JP3736888B2 - ドアグラスラン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のドアサッシュ部内周に装着されるドアグラスランに関し、特に装飾用のモールを備えたドアグラスランに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のフロントドアあるいはリヤドアに取り付けられるドアグラスランとして、ウインドガラスの周縁部に当接してこれをシールするグラスラン本体と、外観品質向上のために車室外側に露出する部位に設けられる装飾用のモールとを有するものがある。
【0003】
このようなグラスランのドアサッシュ部に対する取付構造の一つとして、ドアパネルに予めモールを固定しておき、このドアパネルとモールとで形成されるチャンネル部にグラスラン本体を嵌着するようにしたものが知られている。
【0004】
図4は、その一例として実公平6−22585号公報に記載されているドア上縁部の構成を示す断面図で、ドア100を構成するインナパネル102とアウタパネル104とはドア開口部内周に向かって突出するフランジ106で結合されている。このフランジ106から車室外側に折曲するアウタパネル104の棚部108に、その外側面が車室外側に露出するモール110がクリップ112を介して固定されている。
【0005】
一方、グラスラン本体114は、フランジ106に嵌着される断面略U字状のウェルト部116と、このウェルト部116の車室外側の脚部先端より車室外側に突出する基部118と、図示しないドアガラスの周縁に当接するシール部120とから概略構成され、ウェルト部116内には補強のための芯金122が埋設されている。そしてグラスラン本体114は、ウェルト部116がフランジ106に嵌着するとともに、基部118先端部がモール110内側に形成されたU字状のチャンネル部に嵌合することにより、ドア100に保持されるようになっている。
【0006】
また、ドアグラスランのドアサッシュ部に対する取付構造の他の例として、モールをグラスラン本体によって支持し、グラスラン本体のウェルト部をフランジに嵌着することにより、ドアグラスラン全体が保持されるようにしたものもある。
【0007】
図5は、その一例として、実開昭64−25916号公報に記載されているドア上縁部の構成を示す断面図で、上記図5のものと同一構成部分には同一参照符号を付して適宜説明を省略する。ここではグラスラン本体130の基部132には車室外側に開口する空洞134が形成され、この空洞134内にモール136の脚部138を嵌着させ、空洞134開口をモール136の頭部140で覆うように構成している。また、モール136が確実に空洞134内に保持されるように、補強用の芯金142が空洞134に沿って埋設されている。なお、この芯金142は、ウェルト部116内に埋設される芯金122から連続的に延長されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記実公平6−22585号公報のものでは、取付の際、まずモール110をアウタパネル104に固定し、次いでグラスラン本体114を取り付ける必要があり、その取付作業が煩雑で製造コストも高くなる。特にモール110をアウタパネル104に固定するためには、金属製のアウタパネル104にクリップ112が嵌挿する孔を予め形成しておく必要があるため、作業工数が増加し、またクリップ112等の取付具の分だけ部品点数も増加する。
【0009】
また実開昭64−25916号公報のものでは、上記モール136を嵌着させるためにグラスラン本体130内の空洞134回りに芯金142を埋設させる必要があり、この芯金142の分コストが高くなるとともに構成も複雑化する。
【0010】
本発明の目的は、簡素な構成で、しかもグラスラン本体およびモールを簡単にドアサッシュ部に組み付けることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係るドアグラスランは、自動車のドアサッシュ部内周に開口部内周側へ向かって突出形成されたグラスラン取付用フランジに装着されるグラスラン本体と、このグラスラン本体によって支持され、開口部内周に向かって開いた断面略U字状をなすモールとを備えたドアグラスランであって、
グラスラン本体は、フランジに嵌着する断面略U字形のウエルト部と、このウエルト部の車室外側の脚部の先端部側面より車室外側に突出形成され、かつドアガラスの周縁部が当接するシール部と、このシール部のドア外周側に一体に形成され、モール内側に嵌合するモール嵌合部と、を有し、
