JP3782492B2 - 支持構造に作り付けられた改良防水かつ断熱タンク - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持構造に作り付けられた防水かつ断熱タンクの製造に関し、特に、液体ガスの海上輸送、特に高メタン含有の液体天然ガスの輸送のための船の船体に作り付けられた防水かつ断熱タンクの製造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
フランス特許第1,438,330号、第2,105,710号、第2,146,612号および第2,683,786号に、この種の防水かつ断熱タンクの製造についてすでに記載されており、該タンクは、連続する２つの防水バリア、つまり輸送されている液体ガスに接触している主バリアおよび主バリアと支持構造との間に位置する副バリアからなり、これら２つの防水バリアは、「断熱バリア」と呼ばれる２つの断熱の層が交互に設けられている。これらの実施態様において、主バリアおよび副バリアは、保温材が充満した平行六面体のコンパートメントから成り、主および副防水バリアは、たとえば、不変鋼から成る金属の条板から成り、上向きのエッジを有し、溶接フランジの何れの側においても溶接されている。
【０００３】
たとえば、フランス特許第2,462,336号および第2,504,882号において、多孔性の材料からなる層によって断熱バリアの少なくとも１つを製造することもまた提案されている。しかし、主断熱バリアが、タンクの内側の方向に、船が横に揺れたり縦に揺れたりするために起こる、輸送中の液体の移動のためにタンクの壁に生じる衝撃に対してよりよい抵抗を与える剛体板を含むことが望ましいということが観察されている。この技術は、特にフランス特許第2,504,882号に採用されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、どの場合においても、弾力的に副バリアを支えながら保持されなければならない主バリアの固定に関して問題があった。フランス特許第2,462,336号において、主バリアは、船の支持構造と接合することなく、副バリアと固定していた。これは、断熱特性という点では非常に有利であったが、コストおよび主断熱バリアの清掃能力という点で欠点を示していた。フランス特許第2,504,882号は、主断熱バリアを、副防水バリアを通るつなぎ留め部材を用いて、船の支持構造に直接固定することを提案している。しかし、この技術では、副防水バリアに応力集中領域が生じ、主バリアと支持構造との間に直接的な熱ブリッジが生じる。これは、断熱性から好ましいことではない。
【０００５】
さらに、タンクの厚さが一定で、万一主防水バリアに漏れがあった場合、副断熱バリアが厚ければ厚い程、それだけ不慮の冷地帯が二重船体から離れるので、主断熱バリアの損傷に対し、副断熱バリアの厚さを増やすことが有益であるのは公知である。残念なことに、船を横断する隔壁が二重船体と交差する領域でのタンクの壁を接続させるための角度の構造のために、主断熱バリアの厚さを減らすことは困難である。実際、記載の技術によれば、接続隅部は、枠の形態に製造され、その構造は横断隔壁と二重船体との交差部の立体角に沿って一定であり、これは、例えば、フランス特許第2,683,786号に記載されている。船が荒れた海で揺れると、船を形成するガーダーの変形のために、主および副防水バリアで大きな引っ張り応力が生じ、その応力は、タンクが冷たくなった時にこれらの防水バリアに生じる引っ張り応力に加わる。接続枠はもちろん、これらの力が支持構造に吸収されることを可能にしなければならない。フランス特許出願第93-10720において、薄い主断熱バリアを採用し、これらの力を吸収させる構造を提案している。
【０００６】
述べてきた技術水準において、上記に述べた様々な問題は、主および副防水バリアが、それぞれ上向きのエッジを有し、互いに溶接されている不変鋼からなる金属の条板のアセンブリからなる構造によって１つ１つ解決されていることが認められる。これらの２つの防水バリアは、一方で付随の断熱バリアを弾力的に支え、支持構造への熱ブリッジを避け、もう一方で高い生産コストを上昇させないで、保持されなければならない。二重防水バリアを有するこれらのタンクに関する技術水準において記載された全ての実施態様において、主および副断熱バリアは独立しており、別々に取り付けられる。
【０００７】
出願人は、本発明により、連続する２つの防水バリアを備えているタンクを提案し、それにより、
１つには、輸送中、液体の移動によりタンクの壁に生じた衝撃に対する抵抗が優れている剛体板を有する薄い主断熱バリアを用いることが可能になり、この断熱バリアが薄いので、主防水バリアに漏れが起こった際、前述の利点がある。
