JP3747857B2 - 車両の減速度表示制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、任意に設定変更される設定減速度で減速走行可能な車両においてその設定減速度を表示装置に表示させるための車両の減速度表示制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の減速度すなわち回生レベルを設定操作するための減速度設定操作装置と、その減速度設定操作装置の操作により設定された減速度すなわちそれに対応する回生レベルを表示するための表示装置とを備えた車両が知られている。たとえば、特開平8−79907号公報に記載されたハイブリッド車両がそれである。このような車両によれば、予め設定された所望の減速度で車両が減速走行させられる利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の車両においては、減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示装置に表示すると、設定操作の途中である場合には、表示装置に表示された減速度が設定操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することから、走行中において運転者による減速度表示の視認性が損なわれる可能性があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、表示装置に表示される減速度について視認性のよい車両の減速度表示制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、その減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示するための表示装置とを備えた車両の減速度表示制御装置であって、(a) 前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であるか否かを判定する減速度変更操作中判定手段と、(b) その減速度変更操作中判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であると判定された場合には、減速度変更期間の一部または全期間においてその減速度設定操作装置による減速度変更操作により設定変更される減速度に追従する表示を中止する表示制御手段とを、含むことにある。
【0006】
【第1発明の効果】
このようにすれば、減速度設定変更中判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であると判定された場合には、表示制御手段により、減速度変更期間の一部または全期間においてその減速度設定操作装置による減速度変更操作により設定変更される減速度に追従する表示が中止されることから、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0007】
【課題を解決するための第2の手段】
前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、その減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示するための表示装置とを備えた車両の減速度表示制御装置であって、(a) 前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であるか否かを判定する減速度変更操作中判定手段と、(b) その減速度変更操作中判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であると判定された場合には、減速度変更期間の一部または全期間においてその減速度設定操作装置により設定される実際の減速度とは異なる減速度を前記表示装置に表示させる表示制御手段とを、含むことにある。
【0008】
【第2発明の効果】
このようにすれば、減速度変更操作中判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であると判定された場合には、表示制御手段により、減速度変更期間の一部または全期間においてその減速度変更操作中判定手段により設定される実際の減速度とは異なる減速度が表示装置に表示させられることから、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0009】
【課題を解決するための第3の手段】
前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、その減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示するための表示装置とを備えた車両の減速度表示制御装置であって、(a) 前記減速度設定操作装置による減速度変更操作が終了したか否かを判定する減速度変更操作終了判定手段と、(b) その減速度変更操作終了判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作が終了したと判定された場合には、その減速度変更操作の終了により確定した減速度を前記表示装置に表示させる表示制御手段とを、含むことにある。
【0010】
【第3発明の効果】
このようにすれば、減速度変更操作終了判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作が終了したと判定された場合には、表示制御手段により、その減速度変更操作の終了により確定した減速度が表示装置に表示させられることから、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0011】
【第1発明乃至第3発明の他の態様】
ここで、前記第1発明乃至第3発明において、好適には、前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作中は、その減速度変更操作開始前の減速度を前記表示装置に表示させるものである。このようにすれば、減速度変更操作開始前の減速度が表示装置に表示させられるので、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0012】
また、前記第1発明乃至第3発明において、好適には、前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作中は、前記表示装置に減速度を表示させないものである。このようにすれば、減速度変更操作中は表示装置に減速度が表示させられないので、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0013】
また、前記第1発明および第2発明において、好適には、前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作により設定された減速度が確定後に、該減速度を前記表示装置に表示させるものである。このようにすれば、減速度変更操作により設定された減速度が確定後に、その減速度が前記表示装置に表示されるので、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0014】
