JP3746089B2 - 圧縮機の性能劣化診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は圧縮機の非破壊異常診断に係わり、特に圧縮機の圧縮性能の異常を振動により診断する方法及び、装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機として、例えば冷凍冷蔵装置に用いられるような冷媒を圧縮するものがある。この圧縮機は通常、冷凍システムにつながっており、低温低圧の冷媒ガスを吸い込み、圧縮機内で断熱圧縮され、高温高圧の冷媒ガスを排出することが基本的な機能である。
【0003】
しかしながら、圧縮機の圧縮要素部は金属で構成されており、金属同士の摺動部が多数存在している。このため、その摺動部は例えばゴミなどの異物が混入した場合、この異物が原因となり摺動部に傷が付き圧縮中の冷媒漏れから圧縮性能(例えば冷凍能力)の低下を引き起こしたり、この摺動部の傷が原因となり、摺動部品が摩耗し圧縮不良を引き起こしたりする。
【0004】
また、圧縮機の組立時のミスによりクリアランスが大きく組み立てられ、圧縮中の冷媒漏れから規定の圧縮性能が出力されないことがあった。
【0005】
このことからこれらの冷媒漏れによる圧縮性能の低下や圧縮不良を判断するため、圧縮機を冷凍システムから分離しカロリー計測装置で評価していた。
【0006】
しかし、これでは費用と時間がかかり、数をこなすことは現実的に不可能であった。また、冷凍冷蔵室内の温度を検知することが考えられるが、圧縮機の性能だけでなく冷媒ガス、熱交換器、断熱性能、温度検知方法等により原因がいろいろ考えられ、圧縮機の性能劣化を正しく診断できるものではなかった。
【0007】
このため、圧縮機の性能劣化度合を効率的に精度良く診断する方法が望まれていた。
【0008】
これらの要望に答えるため、例えば電流またはガス圧力等の電流値及び、圧力値を検出することにより、圧縮機が異常な運転をしていないかを判断する方法がある。
【0009】
また、圧縮機の内部の異常を早期に発見するため、圧縮機の外郭に伝達する振動、音、AE信号を検出して診断する方法が考案されている。
【0010】
例えば特開昭62−75095号公報、特開平2−205728号公報などが提案されており、特開昭62−75095号公報は圧縮機のシリンダ傷、ゴミかみ等の異常を検出するため、圧縮機から発生する騒音あるいは振動を検出し、波長方向に分割した区間毎の信号の積算変動量の最大値と最小値との比率から基準値と比較し異常の判定を行う方法がある。
【0011】
また、特開平2ー205728号公報は摺動部の傷、摩耗等の不良を検出するため、圧縮機から発生するAE信号を検出し、このAE信号を包絡線検波した信号に対し、1周期あたりに発生するあるしきい値をこえたAE信号の発生数や、回転同調成分の強度から基準値と比較し異常の判定を行う方法が考案されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のような構成では、電流検知は圧縮機が圧縮不良を起こすぐらいの比較的強度の劣化を起こさないと判断できず、圧縮中のガス漏れ等による圧縮性能の微妙な変化を検出することはできない。
【0013】
また、ガス圧力検知も同様である。さらに、特開昭62−75095号公報の方法では圧縮機内に異物が混入する等の聴感でも異常が分かるものでしか判断できず、基本的に機械振動の変動を抽出しているため、圧縮機の圧縮性能については判断できないものである。
【0014】
また、特開平2−205728号公報のAE信号を用いた診断でも摺動部の損傷によるAE信号の特徴を定量化しているものであり、圧縮機の圧縮性能を診断することはできないという問題があった。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑み、圧縮機の圧縮性能の劣化度合を効率的に精度良く診断できる圧縮機の性能劣化診断装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の圧縮機の性能劣化診断装置は、圧縮機において冷媒を圧縮する過程で発生する流体振動により加振され発生する振動波形を検出するセンサと、この振動波形を増幅する増幅器と、この増幅器から出力される信号を記録する波形記録装置と、この波形記録装置または増幅器から出力される信号のノイズ成分を除去するフィルタと、このフィルタから出力される信号をA/D変換するためのA/D変換器と、このA/D変換器