【０００８】
また、タンクの２つの副バリアおよび主断熱バリアの一回の動作での取り付けを可能にする予め作られたパネルを用いることによってこのようなタンクのコストを大幅に削減することが可能であり、本発明の構造を採用することによって、コストは約２５％削減され得る。従って、本発明は、二重防水バリアを有するタンクには、独立した副および主断熱バリアを、それぞれ、それ自体独立している副防水バリアの前後に形成し取り付ける必要があるという先入観を克服することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前述の予め作られたパネルは、断熱材の２つの層を有しており、その間には副防水バリアを構成している柔軟な層が挿入されている。アセンブリは、粘着力が適切な手段、たとえば、接着剤によって維持されている多層を形成している。後に説明するように、この多層は、外側の２面に剛体板を備え、そのうちの１つは支持構造に対してそれを保持し得、もう一方は主防水バリアを保持し得る。さらに、本発明の構造によれば、副防水バリアは、タンクの壁の隅に位置する接続枠へわずかの荷重を伝えるだけであるので、この枠構造は簡素化され得る。
【００１０】
従って、本発明の主題は、特に船の支持構造に作り付けられた防水かつ断熱タンクであり、該タンクは連続する２つの防水バリアを有し、１つは主防水バリアであり、タンク内の製品に接しており、もう１つは副防水バリアであり、主バリアと支持構造との間に位置しており、これら２つの防水バリアは２つの断熱バリアと交互に設けられ、主防水バリアはタンクの内側の方向に上向きのエッジを有する金属の条板からなり、該条板は、膨張係数の低い薄板金からなり、主断熱バリアに機械的に保持され、延長ジョイントを構成する溶接支えの２面に、上向きのエッジを介して突合わせ溶接され、副バリアおよび主断熱バリアは、本質的に支持構造に固定された１組の予め作られたパネルからなり、それぞれのパネルは、第１に、断熱材の層を支え、それと共に副断熱バリア要素を構成している第１の剛体板、第２に、上記の副断熱バリア要素の断熱材の層の全表面に実質的に接着された柔軟なシートであり、副防水バリア要素を形成している少なくとも１つの連続する薄い金属箔を有しているシート、第３に、少なくとも部分的に、上記のシートを覆い、それに接着している第２の断熱材の層、第４に、第２の断熱材の層を覆い、それと共に主断熱バリアを構成している第２の剛体板から形成されており、２つの隣接パネルの間の接合領域は、少なくとも副防水バリアの連続性を確実にするように埋められている。
【００１１】
好適な実施態様において、それぞれのパネルは直角平行六面体の全体的形状を有し、第１の剛体板および第１の断熱材の層は、平面図で第１の長方形の形状を有し、第２の断熱材の層および第２の剛体板は、平面図で第２の長方形の形状を有し、２つの長方形は実質的に平行な側面を有し、第２の長方形の縦と横は、第１の長方形の縦と横よりそれぞれ短く、従って、周縁は、それぞれのパネルにおいて、パネルの主断熱バリア要素の回りに形成されている。第１および第２の剛体板およびそれに対応する断熱材の層の上記の長方形は、正方形を含むと理解される。平面図において、１つの同一のパネルの主および副断熱バリア要素を形成する２つの長方形が、実質的に同一の中心を有するようにすることが可能であり、パネルの周縁が、実質的な一定幅を有している。
【００１２】
予め作られたパネルを、パネルの周縁に一様に並んで配列している固定手段によって支持構造に固定することが好ましい。パネルを支持構造へ固定するための手段は、支持構造に実質的に垂直に固定されたスタッドであり得る。該スタッドはそれぞれ、その開口端がネジ溝を有し、パネルとスタッドとの相対的な配置は、スタッドがパネルの周縁に並ぶようにされ、ピットがそれぞれのスタッドに並んで周縁に形成され、パネルの柔軟なシートを貫き、第１の断熱材の層を貫く。ピットの底は、パネルの第１の剛体板からなり、スタッドが通り抜け得るオリフイスを有し、ワッシャーが、ピットの底を支えるスタッドの上に当てられ、パネルを支持構造に固定するための手段を形成するために、スタッドにねじ込められたナットによって保持される。
【００１３】
