JP3783223B2 - 転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキ - Google Patents
転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3783223B2 JP3783223B2 JP25601698A JP25601698A JP3783223B2 JP 3783223 B2 JP3783223 B2 JP 3783223B2 JP 25601698 A JP25601698 A JP 25601698A JP 25601698 A JP25601698 A JP 25601698A JP 3783223 B2 JP3783223 B2 JP 3783223B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- printing ink
- diisocyanate
- polyol
- transfer sheet
- chain
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Duplication Or Marking (AREA)
- Decoration By Transfer Pictures (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキに関する。更に詳細には、屋外や、耐候性・耐水性が必要な場所で使用する無機材質に柄模様の装飾を施す際、塗布する代わりに転写シートで転写することにより、塗布したと同じような装飾が得られる転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、基材フィルム表面に、印刷模様や文字等を形成した装飾層を有する転写層を積層した転写シートが広く使用されている。
この転写シートは、剥離フィルム・トップ層・印刷層・接着層等の多層構造であり、各層をどのようにするかで種々の工程が考えられる。剥離フィルム以外の層は厚さが薄いので、例えば保護のためのトップ層があったとしても印刷層に使用される転写シート用印刷インキバインダーには、転写性、耐候性や耐加水分解性に優れていることが求められている。
【0003】
また、転写シート用印刷インキバインダーには、以下のような要件も求められている。
・印刷時泡の巻き込みが無いこと。
・剥離シートとの剥離強度が小さいこと。
・顔料等との分散性が良好であること。
・プライマー層との密着性が良好であること。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
転写シート用印刷インキバインダーに使用される樹脂としては、耐加水分解性のよいポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂や、耐候性の良いアクリル樹脂が提案されている。
しかしながら、ポリカーボネートポリオールを用いたウレタン樹脂単独では、耐候性が不足しやすい。また、アクリル樹脂単独では耐候性はよいが、硬く伸びが少ないため、印刷後の経時や、転写後の後加工時の剥離の問題が起きやすい。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は鋭意検討した結果、ポリカーボネートポリオールとアクリルポリオールを併用したポリウレタン樹脂が上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(3)に示すものである。
(1) 下記に示す(A)〜(C)を反応させて得られるポリウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする転写シート用印刷インキバインダー。
(A)少なくとも以下の(A1)及び(A2)を含有する高分子ポリオール。
(A1)水酸基価20〜250mgKOH/g、平均官能基数1〜3のポリカーボネートポリオール。
(A2)水酸基価3〜12mgKOH/g、平均官能基数1〜2のアクリルポリオール。
(B)有機ジイソシアネート。
(C)平均分子量500未満の短鎖グリコール又は短鎖ジアミンから選択される鎖延長剤。
【0007】
(2) (A)高分子ポリオール及び(B)有機ジイソシアネートが以下の条件を満たすものであることを特徴とする前記(1)の転写シート用印刷インキバインダー。
(A)高分子ポリオール:
(A1)ポリカーボネートポリオールと(A2)アクリルポリオールの重量比が、(A1)/(A2)=90/10〜30/70。
(B)有機ジイソシアネート:
脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選択されるもの。
【0008】
(3) 前記(1)又は(2)の転写シート用印刷インキバインダーを用いた転写シート用印刷インキ。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に使用される原料について説明する。
本発明に使用される(A)高分子ポリオールは、少なくとも(A1)ポリカーボネートポリオール、及び(A2)アクリルポリオールを含有するものである。
【0010】
(A1)は、水酸基価が20〜250mgKOH/g、好ましくは25〜225mgKOH/g、(以下、mgKOH/gを省略する)であり、平均官能基数は、1〜3、好ましくは1.8〜2.5である。また、数平均分子量は500〜5,000が好ましく、更には、800〜4,000がより好ましい。
水酸基価が上限を越える場合は、得られるポリウレタン樹脂が硬くなりすぎて密着性が低下しやすい。また、下限未満の場合は、得られるポリウレタン樹脂の強度が低下しやすい。
平均官能基数が下限未満の場合は、得られるポリウレタン樹脂の分子量が小さくなりやすく、強度が不足しやすい。また上限を越える場合は、ポリウレタン樹脂の製造時においてゲル化しやすい。
【0011】