から出力される信号の特徴を波形処理し、この波形処理値から性能劣化度合を判定する波形処理器と、これらの結果を表示する表示器と、これらの結果を記録する記録装置とで構成されており、波形処理器において圧縮機の圧縮過程で発生する流体振動の非定常成分を定量化することで性能劣化度合を判定するとともに、波形処理器で行われる流体振動の非定常成分の定量化処理において、入力された振動波形を周期毎に分割する手段と、この周期毎に分割した波形を加算平均処理する手段と、分割された波形とこの加算平均処理した波形との差の波形を算出する手段と、この差の自乗を算出する手段と、この各自乗した波形を加算平均処理し分散波形を求める手段と、この分散波形を積分し分散パワーを求める手段と、振動波形の自乗平均を行い振動パワーを求める手段と、この分散パワーとこの振動パワーとの比を算出し比分散値を求める手段とで、性能劣化度合を判定するものである。
【0018】
さらに、波形処理器に入力された振動波形を周期毎に分割する手段として、自己相関分析処理を用いて振動波形を周期毎に分割するものである。
【0019】
また、波形処理器における分散波形を積分する手段において、分散波形の平滑化処理を行った後、積分するものである。
【0020】
さらに、波形処理器で行われる分散波形を積分する手段において、圧縮機のバルブが開放している間を積分するものである。
【0021】
また、分散波形の積分範囲の決定手段において、圧縮機のバルブが開放している間の積分範囲を分散波形にしきい値を設け、その交点から求めるものである。
【0022】
【作用】
本発明は上記した構成によって、圧縮機の外殻に伝達する流体振動を加振源とする超音波領域までの振動波形がセンサにより検出され、この検出された信号は微少な信号のため、増幅器でこの信号が増幅される。次に、この信号を後でも処理できるように波形記録装置に記録される。フィルタでは、この波形記録装置または増幅器から出力される信号の圧縮機以外から発生しているノイズ成分を除去するため、低域の周波数成分と高域の周波数成分が除去される。このフィルタリングされた信号は、A/D変換器によりアナログ信号がデジタル信号に変換され、DSPを備えた波形処理器へ出力される。この波形処理器では入力された信号の流体振動の影響により発生した非定常振動が定量化される。さらに、この定量化数値に対応する圧縮性能(例えば冷凍能力)を表すデータベースから圧縮機の圧縮性能が判定される。これらの結果は表示器により画面上などに出力され性能劣化度合を確認することができる。また、この結果をハードディスク等の記録装置に保存されデータの蓄積が行われる。
【0023】
また、波形処理器において、入力された振動波形を周期毎に分割され、その分割された振動波形は加算平均処理される。次にこの平均波形に対し、各周期毎に分割された波形との差が求められ、次に各々の周期毎分割された波形毎に差の自乗した波形が算出される。さらに算出された波形は加算平均処理され、1周期の平均波形に対する各分割波形の分散波形の平均が算出される。続いてこの波形に対し積分が行われ、分散パワーが算出される。一方、入力された振動波形に対し、自乗平均が行われ振動パワーが求められる。最後にこの算出された振動パワーと分散パワーとの比が算出され、比分散値が求められる。これにより、圧縮機の圧縮性能と対応する流体振動の非定常成分の定量化が図られ、圧縮性能を精度良く判定することができる。
【0024】
さらに、この波形処理器に入力された振動波形を周期毎に分割するための周期ピッチを決定するため、自己相関分析計算が行われる。その結果、回転周期が相関分析波形のピークとなって現れ、ピークとピークの間が1周期のピッチを表しており、このピッチをもとに、振動波形は周期毎に分割される。これにより、分割による各波形の誤差がなくなり、正確な波形の分割を行うことができる。
【0025】
また、分散波形から分散パワーを算出する間で、分散波形が一端平滑化処理され、その後、積分し分散パワーが算出される。これにより、積分範囲の明確化とデータが簡略化され、計算スピードの向上とデータの取り扱いを容易にすることができる。
【0026】
さらに、分散波形を積分する際に、圧縮機のバルブが開放している間で積分されることにより、圧縮性能に対応する流体振動に関わる分散パワーが精度良く抽出でき、圧縮性能の劣化を精度良く診断できる。
【0027】
また、圧縮機のバルブが開放する範囲の決定において、しきい値と分散波形との交点からバルブの開放する範囲が決定される。これにより、バルブの開放する範囲が精度良く検出できる。