それぞれのピットおよびパネルの間のそれぞれのジョイントにおいて、パネルが支持構造に組み込まれると、パネルによって形成された副バリアの連続性はもはや存在しない。本発明によれば、２つの隣接パネルの間の接合領域は、パネルによって構成された３つのバリアの連続性を確実にするように埋められる。従って、副断熱バリアの連続性を確実にするために、パネルが支持構造に固定された後、それぞれのピットが、断熱材料のプラグによって埋められる。２つの隣接パネルの副断熱バリア要素の間にあるジョイントも、断熱バリア材料を用いて塞がれる。さらに、副防水バリアの防水性の連続性を確実にするために、ピットおよびパネルの間のジョイントに並んで、２つの隣接パネルの隣接周縁を、少なくとも１つの連続する薄い金属箔を有する柔軟なシートのストリップで覆う。該ストリップは２つの隣接周縁に接着され、その金属箔によって防水性の連続性が確実になる。主断熱バリアの連続性を確実にするために、２つの隣接パネルの主断熱バリア要素の間にある周辺領域を、断熱タイルで埋め、タイルのそれぞれは、剛体板に覆われた断熱の層からなり、主断熱バリアの厚さを有している。従って、組み立ての後、断熱タイルの板およびパネルの第２の剛体板が、主防水バリアを支えることができる実質的に連続する壁を構成する。
【００１４】
公知の方法で、主防水バリアの金属の条板に関わる溶接支えは、角ブラケット形状の断面を有する部分であるのが有利である。角ブラケットのフランジのうちの１つは、主防水バリアの２つの隣接した金属の条板の上向きのエッジに溶接され、もう一方のフランジはパネルの第２の剛体板の厚さの中に形成された溝に合わされる。有利な配置によれば、パネルのそれぞれの第２の剛体板は、２つの平行な溝を有し、それぞれ、溶接支えを収納し、２つの隣接パネルの第２の剛体板の中心領域は、それぞれ主防水バリアの条板に覆われており、一方、同じ幅を有する別の条板が上記２つの条板の間を接合する。
【００１５】
好適な実施態様によれば、それぞれのパネルに副防水バリア機能を提供する柔軟なシートは３層からなり、外側の２層は繊維ガラス地であり、中間の層は金属箔である。もちろん、パネルの周縁に並んで合わされた柔軟なシートのストリップを形成するために、同じ材料を用いることが好ましい。金属箔は、約０.１ｍｍの厚さのアルミ箔であるのがよい。
【００１６】
パネルの断熱材の層は、特にマット、布地、織物、フィラメント等を用いて繊維ガラスで強化されたポリウレタンフォームのような多孔性の合成樹脂からなるのがよい。これらのパネルは、長手方向に平行に実質的に平行なラメラを形成する複数の繊維ガラス地を備えていてもよい。これらの層に、ラメラは等距離で配置されてもよいが、層の問題の領域の温度が低下するにしたがって、ラメラの配置の間隔を短くすることも可能である。これによって、タンクの冷却による機械応力が最大の領域に、最適の強化が提供される。公知の方法で、それぞれのパネルが、支持構造の壁の不完全を補うことを可能にする重合性樹脂からなる要素を介して、支持構造を支えることが可能である。従って、支持構造の局所的な変形にも係わらず、パネルの第２の板およびパネルの周縁に並んで埋め込まれた断熱タイルの板によって、主防水バリアの金属条板に対して十分な支えを構成する一様な連続する表面を得ることができる。
【００１７】
公知の方法で、支持構造の壁がある角度で交差する領域の主バリアと副バリアとの隅の接続は接続枠の形態で行われ、その構造は、支持構造の壁の交差部の立体角に沿って実質的に一定のままである。本発明によれば、接続枠は、実質的に正方形の断面図を有し、その面は、タンクの隅に届いている防水バリアのそれぞれの延長上にあり、枠は、そのリッジのそれぞれに支持構造の隅を形成している壁の交差部の立体角に最も近いリッジを除いて、その面の延長上に２つのフランジを備え、支持構造に向いている２つのフランジは、壁に垂直な平面に溶接されて支えられ、他のフランジはそれぞれ、主または副断熱バリアの１つの部分を形成する要素に固定される。接続枠と支持構造の隅の壁との間で限界が定められた領域、および正方形の断面を有する枠によって限界を定められている内部空間は、断熱材料で埋められているのが好ましい。
【００１８】
【発明の実施の形態】
本発明の主題の理解をより簡単にするために、付随の図面に表されたその実施態様について制限のない図によって説明する。
【００１９】
図を参照すると、特に図１を参照すると、１は、これから説明する本発明によるタンクが備わっている船の二重船体の壁を示していることがわかる。船の船体は、船体をコンパートメントに分割する横断隔壁をも備え、これらの隔壁もまた二重であることは公知である。図３および図４において、このようなタンクの範囲を定める二重横断隔壁の壁は、２で示されている。壁１および２は上記のタンクの支持構造を構成する。それらはそれぞれ、垂直にそれらに溶接されているスタッド３およびネジ溝のある開口端を有している。スタッド３は、壁１および隔壁２の交差部となるリッジ４に平行に並んで配置されている。
【００２０】
