JP2002278219A - 被帯電体、画像形成装置、帯電器作製方法及び画像形成方法 - Google Patents

被帯電体、画像形成装置、帯電器作製方法及び画像形成方法

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JP2002278219A
JP2002278219A JP2001073939A JP2001073939A JP2002278219A JP 2002278219 A JP2002278219 A JP 2002278219A JP 2001073939 A JP2001073939 A JP 2001073939A JP 2001073939 A JP2001073939 A JP 2001073939A JP 2002278219 A JP2002278219 A JP 2002278219A
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Toshihiro Ishii
稔浩 石井
Yukie Suzuki
幸栄 鈴木
Akishige Murakami
明繁 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、帯電効率を向上させる被帯電体、
同被帯電体を用いた画像形成装置、環境への負荷を低減
しつつ、転写チリや画像ボケなどの画像劣化を低減でき
る電荷付与材を有した転写装置を用いる画像形成装置、
帯電器作製方法及び画像形成方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 帯電器5表面から電荷が直接もしくは間
接的に被帯電体3表面に移動することで、帯電を行うシ
ステムにおいて、その被帯電体3がもつ単位面積当たり
のトラップ準位の数N(1/cm)が以下の条件を満
たすことを特徴とした被帯電体。 N > CV/q ここで、C:被帯電体単位面積あたりの容量(1/cm
) V:所望の電圧q:素電荷、とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の複
写機、プリンター、ファクシミリ等の画像記録装置に用
いる被帯電体、画像形成装置、帯電器作製方法及び画像
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真式の画像形成装置は、図
29に示すように、画像担持体である感光体ドラム10
00の表面に配備した被帯電体を帯電手段1100によ
って均一帯電し、帯電された被帯電体に、露光手段12
00から光学的な画像情報を照射することにより静電潜
像を形成し、その静電潜像を現像手段(この場合は、現
像ローラー)1300から供給されるトナーによって現
像し、トナー像を形成する。更に、導電性ゴムを用いた
導電ローラーや導電ゴム上に誘電体層を設けた誘電ロー
ラーからなる転写ローラー1400にバイアス印加して
なる転写装置1500を用い、搬送ローラー1600よ
り送られる転写材p(この場合は記録紙)にトナー像を
転写する。その後、除電装置1700により、感光体ド
ラム1000上から転写材pを分離する。分離された転
写材は定着装置1800に搬送されてトナー像を定着
し、図示しない排紙トレイ等に収納され、感光体ドラム
1000はクリーニング装置1900でクリーニングさ
れる。
【0003】ところで感光体ドラム1000上の被帯電
体に均一帯電を施す帯電手段1100は、コロナ放電を
用いたコロトロン、スコロトロンの帯電方式を用いるの
が主流であった。しかしコロナ放電は空気中に電界をか
けることから、オゾンやNOxなど有害物質を発生す
る。また、帯電効率が低いため消費電力が多く、また4
〜6kVの高圧電源が必要なため、その高圧電源装置を
回路内に必要とし、コストが高くなり、かつこのような
高電圧をオフィスなど、身近に置くことは、人体に対し
好ましくないといった問題があった。近年の環境に対す
る配慮からこのような帯電方式を改善することは急務で
あり、ローラー帯電などへと移行されつつある。
【0004】ローラー帯電とは、導電性ゴムローラーを
被帯電体と接触させ、被帯電体と帯電ローラーの微小空
隙で放電を起こし被帯電体表面を帯電させる方法であ
り、コロトロンと比較しオゾンが著しく低減(1/10
0〜1/500に低減)されている(特開平7−926
17号公報、特開昭64−73365号公報、特開昭6
4−54471号公報、特許第2584873公報、特
許第2744264公報)。
【0005】しかしながら帯電ローラーも被帯電体と帯
電ローラー間の微小空隙に電圧を加えコロナ放電を起こ
すことから、原理的にオゾン発生をゼロにはできない。
被帯電体の劣化の原因は諸説あるが、その1つとして放
電による不用生成物(オゾンやNOx)などが被帯電体
表面と化学結合することによっているという説がある。
これはオゾンの強い酸化力やNOxなどが作る窒化物な
どが考えられている。このようなことからも、帯電にお
いてできるだけ不要物を生成しないことが望まれる。ま
たローラーはコロナに比べ、はるかにオゾンの発生位置
が被帯電体の近傍であるため、オゾンによる被帯電体の
劣化は依然として課題として残る。また、近年、感光体
を劣化させる要因として、感光体近傍の高電界などが疑
われている。このような懸念事項を払拭する上でも、低
電圧での帯電方式が望まれている。また、原理上、放電
の場合はある閾値が存在し、それ以上に電圧を印可しな
ければ帯電を施すことができない。このため、例えば1
00Vに帯電したい場合などは、電荷注入では150V
であるのに対し、放電では数百Vの印加が必要となる。
今後の低電圧現像が実現したとしても、閾値以上の電圧
を印加しなければならず、メリットが薄れる。可能であ
るならば、必要な表面電位と同程度の印加電圧で満足す
る方法が望まれる。
【0006】なお、公知技術としてフィルム状のブレー
ド型帯電器が知られている。これは、ブレードと感光体
との空隙において、やはり放電を起こすものである。こ
れの特徴はフィルムの柔軟性である。これにより、その
密着性を向上することができ、感光体のラフネスによる
帯電むらを低減できると考えられる。しかし、フィルム
の柔軟性はその耐久性とはトレードオフの関係となり、
実用上は課題が残る。
【0007】その様な背景の元、電荷注入法による帯電
器が注目を集めている。ここで、電荷注入とは帯電器表
面から電荷が直接もしくは間接的に被帯電体表面に移動
することである。この電荷注入法によれば放電を起こさ
ないで接触型帯電器から直接電荷を感光層に注入するた
め、原理的にオゾンは発生しない。電荷注入において
は、接触型帯電器と被帯電体との接触抵抗や微小空隙の
容量が電荷を注入する際の注入速度に影響を与えるた
め、接触抵抗は低いほど良いと考えられる。
【0008】そのため特開平6−75459号公報の技
術ではテトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子
受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電
子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネ
ットワークに置換し、全体に導電性を付与した高分子材
料からなる導電性ゴムで帯電ローラーを作っている。
【0009】しかしながら香川、古川、新川らによる
「Japan Hardcopy‘92、pp287〜
290」の報告では、80%RHの高湿下では有機感光
体(以後OPCと略す)は十分な帯電電圧が得られる
が、30〜50%RHの湿度化では印加電圧の半分まで
しか帯電されず注入速度が遅いことが判っている。これ
は帯電ローラーの接触面積(ニップ幅)が小さいこと
と、導電性ゴムが十分低抵抗化していないためと予想さ
れる。
【0010】つまり低抵抗の導電性ゴムを得るには電荷
移動錯体を多量にドーピングする必要があるが、ドーピ
ング量が多くなると高分子自体のネットワークの柔軟性
が減少し、ゴム硬度が大きくなるのではないかと思われ
る。例えば特開平6−75459号公報での導電性ゴム
の抵抗は10Ωcmとなっており、適度なゴム硬度を
維持しながら導電性ゴムを低抵抗化することは高分子材
料の選択の点から容易ではないと予想される。また全体
に導電性を付与した高分子材料からなる導電性ゴムでは
帯電電位が湿度に敏感であるため、環境を厳密に制御す
る必要があり、接触型帯電器構造が複雑になる。
【0011】一方、特開平7−140729号公報の技
術では吸水性のスポンジローラーを用いて感光体(被帯
電体)に電荷を注入している。吸水性のスポンジローラ
ーを用いる場合、ローラーの含水率がローラー抵抗や電
荷の注入速度に大きな影響を与えるので、ローラーから
の水分蒸発によって帯電電位が変動する恐れがある。帯
電電位の変動を抑えるためにはローラーからの水分蒸発
を長期に渡って厳密に制御する必要があり、接触型帯電
器の構造は複雑になり、安価に製造することができな
い。
【0012】また特開平9−101649号公報におい
ては、帯電ブラシの導電性繊維をエッチング繊維ないし
分割繊維にすることによって導電性繊維と感光体との接
触面積を増加させ、電荷注入の速度を向上させることが
提案されている。エッチング繊維とは導電性繊維の成分
の一部を薬液で溶解し、1本の導電性繊維を太さ方向で
複数本に分割した繊維である。また分割繊維とは加熱時
の各部の熱収縮の差を利用し、1本の導電性繊維を太さ
方向で分割した繊維である。これらの処理によって実質
的により細い径の導電性繊維を用いたことになり、感光
体(被帯電体)との接触面積を増加することができる。
【0013】しかしながら分割された繊維の引っ張り強
度は分割前の導電性繊維と比較し分割された分だけ小さ
くなる。その結果感光体と接触した場合分割された繊維
は切断されやすくなり、長期の使用では帯電電位のバラ
ツキを起こし、接触型帯電器の寿命を低下させる原因と
なってしまう。逆に、長寿命の接触型帯電器を得ようと
すると、導電性繊維の分割数を多くできないため接触面
積の著しい増加は期待できず、電荷注入速度が顕著に向
上するとは思えない。このように電荷注入方式にもいく
つかの課題が残されており、実機への採用例は多くな
い。
【0014】なお、本出願人による特開2000−34
7478号公報記載の技術では、カーボンナノチューブ
を用いることで、被帯電体に十分な帯電電圧を与えるこ
とができ、オゾンやNOxの発生を低減できる接触型帯
電器を開示したが、ここでは被帯電体への電荷注入効率
の規定に言及していない。更に、接触型帯電器において
は、帯電ローラーと被帯電体からなる感光体が接触して
いるため、感光体にピンホールがあると帯電ローラーと
感光体の接触部(ニップ)において帯電ローラーからピ
ンホールに過電流が流れ込み、電源電圧が低下し、十分
な帯電ができなくなり、帯電の面内均一性が低下した。
最悪の場合は過電流により感光体に損傷を与えてしまう
ことが起きていた。
【0015】これらの対策として、電子写真学会誌pp
48−53(1991)では帯電ローラーを3層構成
(図27参照)とすることが提案されている。帯電ロー
ラー2010は芯材2011を保護層2014/中抵抗
層2013/導電性弾性層2012の3層で被覆した構
成であり、直流と交流が重畳された電源2003が設け
られている。感光体のピンホールと帯電ローラー201
0が接触した場合、中抵抗層2013によってピンホー
ルでの過電流による電源2003の電圧降下を防止す
る。
【0016】また特許第263168号公報(図28参
照)においては感光体2100(基板2101と感光層
2102で構成)とアースの間にコイル2120を設け
ることが提案されている。電源2103に接続された接
触型帯電器2110によって感光層2102表面を帯電
する際、感光層2102のピンホールによって過電流が
生じるとコイル2120のインピーダンスが非常に大き
くなり、感光体2100に過電流が流れ込むことを防止
する。
【0017】同様に特許第2788824号公報の転写
装置においては、転写装置とアースの間にチョークコイ
ルを設けることが提案されている。しかし帯電ローラー
は感光体と帯電ローラー間の微小空隙に電圧を加えコロ
ナ放電を起こすことから、原理的にオゾン発生をゼロに
はできない。またオゾンが感光体近傍で発生するためオ
ゾンによる感光体の劣化は依然として課題として残る。
このような観点から、オゾンが発生しない帯電方式であ
る電荷注入方式が注目されている。
【0018】電荷注入方式を採る技術である上述の特開
平6−75459号公報では帯電ローラーの導電性ゴム
を導電性が付与された高分子材料で構成しており、特開
平7−140729号公報では吸水性のスポンジローラ
ーを用いて感光体(被帯電体)に電荷を注入している。
しかしながら上述のような低抵抗な接触型帯電器がピン
ホールと接触すると電荷の集中が起き、均一な帯電がで
きなくなる。特に電荷注入では感光体と接触型帯電器の
接触部(ニップ)で直接電荷の授受を行うため、コロナ
放電を利用する帯電ローラーと違い致命的な影響を与
え、画像としては白抜けとなってしまう。また過電流に
よる感光体の損傷も考えられる。
【0019】これを防ぐため特開平8−297394公
報では中抵抗の部材(抵抗値10〜10Ω)を感光
体に接触させて電荷注入を行っている。中抵抗の部材で
電荷注入を行うと注入速度が非常に遅くなるが、特開平
8−297394号公報では更に感光層表面に導電性微
粒子を分散させ、フローティングの容量を作り込むこと
によって注入速度の低下を抑制している。しかしながら
感光層表面に導電性微粒子を分散させるため、導電性微
粒子での光の吸収や散乱が避けられず、画像記録装置の
解像度や階調を低下させる一因となっていた。また従来
の有機感光層を用いる有機感光体(OPC)をそのまま
流用することができず、画像記録装置自体としてはコス
トアップの要因になっていた。
【0020】他に上述の帯電ローラーで用いられた技術
を電荷注入に転用することが考えられるが、感光体や接
触型帯電器にコイルを外付けする場合、接触型帯電器の
接触部(ニップ)に感光層のピンホールが来ると過電流
が発生し、コイルの自己インダクタンスL、帯電器の抵
抗Rによる時定数によって徐々に感光体に電圧が印加さ
れると思われるが、実際はピンホールの大きさが非常に
小さい(一般的にピンホールはμmオーダーである)た
めピンホール上を接触型帯電器が摺動する間は感光体に
ほとんど電圧が印加されず、電荷注入が起こらない。そ
のためやはり画像にライン状の白抜けが発生してしま
う。
【0021】また中抵抗層を内部に持つ接触型帯電器を
用いる場合は、接触型帯電器自体の抵抗が中抵抗層で決
まり低抵抗にならないので、電荷注入速度が非常に遅く
なる。これを避けるため特開平8−297394号公報
のように感光層表面に導電性微粒子を分散させる必要が
生じ、高解像、高階調の画像が得られないといった問題
があった。
【0022】次に、電子写真式の画像形成装置は画像担
持体の被帯電体上に形成されたトナー像を転写材上に転
写するに当たり、帯電器と同様に空気中に電界をかける
静電転写方式の転写装置を用いている。この転写装置
は、図30に示すようなホルダ2330内に設けられた
コロナワイヤ2331の転写器2332を用いている。
しかし、コロナ放電を用いた転写器2332は高電圧を
印加することより比較的大きな電流を必要とし、消費電
力が大きくなるばかりでなく、大量のオゾン(O3)やノッ
クス(NOx)などが発生し、環境に大きな付加をかけるこ
とがわかっている。オゾンを除去するためにはフィルタ
ーなどを付加するなど、これら環境に影響する物質を除
去するため、装置は大きくなり、コストの増大を招く。
このため、近年では、コロナ放電を用いない転写器が実
用化されている。
【0023】その一例として、特開平11−15391
6号公報に公知技術として知られているローラー転写器
(図29参照)1500がある。ローラー転写器150
0は導電性ゴムを用いた導電ローラーもしくは、導電ゴ
ム上に誘電体層を設けた誘電ローラーからなる転写ロー
ラー1400にバイアス印加して、搬送ローラー160
0より送られる転写材p(この場合は記録紙)にトナー
像を転写する。
【0024】また、特開平9−179413号公報に公
知技術と知られている転写ブラシも先と同様のプロセス
で、感光体ドラムの被帯電体上にトナー像が形成され
る。一方、固有の体積抵抗を持った厚さ数100μm程
度のフィルム状部材から構成されている搬送ベルトは、
ループ状に配置され、感光体ドラムに摺接し、順次移動
する。この搬送ベルトに記録材を静電吸着し、感光体ド
ラムとの接触部(以下ニップ部)に搬送する。感光体ド
ラムに対して反対側の搬送ベルトの背面には、転写ブラ
シが圧接している。この転写ブラシはトナーと反対極性
にバイアス印加しており、これにより感光体ドラム上の
トナーが転写体である記録紙に転写される。
【0025】これら転写ローラーや転写ブラシは、対向
する感光体ドラムや搬送ベルトに微小空間が存在する。
この転写ローラーやブラシに転写するのに十分な高圧を
印加するため、パッシェン則に従った微小エリアでの放
電がさけられず、従来のコロナ放電よりは少ないものの
オゾンやNOxが発生する。このオゾンやNOxは、感
光体や転写ベルト、中間転写ベルトに付着し、その表面
抵抗を変化させる物質に変化することが懸念されてい
る。例えば、特開平11−231661号公報において
は、未使用時の転写ベルトと100hr使用後の転写ベ
ルトの表面抵抗を計測し、未使用時においては、1.5
×1015Ωcmであった表面抵抗が、電圧を印加しつ
づけた100hr後には、1.0×1011Ωcmと、
経時的に表面抵抗が下がることが報告されている。これ
は電荷印加時に放電によって発生するNOxなどのイオ
ン化物質の付着と確認されている。このベルト裏面の抵
抗低下によって、本来転写ベルトの特定領域に保持され
ていた電荷が拡散し、ニップ部の電位低下が発生し、ニ
ップ部外では逆に電位の上昇がおこり、プレ転写などい
わるゆ“転写チリ”が増大する。また、フルカラーなど
YMCK(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)の
トナーを一度中間転写体に転写するタイプにおいては、
その中間転写体の抵抗が変化するため、トナーの保持が
低下したり転写チリが増大することは容易に想像でき
る。
【0026】この様な“転写チリ”を防止するために、
特開平11−153916号公報においては、転写材の
進入側を覆うよう設置された電界シールドをもうけるこ
とや特開平11−231661号公報においてはニップ
部の電荷を規制する電荷規制部材を設けることが提案さ
れている。しかし、これら各転写装置の電荷付与材とし
ては、コロナ放電を用いるコロナワイヤや転写ローラ
ー、転写ブラシを用いており、オゾンやNOxが発生
し、それによって生じる画質の低下を防止することが不
十分である。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】このような画像形成装
置の帯電器が、表面から電荷が直接もしくは間接的に被
帯電体表面に移動することで帯電を施す注入帯電システ
ムを採る場合、その効率が十分ではなかった。ここで、
効率というのは印加電圧に対し、表面電位がどの程度上
がるかを調べた指標である。例えば、非常に効率が良い
場合はその傾きnが1となる。この効率を決めている要
因は様々あると考えられている。今回、その様々な要因
の中で、トラップ準位がその大きな役割を果たしている
ことを突き止めた。注入型の帯電は、従来から行われて
いるワイヤーのコロナ帯電器やローラー帯電器のような
放電を用いる帯電とはその物理現象が異なる。放電を用
いるタイプでは空気中の気体を電離しイオン化する。こ
のイオンを被帯電体に降り注ぐ。被帯電体に到達したイ
オンは、その地点で吸着する。被帯電体は絶縁物である
から、電気伝導を起こすことがない。つまり、イオンは
中性化されることなくそこに電荷を貯え、帯電を呈する
ことができる。ここでは、被帯電体は絶縁物であれば、
特に必要な物性値は存在しない。
【0028】それに対して、注入型での帯電は移動する
ものが電子である。電子が移動するにはその居場所、つ
まり、準位が必要となる。これはトンネル現象が起きる
場合、必要であることも分かる。本発明における帯電に
おいても、接触帯電において良く知られているように、
その電子の移動はトンネル現象を利用している(参照:
静電気ハンドブック)。帯電器側のフェルミレベルから
被帯電体のトラップ準位へのトンネルである。この場
合、被帯電体にトラップ準位がなければ、トンネル電流
は流れ得ない。これはよく知られている現象であり、こ
れはSTM(Scanning Tunnneling
Microscope)などでも利用されている。こ
のような議論は近年盛んに行われており、特に静電気学
会などでは多くの研究者がこのようなモデルを支持して
いる。(村田(東京理科大)、竹内(茨城大))。この
ようなことを省みて、本発明では帯電効率を高める上
で、トラップ準位の状態がどのようにかかわるかを考慮
するものである。
【0029】トラップ準位は1つに対し電荷を1つ留め
る。つまり、トラップ準位の数に素電荷qをかけた値
が、その被帯電体が貯えることができる電荷量Qとな
る。ただし、このトラップ準位にはその深さという性質
がある。この深さ、及びその環境の温度によって、その
トラップ時間が規定される。このため、本発明でのトラ
ップ準位は十分深いものを示すことにする。このため、
1つのトラップ準位は1つの電荷を留め、意図的に与え
た刺激がない限り、その状態を保持すると考える。通常
の電子写真プロセスでは、その時間は数秒であり、室温
で用いることより、それに対応した深さ以上のものをト
ラップ準位と示す。トラップ準位の数で決められた被帯
電体の蓄積電荷量は、その被帯電体を用いる上で必要な
ものでなければならない。必要なトラップ準位がなけれ