モールは、フランジから車室外側に折曲したドアパネルの棚部に沿うとともに、この棚部とモール嵌合部との間で狭持される底部と、この底部の車室内側端部からフランジ側へ傾いて棚部側へ突出し、その先端が棚部に圧接する突起部と、前記底部の車室外側の端部に位置し、前記棚部に接する補助シール部と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項1の発明のグラスランをドアサッシュ部に装着するには、モールがモール嵌合部に嵌合されたグラスラン本体のウェルト部を、グラスラン取付用フランジに嵌着すればよい。これによってモールの底部がドアパネルの棚部とドアグラスラン本体のモール嵌合部との間で狭持されるとともに、突起部が棚部に圧接して、グラスラン本体とともにモールもドアサッシュ部に強固に組み付けられる。
【0013】
請求項2の発明のドアグラスランは、モールが、可変押出により一体に成形され、突起部が、ドアサッシュ部上縁の折曲するコーナー部で、その突出長が相対的に長くなっている。
【0014】
請求項2の発明によれば、モールが、ドアサッシュ上縁の折曲するコーナー部で開口部内周側に倒れ込むようなことなく、ドアサッシュ上縁に沿って良好に取り付けられるため、外観品質が向上する。
【0015】
請求項3の発明のドアグラスランは、モール嵌合部の車室外側および車室内側の両側部に、それぞれ凹溝が形成され、
モールが、底部の車室外側端部に連続し、モール嵌合部の車室外側の凹溝に係合するとともに、外側面が車室外側に露出する装飾片部と、底部の車室内側端部に連続して突起部と反対側へ突出し、かつモール嵌合部の車室内側の凹部に係合する係止片部とを有することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。図2は、本発明に係るドアグラスラン10を示す断面斜視図であり、図3は、このドアグラスラン10が装着されたドア2の側面図、図1は、図3のI−I線に沿う断面図である。
【0017】
ドア2は、本実施例では、ドアサッシュ部3を含めてドアアウタパネル4とドアインナパネル5とを接合してなるいわゆるプレスドア形式となっている。ドアサッシュ部3においては、両パネル4,5を接合してなる内周側の接合フランジが開口部内周側へ向かって突出し、グラスラン取付用フランジ6を構成している。このフランジ6は、ドアサッシュ部3の内周に沿って連続しており、例えばドアサッシュ部3上縁のコーナー部3aでは適宜な曲率半径で湾曲している。
【0018】
ドアアウタパネル4は、フランジ6基端部から車室外側に折曲してウインドガラス7先端に対向する棚部4aを形成するとともに、棚部4aの車室外側の端部からドア外周に向かって折曲している。
【0019】
本実施例に係るドアグラスラン10は、図3にも示すように、ドアサッシュ部3の上縁部に沿って配設され、金型成形されたコーナー部9において、その端末部がドアサッシュ部3の側部に沿う他のドアグラスラン8の端末部に一体に接続されている。
【0020】
ドアグラスラン10は、図1,図2にも示すように、一体的に押出成形されるゴム製のグラスラン本体11と、このグラスラン本体11によって支持され、別途可変押出により押出成形される合成樹脂製のモール12とから構成される。
【0021】
グラスラン本体11は、芯金14が埋設された略U字形のウエルト部15と、このウエルト部15の車室外側の脚部15aの先端部側面に付帯形成された中空シール部16と、ウエルト部15の車室外側の脚部15aの頂部側面から車室外側へ伸びてウインドガラス7側面に圧接するメインシールリップ18と、ウエルト部15の車室内側の脚部15bの頂部側面から車室内側へ伸びた装飾リップ19と、から大略構成されている。そして中空シール部16のドア外周側には、モール12の内側に嵌合するモール嵌合部17が、中空シール部16と一体に形成されている。
【0022】
ウエルト部15は、グラスラン取付用フランジ6に嵌着するものであり、その内側には合計3本のフランジ保持リップ20が設けられているとともに、脚部15aの先端からフランジ6側に突出するフランジ保持突起21が形成されている。
【0023】
中空シール部16は、ドアアウタパネル4の棚部4aに略平行に車室外側に突出しており、ウエルト部15の脚部15a側面に、基部16aを介して結合している。そして中空シール部16は、ドア内周側に形成されたガラス当接部22においてウインドガラス7の上端が圧接するようになっている。