２つの副バリアおよび主断熱バリアは、全体的に５で示されるパネルを用いて製造される。パネル５は、実質的に直角平行六面体の形状を有し、第１の合板６、その上の第１の断熱材の層７、その上の柔軟なシート８からなる。第２の合板１０を有する第２の断熱材の層９が、シート８の上に位置している。サブアセンブリ９および１０は、主断熱バリア要素を構成し、平面から見て長方形の形状を有している。その辺は、サブアセンブリ６、７および８の辺に平行である。２つのサブアセンブリは、平面から見て、同じ中心を有する２つの長方形の形状を有している。一定の長さの周縁１１はサブアセンブリ９、１０の回りに存在し、サブアセンブリ７、８、９の境界領域からなる。サブアセンブリ６、７は副断熱バリア要素を構成する。このサブアセンブリ６、７を覆うシート８は副防水バリア要素を構成する。
【００２１】
上記のパネル５は、アセンブリを形成するために予め作られていてもよい。その様々な構成部分は上で示された配置で接着される。このように、このアセンブリは、副バリアおよび主断熱バリアを形成する。断熱材の層７および９は、繊維ガラス地を挿入することによって優れた機械特性を与えられているポリウレタンフォーム等の多孔性の合成樹脂からなり得る。これらの断熱層を生産するために、繊維ガラス地を層の厚さに配置し、それらが、層７および９の長手方向、すなわちパネル５の長手方向に平行なラメラ１２ａおよび１２ｂを構成するのが好ましい。図５において、ラメラ１２ａが、約−１６０℃の温度が行き渡っているタンクの内側になるにつれて短い間隔で配置されている。また、図６は、ラメラ１２ｂは層のどの部分においても一定の間隔を有する断熱層の実施態様を示している。もちろん、パネルの第１の層で１つの技術を採用し、第２の層で別の技術を採用することは可能である。
【００２２】
主および副断熱バリア要素に挟まれた柔軟なシート８は、３つの層を有する複合材料からなる。外側の２層は、繊維ガラス地で中間層は薄い金属箔、たとえば厚みが約０.１ｍｍのアルミ箔である。この金属箔は、副防水バリアを構成し、断熱材の層７に接着される。この金属箔は厚みが少ないので柔軟性があり、そのため荒れた海での船体の変形または冷たくなったタンクによるパネル５の変形に従うことが可能である。パネル５を支持構造に固定させるために、パネルの周囲全体に均等にピット１３が備えられ、該ピットは、柔軟なシート８を貫き断熱材の層７を貫き合板６にまで達する、周縁１１に形成された円筒形の凹所である。従って、ピット１３の底は、パネル５の第１の剛体板６からなる。ピット１３の底は穿たれ、オリフィス１４を形成し、その直径は、スタッド３が通り抜けるのに十分である。スタッド３およびオリフィス１４は、パネル５が支持構造の壁１または２に面しているなら、該パネルは、スタッド３がそれぞれのオリフィス１４に面するように壁に関して位置するように配置される。
【００２３】
単に製造の際の不正確さの結果、船の壁１および２は、支持構造のための理論上の表面とは差があることは公知である。公知の方法で、これらの差は、パネル５を重合性の樹脂の塊１５を介して支持構造を支えるようにすることによって補償される。それによって、不完全な支持構造表面から始まって、望ましい理論上の表面との差がほとんどない表面を形成する第２の板１０を示す隣接パネル５からなるグラッディングを得ることが可能である。
【００２４】
パネル５がこのように、樹脂の塊１５を間に介して支持構造に対向している時、スタッド３はオリフィス１４を貫通し、ベアリングワッシャー１６および締め付けナット１７が、スタッド３のネジ溝のある先端に合わされる。ワッシャー１６は、ナット１７によって、ピット１３の底でパネル５の第１の剛体板６に対して押し込まれる。従って、支え表面に対するそれぞれのパネル５の固定は、パネルの周囲全体に配置される複数の点を用いて行われる。これは、機械的見地から好ましい。
【００２５】
そのような締め付けが完了すると、ピット１３は、そこに断熱材料からなるプラグ１８を挿入することによって塞がれる。これらのプラグ１８は、パネルの第１の断熱材の層７と同一平面になる。さらに、断熱材料は、２つの隣接するパネル５のサブアセンブリ（６、７、８）を分けている接合領域に埋め込まれる。この断熱材料は、たとえば、Ｕ型に折り重ねられ、接合領域に無理やり挿入された合成樹脂フォームのシート２０からなる。しかし、このように副断熱バリアの連続性が回復されるけれども、柔軟なシート８によって形成される副防水バリアの連続性は回復されない。なぜなら、後者は、それぞれのピット１３で穴が開けられているからである。副防水バリアの連続性を回復するために、柔軟なシート８と同じ柔軟なシートからなるストリップ１９を、２つの隣接パネル５の２つのサブアセンブリ９および１０の間にある周縁１１の上に配設し、ストリップ１９を周縁１１に接着し、それぞれのピット１３での穴およびパネル間の接合領域を塞ぎ、これによって副防水バリアの連続性を回復する。