ばいくら電圧を印加しても効率の良い帯電は起こり得な
い。
【0030】以上より、トラップ準位を被帯電体の帯電
効率の向上に寄与させることを第1の課題とする。な
お、従来の報告でトラップ準位を扱っている技術は特開
平5−173391号公報、特開平6−186766号
公報、特開平6−266136号公報、特開平6−27
3958号公報などに挙げられるが、これらは準位がも
たらす光メモリー効果を低減することを目的としたもの
である。つまり、トラップ準位が帯電効率を司ってお
り、それに必要な準位の数(密度)を扱ったのはない。
【0031】次に、被帯電体は帯電した電荷を適当な時
間保持していなくてはならない。このためには、適当な
絶縁性が必要となってくる。しかし、先のトラップ準位
が多く存在していると、そのトラップ間を電子(ホー
ル)が移動し始め、絶縁性が低下する。この伝導機構は
一般的にホッピング伝導と考えられている。プールフレ
ンケル伝導も考えられるが、この場合は非常に小さく、
無視できる範囲である。ホッピング伝導は、半導体など
でも良く調べられており、その現象を多くの場面で利用
している。このような知見のもと、ホッピング伝導が起
こらないように、トラップ準位の数を制御することを第
2の課題とする。
【0032】次に、被帯電体に負帯電を施すには、表面
近傍に電子をトラップさせる必要がある。また、逆に被
帯電体を正帯電させるには、表面にホールのトラップ準
位が必要である。このことを無視して、トラップ準位の
数(密度)を所定の範囲に規定しても、それだけでは十
分な帯電が施せるとは限らない。つまり、十分な帯電を
施す上で、印加電圧の極性にあわせて必要なトラップの
種類と数(密度)とを設定することを第3の課題とす
る。
【0033】次に、注入帯電を起こす帯電器としてはG
aや、含水ローラーなどの報告例がある。しかし、この
ような帯電器ではその帯電器の構成物質が被帯電体に付
着するなど問題があった。Gaや水銀は導電性がありか
つ液体であることから帯電器として利用されている。こ
の液体である特性を維持しないがら、付着するような不
具合を発生させない物質が求められる。そこで、このよ
うな条件を満足するような構造として、微少突起を高密
度に生成した表面形状体がある。表面に微少突起物があ
り、これが自由に折れ曲がることによって、液体のよう
に接触し、かつ、付着しない。このような構造体を備え
た帯電器表面は被帯電体との接触など、機械的衝撃を受
ける。また、被帯電体表面を滑るような構造も考えられ
ることから、摺動性も必要となる。さまざまな状態を考
えると、帯電器で用いる突起物に対する要求として、 細さ(高アスペクト比) 導電性 耐摩擦性(機械的強度) 可撓性 化学的安定性 コスト 摺動性 が挙げられる。このような要求を満たす突起物を見つ
け、同突起物からなる帯電器を用いた画像形成装置を提
供することを第4の課題とする。
【0034】次に、従来のローラー型の帯電器では帯電
器側表面の任意の点は被帯電体のある決まった1点との
み接することになる。その点が接触領域であれば、接触
点の領域となるし、ギャップのある領域であれば、ギャ
ップ領域となる。ギャップ領域でも、そのギャップの大
きさによっては表面電位が異なる。つまり滑ることなく
帯電器と被帯電体が接触する場合は、ギャップの大きさ
で、電位むらが発生する。電位むらはそのまま画像むら
となることより、このような画像むらを排除できる帯電
器を用いた画像形成装置を提供することを第5の課題と
する。
【0035】次に、ブレード型ではクリーナー装置がな
いため、トナーやその他微少なごみなどが帯電体と被帯
電体との間に入る可能性がある。このような状態では均
一のギャップ形成に支障をきたし、画像形成上大きな問
題となる。できるだけ、そのようような汚れに強いプロ
セス設計が必要である。また、ブレード表面にCNTを
設置したとしても、その摩耗は避けられない。ブレード
の場合も被帯電体との接触によって、CNTを固定して
ある樹脂が削れ、CNTを絶えず露出することは可能で
ある。しかし、その制御は被帯電体と固定樹脂によって
のみ決定されることより、このような帯電体と被帯電体
との間の磨耗による経時変化を抑えて制御しやすい構成
の帯電器を用いた画像形成装置を提供することを第6の
課題とする。
【0036】従来ではブレード型、もしくはローラー型
の帯電器が考えられている。このような形状の帯電器で
は、トナーなどの微少異物などがその帯電器と被帯電体
との間に入った時は、帯電器と被帯電体の間にギャップ
ができ帯電が困難になる。このため、ローラー型であれ
ば、常にクリーニングできるような装置を備えたり、被
帯電体にもクリーナーを設置するなどの対策が考えられ
る。しかし、ブレード型の帯電器ではそのような対策も
原理上困難である。また、研磨ローラーのようなクリー
ナーだけでは完全なトナーなどの異物除去は不可能であ
る。従来のクリーナーは大量の残トナーなどを低減する
というスタンスの機能でしかない。それに比べ、ここで
必要とされる異物除去のレベルははるかに高い。ブレー
ド型に関して言えば、トナーが1つでも残っている場
合、ブレード型帯電器と被帯電体との間に、トナーがあ
る分、ギャップが生成してしまう。必要なギャップ制御
は数ミクロンオーダーであるのに対し、トナーの粒径は
十ミクロン程度と、非常に大きい。そのため、このよう
な残トナーが存在する部分は十分な帯電ができなくな
る。また、ローラー型の帯電器に関してもほぼ同様なこ
とが言える。ブレード型に対して、被帯電体と同一周期
で回さないローラーであれは、若干の改善は期待できる
が、根本的な改善とはならない。トナーなどの異物が存
在していても十分な帯電が行える構成の帯電器を用いた
画像形成装置を提供することを第7の課題とする。
【0037】次に、従来の電荷注入によって感光体を帯
電させる接触型の帯電器において、被帯電体である感光
体にピンホールが存在した場合においても、ピンホール
以外の領域では感光体に均一な帯電電圧を与えることが
可能な帯電器の構造を提供することを第8の課題とす
る。また上述の機能を有する接触型の帯電器の作製方法
を提供することを第9の課題とする。加えて、ピンホー
ルが存在する感光体を用いた場合も、良好な画像を出力
できる画像形成装置を提供することを第10の課題とす
る。
【0038】更に、画像形成装置の転写装置が画像担持
体上に形成されたトナー像を電荷付与材を用いることで
転写体に転写するシステムを用いている場合、オゾンや
NOxの発生、磨耗の発生が問題となっていた。そこで、
CNT(カーボンナノチューブ)を表面に突出させた電
荷付与材を用いることによって、オゾンやNOxの発生を
抑制し、環境への負荷を低減しつつ、転写チリや画像ボ
ケなどの画像劣化を低減することができる画像形成装置
を提供することを第11の課題とする。また、カーボン
ナノチューブは、化学的機械的に安定で環境による変動
が少なく、摺動性が高いため、これを用いた電荷付与材
は転写材の磨耗が少なく、特に転写ベルトや中間転写ベ
ルトの磨耗を抑制することを第12の課題とする。
【0039】本発明は、以上のような各課題に基づき、
第1に、注入型帯電器において、帯電効率を向上させる
被帯電体を提供することを目的とする。第2に、帯電効
率を向上させる被帯電体を用いた画像形成装置を提供す
ることを目的とする。第3に、感光体にピンホールが存
在した場合においても、ピンホール以外の領域では感光
体に均一な帯電電圧を与えることが可能な帯電器を有し
た画像形成装置を提供することを目的とする。
【0040】第4に、ピンホール以外の領域では感光体
に均一な帯電電圧を与えることが可能な帯電器を作成で
きる帯電器作製方法を提供することを目的とする。第5
に、電荷付与材を有した転写装置を用いる場合に、環境
への負荷を低減しつつ、転写チリや画像ボケなどの画像
劣化を低減できる画像形成装置を提供することを目的と
する。第6に、電荷付与材を有した転写装置を用いる場
合に、環境への負荷を低減しつつ、転写チリや画像ボケ
などの画像劣化を低減できる画像形成方法を提供するこ
とを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、帯電
器表面から電荷が直接もしくは間接的に被帯電体表面に
移動することで、帯電を行うシステムにおいて、その被
帯電体がもつ単位面積当たりのトラップ準位の数N(1
/cm)が以下の条件を満たすことを特徴としてい
る。 N > CV/q ただし、C:被帯電体単位面積あたりの容量(1/cm
)、V:所望の電圧、q:素電荷とする。ここで、N
は表面からトンネル電流が流れ込める範囲とすることが
好ましい。
【0042】このように、従来の放電による帯電と比
べ、注入型の帯電においては、その電子(ホール)が保
持される準位が必要であることより、請求項1の発明で
は必要な帯電電位に対し、必要なトラップ準位の数を規
定し、それ以上あるような材質を作製した。トラップ準
位が必要な数以上あることによって、帯電の効率が向上
する。
【0043】請求項2の発明は、請求項1記載の被帯電
体において、単位体積当たりのトラップ準位の数n(ア
クセプター:na、ドナー:nd)が以下の条件を満た
すことを特徴としている。 n < { 4πεkT/q*log(σ’/σ)}
ただし、σ:所望の被帯電体暗中導電率(1/Ωc
m)、σ’:トラップ準位がないときの導電率、k:ボ
ルツマン定数、T:温度(K)、ε:誘電率、n:n
a、ndの小さい方(個/cm)とする。ここでは、
プールフレンケル伝導による暗減衰が、所望の範囲に成
るように、これを支配するトラップ準位の数が規定され
ている。
【0044】ここでのトラップ準位が多く存在しすぎる
と、トラップ準位間のホッピング伝導現象が起きる。こ
の伝導により抵抗値は下がり、帯電状態を維持できなく
なる。そこで、トラップ準位はホッピング伝導が問題に
ならない程度の量に規定することが必要となる。ホッピ
ング伝導は以下の式によって与えられる。
【0045】σ=σ’exp(−E1/kT)、E1=
/(4πεR)、R=1/n /3 ただし、σ:ホッピング伝導によって支配される伝導率
(1/Ωcm)、σ’:トラップ準位がないときの導電
率、k:ボルツマン定数、T:温度(K)、ε:誘電
率、R:トラップ間の平均距離(cm)、n:na、n
dの小さい方(個/cm)このσが所望の被帯電体暗
中導電率であれば良い。この式を書きかえることで、 n < { 4πεkT/q*log(σ’/σ)}
という式になる。この式を満たすトラップ準位数であれ
ば、ホッピングによる抵抗低下は避けられる。
【0046】請求項3の発明は、請求項1のトラップ準
位として、電子をトラップする準位をNd、ホールをト
ラップする準位をNaとしたとき、以下の条件を満たす
ことを特徴としている。 V>0のとき Na>CV/q V<0のとき Nd>CV/q これにより、正帯電及び、負帯電ともに十分な帯電を施
すことができる。
【0047】請求項4の発明は、請求項1乃至3の被帯
電体を用いた画像形成装置において、帯電器としてCN
T(カーボンナノチューブ)を用いることを特徴として
いる。カーボンナノチューブはその形状から非常に細い
ことが知られている。また、その構造から機械強度が高
いと同時にそのアスペクトの大きさから十分に撓ること
が知られている。また、鋭利に曲がっても、簡単には破
断しないことが知られている(M.R.Falovo
NATURE389(1997)p582 )。作成方
法を近年、非常に簡便に作ることができ、他の細線に比
べ、容易に入手できるようになった。また、カーボンナ
ノチューブはカーボン単体でできていることから、貴金
属でできているようなウイスカーのような細線に比べ、
環境にやさしい。構造上グラファイトを筒状にしている
ことから、表面にダングリングボンドが存在しない。こ
れによって化学的に安定であり、酸化物などを表面に形
成しない。このような特徴を持っていることから、電界
放出素子部材として多くの実施例が報告されており、安
定性にも長けている。また、固体潤滑材として用いられ
るグラファイトの性質を持ちあわせており、潤滑性にも
長けているので、帯電器として有効利用できる。
【0048】請求項5の発明は、請求項4記載の画像形
成装置において、帯電器をブレード状にしたことを特徴
とする。ブレード型にすることで、帯電器表面が被帯電
体表面を滑ることになる。これによって、被帯電体表面
の任意の点は帯電器表面の複数領域と接触することにな
る。つまり、従来のローラーでは帯電器側の任意の接触
点は、その点と同等の大きさの領域としか接触しない。
それに対し、ブレード型の各接触点を滑らせることで、
任意の点が接触する領域は大きく広がる。これによっ
て、その表面ラフネスで接触領域、非接触領域を形成し
ても、表面を滑ることで、それぞれの領域が交互に入れ
替わる。つまり、均一帯電が可能となる。
【0049】請求項6の発明は、請求項4記載の画像形
成装置において、帯電器をローラー状にしたことを特徴
とする。帯電器をローラ型にすることで被帯電体と接触
している部分とそれ以外の部分とが形成され、その両部
分が回転することで相互に入れ替わることになる。これ
により、被帯電体と接していない部分ではクリーニング
を行うことが可能である。このクリーンニング工程は簡
便なブレード型のクリーナーで良く、十分にその効果を
発揮することができる。またこれと同時にクリーナーに
よって帯電器表面を研磨することもできる。ローラー帯
電器の表面はCNTが表面に突出しているが、この製造
工程は先に述べたように研磨工程によって行っている。
この工程を帯電プロセス内に組み込むことで、常に帯電
器表面を研磨し、新鮮な表面を作ることができ、絶えず
CNTを突出することができる。これによって、動作に
よるCNTの劣化などを防ぐことができる。また、ロー
ラの厚みに余裕を持たせた設計をすることで、長寿命に
耐え得る。また、従来のローラ型のように被帯電体と同
一スピードで回転させるのでなく、回転スピードを違
え、相互の表面を滑らせることで、ブレード型と同様の
効果を得ることができる。これによって、通常のローラ
ー帯電器での不具合である、接触面積の不足を補うこと
ができる。帯電むらなどの不具合も問題なくなる。
【0050】請求項7の発明は、請求項4記載の画像形
成装置において、帯電器をブラシ状にしたことを特徴と
する。帯電器の表面をブラシにすることで、トナーが混
入してギャップが大きく変動することを排除できる。し
かも、ブラシの製造方法などを転用できる。これは、単
なる凹凸を作成する方法に比べ、製造の歴史が長く、技
術的に熟達している。このような方法を転用すること
で、製造コストを低減できる。また、ブラシは帯電器な
どでの応用例もあり、その材質、形状などさまざまな条
件を実績の上で、選択することができる。
【0051】請求項8の発明は、請求項4の帯電器を有
した画像形成装置において、前記被帯電体と対抗する面
に抵抗層を有し、かつ抵抗層上にCNT(カーボンナノ
チューブ)が保持されていることを特徴とする。感光体
と対抗する面に抵抗層を有し、かつ抵抗層上にカーボン
ナノチューブが保持される構造となっている。そのため
感光体にピンホールがあった場合、接触型帯電器はカー
ボンナノチューブでピンホールと接触する。その結果カ
ーボンナノチューブに過電流が流れ、カーボンナノチュ
ーブの先端が発熱し、空気中の酸素によって酸化されて
消耗し、感光体のピンホールからカーボンナノチューブ
が瞬時に離れてしまう。また過電流の大きさも、抵抗層
が保護抵抗となって抑制される。その結果直流電源の電
圧が低下しない。よってピンホールがあった場合も、感
光体を均一に帯電できる。
【0052】請求項9の発明は、請求項4の帯電器を有
した画像形成装置において、前記抵抗層の抵抗値が10
〜10Ωであることを特徴とする。この場合も請求
項8の発明と同様の作用効果が得られる。
【0053】請求項10の発明は、請求項8または9に
記載の帯電器を有した画像形成装置において、前記抵抗
層が導電性粒子を分散させた高分子樹脂からなることを
特徴とする。高分子樹脂からなる抵抗層に導電性粒子を
分散させているので、導電性粒子の分散量と抵抗層の膜
厚によって抵抗値の制御が容易に行える。
【0054】請求項11の方法発明は、請求項8、9ま
たは10に記載の帯電器の作製方法において、前記抵抗
層上にカーボンナノチューブを含有した高分子樹脂から
なる保持層を形成する工程と、前記保持層を研磨してカ
ーボンナノチューブの先端を保持層から突出させる工程
を含むことを特徴とする。接触型帯電器の作製方法が保
持層を形成する工程とカーボンナノチューブの先端を保
持層から突出させる工程からなるで、静電吸着や電気泳
動法等のカーボンナノチューブを配向させるプロセスが
不要になり、接触型帯電器の製造コストを抑えることが
できる。またカーボンナノチューブが保護層の高分子樹
脂に埋め込まれた構造になっているため、カーボンナノ
チューブが保持層に強く保持される。その結果接触型帯
電器が被帯電体を摺動している間に抵抗層からカーボン
ナノチューブが剥離しにくく、帯電器の長期安定性が向
上する。
【0055】請求項12の発明は、請求項8または9に
記載の帯電器作製方法において、前記抵抗層上に少なく
てもFe、Co、Niの1つを含む金属、合金、または
化合物からなる触媒層を形成する工程と、前記の触媒層
上に少なくてもアセチレン、エチレン、メタン等の炭化
水素ガスの1つを用いた化学的気相成長法によってカー
ボンナノチューブを形成する工程を含むことを特徴とす
る。抵抗層上に少なくてもFe、Co、Niの1つを含
む金属、合金、または化合物からなる触媒層を形成する
工程と、前記触媒層上に少なくてもアセチレン、エチレ
ン、メタン等の炭化水素ガスの1つを用いた化学的気相
成長法によってカーボンナノチューブを形成する工程か
らなる。そのため抵抗層から直接カーボンナノチューブ
を成長させることができ、カーボンナノチューブの分離
精製プロセスが不要になる。その結果接触型帯電器の製
造コストを抑えることができる。また比較的長いカーボ
ンチューブが得られるので、導電性の接点が増加し、電
荷の注入速度が向上する。
【0056】請求項13の発明は、請求項4の帯電器を
有した画像形成装置において、前記被帯電体と対抗する
面に抵抗層を有し、かつ抵抗層中に保持されたカーボン
ナノチューブの先端が抵抗層から突出していることを特
徴とする。被帯電体にピンホールがあった場合、接触型
帯電器はカーボンナノチューブでピンホールと接触す
る。その結果カーボンナノチューブに過電流が流れ、カ
ーボンナノチューブの先端が発熱し、空気中の酸素によ
って酸化されて消耗し、被帯電体のピンホールからカー
ボンナノチューブが瞬時に離れてしまう。また過電流の
大きさも、抵抗層が保護抵抗となって抑制される。その
結果直流電源の電圧が低下しない。よってピンホールが
あった場合も、被帯電体を均一に帯電できる。更にカー
ボンナノチューブが抵抗層に埋め込まれた構造になって
いるため、カーボンナノチューブが抵抗層に強く保持さ
れる。その結果接触型帯電器が被帯電体を摺動している
間に抵抗層からカーボンナノチューブが剥離しにくく、
帯電器の長期安定性が向上する。
【0057】請求項14の発明は、請求項13に記載の
帯電器を有した画像形成装置において、前記抵抗層の抵
抗値が10〜10Ωであることを特徴とする。この
場合も請求項13の発明と同様の作用効果が得られる。
【0058】請求項15の発明は、請求項13または1
4に記載の帯電器を有した画像形成装置において、前記
抵抗層が導電性粒子を分散させた高分子樹脂からなるこ
とを特徴とする。高分子樹脂からなる抵抗層に導電性粒
子を分散させているので、抵抗層の表面から突出するカ
ーボンナノチューブの数と抵抗層の抵抗値を独立に制御
でき、抵抗層の抵抗値を最適化しやすい。
【0059】請求項16の発明は、請求項13、14ま
たは15に記載の帯電器作製方法において、前記カーボ
ンナノチューブを含有した抵抗層を被帯電体と対抗する
面に形成する工程と、前記抵抗層を研磨してカーボンナ
ノチューブの先端を抵抗層から突出させる工程を含むこ
とを特徴とする帯電器作製方法。カーボンナノチューブ
を含有した抵抗層を感光体と対抗する面に形成する工程
と、前記抵抗層を研磨してカーボンナノチューブの先端
を抵抗層から突出させる工程からなる。そのためカーボ
ンナノチューブの配向プロセスや固定化プロセスが不要
になり、接触型帯電器の低コスト化が期待される。
【0060】請求項17の発明は、請求項11、12ま
たは16の前記帯電器を搭載した画像形成装置。請求項
11、12または16の帯電器を搭載しているため、被
帯電体にピンホールがある場合においても被帯電体に帯
電ムラは発生せず、良好な画像が得られる。また電荷注
入によって被帯電体を帯電させる場合は、オゾンやNO
xが発生しない。更にコロナ放電で被帯電体を帯電させ
る場合も、従来の接触型の帯電器より低電圧で帯電が可
能であり、オゾンやNOxも減らすことができる。
【0061】請求項18の発明は、被帯電体からなる画
像担持体上に形成されたトナー像を、所定の転写ニップ
領域にて近接または接触するように配置された記録材に
転写して画像を形成する画像形成装置において、CNT
(カーボンナノチューブ)が表面に突出した電荷付与材
を転写装置に用いることを特徴とする。CNT(カーボ
ンナノチューブ)が表面に突出した電荷付与材を用いる
ことによって、より低電圧で転写が可能で、オゾンやN
Oxが低減し、“転写チリ”などによる画像の劣化も低
減できる。また、CNTの摩擦係数が小さいことから、
対向する像担持体や転写部材の磨耗を抑制できる。
【0062】請求項19の方法発明は、被帯電体からな
る画像担持体上に形成されたトナー像を、所定の転写ニ
ップ領域にて近接または接触するように配置された記録
材に転写して画像を形成する画像形成方法において、C
NT(カーボンナノチューブ)が表面に突出した電荷付
与材を転写装置に用いることを特徴としている。CNT
(カーボンナノチューブ)が表面に突出した電荷付与材
