JP3783463B2 - ハイブリッド車の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、駆動力源としてエンジンおよび電動機が搭載されているハイブリッド車の駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、2種類以上の駆動力源を搭載したハイブリッド車が提案されている。このようなハイブリッド車においては、各々の駆動力源の有する特性を生かしつつ、駆動力源同士で相互に欠点を補うことにより、総合的な効率の向上を図ることができる。このようなハイブリッド車の制御装置の一例が、特開平8−16804号公報に記載されている。
【0003】
この公報に記載されたハイブリッド車は、駆動力源として、燃焼により作動するエンジンと、電気エネルギにより駆動する電動機とを備えている。そして、エンジンまたは電動機の少なくとも一方から出力されたトルクが、変速機を介して車輪に伝達されるように構成されている。この公報に記載されているようなハイブリッド車においては、車速およびアクセル開度に基づいて、エンジンおよび電動機の運転領域(具体的には駆動または停止)が制御される。例えば、エンジンの燃焼効率の悪い低負荷領域においては電動機が駆動され、加速時などの高負荷領域においてはエンジンが駆動されるように、駆動力源の制御態様が設定される。
【0004】
また、上記公報に記載された変速機として、変速比を段階的に切り換えることのできる有段式の自動変速機を搭載することができる。この自動変速機の一例としては、歯車変速機構と摩擦係合装置とを有するものが知られている。そして、この摩擦係合装置の係合・解放を制御することによりトルク伝達経路が切り換えられ、変速比が制御されるように構成されている。例えば、車両を前進させるために第1速〜第5速のいずれかを選択することのできる自動変速機においては、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションなどの各種のシフトポジションを選択することができ、各シフトポジションで設定することのできる変速比の範囲は異なる。
【0005】
例えば、Dポジションでは第1速〜第5速のいずれかが設定され、4ポジションでは第1速〜第4速のいずれかが設定され、3ポジションでは第1速〜第3速のいずれかが設定され、2ポジションでは第1速または第2速が設定され、Lポジションでは第1速に固定される。すなわち、各シフトポジションで設定することのできる変速段は、マニュアルバルブなどを含む機械的な構造により拘束されている。そして、このような自動変速機が、前記ハイブリッド車に搭載された場合は、エンジンまたは電動機のもつトルク特性に基づき、各駆動力源の運転領域に対応して自動変速機の変速比が設定されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のハイブリッド車においては、エンジンおよび電動機の運転領域と、シフトポジションとの対応関係が考慮されていなかった。このため、例えば、エンジンと電動機との切り換え制御を、全てのシフトポジションで同じ条件下でおこなうとすれば、2ポジションまたはLポジションが選択されている状態において、車速の上昇にともない第3速にアップシフトするべき車両状態に変化したとしても、前述した理由により、自動変速機の変速段は第3速にはアップシフトしないとともに、電動機のみが運転状態に制御される可能性がある。すると、自動変速機がアップシフトしないために電動機の回転数が上昇するが、電動機は所定の回転数以上になると、出力トルクが急激に低下する特性を有している。その結果、車輪に伝達されるトルクが不足し、ドライバビリティが悪化する可能性があった。
【0007】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、エンジンおよび電動機の駆動・停止の制御状態と、変速機で設定される変速比の範囲を制御するシフトポジションとの対応関係に基づいて生じるドライバビリティの悪化を抑制することのできるハイブリッド車の駆動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成され、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、前記エンジンおよび前記電動機を駆動・停止するための制御態様を、前記シフトポジションに応じて変更するとともに、前記電動機の駆動領域で前記変速機の変速比を制御し、この前記変速機の変速比が、各シフトポジション毎に異なり、かつ、設定することのできる最小変速比が大きくなることに比例して、その最小変速比の設定される領域が広くなるように制御する制御態様変更手段を備えていることを特徴とすることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。例えば、変速機で設定することのできる高速段側の変速比の設定が制限されるほど、そのシフトポジションが選択されている状態におけるエンジンの運転領域が可及的に広くなるように、エンジンおよび電動機の制御態様を変更することができる。また、車両の状態が変化した場合でも、電動機の駆動領域が可及的に拡大される。
【0010】
請求項2の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の駆動状態を制御することにより、車両を前進させるための前進用シフトポジション、またはこの前進用シフトポジションとは異なる変速比に設定され、かつ、車両を後退させるための後退用シフトポジションを相互に切り換えることのできるシフト装置とを有するとともに、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断する第1シフトポジション判断手段と、前記変速機で実際に設定されているシフトポジションを判断する第2シフトポジション判断手段と、前記第1シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションと、前記第2シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションとが異なっていた場合は、前記第2シフトポジション判断手段の判断結果に基づいて、前記エンジンおよび前記電動機の駆動・停止を制御するための制御態様を選択する制御態様選択手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションの判断結果が、変速機で実際に設定されているシフトポジションの判断結果とは異なっていた場合は、変速機で実際に設定されているシフトポジションの判断結果に基づいて、エンジンおよび電動機を駆動・停止するための制御態様が選択される。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の作用が生じるほか、シフトポジションが不明な場合は、回転数が上昇したとしてもトルクの低下が比較的少ないエンジンが単独で駆動される。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記シフトポジションを判断することができない場合の中味に、前記シフト装置の操作状態に基づいてシフトポジションを判断するシフトポジションセンサの異常が含まれていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の作用が生じるほかに、シフトポジションセンサの異常により、シフトポジションを判断することができない場合は、回転数が上昇したとしてもトルクの低下が比較的少ないエンジンが単独で駆動される。
