JP3767735B2 - チューブポンプおよびこれを用いたインクジェット式記録装置 - Google Patents

チューブポンプおよびこれを用いたインクジェット式記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チューブの加圧変形を利用して圧力を発生させるチューブポンプ、およびこのチューブポンプにより発生する負圧を利用して記録ヘッドからインクを排出するインク吐出能力の回復手段を備えたインクジェット式記録装置、また同じくチューブポンプにより発生する負圧を利用してメインタンクからサブタンクにインクを供給するインク供給手段を備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を中心とした多くの印刷に使用されている。
このようなインクジェット式記録装置には、インクカートリッジからのインクの供給を受けるインクジェット式の記録ヘッドと、この記録ヘッドに対して記録用紙を相対的に移動させる紙送り手段とが備えられている。そして、印字信号に応じて記録ヘッドを移動させながら記録用紙にインク滴を吐出させてドットを形成することで記録が行われる。
【0003】
このように、インクジェット式記録装置においては、インクという液体を扱う関係上、記録ヘッドへのインクの充填や、インク溶媒の揮散によるノズル開口の目詰まりを防止するために、記録ヘッドからインクを強制的に吸引排出させるインク吐出能力の回復処理が実行される。
このような記録ヘッドの目詰まり解消のため、または記録ヘッド内に気泡が残留している場合になされるインクの強制的な排出処理は、クリーニング操作と呼ばれる。そして、記録装置における長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユーザが印字かすれ等の印字品質不良を認識し、クリーニングスイッチを操作した場合に実行される。
【0004】
このクリーニング操作においては、記録ヘッドをキャッピング手段により封止して負圧を作用させることで、記録ヘッドのノズル開口よりインクを排出させるとともに、キャッピング手段内に排出されたインクを負圧により吸引して廃インクタンクに送り出す。その後、ゴムなどの弾性板からなるクリーニング部材により、記録ヘッドのノズルプレート(ノズル形成面)を払拭(ワイピング)するシーケンスが実行される。
【0005】
前記キャッピング手段内に負圧を与える手段としては、比較的構造が簡単で小形化が図りやすく、しかもインクの吸引および排出する機構部分で汚染を生じさせない、いわゆるチューブポンプが用いられている。このチューブポンプは例えば図12に示すような構成とされている。
このチューブポンプには、可撓性チューブ51の外形を円弧状に規制するチューブ支持面52を有するポンプフレーム44と、紙送りモータ等によって回動するポンプホイル42と、このポンプホイル42に形成された一対のローラ支持溝42a,42bに沿って移動するローラ43a,43bとが具備されている。
【0006】
このようなチューブポンプにおいては、図12に示すように、ポンプホイル42を正方向(矢印A方向)に回転させると、各ローラ43a,43b(ローラ軸)がローラ支持溝42a,42bのホイル外周部側に移動し、チューブ51を矢印A方向に順次押し潰しながら回転する。
これにより、可撓性チューブ51内に圧力を発生させてキャッピング手段に負圧を与えるようになされる。そして、記録ヘッドから負圧により強制的にインクを排出させるとともに、さらにキャッピング手段内に排出されたインクを吸引して廃インクタンクに送り出す。
【0007】
また、図12に示すように、ポンプホイル42を逆方向(矢印B方向)に回転させると、各ローラ43a,43b(ローラ軸)がローラ支持溝42a,42bのホイル内周部側に移動する。
これにより、ローラ43a,43bが可撓性チューブ51に少しだけ接するレリース状態を保ち、ローラ43a,43bの可撓性チューブ51への貼り付きなどの故障発生が防止される。
【0008】
ところで、前記したチューブポンプは、前記記録ヘッドよりインクを排出するインク吐出能力の回復手段として用いられている。
また、インクを貯留するメインタンクから記録ヘッド側に設置してあるサブタンクにインクを供給するインク供給手段としても用いられている。この場合、メインタンクはカートリッジホルダに装填され、一方サブタンクがヘッド搭載のキャリッジ上に配置される。そして、メインタンクからサブタンクに対してインク補給チューブを介してインクを補給し、さらにサブタンクから記録ヘッドにインクを供給するように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、従来のチューブポンプにおいては、ローラ43a,43bが可撓性チューブ51を周方向に連続して押し潰しながら回転し、可撓性チューブ51内に圧力を発生させて負圧を与えるようになされている。
この場合、可撓性チューブ51は、ローラ43a,43bの加圧によって押し潰され、また加圧状態の解除によって初期(押し潰される前)の形状に復元される。
【0010】
したがって、可撓性チューブ51の復元は、チューブ自体の弾性力(自己復元力)によるものであるため、可撓性チューブ51の肉厚(外径と内径との差)は所定の寸法に設定する必要があった。
すなわち、可撓性チューブ51の肉厚が小さ過ぎると、復元力に欠け、所定のインク吸引・供給力を確保することができない。一方、その肉厚が大き過ぎると、チューブ内径が(チューブ外径を所定の寸法とした場合)小さくなり、所定のインク吸引・供給量を確保することができない。
【0011】
また、チューブ内外径を共に大きくして所定のインク吸引・供給力およびインク吸引・供給量を確保することが考えられるが、この場合チューブポンプ全体が大型化する。
【0012】
この結果、可撓性チューブ51における内外径の設定に厳密性が要求され、ポンプ設計を面倒なものにするという問題があった。
また、従来のチューブポンプにおいて、可撓性チューブ51の初期状態への復元がチューブ自体の弾性力(チューブ厚さ方向の弾性力)によって行われることは、それだけ可撓性チューブ51の材料が限定されてしまい、チューブ選択上の自由度が低下するという問題があった。例えば、アルミニウム等の金属材料は、その弾性力が乏しいため、チューブポンプ用のチューブとして用いることができなかった。
【0013】
