JP3826758B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行中に自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような車線逸脱防止装置としては、例えば特開平11−96497号公報に記載されるものがある。この車線逸脱防止装置は、自車両が走行車線から逸脱しそうになるのを判断し、走行車線の基準位置に対する自車両の走行位置の横ずれ量に応じて、運転者が容易に打ち勝てる程度の操舵制御トルクを操舵アクチュエータにより出力することで車線逸脱を防止するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の車線逸脱防止装置では、操舵アクチュエータを必要とするため、例えばアンチスキッド制御装置や駆動力制御装置を用いて各車輪の制動力或いは駆動力を制御し、その結果、車両にヨーモーメントを発生せしめて自車両の走行方向、或いは走行位置を制御することが考えられる。
【0004】
そして、このように各車輪の制駆動力を制御する車線逸脱防止装置を構成すると、制駆動力制御時に自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えて、自車両が車線逸脱傾向にあることを乗員に知らせることができ、特に、乗員の注意力が低下しているときに有効であることが実験で分かっている。
しかしながら、そのような車線逸脱防止装置にあっては、制駆動力制御時に大きなピッチングが発生すると、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることが難しくなってしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記従来の技術の未解決の問題点に着目してなされたものであって、制駆動力制御時のピッチングを抑制し、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができる走行車線逸脱防止装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明である車線逸脱防止装置は、車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かを判定する逸脱判定手段と、自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定されると、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように各車輪の制駆動力制御量を算出する制駆動力制御量算出手段と、その制駆動力制御量に応じて各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、を備え、前記制駆動力制御量算出手段は、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち前後輪の制駆動力差が小さくなるような制駆動力制御量を算出することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明である車線逸脱防止装置において、前記制駆動力制御手段は、少なくとも左右輪の制動力を個別に制御できることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明である車線逸脱防止装置において、前記制駆動力制御量算出手段は、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪に制動力を発生し、自車両の後左右輪に制動力発生るような制駆動力制御量を算出することを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明である車線逸脱防止装置において、所定車輪スリップ状態にあるか否か判定するスリップ状態判定手段を備え、前記制駆動力制御量算出手段は、前記スリップ状態判定手段で前記所定車輪がスリップ状態にあると判定されると、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち前記所定車輪の制駆動制御量が小さくなるような制駆動力制御量を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、前記制駆動力制御量算出手段は、前記制駆動力制御量算出手段は、前記スリップ状態判定手段で前記所定車輪がスリップ状態にあると判定されると、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち前記所定車輪の制駆動力制御量を制限、前記所定車輪の車両前後方向に対称な車輪の制駆動力制御量に前記制限分を加算した制駆動力制御量を算出し、前記スリップ状態判定手段で前記所定車輪がスリップ状態にないと判定されると、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前後輪のみ制動力を発生するように制駆動力制御量を算出することを特徴とする。
【0010】
一方、上記課題を解決するために、請求項6に係る発明である車線逸脱防止装置は、自車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かを判定する逸脱判定手段と、自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定されると、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように各車輪の制駆動力制御量を算出する制駆動力制御量算出手段と、その制駆動力制御量に応じて各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、前記制駆動力制御量算出手段で算出された左右車輪の制駆動力制御量の差が所定値より大きい場合にはサスペンション装置の減衰力を大きくする減衰力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明である車線逸脱防止装置において、前記逸脱判定手段は、前記走行状態検出手段で検出された自車両の走行状態から推定される将来の自車両の走行車線に対する横変位が所定の横変位限界値以上であるときに、自車両が走行車線から逸脱傾向にあることを検出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明である車線逸脱防止装置において、前記制駆動力制御量算出手段は、自車両の走行状態から推定される将来の自車両の走行車線に対する横変位と横変位限界値との差が大きいほど大きい目標ヨーモーメントを算出し、の目標ヨーモーメントに基づいて各車輪の制駆動力制御量を算出することを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