【0028】
【実施例】
ここで、冷蔵庫等に用いられる圧縮機を例にとり詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
以下本発明の一実施例の圧縮機の性能劣化診断装置について図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1において、1はフロンガス等を圧縮する圧縮機で、2は圧縮要素を外殻である密閉ケース3に固定している4点溶接部である。4は振動波形を検出するセンサで、圧縮機の基本波から100KHzぐらいまでの振動成分を検出できるものである。センサ4は圧縮機1内部からの信号を最も強く伝達してくる箇所である4点溶接部2の1点に設置されている。5はセンサ4が検出した信号を増幅するものであり、6はこの信号を記録する波形記録装置である。7は波形記録装置6及び、増幅器5からの信号のノイズを除去するためのフィルタである。8はフィルタ7から出力される信号をA/D変換するA/D変換器である。9はA/D変換された信号から圧縮機1の圧縮過程における流体振動に起因する非定常成分を定量化するための波形処理と、この定量化数値と対応する性能劣化のデータベースから性能劣化度合を判定するDSP等を備えた波形処理器である。10はこの結果を画面上またはプリンター等へ出力表示させる表示器であり、これらの結果はハードディスク等の記録装置11に記録される。また、データベースもこの記録装置11に記録されている。
【0031】
ここで、圧縮機の構造と振動波形について説明する。
図2、3は圧縮機1の構造を表しており、密閉ケース3の内部に電動機12と圧縮要素13が配置されている。圧縮要素13は主に電動機12の回転運動を伝達するクランクシャフト14、クランクシャフト14を支持する主軸受15、副軸受16、シリンダ17、ローラ18、ベーン19、副軸受16の内部に収納されたバルブ20とから構成されている。圧縮要素13の各部品間の摺動には潤滑油21を潤滑させ摺動させている。22は吸入管で23は吐出管である。
【0032】
冷媒は、冷却システム(図示せず)から吸入管22を通り、シリンダ17の吸入ポート23からシリンダ17内の吸入室24に吸い込まれる。次にクランクシャフト14の回転運動によりローラ19がシリンダ17内で旋回運動を行うことにより、容積が縮小されて冷媒は断熱圧縮され高温高圧冷媒となる。
【0033】
ここで、ローラ19が旋回するときにベーン18がローラ19に追従し往復運動を行うため、シリンダ17内でベーン18が仕切となり吸入室24と圧縮室25が形成され、冷媒は効率良く圧縮される。
【0034】
高温高圧となった冷媒ガスはバルブ20を押し上げ吐出切り欠き26からマフラー27内に導かれる。その後、マフラー27の吐出穴(図示せず)から密閉ケース3の吐出空間28に放出され、吐出管23から冷却システムに導かれる。
【0035】
図4はセンサ4で計測された1回転の振動波形とシリンダ17内の圧縮要素13の1回転におけるメカ部品の挙動との関係について表している。メカ部品の挙動はア〜エの状態を1回転とし、冷媒の圧縮を繰り返している。
【0036】
アの状態は圧縮開始点の状態を表し、ベーン18がシリンダ17に最も引っ込んでいる状態である。この状態では低温低圧の冷媒が吸入室24に吸い込まれた状態である。
【0037】
この状態を回転角度0度とし、特に上死点と呼ぶ。この上死点の時に振動波形ではベーン18と他部品との衝突により大きな衝撃波が発生する。
【0038】
イの状態は180度回転が進んだ状態で、ベーン18がシリンダ17に最も突出した状態であり、下死点と呼ぶ。この状態になると吸入室24は容積が縮小されて、圧縮室25となり、新たに吸入室24’が形成される。また、振動波形ではベーン18が不安定な支持となり小さな衝撃波が発生する。
【0039】
ウの状態は回転が270度進んだ状態であり、圧縮室25のガス圧荷重がバルブ20の押さえつけ力よりもまして、バルブ20を押し上げて圧縮冷媒がシリンダ17外へ吐出される状態である。
【0040】
エの状態は1回転し圧縮が完了した状態を表している。振動波形ではこの270度を起点に上死点まで衝撃波が発生しており、ガス圧荷重が周辺の部品を支持側の部品に押さえつけられながら摺動していることから発生していると考えられる。また、冷媒は理論的には部品間のオイルシールによりシリンダ17内に密閉されている状態だが、1回転中に冷媒漏れが多少あることが現状である。
【0041】