【００２６】
従って、２つの隣接パネル５のサブアセンブリ（９、１０）の間には、周縁１１に並んで位置するセットバック領域があり、このセットバック領域は、実質的に主断熱バリア（９、１０）の厚みと同じ深さを有している。これらのセットバック領域は、断熱材の層２２および剛体の合板２３からなっている断熱タイル２１を埋め込むことによって塞がれる。断熱タイル２１は、２つの隣接パネル５の周縁の上に位置する領域を完全に埋めるぐらいの大きさを有する。これらの断熱タイルは、その層２２の側でストリップ１９に接着され、従って、それらが合わされた後、その板２３が２つの隣接パネル５の板１０の間の連続性を提供する。これらの断熱タイル２１は、その幅は２つの隣接パネルのサブアセンブリ９、１０の間の距離で決定されるが、長さはどんな長さをも有し得る。しかし、２つの隣接パネル５の間で少々の取り付け不良があった時でも、簡単に埋め込まれるように、長さは短い方が好ましい。
【００２７】
このように、支持構造にパネル５をぴったり合わせることによって、副断熱バリア、副防水バリアおよび主断熱バリアが、一挙に形成される。その結果、これら３つのバリアを合わせるのに必要な労力は、技術水準の実施態様と比較して、大幅に削減されることは明らかである。もちろん、パネル５は、工場で大量に予め生産され得、そうすれば、この実施態様の経済的性質がさらに向上する。
【００２８】
パネル５の剛体板１０および２３ならびに断熱タイル２１からなる実質的に連続する面は、このように製造される。後はこれらの板によって支えられる主防水バリアを埋め込むだけである。これを行うために、パネル５の製造時に、板１０に断面Ｔ字形の溝２４を形成する。Ｔの身は、タンクの内側を向いている板１０の面に垂直であり、Ｔの２つの翼は、該面に平行である。角ブラケット形状の断面を有する部分２５からなる溶接支えは、これらの溝２４に埋め合わされ、角ブラケットのフランジの１つ２５ａは、主防水バリアの２つの隣接した金属の条板２７の上向きのエッジ２６に溶接される。もう一方のフランジ２５ｂは、溝２４の、板１０の中間面に平行である部分に係合している。公知の方法で、条板２７は、厚さが０.７ｍｍの不変鋼の金属のシートからなっている。溶接支え２５は、溝２４の中を滑り、延長ジョイントはこのように製造される。このために、主防水バリアの条板２７の、それを支える剛体板１０および２３に対する相対的な動きが可能になる。パネル５のそれぞれの板１０は、条板の幅の分だけ離れている２つの平行な溝２４を備え、パネル５の長手方向に関して対称的に配置されている。パネル５は、２つの隣接パネル５に埋められた２つの隣接した溶接フランジ２５の間の距離が、条板２７の幅と等しくなるような寸法になっている。従って、条板２７は、それぞれの板１０の中心領域と並んで取り付けられ得、かつ条板２７は、２つの隣接パネル５の中心領域を覆う２つの条板２７の間に取り付けられ得る。
【００２９】
本発明によれば、主防水バリアは、剛体板に支えられ、このため、タンクの液体の移動による衝撃に対して優れた抵抗が得られる。
【００３０】
交差部４の立体角に近いタンクの隅の主および副バリアを接続するために、図４の詳細図に示す接続枠を使用する。この接続枠の構造は、支持構造の壁１および２の交差部４の立体角に沿って実質的に一定である。
【００３１】
接続枠は、いくつかの薄板金の溶接されたアセンブリからなる。第１の薄板金３０は、断面が二重角ブラケットの形状を有している。それは、直角の屈曲部３１ａを有する平らな薄板金３１ならびに薄板金３０の直角ベンドの１つのフランジおよび薄板金３１の直角の屈曲部３１ａに溶接された平らな薄板金３２に、溶接することによって組み立てられる。接続部（３０−３２）は、薄板金３２が、薄板金３０と薄板金３３の境界領域に設けられた直角の屈曲部３３ａとの間にあるようになっている。同じように、接続部（３０−３１）は、薄板金３１が、薄板金３０と薄板金３４の直角の屈曲部３４ａとの間にあるようになっている。薄板金３０ならびに薄板金３１および３２は、それらの間の内部体積を規定し、その断面は、正方形であり、この正方形の辺の長さは、パネル５の主断熱バリアの厚さに相当する。このような接続枠を溶接するためには、２つの溶接車輪の間の連続的抵抗溶接によって、接続部（３０−３２−３３ａ）が、まず全て溶接され、それから、接続部（３１ａ−３２−３５ａ）が溶接され、最後に接続部（３０−３１−３４ａ）が溶接される。そのようにして、たとえ、主断熱バリアの厚さが小さくとも生産に何の困難も生じない。