さらに、可撓性チューブ51の自己復元力がローラ43a,43bによる押し潰し時の反力となり、このため自己復元力の大きいチューブ材料を用いると、押し潰し荷重の増加を招き、延いてはポンプ効率が低下するという問題もあった。この他、可撓性チューブ51の初期状態への復元がチューブ自体の自己復元力によるものであることは、ローラ43a,43bの可撓性チューブ51への貼り付きなどによる故障発生の防止対策を講じる必要があり、この点においてもポンプ設計を面倒なものにするという不都合があった。
【0014】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ポンプ設計を簡単に行うことができるとともに、チューブ選択上の自由度およびポンプ効率を高めることができるチューブポンプ、およびこのチューブポンプを用いたインクジェット式記録装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされた本発明に係るチューブポンプは、固定中心軸としてのポンプ軸と、このポンプ軸の周囲に円環状に巻回するように配設されチューブ巻径方向に変形して復元可能なチューブと、このチューブの巻回中心軸周囲に配設され前記ポンプ軸の周方向に転動可能な球体と、この球体の環状転動経路の内外に配設され各筒径が互いに異なる内外二つの筒体とを備え、これら両筒体のうち外側の筒体は前記ポンプ軸の回りに回転可能な回転筒からなり、内側の筒体は前記回転筒の回転による前記球体の転動によって揺動する揺動筒からなり、この揺動筒の内周面と前記ポンプ軸の外周面との間には前記チューブが介装されていることを特徴とするものである。
【0016】
このように構成されているため、回転筒がポンプ軸の回りに回転すると、球体が揺動筒の外周面を押圧しながらポンプ軸の周方向に転動し、この転動動作に伴い揺動筒がポンプ軸と直角な平面内で揺動する。
この場合、球体が揺動筒の外周面を押圧すると、揺動筒がポンプ軸の径方向に移動するため、揺動筒の内周面がポンプ軸の外周面に最も接近する位置でチューブを押し潰すとともに、ポンプ軸の外周面から最も離間する位置でチューブを初期状態に復元する。
【0017】
したがって、チューブの復元をチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないため、チューブ内外径を設定する場合に要求された厳密性を緩和することができ、ポンプ設計を簡単に行うことができる。
また、チューブの初期状態への復元をチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないことは、それだけチューブの材料を多数の材料から選定することができ、チューブ選択上の自由度を高めることができる。これにより、例えばアルミニウム等の金属材料をチューブ材料として用いることが可能となる。
【0018】
さらに、揺動筒の揺動動作によってチューブを押し潰して復元可能であることは、チューブ材料として自己復元力の大きい材料を用いる必要がないため、押し潰し荷重を軽減することができ、ポンプ効率を高めることができる。
この他、チューブの初期状態への復元が揺動筒の揺動動作によるものであることは、従来のようにチューブ貼り付きなどによる故障発生の防止対策を講じる必要がないため、この点からもポンプ設計を簡単に行うことができる。
【0019】
この場合、前記回転筒に前記球体を空転自在に位置決めする凹部が形成され、前記揺動筒に前記球体を外周方向に案内する環状溝が形成されていることが望ましい。
このように構成されているため、回転筒の回転動作時に球体が揺動筒の外周面上を環状溝に沿って確実に転動することとなり、揺動筒の安定した揺動動作を得ることができる。
【0025】
さらに、本発明に係るチューブポンプは、固定中心軸としてのポンプ軸と、このポンプ軸の周囲に円環状に巻回するように配設されチューブ巻径方向に変形して復元可能なチューブと、このチューブの巻回中心軸周囲に配設され前記ポンプ軸の周方向に転動可能な球体と、この球体の転動経路の内外に配設され各筒径が互いに異なる内外三つの筒体とを備え、これら筒体のうち最外位置の筒体は前記ポンプ軸に固定された固定筒からなり、最内位置の筒体は前記ポンプ軸の回りに回転可能な回転筒からなり、これら内外両筒体間に介在する筒体は前記回転筒の回転による前記球体の転動によって揺動する揺動筒からなり、この揺動筒の外周面と前記固定筒の内周面との間には前記チューブが介装されていることを特徴とするものである。
【0026】
このように構成されているため、回転筒がポンプ軸の回りに回転すると、球体が揺動筒の内周面を押圧しながらポンプ軸の周方向に転動し、この転動動作に伴い揺動筒がポンプ軸と直角な平面内で揺動する。
この場合、球体が揺動筒の内周面を押圧すると、揺動筒がポンプ軸の径方向に移動するため、揺動筒の外周面が固定筒の内周面に最も接近する位置でチューブを押し潰すとともに、固定筒の内周面から最も離間する位置でチューブを初期状態に復元する。
【0027】
したがって、チューブの復元をチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないため、チューブ内外径を設定する場合に要求された厳密性を緩和することができ、ポンプ設計を簡単に行うことができる。
また、チューブの初期状態への復元をチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないことは、それだけチューブの材料を多数の材料から選定することができ、チューブ選択上の自由度を高めることができる。例えば、アルミニウム等の金属材料をチューブ材料として用いることが可能となる。
【0028】
さらに、揺動筒の揺動動作によってチューブを押し潰して復元可能であることは、自己復元力の大きいチューブ材料を用いる必要がないため、押し潰し荷重を軽減することができ、ポンプ効率を高めることができる。
この他、チューブの初期状態への復元が揺動筒の揺動動作によるものであることは、従来のようにチューブ貼り付きなどによる故障発生の防止対策を講じる必要がないため、この点からもポンプ設計を簡単に行うことができる。
【0029】
この場合、前記回転筒に前記球体を空転自在に位置決めする凹部が形成され、前記揺動筒に前記球体を内周方向に案内する環状溝が形成されていることが望ましい。
このように構成されているため、回転筒の回転動作時に球体が揺動筒の内周面上を環状溝に沿って確実に転動することとなり、揺動筒の安定した揺動動作を得ることができる。
【0030】
また、前記チューブは、前記筒体の軸方向に沿って引き出されている構成とされる。