また、請求項5の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成され、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、選択されているシフトポジションで前記変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても前記変速機で変速が発生しない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするものである。この請求項5の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。また、請求項5の発明によれば、選択されているシフトポジションで変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても変速機で変速が発生しない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
さらに、請求項6の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成され、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするものである。この請求項6の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。また、請求項6の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
さらに、請求項7の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の駆動状態を制御することにより、車両を前進させるための前進用シフトポジション、またはこの前進用シフトポジションとは異なる変速比に設定され、かつ、車両を後退させるための後退用シフトポジションを相互に切り換えることのできるシフト装置とを有するハイブリッド車の駆動制御装置において、前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断する第1シフトポジション判断手段と、前記変速機で実際に設定されているシフトポジションを判断する第2シフトポジション判断手段と、前記第1シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションと、前記第2シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションとが異なっていた場合は、前記第2シフトポジション判断手段の判断結果に基づいて、前記エンジンおよび前記電動機の駆動・停止を制御するための制御態様を選択する制御態様選択手段と
を備えていることを特徴とするものである。請求項7の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションの判断結果が、変速機で実際に設定されているシフトポジションの判断結果とは異なっていた場合は、変速機で実際に設定されているシフトポジションの判断結果に基づいて、エンジンおよび電動機を駆動・停止するための制御態様が選択される。
さらに、請求項8の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成されたハイブリッド車の駆動制御装置において、選択されているシフトポジションで前記変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても前記変速機で変速が発生しない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするものである。請求項8の発明によれば、選択されているシフトポジションで変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても変速機で変速が発生しない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
さらに、請求項9の発明は、車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成されたハイブリッド車の駆動制御装置において、前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするものである。請求項9の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。また、請求項9の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図を参照してより具体的に説明する。図2は、この発明を適用したハイブリッド車の概略構成を示すブロック図である。車両における第1の駆動力源であるエンジン1としては、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジン等の内燃機関が用いられる。この実施例のエンジン1は、燃料噴射装置および吸排気装置ならびに点火装置等を備えた公知の構造のものであり、スタータモータ78によりエンジン1を始動することができる。
【0019】
図3は、図1に示されたハイブリッド車のパワートレーンを示すスケルトン図であり、エンジン1のクランクシャフト12から出力される動力(トルク)の一方の伝達経路には、トルクコンバータ2およびモータ・ジェネレータ3ならびに歯車変速機構4が配置されている。具体的には、エンジン1とトルクコンバータ2との間にモータ・ジェネレータ3が配置され、歯車変速機構4の入力側にトルクコンバータ2が接続されている。
【0020】
上記モータ・ジェネレータ3は、例えば交流同期型のものを用いることができる。モータ・ジェネレータ3は、永久磁石(図示せず)を有する回転子(図示せず)と、コイル(図示せず)が巻き付けられた固定子(図示せず)とを備えている。そして、コイルの3相巻き線に3相交流電流を流すと回転磁界が発生し、この回転磁界を回転子の回転位置および回転速度に合わせて制御することにより、トルクが発生する。モータ・ジェネレータ3により発生するトルクは電流の大きさにほぼ比例し、モータ・ジェネレータ3の回転数は交流電流の周波数により制御される。このモータ・ジェネレータ3のトルクは回転数に依存しており、所定の回転数まではほぼ一定のトルクを出力し、所定の回転数以上になると急激にトルクが低下する特性を備えている。
【0021】
一方、モータ・ジェネレータ3にはインバータ(図示せず)を介してバッテリ(図示せず)が接続され、モータ・ジェネレータ3およびインバータならびにバッテリを制御するコントローラ(図示せず)が設けられている。そして、コントローラは、バッテリからモータ・ジェネレータ3に供給される電流値、またはモータ・ジェネレータ3により発電される電流値を検出または制御する機能を備えている。また、コントローラは、モータ・ジェネレータ3の回転数を制御する機能と、バッテリの充電状態(SOC:state of charge)を検出および制御する機能とを備えている。
【0022】