したがって、請求項1に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、例えば制駆動力制御で発生するヨーモーメントが大きく、左右輪の制駆動力制御量の差が大きくなったとしても、制駆動力制御時のピッチングを抑制し、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができ、自車両が車線逸脱傾向にあることを乗員に知らせることができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、左右輪の制動力を個別に制御して車両に発生するヨーモーメントを、車線逸脱回避方向への目標ヨーモーメントに一致させて走行車線からの逸脱を回避することができ、運転者の操舵操作に影響を与えることがないので、運転者に違和感を与えずに済む。
【0015】
また、請求項3に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、後輪の各輪が発生する制動力が小さく、当該後輪のスリップ量が小さくて済み、スリップによる制御能力の低下を防ぐことができる。
【0016】
さらに、請求項4に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、例えば、スリップ状態にある車輪の制駆動力制御量を小さくすると共に、他の車輪の制駆動力を大きくして、スリップによる制御能力の低下を防ぐというように、自車両のスリップ状態に応じて各車輪の制駆動力制御量を適切なものにすることができる。
【0017】
また、請求項5に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、制駆動力制御でヨーモーメントを確実に発生することができ、スリップによる制御能力の低下を防ぐことができる。
【0018】
さらに、請求項6に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、例えば、制駆動力制御で発生するヨーモーメントが大きく、左右輪の制駆動力制御量の差が大きくなったとしても、サスペンション装置の減衰力を大きくすることで、制駆動力制御時に大きなピッチングやローリングが発生することはなく、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができ、自車両が車線逸脱傾向にあることを乗員に知らせることができる。
【0019】
また、請求項7に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、自車両の走行車線に対する横位置を適切なものとすることができる。
また、請求項8に係る発明である車線逸脱防止装置にあっては、例えば横変位と横変位限界値との差が大きくなるほど目標ヨーモーメントを大きくして、走行車線からの逸脱を確実に回避することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車線逸脱防止装置の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。この車両には、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
【0021】
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じ、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介装されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
【0022】
前記制動流体圧制御回路7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成されている。この制動流体圧制御回路7は、後述する制駆動力コントロールユニット8からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する。
【0023】
また、この車両は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、並びにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。エンジン9の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述した制駆動力コントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
【0024】
また、この車両には、自車両の走行車線逸脱防止判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための外界認識センサとして、CCDカメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、CCDカメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、その走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行車線幅L等を算出することができるように構成されている。
【0025】