このように構成されているため、ポンプ組立時にチューブの引き出し部をポンプ軸(固定中心軸)あるいは固定筒に配置することができる。
この場合、前記チューブは、前記筒体の径方向に沿って引き出されている構成も採用し得る。
このように構成されているため、ポンプ組立時にチューブの引き出し部を固定筒の径方向位置に配置することができる。
【0031】
そして、前記球体が、前記チューブを常時加圧する球体からなる構成とされる。
このように構成されているため、チューブ内におけるインクの逆流を阻止することができる。
なお、チューブが常時加圧されない場合には、インクの逆流を阻止するためにインク経路に逆止弁を設ける必要がある。
【0032】
さらに、前記チューブが、前記球体によって押し潰し可能な低剛性金属部材によって形成されていることが望ましい。
このように構成されているため、チューブの押し潰し荷重が軽減され、ポンプ効率が高められる。
例えば、チューブとしては、アルミニウム等の金属材料によって形成されたもの、アルミニウム素材の表面に樹脂コーティング・ラミネート処理が施されたものあるいはビニール等の合成樹脂によって形成されたものが用いられる。
【0033】
また、前記チューブの内面が、外面に比べて摩擦抵抗が小さいことが望ましい。
このように構成されているため、チューブ内における流体(空気)の流動が円滑に行われる。
【0034】
そして、前記チューブが、チューブ内周部と前記ポンプ軸の外周面とを一体化するとともにチューブ外周部と前記揺動筒の内周面とを一体化することにより、介装されている構成とされる。
このように構成されているため、一体化するにあたり、チューブ内周部がポンプ軸の外周面に装着され、チューブ外周部が揺動筒の内周面に装着される。
【0035】
また、前記チューブが、チューブ内周部と前記揺動筒の外周面とを一体化するとともにチューブ外周部と前記固定筒の内周面とを一体化することにより、介装されている構成とされる。
このように構成されているため、一体化するにあたり、チューブ内周部が揺動筒の外周面に装着され、チューブ外周部が固定筒の内周面に装着される。
【0036】
この場合、前記チューブが、接着または溶着によって介装されていることが望ましい。
このように構成されているため、チューブ,揺動筒およびポンプ軸または固定筒が接着または溶着によって一体化される。
なお、一体化するにあたっては、チューブの内周部がポンプ軸の外周面に接着・溶着され、チューブの外周部が揺動筒の内周面に接着・溶着される。また、チューブの内周部が揺動筒の外周面に接着・溶着され、チューブの外周部が固定筒の内周面に接着・溶着される。
【0037】
一方、前記した目的を達成するためになされた本発明に係るインクジェット式記録装置は、記録ヘッドからインクを吸引するポンプユニットとして、前記したチューブポンプを用いることにより、ポンプ設計を簡単に行うことができるとともに、チューブ選択上の自由度およびポンプ効率を高めることができる。
【0038】
また、本発明に係るインクジェット式記録装置は、メインタンクからサブタンクへインクを供給するインク供給手段として、前記したチューブポンプを用いることにより、ポンプ設計を簡単に行うことができるとともに、チューブ選択上の自由度およびポンプ効率を高めることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るチューブポンプを用いたインクジェット式記録装置につき、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は本発明が適用されたインクジェット式記録装置の全体構成を示すものである。
同図において、符号1で示すキャリッジは、キャリッジモータ2によって駆動されるタイミングベルト3を介し、ガイド部材4に案内されてプラテン5の軸方向に往復移動されるように構成されている。
【0040】
このキャリッジ1の記録用紙6に対向する側にはインクジェット式の記録ヘッド7が搭載され、その上部には前記記録ヘッド7にインクを供給するブラックインクカートリッジ8およびカラーインクカートリッジ9が着脱可能に装填されている。
【0041】
図中符号10は、非印字領域(ホームポジション)に配置されたキャッピング手段であって、前記キャリッジ1に搭載された前記記録ヘッド7が直上に移動した時に上昇し、前記記録ヘッド7のノズル形成面を封止できるように構成されている。そして、このキャッピング手段10の下方には、キャッピング手段10の内部空間に負圧を与えるためのポンプユニットとしてのチューブポンプ11が配置されている。
【0042】
前記キャッピング手段10は、記録装置の休止期間中における記録ヘッド7のノズル開口の乾燥を防止する蓋体としての機能を備えている。また、印刷とは関係のない駆動信号を記録ヘッド7に印加してインク滴を空吐出させるフラッシング動作時のインク受けとして機能、およびチューブポンプ11からの負圧を記録ヘッド7に作用させてインクを吸引するクリーニング手段としての機能も兼ね備えている。
【0043】
このキャッピング手段10における印字領域側の近傍には、ゴムなどの弾性板を備えたワイピング手段12が、水平方向に進退可能となるように配置されている。そして、前記キャリッジ1がキャッピング手段10側に往復移動する際に、記録ヘッド7の移動経路上にワイピング部材21が進出し得るように構成されている。
【0044】
次に、前記キャッピング手段につき、図2を用いて説明する。図2は、前記した記録装置に装備されたキャッピング手段およびこのキャッピング手段に接続されるチューブポンプの構成を模式的に示したものである。
前記キャッピング手段10は、上方に開放された有底角箱状のキャップケース10aと、このキャップケース10a内に一部が収納されたキャップ部材10bとを有している。
【0045】
キャップケース10aの底部には、ケース内外に開口する貫通孔としてのインク吸引口10cおよび大気開放口10dが設けられている。このキャップケース10aのインク吸引口10cにはチューブT1を介して前記チューブポンプ11が接続されており、このチューブポンプ11には廃インクタンク13内の多孔質材料からなるインク吸収部材13aがチューブT1を介して接続されている。また、キャップケース10aの大気開放口10dには、チューブT2を介して大気開放バルブ14が接続されている。
【0046】
