JP3778724B2 - 接触型帯電器及び画像記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像記録装置の接触型帯電器、及び接触型帯電器を有する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被帯電体の表面を帯電させる帯電方式は、コロナ放電を行うコロトロン、スコロトロンが主流であったが、ローラ帯電方式へと移行されつつある。ローラ帯電方式は、導電性ゴムローラからなる帯電ローラを被帯電体としての感光体と接触させ、この感光体と帯電ローラとの微小空隙で放電を起して感光体の表面を帯電させる方式であり、コロトロンと比較してオゾンが著しく低減される(1/100〜1/500に低減される)。また、最近では電荷注入方式が注目されている。
【0003】
電荷注入方式は、放電を起さないで、接触型帯電器から直接に被帯電体に電荷を注入して被帯電体を帯電させる方式であり、原理的にオゾンは発生しない。電荷注入方式においては、接触型帯電器と感光体との接触抵抗や微小空間の容量が電荷を注入する際の注入速度に影響を与えるため、接触型帯電器と感光体との接触抵抗が低いほど良いと考えられる。
【0004】
そのため、特開平6−75459号公報記載の接触型帯電器では、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し、全体に導電性を付与した高分子材料からなる導電性ゴムで帯電ローラを作っている。
【0005】
特開平7−140729号公報記載のもでは、吸水性のスポンジローラを用いて感光体に電荷を注入している。特開平9−101649号公報には、図11に示すように、金属芯1111上に導電性繊維1112を植毛してなる帯電ブラシ1110の金属芯1111に直流電源1103から帯電バイアスを印加して帯電ブラシ1110により、基体1101上に感光層1102を形成してなる感光体1100を帯電する接触型帯電器において、帯電ブラシ1110の導電性繊維1112をエッチング繊維ないし分割繊維にすることによって導電性繊維1112と感光体1100との接触面積を増加させ、電荷注入の速度を向上させることが記載されている。
【0006】
ここに、エッチング繊維とは導電性繊維の成分の一部を薬液で溶解し、1本の導電性繊維を太さ方向で複数本に分割した繊維である。また、分割繊維とは加熱時の各部の熱収縮の差を利用し、1本の導電性繊維を太さ方向で分割した繊維である。これらの処理により形成したエッチング繊維ないし分割繊維を用いることにより、細い径の導電性繊維を用いたことになり、導電性繊維と感光体との接触面積を増加させることができる。
【0007】
また、接触型帯電器の別の構造として磁気ブラシが挙げられる。一般に、磁気ブラシは、磁性導電粒子の直径を大きくすると、マグネットロールからの規制力が大きくなり、帯電ブラシや帯電ブレード、帯電ローラよりも大きなニップ幅を形成できる。しかしながら、磁性導電粒子の直径が大きくなると、逆に感光体との接触面積が減少する。そのため、最適な磁性導電粒子の大きさが存在した。
【0008】
磁性導電粒子の形状については、図12に示すように、表面が平滑な磁性導電粒子1213と表面に凹凸のある磁性導電粒子1214を混合したものを用い(特開平8−6355号公報参照)、また図13に示すように、2つの粒径分布を持つ磁性導電粒子(粒径の大きな磁性導電粒子1215と、粒径の小さな磁性導電粒子1216)を用いて(特開平8−691491号公報参照)、マグネットロール1211の規制力を維持し大きなニップ幅を確保しながら感光体と磁性導電粒子の接触面積を増加させる試みがなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
コロトロン、スコロトロンでは、コロナ放電は空気中に電界をかけることから、オゾンやNOxなどの有害物質を大量に発生することや、帯電効率が低いために消費電力が多く、また4〜6kVの高圧電源が必要であるためにコストが高く、かつ人体に対して危険性があるといった欠点があった。近年の環境に対する配慮から、このようなコロトロン、スコロトロンを改善することは急務であり、ローラ帯電方式へと移行されつつある。
【0010】
しかしながら、ローラ帯電方式でも、感光体と帯電ローラとの微小空隙に電圧を加えてコロナ放電を起すことから、原理的にオゾン発生をゼロにはできない。また、オゾンが感光体近傍で発生するためにオゾンによる感光体の劣化は依然として課題として残る。よって、オゾンを全く発生しない帯電方式が強く望まれ、最近では電荷注入方式が注目されている。
【0011】
ところが、香川、古川、新川らによるJapan Hardcopy ‘92,pp287〜290の報告によれば、電荷注入方式においては、80%RHの高温下では有機感光体(以後OPCと略す)は十分な帯電電圧が得られるが、30〜50%RHの温度下では印加電圧の半分までしか感光体が帯電されず、注入速度が遅いことが判る(図10参照)。これは、感光体と帯電ローラの接触面積(ニップ幅)が小さいことと、帯電ローラを構成する導電性ゴムが十分に低抵抗化していないためと予想される。
【0012】
つまり、低抵抗の導電性ゴムを得るには電荷移動錯体を多量にドーピングする必要があるが、そのドーピング量が多くなると、高分子自体のネットワークの柔軟性が減少し、導電性ゴムのゴム硬度が大きくなるのではないかと思われる。例えば、特開平6−75459号公報記載の接触型帯電器では、導電性ゴムの抵抗は106Ω・cmとなっており、適度なゴム硬度を維持しながら導電性ゴムを低抵抗化することは高分子材料の選択の点から容易ではないと予想される。
【0013】
また、図10に示すように全体に導電性を付与した高分子材料からなる導電性ゴムでは、帯電電位が湿度に敏感であるため、環境を厳密に制御する必要があり、構造が複雑になる。
【0014】
特開平7−140729号公報記載のもでは、吸水性のスポンジローラを用いて感光体に電荷を注入しているが、吸水性のスポンジローラを用いる場合、スポンジローラの含水率がローラ抵抗や電荷の注入速度に大きな影響を与えるので、スポンジローラからの水分蒸発によって帯電電位が変動する恐れがある。帯電電位の変動を抑えるためには、スポンジローラからの水分蒸発を長期に渡って厳密に制御する必要があり、接触帯電部材の構造が複雑になり、安価に製造することができない。
【0015】
特開平9−101649号公報記載の接触型帯電器では、帯電ブラシ1110の導電性繊維1112をエッチング繊維ないし分割繊維にしているが、分割された繊維の引っ張り強度は分割前の繊維と比較して分割された分だけ小さくなる。その結果、導電性繊維は、感光体と接触した場合に分割された繊維が切断されやすくなり、長期の使用では帯電電位のバラツキを起し、接触型帯電器の寿命を低下させる原因となってしまう。逆に長寿命の接触型帯電器を得ようとすると、導電性繊維の分割数を多くできないため、導電性繊維と感光体との接触面積の著しい増加は期待できず、電荷の注入速度の向上の著しい改善はできない。
【0016】
特開平8−6355号公報、特開平8−691491号公報記載のものでは、感光体との接触面積の増加に寄与する磁性導粒子は用いた磁性導電粒子1213〜1216のうち凹凸のある磁性導電粒子1214と粒径の小さな磁性導電粒子1216だけであるので、磁性導電粒子と感光体との接触面積の著しい増加は期待できず、高速の画像記録装置においては十分な帯電電位が得えられにくかった。
【0017】
本発明は、電荷注入によって被帯電体を帯電させる接触型帯電器の場合には、注入速度が速いため被帯電体に十分な帯電電圧を与えることができ、かつ湿度等の環境変動に対して耐性があり、さらに長期の使用では帯電電圧の変動を小さくでき、また被帯電体との微小空隙でのコロナ放電を利用する接触型帯電器の場合には、オゾンやNOxの発生を低減でき、かつ外部電源の低電圧化を実現できる接触型帯電器を提供することを目的とする。