また、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ15、自車両に発生するヨーレートφ' を検出するヨーレートセンサ16、前記マスタシリンダ3の出力圧、所謂マスタシリンダ圧Pm を検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、即ちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角δを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi (i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20が備えられ、それらの検出信号は前記制駆動力コントロールユニット8に出力される。また、前記カメラコントローラ14で検出された走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行車線幅L等や、駆動トルクコントロールユニット12で制御された駆動トルクTwも合わせて制駆動力コントロールユニット8に出力される。なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とする。即ち、ヨーレートφ' や横加速度Yg、操舵角δ、ヨー角φは、左旋回時に正値となり、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となる。
【0026】
さらに、この車両には、ディスプレイやスピーカを備えた車内情報提示装置23が備えられ、制駆動力コントロールユニット8からの指令に応じて車線逸脱防止制御の停止等を乗員に提示する。
次に、前記制駆動力コントロールユニット8で行われる演算処理のロジックについて、図2のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、例えば10msec. 毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
【0027】
この演算処理では、まずステップS1で、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットからの各種データを読み込む。具体的には、前記各センサで検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートφ' 、各車輪速度Vwi 、アクセル開度Acc、マスタシリンダ圧Pm 、操舵角δ、方向指示スイッチ信号、また駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、カメラコントローラ14からの走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行車線幅Lを読み込む。
【0028】
次にステップS2に移行して、前記ステップS1で読み込んだ各車輪速度Vwiのうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の走行速度Vを算出する。
次にステップS3に移行して、逸脱推定値として将来の推定横変位XSを算出する。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ自車両の走行車線に対するヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β及び前記ステップS2で算出した自車両の走行速度Vを用い、下記1式に従って将来の推定横変位XSを算出する。
【0029】
XS=Tt×V×(φ+Tt×V×β)+X ……… (1)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位XSとなる。後述するように、本実施形態では、この将来の推定横変位XSが所定の横変位限界値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断するのである。
【0030】
次にステップS4に移行して、旋回状態の判断を行う。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ横加速度Ygの絶対値が正値の所定値Yg0 以上であるときに急旋回状態であると判断し、車両不安定フラグFCSをセットする。また、急旋回状態でないときには車両不安定フラグFCSはリセットする。なお、これに付加して、前記ステップS1で読み込んだヨーレートφ' と、図3に示すように、自車両の走行速度V及び操舵角δから求まる目標ヨーレートとを比較して、自車両のステア状態、所謂オーバステアかアンダステアかの判定を行い、それらの判定結果を考慮して車両不安定フラグFCSを設定するようにしてもよい。
【0031】
次にステップS5に移行して、運転者の意図判断を行う。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ操舵角δ及び方向指示スイッチの少なくとも何れか一方から判定される自車両の進行方向(左右方向)と、前記ステップS3で算出された推定横変位XSの符号(左方向が正)から判定される自車両の進行方向とが一致するときには、意図的な車線変更であると判断して車線変更判断フラグFLCをセットする。また、両者が一致しないときには車線変更判断フラグFLCはリセット状態とする。
【0032】
次にステップS6に移行して、自車両が走行車線から逸脱傾向にあることを警報するか否かの判断を行う。具体的には、前記ステップS3で算出した逸脱推定値としての将来の推定横変位の絶対値|XS|が、所定の横変位限界値Xc(例えば0.8m)以上であるときに警報するとし、そうでないときには警報しないものとする。なお、前記推定横変位の絶対値|XS|と横変位限界値Xc との間には若干の余裕値を持たせてもよい。また、警報のハンチングを防止するために閾値にヒステリシスを設けてもよい。さらに、横変位限界値Xcを、前記ステップS1で読み込んだ走行車線幅Lの半分値から自車両の車幅L0 の半分値を減じた値と所定値(例えば0.8m)とのうち小さい方の値に設定してもよい。
【0033】
次にステップS7に移行して、自車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かの判断を行う。具体的には、前記ステップS6と同様に、前記ステップS3で算出した逸脱推定値としての将来の推定横変位の絶対値|XS|が、前記横変位限界値Xc 以上であるときに自車両が走行車線から逸脱傾向にあるとして逸脱判断フラグFLDをセットし、そうでないときには自車両は走行車線から逸脱傾向にはないとして逸脱判断フラグFLDをリセット状態とする。但し、前記ステップS4で設定した車両不安定フラグFCSがセット状態にあるとき、或いは前記ステップS5で設定した車線変更判断フラグFLCがセット状態にあるときには、車線逸脱防止制御を行わないので、これらの場合には、前記将来の推定横変位の絶対値|XS|が横変位限界値Xc 以上であっても逸脱判断フラグFLDをリセット状態とする。
