JP3988729B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、走行中に自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置に関するものである。
従来、この種の技術としては、例えば、自車両が走行車線から逸脱傾向にあるときに、走行車線の基準位置から自車両の走行位置までの距離である横ずれ量に応じて、制動力アクチュエータを制御し、左右輪のうち逸脱方向とは反対側の車輪に制動力を付加することで自車両の走行車線からの逸脱を防止するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−33860号公報
しかしながら、上述のように左右輪の制動力に差を設けることで車線からの逸脱を回避するようにした場合、ドライバのアクセルペダル操作により駆動力が発生されている場合には、この駆動力と逸脱回避のための制動力とが干渉してしまう場合があり、また、車線変更等、意図的な車線逸脱の場合にはヨーモーメントが作用することによってドライバにひっかかり感等といった違和感を与える場合がある。
この発明は、上記従来の未解決の問題点に着目してなされたものであり、駆動力と車線逸脱回避制御による制御力とが干渉することなく、且つ車線逸脱防止制御による制御効果を十分に得ることの可能な車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されたとき、駆動力要求量検出手段で検出される駆動力要求量に応じて、ヨーモーメント制御分担量及び減速制御分担量が設定され、これら分担量に応じて自車両にヨーモーメントを付与するヨーモーメント制御と自車両を減速させる減速制御とが行われて逸脱回避が図られる。
このとき、駆動力要求量に相当する駆動力と減速制御分担量に応じた減速制御を行うための制御力との間の互いに反発する方向に作用する反発力が反発力検出手段により検出され、制駆動力算出手段によって、駆動力要求量に相当する駆動力から反発力を差し引いて、減速制御分担量に応じた減速を行うための目標駆動力が算出され、さらに駆動力から反発力を差し引くことにより減速制御分担量に応じた減速を達成することのできない不足分を制動力によって達成するように目標制動力が算出される。
そして、自車両が逸脱傾向にあるときには、制駆動力算出手段で算出された目標駆動力を発生するように駆動力制御が行われ、且つ、目標ヨーモーメント算出手段で算出された目標ヨーモーメントを付与するための制動力と制駆動力算出手段で算出された目標制動力との和に相当する制動力を発生するように制動力制御が行われる。
したがって、例えば、駆動力要求量が大きいときほど減速制御分担量を大きくすることにより、車線逸脱傾向でアクセルペダルが踏み込まれているような車線変更時の可能性がある場合には、ヨーモーメントが作用することによる違和感を与えることが回避されると共に、アクセル開度の変動に応じた加速が行われ、逆に、車線逸脱傾向でアクセルペダルの踏込みが小さい場合等、車線変更時ではない場合には、ヨーモーメントが作用することにより車線逸脱の回避が図られることになる。このとき、駆動力要求量に相当する駆動力から反発力を差し引いて減速制御分担量に応じた減速を達成し得る目標駆動力及び目標制動力を算出するようにしているから、駆動力と減速制御による減速を達成するための制御力との干渉が回避される。
本発明に係る車線逸脱防止装置によれば、駆動力要求量に応じた分担比でヨーモーメント制御及び減速制御を行うようにし、且つ、減速制御時には駆動力要求量に応じた駆動力から、駆動力要求量に相当する駆動力と減速制御分担量に応じた減速制御を行うための制御力との間の互いに反発する方向に作用する反発力を差し引いて減速制御分担量に応じた減速を達成し得る目標駆動力及び目標制動力を算出し、これらに応じた駆動力及び制動力を発生させるようにしたから、駆動力と車線逸脱回避のための制御力とが干渉することを回避し、車線逸脱時には、十分な逸脱回避制御効果を得ることができると共に、車線変更時にはヨーモーメントが作用することによる違和感を与えることなくアクセルペダルの変動に応じた加速を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
図1中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、ドライバによるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介挿されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
前記制動流体圧制御回路7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成されている。この制動流体圧制御回路7は、後述する車両状態コントロールユニット8からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する。
また、この車両は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、並びにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。エンジン9の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述した車両状態コントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
また、この車両には、自車両の走行車線からの逸脱判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための前方外界認識センサとして、CCDカメラ等で構成される単眼カメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、単眼カメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、その走行車線に対する自車両のヨー角θ、すなわち走行車線に対する自車両の向き、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β等を算出することができるように構成されている。