まず、エンジン1における一方の動力伝達経路の構成について具体的に説明する。前記トルクコンバータ2および歯車変速機構4を内蔵したケーシングの内部には、作動油としてオートマチック・トランスミッション・フルード(以下、ATFと略記する)が封入されている。トルクコンバータ2は、駆動側部材のトルクをATFを介して従動側部材に伝達するものである。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ7に一体化させたフロントカバー8と、タービンランナ9を一体に取付けたハブ10と、ロックアップクラッチ11とを有している。
【0023】
そして、ポンプインペラ7のトルクがATFによりタービンランナ9に伝達される。また、ロックアップクラッチ11は、フロントカバー8とハブ10とを選択的に係合・解放するためのものである。なお、ロックアップクラッチ11を所定の係合圧で滑らせるスリップ制御をおこなうこともできる。さらに、ポンプインペラ7およびタービンランナ9の内周側には、ステータ13が設けられている。このステータ13は、ポンプインペラ7からタービンランナ9に伝達されるトルクを増大するためのものである。さらに、ハブ10には入力軸14が接続されている。
【0024】
前記歯車変速機構4は、副変速部15および主変速部16から構成されている。副変速部15は、オーバドライブ用の遊星歯車機構17を備えており、遊星歯車機構17のキャリヤ18に対して入力軸14が連結されている。この遊星歯車機構17を構成するキャリヤ18とサンギヤ19との間には、多板クラッチC0 と一方向クラッチF0 とが設けられている。この一方向クラッチF0 は、サンギヤ19がキャリヤ18に対して相対的に正回転、つまり、入力軸14の回転方向に回転した場合に係合するようになっている。そして、副変速部15の出力要素であるリングギヤ20が、主変速部16の入力要素である中間軸21に接続されている。また、サンギヤ19の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
【0025】
したがって、副変速部15は、多板クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態で遊星歯車機構17の全体が一体となって回転する。このため、中間軸21が入力軸14と同速度で回転し、低速段となる。また、ブレーキB0 を係合させてサンギヤ19の回転を止めた状態では、リングギヤ20が入力軸14に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0026】
他方、主変速部16は、三組の遊星歯車機構22,23,24を備えており、三組の遊星歯車機構22,23,24を構成する回転要素が、以下のように連結されている。すなわち、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25と、第2遊星歯車機構23のサンギヤ26とが互いに一体的に連結されている。また、第1遊星歯車機構22のリングギヤ27と、第2遊星歯車機構23のキャリヤ29と、第3遊星歯車機構24のキャリヤ31とが連結されている。さらに、キャリヤ31に出力軸32が連結されている。この出力軸32は、後述するトルク伝達装置(言い換えれば動力伝達装置)を介して車輪32Aに接続されている。さらにまた、第2遊星歯車機構23のリングギヤ33が、第3遊星歯車機構24のサンギヤ34に連結されている。
【0027】
この主変速部16の歯車列においては、後進側の1つの変速段と、前進側の4つの変速段とを設定することができる。このような変速段を設定するための摩擦係合装置、つまりクラッチおよびブレーキが、以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、リングギヤ33およびサンギヤ34と、中間軸21との間に第1クラッチC1 が設けられている。また、互いに連結されたサンギヤ25およびサンギヤ26と、中間軸21との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0028】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25、および第2遊星歯車機構23のサンギヤ26の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ25,26とケーシング35との間には、第1一方向クラッチF1 と、多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されている。第1一方向クラッチF1 はサンギヤ25,26が逆回転、つまり入力軸14の回転方向とは反対方向に回転しようとする際に係合するようになっている。
【0029】
また、第1遊星歯車機構22のキャリヤ37とケーシング35との間に、多板ブレーキである第3ブレーキB3 が設けられている。そして第3遊星歯車機構24はリングギヤ38を備えており、リングギヤ38の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第4ブレーキB4 と、第2一方向クラッチF2 とが設けられている。第4ブレーキB4 および第2一方向クラッチF2 は、ケーシング35とリングギヤ38との間に相互に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ38が逆回転しようとする際に係合するように構成されている。さらに、歯車変速機構4の入力回転数を検出する入力回転数センサ(タービン回転数センサ)4Aと、歯車変速機構4の出力軸32の回転数を検出する出力回転数センサ(車速センサ)4Bとが設けられている。
【0030】
上記のように構成された歯車変速機構4においては、各クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を、図4の動作図表に示すように係合・解放することにより、前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図4において○印は摩擦係合装置が係合することを示し、◎印は、エンジンブレーキ時に摩擦係合装置が係合することを示し、△印は摩擦係合装置が係合・解放のいずれでもよいこと、言い換えれば、摩擦係合装置が係合されてもトルクの伝達には無関係であることを示し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを示している。
【0031】
また、この実施例では、図2に示すシフトレバー4Cのマニュアル操作により、図5に示すような各種のシフトポジションを相互に切り換えることができる。すなわち、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションの各ポジションを設定することができる。ここで、Dポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジションが前進用シフトポジションである。
【0032】
そして、Dポジションが選択された場合は、自動変速機ATの変速段が第1速〜第5速のうちのいずれかの変速比に制御され、4ポジションが選択された場合は、第1速〜第4速のうちのいずれかの変速比に制御され、3ポジションが選択された場合は、第1速〜第3速のうちのいずれかの変速比に制御され、2ポジションが選択されている場合は、第1速または第2速のいずれかの変速比に制御され、Lポジションが選択されている場合は、第1速に固定される。また、Rポジションで設定される変速比は、第1速〜第5速のいずれの変速比とも異なる。
【0033】