【0034】
このように、本実施形態では、自車両の走行状態から推定される将来の推定横変位XSが所定の横変位限界値Xc以上であるときに、自車両が走行車線から逸脱傾向にあることを検出するため、自車両の走行車線に対する横位置を適切なものとすることができる。
次にステップS8に移行して、目標ヨーモーメントを算出設定する。ここでは、前記逸脱判断フラグFLDがセットされているときにだけ目標ヨーモーメントMs を設定するので、当該逸脱判断フラグFLDがセットされているときには、車両諸元から決まる比例係数K1 と、図4に示す走行速度Vに応じて設定される比例係数K2 と、前記ステップS3で算出された将来の推定横変位XSと、横変位限界値Xc とを用いて、下記2式に従って目標ヨーモーメントMs を算出する。
【0035】
Ms =−K1 ×K2 ×(XS−Xc )……… (2)
このように、本実施形態においては、自車両の走行状態から推定される将来の推定横変位XSと横変位限界値Xcとの差から目標ヨーモーメントMsを算出するため、推定横変位XSと横変位限界値Xcとの差が大きくなるほど目標ヨーモーメントが大きくなり、走行車線からの逸脱を確実に回避することができる。
【0036】
なお、前記逸脱判断フラグFLDがリセット状態にあるときには目標ヨーモーメントMs は“0”とする。
次にステップS9に移行して、各車輪の目標制動力BFiを算出する。具体的には、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms |が所定値Ms1未満であるときには自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前後輪に等しい制動力を発生させ、当該目標ヨーモーメントの絶対値|Ms |が所定値Ms1以上であるときには、自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪に制動力を発生させると共に、前後輪の制駆動力差が小さくなるように後左右輪に制動力を発生させる。従って、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms |が所定値Ms1未満であり、且つ、目標ヨーモーメントMsが負値、即ち自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの前後左輪の目標制動力BFfl、BFrlは“0”であり、前後右輪の目標制動力BFfr、BFrrは下記3式で与えられる。また、目標ヨーモーメントMsが正値、即ち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの前後右輪の目標制動力BFfr、BFrr は“0”であり、前後左輪の目標制動力BFfl、BFrlは下記4式で与えられる。なお、式中のTはトレッド(前後輪で同じとする)を示す。
【0037】
BFfr=BFrr=|Ms |/T ……… (3)
BFfl=BFrl=|Ms |/T ……… (4)
従って、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms |が所定値Ms1未満、即ち自車両の左右輪の制駆動力差が小さいときには、前後輪の制動力配分BFfl+BFfr:BFrl+BFrlは1:1となって、前後輪の制動力差が“0”になる。
【0038】
同様に、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms |が所定値Ms1以上であり、且つ、目標ヨーモーメントMsが負値、即ち自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの前左輪の目標制動力BFflは“0”であり、前右輪及び後左右輪の目標制動力BFfr、BFrl、BFrrは下記5式で与えられる。また、目標ヨーモーメントMsが正値、即ち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの前右輪の目標制動力BFfrは“0”であり、前左輪及び後左右輪の目標制動力BFfl、BFrl、BFrrは下記6式で与えられる。
【0039】
BFfr=|Ms |/T+2×(|Ms |−Ms1)/T
BFrl=(|Ms |−Ms1)/T
BFrr=Ms1/T ……… (5)
BFfl=|Ms |/T+2×(|Ms |−Ms1)/T
BFrl=Ms1/T
BFrr=(|Ms |−Ms1)/T ……… (6)
従って、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms |が所定値Ms1以上、即ち自車両の左右輪の制駆動力差が大きいときには、前後輪の制動力配分BFfl+BFfr:BFrl+BFrlは(3|Ms|−2Ms1):|Ms|となって、必ずしも1:1にはならないが、前後輪の制動力差が十分に小さくなる。
【0040】
このように、本実施形態にあっては、目標ヨーモーメントMsが大きく、自車両の左右輪の制動力差が大きいときには、自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪に制動力を発生させると共に、自車両の後左右輪に制動力を発生させて、前後輪の制駆動力差が小さくなるように各車輪の制駆動力制御量を算出するため、後輪の各輪が発生する制動力が小さく、当該後輪のスリップ量が小さくて済み、スリップによる制御能力の低下を防ぐことができる。
【0041】
次にステップS10に移行して、各車輪への目標制動流体圧Psiを算出する。前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pm に対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧をPmRとしたとき、前記逸脱判断フラグFLDがリセット状態にあるときには、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PSFL 、PSFR は共にマスタシリンダ圧Pm となり、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PSRL 、PSRR は共に後輪用マスタシリンダ圧PmRとなる。