(A1)は、分子量500未満の短鎖ポリオール、及び、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等の低分子カーボネートとの縮合反応によって得られるものである。
この短鎖ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。なお、これらは、単品でも混合物でもよい。
ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
本発明で好ましいポリカーボネートポリオールは、炭素数1〜8の脂肪族ジオールから得られるポリカーボネートポリオールであり、特に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選択される短鎖ポリオールから得られるポリカーボネートポリオールである。
【0012】
(A2)は、水酸基価3〜12、好ましくは3.5〜11.5であり、平均官能基数は1〜2、好ましくは1.5〜2である。また、数平均分子量は5,000〜30,000が好ましく、更には、8,000〜28,000がより好ましい。
水酸基価が上限を越える場合は、得られるポリウレタン樹脂が硬くなりすぎて密着性が低下しやすい。また、下限未満の場合は、得られるポリウレタン樹脂の強度が低下しやすい。
平均官能基数が下限未満の場合は、得られるポリウレタン樹脂の分子量が小さくなりやすく、強度が不足しやすい。また上限を越える場合は、ポリウレタン樹脂の製造時においてゲル化しやすい。
【0013】
(A2)は、不飽和二重結合含有化合物(アクリルモノマー)の重合反応よって得られる。このアクリルモノマーとしては、アクリル酸アルキル、アクリル酸シクロアルキル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸グリシジル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸シクロアルキル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系化合物類、ビニルメチルエーテル等のビニルアルキルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等のビニルエーテル系化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアニド系化合物類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のエチレン性不飽和二重結合含有芳香族化合物類、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類、マレイン酸ジアルキル等のマレイン酸ジエステル類、フマル酸ジアルキル等のフマル酸ジエステル類、イタコン酸ジメチル等のイタコン酸ジエステル類、N,N−ジメチルアクリルアミド等のジアルキルアクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン等の複素環ビニル化合物類等、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチルアクリレートのβ−メチル−γ−バレロラクトン付加物、グリセロールモノアクリレート、グリセロールジアクリレート等のアクリレート類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのβ−メチル−γ−バレロラクトン付加物、グリセロールモノメタクリレート、グリセロールジメタクリレート等のメタクリレート類、アリルアルコール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル等のアリル化合物類等が挙げられる。これらの中で好ましいものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン付加物等の活性水素基含有のエチレン性不飽和モノマー類が挙げられる。
本発明で使用されるアクリルポリオールは、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートから選択されるアクリルモノマー、並びに、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートから選択されるアクリルモノマーの2グループのアクリルモノマー、を必須成分としているものが好ましい。
なお、(A2)は、取り扱い上、溶剤で希釈されているものが使いやすい。
【0014】
本発明においては、(A1)ポリカーボネートポリオールと(A2)アクリルポリオールの質量比は、(A1)/(A2)=90/10〜30/70が好ましく、特に(A1)/(A2)=85/15〜35/65が好ましい。
前記比率より(A1)が多い場合は、インキの耐候性等が低下しやすく、また、泡の巻き込みを減少する方向であるが、転写時の印刷フィルムがバリとして基材に残りやすい。
(A2)が多い場合は、インキの密着性が不足しやすい。また、ガラス転移点が必要以上にアップして、被膜が硬くなり、伸びが小さく、可とう性が悪くなり、曲線部分ではひび割れの発生が出たり、転写時の泡の巻き込みが増加しやすい傾向にある。
なお、(A1)の比率が多いものは、より印刷インキバインダーに適している。また、(A2)の比率が多いものは、印刷インキバインダーの他、トップ層とインキ層の間に使用し耐候性向上に役立つインキ面を保護するプライマーに適している。
【0015】
なお、本発明では必要に応じて、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール、ダイマー酸系ポリオール、水素添加ダイマー酸系ポリオールの他にエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール等の活性水素基含有樹脂等の(A1)、(A2)以外の高分子ポリオールを用いてもよい。
【0016】