を用いる画像形成方法によれば、より低電圧で転写が可
能で、オゾンやNOxが低減し、転写チリなどによる画
像の劣化も低減できる。また、CNTの摩擦係数が小さ
いことから、対向する像担持体や転写部材の磨耗を抑制
できる。
【0063】請求項20の発明は、請求項19の被帯電
体が請求項1、2又は3の被帯電体であることを特徴と
する。このように、帯電の効率を向上させる被帯電体を
用い、しかも、CNT(カーボンナノチューブ)が表面
に突出した電荷付与材を用いることによって、より低電
圧で転写が可能で、オゾンやNOxが低減し、転写チリ
などによる画像の劣化も低減できる。また、CNTの摩
擦係数が小さいことから、対向する被帯電体を成す像担
持体や転写部材の磨耗を抑制できる。
【0064】請求項21の発明は、請求項18の画像形
成装置において、上記転写装置は記録体を搬送すること
を兼ねるベルトであることを特徴とする。CNT(カー
ボンナノチューブ)が表面に突出した電荷付与材を用い
ることによって、オゾンやNOxが低減し、転写ベルト
の表面抵抗が経時変化によって低減せず、転写チリなど
による画像の劣化も低減できる。また、CNTの摩擦係
数が小さいことから、ベルトの磨耗を抑制でき、ベルト
の長寿命化がおこなえ、製品のメンテナンスフリー、コ
スト低減につながる。
【0065】請求項22の発明は、請求項18の画像形
成装置において、上記転写材もしくは像担持体は、中間
転写体であることを特徴とする。カーボンナノチューブ
(以下CNT)が表面に突出した電荷付与材を用いるこ
とによって、オゾンやNOxが低減し、中間転写ベルト
の表面抵抗が経時変化によって低減せず、画像ボケや転
写チリなどによる画像の劣化も低減できる。また、CN
Tの摩擦係数が小さいことから、ベルトの磨耗を抑制で
き、ベルトの長寿命化がおこなえ、製品のメンテナンス
フリー、コスト低減につながる。
【0066】請求項23の発明は、請求項18の画像形
成装置において、上記電荷付与材はブレード形状である
ことを特徴とする。カーボンナノチューブ(以下CNT)
が表面に突出したブレード状の電荷付与材を用いること
によって、低電圧で転写が可能で、オゾンやNOxが低減
し、転写チリなどによる画像の劣化も低減できる。更に
特定領域にのみ電荷を供給でき、ニップ入口に電荷を与
えることがないため、プレ転写を抑制でき、転写チリに
よる画像の劣化を低減できる。
【0067】請求項24の発明は、請求項18の画像形
成装置において、上記電荷付与材はローラー形状である
ことを特徴とする。カーボンナノチューブ(以下CN
T)が表面に突出したローラー状の電荷付与材を用いる
ことによって、低電圧で転写が可能で、オゾンやNOx
が低減し、搬送ベルトなどの付加的な搬送手段を必要と
せず、転写チリによる画像の劣化を低減できる。
【0068】請求項25の発明は、請求項18の画像形
成装置において、上記電荷付与材はブラシ形状であるこ
とを特徴とする。カーボンナノチューブ(以下CNT)
が表面に突出したローラー状の電荷付与材を用いること
によって、低電圧で転写が可能で、オゾンやNOxが低
減し、転写チリによる画像の劣化を低減できる。また、
対向するものの磨耗を低減できる。
【0069】
【発明の実施の形態】図1に本発明の適用された電子写
真プロセスを用いた画像形成装置の画像形成部の概略図
を示す。画像形成装置1は複写機であり、その画像形成
部2はドラム状基体の外周面を被帯電体(感光体)3で
覆ってなる像担持体としての感光体ドラム4と、被帯電
体3を帯電させ初期化するための帯電器5と、静電潜像
を形成するための露光装置6と、静電潜像を顕像化させ
る現像装置7と、その静電潜像を記録材pに転写する転
写装置8と、記録材pの除電を行い感光体ドラム4より
記録材の分離を促す除電装置9と、被帯電体3上に残っ
たトナーをLEDアレイを用いての光照射により除去す
るクリーニング装置11と、分離された記録材pが搬送
されてくると記録材pにトナー像を定着する定着装置1
2、等から構成される。なお、転写装置8は記録材pを
搬送する転写ベルト13と、転写ベルトに転写電荷を供
給する電荷付与材14及び電源15から構成されてい
る。
【0070】感光体ドラム4は、金属ローラ16と、そ
の表面を一様に覆った例えばOPCのような有機光導
体、あるいは、Seやa−Siのような無機光導電体で
なる被帯電体(感光体)3とを備え、金属ローラ部16
は接地されている。帯電器5は、高圧電源によりマイナ
スの高電圧を感光体ドラム4に印加するものでよく、帯
電ローラーあるいは帯電ブラシ等が採用される。帯電器
5による印加により感光体ドラム4の周表面の被帯電体
(感光体)3はマイナス高電位に一様に帯電する。露光
装置である書込みヘッド6はレーザーヘッド又はLED
ヘッドから成り、感光体ドラム4のマイナス高電位に帯
電した周表面を画像情報に応じて選択的に露光する。こ
の露光によりマイナス高電位部の内の露光部が低電位部
に減衰して静電潜像が形成される。
【0071】現像装置7は内部に非磁性のトナーを収容
した現像器701を備え、その現像器は下部開口に現像
ローラ702を支持する。現像ローラ702は電源70
3からのマイナスの現像バイアスを印加され、トナーは
摩擦による弱いマイナス電位に帯電し、一定の層厚で現
像ローラ702の表面に付着する。このトナーを現像ロ
ーラ702が回転しながら感光体ドラム4との対向部に
搬送する。現像ローラ702と感光体ドラム4上の被帯
電体(感光体)3との対向部では、静電潜像の低電位部
と現像ローラ702との間に電位差が形成され、静電潜
像の低電位部は現像ローラ702に対して相対的にプラ
ス極性の電位を形成する。この電位差による電界によ
り、マイナス極性に帯電している非磁性トナーが被帯電
体(感光体)3のプラス極性の静電潜像低電位部に転移
してトナー像を形成する。この現像されたトナー像は感
光体ドラム4の回転によって感光体ドラム4と転写装置
8との対向部に搬送される。
【0072】感光体ドラム4と転写装置8との対向部に
は、転写ベルト13が張設されている。転写ベルト13
は水平方向に偏平なループ状に配置され、駆動ローラ1
7と従動ローラ18に保持されて、図1の矢印rで示す
反時計回り方向に循環移動する。搬送ベルト17は従動
ローラ19とこれに転写ベルト13を介して圧接する補
助ローラ21とで、図外の給紙部から給送されてくる記
録材pを挟持して、その記録材を感光体ドラム4に接触
させるべく搬送する。転写装置8の電荷付与材14は転
写ベルト13の上循環部内側に当接し、感光体ドラム4
と対向する位置に、転写ベルト13を挟み込むように配
置されている。電荷付与材14は、転写ベルト13に正
極性の電荷を印加し、この電荷は転写ベルト13の誘電
効果によって記録材に印加される。この電荷による電界
により、感光体ドラムに接触中の記録材pに感光体ドラ
ム上の負極性のトナー像が転写される。
【0073】トナー像を転写された記録材pは、転写ベ
ルト13により図の左方に搬送されて定着装置12にお
いてトナー像を熱定着され、図示しないトレイに排出さ
れる。以下、図1の画像形成装置1の主要部材である感
光体ドラム4上の被帯電体3と、感光体ドラム4と対設
される帯電器5及び転写装置8の各実施例を、以下、
[1]、[2]、[3]の順に説明する。
【0074】[1]被帯電体3について説明する。被帯
電体3のトラップ準位の数はその被帯電体材料によっ
て、または、その形成方法によっても大きく異なる。こ
の良い例に、半導体材料のSi、GaAsなどがある。
GaAsでは例えば液体成長の引き上げ法で作られる場
合は、バンドギャップ中央にEL2と呼ばれている深い
準位が大量に入っていることが知られている。これは気
相成長ではあまり入らないことが知られている。このE
L2は半絶縁体のGaAsを形成する時に有効に利用さ
れている。図1に示した第1実施例では被帯電体3を無機
感光体として構成し、a−Si(アモルファスシリコ
ン)を採用した。
【0075】a−Siは半導体であり、光導電性を示す
ことから、電子写真での感光体としても盛んに研究さ
れ、実機に搭載された実績もある。また、本発明のよう
にトラップ準位を取り扱う場合において、その制御が比
較的に簡便になされ、かつその評価方法など、多くの知
見があり、取り扱いやすい。通常、a−Siはスパッタ
法で成膜される。この時のターゲットはSiを用い、ガ
スにはArが用いられる。Arのみでのスパッタで形成
されるa−Siはトラップ準位(ダングリンングボン
ド)を多く含んでいる。スパッタを行うときに、Arに
を混ぜることによって、a−Si内部にHが混入す
る。このHはa−Si内部でパッシベーションを起こ
し、トラップ準位の数を低減する役割を果たす。つま
り、成膜スパッタ時にHの混入量によって、トラップ
準位の数を制御できる。通常、Hを含まない場合は非常
に多くのトラップ準位を持ち、そのの数は1020/c
程度である、それに対し、Hによるパッシベーショ
ンを行うことで、その準位は1*1015/cmまで
低減できることが知られている。また、表面準位に関し
ても、Si半導体技術により、表面準位をパッシベーシ
ョンする方法が開発されている。その方法を用いること
で表面準位も低減できる。
【0076】a−Si:Hではそのバンドギャップが狭
すぎで、高抵抗化及び波長感度が合わないという問題も
ある。そこで、先ほどのHのように、CO、O
、NOなどを混ぜる方法がある。これによってa
−Si内部にOやCが入り、a−Si:O:Hやa−S
i:C:Hになる。この時にC,Oが入ることによっ
て、バンドギャップが大きくなる。この制御もその混入
量によって行うことができる。バンドギャップが広がる
ことで、トラップ準位のエネルギー深さが増大し、プー
ルフレンケル伝導などが低減できる。プールフレンケル
伝導は電子写真プロセスなどの高い電圧を扱う際には重
要な役割を果たしており、これによる低抵抗化は避けな
ければ成らない。このため、C,Oを入れるなどして、
高抵抗化を図る。
【0077】バンドギャップは光学測定で行うことがで
き、トラップ準位は以下の方法で定量化した。
【0078】ここで、「トラップ準位の数評価法」につ
いて説明する。上述したトラップ準位は、表面準位を多
く含んでいる。このため従来のDLTS(Deep L
evel Transient Spectrosco
py)などの金属を蒸着して測定する方法は採用できな
い。そこで、本実施形態では、創意工夫し、表面準位を
含んだ形のトラップ準位を定量できる方法を試みた。表
面準位を定量する方法として、STM(走査トンネル顕
微鏡)などに用いられているトンネル電流を利用した。
トンネル電流は評価材料の表面に準位がないと流れな
い。また、流れた先で電荷が溜まっていき、帯電してし
まうとそれを越えて電流を流すことはできなくなる。つ
まり、準位が埋まってしまうと電流が流れない。このこ
とから表面にある準位を定量化することができる。この
評価はSTMを用いたため、大きな面積を定量化するこ
とはできないが、ある小さな領域から平均化した。印加
電圧は実施例及び比較例での印加電圧に準じ、その電圧
でのトラップ準位とした。
【0079】ここで、「請求項1のトラップ準位規制式
(1)の計算」について説明する。帯電に必要な単位面
積当たりの電荷数(N=Q/q)(トラップ準位の数)
を、4.3*1011/cm 程度と設定する。ただ
し、C,Vを以下の条件である、とした時、 Q=CV=7/10C ・ ・ ・(1) C=140pF/cm、 V=500V、 q=1.
6/1019C 被帯電体厚み:50μ、誘電率:8*8.8/1012
(F/m) とする。これによって、請求項1の条件内、即ち、帯電
効率を良好に保持できるか否かを判断できる。
【0080】次に、「請求項2のトラップ準位規制式
(2)の計算」について説明する。トラップ準位の数N
が多く存在しすぎると、トラップ準位間のホッピング伝
導現象が起きる。この伝導により抵抗値は下がり、帯電
状態を維持できなくなる。
【0081】そこで、トラップ準位はホッピング伝導が
問題にならない程度の量に規定することが必要となる。
ホッピング伝導は以下の式によって与えられる。 σ=σ’exp(−E1/kT) E1=q/(4πεR)、R=1/n1/3 ただし、σ:ホッピング伝導によって支配される伝導率
(1/Ωcm)、σ’:トラップ準位がないときの導電
率、k:ボルツマン定数、T:温度(K)、ε:誘電
率、R:トラップ間の平均距離(cm)、n:na、n
dの小さい方(個/cm)このσが所望の被帯電体暗
中導電率であれば良い。この式を書きかえることで、 n < { 4πεkT/q*log(σ’/σ)}・ ・ ・(2) という式になる。ここで単位体積当たりのトラップ準位
の数n(アクセプター:na、ドナー:nd)(密度)
がこの条件を満たすものであれば、ホッピングによる抵
抗値の低下は避けられる。ここでは、プールフレンケル
伝導による暗減衰が、所望の範囲に成るように、これを
支配する単位体積当たりのトラップ準位の数nが規定さ
れている。
【0082】次に、「被帯電体の実施例1」として帯電
効率を良好に保持できる特性を持つa−Siの被帯電体
を作製した。基板はAl素缶を用いた。ここでのトラッ
プ準位の数Nは1013(1/cm)、体積抵抗は1
13Ωcmで抵抗値低下が抑えられた。
【0083】帯電器5にはGaをボートに入れて用い
た。Gaは導電性が高い金属であり、また、常温で液体
であることから、被帯電体3との密着性が高い。このよ
うな理由から帯電電極として頻繁に使われている。ボー
トは樹脂で形作り、その内部にAl膜を形成し導電性を
持たせてある。AlとGaはオーミックがとれており、
Gaには電圧がかかっている。この帯電器5と被帯電体3
とを図1に示すように配置し、電圧を印加する。これに
よって被帯電体表面の帯電電位を表面電位計で評価す
る。 <評価方法> 温湿度 : 20℃ 50% 回転速度:200mm/sec 印加電圧:−500V として、表面電位を測り、その平均値を記録する。 <結果>−500V(V<0)印加に対し、−480V
の表面電位が示され(表1参照)、十分必要な電位を得
ることができた。次に、このような「被帯電体の実施例
1」に対しての比較例を記載する。
【0084】比較例1 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1013/cm 膜厚 10ミクロン 抵抗値 1013Ωcm であった。
【0085】比較例2 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1013/cm 膜厚 20ミクロン 抵抗値 1013Ωcm であった。
【0086】比較例3 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1013/cm 膜厚 30ミクロン 抵抗値 1013Ωcm であった。
【0087】比較例4 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1013/cm 膜厚 0.1ミクロン 抵抗値 1013Ωcm であり、この場合、膜厚が0.1ミクロンとなること
で、帯電に必要なトラップ順位の数Nは8.3*10
13/cmとなっており、請求項1を満たさなかっ
た。
【0088】比較例5 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1013/cm 膜厚 0.01ミクロン 抵抗値 1013Ωcm であり、この場合、膜厚が0.01ミクロンとなること
で、帯電に必要なトラップ順位の数Nは8.3*10
13/cmとなっており、請求項1を満たさなかっ
た。
【0089】比較例6 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1010/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1015Ωcm であり、帯電に必要なトラップ順位の数Nは4.3*1
13/cmとなっており、請求項1を満たさなかっ
た。
【0090】比較例7 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1011/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1014Ωcm であり、帯電に必要なトラップ順位の数Nは4.3*1
13/cmとなっており、請求項1を満たさなかっ
た。
【0091】比較例8 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1014/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1011Ωcm であった。
【0092】比較例9 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1015/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1010Ωcm であり、トラップ準位の数が多くなりホッピング伝導が
増大し、抵抗値が比較的下がる。しかし、これは、請求
項2の規定を逸脱していない。
【0093】比較例10 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1017/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 10Ωcm であり、ここでは単位体積当たりのトラップ準位の数が
多くなり(表1には体積面積当たりの値を示すが単位体
積当たりの値も同様に増加)、ホッピング伝導が増大
し、抵抗値が下がっている。これは、請求項2の規定
(請求項2のトラップ準位規制式)を逸脱している。
【0094】比較例11 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1018/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 10Ωcm であり、ここでは単位体積当たりのトラップ準位の数が
多くなり(表1には体積面積当たりの値を示すが単位体
積当たりの値も同様に増加)、ホッピング伝導が増大
し、抵抗値下がっている。これは、請求項2の規定(請
求項2のトラップ準位規制式)を逸脱している。
【0095】比較例12 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1013/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1013Ωcm である。ただし、本比較例では印加電圧を+500V
(V>0)として行った。トラップ準位測定でも+50
0Vとした。
【0096】比較例13 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1011/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1013Ωcm である。ただし、本比較例では印加電圧を+500V
(V>0)として行った。トラップ準位測定でも+50
0Vとした。請求項1を満たさなかった。
【0097】比較例14 「被帯電体の実施例1」と同様の方法でa−Siの被帯
電体を形成した。この場合、帯電器及び評価方法等はす
べて実施例1と同じにした。ここでは、 トラップ準位の数 1010/cm 膜厚 50ミクロン 抵抗値 1013Ωcm である。ただし、本比較例では印加電圧を+500V
(V>0)として行った。トラップ準位測定でも+50
0Vとした。請求項1を満たさなかった。
【0098】
【表1】
【0099】被帯電体3の実施例1ではトラップ準位の
数の制御という観点から無機材料を選択し比較例等の実
験を行った。「被帯電体の実施例2」では有機感光体へ
の展開を考えて、高分子材料への適用を考えた。高分子
材料と無機材料とは、帯電現象に対して大きな現象論的
な相違はない。ただし、高分子材料の方がトラップ準
位、特に表面準位が多い可能性がある。そこで、表面準
位を考慮して以下のような比較実験を行い。請求項1の
結果が高分子にも当てはまることを証明した。実験の方
法としては被帯電体3の厚さを制御することで、被帯電
体3の容量成分をコントロールする。これによって、請
求項1の規定が必要であることを示す。
【0100】「被帯電体の実施例2」ではPC(ポリカー
ボネイト)を利用した。PCフィルムは金属表面に溶媒に
溶かしたPCを塗布し、乾燥硬化させることで成膜した。
膜厚は成膜方法で制御した。トラップ準位の数nは同じ
材料であれば、ほぼ同じであるとして実験を行った。本
実施例を行う際にPCのトラップ準位の数を測定した。ち
なみに先の評価方法で求めたPCにおけるトラップ準位の
数は約1.7*1014個/cm程度である。
【0101】ここで、請求項1のトラップ準位の数式
(1)について説明する。帯電に必要な単位面積当たり
の電荷数(N=Q/q)を 8*1011/cm
度と設定する。ただし、C,Vを以下の条件とした時、 Q=CV=1.3/10C :C=260pF/cm
、 V=500V、q=1.6/1019C 被帯電体厚み:10μm、誘電率ε:3*8.8/10
12(F/m)、面積S:1/10とする。これ
によって、請求項1の条件内にあるか否かを判断でき
る。
【0102】評価システムは「被帯電体(無機)の実施
例1」で示した通りなので、ここでは割愛する。 比較例2−1 「被帯電体(有機)の実施例2」の膜厚を代える。これ
によって C=εS/d よりCが変化する。dを1ミクロンとした。本比較例で
は印加電圧を+500V(V>0)として行った。必要
なトラップ準位の数は8*1012/cmであった。 比較例2−2 「被帯電体の実施例2」における被帯電体(有機)の膜
厚を0.1ミクロンとする。本比較例では印加電圧を+5
00V(V>0)として行った。必要なトラップ準位の
