JP3786609B2 - 複合セラミック部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度、高熱伝導で、低誘電率の部位を有する絶縁層の表面及び/又は内部に低抵抗の導体層を具備し、半導体パッケージ、電子部品実装回路基板又は高周波用回路基板等に好適に使用できる複合セラミック部品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、半導体素子の高集積化並びに高周波化に伴い、高密度実装や回路部品内部に機能を内蔵した配線基板が用いられている。一方で、高集積化により半導体装置から発生する熱も増加している。半導体装置の誤動作をなくすためには、このような熱を装置外に放出可能な配線基板が必要とされている。一方、電気的な特性としては、演算速度の高速化により信号の遅延が問題となり、導体損失の小さい、つまり低抵抗の導体層を用いることが要求されてきた。
【0003】
このような半導体素子を搭載した配線基板としては、その信頼性の点から、アルミナセラミックスを絶縁基板とし、その表面あるいは内部にWやMoなどの高融点金属からなる導体層を被着形成したセラミック配線基板が多用されている。
【0004】
しかし、従来から多用されているこれら高融点金属からなる導体層では、抵抗を高々8mΩ/□程度までしか低くできず、発熱して配線基板の温度を上昇させ、また、信号が損失し易く、配線長が制限されるという問題があった。
【0005】
そこで、CuとW又はMoとを組み合せた導体層と絶縁層を1500℃以下と低い温度で同時焼成することによって導体層の低抵抗化を図ることが、特開2000−151045号に提案されている。
【0006】
また、低温焼成可能な組成を用いて誘電率の異なる絶縁層を一体化することによって、低抵抗のCu配線を使用可能とするため、信号の高速化に対応することが特開平10−106880号に提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2000−151045号公報に記載の方法では、導体層にCuを含むため、抵抗が低下するものの、絶縁層にアルミナを用いることから誘電率が9程度と高いため、信号の高周波化に伴い、周波数が60GHz程度の領域では入力信号の反射による損失が大きくなり、伝送特性の低下がおこるという問題があった。
【0008】
また、特開平10−106880号公報に記載の方法では、絶縁層がガラスセラミックスからなり、たとえ強化ガラスを用いた場合でも高々200MPaの曲げ強度でしかなく、また、熱伝導率が低く、放熱性が悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、高熱伝導、高強度で、且つ高周波領域の信号損失の小さい複合セラミック部品、特に、異種セラミックスの密着性に優れ、信頼性及び寿命を改善した複合セラミック部品と、それを簡便な方法で作製する製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高強度、高熱伝導のアルミナ質焼結体に対して、低誘電率材料の組成を制御した低誘電率層を同時焼成で一体化することによって、入力信号の反射による損失を低減できるとの知見に基づくものである。
【0011】
さらに、アルミナ質焼結体と低誘電率材料との間にスピネルを主結晶相とする中間層を形成することにより、同時焼成における両者の接着強度を高めることが可能であるとの知見に基づくものである。
【0012】
即ち、本発明の複合セラミック部品は、アルミナ質絶縁層と、該アルミナ質絶縁層よりも低誘電率の低誘電率層とが一体的に積層され、表面及び/又は内部に導体層が形成された絶縁基板を備え、前記低誘電率層がフォルステライト及びコージェライトを主結晶相とし、副成分として、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラスを全量中0.1〜10質量%の割合で含み、さらに前記アルミナ質絶縁層と前記低誘電率層の間に、スピネルを主結晶相とする中間層が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
特に、前記中間層と前記アルミナ質絶縁層、前記中間層と前記低誘電率層との間にそれぞれ拡散層が含まれ、さらに前記拡散層の厚みtに対する前記中間層の厚みdの比t/dが、0.25〜1であることが好ましい。同時焼成を行っても、中間層とアルミナ質絶縁層との接着強度をより高め、強度劣化を防止することができる。
【0014】
前記低誘電率層が、ムライト結晶相を含有することが好ましい。これにより、中間層が緻密になりやすくなり、接着強度もさらに上昇する。
【0015】
また、前記低誘電率層が、コージェライトを全量中20〜40質量%の割合で含むことが好ましい。これにより、アルミナ質絶縁層との熱膨張率の差が低減され、アルミナ質絶縁層との剥離やクラックの発生を効果的に抑制し、低誘電率層の比誘電率を抑制してより効果的に信号の損失を低減できる。
【0016】
さらに、前記アルミナ質絶縁層の3点曲げ強さが350MPa以上であることが好ましい。これにより、素子の自動実装時等に基板が割れ、歩留りが低下することを低減できる。
【0017】
また、前記アルミナ質絶縁層が、Mnを酸化物換算で2〜15質量%、Siを酸化物換算で2〜15質量%、Mg、Ca、B、Nb、Cr及びCoのうち少なくとも1種を酸化物換算で0.1〜4質量%含むとともに、相対密度が95%以上であることが好ましい。これにより、アルミナ質絶縁層の強度及び熱伝導率を維持することが容易となる。
