JP3790300B2 - 収納箱のダンパー装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のインストルメントパネルに開閉可能に設けられるグローブボックス等の収納箱に使用されるダンパー装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グローブボックス等の収納箱においては、収納箱自体が急激に開いたり、不快な衝撃音が発生することなどを防止するために、収納箱の開閉動作をコントロールするダンパー装置の付設が必要となる場合がある。
そこで、この種ダンパー装置として、例えば、実開平5−76894号公報に示すエア式のダンパー装置が提案されている。
【0003】
該従来のダンパー装置は、具体的には図示しないが、主として、シリンダーとピストンとワイヤーの独立した3部品とからなり、シリンダーの内部にシールリングを周設したピストンを摺動可能に配して、該ピストンを圧縮コイルばねで一方向に付勢する一方、シリンダーの前端開口部側にガイドキャップを嵌着して、該ガイドキャップで任意方向に配線されるワイヤーの一端部を上記ピストンに連結する構成となっている。
【0004】
又、シリンダーの後端部側に対しては、円筒部と通気孔を有する後壁を一体に形成して、当該後壁の円筒部内に、オリフィスを穿設したシートバルブとバックアップばねとエアフィルターを順に配して、該エアフィルター側を開口付きのリテーナで保持する構成となっている。
【0005】
従って、斯るダンパー装置をグローブボックスに使用する場合には、シリンダーをグローブボックス側又はインストルメントパネル側のいずれか一方に固定し、上記ガイドキャップを介して配線されるワイヤーの他端部を他方に固定すれば良い。
【0006】
そして、実際の作動に際して、グローブボックスをその自重を利用して開放方向へ回動させると、ワイヤーが外方へ引っ張られるので、これに応じて、ピストンが圧縮コイルばねの付勢ばね圧に抗してガイドキャップ側に摺動して、グローブボックスの回動を許容する。
しかし、斯るグローブボックスの回動時には、ピストンの摺動により、空気がエアフィルターの微細孔からシートバルブのオリフィスを経てシリンダーの内部に吸い込まれるが、シリンダー内は負圧状態となって、ピストンの摺動に制動力を働かせるので、これにより、グローブボックスの開放動作がコントロールされて、グローブボックスはゆっくりと開放方向へ回動することが保障される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、従来のダンパー装置の下では、主要な構成部品はシリンダーとピストンとワイヤーとからなると雖も、これらは全て独立した部品であり、且つ、付属部品にも独立したかなりの数の部品を必要とするので、自ずと、部品点数が増加することは言うまでもないが、特に、これに伴い、装置自体の組み付け作業が徒に大変となって、コスト高となってしまう嫌いがあった。
【0008】
又、従来のダンパー装置にあっては、ピストンの摺動に伴うシリンダー内の負圧状態を利用して、グローブボックスの開放動作をコントロールする関係で、比較的小さな制動力しか提供できないので、必要な制動力を得るためには、自ずと、装置全体を大型化しなければならない問題点をも併せて有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯る従来ダンパー装置の課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載のダンパー装置は、中央ヒンジ部を介して連設される一対の取付基板を備え、一方の取付基板側に圧縮コイルばねを配したシリンダー部を形成し、他方の取付基板側にシリンダー部内で圧縮コイルばねの影響を受けて摺動するピストン部を形成して、一対の取付基板を上記中央ヒンジ部を介して折り畳むことにより、シリンダー部にピストン部を組み込むことを特徴とする。
【0010】
又、請求項2記載のダンパー装置は、請求項1の下で、シリンダー部は、その外周面に押圧突起を衝突させる突起受けを設け、ピストン部は、その先端部側に通気孔を穿設すると共に、シリンダー部の内圧の変化で該通気孔に接離するバルブ手段を有するシールリングを周設したことを特徴とする。
【0011】