【0018】
さらに、本発明は、オゾンやNOxを発生せず、かつ接触帯電器の外部電源を低電圧化することができ、良好な画像を得ることができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、被帯電体の表面と接触し、被帯電体に電圧を印加することによって被帯電体を所定の表面電位に帯電させる接触型帯電器において、被帯電体と接触する帯電部材の先端にカーボンナノチューブを接続したものである。
【0020】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の接触型帯電器において、前記カーボンナノチューブが主に
h =n a 1 +m a 2
n−m=3k
a 1 a 2 :二次元六角格子の基本並進ベクトル
n,m,k:整数
なる式のカイラルベクトル hで記述される単層カーボンナノチューブであるものである。
【0021】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の接触型帯電器において、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであるものである。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって帯電ブラシからなり、この帯電ブラシの導電性繊維の表面に前記カーボンナノチューブがあるものである。
【0023】
請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって帯電ローラからなるものである。
【0024】
請求項6に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって帯電ブレードからなるものである。
【0025】
請求項7に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって磁気ブラシからなり、この磁気ブラシの磁性導電粒子の表面に前記カーボンナノチューブがあるものである。
【0026】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の接触型帯電器を有するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例(以下実施例1という)を示す。この実施例1は接触型帯電器の形状として帯電ブラシを用いたものである。帯電ブラシ110は、金属芯111と導電性繊維112が接続され、さらに各々の導電性繊維112にはカーボンナノチューブ120が接続される構造を持つ。そして、帯電ブラシ110は、主にカーボンナノチューブ120で被帯電体としての感光体100の表面と接触している。ニップ部の一部では導電性繊維112が直接に感光体100の表面と接触していても何ら構わない。
【0028】
感光体100は、ドラム形状のAlからなる基体101と、この基体101の上に形成された有機感光層102からなる有機感光体(OPC)で構成されており、必要に応じて基体101と有機感光層102との間に電荷注入阻止層が設けられる。帯電ブラシ110の金属芯111は外部の直流電源103に接続されて直流電源103から電圧が印加され、主にカーボンナノチューブ120から有機感光層102に直接に電子を注入(つまり負帯電の電荷を注入)することで感光体100を帯電させる。なお、一部の電荷は有機感光層102と直接に接触する導電性繊維112から注入してもよく、またカーボンナノチューブ120から電子が電界放出によって引き出されて有機感光層102を帯電しても構わない。
【0029】
電荷注入では接触帯電器と有機感光層との接触部で直接に電荷の授受を行うため、実用的な注入速度を得るためには接触帯電器と有機感光層との接触面積を大きくしなければならない。しかしながら、一般的には帯電ブラシの導電性繊維の直径は10〜20μm程度であり、OPCが高速回転する高速な画像記録装置では接触帯電器と有機感光層との接触面積を十分に確保することができなかった。また、導電性繊維をエッチング繊維ないし分割繊維にした場合、接触帯電器と有機感光層との接触面積を数倍程度に拡大することは実現できるが、導電性繊維の引っ張り強度が小さいため長寿命化できないという問題があった。
【0030】
実施例1の帯電ブラシ110は、主にカーボンナノチューブ120で有機感光層102と接触する。カーボンナノチューブには単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブがあり、カーボンナノチューブ120は単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれか一方又は両方を用いることができる。単層カーボンナノチューブは、触媒によって大きさが異なり、直径が0.7〜50nm、軸方向の長さ(以後長さと略す)は10nm〜1mmであり、より合成しやすい大きさとしては直径が0.7〜5nm、長さが30nm〜100μmである。
【0031】
一方、多層カーボンナノチューブは、直径が1〜500nmで、長さが10nm〜1mmであり、より合成しやすい大きさとしては直径が2〜50nmで、長さが1μm以上であり、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブともアスペクト比が非常に大きい極細の繊維形状をしている。なお、本発明で用いるカーボンナノチューブは、上記大きさの範囲に限定されるものではなく、直径が1μm未満のカーボンナノチューブであれば本発明に含まれるものとする。また、カーボンナノチューブ120は、シームレス構造であるため、非常に高い弾性率と、チューブの軸方向に対しての大きな引っ張り強度を持つ。
【0032】
カーボンナノチューブ120は、極細の直径を持つため、軸方向で導電性繊維112に密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブ120は、大きな弾性を持つため、有機感光層102と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブ120の先端のみではなく、側面でも有機感光層102と接触することができる。
【0033】
ここで、カーボンナノチューブ120は半導体性や金属性の(つまりオーミック接触をしている)導電特性を持つため、カーボンナノチューブ120から電荷を直接に有機感光層102へ注入することが可能である。そのため、導電性繊維112にカーボンナノチューブ120を接続した帯電ブラシ110においては、導電性繊維112がエッチング繊維、分割繊維からなる従来の帯電ブラシと比較し、有機感光層102と帯電ブラシ110との間で電荷の授受を行える面積、つまり実質的な有機感光層102と帯電ブラシ110との接触面積(以後導電性の接点と記述する)を著しく大きくでき、その結果電荷の注入速度を向上させることができる。そのため、高速の画像記録装置においても、十分な帯電電圧が得られる。
【0034】
また、カーボンナノチューブ120は軸方向に対して大きな引っ張り強度を持つため、極細でも有機感光層102との接触において破断することが非常に少なく、長期的には帯電電圧のバラツキが非常に少なく、帯電ブラシ110の長寿命化を実現できる。上述のようにカーボンナノチューブ120は、半導体性あるいは金属性の電気伝導を示すが、帯電ブラシ110に用いる場合には帯電ブラシ110と有機感光層102との接触抵抗を小さくすることから金族性の電気伝導がより好ましい。
【0035】
図2は単層カーボンナノチューブを切り開いて広げた六員環の模式図を示す。六員環の二次元六角格子の基本並進ベクトルをa 1 a 2 とすると、単層カーボンナノチューブのカイラルベクトル hは以下のように記述される。なお、図2に示す単層カーボンナノチューブの hは(n,m)=(3,0)を示している。