数は8*1013/cmであった。 比較例2−3 「被帯電体の実施例2」における被帯電体(有機)の膜
厚を10nmとした。本比較例では印加電圧を+500V
(V>0)として行った。必要なトラップ準位の数は8
*1014/cmであり、トラップ準位の数が多くな
りホッピング伝導が増大し、抵抗値が下がる。これは請
求項2を満足していない。
【0103】
【表2】
【0104】次に、「被帯電体(有機)の実施例2」に
おける被帯電体3の断面構成について説明する。この有
機感光体は図5に示すように表面から表面保護層A1、
電荷発生層A2、電荷輸送層A3、下引き層A4及び基
体A5からなる。以下に順に説明する。
【0105】表面保護層A1 表面保護層A1は透明で機械強度の高いものを利用す
る。材料としては、市販のポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリウレタン、アクリル、エポキシ、シリコー
ン、アルキド、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹
脂を用いることができる。本実施例では電荷発生層や電
荷輸送層で、バインダーとして用いられているポリカー
ボネイトを利用した。ポリカーボネイトは実施例2で示
したPETと類似した骨格を持っており、帯電特性的に類
似している。これは先の説明で言うトラップ準位の分布
状態が類似していることによっている。更に後述のトラ
ップ準位の評価により、請求項1及び2,3を満足する
結果を得ている。また、強度及び分散性を向上させるた
めの検討を行なった結果、これを感光体の感光層上に塗
布形成した表面層を用いることで、膜強度が飛躍的に向
上した。
【0106】電荷発生層A2 電荷発生層A2は従来のデジタル用に用いられてきた長
波長(780nm)のものを用いた。CGMとして、スク
エアリリウム色素、無金属フタロシアニン系、金属フタ
ロシアニン系、アズレニウム塩色素、チアピリリウム塩
や多環キノン系、ペリレン系又はアゾ顔料系及びアゾ顔
料等である。これらをポリビニルプチラール樹脂などの
バインダー材料に入れた。これらをポリビニルプチラー
ル樹脂などのバインダー材料に入れた。膜厚は1ミクロ
ンから10ミクロン程度で、スプレー塗工によって形成
した。
【0107】電荷輸送層A3 本実施例の電荷輸送層A3には従来から用いられている
ホール輸送用の材料を用いた。電荷輸送剤としてはオキ
サジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン誘
導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導
体、トリアリールアミン誘導体、ジフェニルメタン誘導
体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ポリビニル
カルバゾール、ポリシラン誘導体などである。バインダ
ーとしてはポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂を
利用した。移動剤の濃度は50%程度とした。膜厚は2
0ミクロン程度でディッピングコーティング法によって
形成した。
【0108】下引き層A4 下引き層A4は感光体の帯電性を改善し、また、基体に
対する感光層の接着性や塗布性を向上することを目的と
している。用いられる材料としては、例えば、単層構成
ではポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化
ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、エポキシ
樹脂、ポリエステル、メラニン樹脂、シリコン樹脂、ポ
リビニルブチラール、ポリイミドなど樹脂、又はそれら
の共重合体などが挙げられる。また、カゼイン、ゼラチ
ン、ポリビニルアルコール及びエチルセルロースなども
用いられる。また、Ag,Cu,Ni、Au、Biなど
の金属やカーボンで実現される導電性粒子を接着剤に分
散させた膜も有効である。酸化スズ又はアルミナによっ
て表面処理された酸化チタンを含有する層も有効であ
る。また、アルミナで被覆された酸化チタン微粒子やチ
タンネート系カップカップリング剤によって表面処理さ
れた酸化チタン、シラン化合物、フッ素含有シラン化合
物によって表面処理された金属酸化物粒子を接着剤に分
散した層などが用いられる。
【0109】基体A5 基体A5は導電性があり、機械強度高く、低製造コス
ト、膜の密着性が良いなどの特性を有するものが良い。
そこで、一般的な金属が用いられ、例えば、Al、SU
S、Fe、Ni、Cu、Mg、Ag、などが挙げられる
が、今回はAlを用いた。また、アクリル等の絶縁性材
料の上に金属膜を形成することによって代替品として用
いることもできる。
【0110】[2]帯電器5、について[2−A]乃至
[2−H]の各実施例を順に説明する。 [2−A]帯電器の実施例1 「帯電器の実施例1」としてのローラ帯電器5aは、図
2、図3に示すように、ローラ型であり、画像形成装置
としての複写機1aの被帯電体に電圧を印加する機能を
有し、導電性の円筒基体20とその外周を覆う弾性体か
らなる導電性弾性体21と表面のCNT(カーボンナノ
チューブ)含有の中抵抗層22からなる積層構成を採
る。 ローラ帯電器5aの基体を説明する。
【0111】円筒基体20である導電性基体はAl、S
US、Feなどの金属導体や、もしくはアクリル樹脂、
プラスチックの絶縁体の表面に導体膜を形成したものが
良い。体積抵抗が1/10Ωcm以下であれば、各種
の導電剤を配合した樹脂やゴムも使用することができ
る。今回は製造工程の製造コスト等からアルミを採用し
た。アルミを20mmΦで厚み2mmの円筒状に加工し
た後、表面を密着性が良くなるように、グラインダーで
0.1mmオーダーのラフネスをつける。この上に図3
に見られるように厚みが5mmの導電性弾性体21をつ
ける。
【0112】基体樹脂を説明する。導電性弾性体21
は弾性を有する母材に導電性の粒子を分散したものであ
る。母材にはポリエステル系エラストマー、ポリアミド
系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、軟質塩
化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロッ
ク共重合体エラストマー、アクリル系エラストマー等の
各種熱可塑性エラストマーが好適であるが、他にナイロ
ン6、ナイロン6,6、ナイロン6−ナイロン6,6共
重合体、ナイロン6,6−ナイロン6,10共重合体
や、メトキシメチル化ナイロン等のアルコキシメチル化
ナイロンの如きポリアミド、コポリアミド或いはそれら
の変性体、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等の
アセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、アイオノマー等も使用できる。ゴムとして
は、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブタジ
エン−スチレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エチ
レン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン
−非共役ジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチ
ルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム
等が好ましい。今回はシリコーン樹脂を採用した。分散
した導電性粒子としては、導電性カーボンブラックや、
銀、金、銅、黄銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレ
ススチール等の金属粉や、酸化スズ系導電剤等の粉末導
電剤を用いることができ、他に、非イオン系、陰イオン
系、陽イオン系、両性系等の有機導電剤や、有機スズ系
導電剤を用いることもできる。また、導電剤の均一分散
を有効に行うためには、アクリル酸、メタクリル酸、無
水マレイン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸等を共重
合させた酸変性樹脂やゴムを一部使用することも有効で
ある。図3の導電性弾性体21は導電性粒子としてカー
ボンブラックを採用した。
【0113】このカーボンブラックは熱で溶融された母
材のシリコーン樹脂の中に分散され、これを型にはめ、
冷却することで所望の形状の固体を得ることができる。
この様に得られたものは、その材料比によって、導電性
を適当に調節することができる。今回は10Ωcm程度
の抵抗に調節した。 このように形成された導電性弾性体21の表面を覆う
表面樹脂を説明する。
【0114】表面樹脂は、CNT(カーボンナノチュー
ブ)を含有した中抵抗の層22を1層成膜し、表面に突
起状の形状を形成する。上記導電性弾性体上に設けられ
る中抵抗の膜としては、導電剤の配合と層厚により適当
な抵抗値を有する様に調整された樹脂やゴムが使用され
る。この樹脂、ゴムの種類は、前述したものと同様のも
のであってよいが、これら以外にも、フッ素系の樹脂ま
たはゴム、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P
TFE・HFP)、パーフルオロアルコキシ系フッ素樹
脂等が好適に使用される。特にこれらフッ素系の樹脂や
ゴムを使用すると、不活性でしかも摩擦係数が小さいた
め、被帯電体(感光体)3や帯電ローラ5aの寿命の点
で大きなメリットがある。今回はPVDFを採用した。
PVDFの機械強度は被帯電体に比べ、小さくなるよう
に調整する。なお、、中抵抗層22の抵抗値は、1x1
0 〜1x1010Ωcm、特に1x10〜1x10Ω
cmのものである。この樹脂の中にCNTを含有する。こ
のCNTもフィラーとして作用することから、このCNTとカ
ーボンブラックによって抵抗を制御した。CNTの濃度は
10wt%、カーボンブラックは5wt%程度で所望の
抵抗値を得た。
【0115】この抵抗制御には以下のようにピンホール
対策としての計算をもとにした。 <計算>ピンホール面積と帯電面積の比=1:10
(但し、ピンホール面積100μm、帯電面積2*
300mm)(つまり図4の等価回路で「Rb’=Rb
*10」とする。) ショートによる影響を1割減で抑えたいのならば、10
*(Rb+Rc+Ropc)=Rb’とすれば良い。 「Rb’=Rb*10」を代入してRb+Rc+Ro
pc=Rb*10 Ropc=Rb*10 OPC体積抵抗率1012Ωcm(暗抵抗)、厚さ50
ミクロンとして Rb=5*10Ωcm(厚さ1mm程度) なお、このピンホール対策を施した帯電器の他の実施例
を帯電器の実施例4〜6として後述する。
【0116】表面部材(導電性弾性体の表面を覆う表
面樹脂)に必要な特性を説明する。本実施例での表面部
剤には微少突起物を用いた。微少突起とは基体樹脂の表
面もしくはその内部によって強固に固定されている極細
い線を指している。この微少突起によって接触確率を向
上させることをねらっている。この微少突起は帯電を施
す時に、直接被帯電体(感光体)3に触れ、もしくは空
中を介して、電荷の授受を行う。主な電荷の授受は接触
して、電荷を注入すると考えている。そのため、できる
だけ頻度が高く接触することが望まれる。また非接触に
おける電界放出も同時に起きていると考えている。この
場合、できる限り短い距離で、微少突起と被帯電体とが
対面することが望まれる。これによって効率よく電荷を
被帯電体に送り出すことができる。
【0117】微少突起は被帯電体3に直接触れることが
あることから、できるだけ摩擦の少ない材質が望まれ
る。通常接触帯電器の場合、被帯電体3より柔らかい材
質で表面を加工し、できるだけ被帯電体を傷つけないよ
うに工夫している。実機に良く使われるている有機系の
被帯電体は特に表面が柔らかく、このような配慮は重要
である。特に近年、高精細化を実現する感光体層の薄膜
化が進んでいる。現在は数十ミクロン程度の膜厚である
が、今後数ミクロンになるのは必至である。また、現在
のクリーニングブレードにより削れる厚さがやはり数ミ
クロンといわれ、今後このような機能をも変える必要が
ある。また、市場からは感光体の高寿命化が要求されて
おり、この帯電器による感光体へのダメージを低減する
機能への要求は高くなっている。
【0118】このように感光体(被帯電体)3(図5参
照)にダメージを与えないように、帯電器5a側に潤滑
性を持たせる必要がある。通常の潤滑剤はオイルなどの
液体状のものが多く、感光体3においてもシリコーンオ
イルなどを利用した定着プロセスなどは有名である。本
プロセスでも、帯電器と感光体間にオイルなどの液体状
のものを利用することは不可能ではない。しかし、オイ
ルが感光体側に残ることによって起きる画像流れ、帯電
不良、露光不良、転写不良などが考えられる。そこで、
本発明では帯電器側に固体潤滑性を持たせることとし
た。この固体潤滑剤としてはグラファイトやMoS2、
テフロン(登録商標)などで見られる層状の効果でも構
わない。層状の潤滑性のメカニズムは全てが明らかにな
ったとは言い難いが、このような層状の効果によるもの
でも感光体に対する悪影響はない。微少突起も被帯電体
3に直接触れることから、その材質として潤滑性を有し
たものが望まれる。
【0119】CNT(カーボンナノチューブ)はグラフ
ァイト同様に潤滑性を有することが期待される。先の報
告では、理論計算ではあるが、ナノオーダーで起きる現
象により、転がり摩擦より、滑り摩擦のほうが小さいと
いう報告もある。当帯電器に用いる固体潤滑剤の場合、
転がり現象を用いる訳にはいかない。つまり、滑り摩擦
が起きることは避けることができないが、このように、
微少突起をより細くすることで、このような潤滑性を増
強できる可能性を示している。つまり、微少突起を細く
することは接触面積を稼ぐだけではなく、摩擦係数を下
げることが可能であることをも示している。
【0120】微少突起には帯電する時に電荷を流すため
の導電性が必要である。帯電器トータルの抵抗値は先に
示した式にも現れているがより小さい方が帯電能力の向
上からは好ましい。また、ピンホールに対する対抗策と
して、帯電器側の抵抗値を上げる必要がある。これは先
に述べたように、被帯電体に近い側、微少突起でのコン
トロールがより望ましい。しかし、今回、このコントロ
ールは固定樹脂によって行い、微少突起はできるだけ抵
抗を小さくするように設計した。電界放出においては、
微少突起物として、先端ができるだけ鋭利に尖ってお
り、表面の仕事関数は小さいほうが望まれる。また、本
発明は大気中で用いることから、酸化膜などによる仕事
関数の増大は大きな問題となる。例えば、抵抗値の低く
安価なAlなどの金属では、通常最表面には金属酸化物
ができることが知られており、本発明には採用しがた
い。
【0121】細いほうが良いことを先に述べたが、この
細さへの要求と強度に対する要求とはトレードオフの関
係になるかもしれない。この関係においても十分な細さ
と強度を兼ね備えた材料を探し出すことが非常に重要で
ある。微少突起を構成する材料として、必要な要素とし
て製造コストがある。極細い材料としてはいくつか研究
レベルで考えられているが、実際に本発明で用いるよう
な生産レベルに達している材料は少ない。しかし、本発
明では通常のコロナ帯電器などの代用を考えると、同レ
ベルのコストパフォーマンスが望まれる。
【0122】以上に示してきたように、微少突起に対す
る要求として、(a)細さ(ナノオーダー)、(b)導
電性、(c)耐摩擦性(機械的強度)、(d)可撓性、
(e)化学的安定性、(f)コスト、(g)潤滑性、を
兼ね備える材料が必要である。このような条件をいくつ
か満たす材料には金属製のウィスカーやWS2のナノチ
ューブやCBのナノチューブなどさまざまなものが考え
られる。しかし、全ての面でバランス良く、このような
特性を持っているものはCNTだと思われる。
【0123】ここで帯電器5aに用いるCNT(カー
ボンナノチューブ)について説明する。帯電器5aの表
面部材はその加工の優位性から樹脂、ゴムなどを用いる
のが一般的である。本発明でもそのような優位性を必要
とすることから、そのような部材が望まれる。また、微
少突起は被帯電体3に接触するなど、機械的摩擦に耐性
があることが望まれる。そのような要請からCNT(カ
ーボンナノチューブ)を利用することが最適である。
【0124】CNTはその名の通り、ナノオーダーの径
をもち、かつミクロンオーダーの長さを持つことで知ら
れ、近年1991年NEC基礎研究所の飯島澄男氏によ
って発見された。材質はカーボンのグラファイト層をシ
ームレスに筒状にしたもので、その層も単層から数百層
の多層まで様々な種類がある。また、先端はカーボンの
5員環などを含んで閉管しているものや、そのまま開管
しているものと様々である。その生成方法は、当初、ア
ーク放電法によるものであったが、より高効率の金属触
媒を用いたCVD法やレーザーアブレーション法などに
よって、大量に作られれるようになり、身近な材料にな
りつつある。
【0125】基礎物性に対する研究もその特異な形状か
ら発見当初より精力的になされ、特にその電気的特性が
金属的であったり、半導体的であったりすることは、第
一原理計算から予想された。その他にもその機械強度が
非常に高いことや鋭利に屈曲しても破断せずに元に戻る
ことなど、サイズが小さく評価が困難であるにも関わら
ず、様々なことが判ってきた。また、表面がグラファイ
ト層で形成されていることから、非常に化学的に安定で
あることが知られる。その反面、エポキシ樹脂に等には
適当に分散し、その界面での密着性はかなり高く、硬く
固定できようになってきている。このため、ナノサイズ
ではあるが樹脂に埋め込むなどして、ハンドリングなど
も容易にできるようになってきている。また、その材料
がグラファイトに近いことから固体潤滑剤としてのポテ
ンシャルをも持ち合わせている。その上、先の報告では
ナノオーダーでの摩擦係数は転がり摩擦より滑り摩擦の
方が小さいというものもある。まだ、カーボンナノチュ
ーブの潤滑性については多くの報告はなされていない
が、潤滑剤としてのポテンシャルは高いことが期待され
ている。
【0126】応用面ではそのアスペクトの大きさと導電
性から、高い不平等電界を生成することができ、フィー
ルドエミッション型ディスプレーの電界放出源として注
目されている。また、その表面性の高さから、従来活性
炭などが用いられていた電池の電極や、ガス吸着物質と
しても注目を集めている。機械強度を利用した例として
は、樹脂強化のために樹脂に分散させたり(O.Lou
rie A.P.L.73(1998)3527)、ミ
クロ世界でのアクチュエータへの応用の報告(Ray
H. Baughman SCIENCE 284
(1999)1340)がされている。
【0127】以上、述べてきたようにカーボンナノチュ
ーブは先の微少突起に対する要件を概ね満たしており、
本発明ではこの材料が最適であると考えている。しか
し、本発明では上の要件をすべてクリアしなければなら
ないわけではないので、カーボンナノチューブに限ら
ず、その他の炭素繊維、WSナノチューブ、CBナノチ
ューブ、SiCナノチューブ、金属ウィスカー、などの
極細い繊維であれば、適用することができる。
【0128】CNT製造方法について説明する。CN
Tを用いた帯電器の製造方法としては以下のような方法
が考えられる。 (a)樹脂分散型 (b)電気泳動式植毛型 (c)CVDによる表面成長型 なおCNTの生成法、接合法については特開2000−
347478号公報の実施例に詳細が記述されている。
【0129】CNTはアーク放電法及びCVD法などで
合成できることは先に述べた。今回はアーク放電法によ
って形成したものを用いた(Bukky−USA製)。
これを乳鉢などで適当に粉砕し、先のブラシ素材である
ナイロン溶液に混ぜ込ませる。この時にナイロンはドー
ピングによって抵抗値を制御しておく。CNTの濃度は
10wt%程度になるように混ぜた。これは突出密度と
ナイロンブラシ強度とのトレードオフによって調節して
いる。このように混ぜ合わせたナイロン樹脂を噴出法に
よって繊維化する。この時にナイロン繊維の直径は15
ミクロン程度に制御した。この後、パイルによってブラ
シ化する。一本一本のブラシは固定布によって、固定化
される。この時の密度は120本/mmとした。長さ
は2mm程度とする。この状態で、ブラシを酸素プラズ
マに暴露する。酸素プラズマはナイロン樹脂を酸化させ
る。CNTも若干酸化するが、その速度が大きく異なる
ことで、選択的にエッチングできる。このプラズマ暴露
を30分ほど施し、ブラシ径を15ミクロンから10ミ
クロン程度まで細線化する。この時、CNTがブラシ表
面から微少突起として露出することになる。この密度は
1本/μm程度となる。突出長さは1μm(ミクロ
ン)程度である。この後に、このブラシ布を基体に固定
することで完成する。
【0130】ローラ帯電器5aの研磨工程を行うクリ
ーナーを説明する。図2に2点鎖線で示すように、ロー
ラ帯電器5aに設置されるクリーナー19の役割はロー
ラ帯電器5aの表面を常に研磨し、表面を適当なラフネ
スに維持し、かつ表面から新鮮なCNTを突出することで
ある。このため、先に述べた研磨工程をこのクリーナー
19で施せるようにする。クリーナー19は機械強度が
高く、常に適当な突起状態を維持できる部材を用いる。
その用途にはAl、SUS、Fe、などの金属または合
金か、もしくはアクリルやエポキシなど機械強度が高い
樹脂、シリカやガラスその他の酸化物など無機物が適し
ている。今回はSUSを用いた。このクリーナー19も
ローラー状になっており、SUS表面に帯電器の樹脂が
付着した時に取り外せるようにしてある。SUSの表面