【0018】
さらに、前記導体層が、Cuを10〜70体積%、W及び/又はMoを30〜90体積%の割合で含有することが好ましい。これにより、アルミナ質絶縁層の表面又はヴィア内に形成される導体層の抵抗を低減することが容易となる。
【0019】
また、本発明の複合セラミック部品の製造方法は、フォルステライト粉末及びコージェライト粉末に対して、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種を含む酸化物粉末及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を全量中0.1〜10質量%の割合で含む低誘電率グリーンシートと、アルミナ質グリーンシートとスピネル質グリーンシートとを作製し、各グリーンシートに導体ペーストを塗布した後、前記低誘電率グリーンシートと前記アルミナ質グリーンシートで前記スピネル質グリーンシートを介在せしめて積層して積層体を作製し、次いで該積層体を1200〜1500℃で焼成することを特徴とするものである。これにより、強度及び熱伝導率に優れるアルミナ質絶縁層と、低誘電率の低誘電率層を同時に焼成することが可能であり、さらに基板の内部及び表面に導体層を形成することが可能となる。また、低誘電率層とアルミナ質絶縁体層との間に中間層を挿入するように作製、接着力の強い複合セラミックスが実現できる。
【0020】
また、フォルステライト粉末及びコージェライト粉末に対して、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種を含む酸化物粉末及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を全量中0.1〜10質量%の割合で含む低誘電率グリーンシートと、アルミナ質グリーンシートとを作製し、各グリーンシートに導体ペーストを塗布した後、前記低誘電率グリーンシート及び/又は前記アルミナ質グリーンシートの主面にスピネルを主体とするペーストを塗布し、該ペーストを挟むように前記アルミナ質グリーンシートと前記低誘電率グリーンシートとを積層して積層体を作製し、次いで該積層体を1200〜1500℃で焼成することを特徴とするものである。これにより、セラミック内部に3次元の配線が可能となり、多層セラミック基板の小型化が容易になるとともに、キャパシタやインダクタなどの機能を内蔵することが可能となる。
【0021】
特に、拡散層の厚みtに対する中間層の厚みdの比t/dが、0.25〜1になるように、前記積層体を焼成することが好ましい。これにより、拡散層を形成し、中間層とアルミナ質絶縁層との接着強度をより高め、強度劣化を防止することができる。
【0022】
また、前記低誘電率グリーンシートにムライト粉末を含むことが好ましい。これにより、アルミナ質グリーンシートとの熱膨張差を整合させ、焼成時の反りやクラックをより少なくすることができ、また、低誘電率層の比誘電率をより小さくすることができる。
【0023】
前記低誘電率グリーンシート、前記アルミナ質グリーンシート及び前記スピネル質グリーンシートの積層に先立って、前記低誘電率グリーンシート、前記アルミナ質グリーンシート、前記スピネル質グリーンシートの少なくとも一方にヴィアを形成し、該ヴィア中に導体ペーストを充填することが好ましい。これにより、セラミック内部に3次元の配線が可能となり、多層セラミック基板の小型化が容易になるとともに、キャパシタやインダクタ等の機能を内臓することが可能となる。
【0024】
さらに、前記低誘電率グリーンシートが、コージェライト粉末を全量中に20〜40質量%の割合で含むことが好ましい。これにより、アルミナ質グリーンシートとの熱膨張率の差を整合させ、焼成時の反りやクラックを少なくすることができる。
【0025】
さらにまた、前記アルミナ質グリーンシートが、Mn2O3を2〜15質量%、SiO2を2〜15質量%、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、B2O5、Nb2O5、Cr2O3及びCo3O4のうち少なくとも1種を0.1〜4質量%、残部がアルミナ粉末からなる混合粉末を成形して得られるものであることが好ましい。これにより、焼結後のアルミナ質絶縁層の強度及び熱伝導率をほぼ維持したまま、焼成温度を低減し、製品歩留まりを向上することが容易となる。
【0026】
また、前記スピネル質グリーンシート又は前記スピネルを主体とするペーストが、全重量に対しスピネル粉末を50質量%以上含み、さらに前記アルミナ質グリーンシート及び/又は前記低誘電率グリーンシートに含まれる助剤成分のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。スピネルが主体となった組成によって、焼成後に、中間層とアルミナ質絶縁層との接着強度、中間層と低誘電率層との接着強度をそれぞれ高めることができる。
【0027】