【0036】
h =n a 1 +m a 2
a 1 a 2 :二次元六角格子の基本並進ベクトル
n,m:整数
単層カーボンナノチューブで金属性の導電性を示す条件として既に以下のことが判っている。
【0037】
n−m=3k
k:整数
よって、単層カーボンナノチューブを帯電ブラシ110に用いる場合、以下の(1),(2)式を満たすと、帯電ブラシ110と有機感光層102との接触抵抗を低減でき、より好ましい。
【0038】
h =n a 1 +m a 2 (1)
n−m=3k (2)
a 1 a 2 :二次元六角格子の基本並進ベクトル
n,m,k:整数
なお、図2中に(1),(2)式を満たす hを○で示した。
【0039】
一方、多層カーボンナノチューブの場合、各層のグラフェン間での相互作用が小さいため各層の導電性が混合されたものとなり、概ね金属性の導電性を示すが、帯電ブラシにより適した構造は一意には定められない。しかしながら、単層カーボンナノチューブは1枚のグラフェンのみが電気伝導に寄与するが、多層カーボンナノチューブは各層のグラフェンが電気伝導に寄与するため、帯電ブラシ110に多層カーボンナノチューブ120を用いると、より多くの電荷を有機感光層102に注入できる利点がある。
【0040】
次に、カーボンナノチューブの作製法を述べる。
単層カーボンナノチューブは、陽極としてグラファイトにFe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,La,Y等の金属媒体を混合したコンポジット棒を用い、陰極としてグラファイトを用い、100〜700TorrのHeないしH2の雰囲気でのアーク放電により合成する。単層カーボンナノチューブは金属触媒の種類によってチャンバー内壁の煤(チャンバー煤)か、陰極表面の煤(陰極煤)の中に存在する。
【0041】
また、上記コンポジット棒を電気炉中で1000〜1400℃に加熱し、500TorrのAr雰囲気で、Nd:YAGパルスレーザから光を照射して単層カーボンナノチューブを合成してもよい。合成した単層カーボンナノチューブは、種々の不純物を含むため、水熱法、遠心分離法、限外ろ過法等によって80%以上の純度に精製するのが良い。
【0042】
一方、多層カーボンナノチューブは、陰極、陽極ともグラファイト棒を用い、100〜700TorrのHe雰囲気でのアーク放電を用いて合成する。多層カーボンナノチューブは陰極上の円柱状堆積物の中心に存在する。また、ベンゼン、エチレン、アセチレン等の炭化水素をH2ガス流下で1000〜1500℃で熱分解することによっても多層カーボンナノチューブが得られる。
【0043】
多層カーボンナノチューブも、合成後は種々の不純物が含まれるため、有機溶媒や界面活性剤が添加された水溶液に分散した後、遠心分離法や限外ろ過法によって高純度に精製するのが良い。
尚、カーボンナノチューブは一般的に炭素原子のみで構成されているが、構成原子の一部が他の原子、例えばB,N,Si等で置換されていても、金属性、半導体性の導電性を持つ限り本発明に含まれるものとする。また、カーボンナノチューブの中空チューブ内に他の原子、例えば金属原子やIII族、V族のドーパント等が封入されていても何ら構わないものとする。
【0044】
なお、カーボンナノチューブの先端は閉管、開管のどちらでもよい。
【0045】
次に、カーボンナノチューブが接続された帯電ブラシ110の作製法の一例を述べる。図3は帯電ブラシ110の作製法の一例を示す。なお、図3は帯電ブラシの断面の一部を示し、帯電ブラシ110は円柱構造をしており、導電性繊維112は金属芯111の側面全てに接続されているものとする。
(a)SUS,Al,Fe,Cu等の金属や合金からなる金属芯111に導電性繊維112を電気植毛によって植え付ける(図3(a)参照)。導電性繊維112としては直径が5〜20μmの導電性レーヨン、導電性ナイロン、導電性ポリエステル等が使用でき、植毛の密度としては一般的な帯電ブラシと同様に50〜300本/mm2程度にするのが良い。
【0046】
繊維に導電性を与える方法としては、カーボンブラックや金属微粒子を高分子の中に分散させる方法もあるが、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し高分子繊維全体に導電性を付与してもよい。
【0047】
導電性繊維112は元々5〜20μmの径で使用するため、従来の導電性ゴムと異なり適度な弾性を維持する必要がない。そのため、種々の高分子材料が使用でき、容易に低抵抗の導電性繊維が得られる。
また、導電性繊維112をパイル地にして、テープ状に切断した後、金属芯111に巻き付けても良い。
(b)その後、導電性繊維112の先端にのみ導電性接着剤130を厚さ2〜10μmで塗布し(図3(b)参照)、
(c)静電力を利用して、カーボンナノチューブ120を導電性繊維112に吸い上げて接触させ(図3(c)参照)、
(d)その後、導電性接着剤130を熱硬化させ、カーボンナノチューブ120を固定し、帯電ブラシ110を完成させる(図3(d)参照)。
【0048】
また、導電性接着剤130の代りに導電性繊維112自体を加熱し、カーボ
ナノチューブ120を導電性繊維112に融着させて固定してもよい。また、1本の長い導電性繊維112にカーボンナノチューブ120を導電性接着剤で接着した後、導電性繊維112を1〜2mmに切断し、この導電性繊維112を電気植毛によって金属芯111に植え付けて帯電ブラシ110としても良い。更に、カーボンナノチューブ120が接着された長い導電性繊維112をパイル地にして、テープ状に切断した後、この導電性繊維112を金属芯111に巻き付けて帯電ブラシ110としても良い。
【0049】
図4は帯電ブラシ110の別の作製法を示す。なお、図4は帯電ブラシ110の断面の一部を示している。帯電ブラシ110は円柱構造をしており、導電性繊維112は金属芯111の側面全てに接続されているものとする。
(a)SUS,Al,Fe,Cu等の金属や合金からなる金属芯111に導電性繊維112を電気植毛によって植え付ける(図4(a)参照)。また、導電性繊維112をパイル地にして、テープ状に切断した後、金属芯111に巻き付けても良い。
(b)その後、導電性繊維112の先端にのみポリメチルフェニルシラン140を厚さ0.1〜3μmで塗布し(図4(b)参照)、
(c)その後、超高圧水銀灯により波長400nm程度の光を照射し、ポリメチルフェニルシラン140のSi−Si結合を切断する(図4(c)参照)。
(d)その後、図4(d)に示すように、イソプロピルアルコール中にカーボンナノチューブを分散させた溶液(IPA溶液と略す)141に導電性繊維112を浸漬し、Al電極を対向電極142として金属芯111に外部電源143を接続して外部電源143から金属芯111に負電圧を印加して、電気泳動によりカーボンナノチューブ120を導電性繊維112に接触させる。
【0050】
カーボンナノチューブ120は、印加された電界と平行な方向に移動し、導電性繊維112に接触してSi−Si結合の切れたポリメチルフェニルシラン140に突き刺さり固定化される(今後電気泳動法と略す)。なお、金属芯111の側面にある全ての導電性繊維112にカーボンナノチューブ120を固定化するためには、IPA溶液141中で金属芯111の長さ方向を円周方向に回転させればよい。
(e)その後、導電性繊維112をIPA溶液141から引き上げ、イソプロピルアルコールを蒸発させ、帯電ブラシ110を完成する。
また、図3で述べたように、1本の長い導電性繊維112にカーボンナノチューブ120を電気泳動法によって固定化してから、導電性繊維112を1〜2mmに切断し、その後導電性繊維112を電気植毛によって金属芯111に植え付けて帯電ブラシとしても良い。更に、カーボンナノチューブ120が電気泳動法により固定化された長い導電性繊維112をパイル地にして、テープ状に切断した後、この導電性繊維112を金属芯111に巻き付けて帯電ブラシ110としても良い。