一方、キャップ部材10bは、ゴム素材などの可撓性部材からなり、その上縁部が前記キャップケース10aより上方に突出する有底角箱によって形成されている。そして、前記キャリッジ1の移動動作に伴い前記記録ヘッド7がキャッピング手段10の上方に位置した時、そのノズル形成面7aにおけるノズル開口7bを封止するように構成されている。このキャップ部材10bの底部には、前記インク吸引口10cおよび前記大気開放口10dにそれぞれ連通する貫通孔10e,10fが設けられている。また、前記キャップ部材10bの内面には、多孔質材料からなるインク吸収部材10gを位置決めするための凸部10hが一体に設けられている。
【0047】
なお、前記記録ヘッド7には、前記ノズル開口7bに対応して圧電素子7cが配置されている。これら圧電素子7cの振動作用によってブラックインクおよびカラーインク(イエロー,シアンおよびマゼンタなど)が、印刷時にノズル開口7bから吐出される。
【0048】
以上の構成において、記録ヘッド7またはインク供給路内の残留気泡の排出、およびノズル開口の目詰まりを解消させるためのインク吸引作用は、図2に示すように、キャップ部材10bを記録ヘッド7のノズル形成面7aに密着させるとともに、大気開放バルブ14を閉塞させた状態で行われる。
【0049】
この状態でチューブポンプ11を駆動させると、キャップ部材10bの内部空間に負圧が与えられ、記録ヘッド7のノズル開口7bからインクが吸引排出される。次に、チューブポンプ11の駆動を停止した後、大気開放バルブ14を開放させると、キャップ部材10b内に大気が導入され、キャップ部材10bの内部空間に大気圧が与えられる。そして、チューブポンプ11を再度駆動させると、キャップ部材10b内に排出されたインクがチューブT1を介して廃タンク13に送り込まれる。
【0050】
次に、本発明が適用されたチューブポンプの構造につき、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第一実施形態に係るチューブポンプの要部を模式的に示す断面図である。
同図において、符号11で示すチューブポンプは、前記した(図1に示す)ように、キャッピング手段10の下方に配置されている。このチューブポンプ11には、固定中心軸としてのポンプ軸31を有している。このポンプ軸31には、軸線方向に延在するチューブ引き出し路31aが設けられている。そして、前記ポンプ軸31の周囲には、チューブ巻径方向に変形して復元可能なチューブ32が円環状に巻回するように配設されている。
【0051】
また、前記チューブ32は、前記ポンプ軸31の外周面と後述する揺動筒の内周面との間に介装されている。すなわち、このチューブ32は、内外両筒壁32a,32bが接着剤,溶接法あるいは係止手段等を用いてそれぞれ前記ポンプ軸31の外周面と揺動筒(後述)の内周面に取り付けられている。
【0052】
そして、前記チューブ32としては、自己復元力が小さい柔軟性材料あるいは剛性の低い材料によって形成されている。例えば、アルミニウム等の金属材料によって形成されたもの、アルミニウム素材の表面に樹脂コーティング・ラミネート処理が施されたものあるいはビニール等の合成樹脂によって形成されたものが用いられる。これにより、ポンプ駆動時にチューブ32の押し潰し荷重が軽減され、ポンプ効率が高められる。また、前記チューブ32の引き出し部32e(一部)は、前記ポンプ軸31のチューブ引き出し路31a内に配置されている。
【0053】
なお、チューブ32としては、後述する揺動筒に対して自己復元力や流体圧が作用しないようにするために、チューブ内外径差(周長差)を可能な限り小さくすることが望ましい。また、チューブ32内の流体(空気)が円滑に流動するために、チューブ内面の摩擦抵抗を小さくすること望ましい。
【0054】
前記チューブ32における巻回中心軸(ポンプ軸の軸線)の周囲には、前記ポンプ軸31の外周方向に延在する環状の転動経路Aが形成されている。この転動経路A内には、前記ポンプ軸31の周方向に転動可能な球体33が配設されている。この球体33は、例えば金属あるいは合成樹脂によって形成されている。前記球体33における前記転動経路Aの内外には、各筒径が互いに異なる内外二つの筒体34,35が配設されている。
【0055】
なお、前記転動経路Aの内径は球体33のチューブ押し潰し位置(揺動筒への加圧位置)からポンプ軸31の軸線までの最短寸法aを二倍した寸法(a×2)に設定され、その外径は寸法aに球体33の外径を加算した寸法bを二倍した寸法(b×2)に設定されている。また、前記転動経路Aの幅寸法は球体33の外径とほぼ同一の寸法に設定されている。
【0056】
前記両筒体34,35のうち外側の筒体34は、駆動手段(図示せず)によってチューブ巻回中心軸(ポンプ軸)の回りに回転可能な回転筒(有底筒)からなり、前記ポンプ軸31の外周面上にボールベアリング36を介して回転自在に取り付けられている。これにより、ポンプ駆動時に筒体34が回転すると、筒体34の内周面と球体33との間に摩擦力を発生させ、球体33が筒体34の回転方向に引かれるにようにして筒体35の外周面上を転動する。また、前記筒体34の底部には、前記チューブ引き出し路31aの長手方向中間部に位置し、前記ボールベアリング36を収納するための貫通孔34aが設けられている。
一方、内側の筒体35は、前記筒体34の回転による前記球体33の転動によって揺動する揺動筒(無底筒)からなり、前記筒体34内に前記球体33の押圧力を受けて前記チューブ32の一部を加圧した状態で保持されている。
【0057】
なお、前記各筒体34,35は、ポンプ駆動時(筒体34の回転動作時)に筒体34の回転動作に伴い球体33が転動経路A内を円滑に転動するために、筒体34と球体33間に発生する摩擦力より筒体35と球体33間に発生する摩擦力が小さくなるような材料によって形成されていることが望ましい。
【0058】
以上の構成において、筒体(回転筒)34をポンプ軸31の回りに回転させると、図3に示すように球体33が筒体(揺動筒)35の外周面を押圧しながらポンプ軸31の周方向に転動経路A内を転動し、この転動動作に伴い揺動筒35がポンプ軸31と直角な平面内で揺動する。
この場合、球体33が揺動筒35の外周面を押圧すると、揺動筒35がポンプ軸31の径方向に移動するため、揺動筒35の内周面がポンプ軸31の外周面に最も接近する位置(図3において上側)でチューブ32をチューブ巻径方向に押し潰す(閉塞する)とともに、ポンプ軸31の外周面から最も離間する位置(図3において下側)でチューブ32を初期状態に復元(回復)する。
【0059】
