と噛合わない第2のギヤ部71,75が支持リング77により内側から支持されて倒れが防止されている。ピニオンギヤ65,67が倒れる方向の力は支持リング77を介して点対称側にあるピニオンギヤ65,67とその収納孔59,61の間に掛ると共に上記のようにオイルフィルム79によりフローティング支持されているから、支持リング77自体が円滑に転動するので支持リング77とボス41との間では殆ど摩擦抵抗が生じない。又、ピニオンギヤ65,67による支持リング77への反力が支持リングの回転力に変換されるので支持リング77の摩耗も防止され、耐久性が向上し、初期性能を長く保つことができる。
【0031】
更に、車両が前進中に例えば左旋回したときのデフケース21が図2の矢印97の方向に回転すると各ピニオンギヤ65,67には矢印99,101方向の噛合い反力が生じ、矢印99の噛合い反力により長いピニオンギヤ65が支持リング77に接触する。このとき旋回の外輪側である右後輪15の先行回転によるサイドギヤ39の回転によって各ピニオンギヤ65,67はそれぞれ矢印103,105の方向に自転し、接触しているピニオンギヤ65の自転により支持リング77は矢印107の方向に回転する。
【0032】
右旋回時はピニオンギヤ65の自転方向が変わり支持リング77は矢印107と反対の方向に回転する。又、車両の後進時は短いピニオンギヤ67が支持リング77に接触し、旋回方向に応じて支持リング77を反対方向に回転させる。又、サイドギヤ37が噛合いスラスト力により左方に移動してもサイドギヤ37がワッシャ51と接触した状態で、支持リング77の軸方向両側には隙間があり支持リング77は自由に回転することができる。
【0033】
このように、トルク伝達時のピニオンギヤ65,67からの力は支持リング77を押し付ける方向ではなく回転させる方向に働くから摩耗の問題が生じない。
【0034】
こうして、リヤデフ7が構成されており、上記のように各ピニオンギヤ65,67はサイドギヤ37,39によって支持されない第2のギヤ部71,75が支持リング77によって内側から支持され、倒れ防止と各ギヤ65,67のセンターリングとが行われる。又、支持リング77を用いることにより、従来例と異って、カバー31には収納孔の一部をなす凸部を設ける必要がない。従って、形状が簡単で加工し易く、耐摩耗性を高めるための熱処理が不要であると共にケーシング本体33との組付け精度の問題から解放される。又、弾性体の支持リング77を用いたことによりイニシャルトルクが得られ、車両の悪路脱出性が向上する。
【0035】
次に、図4ないし図6により第1又は第2発明の他の一実施例を説明する。この実施例は図6の車両のリヤデフ109として用いられている。図4はこのリヤデフ109を示し、左右の方向はこの車両及び図4での左右の方向である。又、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0036】
以下、前記リヤデフ7との相異点を説明する。尚、リヤデフ7と同機能の部材には同符号が与えられている。
【0037】
デフケース111はカバー113とケーシング本体115とをボルトで固定して構成されている。デフケース111の内部にはヘリカルサイドギヤ37,39が配置されており、これらは各ボス部41,43とカバー113及びケーシング本体115との間に形成された軸支部117,119により支承されると共に、互いの間の軸支部49により互いに支承し合いセンターリングしている。
【0038】
図5のように、ケーシング本体115には4組の収納孔121,123が形成され、これらにはピニオンギヤ組125をなすヘリカルピニオンギヤ127,129が摺動回転自在に収納されている。図4のように、ピニオンギヤ127は第1と第2のギヤ部131,133,133及び小径の軸部135からなり、第1のギヤ部131は右のサイドギヤ39と噛合っている。又、ピニオンギヤ129は第1と第2のギヤ部137,139,139及び小径の軸部141からなり、第1のギヤ部137は左のサイドギヤ37と噛合い、第2のギヤ部139,139はそれぞれピニオンギヤ127の第2のギヤ部133と噛合っている。
【0039】