【0051】
次に、被帯電体としてのOPC100について述べる。
ドラム形状のAl基体101上に酸化チタン微粒子をバインダー樹脂に分散させたホール注入阻止層をディップコーティング法により厚さ1〜5μmで形成し、その後電荷発生層(以後CGLと略す)と電荷輸送層(以後CTLと略す)からなる積層の有機感光層102を形成した。CGLは、電荷発生材料(以後CGMと略す)をプチラール樹脂、熱硬化型の変性アクリル樹脂、フェノール樹脂などのバインダー樹脂に分散させたものからなり、ディッピングコーティング法により厚さ0.1〜1μmで形成した。
【0052】
CGMとしては波長740〜780nm付近に感度を持つスクエアリリウム色素、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、アズレニウム塩色素、及びアゾ顔料等や、635〜650nm付近に感度のあるチアピリリウム塩や多環キノン系、ペリレン系又はアゾ顔料等が使用できる。
【0053】
CTLは、ホールのキャリア輸送材料(以下CTMと略す)をビスフェノール系ポリカーボネイト樹脂等のバインダー樹脂に分散させたものからなり、膜厚が10〜40μm程度でディッピングコーディング法によって形成した。CTMとしてはオキサジアゾール誘導体、ピラリゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、ブタジエン誘導体などが用いられる。
【0054】
なお、本例では、光によって発生するキャリアのうちホールを用いるOPCであるが、電子を発生するCGM、電子を輸送するCTMも若干ではあるが開発されており、光生成キャリアのうち電子を用いるOPCであっても何ら構わない。その場合は直流電源103の正負が逆となり正帯電を行うものとして使用されるが、帯電ブラシとしては上記のものがそのまま使用できる。
【0055】
また、本例は機能分離型のOPCを例に取り説明を行ったが、本発明は機能分離型に限定されるわけではなく、単層型のOPCであっても何ら構わない。
また、本例は感光体がドラム形状のOPCであるが、Al基体111の代りに表面に導電層を形成したベルトを採用し、ベルト状のOPCとしても良い。また、感光体はシート状のOPCでも良い。更に、本発明はOPCに用いられる接触型帯電器に限定されるわけではなく、Se系,a−Si,ZnO等の無機感光体であっても同じ接触型帯電器が使用できるので、感光体の種類が本発明の接触型帯電器を限定するものではない。
【0056】
なお、本例は回転可能なロール状の帯電ブラシであるが、固定ブラシであっても同様に本発明の効果が得られ、帯電ブラシの形状は何ら問わないものとする。更に、上記帯電ブラシ110は直流電源103に接続されているが、電源は直流に限定されるものではなく、直流と交流が重畳されていても構わないものとする。
【0057】
実際に図3の作製法に従って帯電ブラシ110を作製した。その構成を以下に示す。
帯電ブラシ110 ニップ幅:3.5mm、OPC100への押し込み:0.7mm、周速:駆動手段によりOPC100の周速の4.4倍で逆方向に回転
金属芯111 直径:10mm、材質:SUS
導電性繊維112 直径:10μm、長さ:2mm、密度:120本/mm 2 、材質:TCNQとTTFをドープしたナイロン繊維
カーボンナノチューブ120 直径:10〜25nm、長さ:20〜100μm、、材質:多層カーボンナノチューブ、合成法:アーク放電、精製:遠心分離法と限外ろ過法の併用
導電性接着剤130 材質:熱硬化型エポキシ系導電性接着剤
上記の帯電ブラシ110を−500Vの直流電源103に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPC100に接触させて帯電を行った。
【0058】
なお、OPC100の周速は300mm/sであるので、帯電ブラシ110とOPC100との接触時間は0.051sとなる。OPC100は帯電ブラシ110と接触する間に−440Vまで帯電され、導電性繊維112にカーボンナノチューブ120を接続した帯電ブラシ110が十分な帯電能力を持つことが確認された。また、OPC100の長手方向での帯電電圧のバラツキは5%以内であり、十分な均一性が得られた。
【0059】
図5は本発明の別の接触型帯電器の例(以下実施例2という)を示す。この実施例2は接触型帯電器の形状として帯電ローラを用いたものである。
実施例2の帯電ローラ510は、金属芯511が導電性ゴム512で被覆されており、さらに導電性ゴム512にはカーボンナノチューブ520が植え付けられている構造を持つ。そして、帯電ローラ510は主にカーボンナノチューブ520でOPC500の表面と接触している。なお、ニップ部の一部の導電性ゴム512はOPC500の表面と直接に接触しても良いものとする。
【0060】
OPC500は、ドラム形状のAlからなる基体501と、この基体501の上に形成された有機感光層502からなる有機感光体(OPC)で構成されており、必要に応じて基体501と有機感光層502との間に電荷注入阻止層が設けられる。帯電ローラ510の金属芯511は外部の直流電源503に接続されて直流電源503から電圧が印加され、主にカーボンナノチューブ520から有機感光層502に直接に電子を注入(つまり負帯電の電荷を注入)することでOPC500を帯電させる。なお、一部の電荷は有機感光層502と直接に接触する導電性ゴム512から注入してもよく、またカーボンナノチューブ520から電子が電界放出によって引き出されて有機感光層502を帯電しても構わない。
【0061】
この実施例2の帯電ローラ510は有機感光層502と帯電ローラ510との導電性の接点がカーボンナノチューブ520で構成される。カーボンナノチューブは、ダングリングボンドを持たないため化学的に安定であり、かつシームレス構造であるため機械的強度が非常に強い。そのため、導電性の接点の安定性が非常に良く、カーボンナノチューブを用いた帯電ローラは従来の全体に導電性が付与された導電性ゴムや吸水性のスポンジローラと比較し、環境による変動がなく、長期に渡って安定した帯電能力を維持できる。
【0062】
また、カーボンナノチューブ520は、極細の直径を持つため、導電性ゴム512に密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブ520は、大きな弾性を持つため、有機感光層502と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブ520の先端のみではなく側面でも有機感光層502と接触することができる。そのため、導電性ゴム512にカーボンナノチューブ520を接続した帯電ローラ510においては、カーボンナノチューブを帯電ブラシに用いた場合程著しくないが、有機感光層502との導電性の接点を大きくでき、電荷の注入速度を向上できる。
【0063】
次に、この実施例2の帯電ローラ510の作製法の一例を述べる。
(a)SUS,Al,Fe,Cuからなる金属芯511を導電性ゴム512でモールド工法により被覆する。導電性ゴム512の厚さとしては1〜30mmが良い。ゴムに導電性を与える方法としては、カーボンブラックや金属粒子を高分子中に分散させる方法もあるが、電子受容性化合物と電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し高分子全体に導電性を付与しても良い。なお、ゴムとしては、EPDM、ポリウレタン、NBR、シリコーンゴム等が使用できる。
(b)その後、導電性ゴム512の表面に導電性接着剤をロールコーターやスプレーによって厚さ1〜2μmで塗布し、
(c)その後、静電力を利用して、カーボンナノチューブ520を導電性ゴム512に吸い上げて接触させ、
(d)その後、導電性接着剤を熱硬化させ、カーボンナノチューブ520を固定し、帯電ローラ510を完成させる。
【0064】
また、実施例1と同様に電気泳動法によってカーボンナノチューブ520を導電性ゴム512に固定し、帯電ローラ510としても良い。また、実施例2の帯電ローラ510は直流電源503に接続されているが、電源は直流に限定さるものではなく、直流と交流が重畳されていても構わないものとする。
実際に上記作製方法によって帯電ローラ510を作製した。その構成を以下に示す。
【0065】
帯電ローラ510 ニップ幅:2.0mm、周速:OPC100に従動して回転
金属芯511 直径:10mm、材質:SUS
導電性ゴム512 厚さ:5mm、材質:カーボンブラックを分散したシリコーンゴム
カーボンナノチューブ520 直径:0.7〜2nm、長さ:最大20μm材質:単層カーボンナノチューブ、合成法:Fe−Ni触媒を用いたアーク放電、精製:限外ろ過法
導電性接着剤 材質:熱硬化型エポキシ系導電性接着剤
上記の帯電ローラ510を−500Vの直流電源503に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPC500に接触させて帯電を行った。
【0066】
なお、OPC500の周速は150mm/sであるので、帯電ローラ510とOPC500との接触時間は0.013sとなる。OPC500は帯電ローラ510と接触する間に−370Vまで帯電され、導電性ゴム512にカーボンナノチューブ520を接続した帯電ローラ510が十分な帯電能力を持つことが確認された。また、湿度30〜80%RHで同様の帯電試験を行ったが、OPC500の帯電電圧のバラツキは10%以内であり、環境変動に対し十分な耐性を持つことが判った。
【0067】
図6は本発明の別の接触型帯電器の例(以下実施例3という)を示す。この実施例3は接触型帯電器の形状として帯電ブレードを用いたものである。
実施例3の帯電ブレード610は金属板611の一面に導電性ゴム612が貼り付けられ、さらに導電性ゴム612にはカーボンナノチューブ620が植え付けられている構造を持つ。そして、帯電ブレード610は主にカーボンナノチューブ620でOPC600の表面と接触している。なお、ニップ部の一部の導電性ゴム612はOPC600の表面と直接に接触しても良いものとする。
【0068】
OPC600は、ドラム形状のAlからなる基体601と、この基体601の上に形成された有機感光層602からなる有機感光体(OPC)で構成されており、必要に応じて基体601と有機感光層602との間に電荷注入阻止層が設けられる。帯電ブレード610の金属板611は外部の直流電源603に接続されて直流電源603から電圧が印加され、主にカーボンナノチューブ620から有機感光層602に直接に電子を注入(つまり負帯電の電荷を注入)することでOPC600を帯電させる。なお、一部の電荷は有機感光層602と直接に接触する導電性ゴム612から注入してもよく、またカーボンナノチューブ620から電子が電界放出によって引き出されて有機感光層602を帯電しても構わない。
【0069】
カーボンナノチューブ620は固体潤滑材としての機能を持つ。この実施例3の帯電ブレード610は有機感光層602と主にカーボンナノチューブ620で接触するため、従来のカーボンナノチューブのない帯電ブレードと比較し、帯電ブレード610とOPC600との摩擦係数を低減でき、長期の使用においては「OPC600を削る」、「OPC600を摩耗させる」等の機械的ダメージを与えにくく、OPC600の寿命を向上させることができる。
【0070】
また、カーボンナノチューブ620は、大きな弾性を持つため、有機感光層602と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブ620の先端のみならず側面でも有機感光層602と接触することができる。そのため、導電性ゴム612にカーボンナノチューブ620を接続した帯電ブレード610においては、帯電ブラシに用いた場合程著しくはないが、有機感光層602との導電性の接点を大きくでき、電荷の注入速度を向上できる。
【0071】
次に、この実施例3の帯電ブレード610の作製法の一例を述べる。
(a)SUS,Al,Fe,Cuからなる金属板611の一面に導電性ゴム612を貼り付ける。導電性ゴム612の厚さとしては1〜30mmが良い。ゴムに導電性を与える方法としては、カーボンブラックや金属粒子を高分子中に分散させる方法もあるが、電子受容性化合物と電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し高分子全体に導電性を付与しても良い。なお、ゴムとしては、EPDM、ポリウレタン、NBR、シリコーンゴム等が使用できる。
(b)その後、導電性ゴム612の表面に導電性接着剤をロールコーターやスプレーによって厚さ1〜2μmで塗布し、
(c)その後、静電力を利用して、カーボンナノチューブ620を導電性ゴム612に吸い上げて接触させ、
(d)その後、導電性接着剤を熱硬化させ、カーボンナノチューブ620を固定し、帯電ブレード610を完成させる。
【0072】
また、実施例1と同様に電気泳動法によってカーボンナノチューブ620を導電性ゴム612に固定し、帯電ブレード610としても良い。
帯電ブレード610は図7に示す作製方法によっても作ることができる。すなわち、
(a)n+Si基板650を50%HF水溶液に浸漬し、この基板650の裏面に光を照射しながら電界エッチングを行い、基板650の表面にポーラスSi層651を形成する(図7(a)参照)。
(b)その後、HF水溶液から基板650を取り出し、水洗/乾燥を行った後、ポーラスSi層651上に電子線を用いた真空蒸着法によってFe層652を5nmの厚さで成膜する(図7(b)参照)。
(c)その後、300℃でアニールを行い、Fe層652の表面を酸化する(図7(c)参照)。
(d)そして、図7(d)に示すように基板651を化学的気相成長(以後CVDと略す)装置653に置き、ArとC22を流しながら700℃でC22を熱分解し、Fe層652上に多層カーボンナノチューブ620を合成する。このとき、多層カーボンナノチューブ620はFe層652上に垂直に形成される。
(e)図7(e)に示すようにCVD装置653から基板651を取り出す。 一方、SUS,Al,Fe,Cu等の金属、合金からなる金属板611の一面に導電性ゴム612を貼り付け、その後導電性ゴム612の表面にスピンコーターによって熱硬化型導電性接着剤654を1〜3μmの厚さで塗布する。ゴムに導電性を与える方法としては、カーボンブラックや金属粒子を高分子中に分散させる方法もあるが、電子受容性化合物と電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し高分子全体に導電性を付与しても良い。なお、ゴムとしては、EPDM、ポリウレタン、NBR、シリコーンゴム等が使用できる。その後、導電性接着剤654の塗布された導電性ゴム612を多層カーボンナノチューブ620に押し当て
(f)加熱により導電性接着剤654を硬化させ、多層カーボンナノチューブ620を導電性ゴム612に固定し、Fe層652から多層カーボンナノチューブ620を引き剥がし、帯電ブレード610を完成させる。
【0073】
なお、多層カーボンナノチューブ620はFe層652と強固の接着はしていないため、金属板611と基板650を両側に引き剥がすように引っ張ると多層カーボンナノチューブ620は帯電ブレード610側に残る。
この作製方法によると、カーボンナノチューブが任意の方向に並んで合成できるので、精製する必要がなく、簡便に帯電ブレード610が得られる。
【0074】
実際に図7の作製法に従って帯電ブレード610を作製した。その構成を以下に示す。
帯電ブレード610 ニップ幅:4.0mm
金属板611 幅:4mm、材質:SUS
導電性ゴム612 厚さ:3mm、材質:TCNQとTTFをドープしたポリウレタンナイロン
カーボンナノチューブ620 直径:14〜18nm、長さ:最大250μm、材質:多層カーボンナノチューブ、合成法:ArとC2H2を用いた熱CVD法、精製:なし
導電性接着剤 材質:熱硬化型エポキシ系導電性接着剤
上記の帯電ブレード610を−500Vの直流電源603に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPC600に接触させて帯電を行った。
【0075】
尚、図6の帯電ブレード610は直流電源603に接続されているが、電源は直流に限定されるものではなくも直流と交流が重畳されていても構わない。
【0076】
なお、OPC600の周速は200mm/sであるので、帯電ブレード610とOPC600との接触時間は0.02sとなる。OPC600は帯電ブレード610と接触する間に−390Vまで帯電され、導電性ゴム612にカーボンナノチューブ620を接続した帯電ブレード610が十分な帯電能力を持つことが確認された。また、OPC600と帯電ブレード610の摩擦係数を測定したところ、カーボンナノチューブのない従来の帯電ブレードと比較し、実施例3の帯電ブレード610は押圧の条件により摩擦係数が1/2〜1/10に低減していることが確認された。
【0077】
図8は本発明の別の接触型帯電器の例(以下実施例4という)を示す。この実施例4は接触型帯電器の形状として磁気ブラシを用いたものである。実施例4の磁気ブラシ810は、磁界発生手段としてのS極とN極からなる非回転のマグネットロール811と、このマグネットロール811を囲んで回転する非磁性の導電スリーブ812と、帯電部材である磁性導電粒子813から構成され、磁性導電粒子813にカーボンナノチューブ820が植え付けられた構造となっている。そして、磁気ブラシ810は主にカーボンナノチューブ820でOPC800の表面と接触している。なお、一部の磁性導電粒子813はOPC800の表面と直接に接触しても良いものとする。
【0078】
次に、OPC800について述べる。
OPC800は、ドラム形状のAlからなる基体801と、この基体801の上に形成された有機感光層802からなる有機感光体(OPC)で構成されており、必要に応じて基体801と有機感光層802との間に電荷注入阻止層が設けられる。磁気ブラシ810の導電スリーブ812は外部の直流電源803に接続されて直流電源803から電圧が印加され、主にカーボンナノチューブ820から有機感光層802に直接に電子を注入(つまり負帯電の電荷を注入)することでOPC800を帯電させる。なお、一部の電荷は有機感光層802と直接に接触する磁性導電粒子813から注入してもよく、またカーボンナノチューブ820から電子が電界放出によって引き出されて有機感光層802を帯電しても構わない。
【0079】
実施例4の磁気ブラシ810は有機感光層802と磁気ブラシ810との導電性の接点がカーボンナノチューブ820で構成される。カーボンナノチューブ820は、極細の直径を持つため、磁性導電粒子813に密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブ820は、大きな弾性を持つため、有機感光層802と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブ820の先端のみではなく側面でも有機感光層802と接触することができる。そのため、磁性導電粒子813にカーボンナノチューブ820を接続した磁気ブラシ810においては、従来の磁性導電粒子と比較し有機感光層802との導電性の接点を著しく大きくでき、電荷の注入速度を大幅に向上できる。
【0080】
また、磁性導電粒子813の直径は、導電性の接点の大きさにほとんど影響を与えないため、マグネットロール811の磁力のみを考慮して決めることができる。その結果、導電性の接点を大きくしたままでニップ幅を大きくでき、更に電荷の注入速度を向上できる。
【0081】
次に、この実施例4の磁気ブラシ810の作製法の一例を述べる。
(a)Fe,Co,Ni等の金属や合金からなる磁性導電粒子813の表面に導電性接着剤をスプレーによって厚さ1〜2μmで塗布し、
(b)その後、静電力を利用して、カーボンナノチューブ820を磁性導電粒子813に吸い上げて接触させ、
(c)その後、導電性接着剤を熱硬化させ、カーボンナノチューブ820を磁性導電粒子813に固定し、
(d)マグネットロール811を囲む非磁性のSUSからなる導電スリーブ812に(c)で完成した磁性導電粒子813を接触させ、磁気ブラシ810を完成させる。
【0082】
なお、磁性導電粒子813の大きさは一般的な磁気ブラシと同様に5〜100μmとするのが良い。また、電気泳動法によって磁性導電粒子813にカーボンナノチューブ820を固定しても良い。
更に、図9に示す作製方法でカーボンナノチューブ820を磁性導電粒子813に固定しても良い。
(a)Fe,Co,Ni等の金属や合金からなる磁性導電粒子813の表面にスパッタ法によりNi層860を成膜する(図9(a)参照)。
(b)その後、図9(b)に示すようにプラズマエンハンストホットフィラメントCVD(以後PE−HF−CVDと略す)装置861に磁性導電粒子813を置き、NH3を流しながらプラズマエッチングによりNi層860の膜厚を40nm以下にする。
(c)その後、図9(c)に示すようにC2H2とN2を流し700℃以下でプラズマを生成してカーボンナノチューブ820を合成する。なお、カーボンナノチューブ820は磁性導電粒子813から垂直に成長する。
(d)そして、図9(d)に示すようにPE−HF−CVD装置861からカーボンナノチューブ820が、接続された磁性導電粒子813を取り出す。
【0083】
この作製方法によると、カーボンナノチューブ820は磁性導電粒子813に直接に結合した状態で合成できるので、カーボンナノチューブ820を精製する工程や磁性導電粒子813とカーボンナノチューブ820を接触させる工程を省くことができ、簡便に磁気ブラシ810が得られる。なお、図8の磁気ブラシ810は直流電源803に接続されているが、電源は直流に限定されるものではなく、直流に交流が重畳されていても構わない。
【0084】
実際に図9の作製方法によって磁気ブラシ810を作製した。その構成を以下に示す。
【0085】
磁気ブラシ810 ニップ幅:5.0mm、周速:OPC800の周速の2倍でOPC800とは逆方向に回転
マグネットロール811 磁束密度:800×10-4T(導電スリーブ812上で)
導電スリーブ812 直径:20mm、材質:SUS
磁性導電粒子813 直径:10〜20μm、材質:Fe−Co合金
カーボンナノチューブ820 直径:約100nm、長さ:約20μm、、材質:多層カーボンナノチューブ、合成法:C22とN2を用いたPE−HF−CVD法、精製:なし
上記の磁気ブラシ810を−500Vの直流電源803に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPC800に接触させて帯電を行った。
【0086】
なお、OPC800の周速は300mm/sであるので、磁気ブラシ810とOPC800との接触時間は0.033sとなる。OPC800は磁気ブラシ810と接触する間に−470Vまで帯電され、磁性導電粒子813にカーボンナノチューブ820を接続した磁気ブラシ810は十分な帯電能力を持つことが確認された。また、OPC800の長手方向での帯電電圧のバラツキは5%以内であり、十分な均一性が得られた。
【0087】
次に、本発明の別の画像記録装置の実施例(以下実施例5という)について説明する。この実施例5は上記実施例1〜4で作製した各々の接触型帯電器110、510、610、810と−500Vの直流電源103、503、603、803を電子写真方式の複写機からなる画像記録装置に帯電システムとして搭載し、テストチャートの複写を行った。なお、現像装置は低電位現像(白黒の2値現像)を行う現像装置を用い、階調はドット数で表示した。
【0088】
ここに、実施例5の複写機においては、ドラム型OPCが駆動手段により回転されて上記実施例1〜4の接触型帯電器によりOPCが均一に帯電された後に露光装置によりOPCが露光されることで静電潜像が形成され、このOPC上の静電潜像が現像装置で現像されてトナー像となる。このOPC上のトナー像が給紙装置から給送された転写紙等の転写材へ転写手段により転写され、この転写材上のトナー像が定着装置で定着されて転写材が外部へ排出される。
【0089】
リファレンスは、5kVの電源とコロトロンとを帯電システムとして搭載した複写機を用いた。このリファレンスは、帯電電圧が800Vであったため低電位現像を行わず、階調はアナログで表示した。
実施例5の複写機で複写を行った結果、全て良好な画像が得られた。特に実施例1の帯電ブラシ110、実施例4の磁気ブラシ810を用いた場合にはリファレンスの複写機で得られた画像より多くの階調表示が可能で、解像度も向上していた。
【0090】
なお、実施例2の帯電ローラ510、実施例3の帯電ブレード610を搭載した場合に得られた画像は、実施例1の帯電ブラシ110、実施例4の磁気ブラシ810を用いた場合に得られた画像と比較して若干劣化していたのは、低電位現像に起因するものであり、今後現像が更に低電位化された際には同等の画像が得られると推定される。
【0091】
また、実施例1〜4の接触型帯電器を搭載した実施例5の複写機では感光体の帯電プロセス中にはオゾンやNOxがほとんど検出されなかった。
よって、本発明の接触型帯電器を搭載した複写機の実施例では、オゾンやNOxを発生しないで、かつ帯電システムの外部電源を低電圧化しつつ良好な画像記録を行えることが確認された。また、実施例1〜4の接触型帯電器を搭載した実施例5の複写機全てについて寿命試験を行ったところ、長期に渡って良好な画像が得られ、実施例1〜4の接触型帯電器の長期信頼性が優れていることが判った。また、これにより実施例1〜4の接触型帯電器の交換頻度を少なくできた。
【0092】
更に、実施例1〜4の接触型帯電器を搭載した実施例5の複写機全てにおいて、接触型帯電器がOPCを削ることはほとんど観察されず、従来の帯電ローラや帯電ブレードを搭載した複写機と比較し、OPCの寿命を格段に延ばすことができた。
以上の結果から考えると、今後カーボンナノチューブの製造コストを低減できれば複写機のトータルコストを低減できる可能性がある。なお、プリンタ、ファクシミリ等の画像記録装置においても、本発明を適用して同様の効果が得られることが期待できる。
【0093】
次に、本発明の別の実施例(以下実施例6という)について説明する。実施例6の接触型帯電器は、実施例2の接触型帯電器において、カーボンナノチューブ520とOPC500との間の微小空隙に放電開始電圧Vth以上の電圧を印加するようにしたものである。
【0094】
実施例1〜5において帯電は主に電荷注入によって行われていた。一般に大きな帯電電圧(600V〜1kV程度)が必要とされる場合、OPCの帯電は主にOPCと接触型帯電器との微小空隙でのコロナ放電によって行われる。本発明の接触型帯電器においても、カーボンナノチューブとOPCとの間の微小空隙に放電開始電圧Vth以上の電圧が印加されると、OPCと接触型帯電器との微小空隙でのコロナ放電が発生しOPCが帯電される。特に、カーボンナノチューブは極細の針状をしているため、カーボンナノチューブの先端での不平等電界が強くなり、Vthを下げることができる。
【0095】
実際に実施例6のカーボンナノチューブ520がOPC500に接触した帯電ローラ510でVthを測定したところ、そのVthがカーボンナノチューブのない帯電ローラのVthよりも低下していることが確認された。よって、カーボンナノチューブ先端でのコロナ放電を用いてOPCを帯電する場合、従来のローラ帯電方式(帯電ローラを用いてコロナ放電を利用する帯電方式)と比較し印加する電圧を小さくできた。
【0096】
また、微小空隙でのコロナ放電によってOPCを帯電させる場合に発生するオゾンやNOxを測定したところ、カーボンナノチューブが接続された帯電ローラはカーボンナノチューブのない従来の帯電ローラよりもオゾンやNOxの発生が少なかった。
これは、カーボンナノチューブの先端のみでコロナ放電が起きるため、カーボンナノチューブの接続された帯電ローラでは放電空間が小さくかつ印加電圧が小さいため、オゾンやNOxの発生が抑えられたためと考えられる。
【0097】
よって、帯電部材の先端にカーボンナノチューブを接続した帯電ローラは、コロナ放電によってOPCを帯電させる場合も、オゾンやNOxの低減や外部電源の低電圧化といった利点がある。
なお、実施例6は帯電ローラからなるが、上記実施例1、3、4の帯電ブラシ、帯電ブレード、磁気ブラシにおいてもカーボンナノチューブとOPCとの間の微小空隙に放電開始電圧Vth以上の電圧を印加するようにすれば同様な効果がある。
【0098】
以上のように、本発明は、電荷注入や電界放出、微小空間でのコロナ放電といった帯電方式に制限されるものではなく、本発明の構造が含まれる全ての接触型帯電器に適用することができる。また、上記実施例では帯電ブラシ、帯電ローラ、帯電ブレード、磁気ブラシの実施例であるが、本発明は上記実施例の形状に限定されるものではなく、本発明には帯電部材の先端にカーボンナノチューブが接続された全ての接触型帯電器が含まれる。
【0099】
【発明の効果】
以上のように請求項1に係る発明によれば、被帯電体とカーボンナノチューブで接触する。電荷注入によって被帯電体を帯電させる場合、カーボンナノチューブは極細の直径を持つため、被帯電体との接触面に密集して配置することが可能であり、かつカーボンナノチューブは大きな弾性を持つため被帯電体と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブの先端のみではなく側面でも被帯電体と接触することができ、実質的に接触型帯電器と被帯電体との接触面積を大きくでき、電荷の注入速度を向上できる。その結果、被帯電体に十分な帯電電圧を与えることができる。
【0100】
また、被帯電体と接触型帯電器との微小空隙でのコロナ放電で被帯電体を帯電させる場合には、カーボンナノチューブが極細の針状をしているため、カーボンナノチューブ先端での不平等電界が強くなり、放電開始電圧を下げることができる。そのため、従来のローラ帯電方式と比較し印加する電圧を小さくでき、かつコロナ放電空間を小さくできる。その結果、放電空間で発生するオゾンやNOxを低減できる。
【0101】
また、カーボンナノチューブは軸方向に対して大きな引っ張り強度を持つため、極細でも被帯電体との接触において破断することが非常に少なく、長期的には帯電電圧のバラツキが非常に少なく、接触型帯電器の長寿命化を実現できる。
【0102】
請求項2に係る発明によれば、カーボンナノチューブが主に
h =n a 1 +m a 2
n−m=3k
a 1 a 2 :二次元六角格子の基本並進ベクトル
n,m,k:整数
なる式のカイラルベクトル hで記述される単層カーボンナノチューブであるため、単層カーボンナノチューブは金属性の電導性を持ち、接触型帯電器と被帯電体との接触抵抗を小さくすることができる。その結果、より効率的な電荷注入が可能になる。
【0103】
請求項3に係る発明によれば、カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであるため、概ね金属性の電導性を持ち、かつ多層カーボンナノチューブを構成する各層のグラフェンが電気伝導に寄与するため、より多くの電荷を被帯電体に注入できる。
【0104】