すなわち、図4に矢印(一点鎖線)で示すように、回転筒34の回転時(ポンプ駆動時)に球体33による揺動筒35に対する加圧位置が連続的に移動し、この移動動作に伴い球体33の押圧力がチューブ押し潰し位置で揺動筒35を介してチューブ32に伝達されるとともに、チューブ復元位置で解除され、チューブ押し潰し動作とチューブ復元動作が同時に行われる。
そして、押し潰されたチューブ32の形状が球体33(揺動筒35)によるチューブ加圧位置の移動方向に沿って徐々に回復するため、チューブ32内(キャッピング手段10におけるキャップ部材10bの内部空間)に与えられる負圧が漸次大きくなり、記録ヘッド7のノズル開口7bからインクが吸引排出される。
【0060】
したがって、本実施形態においては、チューブ32の復元がチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないため、チューブ内外径を設定する場合に要求された厳密性を緩和することができ、ポンプ設計を簡単に行うことができる。
また、本実施形態において、チューブ32の初期状態への復元をチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないことは、それだけチューブ32の材料を多数の材料から選定することができ、チューブ選択上の自由度を高めることができる。これにより、例えばアルミニウム等の金属材料をチューブ材料として用いることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態において、揺動筒35の揺動動作によってチューブ32を復元可能であることは、チューブ材料として自己復元力の大きい材料を用いる必要がないため、押し潰し荷重を軽減することができ、ポンプ効率を高めることができる。
この他、本実施形態において、チューブ32の初期状態への復元が揺動筒35の揺動動作によるものであることは、従来のようにチューブ貼り付きなどによる故障発生の防止対策を講じる必要がないため、この点からもポンプ設計を簡単に行うことができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、ポンプ駆動時に球体33を筒体(回転筒)34との間に発生する摩擦力によってつれ回し、筒体(揺動筒)35の外周面上で転動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図5に示すように球体33を回転筒34に空転自在に位置決めし、揺動筒35の外周面上で案内しながら転動させてもよい。
この場合、回転筒34には球体33を空転自在に位置決めする断面V字状の凹部34bが形成されており、揺動筒35には球体33を外周方向に案内する断面V字状の環状溝35aが形成されている。これにより、回転筒34の回転動作時(ポンプ駆動時)に球体33が揺動筒35の外周面上を環状溝35aに沿って確実に転動することとなり、揺動筒35の安定した揺動動作を得ることができる。
【0063】
図6は第二実施形態に係るチューブポンプの要部を模式的に示す断面図で、同図におけるチューブポンプ,チューブおよび球体については図3と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
同図において、符号11で示すチューブポンプには、駆動手段(図示せず)によって回転するポンプ軸(回転中心軸)61を有している。このポンプ軸61は、記録装置内の固定壁62にボールベアリング63を介して回転自在に取り付けられている。そして、前記ポンプ軸61の周囲には、チューブ巻径方向に変形して復元可能な前記チューブ32が円環状に巻回するように配設されている。これにより、ポンプ駆動時にポンプ軸61が回転すると、ポンプ軸61の外周面と球体33との間に摩擦力を発生させ、球体33がポンプ軸61の回転方向に引かれるにようにして揺動筒(後述)の内周面上を転動する。
【0064】
そして、前記チューブ32は、後述する固定筒の内周面と同じく後述する揺動筒の外周面との間に介装されている。すなわち、このチューブ32は、内外両筒壁32a,32bが接着剤,溶接法あるいは係止手段等を用いてそれぞれ揺動筒(後述)の外周面と固定筒(後述)の内周面に取り付けられている。
【0065】
前記チューブ32における巻回中心軸(ポンプ軸の軸線)の周囲には、前記ポンプ軸61の外周方向に延在する環状の転動経路Bが形成されている。この転動経路B内には、前記ポンプ軸61の周方向に転動可能な球体33が配設されている。この球体33における前記転動経路Bの外側には、各筒径が互いに異なる内外二つの筒体64,65が配設されている。
【0066】
なお、前記転動経路Bの内径はポンプ軸61の外径と同一の寸法に設定され、その外径(転動経路の外径)は球体33の外径を二倍した寸法にポンプ軸61の外径を加算した寸法cに設定されている。また、前記転動経路Bの幅寸法は球体33の外径とほぼ同一の寸法に設定されている。
【0067】
前記両筒体64,65のうち外側の筒体64は、軸線両方向に開口する固定筒(無底筒)からなり、チューブ巻回中心軸線上に配設され、かつ前記ポンプ軸61の周囲に位置する固定壁66(円筒壁)に取り付けられている。この筒体64の両開口部には、各フランジ端面が互いに前記チューブ32を介して対向する内フランジ64a,64bが一体に設けられている。これら内フランジ64a,64bのうち一方の内フランジ64bには、前記チューブ32の引き出し部32eを前記ポンプ軸61の軸線方向に沿って引き出すための切欠き64cが設けられている。
一方、内側の筒体65は、前記ポンプ軸61の回転による前記球体33の転動によって揺動する揺動筒(無底筒)からなり、前記筒体64内に前記球体33の押圧力を受けて前記チューブ32の一部を加圧した状態で保持されている。
【0068】
なお、前記筒体65および前記ポンプ軸61は、ポンプ駆動時(ポンプ軸61の回転動作時)にポンプ軸61の回転動作に伴い球体33が転動経路B内を円滑に転動するために、筒体65と球体33間に発生する摩擦力がポンプ軸61と球体33間に発生する摩擦力より小さくなるような材料によって形成されていることが望ましい。
【0069】
以上の構成において、ポンプ駆動時にポンプ軸61を回転させると、図6に示すように球体33が筒体(揺動筒)65の内周面を押圧しながらポンプ軸61の周方向に転動経路B内を転動し、この転動動作に伴い揺動筒65がポンプ軸61と直角な平面内で揺動する。