本発明で使用される(B)有機ジイソシアネートは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、これらの有機ジイソシアネートのウレタント変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、ウレトジオン変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。なお、これらは、単品でも混合物でもよい。
【0017】
本発明では、液の安定性、樹脂の物性、インキの耐候性や密着性を考慮すると、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選択される有機ジイソシアネートが好ましく、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートから選択される有機ジイソシアネートがより好ましく、特にイソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートから選択される有機ジイソシアネートが好ましい。また、イソホロンジイソシアネートと水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートの使用割合は、質量比でイソホロンジイソシアネートと水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート10/0〜2/8が特に好ましい。
【0018】
本発明で使用される(C)鎖延長剤は、平均分子量500未満の短鎖グリコール又は短鎖ジアミンから選択されるものである。
平均分子量500未満の短鎖グリコールとしては、前述のポリカーボネートポリオール使用される短鎖ポリオールが挙げられる。
平均分子量500未満の短鎖ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン等が挙げられる。
なお、これらは単品でも混合物でもよい。本発明で好ましい鎖延長剤は、イソシアネート基との反応がマイルドなイソホロンジアミンが好ましい。
【0019】
本発明の印刷インキバインダーの合成方法は、公知の方法が用いられる。すなわち、(1)ポリオール成分と有機ジイソシアネートを、水酸基過剰の条件で所定分子量に達するまで反応させる方法(ワンショット法)、(2)ポリオール成分と有機ジイソシアネートを、イソシアネート基過剰の条件で反応させ、イソシアネート基含有のプレポリマーを得て、次にこのプレポリマーを鎖延長剤で延長反応させて所定分子量に達するまで反応させる方法(プレポリマー法)等が挙げられる。
【0020】
また、本発明においては、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。この有機溶剤は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤等、イソシアネート基に不活性なものであれば特に制限はない。また、条件によっては、イソプロパノールのようなアルコール系溶剤も用いることができる。
【0021】
本発明の印刷インキバインダーの反応装置としては、上記の反応が達成できればいかなる装置でもよく、例えば、攪拌装置の付いた反応釜やニーダー、一軸又は多軸押出し反応装置等の混合混練装置が挙げられる。
本発明の印刷インキバインダーの好ましい合成方法は、溶液中でのプレポリマー法である。
【0022】
溶液中でのプレポリマー法について、更に詳しく述べる。
ポリウレタン系印刷インキバインダーを製造するに当たって、まず、高分子ポリオール(及び場合によっては短鎖ポリオール)を活性水素基を持たないケトンやエステル、炭化水素系の溶剤等で適宜希釈する。
【0023】
この混合溶液に有機ジイソシアネートを加え、必要に応じてウレタン化触媒を添加した後、反応温度を30〜100℃、好ましくは50〜80℃にて、数時間反応させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを合成する。このときのイソシアネート基/水酸基の仕込みモル比(R値)は1.1〜2.5が好ましく、特に1.5〜2.5が好ましい。
【0024】
R値が1.1未満の場合は、最終的に得られる印刷インキバインダーの耐候性や耐ブロッキング性が低下しやすい。また、R値が2.5を越える場合は、最終的に得られるポリウレタン系印刷インキバインダーの溶剤への溶解性や密着性が低下しやすい。
【0025】
このプレポリマー化反応の際、公知のいわゆるウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩等が挙げられる。
【0026】
次に、得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、短鎖グリコールや短鎖ジアミンのような鎖延長剤、及び、好ましくは後述する反応停止剤を加えて、反応温度を30〜80℃、好ましくは30〜50℃にて、イソシアネート基が消失するまで鎖延長反応させることにより、目的とする印刷インキバインダーが得られる。反応停止剤は、ポリウレタン樹脂の製造において、ポリウレタン樹脂の(数平均)分子量のコントロールが容易になり、かつ、製造時間を短縮できるので、使用するのが好ましい。
【0027】
この反応停止剤としては、フェニルイソシアネート等のようなモノイソシアネート類、メタノール、エタノール等のようなモノアルコール類、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のようなモノアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン等のアミノアルコール類が挙げられる。
本発明で好ましい反応停止剤は、アミノアルコール類であり、特に、モノエタノールアミン、ジエタエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンから選択されるものが好ましい。この理由としては、イソシアネート基との反応性が、水酸基よりアミノ基のほうが大きいため、ポリウレタン樹脂の末端に水酸基が導入できることになるからである。ポリウレタン樹脂の末端水酸基は、インキにポリイソシアネート硬化剤を配合した場合、硬化反応に関与することになる。