また、前記導体ペーストが、金属成分としてCu粉末を10〜70体積%、W粉末及び/又はMo粉末を30〜90体積%の割合で含むことが好ましい。これにより、1200〜1500℃とCuの融点よりも高い焼成温度でも低抵抗の導体層を形成することが容易となり、また、焼成時の剥離やヴィア内の金属欠落等の不具合をより低減できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の複合セラミック部品を、図を用いて説明する。図1は、本発明の複合セラミック部品の概略断面図である。即ち、アルミナを主体とする焼結体であるアルミナ質絶縁層1と、アルミナ質絶縁層1よりも誘電率の低い低誘電率層2が一体的に積層されている。
【0029】
また、絶縁基板5の表面及び内部に、表面導体層3a及び内部導体層3bからなる導体層3とヴィア4とが形成されている。
【0030】
絶縁層1は、アルミナを主体とするアルミナ質焼結体からなり、具体的には、酸化アルミニウムを84質量%以上の割合で含み、Mnを酸化物換算で2〜15質量%、Siを酸化物換算で2〜15質量%、Mg、Ca、B、Nb、Cr及びCoのうち少なくとも1種を酸化物換算で0.1〜4質量%含むことが好ましい。この組成を用いると、低温でも緻密化し、高強度且つ高熱伝導率を維持することが容易となる。
【0031】
本発明によれば、絶縁基板5の熱伝導率と強度を高めるため、アルミナ質絶縁層1の相対密度が95%以上、特に97%以上、更には98%以上が好ましく、また曲げ強度は350MPa以上、特に400MPa以上、更には450MPa以上であることが好ましい。さらに、熱伝導率は10W/m・K以上、特に15W/m・K以上、更には17W/m・K以上であることが望ましい。
【0032】
絶縁層1を形成するアルミナ主結晶相は、粒状または柱状の結晶として存在するが、この主結晶相の平均結晶粒径は、1.5〜5μmであることが望ましい。なお、主結晶相が柱状結晶からなる場合、上記平均結晶粒径は、短軸径に基づくものである。この主結晶相の平均結晶粒径が1.5μmよりも小さいと、高熱伝導化が難しくなる傾向があり、また平均粒径が5μmよりも大きいと基板材料として用いる場合に要求される十分な強度が得られにくくなる傾向にあるためである。
【0033】
また、この絶縁層1中に、SiO2およびMgO、CaO、SrO等のアルカリ土類元素酸化物をCu含有導体との同時焼結性を高める上で合計で0.1〜4質量%の割合で含有せしめることが望ましい。
【0034】
さらに着色成分として、W、Mo、Cr等の遷移金属を2質量%以下の割合で含んでもよい。
【0035】
低誘電率層2は、フォルステライト及びコージェライトを主結晶相とすることが重要である。フォルステライトは、アルミナ質絶縁層1よりも低誘電率にするために必要であり、さらにコージェライトは、アルミナ質絶縁層1とフォルステライトの熱膨張係数の差を小さくし、焼成による残留応力を低減して基板の反りや割れの発生を抑制することができる。
【0036】
低誘電率層2の熱膨張係数は、フォルステライトとコージェライトとの含有量を調整して決定することができ、特にコージェライトを20〜40質量%、更には25〜35質量%であることが好ましい。
【0037】
また、副成分として、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラスを含むことが重要である。この副成分は、焼成時にアルミナ質グリーンシートとの反応を促進し、アルミナ質絶縁層1との接着強度を高め、アルミナ質絶縁層1と低誘電率層2との一体化を確保する。
【0038】
特に、上記の副成分が、低誘電率層2における全量中0.1〜10質量%、特に1〜8質量%、更には3〜6質量%の割合で含まれることが好ましい。これは、0.1質量%未満では添加効果が十分得られない場合があり、また10質量%を超えると焼成時に液相が流出してしまう傾向があるためである。
【0039】
そして、本発明によれば、アルミナ質絶縁層1と低誘電率層2の間に接着強度を高めるため、中間層7が一体的に積層されていることが重要である。
【0040】
中間層7は、アルミナ質絶縁層1と低誘電率層2との接着強度を改善するために設けられるものであり、スピネル質層を主結晶相とすることが重要である。例えば、スピネル結晶単独でも良いが、緻密化を促進するため、Mn、アルカリ土類金属、ホウ珪酸ガラス等の焼結助剤を添加しても良い。
【0041】
本発明によれば、図2に示すように、アルミナ質絶縁層11と中間層17との間に拡散層18が存在することが好ましい。拡散層18は、アルミナ質絶縁層11を構成するアルミナ結晶相と中間層17を構成するスピネル結晶相とが主体となり、これらが混合された状態となっている。
【0042】
また、低誘電率層12と中間層17との間に拡散層18が存在することが好ましい。拡散層18は、低誘電率層12の主結晶相であるフォルステライト及びコージェライトと中間層17を構成するスピネル結晶相及びマンガンシリケートが主体となり、これらが混合された状態となっている。
【0043】
アルミナは低誘電率層12のフォルステライト又はコージェライトと反応してスピネルを形成するが、微量であったり、部分的であったり、また比較的多量に形成されても多孔質であるため、アルミナ質絶縁層11と低誘電率層12との界面の接着強度が低下するが、スピネルを主結晶とする中間層17を設けることにより、中間層17が緻密であるため、界面の接着強度を非常に高くすることができる。
【0044】
拡散層18の形成は、アルミナ質絶縁層11と中間層17との反応、またはアルミナ質絶縁層11と低誘電率層12との反応によるが、特に副成分が反応に関与するため、副成分が拡散し、密着力を向上するとともに、拡散層18は両者の結晶相が混合された状態であり、応力を緩和して密着性を向上するとともに、強度劣化を防止できる。