この場合、球体33が揺動筒65の内周面を押圧すると、揺動筒65がポンプ軸61の径方向に移動するため、揺動筒65の外周面が筒体(固定筒)64の内周面に最も接近する位置(図6において上側)でチューブ32をチューブ巻径方向に押し潰す(閉塞する)とともに、固定筒64の内周面から最も離間する位置(図6において下側)でチューブ32を初期状態に復元(回復)する。
【0070】
すなわち、図4に矢印(一点鎖線)で示すように、ポンプ軸61の回転時(ポンプ駆動時)に球体33による揺動筒65に対する加圧位置が連続的に移動し、この移動動作に伴い球体33の押圧力がチューブ押し潰し位置で揺動筒65を介してチューブ32に伝達されるとともに、チューブ復元位置で解除され、チューブ押し潰し動作とチューブ復元動作が同時に行われる。
そして、押し潰されたチューブ32の形状が球体33(揺動筒65)によるチューブ加圧位置の移動方向に沿って徐々に回復するため、チューブ32内(キャッピング手段10におけるキャップ部材10bの内部空間)に与えられる負圧が漸次大きくなり、記録ヘッド7のノズル開口7bからインクが吸引排出される。
【0071】
したがって、本実施形態においては、チューブ32の復元がチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないため、第一実施形態と同様に、ポンプ設計を簡単に行うことができるとともに、チューブ選択上の自由度を高めることができる。
また、本実施形態において、揺動筒65の揺動動作によってチューブ32を復元可能であることは、チューブ材料として自己復元力の大きい材料を用いる必要がないため、第一実施形態と同様に、ポンプ効率を高めることができる。
さらに、本実施形態において、チューブ32の初期状態への復元が揺動筒65の揺動動作によるものであることは、第一実施形態と同様に、従来のようにチューブ貼り付きなどによる故障発生の防止対策を講じる必要がないため、この点からもポンプ設計を簡単に行うことができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、前記チューブ32の引き出し部32eをポンプ軸31の軸線方向に沿って引き出す場合について説明したが、これに限定されず、図7に示すようにポンプ軸61の径方向に沿って引き出してもよい。これにより、ポンプ組立時にチューブ32の引き出し部32eを筒体64および固定壁66に挿通させて配置することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、ポンプ駆動時に球体33をポンプ軸61との間に発生する摩擦力によってつれ回し、筒体(揺動筒)65の内周面上で転動させる場合について説明したが、これに限定されず、図8に示すように球体33をポンプ軸61に空転自在に位置決めし、揺動筒65の内周面上で案内しながら転動させてもよい。
この場合、ポンプ軸61には球体33を空転自在に位置決めする断面V字状の凹部61aが形成されており、揺動筒65には球体33を内周方向に案内する断面V字状の環状溝65aが形成されている。これにより、ポンプ軸61の回転動作時(ポンプ駆動時)に球体33が揺動筒65の内周面上を環状溝65aに沿って確実に転動することとなり、揺動筒65の安定した揺動動作を得ることができる。
【0074】
次に、本発明の第三実施形態につき、図9を用いて説明する。図9は本発明の第三実施形態に係るチューブポンプの要部を模式的に示す断面図で、同図におけるチューブポンプ,チューブおよび球体については図3および図6と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
同図において、符号11で示すチューブポンプには、固定中心軸としてのポンプ軸91を有している。このポンプ軸91の周囲には、チューブ巻径方向に変形して復元可能なチューブ32が円環状に巻回するように配設されている。
【0075】
そして、前記チューブ32は、後述する固定筒の内周面と同じく後述する揺動筒の外周面との間に介装されている。すなわち、このチューブ32は、内外両筒壁32a,32bが接着剤,溶接法あるいは係止手段等を用いてそれぞれ固定筒(後述)の内周面と揺動筒(後述)の外周面に取り付けられている。
【0076】
前記チューブ32における巻回中心軸(ポンプ軸の軸線)の周囲には、前記ポンプ軸91の外周方向に延在する環状の転動経路Cが形成されている。この転動経路C内には、前記ポンプ軸91の周方向に転動可能な球体33が配設されている。前記球体33における前記転動経路Cの内外には、各筒径が互いに異なる内外三つの筒体94〜96が配設されている。
【0077】
なお、前記転動経路Cの内径は回転筒(後述)の外径と同一の寸法dに設定され、その外径(転動経路Cの外径)は球体33のチューブ押し潰し位置(揺動筒への加圧位置)からポンプ軸91の軸線までの最短寸法eを二倍した寸法(e×2)に設定されている。また、前記転動経路Cの幅寸法は球体33の外径とほぼ同一の寸法に設定されている。
【0078】
前記筒体94〜96のうち最外位置の筒体94は、軸線方向(一方向)に開口する固定筒(有底筒)からなり、前記ポンプ軸91の外周面に取り付けられている。この筒体94の底部には、前記ポンプ軸91が挿通するシャフト挿通孔94aおよびこのシャフト挿通孔94aの開口周縁に突出する立ち上がり筒部94bが設けられている。また、前記筒体94の底部には、前記チューブ32の引き出し部32eを前記ポンプ軸91の軸線方向に引き出すための貫通孔94cが設けられている。
【0079】
また、最内位置の筒体95は、前記筒体94の軸線(チューブ巻回中心軸)の回りに回転可能な回転筒(無底筒)からなり、前記ポンプ軸91の外周面上にボールベアリング97を介して回転自在に取り付けられている。これにより、ポンプ駆動時に筒体95回転すると、筒体95の外周面と球体33との間に摩擦力を発生させ、球体33が筒体95の回転方向に引かれるにようにして筒体96の内周面上を転動する。また、前記筒体95の外周面には、前記筒体94の底面に前記球体33を介して対向するフランジ端面を有するフランジ95aが一体に設けられている。
【0080】
前記両筒体94,95間に介在する筒体96は、前記筒体95の回転による前記球体33の転動によって揺動する揺動筒(無底筒)からなり、前記筒体94内に前記球体33の押圧力を受けて前記チューブ32の一部を加圧した状態で保持されている。
【0081】
なお、前記筒体95,96は、ポンプ駆動時(筒体95の回転動作時)に筒体95の回転動作に伴い球体33が転動経路C内を円滑に転動するために、筒体95と球体33間に発生する摩擦力より筒体96と球体33間に発生する摩擦力が小さくなるような材料によって形成されていることが望ましい。