図6は、スポーツモードスイッチ76を示し、このスポーツモードスイッチ76は、例えばインストルメントパネル(図示せず)付近またはコンソールボックス(図示せず)付近などに配置されている。このスポーツモードスイッチ76は、運転者の手動操作により歯車変速機構4の変速比を制御することのできる状態を設定・解除するためのものである。
【0034】
また、図2に示された油圧制御装置39により、歯車変速機構4における変速段の設定または切り換え制御、ロックアップクラッチ11の係合・解放やスリップ制御、油圧回路のライン圧の制御、摩擦係合装置の係合圧の制御などがおこなわれる。この油圧制御装置39は機械的もしくは電気的に制御されるもので、歯車変速機構4の変速を実行するための第1ないし第3のシフトソレノイドバルブ(ATソレノイド)S1 ,〜S3 と、エンジンブレーキ状態を制御するための第4ソレノイドバルブS4 とを備えている。
【0035】
さらに、油圧制御装置39は、油圧回路のライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブ(ATライン圧コントロールソレノイド)SLTと、歯車変速機構4の変速過渡時におけるアキュームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLNと、ロックアップクラッチ11や所定の摩擦係合装置の係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUとを備えている。また、油圧制御装置39は、ライン圧の通路の切り換えをおこなうためのマニュアルバルブ39Aを有している。このマニュアルバルブ39Aは前記シフトレバー4Cに連結されており、シフトレバー4Cの操作によりマニュアルバルブ39Aが動作して前記各シフトポジションの切り換えがおこなわれる。上記構成の歯車変速機構4および油圧制御装置39により、変速比を段階的(不連続的)に制御することのできる、いわゆる有段式の自動変速機ATが構成されている。
【0036】
さらに、エンジン1のクランクシャフト12から出力される動力の他方の伝達経路には、駆動装置5を介して別のモータ・ジェネレータ6が配置されている。この駆動装置5は複数のプーリ、これらのプーリに掛け回されたベルトなどにより構成された減速装置(図示せず)を備えている。モータ・ジェネレータ6は、モータ・ジェネレータ3と同様に構成されている。モータ・ジェネレータ6は、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能と、電気エネルギを機械エネルギに変換する電動機としての機能とを備えている。具体的には、エンジン1を始動させるスタータとしての機能と、発電機(オルタネータ)としての機能と、エンジン1の停止時に補機(図示せず)を駆動する機能とを兼備している。
【0037】
すなわち、エンジン1から出力されたトルクをモータ・ジェネレータ6に入力して発電をおこない、その電気エネルギをインバータ(図示せず)を介してバッテリ(図示せず)に充電することができる。また、モータ・ジェネレータ6から出力されるトルクを、エンジン1または補機に伝達することができる。さらに、インバータおよびバッテリにはコントローラが接続されている。このコントローラは、バッテリ56からモータ・ジェネレータ6に供給される電流値、またはモータ・ジェネレータ6により発電される電流値を検出または制御する機能を備えている。また、コントローラは、モータ・ジェネレータ6の回転数を制御する機能と、バッテリの充電状態(SOC)を検出および制御する機能とを備えている。
【0038】
上記のエンジン1やモータ・ジェネレータ3ならびに自動変速機ATなどの各装置は、車両の状態を示す各種のデータに基づいて制御される。例えば図7に示すように、マイクロコンピュータを主体とする総合制御装置(ECU)104に各種の信号を入力し、その入力された信号に基づく演算結果を制御信号として出力するようになっている。この入力信号の例を挙げれば、ABS(アンチロックブレーキ)コンピュータからの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータからの信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッションスイッチからの信号、バッテリSOC(State of Charge:充電状態)、ヘッドライトのオン・オフ信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速信号、自動変速機(AT)油温、シフトレバー4Cの操作位置を検出するシフトポジションセンサ77の信号、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度、アクセル開度、カム角センサからの信号、スポーツシフト信号、車両加速度センサからの信号、駆動力源ブレーキ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサからの信号、レゾルバ信号などである。
【0039】
また、出力信号の例を挙げると、点火信号、噴射(燃料の噴射)信号、スタータモータ78への信号、モータ・ジェネレータ2,6のコントローラに対する信号、駆動装置5の減速装置への信号、ATソレノイドへの信号、ATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアクチュエータへの信号、自動停止制御実施インジケータへの信号、自動停止制御未実施インジケータへの信号、スポーツモードインジケータへの信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロックアップコントロールバルブへの信号、電動機により駆動されて油圧制御装置39に油圧を供給するための電動オイルポンプへの信号などである。なおここで、自動停止制御とは、所定の条件の成立によってエンジン1を自動停止する制御であり、燃費および排ガスの削減のための制御である。
【0040】
ここで、上記ハイブリッド車の構成と、この発明の構成との対応関係を説明する。自動変速機ATがこの発明の変速機に相当し、シフトレバー4Cがこの発明のシフト装置に相当する。
【0041】
そして、上記ハード構成を有するハイブリッド車は、総合制御装置104により判断される車両の状態、例えばアクセル開度および車速と、総合制御装置104に予め記憶されている各種のデータとに基づいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ3を駆動・停止することにより、車輪32Aに伝達されるトルクを制御するための駆動力源切り換え制御と、自動変速機ATの変速制御とがおこなわれる。
【0042】
以下、車両の駆動力源としてのエンジン1およびモータ・ジェネレータ3を駆動・停止するための制御態様を、選択されているシフトポジションに応じて変更する場合の具体例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。図1は、請求項1と請求項3と請求項4と請求項5と請求項6とに対応する制御例である。まず、総合制御装置104において入力信号の処理がおこなわれ(ステップS201)、ついでシフトポジションセンサ77がフェールしているか否かが判断される(ステップS202)。このステップS202においては、総合制御装置104により認識することのできるフェールの有無を判定するものであり、複数のシフトポジションに対応する接点が同時にオンしているか否か、あるいは全てのシフトポジションに対応する接点が同時にオフしているか否かなどに基づいて判断される。