また、前記第2発明において、好適には、前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作により設定変更される減速度を、その変化に対して遅延させて前記表示装置に表示させるものである。このようにすれば、減速度変更操作により設定変更される減速度がその変化に対して遅延させられて前記表示装置に表示させられるので、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0015】
また、前記第2発明において、好適には、前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作により設定変更される減速度を、その実際の車両に用いられる時よりも先に前記表示装置に表示させるものである。このようにすれば、減速度変更操作により設定変更される減速度が、その実際の車両に用いられる時よりも先に表示装置に表示されるので、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0016】
また、前記第1発明乃至第3発明において、好適には、前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作中は、その減速度変更操作中であることを示す表示を前記表示装置に表示させるものである。このようにすれば、減速度変更操作中は、減速度変更操作中であることを示す表示が表示装置に表示されるので、表示装置に表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0019】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例の減速制御装置が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、駆動力源としてのエンジン10の出力は、回転変動やトルク変動を抑制するためのダンパ(振動減衰装置)12、シングルピニオン型の遊星歯車装置14、第1カウンタ軸16、第2カウンタ軸18、差動歯車装置(終減速機)20、および一対の車軸22を順次介して一対の駆動輪(前輪)24へ伝達されるようになっている。
【0021】
上記遊星歯車装置14は、機械的に動力を合成或いは分配する合成分配機構であり、中心軸26を介して上記ダンパ12およびエンジン10に連結されたキャリヤ14cと、上記中心軸26の外周に同心に設けられた管状の第1スリーブ軸28を介して発電機および電動機として機能するエンジン側のモータジェネレータMG1と連結されたサンギヤ14sと、その第1スリーブ軸28の外周に同心に設けられた管状の第2スリーブ軸30を介して電動機および発電機として機能する車輪側のモータジェネレータMG2および動力伝達用の第1スプロケット32に連結され、上記キャリヤ14cに回転可能に支持された遊星ギヤ14pを介してサンギヤ14sとかみ合わせられたリングギヤ14rとを備えている。
【0022】
上記第1カウンタ軸16および第2カウンタ軸18は、上記中心軸26と平行となるようにハウジング34により回転可能に支持されており、第1カウンタ軸16の一端部には、上記第1スプロケット32にそれに巻き掛けられた無端環状のサイレントチェイン38を介して作動的に連結される第2スプロケット40が設けられ、第1カウンタ軸16の他端部と第2カウンタ軸18の一端部には、互いに噛み合うカウンタギヤ対42および44が設けられ、その第2カウンタ軸18の他端部には、差動歯車装置20のファイナルギヤ46と噛み合うギヤ48が設けられている。その差動歯車装置20は、一対の差動傘歯車50と、その一対の差動傘歯車50を収容し且つその一対の差動傘歯車50と噛み合うピニオン52を回転可能に支持するとともに上記ファイナルギヤ46に固定された差動ギヤ箱54とを備え、そのファイナルギヤ44に伝達された動力を左右の車軸22およびこれと共に回転する駆動輪24へ、それらの差動を許容しつつ均等に分配する。
【0023】
油圧ポンプ56は、上記中心軸26を介してエンジン10に連結されており、エンジン10によって回転駆動されるようになっている。また、上記モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2は、たとえば固定子および回転子から成る交流用回転電機から構成される。モータジェネレータMG1は発電機として機能させられる場合が多く、モータジェネレータMG2は電動機として機能させられる場合が多い。これらモータジェネレータMG1およびMG2とエンジン10とは、車両の駆動力源として機能している。
【0024】
図2および図3は、上記第2カウンタ軸18の回転をロックするためのハイブリッド車両のパーキングロック装置60を説明するものであり、図2は第2カウンタ軸18の軸心方向から見た図であり、図3はその軸心に直交する方向から見た図である。パーキングロック装置60は、第2カウンタ軸18に固設されたロックギヤ62と、ロックギヤ62と噛み合ってその回転を阻止するための噛合歯64を有し、そのロックギヤ62に対して噛み合う噛合位置と非噛合位置との間で回動可能にそのハウジング34に設けられたロックポール66と、そのロックポール66の先端部に設けられたカム面68と、上記第2カウンタ軸18の軸心方向に平行となるように長手方向に移動可能にハウジング34に支持されたパーキングロッド70と、そのパーキングロッド70の先端部に設けられて上記カム面68に係合してパーキングロッド70をロックギヤ62側へ移動させるためのテーパ面72と、そのパーキングロッド70の基端部に形成されたラック74に噛み合うピニオン76を有する電動モータ78と、上記のパーキングロッド70の先端部を嵌め入れてそれを案内する案内穴80を有し、ハウジング34に固定された案内部材82とを備え、その電動モータ78によりパーキングロッド70が先端側に移動させることによりロックポール66をロックギヤ62側へ駆動させてそれを噛合位置とするとともに、電動モータ78によりパーキングロッド70を基端部側へ移動させることによりロックポール66を非噛合位置へ移動させる。上記パーキングロッド70は、好適には、油圧回路に設けられたマニアル弁の弁子を兼ねており、走行ポジション毎に対応した位置に移動させられる。このようなシフト機構は、ワイヤ(電線)を介して油圧回路が走行ポジションに応じた切換作動させられるので、シフトバイワイヤと称されている。これにより、後述の電子制御装置98からの指令に従って自動的にパーキングロックが行われたり、そのパーキングロックが解放されたりするようになっている。
【0025】
図4および図5は、走行ポジション選択操作装置86を説明するものであり、図4はその走行ポジション選択操作装置86の配置を概略示す車両の運転席88付近を示し、図5はその走行ポジション選択操作装置86の斜視図である。本実施例の走行ポジション選択操作装置86は、運転者の利き腕などにより左右のいずれであっても所望の手で操作可能となるように、ステアリングホイール84を操作するための運転席88の左右両側にそれぞれ設けられている。右側の走行ポジション選択操作装置86はドア90の内側に設けられ、左側の走行ポジション選択操作装置86は図示しない助手席と運転席88のとの間に設けられている。走行ポジション選択操作装置86は、前後および左右のいずれの方向にも傾動操作可能に設けられることにより、減速度を小さくするための「+」ポジション、減速度を大きくするための「−」ポジション、後進走行を選択するためのR(リバース)ポジション、前進走行を選択するためのD(ドライブ)ポジションの4位置へ択一的に選択操作される自動復帰型のシフト操作レバー92と、そのシフト操作レバー92の前方側位置に設けられ、P(パーキング)ポジションを選択するために操作される自動復帰型ボタンから成るPスイッチ94と、同様に上記シフト操作レバー92の前方側位置に設けられ、N(ニュートラル)ポジションを選択するために操作される自動復帰型ボタンから成るNスイッチ96とを備えている。