各ピニオンギヤ127,129の第2ギヤ部133,139の内側には支持リング143,143が配置されている。支持リング143,143はサイドギヤ37,39のボス部41,43外周との間に形成された厚さ50〜200μのオイルフィルム145を介してフローティング支持されている。各支持リング143は鋼のような弾性体であり、第2ギヤ部133,139の歯先を押圧し各ピニオンギヤ127,129を収納孔121,123の壁面に押し付けて、摩擦抵抗によりイニシャルトルクを与えると共に、ピニオンギヤ127,129の内側への倒れを防止している。さらに本発明においては、ピニオンギヤ127,129をそれぞれ両端で収納孔121,123の壁面に押し付けるので、ピニオンギヤの摺接が全面均等になり差動制限トルクが安定する。
【0040】
噛合いスラスト力によりサイドギヤ37が左に又、サイドギヤ39が右に移動してもそれぞれワッシャ51,53と接触した状態で各支持リング143の軸方向両側には隙間があり、支持リング143は自由に回転できる。又、リヤデフ7と同様にトルク伝達時のピニオンギヤ127,129の力は支持リング143を回転させる方向に働くから、フローティング支持構造と相俟って支持リング143とボス部41,43の間で摩耗の問題は生じない。支持リング77と同様に支持リング143自体の摩耗が防止され耐久性が向上し、初期性能が長く保たれる。
【0041】
デフケース111に設けられた開口147,149,151からはデフキャリヤ23内のオイル溜りからオイルが流出入し、ギヤの噛合い部、各摺動部、オイルフィルム145などにオイルが供給される。
【0042】
エンジン1の駆動力はピニオンギヤ127,129からサイドギヤ37,39を介して後輪13,15に分配され、各ギヤの噛合い反力及び噛合いスラスト力によって生じるトルク感応型の差動制限機能により、差動が制限されて車両の直進安定性が向上し、円滑で安定な旋回が行えると共に、支持リング143により与えられたイニシャルトルクの差動制限力により悪路脱出性が向上する。
【0043】
こうして、カバー113にはピニオンギヤ127,129を支持するための凸部が不要であるから、形状が簡単で加工し易く、熱処理も不要であり、ケーシング本体115との組付け精度の問題から解放される。
【0044】
次に、図6乃至図7により第1又は第2発明の他の一実施例を説明する。この実施例は図6の車両のリヤデフ161として用いられている。図7は、このリヤデフ161を示し、左右の方向はこの車両及び図7の左右の方面である。又、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0045】
以下、リヤデフ7,109との相異点を説明する。尚、リヤデフ7,109と同機能の部材には同符号が与えられている。
【0046】
デフケース163は、カバー165とケーシング本体167とをボルト35で固定して構成されている。デフケース163の内部にはヘリカルサイドギヤ37,39が配置されており、これらは左右外側のボス部41,43を、カバー165及びケーシング本体167との間に形成された軸支部171,173により支承されると共に、円環状に形成されヘリカルサイドギヤ37,39の突き当て部材175の両端面に当接する左右内側のボス部177,179が形成されている。
【0047】
ケーシング本体167には、収納孔181,183が周方向に3組(図示せず)形成され、これらの収納孔にはヘリカルピニオンギヤ184,187から成るピニオンギヤ組が摺動回転自在に収納されている。
【0048】
ピニオンギヤ184は、第1と第2のギヤ部185,186からなり、第1のギヤ部185は左のサイドギヤ37と噛合っている。又、ピニオンギヤ187は第1と第2のギヤ部188,189からなり、第1のギヤ部188は右のサイドギヤ39と噛合い、第2のギヤ部189はピニオンギヤ184の第2ギヤ部186と噛合っている。ピニオンギヤ184はカバー165によって軸方向の抜け止めがなされ、ピニオンギヤ187はプレート191とスナップリング193により軸方向の抜け止めがなされている。
【0049】
各ピニオンギヤ184,187、第2ギヤ部186,189の内側には支持リング195が配置されている。支持リング195はサイドギヤ37,39のボス部177,179外周をまたぎ、厚さ50〜220μmのオイルフィルム145,145を介してフローティング支持されている。前述した2実施例同様に、支持リング195は鋼のような弾性体であり、第2ギヤ部186,189の歯先を押圧し、各ピニオンギヤ184,187を収納孔181,183の壁面に押し付け、摩擦抵抗によりイニシャルトルクを与えると共にピニオンギヤ184,187の内側への倒れを防止している。
【0050】