請求項4に係る発明によれば、導電性繊維の表面にカーボンナノチューブがある帯電ブラシであり、カーボンナノチューブは極細の直径を持つため軸方向で導電性繊維に密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブは大きな弾性を持つため、被帯電体と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブの先端のみではなく側面でも被帯電体と接触することができる。そのため、導電性繊維がエッチング繊維、分割繊維からなる従来の帯電ブラシと比較し、被帯電体と帯電ブラシとの間で接触面積を著しく大きくできる。その結果、電荷注入の速度を向上できる。
【0105】
請求項5に係る発明によれば、被帯電体と帯電ローラとの導電性の接点がカーボンナノチューブで構成され、カーボンナノチューブはダングリングボンドを持たないため化学的に安定であり、かつシームレス構造であるため機械的強度が非常に強い。そのため、導電性の接点の安定性が非常に良く、従来の全体に導電性が付与された導電性ゴムや吸水性のスポンジローラと比較し、環境による変動が少なく、長期に渡って安定した帯電能力を維持できる。
【0106】
また、カーボンナノチューブは極細の直径を持つため導電性ゴムなどに密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブは大きな弾性を持つため、被帯電体と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブの先端のみではなく側面でも被帯電体と接触することができる。そのため、被帯電体との導電性の接点を大きくでき、電荷の注入速度を向上できる。
【0107】
請求項6に係る発明によれば、被帯電体と主にカーボンナノチューブで接触し、カーボンナノチューブは、固体潤滑材としての機能を持つため、従来のカーボンナノチューブのない帯電ブレードと比較し、帯電ブレードと被帯電体との摩擦係数を低減でき、長期の使用においては「被帯電体を削る」、「被帯電体を摩耗させる」等の機械的ダメージを与えにくく、被帯電体の寿命を向上できる。また、カーボンナノチューブは大きな弾性を持つため、被帯電体と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブの先端のみならず側面でも被帯電体と接触することができる。そのため、被帯電体との導電性の接点を大きくでき、電荷の注入速度を向上できる。
【0108】
請求項7に係る発明によれば、磁性導電粒子の表面にカーボンナノチューブがあり、カーボンナノチューブは極細の直径を持つため磁性導電粒子に密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブは大きな弾性を持つため、被帯電体と接触すると撓ることができ、カーボンナノチューブの先端のみではなく側面でも被帯電体と接触することができる。そのため、従来の磁性導電粒子と比較し被帯電体との導電性の接点を著しく大きくでき、電荷の注入速度を向上できる。また、磁性導電粒子の直径は導電性の接点の大きさにほとんど影響を与えないため、磁界発生手段の磁力のみを考慮して決めることができる。その結果、導電性の接点を大きくしたままでニップ幅を大きくでき、更に電荷の注入速度を向上できる。
【0109】
請求項8に係る発明によれば、請求項1〜7のいずれかに記載の接触型帯電器を有するため、電荷注入で被帯電体を帯電させる場合も、被帯電体と接触型帯電器との微小空隙のコロナ放電で被帯電体を帯電させる場合でも、被帯電体に十分な帯電電圧を与えることができ、引き続き現像を行うことによって良好な画像が得られる。特に帯電ブラシ、磁気ブラシを搭載した場合には階調性の優れた画像が得られる。
【0110】
また、電荷注入で被帯電体を帯電させる場合は帯電プロセス中でオゾンやNOxが発生せず、また微小空隙でのコロナ放電で被帯電体を帯電させる場合はコロナ放電空間を小さくでき、かつ放電空間で発生するオゾンやNOxを低減できる。また、電荷注入、微小空隙でのコロナ放電でそれぞれ被帯電体を帯電させる各方式の両方で帯電効率が良くなるため、画像記録装置に搭載する帯電用の外部電源を低電圧化できる。更に、接触型帯電器の長期信頼性が向上し、被帯電体特にOPCの寿命が延びることによって、接触型帯電器や被帯電体特にOPCの交換頻度を少なくできる。よって、将来的にはカーボンナノチューブの製造コストを更に下げることによって画像記録装置のトータルコストを低減できる可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】単層カーボンナノチューブの六員環を示す模式図である。
【図3】上記実施例1の作製方法の一例を示す図である。
【図4】上記実施例1の作製方法の別の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例3を示す断面図である。
【図7】上記実施例3の作製方法の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例4を示す断面図である。
【図9】上記実施例4の磁性導電粒子の作製方法の一例を示す図である。
【図10】従来の導電性ゴムローラの印加電圧と帯電電圧との関係を示す特性を示す図である。
【図11】従来の帯電ブラシを示す断面図である。
【図12】従来の磁気ブラシを示す断面図である。
【図13】従来の別の磁気ブラシを示す断面図である。
【符号の説明】
100、500、600、800 OPC
103、503、603、803 直流電源
110 帯電ブラシ
111、511 金属芯
112 導電性繊維
120、520、620、820 カーボンナノチューブ
510 帯電ローラ
512 導電性ゴム
610 帯電ブレード
611 金属板
612 導電性ゴム
810 磁気ブラシ
811 マグネットロール
812 導電スリーブ
813 磁性導電粒子

Claims (8)

  1. 被帯電体の表面と接触し、被帯電体に電圧を印加することによって被帯電体を所定の表面電位に帯電させる接触型帯電器において、被帯電体と接触する帯電部材の先端にカーボンナノチューブを接続したことを特徴とする接触型帯電器。
  2. 請求項1記載の接触型帯電器において、前記カーボンナノチューブが主に
    Ch=na1+ma2
    n−m=3k
    1,a2:二次元六角格子の基本並進ベクトル
    n,m,k:整数
    なる式のカイラルベクトルChで記述される単層カーボンナノチューブであることを特徴とする接触型帯電器。
  3. 請求項1記載の接触型帯電器において、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであることを特徴とする接触型帯電器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって帯電ブラシからなり、この帯電ブラシの導電性繊維の表面に前記カーボンナノチューブがあることを特徴とする接触型帯電器。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって帯電ローラからなることを特徴とする接触型帯電器。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって帯電ブレードからなることを特徴とする接触型帯電器。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の接触型帯電器であって磁気ブラシからなり、この磁気ブラシの磁性導電粒子の表面に前記カーボンナノチューブがあることを特徴とする接触型帯電器。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の接触型帯電器を有することを特徴とする画像記録装置。
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