なお、このカメラコントローラ14は、レーンマーカ等を検出するための走行車線検出エリアを用いて走行車線検出を行い、その検出された走行車線に対して前記各データを算出する。走行車線の検出には、例えば特開平11−296660号公報に記載される手法を用いることができる。
具体的には、自車両が走行している走行車線の両側の白線等のレーンマーカを検出し、そのレーンマーカを用いて自車両が走行している走行車線を検出する。ここで、撮像された画像全域で白線等のレーンマーカを検出する(走査する)と、演算負荷も大きいし、時間もかかる。そこで、レーンマーカが存在しそうな領域に、更に小さな検出領域(いわゆるウィンドウ)を設定し、その検出領域内でレーンマーカを検出する。一般に、車線に対する自車両の向きが変わると、画像内に映し出されるレーンマーカの位置も変わるので、例えば前記特開平11−296660号公報では、操舵角δから車線に対する自車両の向きを推定し、画像内のレーンマーカが映し出されているであろう領域に検出領域を設定する。
そして、例えばレーンマーカと路面との境界を際立たせるフィルタ処理などを施し、各レーンマーカ検出領域内において、最もレーンマーカと路面との境界らしい直線を検出し、その直線上の一点(レーンマーカ候補点)をレーンマーカの代表的な部位として検出する。このようにして得られた各ウインドウのレーンマーカ候補点を連続すると、自車両前方に展開している走行車線を検出することができる。
また、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ15、自車両に発生するヨーレートφを検出するヨーレートセンサ16、前記マスタシリンダ3の出力圧、いわゆるマスタシリンダ圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、即ちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角δを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度、いわゆる車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20が備えられ、それらの検出信号は前記車両状態コントロールユニット8に出力される。
また、前記カメラコントローラ14で検出された走行車線に対する自車両のヨー角θ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β、駆動トルクコントロールユニット12で制御された車輪軸上での駆動トルクTwも合わせて車両状態コントロールユニット8に出力される。なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とする。即ち、ヨーレートφや横加速度Yg、操舵角δ、ヨー角θは、左旋回時に正値となり、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となる。
また、運転席近傍には、前記車両状態コントロールユニット8によって車線逸脱が検知された場合にこれをドライバに警告するための、警告用のモニタ23が設けられている。このモニタ23には、音声やブザー音を発生するためのスピーカが内蔵され、表示情報及び音声情報によってドライバに警告を発するようになっている。
次に、前記車両状態コントロールユニット8で行われる演算処理の処理手順を図2のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
この演算処理では、まずステップS1で、前記各センサや各コントローラ、コントロールユニットからの各種データを読込む。具体的には、前記各センサで検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートφ、各車輪速度Vwi、アクセル開度Acc、マスタシリンダ圧Pm、操舵角δ、方向指示スイッチ信号、カメラコントローラ14からの走行車線に対する自車両のヨー角θ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β、また駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTwを読込む。また、前記アクセル開度Accに応じた要求駆動力τmを算出する。
次に、ステップS2に移行し、逸脱推定値として将来の推定横変位Xsを算出する。具体的には、前記ステップS1で読込んだ自車両の走行車線に対するヨー角θ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β及び自車両の走行速度Vを用い、下記(1)に従って将来の推定横変位Xsを算出する。
Xs=Tt×V×(θ+Tt×V×β)+X ……(1)
なお、式(1)において、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。後述するように、本実施形態では、この将来の推定横変位Xsが所定の横変位限界値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断する。
また、前記自車両の走行速度Vは、前記ステップS1で読み込まれた各車輪速度Vwi(i=FL〜RR)のうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から算出する。
なお、ここでは、前左右輪速度VwFL、VwFRに基づいて走行速度Vを算出するようにした場合について説明したが、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御手段が搭載されており、このABS制御手段によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を用いるようにすればよい。