噛合いスラスト力により、サイドギヤ37が右に又、サイドギヤ39が左に移動しても、それぞれが突き当て部材175と接触した状態で支持リング195の軸方向両側には隙間があり、支持リング195は自由に回転できる。又、リヤデフ7,109と同様にトルク伝達時のピニオンギヤ184,187の力は支持リング195を回転させる方向に働くから、フローティング支持構造としたことにより、支持リング自体もボス部に支持され円滑に転動することができ、支持リング195とボス部177,179の間で摩耗の問題は生じない。又、ピニオンギヤ184,187による支持リング195への反力は支持リング回転力に変換されるので、支持リング195自体の摩耗も防止され耐久性が向上し、初期性能を長く保持することができる。
【0051】
エンジンの駆動力は、ピニオンギヤ184,187からサイドギヤ37,39を介して後輪13,15に分配され、各ギヤの噛み合い反力及び噛み合いスラスト力によって生じるトルク感応型の差動制限機能により、差動が制限されて車両の直進安定性が向上し、円滑な旋回が行えると共に、支持リング195により付与されたイニシャルトルクの差動制限力により悪路脱出性が向上する。
【0052】
こうして、別部材のスペーサの外周に支持凹部を設けずに済むので、形状が簡単になり加工の手間が省略でき、熱処理も不要になり製造コストが大幅に削減できる。
【0053】
なお、本実施例においてはサイドギヤ37,39を突き当て部材175を介して当接させずに直接ボス部を当接させるか又はワッシャを介して当接させて、これらのボス部177,179の外周に支持リング195を配置しても良い。
【0054】
【発明の効果】
第1又は第2発明のデファレンシャル装置は、ピニオンギヤの相互噛合い部でありサイドギヤによって支持されない第2ギヤ部の内側に支持リングを配置してピニオンギヤの内側への倒れを防止したから、ケーシング部材はピニオンギヤの倒れを防止するための凸部を設ける必要がなくなり、形状が簡単で加工が容易になり、耐摩耗性向上のための熱処理が不要になって、コストが低減される。
【0055】
又、支持リングがボス部外周にフローティング支持されながら積極的に転動するので、支持リング内・外周面及びサイドギヤボス部の摩耗が防止され耐久性が向上するので、初期性能を長期にわたり保持することができる。
【0056】
又、支持リングを弾性体にしピニオンギヤを収納孔に押し付けてイニシャルトルクを発生させる第2発明の構成では、車両の悪路脱出性などが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第4発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】図1の実施例の差動制限特性などを示すグラフである。
【図4】第5発明の一実施例を示す断面図である。
【図5】図4のY−Y断面図である。
【図6】各実施例を用いた車両の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図7】第6発明の一実施例である。
【図8】従来例の斜視図である。
【符号の説明】
7,109,161 リヤデフ(デファレンシャル装置)
21,111,163 デフケース
31,113,165 カバー
33,115,167 ケーシング本体
37,39 ヘリカルサイドギヤ(サイドギヤ)
41,43,177,179 ボス部
59,61,121,123,181,183 収納孔
63,125 ピニオンギヤ組
65,67,127,129,184,187 ヘリカルピニオンギヤ(ピニオンギヤ)
69,131,137,185,188 第1のギヤ部
71,75,133,139,186,189 第2のギヤ部
77,143,195 支持リング
Claims (2)
- エンジンの駆動力により回転駆動されるデフケースと、デフケース内に配置された一対の車輪側サイドギヤと、これらのサイドギヤと各別に噛合う第1のギヤ部及び互いに噛合う第2のギヤ部を有するピニオンギヤからなるピニオンギヤ組と、デフケースに形成されこれらのピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔と、前記第2ギヤ部の内側に配置され各ピニオンギヤの内側への倒れを防止する支持リングとを備え、サイドギヤにボス部が形成され、支持リングがサイドギヤのボス部外周にフローティング支持されたことを特徴とするデファレンシャル装置。
- 支持リングが弾性体からなる請求項1記載のデファレンシャル装置。
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