特に、回転角度270度から上死点にかけて冷媒は高温高圧となるため、冷媒はバルブの開放に伴いシリンダ外へ放出されると共に冷媒の漏れは特に著しく圧縮室25外へ漏れていく。
【0042】
このため、振動波形の衝撃波の生成に大きく寄与している冷媒のガス圧荷重にこのガスの放出とガス漏れは大きく影響している。さらに、振動波形の衝撃波はマクロ的には周期的に見えるがミクロ部分ではこのガス圧荷重の変動により、回転毎に非定常な振動を繰り返している。
【0043】
また、この非定常成分は圧縮機の冷凍能力が大きいと大きく、冷凍能力が小さいと小さくなる傾向である。
【0044】
以上のように構成された一実施例における動作を説明する。
圧縮機1内部から発生した振動成分は機械部品内を伝達し、4点溶接部2に伝達する。4点溶接部2の1点に設置されたセンサ4によりこの伝達された振動は検出され、電圧信号等に変換される。
【0045】
この信号は増幅器5により増幅され、出力された信号は一端、波形記録装置6に記録され再生してフィルタ7に出力されるか、直接フィルタ7に出力される。
【0046】
フィルタ7に入力された信号は圧縮機1の振動を計測した条件等により外部から主に低域の周波数のノイズが混入することと、高域の周波数でA/D変換するときの折り返しノイズの発生が心配される。
【0047】
このことからフィルタ7ではこれらのノイズ成分の除去が行われ、A/D変換器8に出力される。
【0048】
例えば今回の場合、下限周波数300Hzと上限周波数100KHzに設定し、フィルタリングを行った。A/D変換器8では入力されたアナログ信号がデジタル信号に変換され波形処理器9に出力される。
【0049】
例えば今回の場合、300KHzのサンプリング周波数で行った。波形処理器9では上述した振動波形の非定常成分を定量化する等の波形処理演算がDSP等を用いて行われ、次にこれらの算出結果と圧縮性能の対応を表すデータベース(例えば今回の場合冷凍能力と波形処理値とのデータベース)から圧縮性能が判定される。判定された結果は表示部10に出力され確認することができる。
【0050】
また、記録装置11においてこれらの結果が保存され圧縮機毎のデータベースが構築される。以上のことから、圧縮機の性能劣化度合を振動で効率良く判定できる。
【0051】
(実施例2)
以下本発明の第2の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0052】
実施例1に対し、圧縮機の性能劣化度合を精度良く判定するため、波形処理器9で行われる振動波形の非定常成分の定量化に関する波形処理手段について規定するものである。
【0053】
図5において、27で波形処理器9に振動波形が入力される。例えば今回の場合、20周期分の振動波形を入力した。入力された振動波形は28で1周期毎に分割され、29で20周期分の振動波形の加算平均波形が算出される。次に30で加算平均された振動波形に対し、28で分割された各振動波形との差がそれぞれの波形で求められ、31で振動波形毎にその差が自乗される。
【0054】
さらに32で各自乗波形に対し加算平均処理が行なわれ分散波形が算出される。33ではこの分散波形が積分され、振動波形の非定常成分を表す分散パワーが算出される。一方、34で27で入力された振動波形の自乗平均が行われ、振動パワーが算出される。最後に35で分散パワーと振動パワーとの比が算出され、比分散値が求められる。36からはその計算結果が出力される。
【0055】
図6は冷凍能力大品と冷凍能力小品の振動波形37、38と分散波形39、40を表しており、分散波形39、40の斜線部の面積の大きさが分散パワーを表しており、冷凍能力が大きい方がこの面積が大きいことが分かる。つまり、分散パワーが大きいほど冷凍能力が大きいことを表している。
【0056】
また、振動パワーとの比を算出しているのは圧縮機にかかる負荷または機種による分散パワーの変動を除外するためである。以上のことから、この波形処理手段で比分散値を算出することにより、圧縮性能である冷凍能力を効率良く判定することができる。
【0057】
(実施例3)
以下本発明の第3の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0058】
実施例2に対して、入力された20周期分の波形を1周期毎に分割するための1周期のピッチ数を求める手段について規定するものである。
【0059】
図7はサンプルデータ数に対する自己相関分析値の関係41を表している。波形処理器9に入力された20周期分の波形同士の一方の時間波形の時間軸をずらしながら相関分析計算が行われる。