【0082】
以上の構成において、筒体(回転筒)95をポンプ軸91の回りに回転させると、図9に示すように球体33が筒体(揺動筒)96の内周面を押圧しながらポンプ軸91の周方向に転動経路C内を転動し、この転動動作に伴い揺動筒96がポンプ軸91と直角な平面内で揺動する。
この場合、球体33が揺動筒96の内周面を押圧すると、揺動筒96がポンプ軸91の径方向に移動するため、揺動筒96の外周面が固定筒94の内周面に最も接近する位置(図9において上側)でチューブ32をチューブ巻径方向に押し潰す(閉塞する)とともに、固定筒94の内周面から最も離間する位置(図9において下側)でチューブ32を初期状態に復元(回復)する。
【0083】
すなわち、図4に矢印(一点鎖線)で示すように、回転筒95の回転時(ポンプ駆動時)に球体33による揺動筒96に対する加圧位置が連続的に移動し、この移動動作に伴い球体33の押圧力がチューブ押し潰し位置で揺動筒96を介してチューブ32に伝達されるとともに、チューブ復元位置で解除され、チューブ押し潰し動作とチューブ復元動作が同時に行われる。
そして、押し潰されたチューブ32の形状が球体33(揺動筒96)によるチューブ加圧位置の移動方向に沿って徐々に回復するため、チューブ32内(キャッピング手段10におけるキャップ部材10bの内部空間)に与えられる負圧が漸次大きくなり、記録ヘッド7のノズル開口7bからインクが吸引排出される。
【0084】
したがって、本実施形態において、チューブ32の復元がチューブ自体の弾性力によるものとする必要がないため、ポンプ設計が簡単に行えることおよびチューブ選択上の自由度が高められることは、第一実施形態および第二実施形態と同様である。
また、本実施形態において、揺動筒96の揺動動作によってチューブ32を復元可能であることは、チューブ材料として自己復元力の大きい材料を用いることを必要としないため、第一実施形態および第二実施形態と同様に、ポンプ効率を高めることができる。
さらに、本実施形態において、チューブ32の初期状態への復元が揺動筒96の揺動動作によるものであることは、従来のようにチューブ貼り付きなどによる故障発生の防止対策を講じる必要がないため、第一実施形態および第二実施形態と同様に、この点からもポンプ設計を簡単に行うことができる。
【0085】
なお、本実施形態においては、前記チューブ32の引き出し部32eをポンプ軸91の軸線方向に沿って引き出す場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図10に示すようにポンプ軸91の径方向に沿って引き出してもよい。この場合、前記筒体94の周壁には、チューブ32の引き出し部32eをポンプ軸91の径方向に沿って引き出すための貫通孔94cが設けられている。これにより、ポンプ組立時にチューブ32の引き出し部32eを筒体94(貫通孔94c)に挿通させて配置することができる。
【0086】
また、本実施形態においては、ポンプ駆動時に球体33を筒体95との間に発生する摩擦力によってつれ回し、筒体(揺動筒)96の内周面上で転動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図11に示すように球体33を筒体95に空転自在に位置決めし、揺動筒96の内周面上で周方向に案内しながら転動させてもよい。
この場合、回転筒95には球体33を空転自在に位置決めする断面V字状の凹部95bが形成されており、揺動筒96には球体33を内周方向に案内する断面V字状の環状溝96aが形成されている。これにより、回転筒95の回転動作時(ポンプ駆動時)に球体33が揺動筒96の内周面上を環状溝96aに沿って確実に転動することとなり、揺動筒96の安定した揺動動作を得ることができる。
【0087】
なお、各実施形態においては、インク吐出能力の回復手段としてチューブポンプを用いたインクジェット式記録装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、メインタンクからサブタンクにインクを供給するインク供給手段としてチューブポンプを用いたインクジェット式記録装置にも各実施形態と同様に適用可能である。
【0088】
また、各実施形態においては、チューブ32の一部を常時加圧してチューブ押し潰し動作とチューブ復元動作とが同時に行われる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、両動作が同時に行われないものでもよい。この場合、チューブ32が常時加圧されないため、インク経路におけるインク逆流の発生を防止する必要がある。
例えば、チューブポンプをインク吐出能力の回復手段として用いる場合には、チューブポンプ11とキャッピング手段10との間あるいはチューブポンプ11と廃インクタンク13との間に逆止弁(図示せず)を設けるとよい。また、チューブポンプをインク供給手段として用いる場合には、メインタンクとチューブポンプ11との間あるいはチューブポンプ11とサブタンクとの間に逆止弁(図示せず)を設けるとよい。
【0089】
この他、各実施形態においては、単一のチューブポンプを備えたインクジェット式記録装置に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数のチューブポンプを備えたインクジェット式記録装置にも各実施形態と同様に適用できることは勿論である。
【0090】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、本発明に係るチューブポンプおよびこれを用いたインクジェット式記録装置によると、ポンプ設計を簡単に行うことができるとともに、チューブ選択上の自由度およびポンプ効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されたインクジェット式記録装置の構成を示した斜視図である。
【図2】 図1に示す記録装置に具備されたキャッピング手段およびチューブポンプの概略を示す断面図である。
【図3】 本発明の第一実施形態に係るチューブポンプの要部を模式的に示す断面図である。
【図4】 図3におけるチューブポンプの動作を説明するために示す側面図である。
【図5】 図3におけるチューブポンプの変形例を示す断面図である。
【図6】 第二実施形態に係るチューブポンプの要部を模式的に示す断面図である。