【0045】
また、低誘電率層2にムライトを添加することが望ましい。これにより、低誘電率層2と中間層7の密着性が高まり、接着強度を向上することが可能となる。ムライトの添加量は、中間層7の組成にもよるが、上記の副成分を含む低誘電率層2の成分100質量部に対して、1〜20質量部、特に2〜15質量部、更には3〜10質量部であることが好ましい。
【0046】
スピネル質グリーンシート又はスピネルを主体とするペーストが、スピネルに加えて、アルミナ質グリーンシート及び/又は低誘電率グリーンシートに含まれる助剤成分のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0047】
導体層3は、Cuを10〜70体積%、特に30〜60体積%、W及び/又はMoを30〜90体積%、特に40〜70体積%の割合で含有することが好ましい。このような組成を有する導体層3は、その電気抵抗が十分低く、信号遅延を抑制するとともに、導体層3及び/又は低誘電率層2との密着性を確保し、導体層3の剥離が発生したり、ヴィア4の表面の凹凸が大きくなり、更には焼成時にヴィア4の金属が欠落する不具合を抑制することが容易になる。
【0048】
また、上記組成のCuとW及び/又はMoに加えて、Zr、Al、Li、Mg、Znのうち少なくとも1種を金属元素換算で0.05〜3.0質量%を含有させることが望ましい。これにより、導体層3の低抵抗化を容易にし、絶縁層1及び/又は低誘電率層2との密着性をさらに高める効果がある。
【0049】
さらに、本発明によれば、この導体層3中において、W及び/又はMoが、平均粒径1〜10μmの球状結晶の状態で、又は数個の粒子が焼結して結合した状態としてCuからなるマトリックス中に分散含有している組織を有していることが、低抵抗と保形性の観点で望ましい。特に、導体層3の抵抗、Cu成分の分離、にじみなどの観点からW及び/またはMoの平均粒子径は1.3〜5μm、更には1.5〜3μmの大きさで分散されていることがより望ましい。
【0050】
なお、本発明のセラミック複合部品においては、Cuの融点を越える温度での同時焼成によって、表面導体層3aや内部導体層3b中のCu成分が絶縁層1及び低誘電率層2に拡散する場合があるが、本発明によれば、上記少なくともCuを含む導体層3の周囲の低誘電率層2及び/又は絶縁層1へのCuの拡散距離が20μm以下、特に10μm以下であることが望ましい。これにより、導体層3間の絶縁性を確保し、配線基板としての信頼性を高めるためである。
【0051】
上記の構成を有する本発明の複合セラミック部品は、強度及び熱伝導性に優れ、高周波信号の反射損失が小さいので、半導体パッケージ、電子部品実装回路基板及び高周波用配線基板等に好適に用いることができる。
【0052】
次に、本発明の複合セラミック部品の製造方法について説明する。
【0053】
まず、絶縁層1を形成するために、主成分となるアルミナ原料として、平均粒径が0.5〜2.5μm、特に0.5〜2.0μmの粉末を用いることが望ましい。平均粒径は0.5μmよりも小さいと、粉末の取扱い難く、また粉末のコストが高くなる傾向があり、2.5μmよりも大きいと、1500℃以下の温度で焼成することが難しくなることが多いためである。
【0054】
また、上記酸化アルミニウム粉末に対して、Mn2O3粉末を2〜15質量%、特に3〜7質量%、SiO2粉末を2〜15質量%、特に3〜7質量%の割合で添加する。また、適宜、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、B2O5、Nb2O5、Cr2O3及びCoO3のうち少なくとも1種の粉末を0.1〜4質量%となるように加えることが好ましい。これにより、低温での焼成を可能とするため、緻密なアルミナ質絶縁層1が得られ、強度及び熱伝導率をほぼ維持したまま、焼成時に導体層3及びヴィア4の金属が溶融して流出することを防止し、製品歩留まりを高め易くすることができる。
【0055】
さらに、上記の粉末組成に、W、Mo、Crなどの遷移金属の金属粉末や酸化物粉末を着色成分として金属換算で2質量%以下の割合で添加することができる。
【0056】
一方、低誘電率層2を形成するために、フォルステライト粉末、コージェライト粉末、さらに副成分としてZn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種を含む酸化物粉末及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を全量中0.1〜10質量%の割合で含むように添加することが重要であり、特に1〜8質量%、更には3〜6質量%の割合で添加することが好ましい。
【0057】
副成分を全量中0.1〜10質量%の割合で添加することによって、焼成時にアルミナ質グリーンシートとの反応が促進され、強固な反応層を作り、密着性を向上することが可能となる。また、上記コージェライト粉末は、焼結性を高め、焼成時の残留応力を低減させるために20〜40質量%、特に25〜35質量%の割合で加えることが好ましい。
【0058】
ここで、副成分のアルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、Ba等の酸化物粉末であり、また非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を用いるのは、鉛は環境への負担が著しく、アルカリは配線間の絶縁不良を生じるためであり、例えばSi−Al−B−O系、Si−B−Ca−O系、Si−Al−B−Mg−Zn−O系等を例示できる。