【0042】
これに対し、前記逸脱判断フラグFLDがセットされているときには、各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは、前記ステップS9で算出された各車輪の目標制動力BFiに応じた値をそれぞれマスタシリンダ圧Pm、PmRに加算する下記7式で与えられる。なお、式中のKbf、Kbrはブレーキ諸元や輪荷重(加重移動を考慮したもの)から決まる換算係数である。
【0043】
PSFL=Pm +Kbf×BFfl
PSFR=Pm +Kbf×BFfr
PSRL=PmR+Kbr×BFrl
PSRR=PmR+Kbr×BFrr ……… (7)
なお、目標制動流体圧Psiの算出方法は、各車輪の目標制動力BFiに応じた制動流体圧を当該各車輪のマスターシリンダ圧Pm、PmRに加算する方法に限られるものではなく、例えばマスターシリンダ圧Pm、PmRを中央値として左右輪に制動力差を設定するようにしてもよい。制動力差を設定して目標制動流体圧Psiを算出する方法では、前記目標ヨーモーメントMs が負値であるとき、即ち自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは下記8式で算出される。
【0044】
PSFL=Pm −(BFfr−BFfl)/2
PSFR=Pm +(BFfr−BFfl)/2
PSRL=PmR−(BFrr−BFrl)/2
PSRR=PmR+(BFrr−BFrl)/2 ……… (8)
但し、前右輪の目標制動力BFfrから前左輪の目標制動力BFflを減じた値の半分値がマスターシリンダ圧Pm 以上であるときには、前左輪の目標制動流体圧PSFLを“0”とし、前右輪の目標制動流体圧PSFR を(BFfr−BFfl)とする。また、後右輪の目標制動力BFrrから後左輪の目標制動力BFrlを減じた値の半分値がマスターシリンダ圧Pm 以上であるときには、後左輪の目標制動流体圧PSFLを“0”とし、後右輪の目標制動流体圧PSRRを (BFrr−BFrl)とする。
【0045】
これに対し、前記目標ヨーモーメントMs が正値であるとき、即ち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは下記9式で算出される。
PSFL=Pm +(BFfl−BFfr)/2
PSFR=Pm −(BFfl−BFfr)/2
PSRL=PmR+(BFrl−BFrr)/2
PSRR=PmR−(BFrl−BFrr)/2 ……… (9)
但し、前左輪の目標制動力BFflから前右輪の目標制動力BFfrを減じた値の半分値がマスターシリンダ圧Pm 以上であるときには、前右輪の目標制動流体圧PSFRを“0”とし、前左輪の目標制動流体圧PSFL を(BFfl−BFfr)とする。また、後左輪の目標制動力BFrlから後右輪の目標制動力BFrrを減じた値の半分値がマスターシリンダ圧Pm 以上であるときには、後右輪の目標制動流体圧PSRRを“0”とし、後左輪の目標制動流体圧PSFLを(BFrl−BFrr)とする。
【0046】
次にステップS11に移行して、駆動輪の目標駆動力を算出する。本実施形態では、前記逸脱判断フラグFLDがセットされており、車線逸脱防止制御が行われるときには、アクセル操作が行われていてもエンジンの出力を絞って加速できなくする。従って、逸脱判断フラグFLDがセットされているときの目標駆動トルクTrqDSは、前記ステップS1で読み込んだアクセル開度Accに応じた値から、前記前後輪の目標制動流体圧差の和に応じた値を減じた値とする。つまり、アクセル開度Accに応じた値とは、当該アクセル開度Accに応じて自車両を加速する駆動トルクであり、前後輪の目標制動流体圧差の和に応じた値とは、目標制動流体圧差の和によって生じる制動トルクである。従って、逸脱判断フラグFLDがセットされており、車線逸脱防止制御が行われるときには、前記目標制動流体圧差ΔPSF、ΔPSRの和によって生じる制動トルク分だけ、エンジンのトルクが低減されることになる。なお、逸脱判断フラグFLDがリセットされているときの目標駆動トルクTrqDSは、前記アクセル開度Accに応じて自車両を加速する駆動トルク分だけとなる。
【0047】
次にステップS12に移行して、前記ステップS10で算出された各車輪の目標制動流体圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力すると共に、前記ステップS11で算出された駆動輪の目標駆動トルクを前記駆動トルクコントロールユニット12に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
この演算処理によれば、急旋回状態でなく、且つ運転者の意図的な車線変更でもなく、且つ将来の推定横変位XSが横変位限界値Xc 以上となったときに、自車両は走行車線から逸脱する傾向にあると判断されて逸脱判断フラグFLDがセットされ、前記将来の推定横変位XSと横変位限界値Xc との差に基づいて目標ヨーモーメントMs を算出し、その目標ヨーモーメントMs が達成されるように、且つ、前後輪の制動力が等しくなるように、図5aに示すように自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前後輪に等しい制動力が発生される。これにより、例えば操舵入力が小さいときには、車両に車線逸脱を防止するヨーモーメントが発生して車線逸脱が防止されると共に、制動力によって車両の走行速度が減速されるため、運転者に違和感を与えずに車線逸脱を防止することが可能となる。また、例えば目標ヨーモーメントMs が大きく、左右輪の制動力の差が大きくなったとしても、制駆動力制御時に大きなピッチングが発生することはなく、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができ、自車両が車線逸脱傾向にあることを乗員に知らせることができる。ちなみに、図5cは、自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪にだけ制動力を発生させる例であり、制駆動力制御時に大きなピッチングが発生してしまうため、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができない。