次にステップS3に移行し、自車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かの判断を行う。この判断は、前記ステップS2で算出した逸脱推定値としての将来の推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの比較結果に応じて行う。
具体的には、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値XcとがXs≧Xcである場合には左に逸脱すると判断し、逸脱判断フラグをFLD=ONに設定する。また、Xs≦−Xcである場合には右に逸脱すると判断し、逸脱判断フラグをFLD=ONに設定する。また、Xs≧Xc及びXs≦−Xcのいずれも満足しない場合には、逸脱していないと判断し逸脱判断フラグをFLD=OFFに設定する。
ここで、前記逸脱判断しきい値Xcは定数であって、例えば、走行車線幅Lの半分値から自車両の車幅L0の半分値を減じた値と、例えば、0.8〔m〕とのうちの何れか小さい方を用いることができる。前記走行車線幅Lは固定値(例えば高速道の車線幅3.35〔m〕)としてもよいし、ナビゲーション情報等により自車両の位置を地図データから車線幅の情報として取り込むことで、走行している道路に応じて変更するようにしてもよい。また、インフラシステムにより、道路に埋め込まれたマーカ等に基づいて検出した、自車両の逸脱方向の車線区分線までの距離“L/2−Xs”を、路車間通信等により得ることができる場合には、この情報を用いるようにしてもよい。
次いでステップS4に移行し、アクセルペダルの踏込み量に応じて、ヨーモーメント制御の分担比(以下、ヨーモーメント分担比という。)Hmと減速制御の分担比(以下、減速制御分担比という。)Hdとを算出する。具体的には、アクセル開度Accに基づいて、例えば、図3に示すように設定する。図3において、横軸はアクセル開度Acc、縦軸は分担比であって、特性線Lを境にして上側が減速制御分担比Hdを表し、下側がヨーモーメント分担比Hmを表す。なお、ヨーモーメント分担比Hmと減速制御分担比Hdとは、Hm+Hd=1となるように設定される。
そして、図3に示すように、アクセル開度Accがしきい値A1以下の領域では、ヨーモーメント分担比はHm=1、減速制御分担比はHd=0に設定される。また、アクセル開度Accが前記しきい値A1よりも値の大きいしきい値A2以上の領域では、ヨーモーメント分担比はHm=0に設定され、減速制御分担比はHd=1に設定される。さらに、アクセル開度Accがしきい値A1よりも大きく且つしきい値A2よりも小さい領域では、アクセル開度Accの増加に伴ってこれに反比例してヨーモーメント分担比Hmは減少し逆に減速制御分担比Hdは増加するように設定される。
つまり、アクセル開度Accが大きい場合には車線変更の意思があると判断して減速制御のみを行い、車線変更時にヨーモーメントが発生することによりドライバに違和感を与えることを回避するようになっている。逆に、アクセル開度Accが小さい場合には車線変更の意思はないと判断してヨーモーメント制御のみを行い、車線変更の意思がないにも関わらず車線逸脱傾向にある場合にはヨーモーメントを発生させることで速やかに車線逸脱を回避するようになっている。
さらに、アクセル開度Accがしきい値A1からA2の間にある場合にはヨーモーメント制御及び減速制御を共に行うことによって、車線変更に移行する場合等アクセル開度Accが大きくなるほどヨーモーメント分担比Hmを減少させ、車両に付与されるヨーモーメントを徐々に低下させて車線変更への移行時にヨーモーメントが発生されることによりドライバへ違和感を与えることを低減し、逆にアクセル開度Accが小さくなるほど車線変更の可能性が低いとして、ヨーモーメント分担比Hmを増加させ、ヨーモーメント制御を優先することにより車線逸脱を速やかに回避するようになっている。
このようにして、ヨーモーメント分担比Hm及び減速制御分担比Hdを設定したならば、これら分担比に基づいてヨーモーメント制御で分担する推定横変位(以後、ヨーモーメント分担横変位という。)Xm及び減速制御で分担する推定横変位(以後、減速制御分担横変位という。)Xdを算出する。
具体的には、前記ステップS2で算出される推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの偏差(つまり逸脱量)に基づき算出し、Xs≧Xcの場合には次式(2)を参照し、Xs≦−Xcの場合には次式(3)を参照して、前記ヨーモーメント分担横変位Xm及び減速制御分担横変位Xdを算出する。
Xm=Hm×(Xs−Xc)
Xd=Hd×(Xs−Xc) ……(2)
Xm=Hm×(Xs+Xc)
Xd=Hd×(Xs+Xc) ……(3)
次いで、ステップS5に移行し、減速制御分担比Hdに応じた減速量を得るための制動力を発生させた場合に、要求駆動力τmに応じて発生される駆動力と互いに反発すると予測される反発力に相当する制駆動力反発力τcを算出する。この制駆動力反発力τcは、ステップS3で設定した逸脱判断フラグFLDが“ON”であるときのみ、ステップS4で算出された減速制御分担横変位Xdに応じて次式(4)にしたがって算出する。なお、逸脱判断フラグFLDが“OFF”であるときには、τc=0とする。
τc=K1×K2×Xd ……(4)
なお、(4)式中のK1は、車両諸元によって定まる比例係数である。また、K2は車速に応じて変動する比例係数であって、例えば、車速が大きくなるほど比例係数K2が小さくなるように設定される。
次いで、ステップS6に移行し、逸脱回避のために車両に付与する目標ヨーモーメントMsを算出する。この目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFLDが“ON”であるときにのみ設定し、具体的には、前記ヨーモーメント分担横変位Xmに応じて次式(5)にしたがって参照する。なお、前記逸脱判断フラグFLDが“OFF”であるときには、目標ヨーモーメントはMs=0に設定する。
Ms=−K11×K12×Ka×Xm ……(5)
なお、式(5)中のK11は車両諸元によって定まる比例係数である。また、K12は車速に応じて変動する比例係数であって、例えば、車速が大きくなるほど比例係数K12が小さくなるように設定される。また、Kaは、アクセル開度Accに応じて設定される補正ゲインであって、例えば、図4に示すように設定される。
図4において、横軸はアクセル開度Acc、縦軸は補正ゲインKaである。この補正ゲインKaは、アクセル開度Accが零のときには100〔%〕に設定され、アクセル開度Accが増加するとこれに反比例して補正ゲインKaは減少し、アクセル開度Accがしきい値A11以上となると補正ゲインKaは0〔%〕に設定される。つまり、アクセル開度Accが大きくなり、車線変更の可能性が高くなるほど前記(5)式で算出される目標ヨーモーメントMsを抑制するようになっている。
次いでステップS7に移行し、目標駆動力τsを算出する。この目標駆動力τsは、前記ステップS1で算出した要求駆動力τm、ステップS5で算出した制駆動力反発力τcに基づいて算出する。具体的には、制駆動力反発力τcが、ドライバの要求駆動力τmを零以上の範囲で制限すること及びエンジンブレーキ力を発生させることで達成可能な範囲である場合には、ドライバの要求駆動力τmから制駆動力反発力τcを差し引いて算出し、達成可能な範囲以上である場合には目標駆動力τsとしてエンジンブレーキ力相当でリミットをかけ、不足分については、制動力を制御することによって達成する。
つまり、逸脱判断フラグFLDが“OFF”のときには、駆動力を制限する必要はないから目標駆動力τsとしてアクセル開度Accに応じた要求駆動力τmを設定する。一方、逸脱判断フラグFLDが“ON”の場合には、場合わけを行い、制駆動力反発力がτc≦τm+τeを満足する場合には、目標駆動力τsを次式(6)により算出し、τc>τm+τeを満足する場合には、次式(7)により算出する。なお、τeは、この時点で期待することの可能なエンジンブレーキ力の絶対値であって、この時点におけるエンジンの運転状態、自動変速機、スロットル開度等に基づいて算出する。
τs=τm−τc ……(6)
τs=−τe ……(7)
次いで、ステップS8に移行し、目標制動流体圧Psを算出する。
まず、減速制御分担相当の減速を行うための目標制動力τbを算出し、この目標制動力τbに相当する減速制動制御流体圧Pgを算出する。具体的には、前記ステップS5で算出した制駆動力反発力τcのうち、ステップS7における駆動力制限を行っても不足する制駆動力反発力相当分を、目標制動力τbとする。つまり、逸脱判断フラグFLDが“ON”の場合、制駆動力反発力τcが、τc≦τm+τeの場合には、目標制動力τb=0とする。逆に、τc>τm+τeの場合には、目標制動力τbは、次式(8)から算出する。
τb=τc−(τm+τe) ……(8)
そして、このようにして算出した目標制動力τbに、制動力を制御流体圧に換算するための換算係数Kbを乗算し、減速制動制御流体圧Pg(=Kb×τb)を算出する。なお、この換算係数Kbは、ブレーキ諸元により定まる。
次に、前記減速制動制御流体圧Pg、ステップS6で算出した目標ヨーモーメントMs及び、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに基づいて、各車輪への目標制動流体圧PSiを算出する。
まず、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧をPmRとしたとき、前記逸脱判断フラグがFLD=OFFである場合には、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PsFL、PsFRは共に、マスタシリンダ圧Pmとなり、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PsRL、PsRRは共に後輪用マスタシリンダ圧PmRとなる。
一方、前記逸脱判断フラグがFLD=ONである場合には、前記目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて場合分けを行う。すなわち、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0未満であるときには後左右輪の制動力にだけ差を発生させ、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0以上であるときには前後左右輪の制動力に差を発生させる。したがって、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0未満であるときの前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは“0”であり、後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(9)で設定される。なお、式(9)中のTは、トレッド(前後輪で同じとする)、KbF、KbRはそれぞれ、制動力を制動流体圧に換算するための換算係数であり、ブレーキ諸元によって決まる。
ΔPsR=2×KbR×|Ms|/T ……(9)
同様に、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0以上であるときの前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは次式(10)で、また後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(11)で与えられる。
ΔPsF=2×KbF×(|Ms|−Ms0)/T ……(10)
ΔPsR=2×KbR×Ms0/T ……(11)
なお、ここでは、前後輪をそれぞれ制御するようにした場合について説明したが、例えば前輪のみで制御するようにしてもよく、この場合には、ΔPsF=2×KbF×|Ms|/Tとするようにしてもよい。
したがって、前記目標ヨーモーメントMsが負値であるとき、すなわち、自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは、マスタシリンダ圧Pm、前後の左右輪目標制動流体圧差ΔPsF及びΔPsR、減速制動制御流体圧Pgに応じて、次式(12)で与えられる。なお、式(12)中のPgF及びPgRは、前後制動力配分に応じて減速制動制御流体圧Pgから算出される前輪用減速制動制御流体圧及び後輪用減速制動制御流体圧である。
PsFL=Pm+PgF
PsFR=Pm+PgF+ΔPsF
PsRL=PmR+PgR
PsRR=PmR+PgR+ΔPsR ……(12)
これに対し、前記目標ヨーモーメントMsが正値であるとき、すなわち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは下記(13)式で与えられる。
PsFL=Pm+PgF+ΔPsF
PsFR=Pm+PgF
PsRL=PmR+PgR+ΔPsR
PsRR=PmR+PgR ……(13)
なお、ここでは、各車輪の目標制動流体圧Psとして、マスタシリンダ液圧Pmと、目標ヨーモーメントMsから算出される制動流体圧と、減速制動制御量Pgから算出される制動流体圧との和から算出するようにしているが、これに限るものではなく、例えば、これらのうちの何れか大きいものを選択するようにしてもよい。
このようにして目標制動流体圧Psiを算出したならば、ステップS9に移行し、前記ステップS7で算出した目標駆動力τsを発生するよう駆動トルクコントロールユニット12に制御信号を出力する。
次いで、ステップS10に移行して、前記ステップS8で算出した各車輪の目標制動流体圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。また、前記車線逸脱フラグFLDが“ON”である場合には、警告用のモニタ23を作動させ車線逸脱傾向にあることを通報する等の処理を行う。そして、メインプログラムに復帰する。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
今、自車両が走行車線中央を走行している場合には、前記ステップS2で算出される推定横変位Xsが、Xs≧Xc及びXs≦−Xcのいずれも満足しないから、逸脱判断フラグはFLD=OFFに設定される(ステップS3)。
そして、このときのアクセル開度Accに基づいてヨーモーメント分担比Hm及び減速制御分担比Hdが設定され、これに基づいて、推定横変位Xsとしきい値Xcとの差つまり、自車両の逸脱量に応じて、ヨーモーメント分担横変位Xm及び減速制御分担横変位Xdが算出される(ステップS4)。このとき、逸脱判断フラグがFLD=OFFであって自車両は車線逸脱傾向にないから、目標ヨーモーメントはMs=0に設定され(ステップS6)、また、目標駆動力τsはアクセルペダルの操作量に応じた要求駆動力τmが設定される。
したがって、車両にヨーモーメントが発生されることはなく、また、アクセルペダルの操作量に応じた駆動力が発生されることになって、ドライバの意図に即した車両挙動となる。
この状態から、自車両が左に逸脱する傾向となり推定横変位Xsが増加し、Xs≧Xcとなると逸脱判断フラグがFLD=ONに設定され(ステップS3)、例えばドライバに車線変更の意思がなくアクセル開度Accが比較的小さい場合には、図3の制御マップからヨーモーメント制御の割合がより大きくなるよう分担比が設定され、この分担比に応じた減速制御分担横変位Xd及びヨーモーメント分担横変位Xmに応じて制駆動力反発力τc及び目標ヨーモーメントMsがそれぞれ算出される。このとき、アクセル開度Accが小さくなるほど補正ゲインKaは大きくなるように設定されるから、目標ヨーモーメントMsは逸脱量に応じたヨーモーメント近傍の値に設定される。
また、前記制駆動力反発力τcは、減速制御分担横変位Hdが小さくなるほど小さな値となるように設定される。そして、このときのアクセルペダルの踏込み量に応じた要求駆動力τmから、制駆動力反発力τcを差し引いた値が目標駆動力τsとして設定され、駆動力を低減することにより、車線逸脱の回避のための減速制御により必要な制御量に相当する制駆動力反発力τcが確保され、駆動力制御により確保することのできなかった不足分が目標制動力τbとして算出される。
そして、前記制駆動力反発力τc相当を要求駆動力τmから差し引いた駆動力が発生されると共に、駆動力の低減により制駆動力反発力τcを確保することのできなかった場合にはその不足分に相当する目標制動力τbと目標ヨーモーメントMsとの和に相当する制動力が発生されることになる。
したがって、例えば、ドライバが無意識のうちに車線逸脱傾向になった場合等、アクセルペダルの操作量が比較的小さくドライバに車線変更の意思がないと判断される場合には、ヨーモーメント制御による制御割合が大きく、車線逸脱量に応じたヨーモーメントが車両に作用することになって、車両の車線逸脱が速やかに回避されることになる。
また、このとき、減速制御分担比Hdは小さく減速制御分担横変位Xdに応じて算出される反発力τcが比較的小さくなるため、要求駆動力τmはそれほど低減されず、発生される駆動力はそれほど抑制されないが、アクセルペダルの踏込み量は比較的小さいから、ヨーモーメント制御による制動力と駆動力とがそれほど干渉することはなく、ヨーモーメントを発生することにより十分な逸脱回避効果を得ることができる。
一方、ドライバが車線変更を目的としてアクセルペダルを踏込むと、図3の制御マップから、減速制御による制御割合の方がより大きくなるように分担比が設定され、この分担比に応じた減速制御分担横変位Xd及びヨーモーメント分担横変位Xmに応じて制駆動力反発力τc及び目標ヨーモーメントMsがそれぞれ算出され、要求駆動力τmから、制駆動力反発力τcを差し引いた値が目標駆動力τsとして設定され、不足分は目標制動力τbにより実現される。
したがって、ドライバに車線変更の意思があってアクセルペダルを大きく踏み込んだ場合には、減速制御の制御割合が大きく、車線逸脱量に応じた制駆動力反発力τcを確保するよう駆動力及び制動力が制御されることになって、車線逸脱を抑制するための減速制御が行われ、且つ、アクセルペダルの操作量に応じて駆動力が増加することになって、車線逸脱を抑制しつつ、アクセルペダルの操作に即して加速されることになる。
このため、ドライバの意思に即して加速が行われることになり、アクセルペダルを操作しているにも関わらず加速されない等といった、減速制御が行われることに起因してドライバに違和感を与えることを回避することができる。また、このとき、アクセルペダルの踏込み量が大きいときほどヨーモーメント制御による制御割合が小さくなるようにしているから、車線変更の意思があってアクセルペダルが比較的大きく踏み込まれている場合には車両に作用するヨーモーメントは小さく、車線変更中にヨーモーメントが作用することに起因してドライバにひっかかり感といった、違和感を与えることを回避することができる。
また、前記アクセル開度Accが大きい場合には、減速制御を行うようにしているから、車線変更でない場合には減速制御による逸脱回避を図ることができ、車線変更時の加速を実現することができると共に、車線変更ではない場合の車線逸脱回避効果を確保することができる。
また、図3に示すように、アクセル開度Accの増加に伴って減速制御分担比Hdを増加させ、アクセル開度Accの低下に伴ってヨーモーメント分担比Hmを増加させるようにしているから、車線変更開始時及び車線変更終了時のアクセル開度Accの変化に即してなめらかにヨーモーメント制御及び減速制御を切り替えることができる。
また、図4に示すように、アクセル開度Accが大きいときほどヨーモーメントを抑制するようにしているから、意図的な車線変更時等、アクセルペダルの踏込み量が大きい場合にはヨーモーメント制御量を小さくし、逆に、ドライバが逸脱と認識しアクセルペダルの踏込みを緩めた場合には、これに応じてヨーモーメント制御量も大きくなることから、意図的な車線変更時におけるヨーモーメントが作用することによる違和感の低減を図ることができると共に車線逸脱時の逸脱回避効果との両立を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、車両状態コントロールユニット8で実行される演算処理の処理手順が異なること以外は上記第1の実施の形態と同様であるので同一部の詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態では、図5のフローチャートに示す手順で演算処理を行う。まず、ステップS11で各種データを読み込み、次いで、ステップS12に移行し、上記第1の実施の形態と同様にして、推定横変位Xsを算出し車線逸脱判断(ステップS13)を行った後、逸脱回避分担量の算出を行う(ステップS14)。
そして、ステップS15に移行し目標駆動力を算出する。この目標駆動力は、図6に示すように、逸脱判断フラグFLDとアクセル開度Accとに応じて、目標駆動力に相当する擬似アクセル開度Asを算出することにより行う。
すなわち、図6に示すように、逸脱判断フラグFLDが“ON”の場合には、擬似アクセル開度Asとして、逸脱判断フラグFLDが“ON”に切り替わった時点におけるアクセル開度Accを初期値A0として、この初期値A0から零まで徐々に減少する値を設定する。一方、逸脱判断フラグFLDが“OFF”の場合には、逸脱判断フラグFLDが“OFF”に切り替わった時点における擬似アクセル開度Asを初期値として逐次入力されるアクセル開度Accまで徐々に増加する値を設定する。なお、擬似アクセル開度Asがアクセル開度Accに達した場合には以後、逐次入力されるアクセル開度Accを擬似アクセル開度Asとして設定する。
このようにして擬似アクセル開度Asすなわち目標駆動力を設定したならば、続いてステップS16に移行し、目標ヨーモーメントMsを算出する。この目標ヨーモーメントMsは上記第1の実施の形態と同様にして算出し、逸脱判断フラグFLDが“OFF”である場合には零、逸脱判断フラグFLDが“0N”である場合には、ヨーモーメント分担横変位Xmと、前記図4に示す制御マップにしたがってアクセル開度Accに応じて設定される補正ゲインKaとに応じて設定される。
次いで、ステップS17に移行し、減速制御量として車両に発生させる減速制動制御流体圧Pgを算出する。具体的には、前記逸脱判断フラグFLDが“OFF”の場合には、車線逸脱を抑制するための減速制動制御流体圧を発生させる必要はないから減速制動制御流体圧Pgは零に設定される。一方、逸脱判断フラグFLDが“ON”である場合には、減速制御分担横変位Xdに応じて次式(14)から算出される。なお、式(14)中の、K21は車両諸元によって定まる比例係数であり、また、K22は車速に応じて変動する比例係数である。
Pg=K21×K22×Xd ……(14)
次いで、ステップS18に移行し、前記ステップS16で算出した目標ヨーモーメントMs、ステップS17で算出した減速制動制御流体圧Pgに応じて、前記ステップS8での処理と同様にして自車両の車線からの逸脱を回避するために必要な目標制動流体圧Psを算出する。
次いでステップS19に移行し、以後、上記第1の実施の形態と同様にして、前記ステップS15で算出した擬似アクセル開度Asに応じた駆動力を発生するよう駆動トルクコントロールユニット12に制御信号を出力し、ステップS20に移行して、ステップS18で算出した各車輪の目標制動流体圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。また、前記車線逸脱フラグFLDが“ON”である場合には、警告用のモニタ23を作動させ車線逸脱傾向にあることを通報する等の処理を行う。そして、メインプログラムに復帰する。
次に、本発明の第2の実施の形態の動作を説明する。
今、自車両が走行車線中央よりを走行している場合には、前記ステップS2で算出される推定横変位Xsが、Xs≧Xc及びXs≦−Xcのいずれも満足しないから、逸脱判断フラグはFLD=OFFに設定される(ステップS13)。
そして、このときのアクセル開度Accに基づいてヨーモーメント分担比Hm及び減速制御分担比Hdが設定され、これに基づいて、推定横変位Xsとしきい値Xcとの差つまり、自車両の車線逸脱量に応じて、ヨーモーメント分担横変位Xm及び減速制御分担横変位Xdが算出される(ステップS14)。このとき、逸脱判断フラグがFLD=OFFであって自車両は車線逸脱傾向にないから、擬似アクセル開度Asとしてこのときのアクセル開度Accが設定され、このとき前回の擬似アクセル開度Asとして前回のアクセル開度Accが設定されていない場合には、逐次読み込まれるアクセル開度Accに徐々に近づくように擬似アクセル開度Asが設定される(ステップS15)。また、目標ヨーモーメントはMs=0に設定され(ステップS16)、減速制動制御流体圧Pgは零に設定される(ステップS17)。
したがって、車両にヨーモーメントや制動力作用することはなく、また、アクセルペダルの操作量に応じた駆動力が発生されることになって、ドライバの意図に即した車両挙動となる。
この状態から、自車両が左に逸脱する傾向となり推定横変位Xsが増加し、Xs≧Xcとなると逸脱判断フラグがFLD=ONに設定され(ステップS13)、例えばドライバに車線変更の意思がなくアクセル開度Accが比較的小さい場合には、図3の制御マップからヨーモーメント制御の割合がより大きくなるよう分担比が設定され、この分担比に応じた減速制御分担横変位Xd及びヨーモーメント分担横変位Xmが算出される(ステップS14)。そして、擬似アクセル開度Asは、この時点における擬似アクセル開度Asを初期値として零まで徐々に減少するように設定される(ステップS15)。
そして、このときのヨーモーメント分担横変位Xmに応じて、このヨーモーメント分担横変位Xmが大きくなるほど大きな値となるように、且つ、アクセル開度Accが小さいときほどヨーモーメント分担横変位Xmに応じた目標ヨーモーメントMsが算出され(ステップS16)、また、減速制御分担横変位Xdに応じて、この減速制御分担横変位Xdが大きくなるほど大きな値となるように減速制動制御流体圧Pgが算出される(ステップS17)。
このため、前記擬似アクセル開度Asに応じた徐々に低減する駆動力が発生されると共に、ヨーモーメント分担横変位Xm及び減速制御分担横変位Xdに応じたヨーモーメント及び制動力が発生されることになる。
したがって、この場合も上記第1の実施の形態と同様に、ドライバが無意識のうちに車線逸脱傾向にある場合等、アクセルペダルの操作量が比較的小さくドライバに車線変更の意思がないと判断される場合には、ヨーモーメント制御の制御割合が大きく、車線逸脱量に応じたヨーモーメントが車両に作用することになって、車両の車線逸脱が速やかに回避されることになる。また、このとき、発生される駆動力は、アクセル開度Accに応じた駆動力から徐々に減少するから、車線逸脱のためのヨーモーメントや減速制動流体圧と駆動力とが互いに干渉することを回避することができ、十分な逸脱回避効果を得ることができる。
一方、ドライバが車線変更を目的としてアクセルペダルを踏込むと、アクセル開度Accが大きい場合には、図3の制御マップから、減速制御による制御割合の方がより大きくなるように分担比が設定され、この分担比に応じた減速制御分担横変位Xd及びヨーモーメント分担横変位Xmに応じて目標ヨーモーメントMs及び減速制動制御流体圧Pgがそれぞれ算出され、また、擬似アクセル開度Asは徐々に零まで低減するように設定される。
したがって、ドライバに車線変更の意思があってアクセルペダルを大きく踏み込んだ場合には、自車両に作用するヨーモーメントの制御割合は小さいから、車線変更時にヨーモーメントが作用することによってドライバに違和感を与えることを低減することを回避することができる。
また、車線変更の意思がなく、アクセルペダルが踏み込まれた場合には、主に減速制御を行うようにしており、減速制御分担横変位Xdに相当する減速制動制御流体圧を発生させるようにしているから、車線逸脱を抑制するための減速制御を行うことができる。また、このとき、車線逸脱回避のためのヨーモーメントや制動力を発生させている間は、擬似アクセル開度Asに応じた駆動力を発生させることで、駆動力の低減を図るようにしているから、車線逸脱回避のための制動力と駆動力とが干渉することを回避し、自車両の車線逸脱を効果的に回避することができると共に、車線逸脱を検知した時点におけるアクセル開度Accにおける駆動力を初期値として駆動力は徐々に減少するから、車線変更の意思がある場合には、比較的大きな駆動力から徐々に減少することになり、車線変更に十分な駆動力を確保することができる。
また、前記擬似アクセル開度Asは、図6に示すように、逸脱判断フラグFLDが“ON”となったときには徐々に零となるように設定し、また、逸脱判断フラグFLDが“OFF”となったときには逐次読み込まれるアクセル開度Accまで徐々に増加するようにしているから、逸脱判断フラグFLDの切り替わりに伴って、駆動力が大きく変動することを回避することができ、車両挙動の安定を図ることができる。
また、このとき図6に示すように、逸脱判断フラグFLDが“OFF”となって擬似アクセル開度Asをアクセル開度Accまで増加させる際に、擬似アクセル開度Asを速やかに変化させることによって、例えば、車線逸脱から回復したときには速やかに駆動力を回復させ、逆にヨーモーメントの発生を抑制することで、車線逸脱から回復したにも関わらずヨーモーメントが作用することを回避することができる。また、車線逸脱初期時には緩やかに擬似アクセル開度Asを低減させることによって、例えば意図して一時的に車線逸脱傾向となった場合等に、駆動力が必要以上に低減されることを回避し、その後、車線逸脱傾向から回復したときの速やかな駆動力の回復を図ることができる。
なお、上記各実施の形態においては、左側に車線逸脱する場合について説明したが、右側に車線逸脱する場合も同様の作用効果を得ることができる。
ここで、上記第1の実施の形態において、図2のステップS3の処理が逸脱検出手段に対応し、アクセル開度センサ18が駆動力要求量検出手段に対応し、図2のステップS4の処理が分担量設定手段に対応し、ステップS6の処理が目標ヨーモーメント算出手段に対応し、ステップS5の処理が反発力検出手段に対応し、ステップS7及びステップS8の処理が制駆動力算出手段に対応し、ステップS9の処理が駆動力制御手段に対応し、ステップS10の処理が制動力制御手段に対応している。
また、上記第2の実施の形態において、図5のステップS13の処理が逸脱検出手段に対応し、駆動トルクコントロールユニット12及びエンジン9が駆動力発生手段に対応し、アクセル開度センサ18が駆動力要求量検出手段に対応し、ステップS14の処理が分担量設定手段に対応し、ステップS16の処理が目標ヨーモーメント算出手段に対応し、ステップS17の処理が減速制御量算出手段に対応し、ステップS15及びステップS19の処理が駆動力抑制手段に対応し、ステップS18及びステップS20の処理が制動力制御手段に対応している。
本発明における車線逸脱防止装置を搭載した車両の一例を示す概略構成図である。 図1の車両状態コントロールユニット内で実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図2の演算処理で用いられる制御マップである。 図2の演算処理で用いられる制御マップである。 第2の実施の形態で実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 擬似アクセル開度Asの設定方法を説明するための説明図である。
符号の説明
5FL〜5RR 車輪
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 車両状態コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 単眼カメラ
14 カメラコントローラ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
20 方向指示スイッチ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
23 モニタ

Claims (4)

  1. 自車両が車線逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段を備え、
    当該逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されたとき、自車両の走行車線からの逸脱を、自車両にヨーモーメントを付与するヨーモーメント制御と自車両を減速させる減速制御とで分担して回避するようにした車線逸脱防止装置において、
    駆動力要求量を検出する駆動力要求量検出手段と、
    当該駆動力要求量検出手段で検出された駆動力要求量に応じて前記ヨーモーメント制御及び前記減速制御の分担量を設定する分担量設定手段と、
    当該分担量設定手段で設定したヨーモーメント制御分担量に応じて目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、
    前記駆動力要求量検出手段で検出された駆動力要求量に相当する駆動力と前記分担量設定手段で設定した減速制御分担量に応じた減速制御を行うための制御力との間の互いに反発する方向に作用する反発力を推測する反発力検出手段と、
    前記駆動力要求量に相当する駆動力から前記反発力を差し引いて前記減速制御分担量に応じた減速を行うための目標駆動力及び目標制動力を算出する制駆動力算出手段と、
    自車両が逸脱傾向にあるとき、前記制駆動力算出手段で算出した目標駆動力を発生するように駆動力制御を行う駆動力制御手段と、
    自車両が逸脱傾向にあるとき、前記目標ヨーモーメント算出手段で算出された目標ヨーモーメントを付与するための制動力と前記制駆動力算出手段で算出された目標制動力との和に相当する制動力を発生するように制動力制御を行う制動力制御手段と、
    を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 自車両が車線逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段を備え、
    当該逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されたとき、自車両の走行車線からの逸脱を、自車両にヨーモーメントを付与するヨーモーメント制御と自車両を減速させる減速制御とで分担して回避するようにした車線逸脱防止装置において、
    駆動力要求量に応じた駆動力を発生する駆動力発生手段と、
    前記駆動力要求量を検出する駆動力要求量検出手段と、
    当該駆動力要求量検出手段で検出された駆動力要求量に応じて前記ヨーモーメント制御及び前記減速制御の分担量を設定する分担量設定手段と、
    当該分担量設定手段で設定したヨーモーメント制御分担量に応じて目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、
    前記分担量設定手段で設定した減速制御分担量に応じた減速制御を行うための減速制御用制動力を算出する減速制御量算出手段と、
    前記車線逸脱傾向にあることが検出されたとき、前記駆動力発生手段で発生される駆動力を抑制する駆動力抑制手段と、
    前記車線逸脱傾向にあるとき、前記減速制御量算出手段で算出した減速制御用制動力と前記目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントを実現するための制動力との和に相当する制動力を発生するよう制動力制御を行う制動力制御手段と、を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  3. 前記分担量設定手段は、前記駆動力要求量が第1のしきい値以下であるときには前記ヨーモーメント制御のみを行い、前記駆動力要求量が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以上であるときには前記減速制御のみを行い、前記駆動力要求量が前記第1のしきい値よりも大きく且つ前記第2のしきい値よりも小さいときには前記ヨーモーメント制御及び前記減速制御を所定の割合で共に行うようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の車線逸脱防止装置。
  4. 前記目標ヨーモーメント算出手段で算出される目標ヨーモーメントは、前記駆動力要求量に応じて算出されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置
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