【0059】
さらに、上記の副成分を含む低誘電率層2の成分100質量部に対して、1〜20質量部、特に2〜15質量部、更には3〜10質量部であることが好ましい。ムライト粉末を加えることによって、低誘電率層2と中間層2との接着強度を高める効果がある。
【0060】
なお、MgO、Al2O3、SiO2およびこれらの複合酸化物でフォルステライト及びコージェライトを析出するような組成になるように、フォルステライト粉末及びコージェライト粉末の少なくとも一部を置換しても良い。また、上記酸化物の添加に当たっては、酸化物粉末以外に、焼成によって酸化物を形成し得る炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩などとして添加しても良い。
【0061】
さらに、中間層7として緻密なスピネル質焼結体を形成するために、中間層7の主原料として、平均粒径が0.5〜10μm、特に1.0〜5.0μmのスピネル粉末を用いることが望ましい。平均粒径が0.5μmよりも小さいと、粉末の取扱いが難しく、また粉末のコストが高くなる傾向があり、10μmよりも大きいと、1500℃以下の温度で緻密な中間層7を得るのが困難になることが多いためである。
【0062】
また、上記スピネル粉末に対して、アルミナ質絶縁層1の助剤成分及び/又は低誘電率層2の含有成分、特に助剤成分を5〜50質量%、特に10〜40質量%の割合で添加することが望ましい。このように、アルミナ質絶縁層1や低誘電率層2に含まれる成分が中間層7に含まれると、アルミナ質絶縁層1及び低誘電率層2と中間層7との界面の密着性をそれぞれ高くすることができる。特に、全量中5〜50質量%の割合でこれらの成分を添加することによって、焼成時に中間層7を容易に緻密化する事が可能となり、さらに助剤成分をアルミナ質絶縁層1及び/又は低誘電率層2と近い組成にする事により、これらのグリーンシートとの密着性をさらに高めることが可能となる。
【0063】
次に、各々の混合粉末を用いてアルミナ質絶縁層1及び低誘電率層2を形成するためのシート状成形体を、それぞれアルミナ質グリーンシート及び低誘電率グリーンシートとして作製する。シート状成形体は、周知の成形方法によって作製することができる。例えば、上記の混合粉末に有機バインダーや溶媒を添加してスラリーを調製した後、ドクターブレード法によって形成したり、混合粉末に有機バインダーを加え、プレス成形、圧延成形、押出し成形等により所定の厚みのシート状成形体を作製できる。そしてこのシート状成形体に対して、マイクロドリル、レーザー等によりヴィア導体用スルーホールを形成しても良い。
【0064】
このようにして作製したシート状成形体に対して、導体成分として、平均粒径が1〜10μmのCu粉末を10〜70体積%、特に30〜60体積%、平均粒径が1〜10μmのW粉末及び/またはMo粉末を30〜90体積%、特に40〜70体積%の割合で含有し、且つ所望によりZr、Al、Li、Mg及びZnのうち少なくとも1種を金属元素換算で0.05〜3体積%、特に0.2〜2体積%含有してなる導体ペーストを調製する。
【0065】
Cu粉末が10体積%未満では導体層3の抵抗が高くなり易く、また、70体積%よりも多いと、アルミナ質絶縁層1、低誘電率層2、中間層7及び導体層3の同時焼成において保形性を維持し難くなって、にじみや断線が発生しやすい。また、アルミナ質絶縁層1、低誘電率層2及び中間層7等から導体層3の剥離が発生し、ヴィア4内部の金属が欠落する等の不具合が生じやすい。
【0066】
そして、このペーストを各シート状成形体に施したヴィア4内に充填し、また、各シート状成形体表面に塗布する。なお、導体層3を形成する際は、上記導体ペーストを絶縁層1、低誘電率層2又は中間層7に対して、スクリーン印刷、グラビア印刷などの方法により印刷塗布する。
【0067】
これらの導体ペースト中には、絶縁層1との密着性を高めるために、酸化アルミニウム粉末や、絶縁層1を形成する酸化物セラミックス成分と同一の組成物粉末を0.05〜2体積%の割合で添加することも可能である。
【0068】
次いで、導体ペーストを表面及び/又はヴィア4に有するシート状成形体を位置合わせして積層圧着する。この時、アルミナ質グリーンシート(A)と低誘電率グリーンシート(D)の間にスピネル質グリーンシート(S)をスピネル質組成物として介在させる。この中間層は、上記のスピネル質組成物を用いて厚さ50〜100μm程度のシート状成形体から作製し、これをアルミナ質グリーンシートと誘電体用グリーンシート2との間に挿入し、積層する。例えば、グリーンシートをD、S、A、S、D、S、A、A、Aの順に重ねて積層する。
【0069】
また、上記スピネル質グリーンシートの代わりに、スピネル組成物として中間層用ペーストを用いても良い。この中間層用ペーストをアルミナ質グリーンシート1及び/又は誘電率グリーンシート2の表面に塗布し、上述したように積層すれば良い。
【0070】
中間層用ペーストは、周知の方法によって作成することが出来る。例えば、スピネル粉末及び助剤粉末の混合粉末に有機バインダーや溶剤を添加してスラリーを調整し、その後に溶剤を蒸発させたり、または混合粉末に有機バインダーを添加した後、攪拌脱泡器を用いて適当な時間混合し、ペーストを作製する。
【0071】
このペーストを、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などの方法によりアルミナ質グリーンシート及び/又は低誘電率グリーンシートの上に印刷塗布する。その際、グリーンシートに形成されたヴィア4の形状を維持するため、ヴィア4には塗布を行わないようにすれば良い。次いで、導体ペーストを表面及び/又はヴィア4に有するシート状成形体を位置合わせして積層圧着し、積層体を作製する。
【0072】
スピネル質グリーンシート又は中間層用ペーストは、含有する粉末の合計量に対し、スピネル粉末を50質量%以上含み、さらに前記アルミナ質グリーンシートと前記低誘電率グリーンシートの助剤成分のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。スピネルが主体となった組成により、中間層とアルミナ質絶縁層との接着強度及び中間層と低誘電率層との接着強度をそれぞれ高めることができる。
【0073】
得られた積層体を焼成温度が1200〜1500℃の温度となる条件で焼成することが重要で、特に、1225〜1450℃、更には1250〜1400℃、より好適には1275〜1350℃で焼成することが好ましい。
【0074】
この焼成温度が1200℃よりも低いと、アルミナ質絶縁層1が相対密度95%まで達することができず、熱伝導性と強度が低下するとともに、低誘電率層2も十分に緻密化することができない。一方、焼成温度が1500℃よりも高いと、WあるいはMo自体の焼結が進み、Cuの流動により導体層3の均一組織を維持することが困難となり、その結果、低抵抗を維持することができない。
【0075】
特に、拡散層の厚みtに対する中間層の厚みdの比t/dが、0.25〜1になるように焼成することが好ましい。拡散層の厚みを充分に確保すると共に、中間層がアルミナ質絶縁層又は低誘電率層に拡散しすぎることによる接合強度の低下を防止することができる。なお、焼成温度は、拡散層の形成及びその比t/dの制御の容易さから、特に1250〜1400℃に設定することが望ましい。
【0076】
また、この焼成時の非酸化性雰囲気としては、窒素、あるいは窒素と水素との混合雰囲気であることが望ましいが、特に、導体層3中のCuの拡散を抑制する上では、水素及び窒素を含み露点+30℃以下、特に0〜25℃の非酸化性雰囲気であることが望ましい。焼成時の露点が+30℃より高いと、焼成中に導体材料と雰囲気中の水分とが反応し酸化膜を形成し、アルミナ質絶縁層1とCu含有導体のCuが反応してしまい、導体の低抵抗化の妨げとなるのみでなく、Cuの拡散を助長してしまうためである。なお、焼成雰囲気には所望により、アルゴンガス等の不活性ガスを混入してもよい。
【0077】
以上のような構成による本発明の複合セラミック部品の製造方法は、アルミナ質絶縁層1、低誘電率層2及び電気抵抗の小さな導体層3を同時焼成することができ、この方法によって、信号の損失が少なく、高強度且つ高熱伝導性絶縁基板を備えた複合セラミック部品を実現できる。
【0078】
また、中間層7を形成することによって、アルミナ質絶縁層1と低誘電率層2との接着強度を著しく高めることができる。
【0079】
【実施例】
実施例1
アルミナ質絶縁層を作製するために、平均粒径が1.8μmのアルミナ粉末、平均粒径が4μmのMn2O3粉末、平均粒径が1μmのSiO2粉末、平均粒径が2μmのMgO粉末及びCaO粉末、B2O5粉末、Nb2O5粉末、Cr2O3粉末及びCoO3粉末を、表1、3のような組成に調合し、成形用有機樹脂(バインダー)としてアクリル系バインダーと、トルエンを溶媒として混合してスラリーを調製した後、ドクターブレード法にて厚さ250μmのシート状に成形し、絶縁層用グリーンシートを得た。そして、所定箇所に焼成後のホール径が100〜200μmのヴィアを形成した。
【0080】
低誘電率層として、平均粒径が3μmのフォルステライト粉末、平均粒径が2.2μmのコージェライト粉末、平均粒径が4μmのZn2SiO4粉末及びMn2O3粉末、平均粒径が2μmのCaO粉末、MgO粉末及びBaO粉末及び平均粒径が1.7μmの非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を、表1のような組成に調合し、さらにこれらの合計100質量部に対して、平均粒径が2.5μmのムライト粉末を表1に示す量だけ加え、成形用有機樹脂(バインダー)としてアクリル系バインダーと、トルエンを溶媒として混合してスラリーを調製した。これらのスラリーをドクターブレード法にて厚さ250μmのシート状に成形し、低誘電率グリーンシートを得た。そして、所定箇所に焼成後のホール径が100〜200μmのヴィアを形成した。
【0081】
中間層は、スピネル質グリーンシート(S)及びペースト(P)塗布により形成した。スピネル質グリーンシートとして、平均粒径0.98μmのスピネル粉末、上記のアルミナ質絶縁層及び/又は前記低誘電率層の助剤成分を表1のような組成に調合し、成形用有機樹脂(バインダー)としてアクリル系バインダーと、トルエンを溶媒として混合してスラリーを調製した。これらのスラリーをドクターブレード法にて厚さ250μmのシート状に成形し、スピネル質グリーンシートを得た。そして、所定箇所に焼成後のホール径が100〜200μmのヴィアを形成した。
【0082】