【0043】
ステップS202で否定的に判断された場合は、各シフトポジションに対応して、エンジン1およびモータ・ジェネレータ3の駆動・停止を切り換えるための制御態様、すなわち、駆動力源切り換えマップを選択する(ステップS203)。図8〜図11には、各シフトポジションに対応する駆動力源切り換えマップ、の一例と、各シフトポジションで自動変速機ATの変速段を制御するための変速マップ(変速線図)の一例とが総括的に示されている。これらの駆動力源切り換えマップにおいては、車両の状態、具体的には車速およびアクセル開度をパラメータとし、かつ、実線で示す状態を境界として、エンジン駆動領域(運転領域)とモータ・ジェネレータ駆動領域とが設定され、車速およびアクセル開度をパラメータとして、破線で示す状態を境界として、自動変速機ATの変速点(変速線)が設定されている。
【0044】
まず図8の駆動力源切り換えマップは、Dポジションまたは4ポジションまたは3ポジションに対応している。すなわち、車速V5以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機ATが第1速〜第3速のいずれかの変速段に制御される。具体的には車速零〜車速V1の領域では第1速が設定され、車速V1〜車速V3の領域では第2速が設定され、車速V3〜車速V5の領域では第3速が設定される。なお、車速V3は車速V1よりも高速であり、車速V5は車速V3よりも高速である。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機ATが第1速〜第5速のうちのいずれかの変速段に制御される。
【0045】
また、図9の駆動力源切り換えマップは2ポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V4以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機ATが第1速または第2速のいずれかの変速段に制御される。具体的には車速零〜車速V1の領域では第1速が設定され、車速V1〜車速V4の領域では第2速が設定される。なお、車速V4は前記車速V3よりも高速であり、かつ、前記車速V5よりも低速である。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機ATが第1速または第2速のいずれかの変速段に制御される。
【0046】
さらに、図10の駆動力源切り換えマップはLポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V2以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域およびエンジン駆動領域においては、自動変速機ATの変速段が第1速に固定される。
【0047】
さらにまた、図11の駆動力源切り換えマップはRポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V2以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。
【0048】
このように、図8〜図11の変速マップにおいて、所定の変速比、例えば第2速が設定される領域(車速)は、各シフトポジション毎に相違しており、高速側の変速段の設定がなくなると(言い換えれば設定できる最小変速比が大きくなることに比例して)、第2速の設定される領域が広くなっている。具体的には図8の変速マップよりも図9の変速マップの方が、第2速の設定される領域が広くなっている。このように設定することにより、モータ・ジェネレータ駆動領域が可及的に増やされ、騒音および排気ガスを低減することができる。
【0049】
前記ステップS203についで、自動変速機ATの駆動状態、つまり、実際に設定されている変速比(ギヤ段)と、シフトポジションセンサ77により検出されているシフトポジションで設定することのできる変速比とが一致しているか否かが判断される(ステップS204)。ここで、自動変速機ATにより実際に設定されている変速比は、車両が走行中であれば自動変速機ATの入力回転数および出力回転数に基づいて算出される。
【0050】
ステップS204で肯定的に判断された場合は、図8〜図11に示す駆動力源切り換えマップ、すなわち、現在使用されている駆動力の切り換えマップをそのまま用いてエンジン1およびモータ・ジェネレータ3の駆動・停止を制御し、かつ、自動変速機ATの変速比を制御し(ステップS205)、リターンする。
【0051】
上記のようなステップS203,〜ステップS205の制御と、全てのシフトポジションにおいて、エンジンおよびモータ・ジェネレータの切り換えマップを共通化した比較例の制御とを比較する。ここでは、実際に2ポジションが選択されているのに対して、総合制御装置により3ポジションが選択されていると誤って判断した場合について説明する。この場合は、車速の上昇にともなって自動変速機の変速比を第3速にアップシフトさせるための状態に変化し、総合制御装置から変速信号が出力されてシフトソレノイドを切り換えたとしても、自動変速機は、マニュアルバルブを含む機械的な構造により、各シフトポジションで設定できる変速比の範囲が制限されているため、アップシフトが発生しない。
【0052】
すると、比較例の制御がおこなわれた場合は、自動変速機がアップシフトされないままモータ・ジェネレータの駆動が継続される可能性がある。そして、モータ・ジェネレータは所定の回転数以上になると急激にトルクが低下する特性を備えているため、比較例の制御では自動変速機のアウトプットトルクが不足し、ドライバビリティが悪化する可能性がある。
【0053】
これに対して図1の制御例においては、各シフトポジション毎にエンジン1およびモータ・ジェネレータ3の駆動・停止の切り換え領域が異なっている。例えば、3ポジションに対応する図8の制御マップよりも、2ポジションに対応する図9の制御マップの方が、より低車速でモータ・ジェネレータ駆動領域からエンジン駆動領域に切り換えられている。
【0054】
したがって、図1の制御例においては上記のような不都合が生じたとしても、車速の上昇にともなって、駆動力源がモータ・ジェネレータ3からエンジン1に切り換えられる。そして、エンジン1はその回転数が所定値以上に上昇した状態においても、トルクの低下が比較的少ない特性を備えているため、自動変速機ATのアウトプットトルクの不足が抑制され、ドライバビリティが向上する。
【0055】
ところで、前記ステップS202で肯定的に判断された場合、またはステップS204で否定的に判断された場合は、選択されているシフトポジションを特定できない場合があるとともに、シフトレバー4Cの操作によりマニュアルシフトされる可能性もあるため、モータ・ジェネレータ3の駆動を禁止してエンジン1を単独で駆動させる制御態様を選択し(ステップS206)、リターンする。この場合も、エンジン1は前述した特性を備えているため、自動変速機ATのアウトプットトルクの不足が抑制され、ドライバビリティが向上する。
【0056】
ここで、図1に示された機能的手段と、この発明との対応関係を説明する。ステップS201,〜ステップS205が、この発明の制御態様変更手段に相当し、ステップS202およびステップS206がこの発明のエンジン駆動手段に相当する。
【0057】