【0028】
このようにして得られた印刷インキバインダーの数平均分子量は、ポリスチレン検量線によるゲルパーミエーション(GPC)によって測定されるが、好ましくは8,000〜100,000であり、特に10,000〜50,000が好ましい。数平均分子量が下限未満の場合は、耐候性が低下しやすい。数平均分子量が上限を越える場合は、インキの密着性、流動性、顔料分散性、作業性が低下しやすい。
【0029】
なお、耐候性を保持するために市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤を反応前や反応後に添加しても良い。また、密着性に影響しない程度のインキ分散安定剤、表面タックを少なくするためのシリコン系、アミド系のタック防止剤、密着性の改善のためにシランカップリング剤等を添加してもよい。
【0030】
本発明の転写シート用印刷インキは、前述までの印刷インキバインダー、及び、必要に応じて各種溶剤、各種顔料・染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のような添加剤や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や硝化綿等の副バインダーを添加し、混練、分散して製造される。
【0031】
インキ製造装置としては、公知の装置を用いることができ、例えば、サンドグラインドミル、ボールミル、三本ロール、ペイントシェイカー等が挙げられる。
【0032】
本発明の転写シート用印刷インキには、ポリイソシアネートを硬化剤として添加すると、より耐候性、密着性が向上するので好ましくなる。その添加量は、印刷インキ100質量部に対して、1〜5質量部である。ポリイソシアネートして例えば、日本ポリウレタン工業(株)製のコロネート(登録商標)HX、コロネートHL、コロネートL、コロネート2030、コロネート2031等が挙げられる。これらは単独あるいは混合して用いてもよい。本発明においては、耐候性等を考慮すると、コロネートHX、コロネートHL等の無黄変系ポリイソシアネートが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。なお、各例中、部、%、比率は特記しない限り全て質量基準である。
【0034】
〔印刷インキバインダー用ポリウレタン樹脂溶液の製造〕
実施例1
トルク計付き攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四つ口セパラブルフラスコに、PCP−1:800部、AC−1:504部とを仕込み、均一に攪拌した。次いで、DBTDL:0.04部を添加して更に攪拌した後、IPDI:108部及びH12MDI:85部を一気に仕込み、窒素雰囲気中で80〜90℃で4時間反応させた。その後、MEK:1000部及びトルエン:581部を仕込み、均一に溶解させてイソシアネート含有量=1.09%のプレポリマー溶液を得た。このプレポリマー溶液に、MEK:177部を仕込んで希釈し、あらかじめIPDA:63.3部をIPA:883部に溶解させたアミン液を、攪拌中のプレポリマー液に滴下して鎖延長反応を行った。攪拌機のトルク計の上昇を確認後、MEA:3.4部を仕込んで反応温度50℃で反応させ、随時サンプリング・FT−IR分析し、IRチャートのイソシアネート基のピークがなくなるまで反応させて、ポリウレタン樹脂溶液PU−1を得た。
PU−1の分析値
固形分 :30.3%
粘度 :5,300mPa・s(25℃)
数平均分子量:32,000
【0035】
実施例2〜4、比較例1、2
実施例1と同様な手順で、表1に示す配合でポリウレタン樹脂溶液PU−2〜6を得た。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜4、比較例1、2及び表1において
【0038】
〔印刷インキ評価〕
実施例5
PU−1を頑丈な容器に以下に示す割合で配合し、分散メディアとして配合量と同量のガラスビーズ(直径1〜1.5mm)を仕込み、ペイントシェイカーにて1時間分散させてインキ化し、インキAを得た。このインキの顔料分散安定性、印刷適性、剥離性(転写性)、密着性、耐候性を評価した。
【0039】
(1)顔料分散安定性
得られたインキAをガラス瓶に入れて、冷暗所で30日間保管し、インキの状態を観察した。
【0040】
(2)印刷適性
インキAを卓上型グラビア印刷機にて、印刷速度:20m/分、インキ厚:60μm(Wet)になるように、厚さ:25μmのコロナ放電処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)のコロナ処理面に印刷し、乾燥後、印刷の状態を観察した。
【0041】
(3)剥離性(転写性)
インキAを卓上型グラビア印刷機にて、印刷速度:20m/分、インキ厚:60μm(Wet)になるように、厚さ:25μmの未処理の未延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)に印刷して、転写シートを作成した。
目止め処理したスレート板に、コロネートHLを配合したアクリルエステル系プライマーを塗布して、1分間静置した後、100℃で10分間硬化させた。その後、このスレート板を80℃に保温し、インキAを印刷した転写シートと重ね合わせ、ゴムロールで圧着してインキを転写させ、転写後CPPフィルムが容易に剥がれるかどうかを評価した。
【0042】
(4)密着性
(3)の手順で、スレート板にインキを転写させた後、40℃で1日、更に室温で3日静置して、サンプルとした。このサンプルの印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がした。
【0043】
(5)耐候性