【００３２】
例えば、長さ３.３０メートル、幅９９０ｍｍ、副断熱バリアの厚さ１８０ｍｍ、主断熱バリアの厚さ７０ｍｍのパネル５であるとすると、２つの上向きのエッジの間の条板２７の幅は５００ｍｍである。従って、接続枠の断面の正方形は長さ約７０ｍｍの辺を有し、不変鋼であるこの枠を形成する薄板金の厚さは１.５ｍｍである。
【００３３】
このように形成された接続枠は、壁１および２に垂直な平面３６に溶接することによって支持構造に固定される。薄板金３２は、平面３６のうちの１つに溶接され、薄板金３１は、もう１つの平面３６に溶接される。このように、この接続枠は、薄板金３５が薄板金３１の延長上にあるので、主防水バリアで支持構造に固定される。
【００３４】
それから、断熱材料のブロック３７および３８が、接続枠と交差部４の立体角との間の空間に挿入される。同様に、断熱材料のブロック３９は、接続枠の正方形の断面部分に挿入される。ブロック３７および３８と薄板金３２および３１との間にそれぞれ残っている空間は、ガラス綿４０を用いて埋められる。
【００３５】
図３は、このような接続枠と、隣接パネル５によって壁１および２に形成されたライニングとの間の接続を示している。パネル５は、図３の右側部分に示され、それを組み込む前に、パネル４１が挿入され、塊１５を介して、壁１と薄板金３４（または３３）との間に組み込まれる。パネル４１は、隣接パネル５に面する面を除いて全てを合板で覆われる。このパネル４１は、薄板金３１（または３２）と接触する。ピット１３と同様のピット１３ａを形成することによって壁１に固定され、その底は、スタッド３が貫通し得るオリフィス１４ａを有している。パネル４１は、ピット１３ａの底にあるスタッド３に係合するナットによって船体に固定される。それから、ピット１３ａはプラグ１８ａで埋められる。パネル４１が組み込まれると、円錐型のネジ４２が、このパネル４１を薄板金３４（または３３）に固定させるために用いられる。隣接パネル５は、それから位置合わせされ、断熱箔２０が、ジョイント空間に挿入され、薄板金３４（または３３）、ブロック４１および隣接パネル５の周縁は、ストリップ１９と同じ柔軟シートのストリップ１９ａを用いて覆われる。ストリップ１９ａは、副防水バリアの防水性の連続性を提供する。
【００３６】
それから、ポリウレタンフォームからなり、合板と２つの面を接している断熱パネル４３は、薄板金３２および３４（または３５および３３）の間に埋め込まれ、合板の１つが薄板金３１（または３２）を支え、もう１つが円錐型のネジ４４によってこのパネル４３に固定されている薄板金３２（または３５）に並ぶ。このパネル４３は薄板金３２（または３５）をわずかに越えて延び、パネル４３と隣接パネルのサブアセンブリ（９、１０）との間に残っている空間は、断熱タイル４５で埋められる。断熱パネルの、タンクの内側を向いている面は、合板からなっている。このようにして、隣接パネル５の板１０と薄板金３２（または３５）の開いた境界領域との間の連続的な剛体板の存在が確実にされる。パネル５は全体、条板２７に覆われ、条板２７の端部および薄板金３２（または３５）は、接続条板４６を用いて接続され、その２つの先端はそれぞれ条板２７および薄板金３２（または３５）に溶接され、その上向きのエッジ４７は、上向きエッジ２６の先端に溶接され、これらの特別条板４６もまた突合わせ溶接される。このようして、主防水バリアの連続性がタンクの隅において確実になる。
【００３７】
【発明の効果】
上記の実施態様によって、先行技術の実施態様と同じくらい優れた断熱特性を、予め作られた要素を用いることによって約２５％減のコストで得ることが可能であることがわかるであろう。上記要素の機械的応力は本質的に主防水バリアに働き、接続枠および平面３６を介して支持構造によって取り除かれる。
【図面の簡単な説明】
【図１】タンクの隅ではないタンクの領域における、本発明によるタンクの様々な要素からなるアセンブリの、二重船体または船の二重横断隔壁からなる支持構造の壁に垂直な拡大断面図。
【図２】柔軟なシートのストリップおよび接着以前の組み込み位置に表された断熱タイルとの関連における、本発明によるタンクのパネルの斜視図であって、２Ａは全体図の２Ａと印された領域の詳細図。
【図３】様々な要素、特に接続枠およびそれに係わる副および主バリアの特別な要素が、本発明によるタンクを形成しており、支持構造の隅の交差部の立体角に垂直な断面図。
【図４】接続枠に関連しタンクの主要パネルへの接続を可能にする主および副断熱バリア要素の埋め込み以前の、図３の接続枠の詳細図であって、４Ａは全体図の４Ａ部分の詳細図。
【図５】タンクのパネルを形成している断熱材の層の第１の実施態様の断面図。