はミクロンオーダーのラフネスを設けており、このSU
Sがローラー帯電器5aとは異なる回転スピードで接触
することで帯電器のローラー表面を研磨する。押し圧を
調節することで、その削れ量を制御でき、ローラーの厚
さが1mm程度であるから、500*10枚程度の寿
命を持たせるために、1nm/回転程度になるように調
節した。
【0131】上述のローラ帯電器5aの駆動方法を説
明する。動作方法は通常のローラー帯電器5aに準ず
る。電圧はDCとして、その印加電圧は300Vとし
た。この値により、請求項2は満足している。このた
め、通常の放電は起きることなく、オゾンの発生も防止
できている。このことはオゾン検知機などで調べること
ができる。感光体の回転速度は60cpmに対応できる
ように設計した。本実施例では、このスピードでも満足
できる帯電能力を得た。 [2−B]帯電器の実施例2 図2の複写機1aの帯電器5a(実施例1)はローラ帯
電器5aであったが、これに代えて「帯電器の実施例
2」としてブレード形式を採用しても良い。図6のブレ
ード形状のブレード帯電器5bは、図2の複写機1aの
帯電器5aに代えて採用される。図12(a)、(b)
に示すように、ローラ帯電器5aの接触面積s1に比べ
表面で滑ることで、接触面積s2を増大させることがで
きる。このブレード形状部位外は図2のローラ帯電器5
aで述べたとほぼ同じ構成を採り、各部材も同様で良
い。ニップnpは2mmになるように設計し、抵抗値、
厚み、表面ラフネスなども図2のローラ帯電器5aに準
ずる。ローラ帯電器5aと同様にブレード表面にはCN
Tが突出しているように加工した。
【0132】[2−C]帯電器の実施例3 図2の帯電器はローラー帯電器5aであったが、これに
代えて「帯電器の実施例3」としてブラシ型を採用して
も良い。ブラシ型帯電器5cの基本構成を図7、8、9
に示す。ブラシ型帯電器5cはブラシを固定する基体2
2とブラシ23及びそのブラシに固定化されているCN
T24(図8参照)からなる。それぞれの部分は他の帯
電器でも必要な共通の要素であるから、はじめにそれら
の要素について説明する。
【0133】ブラシ型帯電器5cの基体22を説明す
る。基体22の機能は、導電性で電流を流し、かつブラ
シを均一に強硬に固定することである。また、基体と被
帯電体3の間にはある一定の圧力がかけられ、これによ
って、ブラシ23は被帯電体3に接触している部分でそ
の弾性を持って曲がり、規定の押し圧になるようにてい
る。この圧力も被帯電体の長手方向に均一になるように
する必要がある。基体は長手方向の末端2点で支持され
ていることから、その支持されている点とそこから離れ
た位置での押し圧が大きく変わらないように、基体22
自体の機械強度がある程度必要となる。
【0134】図8に示すように、基体22には、導電性
及び強度が必要なことから、樹脂層221に機械強度と
固定層222による導電性と機能分離した形の構成をと
った。樹脂を選んだ理由は適当な強度を得られ、かつ軽
量で安価であり、複写機1の筐体にも用いられ、リサイ
クルの観点などから考えても、メリットがあると判断し
たからである。樹脂の材料はそのような観点から見て
も、PC、ABSなどリサイクルしやすいように、複写
機の筐体などと同様の材料が好まれる。また、その必要
な強度及び軽量化から、その形状は工夫した。ただし、
このような樹脂に限ることなく、機械強度や、コストの
面からSUS、鉄、その他金属、合金、樹脂などとの複
合材料なども、基体材料としては様々なものが利用でき
る。
【0135】この基体22の下側(被帯電体3側)には
導電性があり、かつブラシを固定することができる固定
層222を形成する。樹脂基体221との密着性が必要
であるため、樹脂基体の接着表面は適当に荒らしたよう
に形成した。固定層222の長手方向の末端からオーミ
ックコンタクトをとり、配線を繋ぐ。配線は固定層22
2の両端からとり、できるだけ固定層222による電圧
低下の影響が帯電状態にでないように工夫した。配線に
よって、被帯電体3と固定層222との間に電圧が印加
できるようになる。固定層の材料はその製造方法からく
る制約で決められているところが大きい。ブラシ23と
の接触がオーミックでありできるだけ接触抵抗を下げら
れようにする。そのため、今回はブラシ23に用いられ
ている、導電性樹脂を塗布することによって用いた。た
だし、この固定層は導電性があり、ブラシを固定できれ
ば、AlやCu、Au、Inなどの低融点金属、その他
導電性樹脂なども利用することができる。
【0136】ブラシ型帯電器5cのブラシを説明する。
ブラシ23は基体22に固定され、また、その先端にお
いて微少突起を固定し、かつ基体と被帯電体との間にか
かる応力をその弾性によって支持しなければならない。
ブラシが機能している状態を図7にイメージとして示し
ているが、応力によって適当に撓る必要がある。これに
よって、被帯電体と微少突起との距離ができるだけ短か
くなるように調節できる。この場合、ブラシは被帯電体
に1部接し、その応力を支持していればよく、ブラシが
被帯電体と積極的に大きな面積を接している必要はな
い。接触面積が大きくなれば、それだけ接触抵抗を低減
でき、注入による帯電能力が向上する。電界放出など非
接触型の帯電現象はその空間ギャップにより大きく影響
するので、できるだけ微少突起と被帯電体との距離は短
い方がよい。そのために先に示した図7のようにブラシ
23は撓っていることが必要である。ブラシ23が上述
のように撓るために、押し圧とブラシ23の密度及びブ
ラシの強度(弾性力)を最適化する必要がある。また、
その機械強度は被帯電体3を削らないように調節する必
要がある。ブラシの弾性はその長さ、細さ、材質など決
められる。今回はナイロンを用いた。この他にも繊維形
状にし易いものであれば、PET、PES、弾性のある
エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル系、
などが適当だと考えらる。また、このような材質に限ら
ず、本発明の帯電器5cは形成することができる。
【0137】このように、ブラシ23は導電性をもち、
かつ固定層222及び微少突起との間に大きな接触抵抗
を持たないように工夫する必要がある。ブラシ23の材
料としては導電性のナイロン樹脂を用いる。樹脂に導電
性を持たせる方法として、カーボンブラックや金属粒子
を分散させる方法がある。今回は高分子のネットワーク
にTCNQとTTFなどの不純物をいれる方法を取っ
た。この方法の方がより微細に均一に導電性を得ること
ができる。前者の方法では導電性微粒子の分散の不均一
性や、少なくともその粒子以下の均一性を得ることがで
きない。これによって、固定化した微少突起のなかで、
この導電性粒子からの距離如何によっては、基体との導
電性を得られないものが出てくる。画像での帯電ではミ
クロン以下程度のオーダーは無視できるが、本発明での
微少突起は1桁から2桁近く細いものをも考えているの
で、このオーダーでの不均一性は、十分に考慮しなけれ
ばならない。
【0138】ブラシ23の抵抗値は、被帯電体3の抵抗
値に比べ、大きいことが望まれる。これは被帯電体3の
ピンホール対策として必要なものであり、これによっ
て、被帯電体3のピンホールに微少突起やブラシが接触
しても、そこへの電荷集中を避けることができる。帯電
器5cの抵抗値は基体22でコントロールすることよ
り、ブラシ23でコントロールされていた方が、ピンホ
ールに接した時に起きる電圧低下する領域が小さくてす
む。例えば帯電器5cの根元でコントロールしている場
合は、1部がショートすることで、帯電器全体での電圧
降下を引き起こす。それに対し、ブラシ23で抵抗をコ
ントロールしている場合は、そのショートしている微少
突起を支持しているブラシ1本分以外は影響を受けな
い。また、帯電能力としては、抵抗値はより小さい方が
望まれる。それは、その抵抗値が直列的に等価回路には
いることを考えると判断が付く。このようにブラシ23
の抵抗値はこの2つの観点から最適化することが望まれ
る。ドープしたTCNQとTTFの量を変化させること
で、ブラシの抵抗をコントロールすることができる。
【0139】ブラシ23の形状は、帯電器5cの帯電能
力という観点から考えると、微少突起を高密度にするこ
とが望まれる。そのために、ブラシを細くし、高密度化
を図る必要がある。微少突起からの帯電は微少突起と被
帯電体3との距離に大きく依存し、できるだけ、距離は
小さいほうが良い。この微少突起化及び高密度化のスペ
ックをできる限り満足し、製造が可能なものが、現実的
に作製できる帯電器となる。製造方法としては、より低
コストになるように、簡便な方法が望まれる。また、寿
命、機械的耐性なども念頭において、適当な形状になる
ものを設計しなければならない。
【0140】微少突起及びCNTについては図1、2の
ローラ帯電器5aにおいて記述したものでよく、重複説
明を略す。このような「帯電器の実施例3」としてのブ
ラシ式帯電器5cの仕様を図9に示した横からの概要図
とともに説明する。本実施例3は先に示した各要素をそ
れぞれ組み合わせることで構成している。製造方法等は
先に述べたのでここでは重複説明を略す。 <基本仕様> 基体 材質:ABS樹脂 幅:3mm 被帯電体への押し込み:0.5mm 固定層 TCNQとTTFをドープしたナイロン樹脂 ブラシ 直径:10μm、長さ:2mm、密度:120本/mm 材質:TCNQとTTFをドープしたナイロン繊維 CNT 直径:10〜25nm、長さ:10μm以上 材質:多層カーボンナノチューブ 合成法:アーク放電 突出方法:酸素プラズマアッシング法 導電性接着剤 材質:熱硬化型エポキシ系導電性接着剤 印加電圧 −500V 帯電能力 30cpm 次に、ブラシ式帯電器5cの印加電圧を3ブロック5c
−1、5c−2、5c−3に分けた(3段ブレードブラ
シ型)仕様の概要を図10に示した。
【0141】図10には3段ブレードブラシ型仕様の帯
電器5c’を横から見た概要を示す。それぞれのブロッ
クの間にはPETフィルム25を挟み、それぞれのブロ
ック間でのショートを防いでいる。それぞれの電位を−
200,−400,−500Vとした。これによって放
電することなく帯電した。 <基本仕様> 基体 材質:ABS樹脂 幅:2mmのものを3ブロック 被帯電体への押し込み:0.5mm 絶縁フィルム PETフィルム:0.5mm 固定層 TCNQとTTFをドープしたナイロン樹脂 ブラシ 直径:10μm、長さ:2mm、密度:120本/mm2 材質:TCNQとTTFをドープしたナイロン繊維 CNT 直径:10〜25nm、長さ:10μm以上、 材質:多層カーボンナノチューブ 合成法:アーク放電、精製:遠心分離法と限外ろ過法の併用 突出方法:酸素プラズマアッシング法 導電性接着剤 材質:熱硬化型エポキシ系導電性接着剤 印加電圧 −200V,−400V,−500V 帯電能力 30cpm 次に、ブラシ式帯電器(ブラシローラー型5c”)仕様
の概要図を図11に示した。
【0142】図11に示すようにここでのブラシ式帯電
器5c”はブラシローラー型とし、ローラ基体27には
先に述べたブラシ布、即ち、CNT24付のナイロン繊
維製の各ブラシ29を固定布によって固定してなるブラ
シ布を巻きつけてある。ローラ基体27の回転数は被帯
電体3の回転数の3倍としてその回転方向は逆向きとし
た。これによって60cpmの帯電能力を得た。 <基本仕様> 基体 材質:SUS 半径:10mm 被帯電体への押し込み:0.5mm 固定層 TCNQとTTFをドープしたナイロン樹脂 ブラシ 直径:10μm、長さ:2mm、密度:120本/mm2 材質:TCNQとTTFをドープしたナイロン繊維 CNT 直径:10〜25nm、長さ:10μm以上 材質:多層カーボンナノチューブ 合成法:アーク放電、精製:遠心分離法と限外ろ過法の併用 突出方法:酸素プラズマアッシング法 導電性接着剤 材質:熱硬化型エポキシ系導電性接着剤 印加電圧 −500V 帯電ローラ動作 被帯電体回転数の3倍 帯電能力 60cpm [2−D]帯電器及び被帯電体の他の実施例 次に、被帯電体3のピンホールの帯電影響を考慮した
「帯電器」及び「被帯電体」の他の実施例について説明
を追加する。
【0143】図13は実施例4としての接触型であるブ
ラシ式帯電器(ブラシローラー型)5dを用いたもので
あり、ブラシ式帯電器5dに用いられる電性繊維がカー
ボンナノチューブで構成されている。本発明のブラシ式
帯電器5dは金属芯31上に抵抗層32が形成され、更
に抵抗層32上にカーボンナノチューブ30が保持され
る構造となっている。そしてブラシ式帯電器5dは主に
カーボンナノチューブ30で被帯電体であるOPC3a
の表面と接触している。
【0144】「被帯電体の実施例3」としてのOPC3
aはドラム形状のAl基体3a1と有機感光層3a2か
ら構成されており、必要に応じてAl基体3a1と有機
感光層3a2の間に電荷注入阻止層が設けられている。
図示されてはいないが、ブラシ式帯電器5dの金属芯3
1は外部の直流電源に接続され、主にカーボンナノチュ
ーブ30から有機感光層3a2に直接電子を注入(つま
り負帯電の電荷注入)することでOPC3aを帯電させ
ている。なお、一部の電荷はカーボンナノチューブ30
から電子が電界放出によって引き出され有機感光層3a
2を帯電しても構わない。
【0145】電荷注入は接触型帯電器5dと有機感光層
3aの接触部で直接電荷の授受を行うため、実用的な注
入速度を得るためには接触型帯電器5dと有機感光層3
aの接触面積を大きくしなければならない。しかしなが
ら一般的には帯電ブラシの導電性繊維の直径は10〜2
0μm程度であり、OPC3aが高速回転する高速な画
像形成装置では十分な接触面積を確保することはできな
かった。また注入速度の向上の他に、実際のOPC3a
の有機感光層3a2にはピンホールがあることが多く、
有機感光層のピンホールと接触型帯電器が接触した場合
の過電流によって生じる直流電源の電圧低下を抑制する
必要があった。
【0146】本発明者は上記の問題を鋭意検討を重ねた
結果、以下の発明に至った。ここではOPC3aと極細
い構造を持つカーボンナノチューブ30が接触すること
と、カーボンナノチューブ30と金属芯の間に抵抗層3
2を介在させたことにある。ブラシ式帯電器5dでは有
機感光層3a2とカーボンナノチューブ30が接触する
構造となるため、有機感光層3a2のピンホールともカ
ーボンナノチューブ30で接触する。カーボンナノチュ
ーブ30は極細い径を持つため、有機感光層3a2のピ
ンホールから流れ込む電流はカーボンナノチューブ1本
当たりでは大きな電流密度になる。カーボンナノチュー
ブは大気中で1本当たり10−8〜― A以上の電流を
流すと発熱し、空気中の酸素によって酸化され先端が消
耗してしまうので、ピンホールと接触したカーボンナノ
チューブ30は瞬時に先端が短くなり、有機感光層3a
2のピンホールから離れる。つまり有機感光層3a2の
ピンホールと接触したカーボンナノチューブ30の先端
が消耗することによって、ブラシ式帯電器5dが有機感
光層3a2のピンホールを除く表面と接触する状況を自
動的にかつ瞬時に作り出すことができる。
【0147】なお、カーボンナノチューブ30はSP2
混成軌道の炭素原子からのみ構成されているので、先端
が消耗しても新たに生じる先端はやはり炭素原子の6員
環であり、何ら構造に変化はなく帯電特性には変化が生
じない。また有機感光層3a2のピンホールとカーボン
ナノチューブ30が接触し過電流が生じた場合でも、抵
抗層32が保護抵抗となり過電流の大きさを抑制するた
め、直流電源の電圧低下を防止できる。
【0148】上記の2つの効果によって、外付けコイル
や中抵抗部材を用いた従来の接触型帯電器(図27参
照)と比較してピンホールの影響を更に小さくでき、O
PCを均一に帯電できる。また有機感光層3a2表面に
導電性微粒子を分散させていないため、導電性微粒子で
の光の吸収や散乱がなく、画像記録装置の解像度や階調
が低下しない。さらに従来のOPC有機感光層を用いO
PCをそのまま流用することができ、画像記録装置自体
としてはコストアップを抑制することができる。
【0149】電荷注入の速度に関しては、カーボンナノ
チューブ30は極細の直径を持つため、抵抗層32に密
集して配置することが可能である。またカーボンナノチ
ューブは大きな弾性を持つため、有機感光層3a2と接
触すると撓ることができ、カーボンナノチューブ30の
先端のみではなく、側面でも有機感光層3a2と接触す
ることができる。
【0150】ここでカーボンナノチューブ30は半導体
性や金属性(つまりオーミック接触をしている)の導電
特性を持つため、カーボンナノチューブから電荷を直接
有機感光層3a2へ注入することが可能である。そのた
め金属芯31に抵抗層32を介してカーボンナノチュー
ブ30を接続したブラシ式帯電器5dにおいては、導電
性繊維からなる従来の帯電ブラシと比較し、有機感光層
とブラシ式帯電器の間で電荷の授受が行える面積、つま
り実質的な接触面積(以後導電性の接点と記述する)を
著しく大きくでき、その結果電荷の注入速度を著しく向
上できる。
【0151】なお、抵抗層32を設けた場合でも、カー
ボンナノチューブ30が有機感光層102と接触するた
め、導電性繊維からなる従来の帯電ブラシと比較して有
機感光層3a2とブラシ式帯電器5dの間で電荷の授受
が行える導電性の接点を著しく大きくできるので、電荷
の注入速度は低下せず、OPCへ十分な帯電電圧を与え
ることができる。
【0152】次に、ブラシ式帯電器5dの構成部材につ
いて説明する。金属芯31はFe、Al、Cu、ステン
レス等の金属や合金から構成され、外部の直流電源と接
続され、抵抗層32を介してOPC3a2を帯電させる
ための電荷をカーボンナノチューブ30へ供給する働き
をしている。抵抗層32としては有機感光層3a2のピ
ンホールによる過電流の大きさを制限するために、抵抗
値は10〜10Ωが望ましい。抵抗値が10Ω以
下ではピンホールによる過電流が大きくなり、直流電源
の電圧が低下し、帯電電圧の不均一を招く。また抵抗値
が10Ω以上の場合では、帯電ブラシ全体の抵抗が大
きくなり、電荷注入速度が小さくなり、OPCの帯電電
圧が低下してしまう。
【0153】抵抗層32は上述の抵抗値を持つ無機材料
を金属芯上に形成することによって作ることができる。
例えばポーラスシリコンやFe、Ni、Co、Al、A
u、Ag、Pt等の金属や合金等の導電性粒子を添加し
て抵抗率を制御したアルミナ、シリカ、ゼオライト等の
セラミックス等が使用できる。これらの材料は耐熱温度
が高く、抵抗層上にカーボンナノチューブ30を直接熱
CVD(化学的気相成長)法によって形成できるため、
帯電ブラシの作製プロセスを簡略化できる。
【0154】また抵抗層32はポリカーボネート、ポリ
アクリレート、ポリテレフタレート、エポキシ樹脂等の
高分子樹脂に、Fe、Ni、Co、Al、Au、Ag、
Pt等の金属や合金、またはグラファイト、フラーレ
ン、カーボンナノチューブの導電性無機材料、または表
面にNi、Co、Al等の金属薄膜を形成して導電処理
した高分子樹脂等の導電性粒子を添加して抵抗率を制御
した材料を金属芯上に形成して作製しても良い。上述の
材料を用いる場合、抵抗値が導電性粒子の添加量と抵抗
層32の膜厚によって決まるため、抵抗値制御が非常に
簡単にでき、所望の抵抗値を持つ抵抗層を容易に得るこ
とができる。
【0155】また、金属芯31に上述の抵抗層32の材
料を塗付または吹き付けによって、あるいは金属芯31
を抵抗層の材料にディップすることによって抵抗層を形
成できるため、抵抗層32の作製コストを抑えることが
できる。なお導電性粒子の大きさは作製しやすい大きさ
であれば良く、金属、合金、高分子樹脂、グラファイト
等であれば数μm〜数100μmが適当であり、フラー
レン、カーボンナノチューブであれば数nm〜1μmが
良い。
【0156】カーボンナノチューブ30には単層カーボ
ンナノチューブと多層カーボンナノチューブがあり、単
層カーボンナノチューブは直径が0.7〜50nm、軸
方向の長さ(以後長さと略す)は10nm〜1mmであ
り、より合成しやすい大きさとしては直径が0.7〜5
nm、長さは30nm〜100μmである。一方多層カ
ーボンナノチューブは直径が1〜500nmで、長さは
10nm〜1mmであり、より合成しやすい大きさとし
ては直径が2〜50nmで、長さは1μm以上であり、
単層、多層カーボンナノチューブともアスペクト比が非
常に大きい極細の繊維形状をしている。ここでのカーボ
ンナノチューブ30は上述の大きさの範囲に限定される
ものではなく、直径が1μm未満のカーボンナノチュー
ブ30であれば本発明に含まれるものとする。
【0157】次に上述のようなカーボンナノチューブの
作製法を[a]、[b]に、同カーボンナノチューブを用い
たブラシ式帯電器の作製法を[c]、[d]に沿って述べ
る。 [a]単層カーボンナノチューブは、陽極としてグラファ
イトにFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt、La、Y等の金属触媒を混合したコンポジッ
ト棒を用い、陰極としてグラファイト棒を用い、100
〜700TorrのHeないしH2雰囲気でのアーク放
電により合成する。単層カーボンナノチューブは金属触
媒に種類によってチャンバー内壁の煤(チャンバー煤)
か、陰極表面の煤(陰極煤)の中に存在する。また前記
のコンポジット棒を電気炉中で1000〜1400℃に
加熱し、500TorrのAr雰囲気で、Nd:YAG
パルスレーザーを照射して単層カーボンナノチューブを
合成しても良い。合成された単層カーボンナノチューブ
は種々の不純物を含むため、水熱法、遠心分離法、限外
ろ過法等によって80%以上の純度に精製されるのが良
い。
【0158】[b]一方多層カーボンナノチューブは、陽
極、陰極ともグラファイト棒を用い、100〜700T
orrのHe雰囲気でのアーク放電を用いて合成する。
多層カーボンナノチューブは陰極上の円柱状堆積物の中
心に存在する。またベンゼン、エチレン、アセチレン等
の炭化水素をH2ガス流下で1000〜1500℃で熱
分解することによっても得られる。多層カーボンナノチ
ューブも合成後は種々の不純物が含まれるため、有機溶
媒や界面活性剤が添加された水溶液に分散された後、遠
心分離法や限外ろ過法によって高純度に精製するのが良
い。またカーボンナノチューブの先端は閉管、開管のど
ちらの形状でも良い。さらに抵抗層上に触媒層を形成
し、熱CVD法によって抵抗層上にカーボンナノチュー
ブを直接形成しても良い。
【0159】[c]次にブラシ式帯電器5dの作製法を述
べる。なお図14(a)〜(d)はブラシ式帯電器5d
の一部の概要を示している。ブラシ式帯電器5dは円柱
構造をしており、カーボンナノチューブ30は金属芯3
1の側面全てに保持されているものとする。 (a)SUS、Al、Fe、Cu等の金属や合金からな
る金属芯31をFe、Ni、Co、Al、Au、Ag、
Pt等の金属や合金、またはグラファイト、フラーレ
ン、カーボンナノチューブの導電性無機材料、または表
面にNi、Co、Al等の金属薄膜を形成して導電処理
した高分子樹脂等の導電性粒子を添加して抵抗率を制御
したポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリテレフ
タレート、エポキシ樹脂等の高分子樹脂にディップし
て、所定の膜厚の抵抗層32を形成する。
【0160】なお、抵抗層32の抵抗値は前述の通り、
導電性粒子の添加量と抵抗層の膜厚によって制御する。 (b)その後、抵抗層32に導電性接着剤33を厚さ2
〜10μmで塗布し、 (c)静電力を利用してカーボンナノチューブ30を抵
抗層32に吸い上げて接触させ、 (d)さらに導電性接着剤33を熱硬化させ、カーボン
ナノチューブ30を抵抗層32に固定し、ブラシ式帯電
器5dを完成させる。
【0161】[d]ブラシ式帯電器5dの別の作製方法を
図15に示す。なお、図15はブラシ式帯電器5dの断
面の一部を示しており、ブラシ式帯電器5dは円柱構造
をしており、カーボンナノチューブ30は金属芯31の
側面全てに保持されているものとする。 (a)SUS、Al、Fe、Cu等の金属や合金からな
る金属芯111をFe、Ni、Co、Al、Au、A
g、Pt等の金属や合金、またはグラファイト、フラー
レン、カーボンナノチューブの導電性無機材料、または
表面にNi、Co、Al等の金属薄膜を形成して導電処
理した高分子樹脂等の導電性粒子を添加して抵抗率を制
御したポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリテレ
フタレート、エポキシ樹脂等の高分子樹脂にディップし
て、所定の膜厚の抵抗層32を形成する。
【0162】(b)その後抵抗層34にポリメチルフェ
ニルシラン34を厚さ0.1〜3μmで塗布し、超高圧
水銀灯により波長400nm程度の光を照射し、ポリメ
チルフェニルシラン34のSi−Si結合を切断する。 (c)その後イソプロピルアルコール中にカーボンナノ
チューブを分散させた溶液(IPA溶液と略す)35に
抵抗層32を浸漬し、Al電極を対向電極36として金
属芯31を外部電源37に接続し負電圧を印加して、電
気泳動によりカーボンナノチューブ30を抵抗層32に
接触させる。
【0163】カーボンナノチューブ30は印加された電
界と平行な方向に移動し、抵抗層32に接触してSi−
Si結合の切れたポリメチルフェニルシランに突き刺さ
り、固定化される(今後電気泳動法と略す)。なお、金
属芯31の側面にある全ての抵抗層32にカーボンナノ
チューブ30を固定化するためには、IPA溶液中で金
属芯31をの長さ方向円周方向に回転させればよい。
【0164】(d)その後抵抗層32をIPA溶液35
から引き上げ、イソプロピルアルコールを蒸発させ、ブ
ラシ式帯電器5dを完成させる。
【0165】[e]またブラシ式帯電器5dは図16
(a)〜(d)の方法によっても作製できる。なお、図
16はブラシ式帯電器5dの一部の概要を示しており、
ブラシ式帯電器5dは円柱構造をしており、カーボンナ
ノチューブ30は金属芯31の側面全てに保持されてい
るものとする。
【0166】(a)SUS、Al、Fe、Cu等の金属
や合金からなる金属芯31をFe、Ni、Co、Al、
Au、Ag、Pt等の金属や合金、またはグラファイ
ト、フラーレン、カーボンナノチューブの導電性無機材
料、または表面にNi、Co、Al等の金属薄膜を形成
して導電処理した高分子樹脂等の導電性粒子を添加して
抵抗率を制御したポリカーボネート、ポリアクリレー
ト、ポリテレフタレート、エポキシ樹脂等の高分子樹脂
にディップして、所定の膜厚の抵抗層32を形成する。
【0167】なお、抵抗層32の抵抗値は前述の通り、
導電性粒子の添加量と抵抗層の膜厚によって制御する。 (b)その後、抵抗層32上に導電性接着剤33を介
し、カーボンナノチューブ30を含有した高分子樹脂か
らなる保持層38を形成する。保護層38の材料として
は一般的な高分子樹脂が用いられ、例えばポリカーボネ
ート、ポリアクリレート、ポリテレフタレート、エポキ
シ樹脂等が良く、これらの高分子樹脂にカーボンナノチ
ューブ30分散させた後、抵抗層32上に保護層38を
塗付ないしディップによって形成するのが良い。
【0168】なお、保護層38の表面にカーボンナノチ
ューブ30は露出していても、露出していなくても良
い。 (c)その後保持層38を機械的に研磨してカーボンナ
ノチューブ30の先端を保持層38から突出させ、ブラ
シ式帯電器5dを完成させる。保護層38をアルミナ等
の砥粒で機械的に研磨すると、比較的柔らかい高分子樹
脂のみが選択的に研磨され、カーボンナノチューブ30
は研磨されない。その結果最終的には保護層150の表
面からカーボンナノチューブ30が突出した構造が得ら
れる。
【0169】なお保護層38から突出するカーボンナノ
チューブ30の長さは0.1μm以上あれば、ブラシ式
帯電器として十分な帯電能力が確保できる。本方法によ
ると、静電吸着や電気泳動法等のカーボンナノチューブ
30の配向プロセスが不要になるため、ブラシ式帯電器
5dの製造コストを抑えることができる。またカーボン
ナノチューブ30が保護層38の高分子樹脂に埋め込ま
れた構造になっているため、カーボンナノチューブが抵
抗層32に強く保持され、ブラシ式帯電器5dがOPC
3aを摺動する間にカーボンナノチューブ30が抵抗層
32から剥離しにくく、ブラシ式帯電器の長期安定性が
向上する。
【0170】[f]またブラシ式帯電器5dは図17の方
法によっても作製できる。本方法は抵抗層32上に熱C
VD法によって直接カーボンナノチューブ30を形成す
る方法であり、ブラシ式帯電器5dの作製コストを抑制
できる。例えばFeを触媒層39とする場合は、 (a)SUS,Al,Fe,Cu等の金属や合金からな
る金属芯31にFe、Ni、Co、Al、Au、Ag、
Pt等の金属や合金等の導電性粒子を添加したTEOS
溶液を塗付し、その後450℃で加熱して金属芯31上
に所望の抵抗値を持つシリコン酸化膜からなる抵抗層3
2を形成する。
【0171】また抵抗層32としてはポーラスシリコン
や導電性粒子を添加して抵抗率を制御したアルミナやゼ
オライト等のセラミックスも使用できる。 (b)その後抵抗層32上にFeを真空蒸着法またはス
パッタリング法によって膜厚が2〜40nmで成膜し、
触媒層39を形成する。なお、金属芯31が円柱構造の
場合は金属芯を回転させながら成膜し、触媒層39を抵
抗層32上の全ての表面に成膜する。 (c)その後触媒層32が形成された金属芯31を石英
管41に挿入し、Heガスを導入して電気炉42を用い
700〜800℃で10分間アニールを行い、触媒層3
9を大きさが数十nmの粒子に微粒子化する。その後石
英管41にC2H2ガスを導入し、基板温度を650〜
750℃としてC2H2を熱分解して、触媒層39上に
カーボンナノチューブ30を成長させる。またC2H2
ガスと同時にHe、Ar等の不活性ガスや、H2ガスを
導入しても良く、CVDは減圧ないし大気圧のどちらで
行っても良い。また石英管41内にプラズマを発生させ
C2H2の熱分解を促進させても良い。なお650℃の
成長温度ではカーボンナノチューブ30は抵抗層32上
にランダムな方向に成長するが、675〜750℃では
抵抗層32からほぼ垂直な方向にカーボンナノチューブ
30は成長する。 (d)触媒層39上に所望の長さのカーボンナノチュー
ブ30が成長できたら、石英管41内のC2H2ガスを
He、Ar等の不活性ガスで置換し、室温まで冷却して
金属芯31を取り出しブラシ式帯電器5dを完成させ
る。
【0172】また帯電ブラシを水またはエチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエン等の
有機溶媒が満たされ、超音波発振器の付いた超音波洗浄
槽に浸積して、超音波振動を加え、バンドルを形成して
いるカーボンナノチューブ30を個々のカーボンナノチ
ューブに分割しても良い。さらにカーボンナノチューブ
30を成長させた後、酸化雰囲気で600〜700℃で
加熱し、僅かに析出するカーボンパーティクル等を除去
しても良く、また必要に応じて低粘度の接着剤を触媒層
39の上に薄く広げ、接着剤を硬化させカーボンナノチ
ューブ30と触媒層39との固着強度や触媒層39と抵
抗層32との密着強度を向上させても良い。なお触媒層
39としてはFe以外にNiやCo、Fe合金、Ni合
金、Co合金、Fe酸化物、Ni酸化物、Co酸化物が
使用でき、またFe化合物、Ni化合物、Co化合物を
溶媒に溶かし抵抗層32に塗付し、その後溶媒を蒸発さ
せて触媒層39としても良い。また上記の金属、合金、
酸化物、化合物は単独で用いても良いが、数種の触媒を
混合して使用しても何ら構わない。
【0173】また本例では触媒層39を抵抗層32の全
面に形成したが、比較的長いカーボンナノチューブを用
いるブラシ式帯電器5dの場合は、触媒層39を離散し
て配置し、カーボンナノチューブ30を離散して形成し
ても良い。その場合はカーボンナノチューブの撓りの程
度や長さを考慮して、触媒層39の距離を決めるのが良
い。更にCガスの代わりC等の不飽和炭化
水素ガスやCH等の飽和炭化水素ガスを用いても同様
に触媒層112上にカーボンナノチューブ30が成長す
る。
【0174】なおCガス、Cガス、CH
ガス等は単独で用いられても良いが、混合して使用して
も良く、またAr,He等の不活性ガスで希釈して用い
ても構わない。なお、触媒層39や炭化水素ガスの種類
によってカーボンナノチューブ30が抵抗層32から成
長する温度範囲は変化する。
【0175】本方法によると、抵抗層32から直接カー
ボンナノチューブを成長させることができるので、カー
ボンナノチューブの分離精製プロセスが不要になり、ブ
ラシ式帯電器5dのコストを抑えることができる。また
比較的長いカーボンチューブが得られるので、導電性の
接点が増加し、電荷の注入速度が向上する。なお、本例
はロール状のブラシ式帯電器5dについて説明したが、
固定ブラシであっても本発明の効果は同様に実現でき、
帯電ブラシの形状は何ら問わないものとする。加えてブ
ラシ式帯電器5dは直流電源に接続されているが、電源
は直流に限定されるものではなく、直流と交流が重畳さ
れていても構わないものとする。
【0176】次に、図13を参照して、ここで用いられ
る被帯電体(感光体)であるOPC3aについて述べ
る。ドラム形状のAl基体3a1酸化チタン微粒子をバ
インダー樹脂に分散させたホール注入阻止層をディップ
コーティング法により厚さ1〜5μmで形成し、その後
電荷発生層(以後CGLと略す)と電荷輸送層(以後C
TLと略す)からなる積層の有機感光層3a2を形成し
た。CGLは電荷発生材料(以後CGMと略す)をプチ
ラール樹脂、熱硬化型の変性アクリル樹脂、フェノール
樹脂などのバインダー樹脂に分散させたものからなり、
ディッピングコーティング法により厚さ0.1〜1μm
で形成した。
【0177】CGMとしては波長740〜780nm付
近に感度を持つスクエアリリウム色素、無金属フタロシ
アニン、金属フタロシアニン、アズレニウム塩色素、及
びアゾ顔料等が、635〜650nm付近に感度のある
チアピリリウム塩や多環キノン系、ペリレン系又はアゾ
顔料系等が使用できる。CTLはホールのキャリア輸送
材料(以後CTMと略す)をビスフェノール系ポリカー
ボネイト樹脂等のバインダー樹脂に分散させたものから
なり、膜厚は10〜40μm程度でディッピングコーテ
ィング法によって形成した。CTMとしてはオキサジア
ゾール誘導体、ピラリゾン誘導体、トリフェニルメタン
誘導体、オキサゾール誘導体、トリアリールアミン誘導
体、ブタジエン誘導体などが用いられる。
【0178】なお、本実施例では光によって発生するキ
ャリアのうちホールを用いるOPC3a2であるが、電
子を発生するCGM、電子を輸送するCTMも若干では
あるが開発されており、光生成キャリアのうち電子を用
いるOPCであっても何ら構わない。その場合は直流電
源の正負が逆となり正帯電で使用されるが、ブラシ式帯
電器5dとしては前記のものがそのまま使用できる。ま
た本例は機能分離型のOPC3aを例に取り説明を行っ
たが、本発明は機能分離型に限定されるわけではなく、
単層型のOPCであっても何ら構わない。また本例はド
ラム形状のOPC3aであるが、Al基体の代わりに表
面に導電層を形成したベルトを採用し、ベルト状のOP
Cとしても良い。またシート状のOPCでも良い。
【0179】更にここでの接触型帯電器はOPC3aに
用いられるものに限定されるわけではなく、Se系、a
−Si、ZnO等の無機感光体であっても同じ接触型帯
電器が使用できるので、感光体の種類が本発明の接触型
帯電器の請求の範囲を限定するものではない。
【0180】[2−E]本発明の他の接触型帯電器であ
る「帯電器の実施例5」を図18に従って述べる。図1
8は接触型帯電器の形状としてブラシ式帯電器5eを用
いたものであり、電性繊維43にカーボンナノチューブ
44が結合した構造となっている。実施例5のブラシ式
帯電器5eは金属芯41上に抵抗層42が形成され、更
に抵抗層42上にカーボンナノチューブ44が結合した
導電性繊維43が保持される構造となっている。
【0181】そしてブラシ式帯電器5eは主にカーボン
ナノチューブ44でOPC3aの表面と接触している。
なお、抵抗層42の抵抗値としては抵抗値が10〜1
Ωであることが望ましい。被帯電体としてのOPC
3aはドラム形状のAl基体3a1と有機感光層3a2
から構成されており、必要に応じてAl基体3a1と有
機感光層3a2の間に電荷注入阻止層が設けられてい
る。
【0182】図示されてはいないが、ブラシ式帯電器5
eの金属芯41は外部の直流電源に接続され、主にカー
ボンナノチューブ44から有機感光層3a2に直接電子
を注入することでOPC3を帯電させている。なお、一
部の電荷はカーボンナノチューブ620から電子が電界
放出によって引き出され有機感光層3a2を帯電しても
構わない。実施例5においても、有機感光層3a2のピ
ンホールともカーボンナノチューブ44で接触すると、
カーボンナノチューブ44に流れる過電流によってカー
ボンナノチューブ44の先端が発熱し、空気中の酸素に
よって酸化され先端が消耗して、ピンホールと接触した
カーボンナノチューブ44は瞬時に先端が短くなり、有
機感光層3a2のピンホールから離れる。
【0183】また有機感光層3a2のピンホールとカー
ボンナノチューブ44が接触し過電流が生じた場合で
も、抵抗層42が保護抵抗となり過電流の大きさを抑制
するため、直流電源の電圧低下を防止できる。上記の2
つの効果によって、ピンホールの影響を更に小さくで
き、OPCを均一に帯電できる。また有機感光層表面に
導電性微粒子を分散させていないため、導電性微粒子で
の光の吸収や散乱がなく、画像記録装置の解像度や階調
が低下しない。さらに従来のOPC有機感光層3a2を
用いOPCをそのまま流用することができ、画像記録装
置自体としてはコストアップを抑制することができる。
【0184】電荷注入の速度に関しては、本例において
もカーボンナノチューブ44は極細の直径を持つため、
抵抗層42に密集して配置することが可能である。また
カーボンナノチューブ44は大きな弾性を持つため、有
機感光層3a2と接触すると撓ることができ、カーボン
ナノチューブ44の先端のみではなく、側面でも有機感
光層3a2と接触することができる。そのため、抵抗層
42を設けた場合でも有機感光層3a2とブラシ式帯電
器5eの間で電荷の授受が行える導電性の接点を著しく
大きくでき、電荷の注入速度を著しく向上できる。その
結果、OPC100へ十分な帯電電圧を与えることがで
きる。
【0185】次に実施例5のブラシ式帯電器5eの構成
部材について説明する。金属芯41、抵抗層42、カー
ボンナノチューブ44は実施例[2−D]と同様のもの
が使用できる。導電性繊維43としては、カーボンブラ
ックや金属微粒子をレーヨン樹脂やナイロン樹脂、アク
リル樹脂、ポリエステル樹脂等に分散させた後、紡糸し
て繊維形状にしたものや、あるいはテトラシアノキノジ
メタン(TCNQ)等の電子受容性化合物とテトラチア
フルバレン(TTF)等の電子供与性化合物から構成さ
れる電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換した高分
子樹脂を紡糸したものが用いられる。
【0186】次にブラシ式帯電器5eの作製法の一例を
図18、図19(a)〜(e)を参照して述べる。な
お、図18はブラシ式帯電器5eの一部の概略を示して
おり、ブラシ式帯電器5eは円柱構造をしており、導電
性繊維43は抵抗層42の表面全てに接続されているも
のとする。 (a)SUS、Al、Fe、Cu等の金属や合金からな
る金属芯41をFe、Ni、Co、Al、Au、Ag、
Pt等の金属や合金、またはグラファイト、フラーレ
ン、カーボンナノチューブの導電性無機材料、または表
面にNi、Co、Al等の金属薄膜を形成して導電処理
した高分子樹脂等の導電性粒子を添加して抵抗率を制御
したポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリテレフ
タレート、エポキシ樹脂等の高分子樹脂にディップし
て、所定の膜厚の抵抗層42を形成する。
【0187】(b)その後抵抗層42上に導電性繊維4
3を電気植毛によって植え付ける。導電性繊維43とし
ては直径が5〜20μmの導電性レーヨン、導電性ナイ
ロン、導電性ポリエステル等が使用でき、植毛の密度と
しては一般的な帯電ブラシと同様に50〜300本/m
m2程度にするのが良い。また導電性繊維42をパイル
地にして、テープ状に切断したのち、抵抗層42に巻き
付けても良い。 (c)その後導電性繊維43の先端にのみ導電性接着剤
45を厚さ2〜10μmで塗布し、 (d)静電力を利用して、カーボンナノチューブ44を
導電性繊維43に吸い上げて接触させ、 (e)その後導電性接着剤45を熱硬化させ、カーボン
ナノチューブ44を固定し、ブラシ式帯電器5eを完成
させる。
【0188】また導電性接着剤の替わりに導電性繊維自
体を加熱し、カーボンナノチューブと融着させて固定し
ても良い。また1本の長い導電性繊維43にカーボンナ
ノチューブ44を導電性接着剤45で接着した後、導電
性繊維を1〜2mmに切断し、導電性繊維43を電気植
毛によって抵抗層42に植え付けてブラシ式帯電器5e
としても良い。更にカーボンナノチューブ44が接着さ
れた長い導電性繊維をパイル地にして、テープ状に切断
したのち、抵抗層に巻き付けてブラシ式帯電器5eとし
ても良い。
【0189】また実施例5のブラシ式帯電器5eの別の
作製方法を図20(a)〜(e)に従って述べる。な
お、図20はブラシ式帯電器5eの一部の概略を示して
おり、ブラシ式帯電器5eは円柱構造をしており、導電
性繊維43は抵抗層42の表面全てに接続されているも
のとする。
【0190】(a)SUS、Al、Fe、Cu等の金属
や合金からなる金属芯41をFe、Ni、Co、Al、
Au、Ag、Pt等の金属や合金、またはグラファイ
ト、フラーレン、カーボンナノチューブの導電性無機材
料、または表面にNi、Co、Al等の金属薄膜を形成
して導電処理した高分子樹脂等の導電性粒子を添加して
抵抗率を制御したポリカーボネート、ポリアクリレー
ト、ポリテレフタレート、エポキシ樹脂等の高分子樹脂
にディップして、所定の膜厚の抵抗層42を形成する。
【0191】(b)その後抵抗層42上に導電性繊維4
3を電気植毛によって植え付ける。導電性繊維43とし
ては直径が5〜20μmの導電性レーヨン、導電性ナイ
ロン、導電性ポリエステル等が使用でき、植毛の密度と
しては一般的な帯電ブラシと同様に50〜300本/m
m2程度にするのが良い。また導電性繊維43をパイル
地にして、テープ状に切断したのち、抵抗層42に巻き
付けても良い。 (c)その後導電性繊維43の先端にのみポリメチルフ
ェニルシラン46を厚さ0.1〜3μmで塗布し、超高
圧水銀灯により波長400nm程度の光を照射し、ポリ
メチルフェニルシラン46のSi−Si結合を切断する (d)その後イソプロピルアルコール中にカーボンナノ
チューブを分散させた溶液(IPA溶液と略す)47に
導電性繊維43を浸漬し、Al電極を対向電極48とし
て金属芯41に外部電源に接続し負電圧を印加して、電
気泳動によりカーボンナノチューブ44を導電性繊維4
3に接触させる。カーボンナノチューブ44は印加され
た電界と平行な方向に移動し、導電性繊維43に接触し
てSi−Si結合の切れたポリメチルフェニルシラン4
6に突き刺さり、固定化される。
【0192】(e)その後導電性繊維43をIPA溶液
47から引き上げ、イソプロピルアルコールを蒸発さ
せ、ブラシ式帯電器5eを完成させる。また上述したよ
うに、1本の長い導電性繊維43にカーボンナノチュー
ブ44を電気泳動法によって固定化してから、導電性繊
維を1〜2mmに切断し、その後導電性繊維を電気植毛
によって抵抗層に植え付けてブラシ式帯電器5eとして