(3)の手順で、スレート板にインキを転写させ、40℃で1日、更に室温で3日静置した後、印刷面に水系アクリルのトップコート(水系アクリル樹脂に水系ポリイソシアネートを配合したもの)を塗布して、トップ層付の表面装飾スレート板を作成した。これをQ−PANEL社製のQUV試験機にセットして、以下のサイクルにて500時間暴露した後、外観の変化で耐候性を評価した。
QUV試験機による1サイクルの条件
:70℃×6時間(Dry)+50℃×2時間(Wet)
【0044】
実施例6〜8、比較例3、4
実施例5におけるPU−1をPU−2〜6に置き換えること以外は、実施例5と同様の方法でインキを調製し、同様に評価した。
各インキの顔料分散安定性、印刷適性、剥離性(転写性)、密着性、耐候性の評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明により、顔料分散安定性、印刷適性、耐候性、剥離性(転写性)、密着性の優れた転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキの提供が可能となった。
Claims (3)
- 下記に示す(A)〜(C)を反応させて得られるポリウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする転写シート用印刷インキバインダー。
(A)少なくとも以下の(A1)及び(A2)を含有する高分子ポリオール。
(A1)水酸基価20〜250mgKOH/g、平均官能基数1〜3のポリカーボネートポリオール。
(A2)水酸基価3〜12mgKOH/g、平均官能基数1〜2のアクリルポリオール。
(B)有機ジイソシアネート。
(C)平均分子量500未満の短鎖グリコール又は短鎖ジアミンから選択される鎖延長剤。 - (A)高分子ポリオール及び(B)有機ジイソシアネートが以下の条件を満たすものであることを特徴とする請求項1記載の転写シート用印刷インキバインダー。
(A)高分子ポリオール:
(A1)ポリカーボネートポリオールと(A2)アクリルポリオールの重量比が、(A1)/(A2)=90/10〜30/70。
(B)有機ジイソシアネート:
脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選択されるもの。 - 請求項1又は2記載の転写シート用印刷インキバインダーを用いた転写シート用印刷インキ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25601698A JP3783223B2 (ja) | 1998-08-26 | 1998-08-26 | 転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25601698A JP3783223B2 (ja) | 1998-08-26 | 1998-08-26 | 転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000072994A JP2000072994A (ja) | 2000-03-07 |
JP3783223B2 true JP3783223B2 (ja) | 2006-06-07 |
Family
ID=17286747
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25601698A Expired - Fee Related JP3783223B2 (ja) | 1998-08-26 | 1998-08-26 | 転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3783223B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3991347B2 (ja) * | 1998-09-02 | 2007-10-17 | 日本ポリウレタン工業株式会社 | コーティング剤組成物 |
TWI292431B (en) * | 2004-11-30 | 2008-01-11 | Kuo Huang Hsieh | Material for electron or hole transport layer and method for forming the same |
JP2006182904A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-07-13 | Nippon Polyurethane Ind Co Ltd | ポリウレタン樹脂コーティング剤 |
US7473442B2 (en) * | 2005-09-14 | 2009-01-06 | Ppg Industries Ohio, Inc. | Multi-component, waterborne coating compositions, related coatings and methods |
JP2010047679A (ja) * | 2008-08-21 | 2010-03-04 | Nippon Polyurethane Ind Co Ltd | インキバインダー用ポリウレタン樹脂、それを用いたインキバインダー及びインキ |
WO2012073562A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | Dic株式会社 | インクジェット印刷インク用バインダー、それを含むインクジェット印刷用インク及び印刷物 |
JP5644592B2 (ja) * | 2011-03-07 | 2014-12-24 | 日立化成株式会社 | 接着剤 |
KR101578074B1 (ko) * | 2014-03-27 | 2015-12-16 | (주)건양 | 이형성이 향상된 전사용 코팅재 및 이를 이용한 전사방법 |