また、中間層用ペーストとして、上記のスピネル粉末、上記のアルミナ質絶縁層及び/又は上記の低誘電率層の助剤成分を表1、3のような組成に調合し、アクリル系バインダーと、アセトンを溶媒として混合してペーストを作製した。
【0083】
次に、平均粒径が5μmのCu粉末と、平均粒径が5μmのW粉末又はMo粉末とを表1、3に示す比率で混合し、アクリル系バインダーとをアセトンを溶媒として導体ペーストを作製した。
【0084】
次に、各シート状成形体上に上記導体ペーストを印刷塗布し、各シート状成形体のヴィアに上記導体ペーストを充填した。上記のようにして作製した各シート状成形体を位置合わせして積層圧着して成形体積層体を作製した。
【0085】
なお、中間層用ペーストを用いる場合、アルミナ質グリーンシート及び/又は低誘電率グリーンシートの表面に中間層用ペーストを周知の方法により塗布した後、各シート状成形体を位置合わせして積層圧着して成形体積層体を作製した。
【0086】
その後、この成形体積層体を実質的に水分を含まない酸素含有雰囲気中で脱脂を行った後、表1に示す焼成温度、25℃の露点の窒素水素混合雰囲気にて焼成して図1のような複合セラミック部品を作製した。
【0087】
得られた焼結体の比重をアルキメデス法によって測定し、真比重から相対密度を算出した。また、作製した複合セラミック部品全体の反り、割れを確認し、配線・ヴィアの外観の確認を行った。
【0088】
比誘電率は、JIS R1627に基づいて空洞共振器法により測定周波数60GHzで比誘電率を測定した。また、アルミナ質絶縁層の曲げ強度は、JISR1601に基づいて室温における3点曲げ強度を測定した。
【0089】
拡散層の元素分析をEPMAにて行い、走査型電子顕微鏡を用いて中間層の厚み(d)及び拡散層の厚み(t)を測定し、比t/dを算出した。
【0090】
また、反射損失はネットワークアナライザとウエハープローブを用いて60GHzの信号に対する反射損失を測定した。詳細にはセラミック部品を実装する基板とセラミック部品内に設けた測定用電極間の値を測定した。結果を表1〜4に示した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
本発明の試料No.1〜3、5、6、8〜14、16〜18及び20〜60は、配線・ヴィアの外観、基板の反り、割れが無く、反射損失も−12.5dB以下であった。
【0096】
一方、低誘電率層に副成分のない本発明の範囲外の試料No.4は、緻密な低誘電率層が得られず、また、基板の割れが見られた。
【0097】
また、副成分が10質量%を超える本発明の範囲外の試料No.7、15及び19は、いずれも配線の断線が見られた。
実施例2
実施例1における試料No.47の組成を用いて、中間層のある複合セラミック部品と、中間層の無い複合セラミック部品を作製し、ヒートサイクル試験を行った。なお、中間層の無い複合セラミック部品の低誘電率層にはムライトは添加しなかった。
【0098】
ヒートサイクル試験は、−65〜150℃を100回毎にアルミナ質絶縁層と低誘電率層の間にクラックがあるかどうかを観察し、1000回まで繰り返した。
【0099】
その結果、中間層の無い複合セラミック部品では、500回でクラックが観察されたが、中間層のある複合セラミック部品では、1000回でもクラックは発生しなかった。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミナ質絶縁層と、低誘電率の低誘電率層とを一体的に積層し、表面及び/又は内部に導体層が形成された絶縁基板を備えた構造を有し、低誘電率層の組成を制御したことにより、高周波領域に対応できる高強度、高熱伝導、低抵抗導体配線の複合セラミック部品を実現した。
【0101】
また、アルミナ質絶縁層と、低誘電率の低誘電率層の間に中間層及び/又は拡散層を具備することより、アルミナ質絶縁層と低誘電率層の接着強度が向上し、信頼性及び寿命を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合セラミック部品の一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明の複合セラミック部品の一部分を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、11・・・アルミナ質絶縁層
2、12・・・低誘電率層
3・・・導体層
3a・・・表面導体層
3b・・・内部導体層
4・・・ヴィア
5・・・絶縁基板
7、17・・・中間層
18・・・拡散層
Claims (17)
- アルミナ質絶縁層と、該アルミナ質絶縁層よりも低誘電率の低誘電率層とが一体的に積層され、表面及び/又は内部に導体層が形成された絶縁基板を備え、前記低誘電率層がフォルステライト及びコージェライトを主結晶相とし、副成分として、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラスを全量中0.1〜10質量%の割合で含み、さらに前記アルミナ質絶縁層と前記低誘電率層の間に、スピネルを主結晶相とする中間層が形成されていることを特徴とする複合セラミック部品。
- 前記中間層と前記アルミナ質絶縁層、前記中間層と前記低誘電率層との間にそれぞれ拡散層が含まれることを特徴とする請求項1に記載の複合セラミック部品。
- 前記拡散層の厚みtに対する前記中間層の厚みdの比t/dが、0.25〜1であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合セラミック部品。
- 前記低誘電率層が、ムライト結晶相を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複合セラミック部品。
- 前記低誘電率層が、コージェライトを全量中20〜40質量%の割合で含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合セラミック部品。
- 前記アルミナ質絶縁層の3点曲げ強さが350MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の複合セラミック部品。
- 前記アルミナ質絶縁層が、Mnを酸化物換算で2〜15質量%、Siを酸化物換算で2〜15質量%、Mg、Ca、B、Nb、Cr及びCoのうち少なくとも1種を酸化物換算で0.1〜4質量%含むとともに、相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の複合セラミック部品。
- 前記導体層が、Cuを10〜70体積%、W及び/又はMoを30〜90体積%の割合で含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の複合セラミック部品。
- フォルステライト粉末及びコージェライト粉末に対して、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種を含む酸化物粉末及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を全量中0.1〜10質量%の割合で含む低誘電率グリーンシートと、アルミナ質グリーンシートとスピネル質グリーンシートとを作製し、各グリーンシートに導体ペーストを塗布した後、前記低誘電率グリーンシートと前記アルミナ質グリーンシートで前記スピネル質グリーンシートを介在せしめて積層して積層体を作製し、次いで該積層体を1200〜1500℃で焼成することを特徴とする複合セラミック部品の製造方法。
- フォルステライト粉末及びコージェライト粉末に対して、Zn、Mn及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1種を含む酸化物粉末及び/又は非鉛・非アルカリホウ珪酸ガラス粉末を全量中0.1〜10質量%の割合で含む低誘電率グリーンシートと、アルミナ質グリーンシートとを作製し、各グリーンシートに導体ペーストを塗布した後、前記低誘電率グリーンシート及び/又は前記アルミナ質グリーンシートの主面にスピネルを主体とするペーストを塗布し、該ペーストを挟むように前記アルミナ質グリーンシートと前記低誘電率グリーンシートとを積層して積層体を作製し、次いで該積層体を1200〜1500℃で焼成することを特徴とする複合セラミック部品の製造方法。
- 拡散層の厚みtに対する中間層の厚みdの比t/dが、0.25〜1になるように、前記積層体を焼成することを特徴とする請求項9または請求項10記載の複合セラミック部品の製造方法。
- 前記低誘電率グリーンシートにムライト粉末を含むことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の複合セラミック部品の製造方法。
- 前記低誘電率グリーンシート、前記アルミナ質グリーンシート及び前記スピネル質グリーンシートの積層に先立って、前記低誘電率グリーンシート、前記アルミナ質グリーンシート、前記スピネル質グリーンシートの少なくとも一方にヴィアを形成し、該ヴィア中に導体ペーストを充填することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の複合セラミック部品の製造方法。
- 前記低誘電率グリーンシートが、コージェライト粉末を全量中に20〜40質量%の割合で含むことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の複合セラミック部品の製造方法。
- 前記アルミナ質グリーンシートが、Mn2O3を2〜15質量%、SiO2を2〜15質量%、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、B2O5、Nb2O5、Cr2O3及びCo3O4のうち少なくとも1種を0.1〜4質量%、残部がアルミナ粉末からなる混合粉末を成形して得られるものであることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の複合セラミック部品の製造方法。
- 前記スピネル質グリーンシート又は前記スピネルを主体とするペーストが、全重量に対しスピネル粉末を50質量%以上含み、さらに前記アルミナ質グリーンシート及び/又は前記低誘電率グリーンシートに含まれる助剤成分のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の複合セラミック部品の製造方法。
- 前記導体ペーストが、金属成分としてCu粉末を10〜70体積%、W粉末及び/又はMo粉末を30〜90体積%の割合で含むことを特徴とする請求項9乃至16のうちいずれかに記載の複合セラミック部品の製造方法。
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