【0024】
なお、このグラスラン本体11は、図示するように、このガラス当接部22およびフランジ保持リップ20の一つがスポンジゴムからなり、かつ他の部分はソリッドゴムから構成されている。
【0025】
モール嵌合部17は、中空シール部16と一体に、かつ両側部が比較的厚肉に、中央部が比較的薄肉となるようにドア外周側に張り出している。中空シール部16と連なるモール嵌合部17の車室外側および車室内側の両側面には、それぞれ凹溝23,24が形成されている。
【0026】
装飾リップ19は、ウエルト部15の車室内側の脚部15bの頂部側面からドアサッシュ部3へ向かって斜めに伸びており、ウエルト部15を覆い隠しているとともに、その先端がドアインナパネル5に当接する。
【0027】
一方、モール12は、棚部4aに沿う平坦面をなす底部30と、この底部30の車室外側端部から略直角にドア内周側に折曲する装飾片部31と、底部30の車室内側端部からドア内周側に向かって円弧状に湾曲する係止片部32とで略U字状に形成されている。そして、底部30の車内側端部から係止片部32と反対側に突出し、かつ先端が棚部4aに圧接する突起部36を有している。
【0028】
なお、突起部36と係止片部32とは略一直線上に配置され、これにより互いに補強するようになっている。
【0029】
底部30は、棚部4aとモール嵌合部17との間で狭持されている。すなわち底部30は、内側面がモール嵌合部17に当接しており、外側面の少なくとも一部が棚部4aに圧接している。
【0030】
装飾片部31は、その先端内側面に係合突起部31aが形成され、この係合突起部31aはモール嵌合部17の車室外側の凹溝23に係合する。一方、係止片部32は、その湾曲する内側面がモール嵌合部17の湾曲する車室内側の側面に当接し、かつその先端部32bがモール嵌合部17の車室内側の凹溝24に係合する。
【0031】
装飾片部31の車室外側に露出する外側面には、その略全面を覆うように装飾フィルム34が設けられている。また、底部30と装飾片部31との境界となるコーナー部の外側面には補助シール部35が突出形成されている。なお、モール12は、軟質樹脂からなる補助シール部35と、装飾フィルム34と、硬質樹脂からなる他の部位とが周知の可変押出により一体に押出成形される。
【0032】
補助シール部35は、断面略L字状に形成され、モール12のコーナー部に沿う一片部35a端部が装飾フィルム34の端部に連なり、かつ上記一片部35aから立設された他片部35bの先端がドアアウタパネル4の棚部4aに圧接している。
【0033】
突起部36は、フランジ6側へ傾きつつ棚部4a側に向けて突出しており、換言すれば、モール12の車室内側のコーナー部から末広がりとなった脚状に突出している。なお、補助シール部35の棚部4aに当接する他片部35bもまた、モール12端部より末広がり形状となっており、この他片部35bと突起部36とが一対の脚となってモール12をドアアウタパネル4に対し安定して保持している。なお、突起部36は図2に示すように帯状に連続している。
【0034】
突起部36の側面と底部30の外面との間には、自然状態で鋭角をなすV溝37が形成される。突起部36は、余裕をもって棚部4aに圧接するように長尺に形成されており、取付時にはV溝37の角度γが大きくなる方向に若干倒れ込むように弾性変形している。したがって製造ばらつきや取付時の位置ずれ等によりモール12とドアインナパネル5との相対距離が少々変化しても、突起部36の先端が確実にドアアウタパネル4に圧接し得るようになっている。
【0035】
またモール12およびモール嵌合部17の車室内側に位置する突起部36がドアアウタパネル4に圧接することによって、モール12の車室外側に位置する補助シール部35の他片部35bをドアアウタパネル4側に付勢する力が作用する。この結果、この部分のシール性が向上し、他片部35bがドアアウタパネル4より浮き上がることが防止される。
【0036】
さらに突起部36は、図2に示すように、いわゆる可変押出成形によって断面形状が連続的に変化されており、ドアサッシュ部上縁の折曲するコーナー部3aに取り付けられる部分36aで、図2の想像線で示す一般断面部における突出長lより、その突出長が相対的に長くなっている。
【0037】