上記シフト操作レバー92、Pスイッチ94、Nスイッチ96は、車両の走行ポジションを選択するために操作されるシフト操作部材、車両の設定減速度を設定変更するための減速度設定操作体として機能している。また、上記「+」ポジションおよび「−」ポジションは、車両の減速走行時においてその減速度を選択するために減速操作される減速走行ポジションであり、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて目標減速度が順次大きくされ、「+」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて目標減速度が順次小さくされる。すなわち、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて目標減速度が大きくされる毎に、減速度が大きい走行ポジションが選択され、「+」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて減速度が小さい走行ポジションが選択されるのである。したがって、上記走行ポジション選択操作装置86は、車両の設定減速度を選択する減速度設定操作装置としても機能している。ここで、減速度とは負の加速度の意味であり、その加速度の絶対値でその大小が表される。
【0026】
図6は、電子制御装置98に入力される信号およびその電子制御装置98から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置98には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、第2スリーブ軸30、第1カウンタ軸16、第2カウンタ軸18のいずれかの回転速度に対応する車速信号、加速度センサにより検出される車両の加速度Gを表す信号、シフト操作レバー92の操作位置であるシフトポジションを表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置98からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、エンジン10の起動のための点火信号およびモータジェネレータMG1の作動指令、モータ走行のためのモータジェネレータMG2の作動指令、回生のためのモータジェネレータMG1の作動指令、ダッシュボードに設けられた表示装置99にシフト操作レバー92の操作ポジション、減速度などを表示させるための表示指令などが出力される。
【0027】
上記電子制御装置98は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、予め記憶された関係から実際の車速および要求駆動力(=アクセル開度θACC )に基づいてモータ走行かエンジン走行かを判定し、判定された駆動力源(原動機)で車両を駆動させる駆動力源切換制御、アクセルペダルが操作されないすなわちアクセル開度θACC およびスロットル開度θTHが零である減速走行時における目標減速度が決定され、その目標減速度が得られるようにする回生制御、シフト操作レバー92が減速ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作されることに応答して目標減速度を複数段階に切り換える減速度選択操作制御、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションから非減速ポジションであるDポジション或いはNポジションへ操作されたときの操作量に対する設定減速度の変化量を制御する設定減速度変更制御、その設定減速度の表示を制御する設定減速度表示制御などを実行する。
【0028】
図7は、上記電子制御装置98の制御機能の要部、すなわち設定減速度表示制御機能を説明する機能ブロック線図である。図7において、駆動源切換制御手段100は、燃費をよくするために最適な駆動力源すなわちエンジン10、モータジェネレータMG2のいずれかを、予め記憶された関係から実際の車速および要求負荷に基づいて選択し、選択された駆動力源に切り換える。これにより、たとえば低車速低負荷領域ではモータジェネレータMG2を用いたモータ走行が選択され、それ以外の領域では、エンジン10を用いたエンジン走行が選択される。さらに詳しくは、たとえばエンジン10の暖気後であり、エアコン用コンプレッサの駆動が不要であり、且つ図示しない二次電池の充電量が十分な状態における停車時には、エンジン10、モータジェネレータMG1、およびモータジェネレータMG2が停止させられる。しかし、エンジン10の暖気が必要な場合、或いは二次電池の充電が必要な場合は、モータジェネレータMG1を回転駆動するために停車時においてもエンジン10が回転駆動される。この状態では、駆動輪24が停止しているためにリングギヤ14rも回転停止しているので、モータとしても機能するモータジェネレータMG1がサンギヤ14sを回転駆動することによりエンジン10を始動させた後、始動させられたエンジン10がそのモータジェネレータMG1を回転駆動して、そのエンジン10の暖気や二次電池の充電を行い得るようになっている。
【0029】
通常の車両の発進時では、モータ走行のために、専らモータジェネレータMG2によりリングギヤ14rおよびそれに直結したスプロケット32が回転駆動されることにより駆動輪24が回転させられる。このとき、エンジン10を回転停止させるためにモータジェネレータMG1が逆回転させられるとともに、そのモータジェネレータMG1でクリープトルクを確保しつつ、モータ発進走行が行われる。所定車速以上となると、モータとしても機能するモータジェネレータMG1がサンギヤ14sを回転駆動することによりエンジン10が始動させられ、エンジン10の回転速度が燃費が好適な所定回転速度で維持されていても、モータジェネレータMG1の回転速度が低下させられるに伴ってリングギヤ14rおよびそれに直結したスプロケット32の回転が増加させられ、車速Vが増加させられる。定常走行時は、専らそのエンジン10でエンジン走行が行われる。この場合は、発電制動によってモータジェネレータMG1が低速回転状態とされ、リングギヤ14rはエンジン10により増速駆動される。その定常走行状態などからの加速操作などの加速要求時には、エンジン10の回転速度が上昇させられるとともに、モータジェネレータMG1を回転駆動してその回転速度が上昇させられると同時に、その発電電力を用いてモータジェネレータMG2が回転駆動されることにより、エンジン10の出力トルクにモータMの出力トルクを合わせて加速走行が行われる。上記の発進時などにおいては、エンジン10の出力の一部がモータジェネレータMG1を介してモータジェネレータMG2に伝達されて車両の駆動力に変換されることにより、モータジェネレータMG1の回転速度を制御することによってエンジン回転速度の変化にそれほど依存することなくリングギヤ14rの回転速度を変化させるという、無段変速機の機能が設けられている。
【0030】