【0060】
このため、時間軸のずれが1周期のN倍毎に相関分析値のピークが現れる。このピークは20周期分の平均周期を表している。これにより、図7に示すように初期状態から最初のピーク42までのサンプル数をカウントすることにより、1周期のピッチ数を効率的に正確に得ることができる。今回の場合約5,130ポイントであった。
【0061】
(実施例4)
以下本発明の第4の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0062】
実施例2において波形処理器9で行われる分散波形32から積分して分散パワー33を算出する手段について規定するものである。
【0063】
分散波形32は非常にサンンプル数が大きく、このまま積分すると数値が見かけ上莫大な数値となり且つ積分範囲が不明確となり誤差要因となるため、分散波形32に対し平滑化処理を行い分散パワー33を算出した。今回の場合60ポイント、時間にすると0.2msecの間隔で平滑化処理を行った。
【0064】
図8は平滑化処理前の分散波形43と平滑化処理した後の分散波形44を示しており、処理後は処理前と比べ非常に頻雑としていた分散波形の形状が明確になっていることが分かる。これにより、積分範囲が明確となり、精度良く分散パワーを算出することができる。また、数値の巨大化によるオーバーフローがなくなると共に、処理速度が向上する。
【0065】
(実施例5)
以下本発明の第5の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0066】
実施例2の波形処理器9で行われる分散波形32から分散パワー33を算出するために行われる積分処理について、その積分範囲を規定するものである。
【0067】
図9は振動波形45と分散波形46を示したものである。振動波形45の回転角270度近辺のバルブが開放し、閉鎖する間は、冷媒ガスの放出とガス漏れの影響により加振源である流体振動が周期毎に変動し、振動波形45の非定常成分が特に大きく発生する部分である。
【0068】
また、上死点の大きな衝撃波は機械振動に起因するところが大きく、且つ鋭いピークであるため波形処理の際に誤差要因となるところが大きい。このため、非定常成分を大きく発生しているバルブ開点48からバルブ閉点49の間の積分範囲50で積分することにより、圧縮性能により対応した精度良い分散パワー33を求めることができる。
【0069】
(実施例6)
以下本発明の第6の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0070】
実施例5の波形処理の積分範囲の規定において、積分範囲の認識手段について規定するものである。
【0071】
図10の分散波形51において、しきい値52をトリガーレベルとし上死点ピーク53から逆回転方向に探索していき交点A54を求め、さらに回転角270度近辺から探索し交点B55を求めることにより積分範囲56を効率よく、正確に求めることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上のように本発明は、
圧縮機において冷媒を圧縮する過程で発生する流体振動により加振され発生する振動波形を検出するセンサと、この振動波形を増幅する増幅器と、この増幅器から出力される信号を記録する波形記録装置と、この波形記録装置または増幅器から出力される信号のノイズ成分を除去するフィルタと、このフィルタから出力される信号をA/D変換するためのA/D変換器と、このA/D変換器から出力される信号の特徴を波形処理し、この波形処理値から性能劣化度合を判定する波形処理器と、これらの結果を表示する表示器と、これらの結果を記録する記録装置とで構成されており、波形処理器において圧縮機の圧縮過程で発生する流体振動の非定常成分を定量化することで性能劣化度合を判定することができる圧縮機の性能劣化診断装置であって、前記波形処理器で行われる流体振動の非定常成分の定量化処理において、入力された振動波形を周期毎に分割する手段と、この周期毎に分割した波形を加算平均処理する手段と、分割された波形とこの加算平均処理した波形との差の波形を算出する手段と、この差の自乗を算出する手段と、この各自乗した波形を加算平均処理し分散波形を求める手段と、この分散波形を積分し分散パワーを求める手段と、振動波形の自乗平均を行い振動パワーを求める手段と、この分散パワーとこの振動パワーとの比を算出する手段とで、比分散値を求める手段とで振動波形処理を行うことで効率良く、かつ精度良く性能劣化度合を判定することができる。