このコーナー部3aでは、ドアグラスラン10自体が弾性変形させられ、ドアアウタパネル4の棚部4aとモール12の底部30とが互いに離れる方向に両者の相対位置が変化するが、このような相対位置の変化に応じて突起部36の突出長を変化させているため、突起部36の先端が確実にドアアウタパネル4に圧接する。この結果、モール12の装飾片部31側がコーナー部3aで特にドア内周側へ倒れ込むようなことはなく、外観品質が向上する。
【0038】
モール12をグラスラン本体11に取り付ける際には、モール12をその開口部側よりグラスラン本体11のモール嵌合部17に強く押し込む。これにより装飾片部31の係合突起部31aおよび係止片部32の先端部32bがそれぞれモール嵌合部17の両側部を乗り越えて対応する凹溝23,24に係合し、モール嵌合部17全体がモール12内側に嵌合する。
【0039】
ドアグラスラン10をドアサッシュ部3に装着するには、グラスラン本体11のウエルト部15をフランジ6に嵌着する。このとき、モール12の車室内側端部に位置する突起部36と車室外側に位置する補助シール部35とがドアアウタパネル4の棚部4aに圧接し、モール12の底部30が棚部4aとモール嵌合部17との間に安定した姿勢で狭持される。この結果、グラスラン本体11とともにモール12もドアサッシュ部3に組み付けられ、その取付作業性が著しく向上する。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、グラスラン本体のウエルト部をドアサッシュ部のフランジに嵌着するのみで、グラスラン本体とともにモールもドアサッシュ部に組み付けられ、取付作業性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドアグラスランの一実施例を示す図3のI−I線に沿う断面図。
【図2】図1のドアグラスランの断面斜視図。
【図3】ドアの側面図。
【図4】従来のドアグラスランの一例を示す断面図。
【図5】従来のドアグラスランの他の例を示す断面図。
【符号の説明】
3…ドアサッシュ部
3a…コーナー部
4…ドアアウタパネル
4a…棚部
6…グラスラン取付用フランジ
7…ウインドガラス
10…ドアグラスラン
11…グラスラン本体
12…モール
15…ウエルト部
15a…脚部
16…中空シール部
17…モール嵌合部
23,24…凹溝
30…底部
31…装飾片部
32…係止片部
36…突起部
Claims (4)
- 自動車のドアサッシュ部内周に開口部内周側へ向かって突出形成されたグラスラン取付用フランジに装着されるグラスラン本体と、このグラスラン本体によって支持され、開口部内周に向かって開いた断面略U字状をなすモールとを備えたドアグラスランであって、
前記グラスラン本体は、前記フランジに嵌着する断面略U字形のウエルト部と、このウエルト部の車室外側の脚部の先端部側面より車室外側に突出形成され、かつドアガラスの周縁部が当接するシール部と、このシール部のドア外周側に一体に形成され、前記モール内側に嵌合するモール嵌合部と、を有し、
前記モールは、前記フランジから車室外側に折曲したドアパネルの棚部に沿うとともに、この棚部と前記モール嵌合部との間で狭持される底部と、この底部の車室内側端部から前記棚部側へ突出し、その先端が前記棚部に圧接する突起部と、前記底部の車室外側の端部に位置し、前記棚部に接する補助シール部と、を有し、
前記突起部は前記棚部側へ向けて前記フランジ側へ傾いていることを特徴とするドアグラスラン。 - 前記モールは、可変押出により一体に成形され、前記突起部は、ドアサッシュ部上縁の折曲するコーナー部で、その突出長が相対的に長くなっていることを特徴とする請求項1に記載のドアグラスラン。
- 前記モール嵌合部の車室外側および車室内側の両側部に、それぞれ凹溝が形成され、
前記モールが、
前記底部の車室外側端部に連続し、前記モール嵌合部の車室外側の凹溝に係合するとともに、外側面が車室外側に露出する装飾片部と、前記底部の車室内側端部に連続して前記突起部と反対側へ突出し、かつ前記モール嵌合部の車室内側の凹部に係合する係止片部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のドアグラスラン。 - 前記補助シール部が、前記底部の車室外側端部から前記棚部側へ末広がりとなった脚状に突出する他片部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドアグラスラン。
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