【0048】
また、この実施形態では、目標ヨーモーメントMsの大きさが所定値Ms1以上になると、図5bに示すように、自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪に制動力が発生されると共に、前後輪の制駆動力差が小さくなるように後左右輪に制動力が発生されるので、後輪の各輪が発生する制動力が小さくなって、当該後輪のスリップ量が小さくなり、スリップによる制御能力の低下が抑制防止される。
【0049】
次に、本発明の車線逸脱防止装置の第2実施形態について説明する。この実施形態では、前記第1実施形態の制駆動力コントロールユニット8で行われる演算処理が、前記第1実施形態の図2のものから、図6のものに変更されている。
この図6の演算処理は、前記第1実施形態の図2の演算処理と同等のステップを多く含んでおり、同等のステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この図6の演算処理では、前記図2の演算処理のステップS8とS9との間にステップS13が設けられており、ステップS9がステップS9’に変更されている。
【0050】
このうち、ステップS13では、前記ステップS2で算出された自車両の走行速度Vから、前記ステップS1で読み込んだ各車輪速度Vwiのうち駆動輪である後左輪速度VwFLを減じた値が所定の設定値Slmt以上であるか否か判定し、設定値Slmt以上であるときには、後左輪がスリップしていると判断し、後左輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rlをセットする。また、後左輪がスリップしていないときには後左輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rlはリセットする。
【0051】
また同様に、前記ステップS2で算出された自車両の走行速度Vから、前記ステップS1で読み込んだ後右輪速度VwFRを減じた値が所定の設定値Slmt以上であるか否か判定し、設定値Slmt以上であるときには、後右輪がスリップしていると判断し、後右輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rrをセットする。また、後右輪がスリップしていないときには後右輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rrはリセットする。
【0052】
次にステップS9’に移行して、各車輪の目標制動力BFiを算出する。ここでは、後輪のスリップ上昇判断フラグFslp_iがリセット状態であるときには自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前後輪に等しい制動力を発生させ、後輪のスリップ上昇判断フラグFslp_iがセット状態であるときには自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪に制動力を発生させると共に、スリップしている車輪の制動力が小さくなるように後左右輪に制動力を発生させる。従って、後右輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rr及び後左輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rlのセット状態が同じであり、且つ、目標ヨーモーメントMsが負値、即ち自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの前後左輪の目標制動力BFfl、BFrlは“0”であり、前後右輪の目標制動力BFrl、BFrrは下記10式で与えられる。また、目標ヨーモーメントMsが正値、即ち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの前後右輪の目標制動力BFfr、BFrr は“0”であり、前後左輪の目標制動力BFfl、BFrlは下記11式で与えられる。なお、式中のTはトレッド(前後輪で同じとする)を示す。
【0053】
BFfr=BFrr=|Ms |/T ……… (10)
BFfl=BFrl=|Ms |/T ……… (11)
同様に、後右輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rrがセット状態であり、後左輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rlがリセット状態であり、且つ、目標ヨーモーメントMsが負値、即ち自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの前左輪の目標制動力BFflは“0”であり、前右輪及び後左右輪の目標制動力BFfr、BFrl、BFrrは下記12式で与えられる。また、後右輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rrがリセット状態であり、後左輪のスリップ上昇判断フラグFslp_rlがセット状態であり、且つ、目標ヨーモーメントMsが正値、即ち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの前左輪の目標制動力BFfrは“0”であり、前左輪及び後左右輪の目標制動力BFfl、BFrl、BFrrは下記13式で与えられる。なお、式中のBFrr_onはスリップ上昇判断フラグFslp_rlがリセット状態からセット状態に変化したときの後右輪の目標制動力であり、BFrl_onはスリップ上昇判断フラグFslp_rlがリセット状態からセット状態に変化したときの後左輪の目標制動力である。
【0054】
BFfr=3×|Ms |/T−2×BFrr_on
BFrl=|Ms |/T−BFrr_on
BFrr=BFrr_on ……… (12)
BFfl=3×|Ms |/T−2×BFrl_on
BFrl=BFrl_on
BFrr=|Ms |/T−BFrl_on ……… (13)