【図６】図５のパネルの別の実施態様の断面図。
【符号の説明】
１、２ 支持構造
３ スタッド
４ 交差部
５ パネル
６ 第１の剛体板
７、２２ 第１の断熱材の層
８ シート
９ 第２の断熱材の層
１０ 第２の剛体板
１１ 周縁
１３ ピット
１４ オリフィス
１６ ワッシャー
１７ ナット
１８ プラグ
１９ ストリップ
２０、３７、３８、３９ 断熱材料
２１ 断熱タイル
２５ 溶接支え
２６ 上向きエッジ
２７ 条板
３６ 平面

Claims (19)

1. 支持構造に取り付けられた防水かつ断熱タンクであって、該タンクは：
   主防水バリアであって、該主防水バリアは該タンク内に収容される製品と接し、該タンクの内側に向かって上向きのエッジ（２６）を有する金属の条板（２７）を備え、該条板は、膨張係数が低い薄板金からできている、主防水バリア；
   副防水バリアであって、該副防水バリアは該主防水バリアと該支持構造（１、２）との間に位置し、該副防水バリアは、複数の副防水バリア要素を備え、ここで副防水バリア要素は、少なくとも１つの連続する薄い金属箔を含む、副防水バリア；
   副断熱バリアであって、該副断熱バリアは該副防水バリアと該支持構造との間に配置され、該副断熱バリアは、複数の副断熱バリア要素を含み、ここで、副断熱バリア要素は、断熱材の層（７）を有する第１の剛体板（６）を備える、副断熱バリア；
   主断熱バリアであって、該主断熱バリアは該主防水バリアと該副防水バリアとの間に配置され、該主断熱バリアは、複数の主断熱バリア要素を含み、ここで主断熱バリア要素は、第２の断熱材の層（９）および該第２の断熱材の層を覆う第２の剛体板（１０）を含む、主断熱バリア；
   溶接支え（２５）であって該溶接支えは、該主断熱バリアに溶接され、延長ジョイントを構成し、該条板は、上向きエッジ（２６）を介して該溶接支えの２つの面に突合わせ溶接される、溶接支え；
   を備え、ここで、該副断熱バリア、該副防水バリアおよび該主断熱バリアは、本質的に、該支持構造（１，２）に対して固定される１組の予め作られたパネル（５）からなり、
   ここで、該予め作られたパネルの各々は、断熱材の第１の層（７）によって囲まれる第１の剛体板（６）からなる副断熱バリア要素（６，７）、該副断熱バリア要素の断熱材の第１の層（７）の全表面に接着された柔軟なシート（８）および第２の断熱材の層（９）および該第２の剛体板（１０）からなる主断熱バリア要素（９，１０）を備え、
   ここで、該柔軟なシート（８）は、副防水バリア要素を備え、そして該主断熱バリア要素の断熱材の第２の層（９）は、少なくとも部分的に該柔軟なシート（８）を覆い、そしてそれに接着され、
   ２つの隣接するパネル（５）の間の接合領域は、少なくとも１つの連続する薄い金属箔を有する柔軟なシートのストリップ（１９）で覆われ、該ストリップ（１９）は該２つの隣接周縁（１１）に接着され、その金属箔によって前記副防水バリアの防水性の連続性が確実になることを特徴とする、
   タンク。
2. それぞれのパネルは直角平行六面体の全体的形状を有し、前記第１の剛体板（６）および前記第１の断熱材の層（７）は、平面図で第１の長方形の形状を有し、前記第２の断熱材の層（９）および前記第２の剛体板（１０）は、平面図で第２の長方形の形状を有し、該２つの長方形は実質的に平行な側面を有し、該第２の長方形の縦と横は、該第１の長方形の縦と横よりそれぞれ短く、従って、周縁（１１）は、それぞれのパネル（５）において、該パネルの主断熱バリア要素の回りに形成されていることを特徴とする、請求項１に記載のタンク。
3. 平面図において、１つの同一のパネルの前記主および前記副断熱バリア要素を形成する前記２つの長方形が、実質的に同一の中心を有し、該パネルの周縁（１１）が、実質的に一定幅を有していることを特徴とする請求項２に記載のタンク。
4. 予め作られたパネル（５）を、該パネル（５）の周縁（１１）に一様に並んで配列している固定手段によって、前記支持構造（１、２）に固定することを特徴とする、請求項２または３に記載のタンク。
5. パネル（５）を前記支持構造（１、２）へ固定するのための手段は、該支持構造（１、２）に実質的に垂直に固定されたスタッド（３）であり、該スタッド（３）はそれぞれ、その開口端がネジ溝を有し、該パネル（５）と該スタッド（３）との相対的配置は、該スタッド（３）がパネルの周縁（１１）に並ぶようにされ、ピット（１３）が、それぞれのスタッド（３）に並んで該周縁（１１）に形成され、該パネル（５）の前記柔軟なシート（８）を貫き、前記第１の断熱材の層（７）を貫き、該ピット（１３）の底は、該パネル（５）の前記第１の剛体板（６）からなり、スタッド（３）が通り抜け得るオリフイス（１４）を有し、ワッシャー（１６）が、該ピット（１３）の底を支える該スタッド（３）の上に当てられ、該パネル（５）を該支持構造（１、２）に固定するための手段を形成するために、該スタッド（３）にねじ込められたナット（１７）によって保持されることを特徴とする、請求項４に記載のタンク。