つぎに、上記ハイブリッド車の他の制御例を、図12のフローチャートに基づいて説明する。この図12の制御例は、請求項2と請求項3と請求項4と請求項6とに対応している。まず、総合制御装置104において入力信号の処理がおこなわれ(ステップS301)、ついでシフトポジションセンサ77がフェールしているか否かが判断される(ステップS302)。このステップS302においては、前進用シフトポジションおよび後退用シフトポジションに対応する2接点が同時にオンしているか否か、あるいは前進用シフトポジションおよび後退用シフトポジションに対応する接点の全てが同時にオフしているか否かなどに基づいて判断される。
【0058】
ステップS302で否定的に判断された場合は、自動変速機ATの駆動状態、つまり、実際に設定されている変速比(ギヤ比)が演算され、この演算結果に基づいて、自動変速機ATで前進用シフトポジションまたは後退用シフトポジションのいずれが実際に設定されているかが判断される(ステップS303)。自動変速機ATにより実際に設定されている変速比は、車両が走行中であれば自動変速機ATの入力回転数および出力回転数に基づいて算出される。
【0059】
ついで、シフトポジションセンサ77の信号に基づいて、前進用シフトポジションまたは後退用シフトポジションのいずれが選択されているかが判断され、ステップS303におけるシフトポジションの判断結果と、シフトポジションセンサ77の信号に基づくシフトポジションの判断結果とが一致しているか否かが判断される(ステップS304)。ステップS304で肯定的に判断された場合は、現在使用している駆動力源の切り換えマップをそのまま使用してエンジン1およびモータ・ジェネレータ3の駆動・停止制御と、自動変速機ATの変速制御とをおこない(ステップS305)、リターンされる。
【0060】
このステップS305で使用される駆動力源の切り換えマップについて説明する。図13には、前進用シフトポジションの一つであるDポジションに対応する制御マップの一例と、Dポジションで自動変速機ATの変速段を制御するための変速マップ(変速線図)の一例とが総括的に示されている。この駆動力源切り換えマップにおいては、車速およびアクセル開度をパラメータとし、かつ、実線で示す状態を境界として、エンジン駆動領域とモータ・ジェネレータ駆動領域とが設定され、車速およびアクセル開度をパラメータとして、破線で示す状態を境界として自動変速機ATの変速点(変速線)が設定されている。
【0061】
具体的には、車速V5以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機ATが第1速〜第3速のいずれかの変速段に制御される。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機ATが第1速〜第5速のうちのいずれかの変速段に制御される。
【0062】
なお、図12の制御例において、後退用シフトポジション、つまりRポジションに対応する制御マップ、およびDポジションで自動変速機ATの変速段を制御するための変速マップは、図11のマップと同様に設定されている。すなわち、Dポジション用の駆動力源切り換えマップの方が、Rポジション用の駆動力源切り換えマップに比べて、モータ・ジェネレータ3の駆動領域がより広い領域(高車速側)まで設定されている。
【0063】
前記ステップS304で否定的に判断された場合は、自動変速機ATにより実際に設定されている変速比に基づいて、前進用シフトポジションが選択されているか否かが判断される(ステップS306)。ステップS306で肯定的に判断された場合は、図13に示す駆動力源切り換えマップおよび変速マップを採用し(ステップS307)、リターンされる。これに対してステップS306で否定的に判断された場合は、自動変速機ATにより実際に設定されている変速比に基づいて、後退用シフトポジションが選択されているか否かが判断される(ステップS308)。ステップS308で肯定的に判断された場合は、図11に示す駆動力源切り換えマップおよび変速マップを採用し(ステップS309)、リターンされる。
【0064】
なお、ステップS308で否定的に判断された場合はそのままリターンされる。また前記ステップS302で肯定的に判断された場合は、選択されているシフトポジションを判断することができない可能性があるため、モータ・ジェネレータ3を停止してエンジン1を単独で駆動させる制御をおこない(ステップS310)、リターンされる。
【0065】
ここで、図12に示された機能的手段と、請求項との対応関係を説明する。すなわち、ステップS303がこの発明の第2シフトポジション判断手段に相当し、ステップS304がこの発明の第1シフトポジション判断手段に相当し、ステップS304,306,〜309がこの発明の制御態様選択手段に相当し、ステップS302,310がこの発明のエンジン駆動手段に相当する。
【0066】
上記のように、図12のフローチャートにより駆動力源の切り換えマップを選択した場合と、シフトポジションセンサの信号による判断結果のみに基づいて駆動力源の切り換えマップを選択する比較例の場合との相違を説明する。なお、この比較例においても、Dポジションでは図13に示すマップと同様のマップが採用され、Rポジションでは図11に示すマップと同様のマップが採用されるものとする。
【0067】
そして、例えば、自動変速機ATで実際にはRポジションが設定されているにもかかわらず、シフトポジションセンサの信号による判断の結果、Dポジションが選択されているものと誤って判断された場合は、比較例においてはDポジションに対応する駆動力源の切り換えマップが採用されることになる。すると、車速がある程度上昇したとしても、依然としてモータ・ジェネレータの駆動状態が継続される。また、車速の上昇によりアップシフト信号が出力され、かつ、シフトソレノイドバルブが切り換えられたとしても、マニュアルバルブを含む機械的な構造により、実際には強制的にRポジションが設定されている。
【0068】
すなわち、駆動力源の切り換えタイミングが、車両の走行状態に適合するように設定されているタイミングとは異なるものになるとともに、モータ・ジェネレータは、所定回転数以上になると急激にトルクが低下する特性を備えている。その結果、自動変速機の出力トルクが低下し、ドライバビリティが悪化する可能性がある。
【0069】
一方、自動変速機ATで実際にはDポジションが設定されているにもかかわらず、シフトポジションセンサの信号による判断の結果、Rポジションが選択されているものと誤って判断された場合は、比較例においてはRポジションに対応する駆動力源の切り換えマップが採用されることになる。すると、車速がある程度上昇したとしてもアップシフトされずにローギヤのまま継続して走行する。そして、モータ・ジェネレータは、所定回転数以上になると急激にトルクが低下する特性を備えているため、自動変速機の出力トルクが低下し、ドライバビリティが悪化する可能性がある。
【0070】
これに対して図12の制御例においては、シフトポジションセンサの信号に基づくシフトポジションの判断結果と、実際に自動変速機ATにより設定されている変速比に基づくシフトポジションの判断結果とが異なっていた場合は、実際に自動変速機ATにより設定されている変速比に基づくシフトポジションの判断結果により、駆動力源の切り換えマップおよび自動変速機ATの変速マップを選択している。このため、前進用シフトポジションまたは後退用シフトポジションのいずれが選択されているかを、シフトポジションセンサ77の信号により正確に判断することができない場合にも、車両の状態に適合するような駆動力源の切り換えマップおよび変速マップを選択することができる。