も良い。
【0193】更にカーボンナノチューブを電気泳動法に
より固定化した長い導電性繊維をパイル地にして、テー
プ状に切断したのち、抵抗層に巻き付けてブラシ式帯電
器5eとしても良い。なお、本例で使用されるOPCは
[2−D]で説明した「被帯電体の実施例3」と同様の
OPC3aが使用できる。
【0194】[2−F]本発明の接触型の帯電器の実施
例6を図21に従って述べる。本例の接触型帯電器は帯
電ローラーの形状をしている。図21の実施例6として
の帯電ローラー5fは金属芯51上に抵抗層52が形成
され、かつ抵抗層52中に保持されたカーボンナノチュ
ーブ50の先端が抵抗層52から突出している構造を持
つ。そして帯電ローラー5fは主にカーボンナノチュー
ブ50で被帯電体をなすOPC3aの表面と接触してい
る。OPC3aはドラム形状のAl基体3a1と有機感
光層3a2から構成されており、「被帯電体の実施例
3」と同様のOPC3aと同様のものが使用されてい
る。
【0195】図示されてはいないが、帯電ローラー5f
の金属芯51は外部の直流電源に接続され、主にカーボ
ンナノチューブ50から有機感光層3a2に直接電子を
注入することでOPC3aを帯電させている。なお、一
部の電荷はカーボンナノチューブ50から電子が電界放
出によって引き出され有機感光層3a2を帯電しても構
わない。本例においても、有機感光層3a2のピンホー
ルともカーボンナノチューブ50で接触すると、カーボ
ンナノチューブ50に流れる過電流によってカーボンナ
ノチューブ50の先端が発熱し、空気中の酸素によって
酸化され先端が消耗して、ピンホールと接触したカーボ
ンナノチューブ50は瞬時に先端が短くなり、有機感光
層3a2のピンホールから離れる。
【0196】また有機感光層3a2ピンホールとカーボ
ンナノチューブ50が接触し過電流が生じた場合でも、
抵抗層52が保護抵抗となり過電流の大きさを抑制する
ため、直流電源の電圧低下を防止できる。
【0197】上記の2つの効果によって、ピンホールの
影響を更に小さくでき、OPC3aを均一に帯電でき
る。また有機感光層表面に導電性微粒子を分散させてい
ないため、導電性微粒子での光の吸収や散乱がなく、画
像記録装置の解像度や階調が低下しない。さらに従来の
OPC有機感光層用いOPC3aをそのまま流用するこ
とができ、画像記録装置自体としてはコストアップを抑
制することができる。
【0198】電荷注入の速度に関しては、本例において
もカーボンナノチューブ50は極細の直径を持つため、
抵抗層52に密集して配置することが可能である。また
カーボンナノチューブ50は大きな弾性を持つため、有
機感光層3a2と接触すると撓ることができ、カーボン
ナノチューブ50の先端のみではなく、側面でも有機感
光層3a2と接触することができる。そのため、抵抗層
52を設けた場合でも有機感光層3a2とブラシ式帯電
器5f間で電荷の授受が行える導電性の接点を著しく大
きくでき、電荷の注入速度を著しく向上できる。
【0199】その結果、OPC3aへ十分な帯電電圧を
与えることができる。さらにカーボンナノチューブ50
が抵抗層52中に埋め込まれ、カーボンナノチューブ5
0の先端が抵抗層52から突出する構造であるため、カ
ーボンナノチューブ50は抵抗層52と強固に結合して
おり、ブラシ式帯電器5fがOPC3aを摺動する間に
カーボンナノチューブ50がブラシ式帯電器5fから離
脱することがなく、長期信頼性が向上する。また抵抗層
52中にカーボンナノチューブ50を分散させることに
よってカーボンナノチューブを固定化することにより、
カーボンナノチューブの配向プロセスや固定化プロセス
が不要になることから、ブラシ式帯電器5eの低コスト
化が期待される。
【0200】次に本例使用されるブラシ式帯電器5fの
断面構成部材について説明する。
【0201】本例の金属芯51、カーボンナノチューブ
は[2−D]で説明したカーボンナノチューブ30と同
様のものが使用できる。抵抗層52は有機感光層3a2
のピンホールによる過電流の大きさを制限するために、
抵抗値は10〜10Ωが望ましい。抵抗値が10
Ω以下ではピンホールによる過電流が大きくなり、直流
電源の電圧が低下し、帯電圧の不均一を招く。また抵抗
値が10Ω以上の場合では、帯電ブラシ全体の抵抗が
大きくなり、電荷注入速度が小さくなり、OPCの帯電
電圧が低下してしまう。
【0202】また抵抗層52はポリカーボネート、ポリ
アクリレート、ポリテレフタレート、エポキシ樹脂等の
高分子樹脂にカーボンナノチューブ50を分散させた構
造を持つ、分散させたカーボンナノチューブ920の少
なくても一部は抵抗層52の表面から突出しているが、
カーボンナノチューブ50の他にFe、Ni、Co、A
l、Au、Ag、Pt等の金属や合金、またはグラファ
イト、フラーレンの導電性無機材料、または表面にN
i、Co、Al等の金属薄膜を形成して導電処理した高
分子樹脂等の導電性粒子を添加しても良い。これらの導
電性粒子を高分子樹脂に添加した場合、抵抗層912の
表面から突出するカーボンナノチューブ50の数と抵抗
層52の抵抗値を独立に制御できるため、抵抗層52の
抵抗値を最適化しやすいという利点を持つ。なお導電性
粒子の大きさは作製しやすい大きさであれば良く、金
属、合金、高分子樹脂、グラファイト等であれば数μm
〜数100μmが適当であり、フラーレンであれば数n
m〜1μmが良い。
【0203】次に本例のブラシ式帯電器5fの作製方法
を図22(a)、(b)に従って述べる。図22はブラ
シ式帯電器5fの一部の概略を示しており、ブラシ式帯
電器5fは円柱構造をしており、カーボンナノチューブ
50は抵抗層52の表面全てから突出しているものとす
る。(a)SUS、Al、Fe、Cu等の金属や合金か
らなる金属芯51をカーボンナノチューブ50を分散さ
せたポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリテレフ
タレート、エポキシ樹脂等の高分子樹脂にディップし
て、所定の膜厚の抵抗層52を形成する。
【0204】なお、高分子樹脂にはカーボンナノチュー
ブ50の他にFe、Ni、Co、Al、Au、Ag、P
t等の金属や合金、またはグラファイト、フラーレン等
の導電性無機材料または表面にNi、Co、Al等の金
属薄膜を形成して導電処理した高分子樹脂等の導電性粒
子を添加しても良い。抵抗層52の抵抗値はカーボンナ
ノチューブ及び導電性粒子の添加量と抵抗層の膜厚によ
って制御する。(b)その後抵抗層52を機械的に研磨
してカーボンナノチューブ50の先端を抵抗層52から
突出させ、ブラシ式帯電器5eを完成させる。
【0205】抵抗層52をアルミナ等の砥粒で機械的に
研磨すると、比較的柔らかい高分子樹脂のみが選択的に
研磨され、カーボンナノチューブは研磨されない。その
結果最終的には抵抗層52の表面からカーボンナノチュ
ーブ920が突出した構造が得られる。なお抵抗層52
から突出するカーボンナノチューブ50の長さは0.1
μm以上あれば、帯電ローラーとして十分な帯電能力が
確保できる。なお、本例はブラシ式帯電器5eのローラ
ー形状を用いて説明を行ったが、帯電ブレードの形状で
も何ら問題はなく、接触型の帯電器の形状が本発明の請
求の範囲を限定するものではない。
【0206】[2−G]本発明の接触型の各帯電器5d
〜5fの作動を説明する。上述の「帯電器の実施例4〜
6」としての接触型の帯電器の一つと−500Vの直流
電源を被帯電体であるOPCの帯電システムとして複写
機に搭載して、テストチャートの複写を行った。現像は
白黒の2値現像とし、階調はドット数で表示した。な
お、今回使用したOPCは有機感光層表面に大きさが1
0〜20μmのピンホールが10〜40個程度あった。
「帯電器の実施例4〜6」の接触型の帯電器の一つを載
せた画像形成装置としての複写機(図1参照)で複写を
行った結果、被帯電体であるOPC全面で帯電ムラは生
じず、ピンホールの影響が現れなかった。また通常のア
ナログ表示の複写機と比較し解像度、階調が向上してお
り、テストチャート全面で良好な複写がなされた。また
「帯電器の実施例4〜6」の帯電器では感光体の帯電プ
ロセス中にオゾンやNOxがほとんど検出されなかっ
た。
【0207】よって本発明の帯電器を搭載した複写機
は、OPCの有機感光層にピンホールがあった場合にお
いても、オゾンやNOxを発生させないで、良好な画像
記録が行えることが確認された。なお、プリンター、フ
ァクシミリ等の画像形成装置においても、同様の効果が
期待できる。
【0208】[2−H][2−D]〜[2−G]で述べ
たように、「帯電器の実施例4〜6」の帯電器は主に電
荷注入によって帯電が行われていた。さらに大きな帯電
電位(600V〜1kV程度)が必要とされる場合、O
PCの帯電は主にOPCと接触型の帯電器の微小空隙で
のコロナ放電によって行われる。本発明の帯電器におい
ても、カーボンナノチューブとOPC間の微小空隙に放
電開始電圧Vth以上の電圧が印加されると、カーボン
ナノチューブとOPC間の微小空隙でコロナ放電が発生
し、OPCが帯電される。
【0209】特にカーボンナノチューブは極細の針状の
形状を持つため、カーボンナノチューブ先端での不平等
電界が強くなり、放電開始電圧Vthを下げることがで
きる。またカーボンナノチューブは大気圧において電界
放出を起こすため、電界放出による電子がコロナ放電の
トリガーとなり、Vthを更に下げる効果もある。[2
−D]〜[2−F]で述べた各帯電器において、帯電ブ
ラシでVthを測定したところ、カーボンナノチューブ
が保持されていない帯電ブラシより小さなVthを持つ
ことが確認され、従来の接触型帯電器より印加電圧を小
さくできることが判った。
【0210】また微小空隙でのコロナ放電によってOP
Cを帯電させる場合に発生するオゾンやNOxを測定し
た結果、実施例2の帯電ブラシはカーボンナノチューブ
が保持されていない接触型帯電器よりもオゾンやNOx
が少なかった。これはカーボンナノチューブの先端のみ
でコロナ放電が起きるため、実施例2の帯電ブラシでは
放電空間が狭くかつ印加電圧が小さいため、オゾンやN
Oxの発生が抑えられたと考えられる。
【0211】また実際に「被帯電体の実施例5」等の帯
電ブラシを載せた複写機で複写を行った結果、OPC全
面で帯電ムラは生じず、ピンホールの影響が現れず、通
常のアナログ表示の複写機と比較し解像度、階調が向上
しており、テストチャート全面で良好な複写がなされ
た。なお、ここでの帯電器は電荷注入や電界放出、微小
空隙でのコロナ放電といった帯電方式に制限されるもの
ではなく、本発明の構造が含まれる全ての接触型の帯電
器についても同様である。
【0212】[3]転写装置8について説明する。図1
に示す画像形成装置1としての複写機において、転写装
置8は記録媒体である記録材pを搬送する転写ベルト1
3と、転写ベルトに転写電荷を供給する電荷付与材14
及び電源15から構成されている。 [3−A]図23には「転写装置の実施例1」として第
1の転写装置8bを搭載した複写機1bを示した。
【0213】この複写機1bは図1の複写機1と比較
し、転写装置8b以外は同様の構成のため、重複説明を
略した。転写装置8bの電荷付与材として、CNTを表
面に突出させたブレードタイプのものを作製した。
【0214】作製方法を以下に述べる。上述の技術を利
用し、カーボンナノチューブを作製する。雰囲気ガスに
ヘリウムを用い、500Torrの圧力で、陽極、陰極
ともグラファイト棒を用いたDCアーク放電法により合
成した。電流量は約100Aで、電極径は1cm、電極
間距離は、約1mmとした。陰極の先端に約1cm径の
円柱状堆積物が生成し、多層カーボンナノチューブが束
になったものが観察された。
【0215】多層カーボンナノチューブ62は、合成後
は種々の不純物が含まれるため、有機溶媒や界面活性剤
が添加された水溶液に分散された後、遠心分離法や限外
ろ過法によって高純度に精製するのが良い。この多層カ
ーボンナノチューブをエポキシ樹脂と混合し、100℃
1hr加熱硬化し、Al基体上にCNT樹脂マトリクス
を形成した。その後、アルミナ研磨材(粒径0.3μ
m)と発泡ウレタンの研磨パッドを用いて研磨を行い、
カーボンナノチューブ樹脂マトリクス表面に多層カーボ
ンナノチューブ14を突出させた。多層カーボンナノチ
ューブは、0〜数μmの長さで、ほぼ表面にランダムに
突出していた。
【0216】この様にして、感光体(被帯電体)3bと
転写ベルト13bのニップ幅と同じ幅2mmのブレード
状の電荷付与材61を形成した。転写ベルト13bの材
質としては、金属やカーボンブラックなど導電性粒子や
イオン導電性物質などで抵抗を制御し、体積抵抗率10
Ωcm以上のプラスチック材料やゴム材料を採用でき
る。ここでは、PETにカーボンブラックを添加して体
積抵抗率を1013Ωcmに調整した150μm厚のフ
ィルム状部材を用いた。
【0217】上述のCNT接触型帯電器であるブレード
型帯電器5bにより、感光体ドラム4は負電荷で、約6
00Vに一様に帯電している。そして露光装置6によ
り、画像信号に基づいてラスタ露光を行う。このラスタ
露光によって、電荷が消失し、感光体(被帯電体)上の
露光された部分の電位は、−600Vから約−50Vま
で低下し、静電潜像が形成される。ここで、現像装置7
の現像ローラー702上の負電荷を持つトナーが接触す
ることで、感光体(被帯電体)3の電荷が残っている部
分にはトナーが付着せず、電荷のない部分、つまり、露
光された部分には、トナーが吸着し、静電潜像と相似な
トナー像が感光体上に形成される。このトナー像は、感
光体3と接触して、等速で駆動している転写ベルト13
bにより搬送される記録材pに、ニップ部で、先のCN
Tが突出したブレード状の電荷付与材61から、トナー
粒子とは反対極性の電荷を転写ベルト13bに供給され
ることによって形成される電場により、転写され、図示
しない定着装置に送られて、記録材p上に転写される。
ブレード状の電荷付与材61は、転写ベルト13bに接
触して電荷の供給を行っている。このブレードの幅は、
ニップnpの幅と同じにしてあるため、転写に必要な領
域にのみ電荷を供給し、入口側での不要な電圧印加が発
生せず、“プレ転写”を防止できる。
【0218】この場合、従来のブラシやローラー型で起
こるパッシェン則に従ったコロナ放電による電荷の移動
ではなく、電荷注入による電荷の移動が起こっていると
思われる。コロナ放電の場合、ギャップや対向する誘電
体膜厚等に従った、放電開始のしきい値があるが、電荷
注入は、そのようなしきい値はなく、より低電圧で転写
できた。また、オゾンやNOxも検出されず、“転写チ
リ”などによる画像の劣化も低減できた。また、先の転
写ベルト13bにこのブレード状の電圧付与材61を接
触させて、250hrの電圧印加を行い、抵抗は、10
13Ωcmからほとんど変化していないことを確認し
た。また、転写ベルト13bの磨耗も従来の金属やカー
ボンブラックを添加した樹脂を用いたブレードなどに比
べて著しく低減されている。
【0219】また、同じブレードをベルトに対して約5
0μmのギャップを設けて電圧印加したところ、接触の
場合よりは多少大きな電圧を要したが、従来のローラー
型よりは十分小さな電圧で転写することができ、画像劣
化も見られなかった。本実施例では、転写ベルト13b
をもつものに対して行ったが、転写ブレードとして、ブ
レード単体で直接転写体に電荷を供給しても良い。上述
のところに示した数値はこれに限定されるものではな
く、説明を補足する。
【0220】ここでは、カーボンナノチューブとして、
多層カーボンナノチューブ62を用いたが、単層カーボ
ンナノチューブでも良い。また、どちらにおいてもその
チューブの先端が閉じているものと開いているものがあ
る。この例では閉じた多層カーボンナノチューブ62を
用いたが、開管したナノチューブであっても良い。
【0221】また、CNTを突出させる方法としてここ
では研磨を用いたが、ドライエッチングやアッシング、
薬液による処理など他の方法でも問題ない。
【0222】保持する樹脂として、エポキシ樹脂を用い
たが、ポリエチレン、ポリテレフタル酸エチレン(PE
T)やポリテレフタル酸ブチレン(PBT)などのポリ
エステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド
(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(P
S)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂や軟質塩化
ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体エラストマー、アクリル系エラストマー等の各
種熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、ポリビニル
ブチラール等のアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体等も使用できる。ゴムとして
は、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブタジ
エン−スチレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エチ
レン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン
−非共役ジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチ
ルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム
等が用いられる。
【0223】更に、抵抗のコントロールは、カーボンナ
ノチューブ単体だけではなく、金属フィラーやカーボン
ブラック、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の
電子受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等
の電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を併用
してもかまわない。ここでは像担持体として感光体ドラ
ム4の例を示したが、中間転写体でもよい。逆に記録媒
体として記録紙をあげたが、中間転写体(ベルト)でも
良い。
【0224】[3−B]次いで、「転写装置の実施例
2」として第2の転写装置8cを用いた画像形成装置を
説明する。図24に示すように、ここでの画像形成装置
としての複写機1cは図23の複写機1bと比べ、転写
装置8c以外の帯電装置5b、露光装置6、現像装置
7、クリーニング装置11等は同じであるため重複説明
を省略した。
【0225】まず、CNTを表面に突出させた転写装置
としてのローラー転写器8cの作製について説明する。
まず公知技術によって、単層カーボンナノチューブ63
を作製する。ここでは、陽極としてグラファイトにFe
−Niの金属触媒を混合したコンポジット棒を用い、陰
極としてグラファイト棒を用い、500TorrのHe
雰囲気でのアーク放電により単層カーボンナノチューブ
を作製した。合成した単層カーボンナノチューブ63を
遠心分離法及び限外ろ過を用いて精製した。
【0226】ローラー転写器8cの基体64は、Al、
SUS、Feなどの金属などが用いられる。ここでは、
Alを用いた。EPDM(ethylene prop
ylene diene rubber)発泡体に、上
記単層カーボンナノチューブ63を分散して、抵抗値1
Ωの一層構成のローラーを形成した。表面を研削加
工して、CNTを突出させた。「転写装置の実施例1」
と同様の方法で、感光体ドラム4上の被帯電体である感
光体3cにトナー像を形成し、転写ローラー8cと対向
するニップ部npに送る。搬送ローラー65からおくら
れた、記録媒体である記録材pは、単層カーボンナノチ
ューブ63が表面に突出した転写ローラー8cに電源6
6から供給されるバイアスによって、トナーと反対極性
の転写電荷(この場合は、プラス)を与えられ、記録材
p上に転写される。記録材pは、定着装置である定着ロ
ーラー67に送られて記録材p上に定着される。
【0227】この場合も、従来のローラー転写器に比
べ、より低電圧で転写でき、オゾンやNOxも検出され
ず、“転写チリ”などによる画像の劣化も低減できた。
また、画像担持体である感光体の磨耗も少なく、オゾン
やNOxによる磨耗も低減された。本実施例は、直接記
録材pに電荷を供給するものとしたが、搬送ベルトを兼
ねた転写ベルトに対して電荷付与材として用いても良
い。また、転写ローラー8cの構造は、1層のものを用
いたが、感光体(被帯電体)3cのピンホール対策など
外側にCNTを突出させ、より体積抵抗率の高い層を形
成するなどの多層構造でも良い。なお、上述のところに
示した数値はこれに限定されるものではなく、「転写装
置の実施例1」と同様の補足説明が適用されるが、ここ
では重複説明を略す。
【0228】[3−C]次いで、「転写装置の実施例
3」として第3の転写装置8dを用いた画像形成装置を
説明する。まず「転写装置の実施例1」と同様の手法で
多層カーボンナノチューブ62を作製した。この多層カ
ーボンナノチューブ62をナイロン樹脂に分散(分散量
5wt%)し、溶融紡糸する。ウレタンのパッドで上記
繊維を挟み、繊維に電荷を印加し、その間に粒径1μm
のアルミナを供給し繊維を片側から引き出し、表面を機
械的に研磨し、繊維表層にカーボンナノチューブ62を
露出させる。対角線に配置したウレタンパッドを2段直
交するように配置し、繊維の外周全てでカーボンナノチ
ューブが露出するようにした。荷重や引き出し速度等に
よっては、1段でもまた複数段でもかまわない。
【0229】この様なカーボンナノチューブ62を露出
させた導電性繊維を保持部材67に植毛して、転写ブラ
シ8dを形成した。図26に示すように、転写ブラシ8