この演算処理によれば、前記第1実施形態と同様に、急旋回状態でなく、且つ運転者の意図的な車線変更でもなく、且つ将来の推定横変位XSが横変位限界値Xc 以上となったときに、自車両は走行車線から逸脱する傾向にあると判断されて逸脱判断フラグFLDがセットされ、前記将来の推定横変位XSと横変位限界値Xc との差に基づいて目標ヨーモーメントMs を算出し、その目標ヨーモーメントMs が達成されるように、且つ、前後輪の制動力が等しくなるように、図7aに示すように自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前後輪に等しい制動力を発生させる。これにより、例えば操舵入力が小さいときには、車両に車線逸脱を防止するヨーモーメントが発生して車線逸脱が防止されると共に、制動力によって車両の走行速度が減速されるため、より安全に車線の逸脱を防止することが可能となる。
【0055】
また、この実施形態では、自車両の走行速度Vと後左輪速度VwFLとの差や、自車両の走行速度Vと後右輪速度VwFRとの差が設定値Slmt以上になると、後輪がスリップしていると判断されてスリップ上昇判断フラグFslp_iがセットされ、図7bに示すように、スリップ傾向にある車輪の制動力が制限されると共に、前記スリップ傾向にある車輪の車両前後方向に対称な車輪の制動力に前記制限分が加算されるため、制駆動力制御でヨーモーメントが確実に発生され、スリップによる制御能力の低下が防止される。なお、この実施形態では、後輪がスリップ傾向にあることを検出する例を示したが、これに限定されるものではなく、前輪がスリップ傾向にあることを検出して、スリップ傾向にあることが検出された前輪の制動力を制限するようにしてもよい。
【0056】
次に、本発明の車線逸脱防止装置の第3実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成は、前記第1実施形態の図1のものに加えて、減衰力の大きさを5段階に切り換えることができるショックアブソーバを有するサスペンション装置を備えている。その他の構成は、前記第1実施形態の図1のものと同等である。
【0057】
この実施形態の制駆動力コントロールユニット8で行われる演算処理を図8のフローチャートに示す。この図8の演算処理は、前記第1実施形態の図2の演算処理と同等のステップを多く含んでおり、同等のステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この図8の演算処理では、前記図2の演算処理の前記ステップS9がステップS9”に、前記ステップS10がS10”に変更されている。
【0058】
このうち、ステップS9”では、各車輪への目標制動流体圧Psiを算出する。前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pm に対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧をPmRとしたとき、前記逸脱判断フラグFLDがリセット状態にあるときには、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PSFL 、PSFR は共にマスタシリンダ圧Pm となり、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PSRL 、PSRR は共に後輪用マスタシリンダ圧PmRとなる。
【0059】
一方、前記逸脱判断フラグFLDがセットされているときでも、前記目標ヨーモーメントMs が負値であるとき、即ち自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは下記14式で与えられる。
PSFL=Pm
PSFR=Pm +ΔPsf
PSRL=PmR
PSRR=PmR ……… (14)
但し、前左右輪制動流体差圧ΔPsf=2×Kbf×|Ms |/T
これに対し、前記目標ヨーモーメントMs が正値であるとき、即ち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは下記15式で与えられる。
【0060】
PSFL=Pm +ΔPsf
PSFR=Pm
PSRL=PmR
PSRR=PmR ……… (15)
また、ステップS10”では、ショックアブソーバの減衰力の大きさを設定する。ここでは、前記逸脱判断フラグFLDがセットされているときにだけショックアブソーバの減衰力の大きさを設定するので、当該逸脱判断フラグFLDがセットされており、且つ、前左右輪制動流体差圧ΔPsfが所定値ΔPss以下であるときには、当該逸脱判断フラグFLDをセットした時点の設定値よりも減衰力を1段階大きく設定し、前左右輪制動流体差圧ΔPsfが所定値ΔPssより大きいときには、当該逸脱判断フラグFLDをセットした時点の設定値よりも減衰力を2段階大きく設定する。
【0061】
この演算処理によれば、前記第1実施形態と同様に、急旋回状態でなく、且つ運転者の意図的な車線変更でもなく、且つ将来の推定横変位XSが横変位限界値Xc 以上となったときに、自車両は走行車線から逸脱する傾向にあると判断されて逸脱判断フラグFLDがセットされ、前記将来の推定横変位XSと横変位限界値Xc との差に基づいて目標ヨーモーメントMs を算出し、その目標ヨーモーメントMs が達成されるように制動力を発生させる。
【0062】
また、逸脱判断フラグFLDがセットされると、目標ヨーモーメントMs の大きさに応じてショックアブソーバの減衰力が大きく設定されるため、目標ヨーモーメントMsが大きく設定されて、左右輪の制駆動力差が大きくなったとしても、制駆動力制御時に大きなピッチングやローリングが発生することはなく、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができ、自車両が車線内に押し戻されているような感じを乗員に与えることができ、自車両が車線逸脱傾向にあることを乗員に知らせることができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、図1の各センサ及びカメラコントローラ14及び図2の演算処理のステップS1が本発明の走行状態検出手段を構成し、以下同様に、図2の演算処理のステップS3が逸脱判断手段を構成し、図2、図6及び図8の演算処理のステップS9、S10、S9’及びS9”が制駆動力制御量算出手段を構成し、図1の制動流体圧制御回路7及び駆動トルクコントロールユニット12が制駆動力制御手段を構成し、図6の演算処理のステップS13がスリップ状態検出手段を構成している。