【0071】
したがって、エンジン1とモータ・ジェネレータ3との切り換えタイミングと、自動変速機ATの変速制御を、車両の状態に適合させることができ、自動変速機ATの出力トルクの低下が抑制されてドライバビリティが向上する。また、図12の制御例においては、シフトポジションセンサ77がフェールしていた場合にはエンジン1の単独駆動を選択するために、図1の制御例と同様の理由により同様の効果を得られる。なお、図8〜図11、および図13の制御マップにおいて、エンジン駆動領域でモータ・ジェネレータをアシスト駆動させることもできる。
【0072】
なお、上記実施形態のシフトレバーには、室内のコンソールボックス付近に設けられているフロアーシフト形式のものと、ステアリングコラム付近に設けられているコラムシフト形式のものとが含まれる。さらに、この発明のシフト装置には、シフトレバーのほかにボタンの操作によりシフトポジションを変更することのできる構造のものも含まれる。なお、この発明の変速機として、変速比を無段階(連続的)に変更することのできる無段変速機を用いてもよい。また、請求項1に対応する制御例においては、シフトポジションセンサのフェールの有無を判断することなく、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様を、シフトポジションセンサの判断結果に基づいて選択することもできる。
【0073】
ここで、上記の具体例に基づいて開示されたこの発明の特徴的な構成は、以下のとおりである。すなわち、車輪を駆動するためのエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび前記電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御し、かつ、車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択可能であり、少なくとも2つの前進用シフトポジションにおいて変速機で設定される変速比が異なるとともに、車両の状態に基づいて、前記エンジンまたは前記電動機の少なくとも一方を駆動または停止させるハイブリッド車の駆動制御装置において、前記シフトポジションに応じて、前記エンジンおよび前記電動機の駆動・停止を制御するための制御領域を設定する制御態様選択手段を備えているとともに、この制御態様選択手段には、前記変速機の変速段をアップシフトさせる車両状態になった場合でも、実際にアップシフトしない状態では前記電動機の駆動を禁止する制御態様を選択する機能が含まれていることを特徴とする。
【0074】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、例えば、変速機で設定することのできる高速段側の変速比の設定が制限されるほど、そのシフトポジションが選択されている状態におけるエンジンの運転領域が可及的に広くなるように、エンジンおよび電動機の制御態様を変更することができる。したがって、各シフトポジションにおいて、車両の状態に適合するようにエンジンおよび電動機の切り換え制御をおこなうことができ、変速機の出力トルクの低下が抑制されてドライバビリティが向上する。また、請求項1の発明によれば、電動機の駆動領域が可及的に拡大されて、騒音および排気ガスの発生が低減される。
【0075】
請求項2の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションと、変速機で実際に選択されているシフトポジションとが異なる場合は、変速機で実際に設定されているシフトポジションに基づいて、エンジンおよび電動機の切り換え制御がおこなわれる。したがって、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
【0077】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られるほか、シフトポジションを判断することができない場合は、回転数が上昇したとしてもトルクの低下が比較的少ない特性のエンジンが単独で駆動される。したがって、車両の状態が変化した場合でも、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
【0078】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られるほか、シフトポジションセンサの異常により、シフトポジションを判断することができない場合は、回転数が上昇してもトルクの低下が比較的少ないエンジンが単独で駆動される。したがって、車両の状態が変化した場合でも、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。また、請求項5の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。さらに、請求項5の発明によれば、選択されているシフトポジションで変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても変速機で変速が発生しない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。さらに、請求項6の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。また、請求項6の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。さらに、請求項7の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションの判断結果が、変速機で実際に設定されているシフトポジションの判断結果とは異なっていた場合は、変速機で実際に設定されているシフトポジションの判断結果に基づいて、エンジンおよび電動機を駆動・停止するための制御態様が選択される。さらに、請求項8の発明によれば、選択されているシフトポジションで変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても変速機で変速が発生しない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。さらに、請求項9の発明によれば、エンジンおよび電動機の駆動・停止を制御するための制御態様が、シフトポジションに応じてされる。また、請求項9の発明によれば、シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、電動機の駆動を禁止して、エンジンのみが駆動されるため、変速機の出力トルクの低下が抑制され、ドライバビリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一制御例を示すフローチャートである。
【図2】 この発明が適用されたハイブリッド車の概略構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示されたトルクコンバータおよび歯車変速機構の構成を示すスケルトン図である。
【図4】 図3に示された歯車変速機構で各変速段を設定するための摩擦係合装置の作動状態を示す図表である。
【図5】 図2に示された歯車変速機構を手動操作するシフトレバーのシフトポジションを示す説明図である。
【図6】 図3に示された歯車変速機構の変速段をマニュアル操作により切り換えることのできる状態を設定・解除するスポーツモードスイッチを示す図である。