減速制御手段102は、アクセルペダルが操作されない車両の非加速走行時すなわち減速走行時(所謂エンジンブレーキ走行時)であって、シフト操作レバー92により減速走行ポジションが選択されているときには、エンジン10の回転状態に拘わらずリングギヤ14rおよびそれに直結させられたモータジェネレータMG2が車両の運動エネルギにより回転駆動されることを利用して、そのモータジェネレータMG2により発電された電気エネルギーを二次電池に充電させてエネルギ回収(回生)を行なう。この場合、モータジェネレータMG2による発電電力はそのモータジェネレータMG2の回転抵抗に対応することから、たとえば図8に示す予め記憶された関係から実際の車速V(km/h)およびシフト操作レバー92により選択された減速ポジションに基づいて目標減速度すなわち設定減速度が決定され、その設定減速度が得られるように、モータジェネレータMG2による発電量が制御され、通常は設定減速度と実際の減速度とは略同じ値とされる。上記設定減速度は、シフト操作レバー92が非減速走行ポジションへ操作されることによりキャンセルされる。また、ブレーキペダル操作時は、そのブレーキペダル操作量に基づく要求制動力が得られるようにたとえば油圧式の車輪ブレーキ装置104と上記モータジェネレータMG2による回生ブレーキとが協調制御され、その回生ブレーキが優先的に作動させられることで、エネルギ効率が一層高められている。上記図8において、(0)が付されている線は目標減速度の基本値(デフォルト値)を示し、(I−)が付されている線、(II−)が付されている線、( III−)が付されている線は、複数段階の減速度レベルを示すものであり、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される毎に順次選択される。また、シフト操作レバー92が「+」ポジションへ操作される毎に選択される線が順次戻される。
【0031】
VSC制御装置(旋回挙動安定化制御装置)106は、車両の旋回方向の挙動を安定化するために換言すればアンダーステアおよびオーバステアを防止するために、上記車輪ブレーキ装置104による各車輪の制動力や車両や駆動力を選択的に制御する。減速度変更操作判定手段110は、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジションまたは「+」ポジションへ操作されたか、或いはその減速走行ポジションから非減速走行ポジションであるDポジションへ操作されたか否か、すなわち減速度変更操作が行われたか否かを走行ポジション選択操作装置86からの信号に基づいて判定する。この減速度変更操作判定手段110は、上記減速度変更操作が開始(発生)されたか否かを判定する変更操作発生判定手段112と、上記減速度変更操作が連続して行われているか否かを判定する変更操作連続判定手段(減速度変更操作中判定手段)114と、上記減速度変更操作が終了したか否かを判定する変更操作終了判定手段116とを備えている。
【0032】
設定減速度変更制御手段118は、予め記憶された図8の関係から上記走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86のシフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数或いは操作時間の長さに応じて図8の線(0)から線( III−)へ向かって択一的に選択することにより、減速制御手段102において用いられる設定減速度を順次大きくなるように変更する一方、シフト操作レバー92が「+」ポジションへ操作される回数或いは操作時間の長さに応じて図8の線(0)へ向かって択一的に選択することにより、設定減速度が順次小さくなるように変更する。また、上記設定減速度変更制御手段118は、減速走行時において、減速度変更操作判定手段110により走行ポジション選択操作装置( 減速度設定操作装置)86のシフト操作レバー92が「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作されたことにより減速走行時の目標値である設定減速度の変更操作が行われことが判定されると、そのシフト操作レバー92の設定減速度変更操作に対する設定減速度の変化量を、車両状態すなわち車速、減速の有無、或いは実減速度の大きさなどに応じて変更する。たとえば、上記シフト操作レバー92がDポジション或いはNポジションから「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作された場合は、車両減速度の設定変更が非減速走行から減速走行への切換に際して行われ、上記シフト操作レバー92が「−」ポジション或いは「+」ポジションからDポジション或いはNポジションへ操作された場合は、車両減速度の設定変更が減速走行から非減速走行への切換に際して行われることになる。
【0033】
また、上記設定減速度変更制御手段118は、シフト操作レバー92の操作による設定減速度の変更とVSC制御装置106の作動要求とが重複的に発生した場合、VSC制御装置106の作動中に設定減速度の変更が発生した場合、設定減速度の変更中にVSC制御装置106の作動要求が発生した場合などにおいて、VSC制御装置106によるVSC制御作動に影響して車両の旋回挙動の影響が出ないように、車両減速度の変更とVSC制御装置106の作動との干渉を回避する。この干渉回避は、VSC制御装置106の作動を優先させたり、シフト操作レバー92の操作による車両減速度の変更幅を制限したり、車両の実際の減速度の変化を遅延させたりすることにより行われる。この車両減速度の変更幅の制限は、そのシフト操作レバー92の操作による車両減速度の変更幅をVSC制御装置106のVSC作動と干渉しない値すなわちVSC作動に影響しない値とすることにより行われる。
【0034】
表示制御手段120は、シフト操作レバー92の操作に応答して上記設定減速度変更制御手段114により設定変更された設定減速度或いは実際の減速度を、数字などのデジタル値或いはバーグラフなどのアナログ量により表示装置99に表示させる。この表示制御手段120は、設定減速度変更操作過渡状態に応じて実際とは異なる設定減速度を表示させる表示態様とするために、変更設定変更された設定減速度を表示装置99にリアルタイムで逐次表示させる設定減速度即表示手段122と、変更設定変更されつつある設定変更途中の設定減速度の表示を中止する表示減速度表示中止手段124、或いは設定減速度の設定変更途中であるときにはその設定変更操作前の設定減速度を表示装置99に表示させる変更前減速度表示手段126と、設定変更操作が終了し且つ他の操作がないことが確定したときの設定減速度を表示装置99に表示させる最終減速度表示手段128とを備えている。
【0035】
図9乃至図11は、走行中における上記表示制御手段120の設定減速度表示制御作動を説明するタイムチャートである。図9は、「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作に対する通常の減速度設定変更動作例を示している。この例では、シフト操作レバー92の「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作すなわち押付け状態維持操作は認められず、一度操作された後は、一旦中立位置へ戻されてから次のポジションへ操作される毎に設定減速度の設定変更操作が認識されるようになっている。この場合、設定減速度の変更幅を大きくしたい場合は複数回の操作が必要とされ、たとえばt1 時点、t2 時点、t3 時点において「+」ポジションへの操作が連続的に繰り返される毎に、モータジェネレータMG2の発電量がステップ的に減少させられて設定減速度が低下させられるが、t5 時点、t6 時点、t7 時点において「−」ポジションへの操作が連続的に繰り返される毎にモータジェネレータMG2の発電量がステップ的に増加させられて設定減速度も増加させられる。このとき、その連続的な複数回の操作中は減速度表示が連続的に変化することが好まれない場合があるので、減速度変更期間中の全部或いは一部の区間たとえばt2 時点乃至t4 時点の区間、t6 時点乃至t8 時点の区間において表示装置99の表示面がブランクとされるか非表示に対応するシンボル的な記号表示されることにより実質的に非表示状態とされる。そして、上記減速度変更期間が終了した変更後の設定減速度に対応した減速度レベルが表示装置99に表示される。たとえば設定減速度を小さく変更操作したt4 時点以後は零を示す表示が行われ、設定減速度を大きく変更操作したt8 時点以後は「 III−」を示す表示が行われる。
【0036】
図10は、「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作に対する通常の減速度設定変更動作の他の例を示している。この例では、シフト操作レバー92の「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作に対応して設定減速度を変更する操作が認められ、その連続操作時間に対応して設定減速度を変化させる設定変更操作が認識されるようになっている。この場合、設定減速度の変更幅を大きくしたい場合は連続操作時間を長くすることが必要とされ、たとえばt1 時点乃至t3 時点まで「+」ポジションへの押付け操作が連続的に維持されると、モータジェネレータMG2の発電量が連続的に減少させられて設定減速度が低下させられるが、t5 時点乃至t7 時点まで「−」ポジションへの押付け操作が連続的に維持されると、モータジェネレータMG2の発電量が連続的に増加させられて設定減速度が増加させられる。このとき、その連続的な押付け維持操作中は減速度表示が連続的に変化することが好まれない場合があるので、減速度変更期間中の全部或いは一部の区間たとえばt2 時点乃至t4 時点の区間、t6 時点乃至t8 時点の区間において表示装置99の表示面がブランクとされるか非表示に対応するシンボル的な記号表示されることにより実質的に非表示状態とされる。そして、上記減速度変更期間が終了した変更後の設定減速度に対応した減速度レベルが表示装置99に表示される。たとえば設定減速度を小さく変更操作したt4 時点以後は零を示す表示が行われ、設定減速度を大きく変更操作したt8 時点以後は「 III−」を示す表示が行われる。
【0037】
図11は、VSC制御装置106のVSC制御作動への干渉を抑制するためにそれからの信号により急な減速度変化が禁止される期間であるため、シフト操作レバー92による設定減速度の変化幅が大きいにも拘わらず設定減速度が徐々に変化させられる例を示している。この場合、たとえばt5 時点以後において「−」ポジションへの押付け操作が連続的に維持されると、モータジェネレータMG2の発電量が連続的に増加させられるが、一旦中間値に維持された後、さらに増加させられる。このとき、その連続的な押付け維持操作中は減速度表示はどうでもよく、途中の減速度の表示が頻繁に変化することがうっとおしく感じられる場合があるので、減速度変更期間中の全部或いは一部たとえばt5 時点乃至t7 時点の区間において表示装置99の表示面がブランクとされるか、非表示に対応するシンボル的な記号が連続表示されるか或いは点滅表示されることにより実質的に非表示状態とされるか、或いは設定変更操作直前の設定減速度が表示装置99にて連続表示されるか或いは点滅表示される。この非表示状態或いは点滅表示状態は、減速度の変更操作中を表示していることになっている。上記減速度変更期間が終了したt7 時点の以後では、変更後の設定減速度に対応した減速度レベルが表示装置99に表示される。
【0038】
図12は、電子制御装置98による制御作動の要部、すなわち設定減速度表示制御作動を説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。
【0039】
図12において、前記減速度変更操作判定手段110の変更設定操作発生判定手段112に対応するSA1では、シフト操作レバー92による減速走行ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションへの操作、すなわち減速走行時の目標値である設定減速度の変更操作が行われたか否かが走行ポジション選択操作装置86からの信号に基づいて判断される。このSA1の判断が否定される場合は、SA2において、それまでに設定されている設定減速度が維持されるとともに、そのそれまでの設定減速度が表示装置99において表示された後、本ルーチンが終了させられる。
【0040】
上記SA1の判断が肯定される場合は、前記減速度変更操作判定手段110の変速操作連続判定手段114に対応するSA3において、シフト操作レバー92による設定減速度の変更操作が連続中すなわち設定減速度の変更途中であるか否かが判断される。このSA3の判断が否定される場合は設定減速度の変更操作が直ちに終了させられたと考えられるので、前記表示制御手段120の設定減速度即表示手段122に対応するSA4において、変更された設定減速度が表示装置99において直ちに(即)表示される。しかし、上記SA3の判断が肯定される場合は、前記減速度変更操作判定手段110の変更操作終了判定手段116に対応するSA5において、設定減速度の変更操作が終了したか否かが判断される。このSA5の判断が否定される場合は未だ変更操作が連続中であるので、前記減速度中止手段124或いは変更前減速度表示手段126に対応するSA6において、変更操作中の設定減速度の表示が中止されるか、或いはその表示中止を示す記号または変更前の設定減速度が点滅表示される。この設定減速度の表示中止或いは点滅表示は、減速度変更操作中を表示していることになる。しかし、上記SA5の判断が肯定される場合は、前記表示制御手段120の最終減速度表示手段128に対応するSA7において、設定減速度の変更操作終了時点における最終設定減速度が表示される。
【0041】
上述のように、本実施例によれば、車両の減速度を変更操作するための走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86と、その走行ポジション選択操作装置86の操作により設定された設定減速度を表示するための表示装置99とを備えた車両の減速度表示制御装置において、減速度変更操作中判定手段すなわち変更操作連続判定手段114(SA3)により上記走行ポジション選択操作装置86による設定減速度変更操作中であると判定された場合には、表示制御手段120(SA6)により、その走行ポジション選択操作装置86による減速度変更操作により設定変更される減速度に即追従する表示が中止されることから、表示装置99に表示された設定減速度が設定変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0042】
また、本実施例によれば、変更操作連続判定手段(減速度設定操作中判定手段)114(SA3)により走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86による減速度設定操作中であると判定された場合には、表示制御手段120(SA6)により、その走行ポジション選択操作装置86のシフト操作レバー92により設定される実際の減速度とは異なる減速度が表示装置99に表示させられることから、表示装置99に表示された減速度が設定操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0043】
また、本実施例によれば、変更操作終了判定手段(減速度設定操作終了判定手段)116により走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86による減速度変更操作が終了したと判定された場合には、表示制御手段120(SA7)により、その減速度設定操作の終了により確定した減速度が表示装置99に表示させられることから、表示装置99に表示された減速度が設定操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0044】
また、本実施例によれば、表示制御手段120は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86による減速度変更操作中は、その減速度変更操作開始前の減速度を表示装置99に表示させるものであることから、表示装置99において減速度の変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に減速度が変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0045】
また、本実施例によれば、表示制御手段120は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86による減速度変更操作中は、表示装置99に減速度を表示させないものであることから、表示装置99において表示された減速度が変更操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0046】
また、本実施例によれば、表示制御手段120は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86により設定変更された減速度が確定後に、その減速度を表示装置99に表示させるものであることから、表示装置99に表示された減速度が設定操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0047】
また、本実施例によれば、表示制御手段120は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86による減速度変更操作中は、その減速度変更操作中であることを示す表示たとえばブランク表示や点滅表示を表示装置99に表示させるものであることから、その表示装置99に表示された減速度が設定操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0048】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図13は、前記電子制御装置98による他の実施例の設定減速度表示制御機能を説明する機能ブロック線図であり、前述の図7の機能ブロック線図に比較して、減速度表示中止手段124や変更前減速度表示手段126に代えて、減速度徐変表示手段130が設けられている点において相違し、他は同様である。
【0050】
上記減速度徐変表示手段130は、変更操作連続判定手段114により走行ポジション選択操作装置86のシフト操作レバー92によって設定減速度の変更操作中であると判定された場合には、表示装置99に表示させる設定減速度を、たとえば図14、図15に示すように徐々に変化させる。
【0051】
図14は、「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作に対する通常の減速度設定変更動作例を示している。この例では、シフト操作レバー92の「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作すなわち押付け状態維持操作は認められず、一度操作された後は、一旦中立位置へ戻されてから次のポジションへ操作される毎に設定減速度の設定変更操作が認識されるようになっている。この場合、設定減速度の変更幅を大きくしたい場合は複数回の操作が必要とされるので、たとえばt1 時点、t2 時点、t3 時点において「+」ポジションへの操作が連続的に繰り返される毎に、モータジェネレータMG2の発電量がステップ的に減少させられて設定減速度が低下させられるが、t5 時点、t6 時点、t7 時点において「−」ポジションへの操作が連続的に繰り返される毎にモータジェネレータMG2の発電量がステップ的に増加させられて設定減速度も増加させられる。このとき、シフト操作レバー92の連続的な複数回の操作による減速度変更操作中は、モータジェネレータMG2の発電量(回生制動量)がステップ的に変化させられるのに対し、表示装置99に表示される設定減速度は、減速度変更操作中の全部或いは一部の区間たとえばt2 時点乃至t4 時点の区間、t6 時点乃至t8 時点の区間において直線的に連続的に逐次変化させられる。そして、上記設定変更期間が終了した変更後の設定減速度に対応した減速度レベルが表示装置99に表示される。たとえば設定減速度を小さく変更操作したt4 時点以後は零を示す表示が行われ、設定減速度を大きく変更操作したt8 時点以後は「 III−」を示す表示が行われる。
【0052】
図15は、「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作に対する通常の減速度設定変更動作の他の例を示している。この例では、シフト操作レバー92の「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作に対応して設定減速度を変更する操作が認められ、その連続操作時間に対応して設定減速度を変化させる設定変更操作が認識されるようになっている。この場合、設定減速度の変更幅を大きくしたい場合は連続操作時間を長くすることが必要とされ、たとえばt1 時点乃至t3 時点まで「+」ポジションへの押付け操作が連続的に維持されると、モータジェネレータMG2の発電量が連続的に減少させられて設定減速度が低下させられるが、t5 時点乃至t7 時点まで「−」ポジションへの押付け操作が連続的に維持されると、モータジェネレータMG2の発電量が連続的に増加させられて設定減速度が増加させられる。このとき、その連続的な押付け維持操作中であるときは、設定変更期間中の全部或いは一部の区間たとえばt2 時点乃至t4 時点の区間、t6 時点乃至t8 時点の区間において表示装置99に表示される設定減速度は、直線的に連続的に逐次変化させられる。そして、上記設定変更期間が終了した変更後の設定減速度に対応した減速度レベルが表示装置99に表示される。たとえば設定減速度を小さく変更操作したt4 時点以後は零を示す表示が行われ、設定減速度を大きく変更操作したt8 時点以後は「 III−」を示す表示が行われる。
【0053】
図16は、本実施例における電子制御装置98による設定減速度表示制御作動を説明するフローチャートである。図16において、前記減速度変更操作判定手段110の変更設定操作発生判定手段112に対応するSB1では、シフト操作レバー92による減速走行ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションへの操作、すなわち減速走行時の目標値である設定減速度の変更操作が行われたか否かが走行ポジション選択操作装置86からの信号に基づいて判断される。このSB1の判断が否定される場合は、SB2において、それまでに設定されている設定減速度が維持されるとともに、そのそれまでの設定減速度が表示装置99において表示された後、本ルーチンが終了させられる。
【0054】
上記SB1の判断が肯定される場合は、前記減速度変更操作判定手段110の変速操作連続判定手段114に対応するSB3において、シフト操作レバー92による設定減速度の変更操作が連続中すなわち設定減速度の変更途中であるか否かが判断される。このSB3の判断が否定される場合は設定減速度の変更操作が直ちに終了させられたと考えられるので、前記設定減速度変更制御手段118に対応するSB4においてシフト操作レバー92の操作回数或いは操作時間に対応する設定減速度が直ちに設定され、前記表示制御手段120の設定減速度即表示手段122に対応するSB5において、変更された設定減速度が表示装置99において直ちに(即)表示される。しかし、上記SB3の判断が肯定される場合は、前記減速度変更操作判定手段110の変更操作終了判定手段116に対応するSB6において、設定減速度の変更操作が終了したか否かが判断される。このSB6の判断が否定される場合は未だ変更操作が連続中であるので、前記設定減速度変更制御手段118に対応するSB7においてシフト操作レバー92の操作回数或いは操作時間に対応する変更幅を変化させるようにゆるやかに且つ連続的に設定減速度が徐変させられるとともに、前記減速度徐変表示手段130に対応するSB8において、徐変させられつつある設定減速度が表示装置99に徐変表示される。しかし、上記SB7の判断が肯定される場合は、前記設定減速度変更制御手段118に対応するSB9において設定減速度の最終値が決定された後、前記表示制御手段120の最終減速度表示手段128に対応するSB9において、設定減速度の変更操作終了時点における最終設定減速度が表示される。
【0055】
上述のように、本実施例によれば、車両の減速度を変更操作するための走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86と、その走行ポジション選択操作装置86の操作により設定された設定減速度を表示するための表示装置99とを備えた車両の減速度表示制御装置において、減速度変更操作中判定手段すなわち変更操作連続判定手段114(SB3)により走行ポジション選択操作装置86による減速度変更操作中であると判定された場合には、表示制御手段120(SB8)により、その走行ポジション選択操作装置86による減速度変更操作により設定変更される減速度が表示装置99にその変化に追従して連続的に表示させられるので、表示装置99に表示された減速度がステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0056】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0057】
たとえば、前述の実施例において、表示制御手段120は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の減速度設定操作により設定変更される減速度を、その変化に対して遅延させて表示装置99に表示させる遅延表示手段を備えたものであってもよい。このようにすれば、減速度設定操作により設定変更される減速度がその変化に対して遅延させられて表示装置99に表示させられるので、表示装置99に表示された減速度が設定操作に応答して頻繁に或いはステップ的に変化することが解消され、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0058】
また、前述の実施例において、表示制御手段120は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の減速度設定操作により設定変更される減速度を、その車両の減速度制御に実際に用いられる時期よりも先に表示装置99に表示させる先出し表示手段を備えたものであってもよい。このようにすれば、減速度変更操作により設定変更される減速度が、その車両の減速度制御に実際に用いられる時期よりも先に表示装置99に表示されるので、走行中において減速度表示の視認性が高められる。
【0059】
また、前述の実施例において、減速制御手段102により用いられる設定減速度は、図8の関係から車速Vとシフト操作レバー92の操作設定値とにより決定されていたが、車速Vに拘わらず一定の値であってもよい。
【0060】
また、前述の実施例において、減速制御手段102において用いられたり或いは表示制御手段120により表示される設定減速度は、車両の目標とする減速度を示す負の加速度であるが、その減速度の大きさを示す指標で表される減速度レベルや、それに対応する変数、たとえば回生量、回生制動量などであってもよい。要するに、車両の減速度に対応する量であればよいのである。
【0061】
また、前述の実施例では、駆動力源としてエンジン10およびモータジェネレータMG2を備え、それらを選択的に用いるハイブリッド自動車について説明されていたが、駆動力源として電動機(回転電機)を備えた電機自動車などであってもよい。
【0062】
また、前述の実施例では、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数や時間に応じて複数種類の目標減速度の減速走行ポジションが選択される形式の走行ポジション選択操作装置86が用いられていたが、たとえばシフト操作レバー92がDポジションに続いて設けられた複数種類のエンジンブレーキ走行ポジションである3ポジション、2ポジション、Lポジションへ操作される形式の走行ポジション選択操作装置が用いられてもよい。
【0063】
また、前述の実施例の自動パーキングロック装置60は、第2カウンタ軸18の回転を直接的に阻止するように設けられていたが、たとえば第1カウンタ軸16や第2スリーブ軸30などに設けられていてもよい。
【0064】
その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の動力伝達装置の第2カウンタ軸に設けられた自動パーキングロック装置の構成を説明する図であって、第2カウンタ軸の軸心方向から見た図である。
【図3】図1の動力伝達装置の第2カウンタ軸に設けられた自動パーキングロッック装置の構成を説明する図であって、第2カウンタ軸の軸心に直角な方向から見た図である。
【図4】図1のハイブリッド車両の運転席付近を概略説明する図である。
【図5】図4の運転席付近に設けられた走行ポジション選択操作装置を説明する斜視図である。
【図6】図1の実施例の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図7】図5の電子制御装置の制御機能の要部すなわち設定減速度表示制御機能を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図7の減速制御手段において用いられる目標減速度を決定するための予め記憶された関係を示す図である。
【図9】走行中における図7の表示制御手段の設定減速度表示制御作動を説明するタイムチャートであって、シフト操作レバーが「−」ポジション或いは「+」ポジションへ一度操作された後は、一旦中立位置へ戻されてから次のポジションへ操作される毎に設定減速度の設定変更操作が認識される場合に、設定変更期間中のt2 時点乃至t4 時点の区間、およびt6 時点乃至t8 時点の区間において、表示装置99が実質的に減速度非表示状態とされる作動を示している。
【図10】走行中における図7の表示制御手段の他の設定減速度表示制御作動を説明するタイムチャートであって、シフト操作レバーの「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作に対応して設定減速度を変更する操作が認められる場合に、設定変更期間中のt2 時点乃至t4 時点の区間、およびt6 時点乃至t8 時点の区間において、表示装置99が実質的に減速度非表示状態とされる作動を示している。