依って、請求項1記載のダンパー装置にあっては、シリンダー部とピストン部とを中央ヒンジ部を介して連結される一対の取付基板に形成した関係で、その組み付けに際しては、一対の取付基板を中央ヒンジ部を介して折り畳むだけで、シリンダー部にピストン部を自動的に組み込めるので、組み付け作業が頗る簡素化される。
【0012】
又、請求項2記載のダンパー装置にあっては、今仮に、取付基板をインストルメントパネル等の周辺部材側に固定する状態を得て、収納箱を開放方向へ移動させると、該収納箱側に設けられている押圧突起がシリンダー部の突起受けに衝突して、シリンダー部を一方の取付基板を伴って収納箱の開放方向へ移動させるので、この結果、ピストン部が圧縮コイルばねのばね圧に抗してシリンダー部内を摺動する。
すると、このピストン部の摺動により、シリンダー部の内圧が上昇して、シールリングのバルブ手段がピストン部の先端部側に穿設されている通気孔を塞いで、シリンダー部内を正圧状態となして、ピストンの摺動に制動力を働かせるので、これにより、収納箱の開放動作がコントロールされて、収納箱はゆっくりと開放方向へ移動することが保障される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する一実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係るダンパー装置も、自動車のインストルメントパネルに開閉可能に設けられるグローブボックスを対象として開発されたものであるが、従来の如く、シリンダーやピストンを独立して用いるものではなく、特徴とするところは、図1に示す如く、薄肉の中央ヒンジ部2を介して連設される一対の取付基板1A・1Bを備えて、一方の取付基板1A側に、内部に圧縮コイルばね4を配するシリンダー部3を形成し、他方の取付基板1B側に、該シリンダー部3内で圧縮コイルばね4の影響を受けて摺動するピストン部5を形成する点にある。
【0014】
これを詳しく説明すると、シリンダー部3は、図示する如く、先端側が開口して所定の曲率をもって湾曲する円筒体として一方の取付基板1A面から一体に突設されて、その開口縁の一縁にグローブボックス側に設けられる押圧突起を衝突させる突起受け6を設け、他縁に後述するストッパーアームの鈎状先端部を係止する係止爪7を設ける構成となっている。
【0015】
又、ピストン部5は、特に、図2に示す如く、ロッド8とキャップ9とシールリング10とからなり、第一のロッド8は、同じく所定の曲率をもって湾曲する断面十字体として他方の取付基板1B面から一体に突設されて、その先端部にキャップ9を保持する保持筒11を画成し、該保持筒11に複数のスリット孔12を開設して、該各スリット孔12の内側上部にロック爪13を設ける構成となっている。
【0016】
第二のキャップ9は、後端側のみが開口する中空状の円筒体として成形されて、中央外周面側に環状のフランジ14を設け、後端外周面側に上記ロック爪13に係止する環状の係止肩15を設ける一方、先端外周面側に上記フランジ14と共働してシールリング10を周設する周設溝16を画成すると共に、先端面側に上記圧縮コイルばね4の座巻部を受ける受け肩17を画成し、且つ、先端中央部に後述するシールリング10のバルブ板を装着するための凹溝18を形成して、当該凹溝18面に通気孔19とオリフィス20を穿設する構成となっている。
【0017】
第三のシールリング10は、そのリング部は合成ゴム又は軟質樹脂材料で成形されるものであるが、一側面側に略逆M字状を呈する金属製のバルブ板21を一体に設けて、該バルブ板21を上記凹溝18内に臨ましめながら、シールリング10のリング部を上記周設溝16内に係止することにより、シールリング10自体がキャップ9の先端部に周設されると同時に、バルブ板21と通気孔19の孔縁とが微小のクリアランスをもって対面して、シリンダー部3の内圧の変化により、当該バルブ板21が通気孔19に対して接離できる構成となっている。
【0018】
従って、キャップ9に対するシールリング10の周設状態を得て、キャップ9の後端部をロッド8の保持筒11内に押し込むと、図3に示す如く、キャップ9の係止肩15がロック爪13に弾性的に係止するので、これにより、ロッド8とキャップ9とシールリング10とが一体化されて、ピストン部5が構築されることとなる。尚、斯るピストン部5の一体化状態にあっては、バルブ板21が上記オリフィス20とは干渉しないように設定している関係で、オリフィス20自体は常時開放されている。
【0019】