【図7】 図2に示す総合制御装置における入出力信号を示す説明図である。
【図8】 図1に示す制御例で適用される駆動力源切り換えマップと、自動変速機の変速マップとを総括的に示す図である。
【図9】 図1に示す制御例で適用される駆動力源切り換えマップと、自動変速機の変速マップとを総括的に示す図である。
【図10】 図1に示す制御例で適用される駆動力源切り換えマップと、自動変速機の変速マップとを総括的に示す図である。
【図11】 図1または図12に示す制御例で適用される駆動力源切り換えマップを示す図である。
【図12】 この発明の他の制御例を示すフローチャートである。
【図13】 図12に示す制御例で適用される駆動力源切り換えマップと、自動変速機の変速マップとを総括的に示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 3…モータ・ジェネレータ、 4C…シフトレバー、 32A…車輪、 77…シフトポジションセンサ、 AT…自動変速機。
Claims (9)
- 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成され、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、
前記エンジンおよび前記電動機を駆動・停止するための制御態様を、前記シフトポジションに応じて変更するとともに、前記電動機の駆動領域で前記変速機の変速比を制御し、この前記変速機の変速比が、各シフトポジション毎に異なり、かつ、設定することのできる最小変速比が大きくなることに比例して、その最小変速比の設定される領域が広くなるように制御する制御態様変更手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。 - 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の駆動状態を制御することにより、車両を前進させるための前進用シフトポジション、またはこの前進用シフトポジションとは異なる変速比に設定され、かつ、車両を後退させるための後退用シフトポジションを相互に切り換えることのできるシフト装置とを有するとともに、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、
前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断する第1シフトポジション判断手段と、
前記変速機で実際に設定されているシフトポジションを判断する第2シフトポジション判断手段と、
前記第1シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションと、前記第2シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションとが異なっていた場合は、前記第2シフトポジション判断手段の判断結果に基づいて、前記エンジンおよび前記電動機の駆動・停止を制御するための制御態様を選択する制御態様選択手段と
を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。 - 前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車の駆動制御装置。
- 前記シフトポジションを判断することができない場合の中味に、前記シフト装置の操作状態に基づいてシフトポジションを判断するシフトポジションセンサの異常が含まれていることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車の駆動制御装置。
- 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成され、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、
選択されているシフトポジションで前記変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても前記変速機で変速が発生しない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。 - 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのでき る変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成され、前記前進用シフトポジションのうちの少なくとも2つのシフトポジションでは前記変速機の変速比の変更範囲が異なるものであるハイブリッド車の駆動制御装置において、
前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。 - 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の駆動状態を制御することにより、車両を前進させるための前進用シフトポジション、またはこの前進用シフトポジションとは異なる変速比に設定され、かつ、車両を後退させるための後退用シフトポジションを相互に切り換えることのできるシフト装置とを有するハイブリッド車の駆動制御装置において、
前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断する第1シフトポジション判断手段と、
前記変速機で実際に設定されているシフトポジションを判断する第2シフトポジション判断手段と、
前記第1シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションと、前記第2シフトポジション判断手段により判断されたシフトポジションとが異なっていた場合は、前記第2シフトポジション判断手段の判断結果に基づいて、前記エンジンおよび前記電動機の駆動・停止を制御するための制御態様を選択する制御態様選択手段と
を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。 - 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成されたハイブリッド車の駆動制御装置において、
選択されているシフトポジションで前記変速機の変速比を変更する変速信号が出力されても前記変速機で変速が発生しない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。 - 車輪を駆動することのできるエンジンおよび電動機と、このエンジンおよび電動機と前記車輪との間に設けられ、かつ、変速比を自動的に変更することのできる変速機と、この変速機の変速比の変更範囲を制御するシフト装置とを有し、このシフト装置の操作により、前記変速機の駆動状態の制御により車両を前進させるために複数の前進用シフトポジションのいずれかを選択することができるように構成されたハイブリッド車の駆動制御装置において、
前記シフト装置の操作により選択されているシフトポジションを判断することができない場合は、前記電動機の駆動を禁止して、前記エンジンのみを駆動させるエンジン駆動手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車の駆動制御装置。
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