【図11】走行中における図7の表示制御手段の他の設定減速度表示制御作動を説明するタイムチャートであって、シフト操作レバーの「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作に対応して設定減速度を変更する操作が認められる場合に、設定変更期間中のt2 時点乃至t4 時点の区間、およびt6 時点乃至t8 時点の区間において、設定減速度が中間値に維持されるとともに、表示装置99が変更操作前の設定減速度で点滅表示状態とされる作動を示している。
【図12】図6の電子制御装置の制御作動の要部すなわち設定減速度表示制御作動を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部すなわち設定減速度表示制御機能を説明する機能ブロック線図である。
【図14】走行中における図13の表示制御手段の他の設定減速度表示制御作動を説明するタイムチャートであって、シフト操作レバーが「−」ポジション或いは「+」ポジションへ一度操作された後は、一旦中立位置へ戻されてから次のポジションへ操作される毎に設定減速度の設定変更操作が認識される場合に、設定変更期間中のt2 時点乃至t4 時点の区間、およびt6 時点乃至t8 時点の区間において、表示装置に設定減速度が連続的に徐変表示状態とされる作動を示している。
【図15】走行中における図13の表示制御手段の他の設定減速度表示制御作動を説明するタイムチャートであって、シフト操作レバーの「−」ポジション或いは「+」ポジションへの連続操作に対応して設定減速度を変更する操作が認められる場合に、設定変更期間中のt2 時点乃至t4 時点の区間、およびt6 時点乃至t8 時点の区間において、表示装置に設定減速度が連続的に徐変表示状態とされる作動を示している。
【図16】図13の電子制御装置の制御作動の要部すなわち設定減速度表示制御機能を説明する機能ブロック線図である。
【符号の説明】
86:走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)
92:シフト操作レバー(減速度設定操作体)
98:電子制御装置(減速度表示制御装置)
99:表示装置
114:変更操作連続判定手段(減速度変更操作中判定手段)
116:変更操作終了判定手段(減速度変更操作終了判定手段)
120:表示制御手段
Claims (12)
- 車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、該減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示するための表示装置とを備えた車両の減速度表示制御装置であって、
前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であるか否かを判定する減速度変更操作中判定手段と、
該減速度変更操作中判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であると判定された場合には、減速度変更期間の一部または全期間において該減速度設定操作装置による減速度変更操作により設定変更される減速度に追従する表示を中止する表示制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の減速度表示制御装置。 - 車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、該減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示するための表示装置とを備えた車両の減速度表示制御装置であって、
前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であるか否かを判定する減速度変更操作中判定手段と、
該減速度変更操作中判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作中であると判定された場合には、減速度変更期間の一部または全期間において該減速度設定操作装置により設定変更される実際の減速度とは異なる減速度を前記表示装置に表示させる表示制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の減速度表示制御装置。 - 車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、該減速度設定操作装置の操作により設定された減速度を表示するための表示装置とを備えた車両の減速度表示制御装置であって、
前記減速度設定操作装置による減速度変更操作が終了したか否かを判定する減速度変更操作終了判定手段と、
該減速度変更操作終了判定手段により前記減速度設定操作装置による減速度変更操作が終了したと判定された場合には、該減速度変更操作の終了により確定した減速度を前記表示装置に表示させる表示制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の減速度表示制御装置。 - 前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作中は、該減速度変更操作開始前の減速度を前記表示装置に表示させるものである請求項1乃至3のいずれかの車両の減速度表示制御装置。
- 前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作中は、前記表示装置に減速度を表示させないものである請求項1乃至3のいずれかの車両の減速度表示制御装置。
- 前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作により設定された減速度が確定後に、該減速度を前記表示装置に表示させるものである請求項1、2、4、5のいずれかの車両の減速度表示制御装置。
- 前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作により設定変更される減速度を、その変化に対して遅延させて前記表示装置に表示させるものである請求項2の車両の減速度表示制御装置。
- 前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度変更操作により設定変更される減速度を、その実際の車両に用いられる時よりも先に前記表示装置に表示させるものである請求項2の車両の減速度表示制御装置。
- 前記表示制御手段は、前記減速度設定操作装置の減速度設定変更中は、該減速度変更操作中であることを示す表示を前記表示装置に表示させるものである請求項1乃至3、6のいずれかの車両の減速度表示制御装置。
- 前記減速度は、モータジェネレータの回生制動によって発生させられるものである請求項1乃至9のいずれかの車両の減速度表示制御装置。
- 前記減速度設定操作装置は、前記減速度を小さくするための操作ポジションと該減速度を大きくする操作ポジションとを備えたものである請求項1乃至10のいずれかの車両の減速度表示制御装置。
- 前記減速度設定操作装置は、シフト操作レバーを備え、該シフト操作レバーが前記減速度を小さくするための操作位置または減速度を大きくするための操作位置へ操作される回数または保持時間に応じて減速度を変更するものである請求項11の車両の減速度制御装置。
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