CN109661440B (zh) * | 2016-08-31 | 2022-08-02 | 富士胶片株式会社 | 喷墨油墨组合物及图像形成方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61106296A (ja) * | 1984-10-30 | 1986-05-24 | Dainippon Printing Co Ltd | 熱転写シ−ト |
JP2653674B2 (ja) * | 1988-06-06 | 1997-09-17 | 株式会社クラレ | 印刷インキ用組成物 |
IT1230705B (it) * | 1989-01-27 | 1991-10-29 | Boston Spa | Composizione di hot melt reticolabile |
JP2804416B2 (ja) * | 1992-11-02 | 1998-09-24 | 大日精化工業株式会社 | 塗料組成物 |
JPH08120046A (ja) * | 1994-10-21 | 1996-05-14 | Nippon Shokubai Co Ltd | 樹脂組成物 |
US5700851A (en) * | 1995-10-17 | 1997-12-23 | Tektronix, Inc. | Ink-jet ink composition containing a colored polyurethane dispersion |
JPH1076750A (ja) * | 1996-09-05 | 1998-03-24 | Kimoto & Co Ltd | 転写シート及び画像形成方法 |
JPH10129198A (ja) * | 1996-10-31 | 1998-05-19 | Ricoh Co Ltd | 転写シート及びそれを用いた絵付け方法 |
JPH10203028A (ja) * | 1997-01-24 | 1998-08-04 | Fuji Photo Film Co Ltd | 熱転写記録材料 |
-
1998
- 1998-08-26 JP JP25601698A patent/JP3783223B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000072994A (ja) | 2000-03-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6973046B2 (ja) | インキセット及び化粧材 | |
JP3885531B2 (ja) | 水性ポリウレタン系エマルジョン、並びにこれを用いた水性接着剤及び水性塗料 | |
CN101250252B (zh) | 装饰片的底漆用聚氨酯树脂及使用其的装饰片的底漆 | |
CN109476938B (zh) | 用于叠层体的凹印油墨、印刷品和叠层产品 | |
JP6424717B2 (ja) | アルコール系インキ組成物およびそれを用いた印刷物、積層体 | |
WO2017164200A1 (ja) | 印刷用コート剤組成物及び印刷物 | |
JP3783223B2 (ja) | 転写シート用印刷インキバインダー及びこれを用いた転写シート用印刷インキ | |
WO2013146452A1 (ja) | 印刷インキバインダー用ポリウレタン樹脂組成物 | |
JP3650988B2 (ja) | コーティング剤用ポリウレタン系樹脂及びコーティング剤組成物 | |
JP3772341B2 (ja) | 印刷インキバインダー及び印刷インキ | |
JP2013249401A (ja) | 水性ポリウレタン樹脂およびその利用 | |
JP2010047679A (ja) | インキバインダー用ポリウレタン樹脂、それを用いたインキバインダー及びインキ | |
JPH11293191A (ja) | 水性印刷インキ用ポリウレタン系エマルジョン及びそれを用いた水性印刷インキ | |
JPH11228655A (ja) | 水性印刷インキ用ポリウレタン系エマルジョン及びそれを用いた水性印刷インキ | |
JP3700166B2 (ja) | ポリウレタン系印刷インキ用バインダー及びこれを用いた印刷インキ組成物 | |
US20150329742A1 (en) | Digitally Printable Topcoat | |
JP4061631B2 (ja) | 非水系プライマー組成物 | |
JP2001055540A (ja) | ポリウレタン系プライマー | |
JP4003232B2 (ja) | マーキングシート用ベースフィルム | |
JP2000198962A (ja) | 化粧板もしくは壁紙用水性コ―ティング剤 | |
JP2004217808A (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物並びにそれを用いた印刷インキ用バインダー及び積層シート | |
JP4474841B2 (ja) | ラミネート用2液型接着剤組成物及びこれを用いて得られる積層シート、トレー容器 | |
JP2013053206A (ja) | 耐光性コーティング剤およびその使用 | |
JP4798532B2 (ja) | 水性印刷インキ用エマルジョン組成物及びそれを用いた水性印刷インキ | |
JP3991347B2 (ja) | コーティング剤組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051028 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060220 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060305 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090324 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120324 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |