JP4794040B2 - セラミック焼結体およびそれを用いた配線基板 - Google Patents

セラミック焼結体およびそれを用いた配線基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子収納用パッケージ、多層配線基板等に適用される配線基板等に最適なセラミック焼結体とそれを用いた配線基板に関するものであり、特に、銀、銅、金と同時焼成が可能で、誘電率が低く信号遅延を低減することが可能であり、かつ半導体素子等の能動素子の動作時等に発生する熱を効率よく放散することが可能なセラミック焼結体の改良に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、高度情報化時代を迎え、情報通信技術の急速な発達に伴い、半導体素子の高速化、大型化が進行している。そのため、半導体素子の高速化に伴い、パッケージや基板等における信号遅延の問題が大きくなっている。同時に、半導体素子の大型化に伴う発熱量の増加による、パッケージや基板等における熱抵抗の問題も大きくなっている。
【0003】
従来より、セラミック多層配線基板としては、アルミナ質焼結体からなる絶縁層の表面または内部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる配線層が形成されたアルミナ配線基板が最も普及している。
【0004】
ところが、従来のアルミナ配線基板では、その導体であるタングステン(W)や、モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、さらにアルミナの誘電率も9程度と高いことから、信号遅延が大きいことが問題となっていた。そこで、W、Moなどの金属に代えて、銅、銀、金などの低抵抗金属を導体として使用し、さらに絶縁層の誘電率を低くすることが要求されている。
【0005】
そのため、最近では、ガラス、または、ガラスとセラミックとの複合材料であるガラスセラミックスを絶縁層として用いることにより、1000℃以下の低温焼成を可能とし、融点の低い銅、銀、金などの低抵抗金属を導体として使用できるようにし、かつ誘電率をアルミナよりも低くすることが可能な、ガラスセラミック配線基板が開発されつつある。
【0006】
例えば、特公平4−12639号のように、ガラスにSiO2系フィラーを添加した絶縁層と、銅、銀、金などの低抵抗金属からなる配線層とを900〜1050℃の温度で同時焼成した多層配線基板や、特開昭60−240135号のように、ホウ珪酸亜鉛系ガラスに、アルミナ、ジルコニア、ムライトなどのフィラーを添加したものを低抵抗金属と同時焼成したものなどが提案されている。その他、特開平5−298919号には、ムライトやコージェライトを結晶相として析出させたガラスセラミック材料も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記に挙げたような従来のガラスセラミックスにおいては、熱伝導率が0.5〜1.5W/m・K程度と低く、熱放散性において従来のアルミナ等に比べて劣っていた。
【0008】
そこで、特開昭63−307182号や特開平4−254477号等に記載されるような、高熱伝導性を有するAlNとガラスとを焼成したガラスセラミックスを絶縁基板として用いた配線基板が提案されている。
【0009】
しかしながら、AlN等の非酸化物セラミックスをフィラーとして用いると、焼成中にガラスと非酸化物セラミックフィラーとが焼成中に反応し、焼成中に非酸化物セラミックフィラーが分解して、分解ガスが発生し、このガスによって磁器が膨張したり、寸法精度が上がらない等の問題があった。
【0010】
また、磁器表面に気泡が発生したりして表面が荒れるなどの問題があり、安定して良好な磁器を得ることが難しく、歩留まりが低く、工業製品としての実用上大きな問題があり、事実上量産は困難であった。かかる現象は、特に、大気などの酸化性雰囲気中での焼成で顕著となるため、銀を導体とする配線層の形成が非常に困難であったり、銅配線を行う際に脱バインダー不良が起こり易いなどという問題があった。
【0011】
しかも、フィラー成分としてそれ自体高熱伝導性を有するAlN等を添加してもマトリックスが低熱伝導性のガラス相のみであるために、磁器として高熱伝導化が得られにくく、しかも強度が弱いという問題があった。
【0012】
従って、本発明は、銀、銅、金等の低抵抗金属、なかでも銀と同時に低温で焼成が可能であり、高熱伝導率、低誘電率を有し、且つ高強度を有するガラスセラミック焼結体、およびそれを用いた配線基板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、少なくともSiO、Al、ZnO、Bを含むホウ珪酸系ガラス粉末と、AlNの非酸化物系化合物粉末とからなる混合粉末を焼成し、焼結体として、ガラス相と、スピネル系化合物結晶相と、AlNの非酸化物系化合物結晶相を分散含有させることによって、銀、銅、金等の低抵抗、低融点金属、なかでも銀と低温で同時焼成を可能としつつ、ガラスと非酸化物系化合物粉末との反応を抑制できるため、高熱伝導率、低誘電率を有するセラミック焼結体、およびそれを用いた配線基板を歩留まりよく提供することができることを知見し、本発明に至った。
【0014】
即ち、本発明のセラミック焼結体は、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびCaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75重量%と、AlN粉末を25重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびSrOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75〜95重量%と、AlN粉末を5〜25重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびBaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜75重量%と、AlN粉末を25〜40重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を10重量%、ZnOを15重量%、B を18重量%、CaOを5質量%およびBaOを28重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜90重量%と、AlN粉末を10〜40重量%の割合で含有する混合粉末のうちのいずれか1種の混合粉末を所定形状に成形後、焼成して形成され、ガーナイト(ZnAl)および/またはスピネル(MgAl)と、AlNと、ガラス相と、CaAlSi、SrAlSiおよびBaAlSiのうちのいずれか1種とを含有するとともに、酸化銅、酸化鉛、酸化ビスマスおよびアルカリ金属酸化物が合計量で0.5重量%以下であり、かつ、相対密度が97.9%以上、誘電率が7.2以下、熱伝導率が2.3W/m・K以上であることを特徴とするものである。
【0018】
さらに本発明の配線基板は、絶縁基板と、その表面および/または内部に配設された配線層を具備してなるものであって、絶縁基板を上記のセラミック焼結体によって形成したものであって、前記配線層は、金、銀、銅から選ばれる群の1種以上の導体を主成分とすることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミック焼結体は、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびCaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75重量%と、AlN粉末を25重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびSrOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75〜95重量%と、AlN粉末を5〜25重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびBaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜75重量%と、AlN粉末を25〜40重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を10重量%、ZnOを15重量%、B を18重量%、CaOを5質量%およびBaOを28重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜90重量%と、AlN粉末を10〜40重量%の割合で含有する混合粉末のうちのいずれか1種の混合粉末を所定形状に成形後、焼成して形成され、ガラス相をマトリックスとし、このガラス相中に、ガーナイト(ZnAl)および/またはスピネル(MgAl)と、AlNとを分散含有した組織からなり、酸化銅、酸化鉛、酸化ビスマスおよびアルカリ金属酸化物が合計量で0.5重量%以下であり、かつ相対密度が97.9%以上の緻密質からなる焼結体である。なお、上記ガラス相は完全に結晶化しており実質的に非晶質を含有しなくてもよい。
【0020】
本発明のセラミック焼結体の組織によれば、焼結体としての高熱伝導化を達成する上で、それ自体、高熱伝導性を有する結晶相を分散していることが必要である。高熱伝導性を有する結晶相としては、AlNが挙げられるが、この非酸化物系化合物は、ガラス相との反応性が高いため、その焼結過程で非酸化物系化合物が分解してガスなどが発生してしまう。
【0021】
また、非酸化物系化合物結晶相として、AlNを選択したのは、この非酸化物系化合物結晶相熱伝導率が高く、かつガラスとの反応性が比較的低いためであ
【0022】
ところが、後述するように、少なくともSiO2、Al23、ZnO、B23を含有する非晶質ガラスあるいは結晶化ガラスを用いると、非酸化物系化合物との反応性を低く抑えることができ、分解ガスなどの発生を抑制できる。また、かかるガラスは、誘電率が低いために、焼結体全体として誘電率を低下させることができる。
【0023】
それによって、焼結体の焼結後の寸法変化が小さく、高熱伝導性と低誘電率化を達成できる。具体的には、熱伝導率が2.3W/m・K以上であり、誘電率が7.2下であることを特徴とする。
【0025】
各成分組成を上記範囲に限定したのは、前記ホウ珪酸系ガラス粉末が0重量%未満、即ち非酸化物系化合物粉末が0重量%を超えると、1000℃以下の焼成において焼結体を緻密化することが困難となり、前記ホウ珪酸系ガラス粉末が95重量%を超える、即ち非酸化物系化合物粉末が5重量%よりも少ないと、2.3W/m・K以上の高熱伝導化が達成できないためである。
【0026】
このように、前記セラミック焼結体中に、AlNに加えて、出発原料組成におけるガラス粉末中の成分として、SiO、Al、ZnOおよび に、CaO、SrOおよびBaOのうちのいずれか1種を含する。これらの成分を含有するガラスは、焼成中にAlNとの反応性が非常に低いため、ガラスとフィラーの反応によガスが発生し、焼結体の寸法精度の悪化や焼結体の表面での気泡発生による歩留まりの著しい低下を防ぐことが可能となる。
【0028】
なお、酸化銅、酸化鉛、酸化ビスマス、アルカリ金属酸化物等は、非酸化物系化合物と反応性が高く、寸法精度の悪化や気泡発生等を招くため、ガラス中に含有させることは望ましくなく、それらは酸化物換算による合計量で0.5重量%以下に抑制することが重要である
【0029】
発明のセラミック焼結体は、上記のように、前記ガラス相中に、前記AlNに加えて、ガーナイト(ZnAl )およびスピネル(MgAl )の少なくとも1種のスピネル系化合物結晶相が存在する。このスピネル系化合物結晶相は、セラミック焼結体の熱伝導率と強度を向上させる作用を有する。このスピネル系化合物結晶相は、前記組成のガラスからの析出結晶相であってもよいし、スピネル系化合物をフィラーとして添加することも可能であるが、ガラスから析出させることがより、緻密な焼結体を得るのに効果的であって、熱伝導率と強度の向上効果も大きい。この場合、前記2つのスピネル系化合物結晶相が相互に固溶した、(Mg,Zn)Alの形で存在していても差し支えない。
【0030】
さらに、本発明のセラミック焼結体は、前記ガラス相中に分散させる結晶相として、AlN、並びにガーナイト(ZnAl )およびスピネル(MgAl )のうち少なくとも1種のスピネル系化合物結晶相以外に他の結晶相が存在してもよい。
【0031】
その中でも、ムライト結晶相およびコーディエライト結晶相のうち少なくとも1種を含有することがセラミック焼結体の熱伝導率と強度を向上させるために効果的である。これらの結晶相も、前記組成のガラスからの析出結晶相であってもよいし、フィラーとして添加することも可能であるが、ガラスから析出させることがより緻密なセラミック焼結体を得るのに効果的であって、熱伝導率と強度の向上効果も大きい。
【0032】
ラミック焼結体の一例として、図1のセラミック焼結体の組織を説明するための概略図に示すように、ホウ珪酸系ガラス相(G)と、非酸化物化合物結晶相(N)、スピネル系化合物結晶相(S)を必須とし、さらにはムライト結晶相(Mu)やコーディエライト結晶相(Co)等の結晶相を含むものである。
【0033】
また、本発明のセラミック焼結体においては、前記ガラス粉末中にMgO、CaO、SrO、BaOの群から選ばれる少なくとも1種、特にMgOを配合することが望ましい。これらの成分を配合することにより、ガラスの軟化点が低下し、非酸化物系化合物の添加量を増加させることが可能となる結果、セラミック焼結体の熱伝導率をさらに向上させることができる。
【0034】
上記のように、MgO、CaO、SrOおよびBaOのうちのいずれか1種とを含有する場合、本発明のセラミック焼結体においては、非酸化物系化合物結晶相とスピネル系化合物結晶相に加えて、ガラス相から結晶相として(M1)AlSi(M1=Ca、Sr、Baのうちのいずれか1種)結晶相を析出させると、セラミック焼結体の熱伝導率と強度の向上、特に針状に析出させることが可能であるため、強度の向上に効果的である。
【0035】
したがって、本発明のセラミック焼結体は、例えば、図2のセラミック焼結体の組織を説明するための概略図に示すように、ホウ珪酸系ガラス相(G)と、スピネル系化合物結晶相(S)、非酸化物化合物結晶相(N)以外に、(M1)AlSi(M1=Ca、Sr、Ba)結晶相(MAS)から構成される。
【0036】
なお、本発明のセラミック焼結体においては、上記のスピネル系化合物結晶相、MAlSi(M=Ca、Sr、Ba)結晶相、非酸化物系化合物結晶相以外にも、1つあるいは複数の酸化物結晶相を含有していても差し支えない。
【0037】
これらの酸化物結晶相は、混合粉末の段階でフィラーとして添加してもよいし、またガラスの結晶化により析出させても差し支えなく、これらの酸化物結晶相を焼結体内部に含有させて、得られるセラミック焼結体の特性、例えば誘電率、誘電損失、熱膨張係数、破壊強度、破壊靭性、熱伝導率等、を制御することが可能となる。
【0038】
これらの酸化物結晶相の例としては、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2、ZnO、MgSiO3、Mg2SiO4、Zn2SiO4、CaMgSi26、Zn2Al4Si518の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、用途に合わせて選択できる。なお、上記酸化物結晶相はここに例示した結晶相に限定されるものではない。
【0039】
次に、上記のセラミック焼結体を用いた配線基板について、半導体素子を収納搭載した半導体素子収納用パッケージを例として図3をもとに説明する。図3によれば、パッケージAは、絶縁基板1の表面および/あるいは内部にメタライズ配線層2が形成され、パッケージAの下面には、複数の接続用電極3が配列されている。絶縁基板の上面中央部には、半導体素子4がガラス、樹脂等の接着剤を介して絶縁基板1に接着固定され、半導体素子4はメタライズ配線層2とボンディングワイヤ5を介して電気的に接続され、さらにその上から封止樹脂6により覆うことにより封止されている。そして、半導体素子4と、絶縁基板1の下面に形成された複数の接続用電極3とは、メタライズ配線層2を介して電気的に接続されている。
【0040】
本発明によれば、図3に示されるようなパッケージにおける前記絶縁基板1が上記のセラミック焼結体からなるものであり、特に熱伝導率が、従来のセラミックの平均的な値である約1W/m・Kよりも高い2.3W/m・K以上であり、誘電率が7.2下でる。
【0041】
かかる配線基板は、例えば、上記のセラミック焼結体を形成し得る混合粉末を用いて、適当な有機溶剤、溶媒を用いて混合してスラリーを調製し、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法により、シート状に成形する。そして、このシート状成形体に所望によりスルーホールを形成した後、スルーホール内に、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を含む金属ペーストを充填する。そして、シート状成形体表面には、高周波信号が伝送可能な高周波線路パターンを金属ペーストを用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法などの配線層の厚みが5〜30μmとなるように、印刷塗布する。その後、複数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、1000℃の酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気で焼成することにより、配線基板を作製することができる。
【0042】
なお、本発明セラミック焼結体は、酸化性雰囲気での焼成であってもガラスと非酸化物系化合物との反応を抑制できるために、配線層を銀で形成することが可能であり、その場合には有機バインダを除去する工程を400〜600℃の酸化性雰囲気で行い、焼成を950℃以下の酸化性雰囲気で行なうことができる。また、配線層を銅で形成する場合には、有機バインダを除去する工程を700〜800℃のN雰囲気で行い、焼成を1000℃以下のNなどの非酸化性雰囲気で行なうことができる。
【0043】
そして、この配線基板の表面には、半導体素子が搭載され配線層と信号の伝達が可能なように接続される。接続方法としては、配線層上に直接搭載させて接続させたり、あるいはワイヤーボンディングや、TABテープなどにより配線層と半導体素子とが接続される。
【0044】
さらに、半導体素子が搭載された配線基板表面に、絶縁基板と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材料、あるいは放熱性が良好な金属等からなるキャップをガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤により接合することにより、半導体素子を気密に封止することができ、これにより半導体素子収納用パッケージを作製することができる。
【0045】
【実施例】
表1からなる7種のガラスを準備した。
【0046】
【表1】
Figure 0004794040
【0047】
そして、これらのガラス粉末に対して、平均粒径が2μmの非酸化物系化合物粉末として、AlN粉末、Si34粉末、SiC粉末、BN粉末を用いて、表1の組成に従い混合した。
【0048】
そして、この混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを5枚積層し、50℃の温度で100kg/cm2の圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を大気中、500℃で脱バインダーした後、大気中で表2の条件において焼成して絶縁基板用のセラミック焼結体を得た。
【0049】
得られたセラミック焼結体の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法にて測定した。また、セラミック焼結体にIn−Gaペーストを塗布して電極とし、LCRメーターを用いて、測定周波数1MHzにおいて誘電率を測定した。測定の結果は表2に示した。
【0050】
また、得られたセラミック焼結体中には、用いたガラス中の構成金属元素および酸素を含むガラス相以外に種々の結晶相が確認された。その結晶相をX線回折測定から同定し、ピーク強度の大きい順にガラス相と合わせて表2に示した。なお、ガーナイト結晶相とスピネル結晶相はピークが重なるため表中では区別せずにまとめてガーナイト結晶相として記述した。
【0051】
さらに、上記のグリーンシートに対して、ビアホールを形成して銀ペーストを充填し、シート表面に銀ペーストを配線パターンとして印刷塗布し、また、最下層のグリーンシートの底面には、内部の配線層と導通する電極層を形成した後、これを5層積層して、上記と同様な条件で焼成して35mm角、厚み1.2mmの多層配線基板をそれぞれ200個作成した。
【0052】
このときの、寸法ばらつきを測定し、±350μmを規格とした際の寸法精度について良品率を算出した結果を表2に示した。
【0053】
また、一部の試料については、フィラー成分として、非酸化物系化合物粉末に代わり、コーディエライト粉末、ZrO粉末を用いて同様にセラミック焼結体を作製し評価した。
【0054】
さらに、JISR1601に基づき、セラミック焼結体の抗折強度を3点曲げ試験によって測定した。また、セラミック焼結体を粉砕し、気相中で真比重を求め、アルキメデス法でかさ比重を求めて相対密度を算出し表2に示した。
【0055】
【表2】
Figure 0004794040
【0056】
表1、表2の結果から明らかなように、本発明に基づき、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびCaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75重量%と、AlN粉末を25重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびSrOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75〜95重量%と、AlN粉末を5〜25重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびBaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜75重量%と、AlN粉末を25〜40重量%の割合で含有する混合粉末、SiO を24重量%、Al を10重量%、ZnOを15重量%、B を18重量%、CaOを5質量%およびBaOを28重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜90重量%と、AlN粉末を10〜40重量%の割合で含有する混合粉末のうちのいずれか1種の混合粉末を所定形状に成形後、焼成して形成され、ガーナイト(ZnAl)および/またはスピネル(MgAl)と、AlNと、ガラス相と、CaAlSi、SrAlSiおよびBaAlSiのうちのいずれか1種とを含有するとともに、酸化銅、酸化鉛、酸化ビスマスおよびアルカリ金属酸化物が合計量で0.5重量%以下である場合においては、相対密度が97.9%以上であるとともに、熱伝導率が2.3W/m・K以上の高い値を示し、さらに誘電率が7.2以下の低誘電率と、高強度を示しつつ高い寸法精度を有するセラミック焼結体およびそれを用いた配線基板が得られることが分かる。
【0057】
それに対して、ホウ珪酸系ガラスが95重量%よりも多い、即ち非酸化物系化合物が5重量%よりも少ない試料No.1、8においては、非酸化物系化合物による熱伝導率の向上効果が不十分となり、2W/m・Kよりも低い熱伝導率を示す。
【0058】
また、上記ガラスが30重量%よりも少ない、即ち非酸化物系化合物が70重量%よりも多い試料No.14においては、緻密な焼結体が得られないものであった。さらに、非酸化物系化合物に変えてコーディエライト、ZrO2を用いた試料No.23、24においても2W/m・Kよりも低い熱伝導率を示す。
【0059】
そして、ガラス粉末中に、Bi23やアルカリ金属酸化物を多量に含有するガラスE、Fを用いた試料No.25〜28においては、ガラスと非酸化物化合物が反応してしまい、十分な寸法精度が得られないものであった。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、銀、銅、金等の低抵抗、低融点金属、なかでも銀と同時に低温で1000℃以下で焼成を可能とし、緻密で、高熱伝導率、低誘電率を有するセラミック焼結体と、それを用いた配線基板を歩留まりよくることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラミック焼結体の組織を説明するための概略図である。
【図2】 本発明のラミック焼結体の組織を説明するための概略図である。
【図3】 本発明の配線基板の一例として半導体素子収納用パッケージの概略断面図である。
【符号の説明】
G ホウ珪酸系ガラス相
N 非酸化物系化合物結晶相
S スピネル系化合物結晶相
Mu ムライト結晶相
Co コーディエライト結晶相
MAS (M1)AlSi(M1=Ca,Sr,Ba)結晶相
MMS (M2)MgSi(M2=Ca,Sr,Ba)結晶相
A 半導体素子収納用パッケージ
1 絶縁基板
2 配線層
3 接続用電極
4 半導体素子

Claims (3)

  1. SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびCaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75重量%と、AlN粉末を25重量%の割合で含有する混合粉末、
    SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびSrOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を75〜95重量%と、AlN粉末を5〜25重量%の割合で含有する混合粉末
    、SiO を24重量%、Al を7重量%、ZnOを16重量%、B を13重量%、MgOを8重量%およびBaOを32重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜75重量%と、AlN粉末を25〜40重量%の割合で含有する混合粉末
    、SiO を24重量%、Al を10重量%、ZnOを15重量%、B を18重量%、CaOを5質量%およびBaOを28重量%含むホウ珪酸系ガラス粉末を60〜90重量%と、AlN粉末を10〜40重量%の割合で含有する混合粉末
    のうちのいずれか1種の混合粉末を所定形状に成形後、焼成して形成され、
    ガーナイト(ZnAl)および/またはスピネル(MgAl)と、AlNと、ガラス相と、CaAlSi、SrAlSiおよびBaAlSiのうちのいずれか1種とを含有するとともに、酸化銅、酸化鉛、酸化ビスマスおよびアルカリ金属酸化物が合計量で0.5重量%以下であり、かつ、相対密度が97.9%以上、誘電率が7.2以下、熱伝導率が2.3W/m・K以上であることを特徴とするセラミック焼結体。
  2. 絶縁基板と、その表面および/または内部に配設された配線層を具備してなる配線基板において、前記絶縁基板が、請求項1記載のセラミック焼結体からなることを特徴とする配線基板。
  3. 前記配線層が、金、銀、銅から選ばれる群の1種以上の導体を主成分とする請求項記載の配線基板。
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