【図7】 図6におけるチューブポンプの第一変形例を示す断面図である。
【図8】 同じく図6におけるチューブポンプの第二変形例を示す断面図である。
【図9】 本発明の第三実施形態に係るチューブポンプの要部を模式的に示す断面図である。
【図10】 図9におけるチューブポンプの第一変形例を示す断面図である。
【図11】 同じく図9におけるチューブポンプの第二変形例を示す断面図である。
【図12】 従来におけるチューブポンプの概略を示す透視図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 キャリッジモータ
6 記録用紙
7 記録ヘッド
8,9 インクカートリッジ
10 キャッピング手段
11 ポンプユニット(チューブポンプ)
12 ワイピング手段
31 ポンプ軸
31a チューブ引き出し路
32 チューブ
32e 引き出し部
33 球体
34,35 筒体
36 ボールベアリング
A 転動経路

Claims (14)

  1. 固定中心軸としてのポンプ軸と、
    このポンプ軸の周囲に円環状に巻回するように配設され、チューブ巻径方向に変形して復元可能なチューブと、
    このチューブの巻回中心軸周囲に配設され、前記ポンプ軸の周方向に転動可能な球体と、
    この球体の環状転動経路の内外に配設され、各筒径が互いに異なる内外二つの筒体とを備え、
    これら両筒体のうち外側の筒体は、前記ポンプ軸の回りに回転可能な回転筒からなり、
    内側の筒体は、前記回転筒の回転による前記球体の転動によって揺動する揺動筒からなり、
    この揺動筒の内周面と前記ポンプ軸の外周面との間には、前記チューブが介装されていることを特徴とするチューブポンプ。
  2. 前記回転筒に前記球体を空転自在に位置決めする凹部が形成され、前記揺動筒に前記球体を外周方向に案内する環状溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたチューブポンプ。
  3. 固定中心軸としてのポンプ軸と、
    このポンプ軸の周囲に円環状に巻回するように配設され、チューブ巻径方向に変形して復元可能なチューブと、
    このチューブの巻回中心軸周囲に配設され、前記ポンプ軸の周方向に転動可能な球体と、
    この球体の環状転動経路の内外に配設され、各筒径が互いに異なる内外三つの筒体とを備え、
    これら筒体のうち最外位置の筒体は、前記ポンプ軸に固定された固定筒からなり、
    最内位置の筒体は、前記ポンプ軸の回りに回転可能な回転筒からなり、
    これら内外両筒体間に介在する筒体は、前記回転筒の回転による前記球体の転動によって揺動する揺動筒からなり、
    この揺動筒の外周面と前記固定筒の内周面との間には、前記チューブが介装されていることを特徴とするチューブポンプ。
  4. 前記回転筒に前記球体を空転自在に位置決めする凹部が形成され、前記揺動筒に前記球体を内周方向に案内する環状溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載されたチューブポンプ。
  5. 前記チューブは、前記筒体の軸方向に沿って引き出されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたチューブポンプ。
  6. 前記チューブは、前記筒体の径方向に沿って引き出されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載されたチューブポンプ。
  7. 前記球体が、前記チューブを常時加圧する球体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたチューブポンプ。
  8. 前記チューブが、前記球体によって押し潰し可能な低剛性金属部材によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたチューブポンプ。
  9. 前記チューブの内面が、外面に比べて摩擦抵抗が小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたチューブポンプ。
  10. 前記チューブが、チューブ内周部と前記ポンプ軸の外周面とを一体化するとともにチューブ外周部と前記揺動筒の内周面とを一体化することにより、介装されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたチューブポンプ。
  11. 前記チューブが、チューブ内周部と前記揺動筒の外周面とを一体化するとともにチューブ外周部と前記固定筒の内周面とを一体化することにより、介装されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載されたチューブポンプ。
  12. 前記チューブが、接着または溶着によって介装されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載されたチューブポンプ。
  13. 印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式の記録ヘッドと、
    この記録ヘッドのノズル形成面を封止するとともに、ポンプユニットからの負圧を受けて前記記録ヘッドよりインクを吸引するキャッピング手段とを備えたインクジェット式記録装置であって、
    前記ポンプユニットとして、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載されたチューブポンプが具備されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  14. 印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式の記録ヘッドと、
    この記録ヘッドにインクを供給するための主副二つのタンクと、
    これら両タンクを接続するインク供給手段とを備えたインクジェット式記録装置であって、
    前記インク供給手段に、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載されたチューブポンプが具備されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
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