【0074】
さらに、波形処理器に入力された振動波形を周期毎に分割する手段として、自己相関分析処理を用いて振動波形を周期毎に分割することで、振動波形を精度良く周期毎に分割することができる。
【0075】
また、波形処理器における分散波形を積分する手段において、分散波形の平滑化処理を行った後、積分することで、分散パワーをエラーなく高速で正確に求めることができる。
【0076】
さらに、波形処理器で行われる分散波形を積分する手段において、圧縮機のバルブが開放している間を積分することで、より圧縮性能に対応する振動の非周期成分の分散パワーを算出することができる。
【0077】
また、分散波形の積分範囲の決定手段において、圧縮機のバルブが開放している間の積分範囲を分散波形にしきい値を設けその交点から求めることで、積分範囲を効率良く、正確に求めることができる。
これにより、圧縮機の圧縮性能をいちいちカロリー計測装置で計測することなしに効率的に精度良く診断することができる圧縮機の性能劣化診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す圧縮機の性能劣化診断装置のブロック図
【図2】本発明の診断対象となる圧縮機の横断面図
【図3】本発明の診断対象となる圧縮機のA−A’断面図
【図4】本発明の診断対象となメカ挙動と振動波形図
【図5】本発明の第2の実施例を示す波形処理フロ−チャート
【図6】本発明の第2の実施例を示すための振動波形と分散波形図
【図7】本発明の第3の実施例を示すための自己相関分析図
【図8】本発明の第4の実施例を示すための平滑化処理前と平滑化処理後の分散波形図
【図9】本発明の第5の実施例を示すための振動波形と分散波形図
【図10】本発明の第6の実施例を示すための分散波形図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 4点溶接部
3 密閉ケース
4 センサ
5 増幅器
6 波形記録装置
7 フィルタ
8 A/D変換器
9 波形処理器
10 表示器
11 記録装置

Claims (5)

  1. 圧縮機において冷媒を圧縮する過程で発生する流体振動により加振され発生する振動波形を検出するセンサと、この振動波形を増幅する増幅器と、この増幅器から出力される信号を記録する波形記録装置と、この波形記録装置または増幅器から出力される信号のノイズ成分を除去するフィルタと、このフィルタから出力される信号をA/D変換するためのA/D変換器と、このA/D変換器から出力される信号の特徴を波形処理し、この波形処理値から性能劣化度合を判定する波形処理器と、これらの結果を表示する表示器と、これらの結果を記録する記録装置とで構成されており、波形処理器において圧縮機の圧縮過程で発生する流体振動の非定常成分を定量化することで性能劣化度合を判定する圧縮機の性能劣化診断装置であって、前記波形処理器で行われる流体振動の非定常成分の定量化処理において、入力された振動波形を周期毎に分割する手段と、この周期毎に分割した波形を加算平均処理する手段と、分割された波形とこの加算平均処理した波形との差の波形を算出する手段と、この差の自乗を算出する手段と、この各自乗した波形を加算平均処理し分散波形を求める手段と、この分散波形を積分し分散パワーを求める手段と、振動波形の自乗平均を行い振動パワーを求める手段と、この分散パワーとこの振動パワーとの比を算出する手段とで、比分散値を求める手段とで振動波形処理を行うことを特徴とする圧縮機の性能劣化診断装置。
  2. 波形処理器に入力された振動波形を周期毎に分割する手段として、自己相関分析処理を用いて振動波形を周期毎に分割することを特徴とする請求項1記載の圧縮機の性能劣化診断装置。
  3. 波形処理器における分散波形を積分する手段において、分散波形の平滑化処理を行った後、積分することを特徴とする請求項1記載の圧縮機の性能劣化診断装置。
  4. 波形処理器で行われる分散波形を積分する手段において、圧縮機のバルブが開放している間を積分することを特徴とする請求項1記載の圧縮機の性能劣化診断装置。
  5. 分散波形の積分範囲の決定手段において、圧縮機のバルブが開放している間の積分範囲を分散波形にしきい値を設け、その交点から求めることを特徴とする請求項4記載の圧縮機の性能劣化診断装置。
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