6. ２つの隣接パネル（５）の間の接合領域は、該パネル（５）によって構成された３つのバリアの連続性が確実になるように埋められることを特徴とする、請求項１から５のいずれかに記載のタンク。
7. それぞれのピット（１３）は、パネル（５）が前記支持構造（１、２）に固定された後、断熱材料のプラグ（１８）によって埋められ、２つの隣接パネル（５）の前記副断熱バリア要素の間にあるジョイントもまた、断熱バリア材料（２０）を用いて埋められることを特徴とする、請求項５および６に同時に記載のタンク。
8. ２つの隣接パネルの前記主断熱バリア要素の間にある周辺領域を、断熱タイル（２１）で埋め、該断熱タイルのそれぞれは、剛体板（２３）で覆われた断熱材の層（２２）からなり、それぞれのタイル（２１）は該主断熱バリアの厚さを有し、組み立ての後、該断熱タイル（２１）の板（２３）および該パネル（５）の前記第２の剛体板（１０）が、前記主防水バリアを支えることができる実質的に連続する壁を構成することを特徴とする、請求項１に記載のタンク。
9. 前記主防水バリアの金属の条板（２７）に関わる溶接支え（２５）は、角ブラケット形状の断面を有する部分であり、該角ブラケットのフランジのうちの１つ（２５ａ）は、該主防水バリアの２つの隣接した金属の条板（２７）の上向きのエッジ（２６）に溶接され、もう一方のフランジ（２５ｂ）はパネル（５）の前記第２の剛体板（１０）の厚さの中に形成された溝（２４）に合わされることを特徴とする、請求項１から８のいずれかに記載のタンク。
10. パネル（５）のそれぞれの第２の剛体板（１０）は、２つの平行な溝（２４）を有し、それぞれ、溶接支え（２５）を収納し、２つの隣接パネル（５）の該第２の剛体板（１０）の中心領域は、それぞれ前記主防水バリアの条板（２７）に覆われており、一方、同じ幅を有する別の条板（２７）が該２つの条板（２７）の間を接合することを特徴とする、請求項９に記載のタンク。
11. パネル（５）の柔軟なシート（８）は３層からなり、外側の２層は繊維ガラス地であり、中間の層は金属箔であることを特徴とする、請求項１から１０のいずれかに記載のタンク。
12. 前記金属箔は、約０.１ｍｍの厚さを有するアルミ箔であることを特徴とする、請求項１１に記載のタンク。
13. 前記パネル（５）の断熱材の層（７、９）は、多孔性の合成樹脂からなり、長手方向に平行に、実質的に平行なラメラを形成する複数の繊維ガラス地を備えていることを特徴とする、請求項１から１２のいずれかに記載のタンク。
14. 前記ラメラは、等距離であるかまたは、層の問題の領域の温度が低下するにしたがって、間隔を短くして配置されることを特徴とする、請求項１３に記載のタンク。
15. それぞれのパネル（５）が、前記支持構造の壁（１、２）の不完全を補うことを可能にする重合性樹脂からなる要素（１５）を介して、該支持構造（１、２）を支えることを特徴とする、請求項１から１４のいずれかに記載のタンク。
16. 前記支持構造の壁（１、２）が実質的に直角に交差する領域の前記主バリアと副バリアとの隅の接続は、接続枠の形態で行われ、その構造は、該支持構造の壁の交差部（４）の立体角に沿って実質的に一定のままであることを特徴とする、請求項１から１５のいずれかに記載のタンク。
17. 前記接続枠は、実質的に正方形の断面図を有し、その面は、前記タンクの隅に届いている前記防水バリアのそれぞれの延長上にあり、該枠は、そのリッジのそれぞれに、前記支持構造の隅を形成している壁の交差部（４）の立体角に最も近いリッジを除いて、その面の延長上に２つのフランジを備え、該支持構造（１、２）に向いている該２つのフランジは、該壁に垂直な平面（３６）に溶接されて支えられ、他のフランジはそれぞれ、前記主または副断熱バリアのうちの１つの部分を形成する要素に固定されることを特徴とする、請求項１６に記載のタンク。
18. 前記接続枠と前記支持構造の隅の壁（１、２）との間で限界が定められた領域、および該接続枠によって限界を定められている内部空間は、断熱材料（３７、３８、３９）で埋められることを特徴とする、請求項１７に記載のタンク。
19. 前記支持構造は船のものであることを特徴とする、請求項１−１８のいずれか１項に記載のタンク。

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