又、当該ピストン部5が形成される他方の取付基板1Bに対しては、図示する如く、上記シリンダー部3の係止爪7に係止するストッパーアーム22と、当該取付基板1Bをねじ止めするための複数のタッピングボス23とを更に一体に突設するものとする。この為、本実施の形態の下では、ピストン部5を構築するキャップ9とシールリング10以外は、全て、合成樹脂材料で一体に成形されることとなる。
【0020】
依って、斯る構成のダンパー装置を組み付ける場合には、上記したピストン部5の一体化状態を得て、一方の取付基板1Aに形成されているシリンダー部3の係止爪7に他方の取付基板1Bに突設されているストッパーアーム22の鈎形先端部22aが係止するまで、一対の取付基板1A・1Bを中央ヒンジ部2を介して折り畳むと、図4に示す如く、一対の取付基板1A・1Bがその折り畳み状態にロックされると同時に、ピストン部5のキャップ9が自動的にシリンダー部3内に摺動可能に組み込まれて、圧縮コイルばね4のばね圧をその受け肩17で受けることとなる。
【0021】
そこで、図5に示す如く、グローブボックスBの側面と対応するインストルメントパネルP側に他方の取付基板1Bをそのタッピングボス23を介してネジ止めすれば、これにより、ダンパー装置がインストルメントパネルP側に簡単に取り付けられる。
【0022】
そして、ロック手段(図示せず)のロックを解除して、グローブボックスBをその自重を利用して開放方向へ回動させると、図6に示す如く、グローブボックスBの側面に設けられている押圧突起24が、切欠部25を介してシリンダー部3の突起受け6に衝突して、シリンダー部3を一方の取付基板1Aを伴ってグローブボックスBの開放方向へ移動させるので、この結果、図7に示す如く、ピストン部5のキャップ9が圧縮コイルばね4のばね圧に抗してシリンダー部3内を摺動する。
【0023】
すると、上記ピストン部5のキャップ9の摺動により、シリンダー部3の内圧が上昇して、シールリング10のバルブ板21が撓んでピストン部5のキャップ9に穿設されている通気孔19を塞いで、シリンダー部3内の空気は小さなオリフィス20から外部に放出されるだけであるから、シリンダー部3内は正圧状態となって、キャップ9の摺動に制動力を働かせるので、これにより、グローブボックスBの開放動作がコントロールされて、グローブボックスBはゆっくりと開放方向へ回動することが保障される。
【0024】
従って、本実施の形態の下では、従来のものとは異なり、ピストン部5のキャップ9の摺動に伴うシリンダー部3内の正圧状態を積極的に利用するものであるから、装置自体を徒に大型化しなくとも、小型な装置で大きな制動力が提供できることともなる。
【0025】
又、グローブボックスBを閉塞する場合には、今度は、グローブボックスBを逆方向に回動させることとなるが、斯る逆方向の回動時には、圧縮コイルばね4のばね圧により、シリンダー部3が一方の取付基板1Aを伴って初期のロック状態に復帰する結果、ピストン部5のキャップ9も上記した方向とは逆方向に摺動する。
すると、シリンダー部3の内圧が低下して、この内圧の変化で、今度は、バルブ板21が撓んで通気孔19を開放して、空気をシリンダー部3内に流入させるので、これにより、ピストン部5のキャップ9の摺動が促されて、グローブボックスBはスムーズに閉塞方向へ回動することが保障される。
【0026】
尚、上記実施例の形態の下では、ダンパー装置をインストルメントパネルP側に固定し、グローブボックスB側に押圧突起24を設けたものであるが、一方の取付基板1Aと他方の取付基板1Bの位置関係を逆にして、ダンパー装置をグローブボックスB側に固定し、押圧突起24をインストルメントパネルP側に設けても、同様な効果が期待できることとなる。
【0027】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、構成部品の大巾な削減を図りながら、ダンパー装置の組み付け作業が頗る簡素化できるので、装置自体のコストダウンに大きく貢献できると共に、一対の取付基板を折り畳んで、シリンダー部にピストン部を組み込んだ状態のまま納品することができるので、頗る合理的なものとなる。
【0028】
又、本発明の下では、ピストン部の摺動に伴うシリンダー部の正圧状態を利用して、収納箱に制動力を提供することが可能となるので、負圧状態を利用する従来のものと比較すると、装置自体を徒に大型化しなくとも、大きな制動力を提供できる結果、ダンパー装置の小型化にも貢献できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダンパー装置を組み付け前の状態をもって示す側面図である。
【図2】ピストン部の構造を示す要部分解斜視図である。
【図3】ピストン部の一体化状態を示す要部断面図である。
【図4】同ダンパー装置の組み付け状態を一部断面して示す側面図である。
【図5】同ダンパー装置をグローブボックスとの関係をもってインストルメントパネル側に固定した状態を示す説明図である。
【図6】グローブボックスが開放方向へ回動して、その押圧突起がシリンダー部の突起受けに衝突した状態を示す説明図である。
【図7】同ダンパー装置の作動状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1A 一方の取付基板
1B 他方の取付基板
2 中央ヒンジ部
3 シリンダー部
4 圧縮コイルばね
5 ピストン部
6 突起受け
7 係止爪
8 ロッド
9 キャップ
10 シールリング
19 通気孔
20 オリフィス
21 バルブ板(バルブ手段)
22 ストッパーアーム
23 タッピングボス
24 押圧突起
B グローブボックス(収納箱)
P インストルメントパネル
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のインストルメントパネルに開閉可能に設けられるグローブボックス等の収納箱に使用されるダンパー装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グローブボックス等の収納箱においては、収納箱自体が急激に開いたり、不快な衝撃音が発生することなどを防止するために、収納箱の開閉動作をコントロールするダンパー装置の付設が必要となる場合がある。
そこで、この種ダンパー装置として、例えば、実開平5−76894号公報に示すエア式のダンパー装置が提案されている。
【0003】
該従来のダンパー装置は、具体的には図示しないが、主として、シリンダーとピストンとワイヤーの独立した3部品とからなり、シリンダーの内部にシールリングを周設したピストンを摺動可能に配して、該ピストンを圧縮コイルばねで一方向に付勢する一方、シリンダーの前端開口部側にガイドキャップを嵌着して、該ガイドキャップで任意方向に配線されるワイヤーの一端部を上記ピストンに連結する構成となっている。
【0004】
又、シリンダーの後端部側に対しては、円筒部と通気孔を有する後壁を一体に形成して、当該後壁の円筒部内に、オリフィスを穿設したシートバルブとバックアップばねとエアフィルターを順に配して、該エアフィルター側を開口付きのリテーナで保持する構成となっている。
【0005】
従って、斯るダンパー装置をグローブボックスに使用する場合には、シリンダーをグローブボックス側又はインストルメントパネル側のいずれか一方に固定し、上記ガイドキャップを介して配線されるワイヤーの他端部を他方に固定すれば良い。
【0006】
そして、実際の作動に際して、グローブボックスをその自重を利用して開放方向へ回動させると、ワイヤーが外方へ引っ張られるので、これに応じて、ピストンが圧縮コイルばねの付勢ばね圧に抗してガイドキャップ側に摺動して、グローブボックスの回動を許容する。
しかし、斯るグローブボックスの回動時には、ピストンの摺動により、空気がエアフィルターの微細孔からシートバルブのオリフィスを経てシリンダーの内部に吸い込まれるが、シリンダー内は負圧状態となって、ピストンの摺動に制動力を働かせるので、これにより、グローブボックスの開放動作がコントロールされて、グローブボックスはゆっくりと開放方向へ回動することが保障される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、従来のダンパー装置の下では、主要な構成部品はシリンダーとピストンとワイヤーとからなると雖も、これらは全て独立した部品であり、且つ、付属部品にも独立したかなりの数の部品を必要とするので、自ずと、部品点数が増加することは言うまでもないが、特に、これに伴い、装置自体の組み付け作業が徒に大変となって、コスト高となってしまう嫌いがあった。
【0008】
又、従来のダンパー装置にあっては、ピストンの摺動に伴うシリンダー内の負圧状態を利用して、グローブボックスの開放動作をコントロールする関係で、比較的小さな制動力しか提供できないので、必要な制動力を得るためには、自ずと、装置全体を大型化しなければならない問題点をも併せて有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯る従来ダンパー装置の課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載のダンパー装置は、中央ヒンジ部を介して連設される一対の取付基板を備え、一方の取付基板側に圧縮コイルばねを配したシリンダー部を形成し、他方の取付基板側にシリンダー部内で圧縮コイルばねの影響を受けて摺動するピストン部を形成して、一対の取付基板を上記中央ヒンジ部を介して折り畳むことにより、シリンダー部にピストン部を組み込むことを特徴とする。
【0010】
又、請求項2記載のダンパー装置は、請求項1の下で、シリンダー部は、その外周面に押圧突起を衝突させる突起受けを設け、ピストン部は、その先端部側に通気孔を穿設すると共に、シリンダー部の内圧の変化で該通気孔に接離するバルブ手段を有するシールリングを周設したことを特徴とする。
【0011】
依って、請求項1記載のダンパー装置にあっては、シリンダー部とピストン部とを中央ヒンジ部を介して連結される一対の取付基板に形成した関係で、その組み付けに際しては、一対の取付基板を中央ヒンジ部を介して折り畳むだけで、シリンダー部にピストン部を自動的に組み込めるので、組み付け作業が頗る簡素化される。
【0012】
又、請求項2記載のダンパー装置にあっては、今仮に、取付基板をインストルメントパネル等の周辺部材側に固定する状態を得て、収納箱を開放方向へ移動させると、該収納箱側に設けられている押圧突起がシリンダー部の突起受けに衝突して、シリンダー部を一方の取付基板を伴って収納箱の開放方向へ移動させるので、この結果、ピストン部が圧縮コイルばねのばね圧に抗してシリンダー部内を摺動する。
すると、このピストン部の摺動により、シリンダー部の内圧が上昇して、シールリングのバルブ手段がピストン部の先端部側に穿設されている通気孔を塞いで、シリンダー部内を正圧状態となして、ピストンの摺動に制動力を働かせるので、これにより、収納箱の開放動作がコントロールされて、収納箱はゆっくりと開放方向へ移動することが保障される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する一実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係るダンパー装置も、自動車のインストルメントパネルに開閉可能に設けられるグローブボックスを対象として開発されたものであるが、従来の如く、シリンダーやピストンを独立して用いるものではなく、特徴とするところは、図1に示す如く、薄肉の中央ヒンジ部2を介して連設される一対の取付基板1A・1Bを備えて、一方の取付基板1A側に、内部に圧縮コイルばね4を配するシリンダー部3を形成し、他方の取付基板1B側に、該シリンダー部3内で圧縮コイルばね4の影響を受けて摺動するピストン部5を形成する点にある。
【0014】
これを詳しく説明すると、シリンダー部3は、図示する如く、先端側が開口して所定の曲率をもって湾曲する円筒体として一方の取付基板1A面から一体に突設されて、その開口縁の一縁にグローブボックス側に設けられる押圧突起を衝突させる突起受け6を設け、他縁に後述するストッパーアームの鈎状先端部を係止する係止爪7を設ける構成となっている。
【0015】
又、ピストン部5は、特に、図2に示す如く、ロッド8とキャップ9とシールリング10とからなり、第一のロッド8は、同じく所定の曲率をもって湾曲する断面十字体として他方の取付基板1B面から一体に突設されて、その先端部にキャップ9を保持する保持筒11を画成し、該保持筒11に複数のスリット孔12を開設して、該各スリット孔12の内側上部にロック爪13を設ける構成となっている。
【0016】
第二のキャップ9は、後端側のみが開口する中空状の円筒体として成形されて、中央外周面側に環状のフランジ14を設け、後端外周面側に上記ロック爪13に係止する環状の係止肩15を設ける一方、先端外周面側に上記フランジ14と共働してシールリング10を周設する周設溝16を画成すると共に、先端面側に上記圧縮コイルばね4の座巻部を受ける受け肩17を画成し、且つ、先端中央部に後述するシールリング10のバルブ板を装着するための凹溝18を形成して、当該凹溝18面に通気孔19とオリフィス20を穿設する構成となっている。
【0017】
第三のシールリング10は、そのリング部は合成ゴム又は軟質樹脂材料で成形されるものであるが、一側面側に略逆M字状を呈する金属製のバルブ板21を一体に設けて、該バルブ板21を上記凹溝18内に臨ましめながら、シールリング10のリング部を上記周設溝16内に係止することにより、シールリング10自体がキャップ9の先端部に周設されると同時に、バルブ板21と通気孔19の孔縁とが微小のクリアランスをもって対面して、シリンダー部3の内圧の変化により、当該バルブ板21が通気孔19に対して接離できる構成となっている。
【0018】
従って、キャップ9に対するシールリング10の周設状態を得て、キャップ9の後端部をロッド8の保持筒11内に押し込むと、図3に示す如く、キャップ9の係止肩15がロック爪13に弾性的に係止するので、これにより、ロッド8とキャップ9とシールリング10とが一体化されて、ピストン部5が構築されることとなる。尚、斯るピストン部5の一体化状態にあっては、バルブ板21が上記オリフィス20とは干渉しないように設定している関係で、オリフィス20自体は常時開放されている。
【0019】
又、当該ピストン部5が形成される他方の取付基板1Bに対しては、図示する如く、上記シリンダー部3の係止爪7に係止するストッパーアーム22と、当該取付基板1Bをねじ止めするための複数のタッピングボス23とを更に一体に突設するものとする。この為、本実施の形態の下では、ピストン部5を構築するキャップ9とシールリング10以外は、全て、合成樹脂材料で一体に成形されることとなる。
【0020】
依って、斯る構成のダンパー装置を組み付ける場合には、上記したピストン部5の一体化状態を得て、一方の取付基板1Aに形成されているシリンダー部3の係止爪7に他方の取付基板1Bに突設されているストッパーアーム22の鈎形先端部22aが係止するまで、一対の取付基板1A・1Bを中央ヒンジ部2を介して折り畳むと、図4に示す如く、一対の取付基板1A・1Bがその折り畳み状態にロックされると同時に、ピストン部5のキャップ9が自動的にシリンダー部3内に摺動可能に組み込まれて、圧縮コイルばね4のばね圧をその受け肩17で受けることとなる。
【0021】
そこで、図5に示す如く、グローブボックスBの側面と対応するインストルメントパネルP側に他方の取付基板1Bをそのタッピングボス23を介してネジ止めすれば、これにより、ダンパー装置がインストルメントパネルP側に簡単に取り付けられる。
【0022】
そして、ロック手段(図示せず)のロックを解除して、グローブボックスBをその自重を利用して開放方向へ回動させると、図6に示す如く、グローブボックスBの側面に設けられている押圧突起24が、切欠部25を介してシリンダー部3の突起受け6に衝突して、シリンダー部3を一方の取付基板1Aを伴ってグローブボックスBの開放方向へ移動させるので、この結果、図7に示す如く、ピストン部5のキャップ9が圧縮コイルばね4のばね圧に抗してシリンダー部3内を摺動する。
【0023】
すると、上記ピストン部5のキャップ9の摺動により、シリンダー部3の内圧が上昇して、シールリング10のバルブ板21が撓んでピストン部5のキャップ9に穿設されている通気孔19を塞いで、シリンダー部3内の空気は小さなオリフィス20から外部に放出されるだけであるから、シリンダー部3内は正圧状態となって、キャップ9の摺動に制動力を働かせるので、これにより、グローブボックスBの開放動作がコントロールされて、グローブボックスBはゆっくりと開放方向へ回動することが保障される。
【0024】
従って、本実施の形態の下では、従来のものとは異なり、ピストン部5のキャップ9の摺動に伴うシリンダー部3内の正圧状態を積極的に利用するものであるから、装置自体を徒に大型化しなくとも、小型な装置で大きな制動力が提供できることともなる。
【0025】
又、グローブボックスBを閉塞する場合には、今度は、グローブボックスBを逆方向に回動させることとなるが、斯る逆方向の回動時には、圧縮コイルばね4のばね圧により、シリンダー部3が一方の取付基板1Aを伴って初期のロック状態に復帰する結果、ピストン部5のキャップ9も上記した方向とは逆方向に摺動する。
すると、シリンダー部3の内圧が低下して、この内圧の変化で、今度は、バルブ板21が撓んで通気孔19を開放して、空気をシリンダー部3内に流入させるので、これにより、ピストン部5のキャップ9の摺動が促されて、グローブボックスBはスムーズに閉塞方向へ回動することが保障される。
【0026】