また、上記実施の形態は本発明の車線逸脱防止装置の一例を示したものであり、装置の構成等を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車線逸脱防止装置を搭載した車両の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の制駆動力コントロールユニット内で実行される情報演算処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図2の演算処理に用いられる制御マップである。
【図4】図2の演算処理に用いられる制御マップである。
【図5】図2の演算処理の作用の説明図である。
【図6】図1の制駆動力コントロールユニット内で実行される情報演算処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図7】図6の演算処理の作用の説明図である。
【図8】図1の制駆動力コントロールユニット内で実行される情報演算処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
6FL〜6RRはホイールシリンダ
7は制動流体圧制御回路
8は制駆動力コントロールユニット
9はエンジン
12は駆動トルクコントロールユニット
13はCCDカメラ
14はカメラコントローラ
15は加速度センサ
16はヨーレートセンサ
17はマスタシリンダ圧センサ
18はアクセル開度センサ
19は操舵角センサ
20は方向指示スイッチ
22FL〜22RRは車輪速度センサ
23 車内情報提示装置

Claims (8)

  1. 車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かを判定する逸脱判定手段と、自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定されると、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように各車輪の制駆動力制御量を算出する制駆動力制御量算出手段と、その制駆動力制御量に応じて各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、を備え
    前記制駆動力制御量算出手段は、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち前後輪の制駆動力差が小さくなるような制駆動力制御量を算出することを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 前記制駆動力制御手段は、少なくとも左右輪の制動力を個別に制御できることを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
  3. 前記制駆動力制御量算出手段は、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前輪に制動力を発生し、自車両の後左右輪に制動力発生るような制駆動力制御量を算出することを特徴とする請求項2に記載の車線逸脱防止装置。
  4. 所定車輪スリップ状態にあるか否か判定するスリップ状態判定手段を備え、
    前記制駆動力制御量算出手段は、前記スリップ状態判定手段で前記所定車輪がスリップ状態にあると判定されると、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち前記所定車輪の制駆動制御量が小さくなるような制駆動力制御量を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  5. 前記制駆動力制御量算出手段は、前記スリップ状態判定手段で前記所定車輪がスリップ状態にあると判定されると、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち前記所定車輪の制駆動力制御量を制限、前記所定車輪の車両前後方向に対称な車輪の制駆動力制御量に前記制限分を加算した制駆動力制御量を算出し、
    前記スリップ状態判定手段で前記所定車輪がスリップ状態にないと判定されると、前記ヨーモーメントを発生する制駆動力制御量を複数算出可能である場合には、前記各車輪の制駆動力制御量として、前記複数算出可能な制駆動力制御量のうち自車両の走行車線からの逸脱方向と反対側の前後輪のみ制動力を発生するように制駆動力制御量を算出することを特徴とする請求項4に記載の車線逸脱防止装置。
  6. 車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かを判定する逸脱判定手段と、自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定されると、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように各車輪の制駆動力制御量を算出する制駆動力制御量算出手段と、その制駆動力制御量に応じて各車輪の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、前記制駆動力制御量算出手段で算出された左右車輪の制駆動力制御量の差が所定値より大きい場合にはサスペンション装置の減衰力を大きくする減衰力制御手段と、を備えたことを特徴とする車線逸脱防止装置。
  7. 前記逸脱判定手段は、自車両の走行状態から推定される将来の自車両の走行車線に対する横変位が所定の横変位限界値以上であるときに、自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  8. 前記制駆動力制御量算出手段は、自車両の走行状態から推定される将来の自車両の走行車線に対する横変位と横変位限界値との差が大きいほど大きい目標ヨーモーメントを算出し、の目標ヨーモーメントに基づいて各車輪の制駆動力制御量を算出することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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