dの繊維68の表面にCNT62が突出している。ここ
では、樹脂中にカーボンナノチューブを分散させる方法
を用いたが、カーボンナノチューブ62が、数100μ
mと十分長く、直接保持部材に植毛して、カーボンナノ
チューブ単独でブラシを形成しても良い。この様にして
作製した転写ブラシ8dを、中間転写方式の画像形成装
置であるカラー複写機1dに用いた。ここでは、画像担
持体としての感光体ドラム3dと中間転写ベルト69の
転写部分のみを図示している。
【0230】中間転写ベルト69は、トナー像を保持す
ることや転写の面から、体積抵抗率が1012Ωcm以
上であることが望ましい。本実施例では、体積抵抗率1
Ωcmのものを用いた。構造については、ここで
は、3層構造のベルト材からなるものを用いたが、単層
のみでもかまわない。この中間転写ベルト69を感光体
ドラム4に接触させ、感光体(被帯電体)3に対して反
対側から、電荷供給部材であるCNT62を突出させた
転写ブラシ8dを中間転写ベルト69に接触させ、転写
に必要な電圧を印加して、転写を行う。
【0231】ブラック、シアン、マゼンダ、イエローに
分割されたカラー画像情報を実施例[3−A]と同様な
方法で、感光体(被帯電体)3d上にトナー像を形成
し、各々中間転写ベルト69に転写することでブラッ
ク、シアン、マゼンダ、イエローの重ね合ったトナー像
が形成される。その後、2次転写によって記録媒体であ
る記録材(図示せず)にカラー画像として一括転写され
る。従来のブラシ転写に比べて、オゾンやNOxの発生
がなく、画像ボケや転写チリによる画像劣化が低減し
た。また、150hrの連続電圧印加においても、中間
転写ベルト69の抵抗率の低下は見られなかった。
【0232】ここでは、中間転写ベルト69を用いて、
転写ブラシ8dを電荷付与材として用いたが、直接転写
媒体に転写ブラシ8dで、転写電圧を印加しても良い。
また、像担持体として感光体ドラム3dを用いたが、2
次転写の場合の中間転写体でも良い。同様に、転写部材
も、この場合は中間転写体(ベルト)であるが、記録媒
体としての記録材でも良い。ブラシとしては、回転体に
CNTを突出させた導電性繊維を植毛した回転ブラシで
も良い。なお、上述のところに示した数値はこれに限定
されるものではなく、「転写装置の実施例1」と同様の
補足説明が適用されるが、ここでは重複説明を略す。
【0233】上述のところで、画像形成装置として電子
写真方式の複写機1、カラー複写機1dを説明したが、
これに限定されるものではなく、ファクシミリ、プリン
タ、あるいはこれらの機能を複合して持ち合わせ、これ
ら各機能での書き込み処理に必要とされる画像情報をデ
ジタル処理するデジタル複写機等に本発明を適用しても
良く、これらの場合も同様の作用効果を得られる。
【0234】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明は、放電
による帯電と比べ、注入型の帯電においては、その電子
(ホール)が保持される準位が必要であることより、こ
こでは必要な帯電電位に対し、必要なトラップ準位の数
を規定し、それ以上あるような材質の被帯電体を作製し
た。トラップ準位が必要な数以上あることによって、被
帯電体の帯電効率が向上する。請求項2の発明は、トラ
ップ準位がホッピング伝導が問題にならない程度の量に
規定すべく、 n < { 4πεkT/q*log(σ’/σ)}
という式を満たすトラップ準位が得られるよう被帯電体
を作製することで、ホッピングによる抵抗低下を避けら
れる。
【0235】請求項3の発明は、 V>0のとき N
a>CV/q、 V<0のときNd>CV/qとするこ
とにより、正帯電及び、負帯電ともに十分な帯電を施す
ことができる。請求項4の発明は、カーボンナノチュー
ブはその形状から非常に細く、機械強度が高い、電界放
出素子部材として安定性にも長け、固体潤滑材としての
性質を持ちあわせている等の帯電器として有効利用でき
る特徴を持っている。このため、このような帯電器と請
求項1乃至3記載の被帯電体を選択的に採用してなる画
像形成装置は各帯電器及び各被帯電体相当の効果を画像
形成装置としても同様に有し、しかも、画像形成装置と
しての商品性を向上できる。
【0236】請求項5の発明は、請求項4の発明と同様
の効果が得られ、しかも、帯電器をブレード型にするこ
とで、帯電器表面が被帯電体表面を滑ることとなり、被
帯電体表面に接触する領域が大きく広がることより、被
帯電体表面ラフネスで接触領域、非接触領域を形成して
も、表面を滑ることで、それぞれの領域が交互に入れ替
わり、均一帯電が可能となる。請求項6の発明は、請求
項4の発明と同様の効果が得られ、しかも、帯電器をロ
ーラ型にすることで、被帯電体と接していない部分でク
リーニングを行い、十分にその効果を発揮することがで
きる。またこれと同時にクリーナーによって帯電器表面
を研磨でき、研磨工程を帯電プロセス内に組み込むこと
で、また、被帯電体と回転スピードを違え、相互の表面
を滑らせることで、ブレード型と同様の効果を得ること
ができ、通常のローラー帯電器での不具合である、接触
面積の不足を補うことができ、帯電むらを排除できる。
【0237】請求項7の発明は、請求項4の発明と同様
の効果が得られ、しかも、帯電器の表面をブラシにする
ことで、トナーが混入してギャップが大きく変動するこ
とを排除できる。しかも、ブラシの製造方法などを転用
することで、製造コストを低減できる。請求項8、9の
各発明は、帯電器のカーボンナノチューブがピンホール
と接触すると、カーボンナノチューブに過電流が流れ、
カーボンナノチューブの先端が発熱し、空気中の酸素に
よって酸化されて消耗し、感光体のピンホールからカー
ボンナノチューブが瞬時に離れてしまう。また過電流の
大きさも、抵抗層が保護抵抗となって抑制される。その
結果、直流電源の電圧が低下しない。よってピンホール
があった場合も、感光体を均一に帯電できる。請求項1
0の発明は、高分子樹脂からなる抵抗層に導電性粒子を
分散させているので、導電性粒子の分散量と抵抗層の膜
厚によって抵抗値の制御が容易に行える。
【0238】請求項11の方法発明は、静電吸着や電気
泳動法等のカーボンナノチューブを配向させるプロセス
が不要になり、接触型の帯電器の製造コストを抑えるこ
とができる。また、カーボンナノチューブが保持層に強
く保持されるので、接触型帯電器が被帯電体を摺動して
いる間に抵抗層からカーボンナノチューブが剥離しにく
く、帯電器の長期安定性が向上する。請求項12の発明
は、カーボンナノチューブの分離精製プロセスが不要に
なるので、接触型の帯電器の製造コストを抑えることが
できる。また比較的長いカーボンチューブが得られるの
で、導電性の接点が増加し、電荷の注入速度が向上す
る。
【0239】請求項13、14の各発明は、帯電器のカ
ーボンナノチューブがピンホールと接触すると、カーボ
ンナノチューブに過電流が流れ、カーボンナノチューブ
の先端が発熱し、空気中の酸素によって酸化されて消耗
し、感光体のピンホールからカーボンナノチューブが瞬
時に離れてしまう。また過電流の大きさも、抵抗層が保
護抵抗となって抑制される。その結果、直流電源の電圧
が低下しない。よってピンホールがあった場合も、感光
体を均一に帯電できる。更にカーボンナノチューブが抵
抗層に埋め込まれた構造になっているため、カーボンナ
ノチューブが抵抗層に強く保持される。その結果接触型
帯電器が被帯電体を摺動している間に抵抗層からカーボ
ンナノチューブが剥離しにくく、帯電器の長期安定性が
向上する。
【0240】請求項15の発明は、高分子樹脂からなる
抵抗層に導電性粒子を分散させているので、抵抗層の表
面から突出するカーボンナノチューブの数と抵抗層の抵
抗値を独立に制御でき、抵抗層の抵抗値を最適化しやす
い。請求項16の方法発明は、カーボンナノチューブを
含有した抵抗層を感光体と対抗する面に形成する工程
と、前記抵抗層を研磨してカーボンナノチューブの先端
を抵抗層から突出させる工程からなる。そのためカーボ
ンナノチューブの配向プロセスや固定化プロセスが不要
になり、接触型帯電器の低コスト化が期待される。
【0241】請求項17の発明は、請求項11、12ま
たは16の帯電器を搭載しているため、被帯電体にピン
ホールがある場合においても被帯電体に帯電ムラは発生
せず、良好な画像が得られる。また電荷注入によって被
帯電体を帯電させる場合は、オゾンやNOxが発生しな
い。更にコロナ放電で被帯電体を帯電させる場合も、従
来の接触型の帯電器より低電圧で帯電が可能であり、オ
ゾンやNOxも減らすことができる。請求項18の発明
は、カーボンナノチューブが表面に突出した電荷付与材
を用いることによって、より低電圧で転写が可能で、オ
ゾンやNOxが低減し、転写チリなどによる画像の劣化
も低減できる。また、CNTの摩擦係数が小さいことか
ら、対向する像担持体や転写部材の磨耗を抑制できる。
【0242】請求項19の方法発明は、カーボンナノチ
ューブが表面に突出した電荷付与材を用いるので、より
低電圧で転写が可能で、オゾンやNOxが低減し、転写
チリなどによる画像の劣化も低減できる。また、CNT
の摩擦係数が小さいことから、対向する像担持体や転写
部材の磨耗を抑制できる。請求項20の発明は、請求項
1、2又は3の被帯電体を用い、帯電の効率を向上さ
せ、しかも、カーボンナノチューブが表面に突出した電
荷付与材を用いることによって、より低電圧で転写が可
能で、オゾンやNOxが低減し、転写チリなどによる画
像の劣化も低減できる。また、CNTの摩擦係数が小さ
いことから、対向する被帯電体を成す像担持体や転写部
材の磨耗を抑制できる。
【0243】請求項21の発明は、カーボンナノチュー
ブが表面に突出した電荷付与材を用いることによって、
オゾンやNOxが低減し、転写ベルトの表面抵抗が経時
変化によって低減せず、転写チリなどによる画像の劣化
も低減できる。また、CNTの摩擦係数が小さいことか
ら、ベルトの磨耗を抑制でき、ベルトの長寿命化がおこ
なえ、製品のメンテナンスフリー、コスト低減につなが
る。請求項22の発明は、カーボンナノチューブが表面
に突出した電荷付与材を用いることによって、オゾンや
NOxが低減し、中間転写ベルトの表面抵抗が経時変化
によって低減せず、画像ボケや転写チリなどによる画像
の劣化も低減できる。また、CNTの摩擦係数が小さい
ことから、ベルトの磨耗を抑制でき、ベルトの長寿命化
がおこなえ、製品のメンテナンスフリー、コスト低減に
つながる。
【0244】請求項23の発明は、カーボンナノチュー
ブが表面に突出したブレード状の電荷付与材を用いるこ
とによって、低電圧で転写が可能で、オゾンやNOxが低
減し、転写チリなどによる画像の劣化も低減できる。更
に特定領域にのみ電荷を供給でき、ニップ入口に電荷を
与えることがないため、プレ転写を抑制でき、転写チリ
による画像の劣化を低減できる。請求項24の発明は、
カーボンナノチューブが表面に突出したローラー状の電
荷付与材を用いることによって、低電圧で転写が可能
で、オゾンやNOxが低減し、搬送ベルトなどの付加的
な搬送手段を必要とせず、転写チリによる画像の劣化を
低減できる。
【0245】請求項25の発明は、カーボンナノチュー
ブが表面に突出したローラー状の電荷付与材を用いるこ
とによって、低電圧で転写が可能で、オゾンやNOxが
低減し、転写チリによる画像の劣化を低減できる。ま
た、対向するものの磨耗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての被帯電体を装備する
画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置と同装置が用いるローラ帯
電器の概略構成図を示す。
【図3】図2のローラ帯電器の概略拡大断面図を示す。
【図4】図2のローラ帯電器の被帯電体でのピンホール
部の等価回路図を示す。
【図5】図2のローラ帯電器の被帯電体の拡大断面構成
説明図を示す。
【図6】本発明の他の実施例としてのブラシ型帯電器を
装備する画像形成装置の概略構成図である。
【図7】図6のブラシ型帯電器の変形例の機能説明図で
ある。
【図8】図7のブラシ型帯電器の全体概略構成図であ
る。
【図9】図7のブラシ型帯電器の横からの概要図であ
る。
【図10】図6のブラシ型帯電器の他の変形例の全体概
略構成図である。
【図11】本発明の他の実施形態としてのブラシ型帯電
器の断面構成説明図を示す。
【図12】図6等のブラシ型帯電器の作動説明図で
(a)はローラー型の場合を、(b)はブレード型の場
合を示す。
【図13】本発明の他の実施形態としてのブラシ型帯電
器及び被帯電体の要部断面図である。
【図14】図13のブラシ型帯電器の作製工程を(a)
乃至(d)に分割して説明する図である。
【図15】図13のブラシ型帯電器の他の作製工程を
(a)乃至(d)に分割して説明する図である。
【図16】図13のブラシ型帯電器の他の作製工程を
(a)乃至(d)に分割して説明する図である。
【図17】図13のブラシ型帯電器の他の作製工程を
(a)乃至(d)に分割して説明する図である。
【図18】本発明の他の実施例としてのブラシ型帯電器
及び被帯電体の要部断面図である。
【図19】図18のブラシ型帯電器の作製工程を(a)
乃至(e)に分割して説明する図である。
【図20】図18のブラシ型帯電器の他の作製工程を
(a)乃至(e)に分割して説明する図である。
【図21】本発明の他の実施例としてのブラシ型帯電器
及び被帯電体の要部断面図である。
【図22】図21のブラシ型帯電器の作製工程を
(a)、(b)に分割して説明する図である。
【図23】本発明の他の実施例としてのブレードタイプ
の転写装置を装備する画像形成装置の概略構成図であ
る。
【図24】本発明の他の実施例としてのローラー転写器
と同転写器の画像形成装置に対する配置構成図である。
【図25】本発明の他の実施例としてのブレードタイプ
の転写装置の概略構成図である。
【図26】図25のブレードタイプの転写装置のブラシ
部分の拡大切欠側面図である。
【図27】従来のローラ帯電器の概略構成図である。
【図28】従来の他のローラ帯電器の概略構成図であ
る。
【図29】従来の転写装置を装備する画像形成装置の概
略構成図である。
【図30】従来の他の転写装置の概略構成図である。
【符号の説明】 1、1a〜1c 画像形成装置 3,3a〜3d 被帯電体 4 感光体ドラム 5、5a〜5f 帯電器 8,8a〜8d 転写装置 q 素電荷 C 被帯電体単位面積あたりの容量 N トラップ準位の数 V 所望の電圧 24,30 CNT(カーボンナノチューブ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 明繁 東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H200 FA18 GA13 GA23 HA03 HA13 HB07 HB12 HB14 HB45 HB46 JA02 JA25 JA26 JB10 MA04 MA06 MA14 MA20 MB04 3J103 AA02 AA14 AA15 AA24 AA33 AA51 AA72 BA41 BA43 BA46 EA02 EA11 EA20 GA02 GA52 HA03 HA04 HA05 HA12 HA15 HA18 HA32 HA37 HA47 HA51 HA52 HA53

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】帯電器表面から電荷が直接もしくは間接的
    に被帯電体表面に移動することで、帯電を行うシステム
    において、その被帯電体がもつ単位面積当たりのトラッ
    プ準位の数N(1/cm)が以下の条件を満たすこと
    を特徴とした被帯電体。 N > CV/q ここで、 C:被帯電体単位面積あたりの容量(1/cm) V:所望の電圧 q:素電荷
  2. 【請求項2】請求項1記載の被帯電体において、単位体
    積当たりのトラップ準位の数n(アクセプター:na、
    ドナー:nd)が以下の条件を満たすことを特徴とした
    被帯電体。 n < { 4πεkT/q*log(σ’/σ)}
    ここで、 σ:所望の被帯電体暗中導電率(1/Ωcm) σ’:トラップ準位がないときの導電率 k:ボルツマン定数 T:温度(K) ε:誘電率 n:na、ndの小さい方(個/cm
  3. 【請求項3】請求項1のトラップ準位として、電子をト
    ラップする準位をNd、ホールをトラップする準位をN
    aとしたとき、以下の条件を満たすことを特徴とした被
    帯電体。 V>0のとき Na>CV/q V<0のとき Nd>CV/q
  4. 【請求項4】請求項1、2または3の被帯電体を用いた
    画像形成装置において、帯電器としてCNT(カーボン
    ナノチューブ)を用いることを特徴とした画像形成装
    置。
  5. 【請求項5】請求項4の帯電器をブレード状にしたこと
    を特徴とした画像形成装置。
  6. 【請求項6】請求項4の帯電器をローラー状にしたこと
    を特徴とした画像形成装置。
  7. 【請求項7】請求項4の帯電器をブラシ状にしたことを
    特徴とした画像形成装置。
  8. 【請求項8】請求項4の帯電器を有した画像形成装置に
    おいて、前記被帯電体と対抗する面に抵抗層を有し、か
    つ抵抗層上にCNT(カーボンナノチューブ)が保持さ
    れていることを特徴とする画像形成装置。
  9. 【請求項9】請求項4の帯電器を有した画像形成装置に
    おいて、前記抵抗層の抵抗値が10 〜10Ωである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  10. 【請求項10】請求項8または9に記載の帯電器を有し
    た画像形成装置において、前記抵抗層が導電性粒子を分
    散させた高分子樹脂からなることを特徴とする画像形成
    装置。
  11. 【請求項11】請求項8、9または10に記載の帯電器
    の作製方法において、前記抵抗層上にカーボンナノチュ
    ーブを含有した高分子樹脂からなる保持層を形成する工
    程と、前記保持層を研磨してカーボンナノチューブの先
    端を保持層から突出させる工程を含むことを特徴とする
    帯電器作製方法。
  12. 【請求項12】請求項8または9に記載の帯電器作製方
    法において、前記抵抗層上に少なくてもFe、Co、N
    iの1つを含む金属、合金、または化合物からなる触媒
    層を形成する工程と、前記の触媒層上に少なくてもアセ
    チレン、エチレン、メタン等の炭化水素ガスの1つを用
    いた化学的気相成長法によってカーボンナノチューブを
    形成する工程を含むことを特徴とする帯電器作製方法。
  13. 【請求項13】請求項4の帯電器を有した画像形成装置
    において、前記被帯電体と対抗する面に抵抗層を有し、
    かつ抵抗層中に保持されたカーボンナノチューブの先端
    が抵抗層から突出していることを特徴とする画像形成装
    置。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の帯電器を有した画像
    形成装置において、前記抵抗層の抵抗値が10〜10
    Ωであることを特徴とする画像形成装置。
  15. 【請求項15】請求項13または14に記載の帯電器を
    有した画像形成装置において、前記抵抗層が導電性粒子
    を分散させた高分子樹脂からなることを特徴とする画像
    形成装置。
  16. 【請求項16】請求項13、14または15に記載の帯
    電器作製方法において、前記カーボンナノチューブを含
    有した抵抗層を被帯電体と対抗する面に形成する工程
    と、前記抵抗層を研磨してカーボンナノチューブの先端
    を抵抗層から突出させる工程を含むことを特徴とする帯
    電器作製方法。
  17. 【請求項17】請求項11、12または16の前記帯電
    器を搭載した画像形成装置。
  18. 【請求項18】被帯電体からなる画像担持体上に形成さ
    れたトナー像を、所定の転写ニップ領域にて近接または
    接触するように配置された記録材に転写して画像を形成
    する画像形成装置において、CNT(カーボンナノチュ
    ーブ)が表面に突出した電荷付与材を転写装置に用いる
    ことを特徴とした画像形成装置。
  19. 【請求項19】被帯電体からなる画像担持体上に形成さ
    れたトナー像を、所定の転写ニップ領域にて近接または
    接触するように配置された記録材に転写して画像を形成
    する画像形成方法において、CNT(カーボンナノチュ
    ーブ)が表面に突出した電荷付与材を転写装置に用いる
    ことを特徴とした画像形成方法。
  20. 【請求項20】請求項19の被帯電体が請求項1、2又
    は3の被帯電体であることを特徴とした画像形成装置。
  21. 【請求項21】請求項18の画像形成装置において、前
    記転写装置は記録材を搬送することを兼ねるベルトであ
    ることを特徴とする画像形成装置。
  22. 【請求項22】請求項18の画像形成装置において、前
    記記録材もしくは像担持体は、中間転写体であることを
    特徴とする画像形成装置。
  23. 【請求項23】請求項8の画像形成装置において、前記
    電荷付与材はブレード形状であることを特徴とする画像
    形成装置。
  24. 【請求項24】請求項8の画像形成装置において、前記
    電荷付与材はローラー形状であることを特徴とする画像
    形成装置。
  25. 【請求項25】請求項8の画像形成装置において、前記
    電荷付与材はブラシ形状であることを特徴とする画像形
    成装置。
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