尚、上記実施例の形態の下では、ダンパー装置をインストルメントパネルP側に固定し、グローブボックスB側に押圧突起24を設けたものであるが、一方の取付基板1Aと他方の取付基板1Bの位置関係を逆にして、ダンパー装置をグローブボックスB側に固定し、押圧突起24をインストルメントパネルP側に設けても、同様な効果が期待できることとなる。
【0027】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、構成部品の大巾な削減を図りながら、ダンパー装置の組み付け作業が頗る簡素化できるので、装置自体のコストダウンに大きく貢献できると共に、一対の取付基板を折り畳んで、シリンダー部にピストン部を組み込んだ状態のまま納品することができるので、頗る合理的なものとなる。
【0028】
又、本発明の下では、ピストン部の摺動に伴うシリンダー部の正圧状態を利用して、収納箱に制動力を提供することが可能となるので、負圧状態を利用する従来のものと比較すると、装置自体を徒に大型化しなくとも、大きな制動力を提供できる結果、ダンパー装置の小型化にも貢献できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダンパー装置を組み付け前の状態をもって示す側面図である。
【図2】ピストン部の構造を示す要部分解斜視図である。
【図3】ピストン部の一体化状態を示す要部断面図である。
【図4】同ダンパー装置の組み付け状態を一部断面して示す側面図である。
【図5】同ダンパー装置をグローブボックスとの関係をもってインストルメントパネル側に固定した状態を示す説明図である。
【図6】グローブボックスが開放方向へ回動して、その押圧突起がシリンダー部の突起受けに衝突した状態を示す説明図である。
【図7】同ダンパー装置の作動状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1A 一方の取付基板
1B 他方の取付基板
2 中央ヒンジ部
3 シリンダー部
4 圧縮コイルばね
5 ピストン部
6 突起受け
7 係止爪
8 ロッド
9 キャップ
10 シールリング
19 通気孔
20 オリフィス
21 バルブ板(バルブ手段)
22 ストッパーアーム
23 タッピングボス
24 押圧突起
B グローブボックス(収納箱)
P インストルメントパネル
Claims (2)
- 中央ヒンジ部を介して連設される一対の取付基板を備え、一方の取付基板側に圧縮コイルばねを配したシリンダー部を形成し、他方の取付基板側にシリンダー部内で圧縮コイルばねの影響を受けて摺動するピストン部を形成して、一対の取付基板を上記中央ヒンジ部を介して折り畳むことにより、シリンダー部にピストン部を組み込めるように構成したことを特徴とする収納箱のダンパー装置。
- シリンダー部は、その外周面に押圧突起を衝突させる突起受けを設け、ピストン部は、その先端部側に通気孔を穿設すると共に、シリンダー部の内圧の変化で該通気孔に接離するバルブ手段を有するシールリングを周設したことを特徴とする請求項1記載の収納箱のダンパー装置。
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JP21408496A JP3790300B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 収納箱のダンパー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21408496A JP3790300B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 収納箱のダンパー装置 |
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Family Applications (1)
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JP21408496A Expired - Fee Related JP3790300B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 収納箱のダンパー装置 |
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-
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